JP5136146B2 - 車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法 - Google Patents

車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法 Download PDF

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本発明は、自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法に関する。
自動車等の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する車輪支持用転がり軸受ユニットは、一般的には、以下のような構造を有している。すなわち、外周面に複列の軌道面を有する内方部材と、内周面に複列の軌道面を有する外方部材と、内方部材の軌道面と外方部材の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備えており、内方部材が回転輪、外方部材が固定輪(非回転輪)とされている。
また、内方部材の外周面には、車輪を取り付けるためのフランジが設けられ、外方部材の外周面には、懸架装置を取り付けるためのフランジが設けられている。そして、このような車輪支持用転がり軸受ユニットは、前述のフランジが内方部材や外方部材に一体化された構造となっている。
車輪支持用転がり軸受ユニットを構成する内方部材,外方部材は、例えばS53Cのような機械構造用炭素鋼の中炭素鋼を材料とし、以下のようにして製造される。すなわち、鋼製素材に複数工程の熱間鍛造を順次施して所定の形状に段階的に成形した後に冷却し、さらに必要により旋削,研削,削孔等を施して、初析フェライトとパーライトとが複合したフェライト−パーライト組織を有する内方部材,外方部材を得る。
車輪支持用転がり軸受ユニットの駆動時には、内方部材,外方部材に応力が負荷されるので、内方部材,外方部材には高い強度が要求される。そこで、複数工程の熱間鍛造のうち最終工程の熱間鍛造を、A1 点以上A3 点よりも100℃高い温度以下の温度域(S53Cの場合はおよそ750〜850℃)で行うことにより、結晶粒径を微細(10μm以下)にして強度を高める方法が、特許文献1に提案されている。
特開2007−23321号公報 特開2007−24273号公報 特開2004−100946号公報
しかしながら、車輪支持用転がり軸受ユニットに用いられる、炭素の含有量が0.4〜0.6質量%である鋼材においては、結晶粒径を微細にすると軟質な初析フェライトが増加するため硬さの低下を招き、かえって強度が低下する場合があった。これを防止するためには、熱間鍛造後の冷却速度を速くする必要があるが、前述のように結晶粒径が過度に微細になった場合は、生産工程上実現できる冷却速度(放冷やファン等による送風冷却での冷却速度)では初析フェライトの増加を十分に抑制することができず、硬さが低下してしまうおそれがあった。
一方、車輪支持用転がり軸受ユニットの製造においては、前述の熱間鍛造後に冷間加工が行われる場合がある。例えば、内方部材が、車輪が取り付けられるフランジが設けられたハブ輪と、ハブ輪の軸方向一端部に一体的に固定される内輪と、で構成される場合に、内輪がハブ輪に加締めにより固定される場合がある。この場合、ハブ輪のうち加締めのために塑性変形される部位(冷間加工が施される部位)には、優れた延性と強度とが要求される。
特許文献1には、冷間加工が施される部位については、複数工程の熱間鍛造のうち最終工程の熱間鍛造を、A3 点よりも100℃高い温度(S53Cの場合はおよそ850℃)以上で行うことにより、結晶粒径を12μm以上とすることが記載されている。しかしながら、結晶粒径を過度に大きくしてしまうと、素材の延性が低下して、かえって冷間加工性が低下してしまうおそれがあった。
そこで、本発明は上記のような従来技術が有する問題点を解決し、冷間加工を含む製造工程によって車輪支持用転がり軸受ユニットを容易に製造することが可能な車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のような構成からなる。すなわち、本発明に係る請求項1の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記内方部材の軌道面と前記外方部材の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える車輪支持用転がり軸受ユニットを製造するに際して、鋼製素材に複数工程の熱間鍛造を順次施して所定の形状に段階的に成形し冷却した後に、冷間加工を施すことにより、前記内方部材及び前記外方部材の少なくとも一方を得るとともに、前記複数工程の熱間鍛造のうち最終工程の熱間鍛造を、下記の条件A,条件B,及び条件Cを満足するように行い、前記複数工程の熱間鍛造の後の冷却工程を、下記の条件Dを満足するように行うことを特徴とする。
条件A)前記内方部材又は前記外方部材のうち前記冷間加工が施される被冷間加工部位は、900℃以上1050℃以下の加工温度で熱間鍛造される。
条件B)前記最終工程の熱間鍛造によって、前記被冷間加工部位には0.3以上1.5以下のvon Mises歪が導入される。
条件C)[前記加工温度]−150×[前記von Mises歪]なる式で定義される熱間鍛造パラメータPF が925以下である。
条件D)前記熱間鍛造パラメータPF が850超過925以下である場合は、前記冷却工程の冷却速度は0.25℃/s以上3℃/s以下であり、前記熱間鍛造パラメータPF が850以下である場合は、前記冷却工程の冷却速度は0.5℃/s以上3℃/s以下である。
また、本発明に係る請求項2の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、請求項1に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法において、前記冷間加工を下記の条件Eを満足するように行うことを特徴とする。
条件E)前記被冷間加工部位においては、前記熱間鍛造及び前記冷却工程によって、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で7以上9以下となっており、このような前記被冷間加工部位に前記冷間加工が施される。
さらに、本発明に係る請求項3の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、請求項1又は請求項2に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法において、前記内方部材は、車輪又は懸架装置が取り付けられるフランジが設けられたハブ輪と、前記ハブ輪の軸方向一端部に一体的に固定される内輪と、で構成されており、前記ハブ輪及び前記内輪のそれぞれが前記軌道面を有するとともに、前記ハブ輪の鋼製素材は、イオウの含有量が0.01質量%以下であることを特徴とする。
さらに、本発明に係る請求項4の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法は、請求項3に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法において、前記内輪は前記ハブ輪に加締めにより固定されており、前記ハブ輪のうち前記加締めのために塑性変形される部位が前記被冷間加工部位に相当することを特徴とする。
本発明の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法によれば、冷間加工を含む製造工程によって車輪支持用転がり軸受ユニットを容易に製造することが可能である。
本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、車輪支持用転がり軸受ユニットの構造を示す断面図である。なお、本実施形態においては、車輪支持用転がり軸受ユニットを自動車等の車両に取り付けた状態において、車両の幅方向外側を向いた部分を外端側部分と称し、幅方向中央側を向いた部分を内端側部分と称する。すなわち、図1においては、左側が外端側となり、右側が内端側となる。
図1の車輪支持用転がり軸受ユニット1は、ハブ輪2と、内輪3と、外輪4と、二列の転動体5,5と、転動体5を保持する保持器6,6と、を備えている。ハブ輪2の内端側部分には外径の小さい円筒部11が形成されており、該円筒部11に内輪3が圧入されている。そして、内輪3よりも内端側に突出している円筒部11の先端部分が径方向外方に加締め広げられて、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されている。そして、ハブ輪2及び内輪3の外方には、略円筒形状の外輪4が同心に配されている。なお、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されたものが、本発明の構成要件である内方部材に相当し、外輪4が本発明の構成要件である外方部材に相当する。
ハブ輪2の外周面の軸方向中間部及び内輪3の外周面には、それぞれ軌道面が形成されており、ハブ輪2の軌道面は第一内側軌道面20a、内輪3の軌道面は第二内側軌道面20bとされている。また、外輪4の内周面には、前記両内側軌道面20a,20bに対向する軌道面が形成されており、第一内側軌道面20aに対向する軌道面は第一外側軌道面21a、第二内側軌道面20bに対向する軌道面は第二外側軌道面21bとされている。さらに、第一内側軌道面20aと第一外側軌道面21aとの間、及び、第二内側軌道面20bと第二外側軌道面21bとの間には、それぞれ複数の転動体5が転動自在に配されている。なお、図示の例では、転動体として玉を使用しているが、車輪支持用転がり軸受ユニット1の用途等に応じて、ころを使用してもよい。
さらに、外輪4の内端側部分の内周面と内輪3の内端側部分の外周面との間、並びに、外輪4の外端側部分の内周面とハブ輪2の中間部の外周面との間には、それぞれシール装置7a,7bが設けられている。
さらに、ハブ輪2の外周面の外端側部分には、図示しない車輪を固定するための車輪取り付け用フランジ10が設けられている。そして、外輪4の外周面には、車輪取り付け用フランジ10から離間する側の端部に、懸架装置取り付け用フランジ13が設けられている。
このような車輪支持用転がり軸受ユニット1を自動車等の車両に組み付けるには、懸架装置取り付け用フランジ13を懸架装置に固定し、車輪を車輪取り付け用フランジ10に固定する。その結果、車輪支持用転がり軸受ユニット1によって車輪が懸架装置に対し回転自在に支持される。すなわち、内輪3とハブ輪2とが一体的に固定されたものが回転輪となり、外輪4が固定輪(非回転輪)となる。
このような車輪支持用転がり軸受ユニット1において、ハブ輪2,内輪3,及び外輪4は、鋼製素材に熱間鍛造を施して所定の形状に成形してなる熱間鍛造品である。熱間鍛造品の製造方法を、ハブ輪2を例にして説明する。ハブ輪2は複雑な形状で、1工程の熱間鍛造で成形することは困難なので、円柱形状の鋼製素材に複数工程の熱間鍛造を順次施して段階的に形状を変化させていくことにより成形する。なお、ハブ輪2の鋼製素材は、イオウの含有量が0.01質量%以下である鋼製の素材であることが好ましい。
熱間鍛造の工程数は特に限定されるものではないが、通常は3〜4工程である。例えば3工程の場合は、第一工程で据え込みを行い、第二工程で荒成形を行い、第三工程で仕上げ成形を行う。そして、前記複数工程の熱間鍛造のうち最終工程(上記の例では第三工程)の熱間鍛造を、下記の条件A,条件B,及び条件Cを満足するように行う。
条件A)ハブ輪2のうち円筒部11の前記先端部分は、車輪支持用転がり軸受ユニット1の製造工程において加締めのために塑性変形されるが、このような冷間加工が施される被冷間加工部位Tについては、900℃以上1050℃以下の加工温度で熱間鍛造される。
条件B)前記最終工程の熱間鍛造によって、被冷間加工部位Tには0.3以上1.5以下のvon Mises歪が導入される。
条件C)[前記加工温度]−150×[von Mises歪]なる式で定義される熱間鍛造パラメータPF が925以下である。
次に、このような熱間鍛造の後に熱間鍛造品の冷却を行うが、この冷却工程を、下記の条件Dを満足するように行う。
条件D)熱間鍛造パラメータPF が850超過925以下である場合は、冷却工程の冷却速度は0.25℃/s以上3℃/s以下であり、熱間鍛造パラメータPF が850以下である場合は、冷却工程の冷却速度は0.5℃/s以上3℃/s以下である。
このようにして製造されたハブ輪2の被冷間加工部位Tにおいては、熱間鍛造及び冷却工程によって、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で7以上9以下となっている。そして、被冷間加工部位Tは、軟質な初析フェライトの増加が抑制されており、適正なフェライト−パーライト組織を有しているので、優れた延性と強度とを有している。
よって、このような被冷間加工部位Tに冷間加工を施して内輪3の加締め固定を行えば、被冷間加工部位Tの優れた延性により内輪3の加締め固定を容易に行うことができるとともに、被冷間加工部位Tの優れた強度により内輪3をハブ輪2に強固に固定することができる。
なお、本発明は、種々の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用することが可能である。例えば、車輪取り付け用フランジがハブ輪や外輪と別体に設けられた、所謂第一世代の車輪支持用転がり軸受ユニット、車輪取り付け用フランジ又は懸架装置取り付け用フランジが外輪と一体に設けられた、所謂第二世代の車輪支持用転がり軸受ユニット、車輪取り付け用フランジ及び懸架装置取り付け用フランジがそれぞれ内輪及び外輪のいずれかと一体に設けられた、所謂第三世代の車輪支持用転がり軸受ユニットに適用することが可能である。
〔実施例〕
以下に、実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。直径55mmの円柱形状のS53C製素材を1200℃に加熱した後に、種々の条件で熱間据え込みを行い、据え込まれた素材の延性及び強度を測定した。そして、熱間鍛造の条件と素材の延性,強度との関係を調査した。
熱間据え込み後の素材の延性及び強度は、以下のようにして測定した。熱間据え込み後に冷却した素材から直径4mmの円柱形状の引張試験片を切り出し、引張試験を行った。そして、絞り(断面減少率)によって延性を評価し、降伏比によって強度を評価した。断面減少率と降伏比は、下記式により定義される。
断面減少率(%)=([引張試験前の引張試験片の断面積]−[引張試験後の引張試験片の破断面の面積])/[引張試験前の引張試験片の断面積]×100
降伏比=[降伏強度]/[破断強度]
熱間鍛造の条件、すなわち加工温度,von Mises歪(素材のうち引張試験片の切り出し位置のvon Mises歪),熱間鍛造パラメータPF ,及び熱間据え込み後の冷却速度は、表1に示す通りである。
なお、加工温度は、放射温度計を用いてワーク表面の温度を測定することにより求めた。また、von Mises歪は有限要素法を用いて求めた。さらに、冷却速度は、空冷ファンの風量と風速によって調整した。
Figure 0005136146
引張試験の結果(断面減少率及び降伏比)を、熱間据え込み後の素材の旧オーステナイト結晶粒度(日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度)とともに表1に示す。なお、表1の旧オーステナイト結晶粒度の欄に記載の数値は、粒度番号である。
非焼入れ部の延性及び強度を高めるためには、結晶粒を微細にすることが効果的である。非焼入れ部の結晶粒(フェライト−パーライト組織における旧オーステナイト結晶粒)は、熱間鍛造時に再結晶が生じて形成されるが、加工温度を低くするほど、導入される歪量を大きくするほど、結晶粒を微細にすることができる。
本発明者は、さらに鋭意検討を行った結果、複数工程の熱間鍛造のうち最終工程の熱間鍛造を、前述の条件A,条件B,及び条件Cを満足するように行うことによって(実施例1〜9であり、図2のグラフの斜線部である)、適正なフェライト−パーライト組織を有し且つ旧オーステナイト結晶粒度を粒度番号で7以上9以下とすることができ、優れた延性及び高い強度が得られることを見出した。
比較例4のように加工温度が900℃未満であると、結晶粒が過度に微細となるため、初析フェライトが増加して硬さが低下する。そのため、優れた延性は得られるが、降伏強度が低下してしまう。また、比較例1,2のように加工温度が1050℃超過であると、十分なvon Mises歪を加えても結晶粒が微細にならないため、十分な延性が得られない。
さらに、比較例5のようにvon Mises歪が0.3未満であると、十分に再結晶できないため、加工温度が適切であっても結晶粒が微細にならず、優れた延性及び高い強度が得られない。さらに、von Mises歪が1.5超過であると、加工発熱が生じて、かえって結晶粒が大きくなってしまう場合がある。加工温度が低い場合でも、金型への負担が大きくなるおそれがあるため、好ましくない。
さらに、比較例3のように、加工温度及びvon Mises歪が適正であっても、熱間鍛造パラメータPF が925超過であると、結晶粒が微細にならず十分な延性が得られない。
ただし、結晶粒が過度に微細であると、軟質な初析フェライトが増加してしまうため、硬さが低下して、かえって強度が低下するおそれがある。初析フェライトは、結晶粒が大きいほど、熱間鍛造後の冷却工程における冷却速度が速いほど少量となる。
熱間鍛造パラメータPF が850超過925以下である場合には、旧オーステナイト結晶粒度が粒度番号で8未満であり、冷却速度を0.25℃/s以上とすれば硬さの低下を抑制することができる。熱間鍛造パラメータPF が850以下である場合には、旧オーステナイト結晶粒度が粒度番号で8以上であり、冷却速度を0.5℃/s以上とすれば硬さの低下を抑制することができる。
冷却速度が3℃/sよりも大きいと、局部的にマルテンサイト変態を生じるため、割れ等が発生するおそれがある。
比較例6は、熱間鍛造パラメータPF は900であるが冷却速度が遅いため、延性は優れているものの降伏強度が向上していない。また、比較例7は、熱間鍛造パラメータPF は850であるが冷却速度が遅いため、延性は優れているものの降伏強度が向上していない。
次に、イオウの含有量が種々異なるS53C製素材を用いて、前述と同様の引張試験を行った。なお、熱間鍛造における加工温度等の種々の条件は、前述の実施例3と同様である。結果を表2及び図4のグラフに示す。イオウの含有量が延性に影響しており、0.01質量%以下であると延性が優れていることが分かる。
Figure 0005136146
車輪支持用転がり軸受ユニットの構造を示す断面図である。 実施例,比較例のハブ輪の製造において行った熱間鍛造の条件(加工温度及びvon Mises歪)を示すグラフである。 旧オーステナイト結晶粒度(粒度番号)と断面減少率,降伏比との関係を示すグラフである。 鋼中のイオウの含有量と断面減少率との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 車輪支持用転がり軸受ユニット
2 ハブ輪
3 内輪
4 外輪
5 転動体
10 車輪取り付け用フランジ
13 懸架装置取り付け用フランジ
20a 第一内側軌道面
20b 第二内側軌道面
21a 第一外側軌道面
21b 第二外側軌道面
T 被冷間加工部位

Claims (4)

  1. 外周面に軌道面を有する内方部材と、前記内方部材の軌道面に対向する軌道面を有し前記内方部材の外方に配された外方部材と、前記内方部材の軌道面と前記外方部材の軌道面との間に転動自在に配された複数の転動体と、を備える車輪支持用転がり軸受ユニットを製造するに際して、
    鋼製素材に複数工程の熱間鍛造を順次施して所定の形状に段階的に成形し冷却した後に、冷間加工を施すことにより、前記内方部材及び前記外方部材の少なくとも一方を得るとともに、
    前記複数工程の熱間鍛造のうち最終工程の熱間鍛造を、下記の条件A,条件B,及び条件Cを満足するように行い、前記複数工程の熱間鍛造の後の冷却工程を、下記の条件Dを満足するように行うことを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
    条件A)前記内方部材又は前記外方部材のうち前記冷間加工が施される被冷間加工部位は、900℃以上1050℃以下の加工温度で熱間鍛造される。
    条件B)前記最終工程の熱間鍛造によって、前記被冷間加工部位には0.3以上1.5以下のvon Mises歪が導入される。
    条件C)[前記加工温度]−150×[前記von Mises歪]なる式で定義される熱間鍛造パラメータPF が925以下である。
    条件D)前記熱間鍛造パラメータPF が850超過925以下である場合は、前記冷却工程の冷却速度は0.25℃/s以上3℃/s以下であり、前記熱間鍛造パラメータPF が850以下である場合は、前記冷却工程の冷却速度は0.5℃/s以上3℃/s以下である。
  2. 前記冷間加工を下記の条件Eを満足するように行うことを特徴とする請求項1に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
    条件E)前記被冷間加工部位においては、前記熱間鍛造及び前記冷却工程によって、日本工業規格JIS G0551に規定の方法で測定された旧オーステナイト結晶粒度が、粒度番号で7以上9以下となっており、このような前記被冷間加工部位に前記冷間加工が施される。
  3. 前記内方部材は、車輪又は懸架装置が取り付けられるフランジが設けられたハブ輪と、前記ハブ輪の軸方向一端部に一体的に固定される内輪と、で構成されており、前記ハブ輪及び前記内輪のそれぞれが前記軌道面を有するとともに、前記ハブ輪の鋼製素材は、イオウの含有量が0.01質量%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
  4. 前記内輪は前記ハブ輪に加締めにより固定されており、前記ハブ輪のうち前記加締めのために塑性変形される部位が前記被冷間加工部位に相当することを特徴とする請求項3に記載の車輪支持用転がり軸受ユニットの製造方法。
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