JPH0533059A - 薄肉リングの外径拘束焼入れ装置 - Google Patents

薄肉リングの外径拘束焼入れ装置

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JPH0533059A
JPH0533059A JP21601991A JP21601991A JPH0533059A JP H0533059 A JPH0533059 A JP H0533059A JP 21601991 A JP21601991 A JP 21601991A JP 21601991 A JP21601991 A JP 21601991A JP H0533059 A JPH0533059 A JP H0533059A
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JP
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ring
thin
collet
outer diameter
walled
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JP21601991A
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English (en)
Inventor
Yasunori Terada
保徳 寺田
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NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼製の薄肉リングの焼入れにおいては、加熱
急冷による膨張・収縮とマテンサイト変態による膨張と
によって、焼入れリングは変形して、真円度の悪化や幅
反りが生じ、後工程での精密研摩での工数負担が増加す
る。焼入れ変形を防止するのに、従来コレットチャック
に挟接して外径を拘束する焼入れ装置があったが、コレ
ット内面に薄肉リングを係止する爪体を取着していたた
め、幅反りに対しては十分な拘束を発現し得なかった。 【構成】 コレットチャックのコレット内空部内に、平
端面もしくは平段面を有するリング支持部材を昇降可能
に内装し、当該平端面等に複数の薄肉リングを積重ねて
載置を可能にした外径拘束焼入れ装置であって、コレッ
ト内面でリング外径を拘束すると同時に、当該端面にリ
ングの端面を当圧して幅方向の変形を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄肉リングの焼入れ硬
化の際に発生する変形歪を矯正しながら焼入れを行う薄
肉リングの焼入れ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】転がり軸受に使用される鋼製の外輪・内
輪は、熱処理により表面を高硬度として耐摩耗性を付与
し、表面を精密研磨して、寸法精度の高い平滑面とし
て、軸受の回転精度と転がり寿命を保障している。この
ために、一般に、粗加工により研磨代を残して所望の形
状に成形した外輪等を一体に焼入れ焼戻しを行い、ある
いは浸炭焼入れや高周波焼入れによって、少なくとも表
面を硬化させてのち、精密研磨を行う方法が採用されて
いる。特に、外輪や内輪が、外径に対して肉厚が極めて
薄い鋼製薄肉リングである場合には、焼入れ焼戻しによ
って均質な硬化体とするのが容易であるが、薄肉である
ために焼入れ処理中に焼入れ歪による変形を生じやす
く、形状寸法に狂いが生じて真円度が悪化し、また幅方
向の反りも生じる。そこで、精密研磨においては、正規
の外径及び内径に加工して、真円度を高めるが、この際
変形が大きいと、削り代を多く必要とし、研磨工程に多
大の工数を必要とする。特に焼入れ後の真円度誤差が顕
著である場合には、リング表面に黒皮の削り残りが生じ
て、製品歩留を下げることになる。また、このような肉
厚の薄い鋼製薄肉リングに浸炭焼入れ材を利用する場合
にも浸炭後の焼入れにより、同様の焼入れ歪変形を生じ
る。
【0003】焼入れ歪は、焼入れの際の昇温と急冷によ
る熱的膨張・収縮と、急冷時マルテンサイト変態に起因
する膨張との複合的な変形によるもので、特に薄肉リン
グである場合には、円周方向及び幅方向に不均等に歪が
発生するため、変形は真円度の悪化と幅方向の反りに顕
著に現れる。
【0004】薄肉リングの焼入れによるこのような変形
を防止するため、既に出願人は、高温に加熱された薄肉
リングをその外周面において、コレットチャックのコレ
ット内空面に挾着して拘束することにより、焼入れ過程
の膨張を抑制する外径拘束焼入れ装置を提案した(特公
昭42−15452号、特公昭42−20610号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の外径拘束焼入れ
装置は、コレット内側に取付けた爪によって、リングを
係止支持して、コレットの緊縮によって爪を介してリン
グ外面に均等に加圧しながら急冷させるもので、リング
外面の圧接とリング自体の変態膨張とにより、リング外
径は強固に拘束されるので、外径寸法や真円度の誤差を
減少させるのに有効であった。
【0006】しかしながら、上記外径拘束焼入れ装置
は、コレット内側とリング外面との間にリングを支持す
る爪部を介在させるので、リングの外径は、リング外面
に接する爪の内面形状に大きく依存し、またリングの端
面はコレットに一体に連動する爪部にあらかじめ載置し
ておくから、リング幅方向には拘束力は作用せず、幅反
りの防止には必ずしも有効でない。また、焼入れに際し
て加熱したリングを爪内に手動で装入するため、処理可
能なリングは1個が限度であり、量産性・作業性に欠け
る。
【0007】本発明は、上記従来の焼入れ装置を改良し
て、薄肉リングの一体焼入れや浸炭焼入れの際の焼入れ
歪変形を防止して、量産性と操作性にすぐれたコレット
チャック方式の外径拘束型の焼入れ装置を提供しようと
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のコレットチャッ
クによる鋼製の薄肉リングの外径拘束焼入れ装置は、コ
レットチャックの外包部材のテーパー状内面に摺接嵌合
されたテーパー状外面を有するコレットを当該外包部材
に対して下方に索引することによってコレット中空部が
減径するコレットチャックと、当該コレット内空部に、
その中心軸方向に昇降可能に内装され、かつ上部に平端
面もしくは平段面を有するリング支持部材とから成るも
のであって、当該コレットは、中空部内面がコレット減
径時には、単一のもしくは複数個重積した薄肉リングを
その外径において挾接する高さと内径寸法とを有してお
り、当該リング支持部材の平端面もしくは平段面に載置
した薄肉リングの外径を、当該コレットの下方移動によ
りコレット内空部内面が挟圧して、リング軸の中心方向
に加圧するとともに、当該リングを下方に付勢して平端
面もしくは平段面に当該リング端面を当圧して、焼入れ
の際の薄肉リングの変形を拘束矯正することを特徴とす
るものである。
【0009】また、本発明は、上記の薄肉リング外径拘
束焼入れ装置の上方には、当該薄肉リングを加熱する加
熱手段が設けられて、当該リング支持部材は、当該平端
面もしくは平段面が当該コレット内空部下端と少なくと
も当該加熱手段の加熱部との間を上下移動するように、
昇降手段を具備して成る加熱手段付き薄肉リング外径拘
束焼入れ装置が含まれる。この該加熱手段には、高周波
誘導加熱コイルもしくは加熱部を内空部に有する電熱体
が利用される。
【0010】さらに、上記の薄肉リング外径拘束焼入れ
装置の上方には、当該薄肉リングの内径より小さい外径
を有する高周波誘導コイルもしくは電熱体が当該コレッ
ト内空部に挿脱可能することができるように設けられ
て、加熱手段付き薄肉リング外径拘束焼入れ装置が構成
される。
【0011】特に好ましい加熱手段付き薄肉リング外径
拘束焼入れ装置としては、ターンテーブルと、当該ター
ンテーブル上に固定された上記の薄肉リング外径拘束焼
入れ装置1個もしくは複数個と、当該ターンテーブル上
方に設けられた高周波誘導コイルと、当該薄肉リングを
堆積状態で搬送して、当該リング支持部材に載置し及び
当該リング支持部材から取り出すリング搬送手段と、か
ら成るものであって、当該ターンテーブルの周方向に少
なくとも2箇所の停止位置が設けられて、当該ターンテ
ーブル上の当該コレットチャックが各停止位置を順回す
る際に、薄肉リングを当該リング搬送手段によりコレッ
ト内空部内の当該リング支持部材の当該平端面もしくは
平段面に載置し、当該高周波誘導コイルにより当該薄肉
リングが加熱され、焼入れされ、焼入れされた当該薄肉
リングが当該コレット内から取り出されるようにした連
続式加熱手段付き薄肉リング外径拘束焼入れ装置が利用
される。
【0012】
【実施例】本発明の実施例を、図面に基づいて、以下に
説明する。
【0013】図1の本発明の外径拘束焼入れ装置の断面
図で説明すると、コレットチャック外包部材4には、内
側に上方側に漸拡したテーパー面41が設けられて、こ
のテーパー面41に摺接するテーパー面22を有するコ
レット2が、当該外包部材4に内装されており、当該コ
レット2は、下方に管状に延出されて、コレット支持管
23が設けられている。
【0014】コレット2は、その円周方向に等分に三分
割されており、コレット支持管23を下方に牽引すれ
ば、テーパー面41に沿って、コレット2が下側へ移動
しながら収縮し、そのコレット内面21の内径を減ず
る。その牽引手段は、本実施例ではコレット支持管23
の先端のネジ24に螺合するネジ64を内側に備え、進
退不能に枢支されたかさ歯車6を、これに噛合する他の
かさ歯車61によって、回動させることにより行われ
る。
【0015】当該コレット2の内空部には支柱部33を
備えた円柱状のリング支持部材3が昇降可能に挿入され
ており、その昇降手段は、本実施例では、当該支柱部3
3に螺刻されたネジ部34に螺合するネジを中空部内面
に備えたウォームギャ51をウォーム53の回動により
回動させて行う。
【0016】リング支持部材3の上側には、外径の僅か
に小さい円柱状の頭部35を有し、その境界が平段面3
1を構成しており、薄肉リング1が当該頭部35を通っ
てリング端面が当該段面31に当接するように載置され
る。
【0017】コレット内面21とリング支持部材3との
関係につき、まず、コレット内空部の内面21は、コレ
ットの緊縮時には、減径したコレット内面21の直径
が、焼入れ前の薄肉リング1の外径と一致し、かつ正円
に成形されて、その内面21の高さは、所望数の薄肉リ
ングを積み重ねたときのリングの高さよりにより定めら
れる。リング支持部材3の頭部35の外径は、リング内
径より僅かに小さく、また支持部材3は、その段面31
がコレット内面の下端より僅か上方の位置で、固定され
て下限位置となし、当該段面がコレット内空部の開口部
より突出した位置で上限位置となして、昇降行程が定め
られる。
【0018】焼入れ処理にあっては、まず、薄肉リング
1を適当な加熱炉内に挿入して加熱保持しておき、コレ
ット内空部より上方に当該リング支持部材3を突出さ
せ、所望数の予め焼入れ温度に加熱された当該薄肉リン
グ1を当該頭部35に挿嵌して、当該段面31上に積み
重ね、直ちにリング支持部材3を下降させて所定の下限
位置で停止させると、当該薄肉リング1は弛緩したコレ
ット2の拡大した内空部内に挿入され、次いで上記の牽
引手段により、コレット2を下方へ牽引すると、コレッ
ト2は緊縮してその内径を減じて、薄肉リング1の外径
を挟圧して拘束する。
【0019】なお、当該薄肉リングの外径拘束処理前の
温度は、上述のように、オーステナイト化温度であって
もよいが、後述のように、あらかじめそのオーステナイ
ト化温度から急冷して、その鋼種で定まるマルテンサイ
ト変態開始温度直上の温度に保持しておくとよい。
【0020】加熱された当該リング1が、コレット2内
面21に接触して抜熱冷却され、常温近傍まで冷却され
る。この冷却過程でマルテンサイト変態が終了するが、
変態終了までは、当該薄肉リングは外径が拘束された状
態で維持される。なお、冷却は強制的な冷却法によって
もよいが、この場合には、当該コレット又は外包部材4
の内部に水密的な水冷空所を設けて冷却水により冷却す
る。
【0021】次いで、コレット2を弛緩して、リング支
持部材3を上昇させて、薄肉リングを取り出して次の焼
戻しなどの熱処理工程に移す。
【0022】本装置を浸炭焼入れ材に使用するには、浸
炭のために加熱されている浸炭炉から直接、拡散保持中
の当該薄肉リングを直接取り出して、リング支持部材3
の段面31に載置して、上述の手順により、コレット2
による外径拘束と冷却とをおこなう。
【0023】図2に示す焼入れ装置は、油圧駆動による
コレットの牽引を行う装置であって、コレット支持管2
3は、外包部材4に形成された油圧シリンダー49の内
面に摺動可能に水密嵌合された油圧摺動部材25に螺合
接続されて、油配管471,47に加圧給油することに
より、コレット支持管23が下方に押圧して、コレット
2を牽引して緊縮させる。この実施例においては、リン
グ支持部材3は、その支柱部33が当該外包部材4の下
部の中空部を上下移動自在に摺動するように挿通され
て、その支柱部33の下端は、下方に突出している。ま
た、この焼入れ装置は、装置基体8に載置されている。
【0024】本装置は、加熱と焼入れとを一体的に行う
ことが可能で、その場合には、図3のように、コレット
チャックの直上に高周波誘導コイル7を昇降可能に又は
固定して配置しておき、まず、リング支持部材3の上限
位置で薄肉リング1を平段面31上に積層して、油圧シ
リンダー(不図示)のプランジャー38により、リング
支持部材3の支柱部33を押上げて、高周波コイル7
を、そのコイル内空部をもって当該薄肉リング1層を内
包し、次に、高周波電力によりオーステナィト化温度以
上の、例えば高Cr軸受鋼(SUJ2鋼など)では85
0〜900℃に加熱する。この際、図2中、外包部材4
の下部外周に取着した歯車44を電動機(不図示)によ
り回転させることにより、回止め片37を介してリング
支持部材3及びその段面31に積載した薄肉リング1を
回転させて、薄肉リング1を均一に誘導加熱して、各リ
ング1に温度差の生じないように昇温させる。、次いで
当該薄肉リングの外周面に注水、注油もしくは噴霧し
て、マルテンサイト変態開始温度Ms点直上の温度、例
えばSUJ2鋼などでは、250℃まで急冷させる。
【0025】次いで、当該リング支持部材3を下限位置
まで降下させて、当該薄肉リング1をコレット2の内空
部に収容して、且つリング支持部材3の支柱部33先端
を当該プランジャー38により固定し、上記のようにコ
レット2の内面21をもって、当該リング外径を拘束さ
せて冷却させる。
【0026】コレット2の内面で挟接する前に、低温の
Ms点直上に急冷しておくことは、挟接したコレット2
への熱伝導量が少なくですみ、コレット2自体の熱変
形、歪を防止することができ、ベイナィト恒温変態が生
ずるまでの時間的余裕をもって、コレット2の内面への
挟接作業に移行することができ、さらにコレット内面に
接触による伝熱による冷却速度で十分にマンテンサイト
変態を完了させることができるので好都合である。
【0027】図4は、他の実施例の薄肉リング拘束焼入
れ装置を示すが、コレットチャックは、図3のものと同
じであるが、リング支持部材3は、頭部35を有せず、
先端部の端面31に薄肉リング1を載置するようにして
おり、コレット内面21とリング支持部材3の当該端面
31とによって、リング1を拘束して、冷却焼入れする
ものである。
【0028】本例においては、図4(B)の状態で、リ
ング支持部材は、当該平端面がコレット2の下端近くに
配置されて、停止されており、薄肉リング1を順次、コ
レット2の内空部に装入して平端面上に積重ねられる。
次に高周波コイル7を下降して、当該リング1の積層し
た中空部に挿入して、高周波電力を通電して、リング1
を加熱する。
【0029】リング1が焼入れ温度に達したとき、通電
を停止して、コレット2を緊縮して、コレット内面21
でリング1を挟圧して冷却させる。この際、積層した薄
肉リング1の内面に注水・噴霧して、あるいは強制空冷
して、マルテンサイト変態に要する冷却速度を与えるこ
とができる。他の薄肉リング温度調整としては、リング
1が焼入れ温度に達したとき、通電を停止して、直ちに
薄肉リング1の内面に注水などによりM S点直上まで急
冷した後、コレット内面21でリング1を挟圧して外径
拘束と同時に更に冷却させることもできる。
【0030】以上示した本装置のコレットチャックのコ
レット2は、工具鋼や熱間工具鋼が使用され、リング支
持部材には、熱間工具鋼、特に高速度鋼が好んで使用さ
れる。コレット2及びリング支持部材3には、アルミ
ナ、ジルコニアあるいは炭化硅素などの耐熱衝撃性の良
好なセラミック材料も使用することができる。セラミッ
ク材料で構成すれば、電気抵抗が高いので、高周波誘導
加熱の際に、自ら発熱することがなく、かつ断熱性を示
すので、薄肉リングの加熱・冷却に好都合である。
【0031】加熱手段として本実施例では、高周波コイ
ルによる誘導加熱を示したが、これに代えて、加熱部を
内空部に有する電熱体を利用することができる。この場
合は、外周と上面とを断熱材で被覆保護され、その内側
にニクロム線或いは白金線をコイル状に巻回した中空状
電気炉や焼結発熱体による同様形状のエレマ炉やタンマ
ン炉が利用される。これらの電熱体は常時加熱状態にあ
り、その内空部に上記リング支持部材3に載置した薄肉
リング1を挿入して加熱し、所定の焼入れ温度で、上述
のように、引き下げて外径拘束焼入れを行う。さらに他
の加熱手段には火炎放射やプラスマ加熱も勿論適用する
ことができる。
【0032】次に、本装置により、拘束焼入れした薄肉
リングの試験結果を示す。
【0033】薄肉リングは、製品外径約37.0mm、
肉厚約1.2mmの内周面に転動ボールの転走溝を有す
る形状で、材質SUJ2のボール軸受用外輪である。
【0034】加熱条件は、連続式の高温ガス炉で薄肉リ
ング850℃に約20分加熱してのち、170℃保温の
焼入れ油中に投入して約50秒保持して引上げ、表面温
度250℃にした。直ちにコレットチャックのコレット
内空部に装入して、コレットを緊縮して拘束しながら薄
肉リングを常温まで冷却した。比較例として、250℃
の表面温度の上記薄肉リングを通常の方式で油焼入れを
行った。
【0035】試験結果を表1に示すが、実施例のコレッ
トチャック方式の焼入れ装置により焼入れ後の外径不同
及び真円度の測定値は、加熱前と大差ないところまで改
善されることが判る。
【0036】
【表1】
【0037】図5には、連続式の加熱手段付き焼入れ装
置の斜視図を示すが、図2と図3に示した4個のコレッ
トチャックがターンテーブル81上に同一円周上を4分
割するように配置固定されている。図中の位置Aには、
ターンテーブル81の外側近くに、多数の薄肉リング1
を積載する装入用トレイ14が配置されて、その上方に
は、薄肉リング1の搬送手段15が、装入用トレイ14
上の薄肉リング1を当該コレットチャックのコレット2
の内空部に搬送して装入するように、昇降・移動可能に
設けられている。
【0038】同図中の位置Aからターンテーブル81の
中心に対して1/4回転した位置Bには、ターンテーブ
ル81上方のコレット2中心直上に高周波コイル7が固
定されている。ターンテーブル81下方には、リング支
持部材3の支柱部33を押し上げるプランジャー38が
油圧シリンダー(不図示)に直結して配置されており、
また、コレットチャックの外包部材4を回転させる歯車
44に噛合する歯付きベルト92が一対のプーリー9,
93の間に張設され、プーリー9の軸93をモーター
(不図示)により回転させることにより、リング支持部
材3を回転させる。図示していないが、搬送三ツ爪チャ
ックとリング支持部材3の位相合わせのために、回転の
停止時には、ノッチ等のより定位置停止を行っている。
【0039】位置Bより更に1/4回転した位置Cを経
て、位置Dには、搬出用トレイ13と薄肉リングの搬送
手段151が、位置Aにおけると同様に設けられてい
る。
【0040】本装置の使用に際しては、位置Aで装入用
トレイ14上の薄肉リング1を搬送手段15によりコレ
ット2の内空部のリング支持部材3の頭部35に貫装し
て段面上に載置し、次にターンテーブル81を1/4回
転して、位置Bでリング支持部材3を押し上げて、リン
グ支持部材3上の当該薄肉リング1を当該コイル内空部
に装入して、誘導加熱を行う。所定の焼入れ温度に達す
れば、リング支持部材3を引き下ろしてターンテーブル
81を1/4回転して、位置Cでコレット2を減径して
薄肉リング1の外径を拘束しながら冷却させて焼入れを
行う。次いで、位置Dに回転させて、コレット2の内空
部の焼入れ完了のリング1を搬送手段15により搬出用
トレイ13に搬出して載置しておく。以上の工程を繰り
返して、多数の薄肉リングの加熱焼入れを連続的に効率
良く実施することがでぎる。
【0041】本実施例では、位置A〜Dの4工程による
方法を示したが、加熱と焼入れとを同一位置Bでおこな
ってもよいし、また薄肉リングの装入と搬出を同一位置
A又はDで行ってもよい。本実施例は、リング支持部材
3の段面上の当該薄肉リング1をコレット2より上方に
突出させて、高周波コイル7で加熱する方式のものであ
るが、図4(A)(B)に示した焼入れ装置を使用し
て、コレット2内空部に装入したままの当該薄肉リング
1の内側にコイル7を挿入して、加熱する方式も勿論採
用することができる。また、ターンテーブル81を含む
本装置全体を雰囲気調整可能な容器内に配置して、容器
内部を窒素あるいはアルゴンガスに置換しておけば、加
熱・焼入れ過程での薄肉リングの酸化スケールの付着を
防止することができるので、外径拘束焼入れによる外径
の精度を向上させることができる。また、高周波コイル
7の周辺部のみを雰囲気調整可能な容器により覆い被せ
て、同様に、加熱された当該リング1を非酸化性雰囲気
に調整することも可能である。
【0042】本実施例で使用する搬送手段15,151
には、図6(A)に示すような三つ爪チャックが利用で
きる。チャック本体150は、二次元移動制御のローダ
ー(不図示)より下方に吊設され、当該チャック本体1
50の下側には、3個の帯状小突片16が上下軸方向に
突設され、その帯面がチャック本体150の中心軸を含
んで放射状になるように形成され、その放射方向に3個
の帯状小突片16が移動可能に調整することができる。
そして、各小突片16の下端の外側に爪状小突起17が
横設されている。
【0043】この搬送手段15の形状に対応して、図6
(B)に示すように、リング支持部材3の頭部35に
は、当該小突片16の帯厚みが遊嵌できる間隙を有する
放射状スロット18が設けられて、当該頭部35を分割
しており、そのスロット底19は、当該リング支持部材
3の段面31より少なくとも小突起17の高さ分だけ低
い位置に成形されている。又、このリング支持部材3と
その頭部35と同一形状のリング仮置部材を装入用トレ
イ14上及び搬出用トレイ13状に多数併設しておく。
【0044】この三つ爪チャックにより搬送する場合
は、3個の帯状小突片16を軸芯に向けて収縮させて、
多数の薄肉リング1を積重ねたリング支持部材3の当該
頭部35の各スロット18内に帯状小突片16を挿入し
て爪状小突起17が最下のリングの下端面より下に降下
させ、次いで帯状小突片16を外側へ拡大して引き上げ
ると、3個の帯状小突片16が等がリング1の内側に挿
通されて、当該爪状小突起17が最下のリングの下端面
を係止して、当該リング1を積層状態で引き上げること
ができる。又、この三つ爪チャックで引き上げた当該リ
ング1をリング支持部材や上記リング仮置部材に載置す
るときはこの逆の操作をすれば足りる。
【0045】図6(D)には、図4(A)に示したリン
グ支持部材3の端面31に上記三つ爪チャックを使用し
てリング1を載置する場合には、リング支持部材3の外
周部にスロット状切欠き部18を設けておき、図4
(A)のように当該リング支持部材3をコレット2の内
空部に挿入された状態で、薄肉リング1の載置・引上げ
を行う。
【0046】
【作用及び効果】本発明の薄肉リングの外径拘束焼入れ
装置は、コレットチャックのコレット内空部に平端面も
しくは平段面を有するリング支持部材が昇降可能に内装
されて成るから、まず、複数の薄肉リングを当該平端面
等に積層載置してコレット内空部内に搬入して支持する
ことができ、コレットの緊縮による内面の減径によっ
て、コレット内面が薄肉リングの外径をその中心方向に
均等に挟圧し、同時にコレットの下方牽引により、当該
薄肉リングを下方に付勢して、支持された端面等との間
でリングの端面を強固に拘束するから、焼入れ時の変態
膨張に抗して、薄肉リングの外径と端面とが拘束され、
外径不同を減少させ真円度が高く、かつ幅反りの小さい
焼入れリングが得られる。
【0047】またリング支持部材の昇降により、積重ね
た薄肉リングの搬入、焼入れ、搬送が容易になし得るも
のであり、高周波加熱用コイルをコレットの上部に設
け、又はコレット内空部に挿入可能に設けるので、高周
波加熱と焼入れとを一体的に実施することができ、更に
複数のコレットチャックをターンテーブル上に配置し
て、薄肉リングのリング支持部材への装着、高周波加
熱、焼入れ及びリング支持部材からの焼入れリングの搬
出を自動的に連続して行うことができ、量産性、作業性
にすぐれている。
【図面の簡単な説明】
【図1】コレットチャックを利用した薄肉リング外径拘
束焼入れ装置の断面図。
【図2】油圧駆動による薄肉リング外径拘束焼入れ装置
の図1同様図。
【図3】高周波誘導加熱コイルを具備した薄肉リング外
径拘束焼入れ装置の断面図。
【図4】他の実施例の薄肉リング外径拘束焼入れ装置の
図2同様図(A)と図3同様図(B)。
【図5】コレットチャックをターンテーブル上に配置し
連続式加熱装置つき薄肉リング外径拘束焼入れ装置の斜
視図。
【図6】搬送手段(A)とリング支持部材(B)(C)
(D)の斜視図。
【符号の説明】
1 薄肉リング 2 コレット 21 コレット内面 3 リング支持部材 31 平段面 32 平端面 33 支柱部 4 外包部材 41 テーパー面 7 高周波コイル 8 装置基体 81 ターンテーブル

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コレットチャックによる鋼製薄肉リング
    の外径拘束焼入れ装置において、 コレットチャックの外包部材のテーパー状内面に摺接嵌
    合されたテーパー状外面を有するコレットを当該外包部
    材に対して下方に牽引することによってコレット中空部
    が減径するコレットチャックと、当該コレット内空部に
    その中心軸方向に上昇降可能に設けられ、且つ上部に平
    端面もしくは平段面を有するリング支持部材と、から成
    り、 当該コレットは、中空部内面がコレット減径時には、単
    一のもしくは複数個重積した薄肉リングをその外径にお
    いて挾接する高さと内径寸法とを有し、 当該リング支持部材の平端面もしくは平段面に載置した
    薄肉リングの外径を、当該コレットの下方移動によりコ
    レット内空部内面が挟圧して、リング軸の中心方向に加
    圧するとともに、当該リングを下方に付勢して平端面も
    しくは平段面に当該リング端面を当圧して、焼入れの際
    の薄肉リングの変形を拘束矯正することを特徴とする薄
    肉リング外径拘束焼入れ装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の薄肉リング外径拘束焼入
    れ装置は、その上方には、当該薄肉リングを加熱する加
    熱手段が設けられて、当該リング支持部材は、当該平端
    面もしくは平段面が当該コレット内空部下端と少なくと
    も当該加熱手段の加熱部との間を上下移動するように、
    昇降手段を具備して成る加熱手段付き薄肉リング外径拘
    束焼入れ装置。
  3. 【請求項3】当該加熱手段が高周波誘導加熱コイルもし
    くは加熱部を内空部に有する電熱体である請求項2記載
    の薄肉リング外径拘束焼入れ装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の薄肉リング外径拘束焼入
    れ装置は、その上方には、当該薄肉リングの内径より小
    さい外径を有する高周波誘導コイルもしくは電熱体が当
    該コレット中空部に挿脱可能に設けられて成る加熱手段
    付き薄肉リング外径拘束焼入れ装置。
  5. 【請求項5】 ターンテーブルと、当該ターンテーブル
    上に固定された請求項1記載の薄肉リング外径拘束焼入
    れ装置1個もしくは複数個と、当該ターンテーブル上方
    に設けられた高周波誘導コイルと、当該薄肉リングを堆
    積状態で搬送して、当該リング支持部材に載置し及び当
    該リング支持部材から取り出すリング搬送手段と、から
    成り、 当該ターンテーブルの周方向に少なくとも2箇所の停止
    位置が設けられて、当該ターンテーブル上の当該コレッ
    トチャックが各停止位置を順回する際に、薄肉リングを
    当該リング搬送手段によりコレット内空部内の当該リン
    グ支持部材の当該平端面もしくは平段面に載置し、当該
    高周波誘導コイルにより当該薄肉リングが加熱され、焼
    入れされ、焼入れされた当該薄肉リングが当該コレット
    内から取り出されるようにした連続式加熱手段付き薄肉
    リング外径拘束焼入れ装置。
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