JP2006142916A - 車輪支持用転がり軸受ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】 フランジの薄肉化を実現しつつフランジの面振れを抑制でき、且つ、現行形状のユニットの代換品としても使用可能な車輪支持用転がり軸受ユニットを低コストで提供する。
【解決手段】 車輪支持用転がり軸受ユニットのハブ輪1及び外輪を、C含有率が0.45質量%以上0.60質量%以下、Si含有率が0.20質量%以上1.5質量%以下、Mn含有率が0.60質量%以上1.2質量%以下、Cr含有率が0.03質量%以上0.8質量%以下の鋼からなる素材に対して熱間加工により所定形状に粗成形する。次に、ハブ輪1の外周面に形成される車輪取付用フランジ12を、冷間鍛造により所定形状に成形する。次に、ハブ輪1及び外輪3に焼入れ処理及び焼戻し処理を施す。そして、車輪取付用フランジ12をなす鋼のオーステナイト結晶粒の長軸の短軸に対する比を2以上20以下とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 車輪支持用転がり軸受ユニットのハブ輪1及び外輪を、C含有率が0.45質量%以上0.60質量%以下、Si含有率が0.20質量%以上1.5質量%以下、Mn含有率が0.60質量%以上1.2質量%以下、Cr含有率が0.03質量%以上0.8質量%以下の鋼からなる素材に対して熱間加工により所定形状に粗成形する。次に、ハブ輪1の外周面に形成される車輪取付用フランジ12を、冷間鍛造により所定形状に成形する。次に、ハブ輪1及び外輪3に焼入れ処理及び焼戻し処理を施す。そして、車輪取付用フランジ12をなす鋼のオーステナイト結晶粒の長軸の短軸に対する比を2以上20以下とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、自動車等の車輪と、この車輪と共に回転する制動用回転体(例えば、ブレーキロータやブレーキドラム)とを支持する車輪支持用転がり軸受ユニットに関する。
この種の車輪支持用転がり軸受ユニットとしては、図6に示すように、ハブ輪10と、内輪20と、外輪30と、複数の転動体40と、を備えているものが知られている。
ハブ輪10のアウトボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向外側の端部であり、図6では左端部を指す)には、パイロット部110と車輪取付用フランジ120が設けられている。この車輪取付用フランジ120の側面には、図示しない車輪及びブレーキロータを取付るためのハブボルト60が周方向に略等間隔で複数設けられている。
ハブ輪10のアウトボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向外側の端部であり、図6では左端部を指す)には、パイロット部110と車輪取付用フランジ120が設けられている。この車輪取付用フランジ120の側面には、図示しない車輪及びブレーキロータを取付るためのハブボルト60が周方向に略等間隔で複数設けられている。
一方、ハブ輪10のインボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向内側の端部であり、図6では右端部を指す)には、小径段部130が形成されている。この小径段部130には、内輪20が嵌合している。そして、ハブ輪10の軸方向の中間部外周面と内輪20の外周面には、それぞれ内輪軌道面10a,20aが形成されている。
また、ハブ輪10のインボード側の先端は円筒状に形成されており、この円筒部(かしめ部)を径方向外方にかしめ拡げることにより、ハブ輪10の小径段部130に嵌合する内輪20が所定位置に固定されている。なお、内輪20は、かしめの他、ナットでの締結によって必要な与圧を加えることもある。
また、ハブ輪10のインボード側の先端は円筒状に形成されており、この円筒部(かしめ部)を径方向外方にかしめ拡げることにより、ハブ輪10の小径段部130に嵌合する内輪20が所定位置に固定されている。なお、内輪20は、かしめの他、ナットでの締結によって必要な与圧を加えることもある。
外輪30の内周面には、ハブ輪10及び内輪20の内輪軌道面10a,20aに対応する複列の外輪軌道面30a,30bが形成されている。この外輪30において、ハブ輪10の車輪取付用フランジ120から離間する側の端部には、懸架装置取付用フランジ310が設けられている。
そして、ハブ輪10及び内輪20に形成された内輪軌道面10a,20aと、外輪30に形成された外輪軌道面30a,30bとの間には、複数の転動体40が保持器50を介して転動可能に配設されている。
そして、ハブ輪10及び内輪20に形成された内輪軌道面10a,20aと、外輪30に形成された外輪軌道面30a,30bとの間には、複数の転動体40が保持器50を介して転動可能に配設されている。
なお、図6においては、転動体40として玉を用いた場合について説明しているが、重量の嵩む車輪支持用転がり軸受ユニットの場合には、転動体40としてテーパころを使用する場合もある。
上記構成の車輪支持用転がり軸受ユニットを自動車に組み付けるには、非回転側である外輪30の懸架装置取付用フランジ310を図示しない懸架装置に固定し、回転側であるハブ輪10の車輪取付用フランジ120に、ハブボルト60を介して、図示しないブレーキロータ及び車輪を固定する。これにより、車輪を懸架装置に対して回転自在に支持することができる。
上記構成の車輪支持用転がり軸受ユニットを自動車に組み付けるには、非回転側である外輪30の懸架装置取付用フランジ310を図示しない懸架装置に固定し、回転側であるハブ輪10の車輪取付用フランジ120に、ハブボルト60を介して、図示しないブレーキロータ及び車輪を固定する。これにより、車輪を懸架装置に対して回転自在に支持することができる。
このような車輪支持用転がり軸受ユニットにおいては、転がり疲れ寿命,曲げ疲れ強度,引っ張り降伏強度,耐摩耗性等の強度を確保しつつ、旋削性,穿孔性等の切削性や、内輪20を固定する際のかしめ加工性等の冷間加工性を備える必要がある。
このため、ハブ輪10及び外輪30は、S55C等の機械構造用炭素鋼を熱間鍛造・放冷した後に旋削等により所定形状に加工されるとともに、ハブ輪10の車輪取付用フランジ120のインボード側の付け根部から内輪軌道面10a,20aを経て小径段部130に至るまでの領域には、高周波焼入れが施され、表面硬さがHRC58以上の入れ硬化層70を形成することが一般的に行われている。
このため、ハブ輪10及び外輪30は、S55C等の機械構造用炭素鋼を熱間鍛造・放冷した後に旋削等により所定形状に加工されるとともに、ハブ輪10の車輪取付用フランジ120のインボード側の付け根部から内輪軌道面10a,20aを経て小径段部130に至るまでの領域には、高周波焼入れが施され、表面硬さがHRC58以上の入れ硬化層70を形成することが一般的に行われている。
ところで、回転側のハブ輪10に形成された車輪取付用フランジ120は、ブレーキロータ等の制動用回転体や車輪を取付るための基準面となる。しかしながら、近年、軽量化を目的として車輪取付用フランジ120の薄肉化が進むにつれて、ハブボルト60で締結する際に加わるトルクにより、ハブボルト60のボルト用穴の周囲に、車輪取付用フランジ120をなす鋼の降伏強度以上の応力が発生し、基準面となるフランジ面にミクロンオーダーの塑性変形が生じる場合がある。フランジ面に塑性変形が生じると、ハブ輪10の回転軸に対して車輪取付用フランジ120が直角に保持されなくなり、車輪取付用フランジ120の面振れが発生するため、自動車の制動時に不快な騒音を伴う振動(ジャダー)の発生が誘発される。
よって、近年、車輪取付用フランジ120には、上述した薄肉化に加えて、ハブ輪10及び外輪30のそれぞれに対して、数10ミクロン程度或いは10ミクロン以内に面振れを制御することが要求されてきている。
このような車輪取付用フランジ120の面振れは、上述したように、ハブボルト60の締結時におけるフランジ面の塑性変形に加えて、切削時の加工精度により生じることが知られている。
このような車輪取付用フランジ120の面振れは、上述したように、ハブボルト60の締結時におけるフランジ面の塑性変形に加えて、切削時の加工精度により生じることが知られている。
ここで、車輪取付用フランジ120の薄肉化を実現しつつ、フランジ面に塑性変形を生じ難くするための手段として、素材をなす鋼中のC含有率を高くしたり、強度向上元素であるSi,Mn,Vを添加することにより、車輪取付用フランジ120をなす鋼の降伏強度を高くする手段が考えられるが、コストの上昇が避けられない。
特許文献1には、低コストでフランジ面の塑性変形を生じ難くするために、車輪取付用フランジのアウトボード側付け根部分(例えば、フランジ面からパイロット部に延びる隅部)に表面硬化層を形成することが提案されている。
特許文献1には、低コストでフランジ面の塑性変形を生じ難くするために、車輪取付用フランジのアウトボード側付け根部分(例えば、フランジ面からパイロット部に延びる隅部)に表面硬化層を形成することが提案されている。
また、特許文献2及び特許文献3には、切削時の加工精度を向上させるために、ハブ輪及び外輪を冷間鍛造により成形することが提案されている。
特開2002−87008号公報
特開平7−317777号公報
特開2003−25803号公報
しかしながら、上述した特許文献1に記載の手段では、表面硬化層を形成する際の熱処理の条件によっては、フランジ面に塑性変形が生じるという不具合がある。
また、上述した特許文献2及び特許文献3に記載の手段では、冷間鍛造時の成形量の大きな部分に割れが生じて十分な強度が得られないおそれがある。また、ハブ輪及び外輪の全面を冷間鍛造で成形することで、最終的に完成するユニットが現行のユニット形状と異なってしまい、現行形状のユニットの代換品として使用できないという不具合がある。
そこで、本発明は、このような不具合を解消するためになされたものであり、フランジの薄肉化を実現しつつフランジの面振れを抑制でき、且つ、現行形状のユニットの代換品としても使用可能な車輪支持用転がり軸受ユニットを低コストで提供することを課題としている。
また、上述した特許文献2及び特許文献3に記載の手段では、冷間鍛造時の成形量の大きな部分に割れが生じて十分な強度が得られないおそれがある。また、ハブ輪及び外輪の全面を冷間鍛造で成形することで、最終的に完成するユニットが現行のユニット形状と異なってしまい、現行形状のユニットの代換品として使用できないという不具合がある。
そこで、本発明は、このような不具合を解消するためになされたものであり、フランジの薄肉化を実現しつつフランジの面振れを抑制でき、且つ、現行形状のユニットの代換品としても使用可能な車輪支持用転がり軸受ユニットを低コストで提供することを課題としている。
このような課題を解決するために、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットは、外周面に内輪軌道面が形成されたハブ輪と、このハブ輪の端部に外嵌され且つその外周面に内輪軌道面が形成された内輪と、前記ハブ輪の内輪軌道面及び前記内輪の内輪軌道面に対応する複列の外輪軌道面が形成された外輪と、前記内輪軌道面及び前記外輪軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備え、前記ハブ輪及び前記外輪のうち回転側となる軌道輪の外周面にはフランジが形成され、このフランジの側面に制動用回転体と車輪とが固定された状態で使用される車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、少なくとも前記回転側となる軌道輪は、C含有率が0.45質量%以上0.60質量%以下、Si含有率が0.20質量%以上1.5質量%以下、Mn含有率が0.60質量%以上1.2質量%以下、Cr含有率が0.03質量%以上0.8質量%以下の合金鋼からなる素材に対して熱間加工により所定形状に成形が施された後、さらに前記フランジに対して冷間加工による成形が施され、その後焼入れ処理及び焼戻し処理が施されて得られ、前記フランジは、オーステナイト結晶粒の長軸の短軸に対する比が2以上20以下となっていることを特徴とするものである。
なお、本発明において「オーステナイト結晶粒」とは、初析フェライトに囲まれたパーライトの結晶粒の平均値を指す。このオーステナイト結晶粒は、フランジの表面又は断面を腐食させることで現出する。
なお、本発明において「オーステナイト結晶粒」とは、初析フェライトに囲まれたパーライトの結晶粒の平均値を指す。このオーステナイト結晶粒は、フランジの表面又は断面を腐食させることで現出する。
以下、本発明に係る各数値限定の理由について詳細に説明する。
〔C含有率:0.45質量%以上0.60質量%以下〕
C(炭素)は、鋼に必要な強度と寿命を付与する作用を有する。この作用を得るために、C含有率は0.45質量%以上とする。
一方、C含有率が多過ぎると、冷間加工時の変形抵抗が大きくなり、変形に伴う割れ発生確率が高くなる。よって、C含有率は0.60質量%以下とする。
〔C含有率:0.45質量%以上0.60質量%以下〕
C(炭素)は、鋼に必要な強度と寿命を付与する作用を有する。この作用を得るために、C含有率は0.45質量%以上とする。
一方、C含有率が多過ぎると、冷間加工時の変形抵抗が大きくなり、変形に伴う割れ発生確率が高くなる。よって、C含有率は0.60質量%以下とする。
〔Si含有率:0.20質量%以上1.5質量%以下〕
Si(ケイ素)は、製鋼時に脱酸剤としての作用を有するとともに、転がり疲れ寿命を向上させる作用を有する。これらの作用を得るために、Si含有率は0.20質量%以上とする。
一方、Si含有率が多過ぎると、冷間加工時の変形抵抗が大きくなり、変形に伴う割れ発生確率が高くなる。よって、Si含有率は1.5質量%以下とする。
Si(ケイ素)は、製鋼時に脱酸剤としての作用を有するとともに、転がり疲れ寿命を向上させる作用を有する。これらの作用を得るために、Si含有率は0.20質量%以上とする。
一方、Si含有率が多過ぎると、冷間加工時の変形抵抗が大きくなり、変形に伴う割れ発生確率が高くなる。よって、Si含有率は1.5質量%以下とする。
〔Mn含有率:0.60質量%以上1.2質量%以下〕
Mn(マンガン)は、Siと同様に、製鋼時に脱酸剤としての作用を有する他、焼入れ性を向上させる作用を有する。これらの作用を得るために、Mn含有率は0.60質量%以上とする。
一方、Mn含有率が多過ぎると、冷間加工時の変形抵抗が大きくなり、変形に伴う割れ発生確率が高くなる。よって、Mn含有率は1.2質量%以下とする。
Mn(マンガン)は、Siと同様に、製鋼時に脱酸剤としての作用を有する他、焼入れ性を向上させる作用を有する。これらの作用を得るために、Mn含有率は0.60質量%以上とする。
一方、Mn含有率が多過ぎると、冷間加工時の変形抵抗が大きくなり、変形に伴う割れ発生確率が高くなる。よって、Mn含有率は1.2質量%以下とする。
〔Cr含有率:0.03質量%以上0.8質量%以下〕
Cr(クロム)は、焼入れ性を向上させる作用を有する。この作用を得るために、Cr含有率は0.03質量%以上とする。
一方、Cr含有率が多過ぎると、短時間の加熱処理で行われる高周波焼入れ処理を施すことが難しくなる。よって、Cr含有率は0.8質量%以下とする。
Cr(クロム)は、焼入れ性を向上させる作用を有する。この作用を得るために、Cr含有率は0.03質量%以上とする。
一方、Cr含有率が多過ぎると、短時間の加熱処理で行われる高周波焼入れ処理を施すことが難しくなる。よって、Cr含有率は0.8質量%以下とする。
〔鋼のその他の構成成分について〕
本発明で使用する鋼は、上述した必須成分(C,Si,Mn,Cr)以外は実質的にFe(鉄)からなるが、不可避不純物として、S(硫黄),P(リン),Al(アルミニウム),Ti(チタン),O(酸素)等がコストの著しい上昇を招かない範囲で含有されていてもよい。
そして、上述した特定の鋼からなる素材に対して熱間加工により所定形状に粗成形を施した後、さらにフランジに対して以下に示す冷間加工による成形を施し、その後焼入れ処理及び焼戻し処理を施すことで、フランジのオーステナイト結晶粒の長軸の短軸に対する比(以下、「長軸/短軸比」と記す。)を特定する。
本発明で使用する鋼は、上述した必須成分(C,Si,Mn,Cr)以外は実質的にFe(鉄)からなるが、不可避不純物として、S(硫黄),P(リン),Al(アルミニウム),Ti(チタン),O(酸素)等がコストの著しい上昇を招かない範囲で含有されていてもよい。
そして、上述した特定の鋼からなる素材に対して熱間加工により所定形状に粗成形を施した後、さらにフランジに対して以下に示す冷間加工による成形を施し、その後焼入れ処理及び焼戻し処理を施すことで、フランジのオーステナイト結晶粒の長軸の短軸に対する比(以下、「長軸/短軸比」と記す。)を特定する。
〔冷間加工について〕
冷間加工の種類としては、例えば、冷間鍛造や冷間ローリングが挙げられる。ここで、冷間加工の処理温度が高くなり過ぎると、転位の回復が生じて冷間加工で付与した強度が再び低下することになる。よって、冷間加工は、400℃以下の温度で行うことが好ましい。また、歪み時効硬化を得るために、冷間加工を施した後に、さらに200℃程度まで加熱することが好ましい。さらに、加工効率等を考慮して、フランジに加えて、ハブ輪のパイロット部に同時に冷間加工による成形を行うことが好ましい。
冷間加工の種類としては、例えば、冷間鍛造や冷間ローリングが挙げられる。ここで、冷間加工の処理温度が高くなり過ぎると、転位の回復が生じて冷間加工で付与した強度が再び低下することになる。よって、冷間加工は、400℃以下の温度で行うことが好ましい。また、歪み時効硬化を得るために、冷間加工を施した後に、さらに200℃程度まで加熱することが好ましい。さらに、加工効率等を考慮して、フランジに加えて、ハブ輪のパイロット部に同時に冷間加工による成形を行うことが好ましい。
〔オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比:2以上20以下〕
フェライト/パーライト組織を有する炭素鋼に対して冷間加工を施すと、炭素鋼の結晶粒が変形して、オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比が変化する。通常の熱間加工(例えば、熱間鍛造や熱間ローリング)を施した後に放冷した場合には、オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比が1となるが、結晶粒が変形して上述した長軸/短軸比が大きくなるほど強度が向上する。本発明では、車輪支持用転がり軸受ユニットのフランジとして必要な強度(転がり疲れ寿命や変形抵抗)を得るために、フランジをなす鋼のオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比を2以上とする。
フェライト/パーライト組織を有する炭素鋼に対して冷間加工を施すと、炭素鋼の結晶粒が変形して、オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比が変化する。通常の熱間加工(例えば、熱間鍛造や熱間ローリング)を施した後に放冷した場合には、オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比が1となるが、結晶粒が変形して上述した長軸/短軸比が大きくなるほど強度が向上する。本発明では、車輪支持用転がり軸受ユニットのフランジとして必要な強度(転がり疲れ寿命や変形抵抗)を得るために、フランジをなす鋼のオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比を2以上とする。
一方、オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比が大きくなり過ぎると、素材をなす鋼の伸び限界値を超えるおそれがあるとともに、冷間加工に伴う割れ発生確率が高くなる。よって、フランジをなす鋼のオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比は20以下とする。なお、加工率の増加とともに加工に対する変形抵抗は大きくなり、冷間加工に伴う割れ発生確率が増加するため、フランジをなす鋼のオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比は2以上10以下とすることが好ましい。
本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、ハブ輪及び外輪のうち回転側となる軌道輪を、特定の鋼に対して熱間加工により所定形状に成形した後、この軌道輪の外周面に形成されるフランジに対してさらに冷間加工による成形を施し、その後焼入れ処理及び焼戻し処理を施すことで、フランジをなす鋼のオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比を特定したことにより、フランジの塑性変形を抑制し、且つ、フランジの加工精度が向上するため、フランジの面振れを防止できる。
また、軌道輪を特定の合金鋼から形成したことにより、車輪支持用転がり軸受ユニットには、転がり疲れ寿命,曲げ疲れ強度,引っ張り降伏強度,耐摩耗性等の強度も付与できる。
さらに、軌道輪全体ではなく、特にフランジの成形を冷間加工で行っているため、フランジの切削性を向上できるとともに、車輪支持用転がり軸受ユニット全体の形状を現行形状に維持できる。
すなわち、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、フランジの薄肉化を実現しつつフランジの面振れを抑制でき、且つ、現行形状のユニットの代換品として使用可能な車輪支持用転がり軸受ユニットを低コストで得ることができる。
さらに、軌道輪全体ではなく、特にフランジの成形を冷間加工で行っているため、フランジの切削性を向上できるとともに、車輪支持用転がり軸受ユニット全体の形状を現行形状に維持できる。
すなわち、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットによれば、フランジの薄肉化を実現しつつフランジの面振れを抑制でき、且つ、現行形状のユニットの代換品として使用可能な車輪支持用転がり軸受ユニットを低コストで得ることができる。
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの一例を示す断面図である。
この車輪支持用転がり軸受ユニットは、図1に示すように、ハブ輪(回転側の軌道輪)1と、内輪2と、外輪3と、複数の転動体4と、から構成されている。
ハブ輪1のアウトボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向外側の端部であり、図1では左端部を指す)には、パイロット部11と車輪取付用フランジ12が設けられている。この車輪取付用フランジ12は、ハブ輪1の外周面に設けられており、その側面には、図示しない車輪やブレーキロータ(制動用回転体)を取付るためのハブボルト6が周方向に略等間隔で複数設けられている。そして、このハブボルト6によって、車輪取付用フランジ12のアウトボード側の側面に、車輪やブレーキロータが取り付けられる。
図1は、本発明に係る車輪支持用転がり軸受ユニットの一例を示す断面図である。
この車輪支持用転がり軸受ユニットは、図1に示すように、ハブ輪(回転側の軌道輪)1と、内輪2と、外輪3と、複数の転動体4と、から構成されている。
ハブ輪1のアウトボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向外側の端部であり、図1では左端部を指す)には、パイロット部11と車輪取付用フランジ12が設けられている。この車輪取付用フランジ12は、ハブ輪1の外周面に設けられており、その側面には、図示しない車輪やブレーキロータ(制動用回転体)を取付るためのハブボルト6が周方向に略等間隔で複数設けられている。そして、このハブボルト6によって、車輪取付用フランジ12のアウトボード側の側面に、車輪やブレーキロータが取り付けられる。
一方、ハブ輪1のインボード側(自動車への組み付け状態で車幅方向内側の端部であり、図1では右端部を指す)には、小径段部13が形成されている。この小径段部13には、内輪2が嵌合しており、この内輪2の外周面とハブ輪1の軸方向の中間部外周面には、それぞれ内輪軌道面1a,2aが形成されている。また、ハブ輪1のインボード側の先端は円筒状に形成されており、この円筒部を径方向外方にかしめ拡げることにより、ハブ輪1の小径段部13に嵌合する内輪2が所定位置に固定されている。
外輪3の内周面には、ハブ輪1及び内輪2に形成された内輪軌道面1a,2aに対応する外輪軌道面3a,3bが形成されている。また、ハブ輪1の車輪取付用フランジ11から離間する側の外輪3の端部には、懸架装置取付用フランジ31が設けられている。
そして、ハブ輪1及び内輪2に形成された内輪軌道面1a,2aと、外輪3に形成された複列の外輪軌道面3a,3bとの間には、複数の転動体4が保持器5を介して転動可能に配設されている。
そして、ハブ輪1及び内輪2に形成された内輪軌道面1a,2aと、外輪3に形成された複列の外輪軌道面3a,3bとの間には、複数の転動体4が保持器5を介して転動可能に配設されている。
本実施形態では、ハブ輪1及び外輪3を、表1に示す各組成の鋼からなる素材に対して、1100〜1200℃の熱間鍛造(熱間加工)にて粗成形した後、ハブ輪1のアウトボード側に位置するパイロット部11と車輪取付用フランジ12に対して、表2に示す各温度で冷間鍛造(冷間加工)して成形を行った。そして、ハブ輪1及び外輪3の各軌道面1a,3aに対して、1000℃で3秒間保持することによる高周波焼入れを行った後、160〜180℃で2時間保持することによる焼戻しを行い、さらに最終研削仕上げを行った。なお、表2に示すNo.28では、表1に示す組成の鋼からなる素材に対して、500℃の温間鍛造(温間加工)にて成形した後放冷し、さらに切削加工を行うことで仕上げた。
このようにして得られたハブ輪1の車輪支持用フランジ12において、オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比の測定と、フランジ面振れによる変形抵抗試験と、ドリル穿孔試験とを、以下に示すようにして行った。
〔オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比の測定について〕
まず、車輪取付用フランジ12をハブボルト6のPCD(ピッチ円直径)位置で切り出して、その断面に鏡面仕上げを施した。次に、鏡面仕上げが施された断面を3%のピクリン酸アルコール溶液で腐食させた。そして、腐食後の断面を、走査型電子顕微鏡で観察し、検査対象として5mm2 の範囲に存在するオーステナイト結晶粒の長軸と短軸の平均値を測定し、その長軸/短軸比を算出した。
〔オーステナイト結晶粒の長軸/短軸比の測定について〕
まず、車輪取付用フランジ12をハブボルト6のPCD(ピッチ円直径)位置で切り出して、その断面に鏡面仕上げを施した。次に、鏡面仕上げが施された断面を3%のピクリン酸アルコール溶液で腐食させた。そして、腐食後の断面を、走査型電子顕微鏡で観察し、検査対象として5mm2 の範囲に存在するオーステナイト結晶粒の長軸と短軸の平均値を測定し、その長軸/短軸比を算出した。
〔変形抵抗試験について〕
車輪支持用フランジ12のフランジ面振れを検証するために、ハブボルト6の締結時に加わるトルクによるフランジ面の変形抵抗値を測定する変形抵抗試験を行った。具体的にはまず、車輪取付け用フランジ12に、ハブボルト6を介してハブ輪1のみを、トルク120N・mで締結した。その後、ハブボルト6を取りはずして、ハブボルト6のボルト孔のPCD位置においてフランジ面の変形抵抗値を測定した。そして、その最大変位値と最小変位値の差を最大面振れ量とし、その逆数を変形抵抗値として定義した。この結果は、No.28の変形抵抗値を1.0とした時の比として、表2に併せて示した。
車輪支持用フランジ12のフランジ面振れを検証するために、ハブボルト6の締結時に加わるトルクによるフランジ面の変形抵抗値を測定する変形抵抗試験を行った。具体的にはまず、車輪取付け用フランジ12に、ハブボルト6を介してハブ輪1のみを、トルク120N・mで締結した。その後、ハブボルト6を取りはずして、ハブボルト6のボルト孔のPCD位置においてフランジ面の変形抵抗値を測定した。そして、その最大変位値と最小変位値の差を最大面振れ量とし、その逆数を変形抵抗値として定義した。この結果は、No.28の変形抵抗値を1.0とした時の比として、表2に併せて示した。
〔ドリル穿孔試験について〕
車輪支持用フランジ12の切削性を検証するために、車輪支持用フランジ12のボルト孔を加工する際の工具の寿命を測定するドリル穿孔試験を行った。具体的には、工具として直径4mmの超硬ドリルを用いて、回転数:1500min-1、送り量:0.1mm/rev、穴あけ深さ:10mm、無潤滑条件下で車輪支持用フランジ12へのボルト孔の加工を工具に破損が生じるまで行った。そして、破損が生じるまでの時間を工具寿命として定義した。この結果は、No.28の工具寿命よりも長かった場合には「○」、短かった場合には「×」として、表2に併せて示した。
次に、上述のようにして得られたハブ輪1及び外輪3と、その他の部品(通常品)とを用いて車輪支持用転がり軸受ユニットを完成させた。
そして、完成後の車輪支持用転がり軸受ユニットに対して、曲げ疲れ寿命試験と転がり疲れ寿命試験とを、それぞれ以下のようにして行った。
車輪支持用フランジ12の切削性を検証するために、車輪支持用フランジ12のボルト孔を加工する際の工具の寿命を測定するドリル穿孔試験を行った。具体的には、工具として直径4mmの超硬ドリルを用いて、回転数:1500min-1、送り量:0.1mm/rev、穴あけ深さ:10mm、無潤滑条件下で車輪支持用フランジ12へのボルト孔の加工を工具に破損が生じるまで行った。そして、破損が生じるまでの時間を工具寿命として定義した。この結果は、No.28の工具寿命よりも長かった場合には「○」、短かった場合には「×」として、表2に併せて示した。
次に、上述のようにして得られたハブ輪1及び外輪3と、その他の部品(通常品)とを用いて車輪支持用転がり軸受ユニットを完成させた。
そして、完成後の車輪支持用転がり軸受ユニットに対して、曲げ疲れ寿命試験と転がり疲れ寿命試験とを、それぞれ以下のようにして行った。
〔曲げ疲れ寿命試験について〕
車輪取付け用フランジ12にハブボルト6を介して車輪を固定し、アウトボード側から車輪に対して0.9G相当の旋回荷重(図1に示すL1)を付与した状態で、100時間を上限として、車輪取付用フランジ12に疲労破壊が生じるまで車輪を回転させた。そして、疲労破壊が生じるまでの時間を曲げ疲れ寿命として定義した。この結果は、No.28の曲げ疲れ寿命を1.0とした時の比として、表2に併せて示した。
車輪取付け用フランジ12にハブボルト6を介して車輪を固定し、アウトボード側から車輪に対して0.9G相当の旋回荷重(図1に示すL1)を付与した状態で、100時間を上限として、車輪取付用フランジ12に疲労破壊が生じるまで車輪を回転させた。そして、疲労破壊が生じるまでの時間を曲げ疲れ寿命として定義した。この結果は、No.28の曲げ疲れ寿命を1.0とした時の比として、表2に併せて示した。
〔転がり疲れ寿命試験について〕
車輪支持用転がり軸受ユニットの転がり面1a,2a,3a,3bに、4000Nのラジアル荷重(図1に示すL2)を付与した状態で、100時間を上限として、ハブ輪1又は外輪3に破損が生じるまで車輪支持用転がり軸受ユニットの運転を行った。そして、破損が生じるまでの時間を転がり疲れ寿命として定義した。この結果は、No.28の転がり疲れ寿命よりも長かったものを「○」、短かったものを「×」として、表2に併せて示した。
車輪支持用転がり軸受ユニットの転がり面1a,2a,3a,3bに、4000Nのラジアル荷重(図1に示すL2)を付与した状態で、100時間を上限として、ハブ輪1又は外輪3に破損が生じるまで車輪支持用転がり軸受ユニットの運転を行った。そして、破損が生じるまでの時間を転がり疲れ寿命として定義した。この結果は、No.28の転がり疲れ寿命よりも長かったものを「○」、短かったものを「×」として、表2に併せて示した。
表2に示すように、本発明例であるNo.1〜No.27では、比較例であるNo.28〜No.37と比べて、十分な変形抵抗性,ドリル穿孔性,曲げ疲れ寿命,転がり疲れ寿命を全て備えていることが分かる。つまり、No.1〜No.27では、ドリル穿孔性および転がり疲れ寿命がいずれもNo.28よりも良好であり、変形抵抗性及び曲げ疲れ寿命がいずれもNo.28の1.0倍以上である。
特に、車輪取付用フランジ12に対する冷間鍛造の加工温度を400℃以下で行ったNo.1〜No.26では、加工温度を400℃超過で行ったNo.27と比べて、変形抵抗性及び曲げ疲れ寿命がいずれも優れている。
また、車輪取付用フランジ12に対する冷間鍛造を行った後、さらに150℃〜250℃程度で加熱処理を行うことにより、変形抵抗性がNo.28の3.8倍以上となっていることが分かる。
また、車輪取付用フランジ12に対する冷間鍛造を行った後、さらに150℃〜250℃程度で加熱処理を行うことにより、変形抵抗性がNo.28の3.8倍以上となっていることが分かる。
一方、ハブ輪1を本発明の鋼種S−1で構成したが、車輪取付用フランジ12のオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比が本発明の範囲超過のNo.29では、同一の鋼種S−1で構成し、且つ、上述したオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比が本発明の範囲内のNo.1〜No.27と比べて、曲げ疲れ寿命が短くなっていた。
さらに、ハブ輪1を、C含有率,Si含有率,Mn含有率,Cr含有率がそれぞれ本発明の範囲未満の鋼種H−1,3,5,7で構成したNo.30,32,34,36では、いずれも転がり疲れ寿命がNo.28よりも短くなっていた。
さらに、ハブ輪1を、C含有率,Si含有率,Mn含有率,Cr含有率がそれぞれ本発明の範囲未満の鋼種H−1,3,5,7で構成したNo.30,32,34,36では、いずれも転がり疲れ寿命がNo.28よりも短くなっていた。
さらに、ハブ輪1を、C含有率,Si含有率,Mn含有率,Cr含有率がそれぞれ本発明の範囲超過の鋼種H−2,4,6,8で構成したNo.31,33,35,37では、いずれもドリル穿孔性がNo.28よりも不良であり、曲げ疲れ寿命がNo.28の0.1倍であった。
表2に示すNo.6〜No.12,No.28〜No.29の結果を用いて、車輪取付用フランジのオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比と、フランジ面の変形抵抗性との関係を示す図2のグラフを作成した。
表2に示すNo.6〜No.12,No.28〜No.29の結果を用いて、車輪取付用フランジのオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比と、フランジ面の変形抵抗性との関係を示す図2のグラフを作成した。
図2に示すように、車輪取付用フランジのオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比を2以上とすることにより、フランジ面に優れた変形抵抗性が得られ、No.28の1.6倍以上となっていることが分かる。
また、表2に示すNo.6〜No.12,No.28〜No.29の結果を用いて、車輪取付用フランジのオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比と、曲げ疲れ寿命との関係を示す図3のグラフを作成した。
また、表2に示すNo.6〜No.12,No.28〜No.29の結果を用いて、車輪取付用フランジのオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比と、曲げ疲れ寿命との関係を示す図3のグラフを作成した。
図3に示すように、車輪取付用フランジのオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比を2以上とすることにより、優れた曲げ疲れ寿命が得られ、No.28の2.0倍以上となっていることが分かる。
さらに、表2に示すNo.1〜No.5,No.28の結果を用いて、車輪取付用フランジに対する冷間加工温度と、フランジ面の変形抵抗性との関係を示す図4のグラフを作成した。
さらに、表2に示すNo.1〜No.5,No.28の結果を用いて、車輪取付用フランジに対する冷間加工温度と、フランジ面の変形抵抗性との関係を示す図4のグラフを作成した。
図4に示すように、冷間加工温度が400℃を超えると、フランジ面の変形抵抗性が劣り、No.28の1.6倍未満となっていることが分かる。
さらに、表2に示すNo.1〜No.5,No.28の結果を用いて、車輪取付用フランジに対する冷間加工温度と、曲げ疲れ寿命との関係を示す図5のグラフを作成した。
図5に示すように、冷間加工温度が400℃を超えると、曲げ疲れ寿命が短くなり、No.28の3.0倍未満となっていることが分かる。
さらに、表2に示すNo.1〜No.5,No.28の結果を用いて、車輪取付用フランジに対する冷間加工温度と、曲げ疲れ寿命との関係を示す図5のグラフを作成した。
図5に示すように、冷間加工温度が400℃を超えると、曲げ疲れ寿命が短くなり、No.28の3.0倍未満となっていることが分かる。
以上の結果より、ハブ輪1を本発明の範囲内の鋼で構成し、且つ、車輪取付用フランジ12のオーステナイト結晶粒の長軸/短軸比を2以上20以下とすることにより、転がり疲れ寿命や曲げ疲れ寿命等の強度や、ドリル穿孔性等の切削性を十分に備えつつ、フランジ面の変形抵抗性を十分に備えることができる。よって、駆動時に必要な強度を備えつつ、制動時にジャダーの発生し難い車輪支持用転がり軸受ユニットが得られる。
1 ハブ輪
2 内輪
3 外輪
4 玉(転動体)
5 保持器
6 ハブボルト
11 パイロット部
12 車輪取付用フランジ
31 懸架装置取付用フランジ
2 内輪
3 外輪
4 玉(転動体)
5 保持器
6 ハブボルト
11 パイロット部
12 車輪取付用フランジ
31 懸架装置取付用フランジ
Claims (2)
- 外周面に内輪軌道面が形成されたハブ輪と、このハブ輪の端部に外嵌され且つその外周面に内輪軌道面が形成された内輪と、前記ハブ輪の内輪軌道面及び前記内輪の内輪軌道面に対応する複列の外輪軌道面が形成された外輪と、前記内輪軌道面及び前記外輪軌道面間に転動自在に配設された複数の転動体と、を備え、前記ハブ輪及び前記外輪のうち回転側となる軌道輪の外周面にはフランジが形成され、このフランジの側面に制動用回転体と車輪とが固定された状態で使用される車輪支持用転がり軸受ユニットにおいて、
少なくとも前記回転側となる軌道輪は、C含有率が0.45質量%以上0.60質量%以下、Si含有率が0.20質量%以上1.5質量%以下、Mn含有率が0.60質量%以上1.2質量%以下、Cr含有率が0.03質量%以上0.8質量%以下の鋼からなる素材に対して熱間加工により所定形状に成形が施された後、さらに前記フランジに対して冷間加工による成形が施され、その後焼入れ処理及び焼戻し処理が施されて得られ、
前記フランジは、オーステナイト結晶粒の長軸の短軸に対する比が2以上20以下となっていることを特徴とする車輪支持用転がり軸受ユニット。 - 前記冷間加工は、400℃以下の条件で施されることを特徴とする請求項1に記載の車輪支持用転がり軸受ユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2004333586A JP2006142916A (ja) | 2004-11-17 | 2004-11-17 | 車輪支持用転がり軸受ユニット |
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-
2004
- 2004-11-17 JP JP2004333586A patent/JP2006142916A/ja active Pending
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