JP3763168B2 - 矯正焼戻し装置及び矯正焼戻し方法 - Google Patents

矯正焼戻し装置及び矯正焼戻し方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、矯正焼戻し装置及び矯正焼戻し方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の矯正焼戻し装置としては、ワークが例えばリング状部材の場合に、リングの外径、或いは内径に適当な治具をセットし、逆楕円を与えた状態で通常の熱風テンパー炉に90〜120分間保持して矯正を行うものや、PCT国際公開番号WO96/06194に示すように、伝熱加熱、誘導加熱等の加熱手段を用い、ワークに加圧若しくは円筒状の矯正型内にて該ワークの熱膨張と焼戻し進行を利用することにより、短時間で矯正を行うものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者の矯正焼戻し装置においては、治具のセットに多大な時間を要し、しかも、十分な矯正効果が得られないという不都合がある。
【0004】
一方、後者の矯正焼戻し装置においては、特に大物やリニアガイドのレール等のような長尺なワークに対応する円筒状の矯正型の製造が難しく、それらのワークの矯正が困難であるという不都合がある。
【0005】
また、複数個のワークの処理の対応が難しく、したがって、一個当たりの処理時間の短縮化を狙いとしている本装置では、複数個処理の場合には品質にばらつきが生じて質の低下を招くという不都合がある。
【0006】
更に、プレス圧入による矯正型へのワークの脱着を必要とするため、装置的にも複雑になりやすい等の不都合がある。本発明はかかる不都合を解消するためになされたものであり、高寸法精度の熱処理を行うことができるようにして次工程の研削工程における研削ロスを大幅に低減することができるのは勿論のこと、一度に複数個の処理を可能にして量産に対応することができると共に、品質を均等にすることができ、しかも、低コストの矯正型で大物やリニアガイドのレール等のような長尺なワークの矯正処理を行うことができ、更にはプレス等の圧入工程を経なくても矯正型へのワークの脱着をスムーズに行うことができるようにして装置の簡略化を可能にした矯正焼戻し装置及び矯正焼戻し方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するために、請求項1に係る矯正焼戻し装置は、焼入れ後のワークを焼戻し温度に加熱する加熱炉と、前記ワークの外周面に沿って放射状に複数配置されて該ワークから離間する側の端部が前記加熱炉を貫通して該加熱炉の外部に配置された固定部に固定される矯正腕、及び該矯正腕の前記ワークを向く端部に設けられて該ワークの外周形状に対応する形状を有する型部を備えた矯正型と、前記矯正型に前記ワークを挿入する際及び該矯正型から該ワークを取り出す際に、該矯正型を冷却する冷却手段とを具備し、前記矯正型は、前記ワークが焼戻し温度に達した時、該矯正型及び該ワークの熱膨張によって前記型部が前記ワークの外周面と接触して該ワークを所定の加工率で変形矯正するように前記固定部から前記型部までの距離が定められていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る矯正焼戻し装置は、請求項1に記載の矯正焼戻し装置であって、矯正型の前記型部から前記固定部までの距離を調整可能な距離調節手段を備えることを特徴とする。
請求項2の発明によると、矯正型の固定部から型部までの距離を調整できる距離調整手段を備えると、複数のワークに多少の寸法差があっても該距離調整により対応することができる。
【0009】
請求項3に係る矯正焼戻し方法は、請求項1に記載の矯正焼戻し装置を使用し、加熱炉によって焼入れ後のワークを150〜600℃の焼戻し温度に加熱し、前記焼戻し温度における矯正型の内径と前記ワークの外径との間の締代を前記ワークの外径の0〜1.5%の寸法としたことを特徴とする。
次工程の研削工程の効率化を確実に行うには矯正率が50%以上必要であるが、50%以上の矯正率を得るためには0〜1.5%の範囲の加工率を付与する必要がある。加工率0%は全く変形矯正しないように見えるが、変形矯正前のワーク(例えばリング状部材)は有限の真円度を有しているので、それを加工率0%とすることでも既有の真円度を矯正できる。加工率の上限を1.5%としたのは、図4を参照して、加工率0.5%以上の領域から既に矯正率は90%と飽和しているので、変形矯正の改善効果に乏しく、しかも、大きな加工率を与えると、焼戻し温度を高くしなければならず、該焼戻し温度を必要以上に高くすることは焼戻し後の硬さを低下させるからである。
また、焼戻し温度は150〜600°C、好ましくは170〜550°Cとする。焼戻し温度が150°C未満では必要な加工率(0%以上)を付与できず、一方、600°Cを越えると焼戻し後の製品の硬さが低下(HRC58未満)してしまう。
【0010】
請求項4に係る矯正焼戻し方法は、請求項3に記載の矯正焼戻し方法であって、前記矯正型に前記ワークを挿入する際及び前記矯正型から前記ワークを取り出す際に、前記矯正型の内径と前記ワークの外径との間の隙間の間隔を前記ワークの外径の0.65%以上の寸法とすることを特徴とする。
【0011】
ワークを矯正型に着脱する際に、矯正型の内径とワークの外径との間の隙間の間隔をワークの外径の0.65%以上の寸法としてあると、矯正型へのワークの脱着がスムーズになる。すなわち、矯正型がワークの脱着する際の温度となっているとき、矯正腕は加工率が−0.65%以下になるように選択し、矯正型へのワークの脱着をスムーズに行う。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態の一例を図1〜図5を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の一例である矯正焼戻し装置を説明するための説明的断面図、図2は図1のII−II線断面図、図3はワーク、炉内、型における温度と時間との関係を示すグラフ図、図4は加工率と矯正率との関係を示すグラフ図、図5は温度と加工率との関係を示すグラフ図である。なお、この実施の形態では、ワークとしてリング状部材Rを例に採る。
【0013】
図1において符号1は固定台であり、固定台1には加熱炉2が取り付けられている。加熱炉2は、円筒状の炉壁3と、該炉壁3の内周面及び上下開口端に一体に装着された断熱材4とを備える。炉壁3の上下開口端に装着された断熱材4の略中央部にはそれぞれリング状部材Rより大径の円形開口部5a,5bが同心に形成されており、下側の開口部5bは固定台1の略中央部に突設された円柱状の突部7に外嵌固定され、上側の開口部5aは蓋6によって開閉自在に閉塞されている。加熱炉2の内部には、ワーク吊るし治具8が配設されている。
【0014】
ワーク吊るし治具8は、加熱炉2の軸心に沿って上下方向に延びる棒部9と、該棒部9の下端部に固定された円形の載置板10とを備える。棒部9はその上端部が蓋6を挿脱自在に貫通して外部に突出しており、また、載置板10はリング状部材Rより若干大径に形成されて固定台1の突部7の上端面に載置されている。載置板10には複数個(図では16個)のリング状部材Rが上下方向に略同心に積み重ねられており、積み重ねられたリング状部材Rの周囲には矯正型11が配置されている。
【0015】
矯正型11は、加熱炉2内で上下方向に積み重ねられた16個のリング状部材Rに対して、上下方向に互いに隣り合う2個のリング状部材R毎に該2個のリング状部材Rの外周面に沿って放射状に8個(合計64個)配置されている(図2参照)。矯正型11は矯正腕12を備えており、矯正腕12はその軸線延長線がリング状部材Rの中心と交差するよう配置されている。また、矯正腕12は、リング状部材Rの外周面から離間する側の端部が加熱炉2及び該加熱炉2の周囲に所定の間隔を存して外挿されて下端部が固定台1の上面に嵌合固定された円筒状の炉外不動部(固定部)13の各側壁を貫通して該炉外不動部13から突出している。矯正腕12の加熱炉2と炉外不動部13との間の部分には、ステンレス鋼やセラミックス等の断熱材12aが介在されている。
【0016】
矯正腕12のリング状部材Rの外周面を向く端部は上下方向に二つに分岐されており、各分岐端にはSi3 4 、ハイス(SKH)又はダイス鋼(SKD)等を素材とする型部14が上下方向に互いに隣り合う2個のリング状部材Rの外周面を臨むように取り付けられている。型部14はリング状部材Rの外周面に対応する形状を有しており、また、摩耗を考慮して着脱自在とされている。矯正腕12の炉外不動部13の側壁から突出する部分には締代調整ダイヤル(締代調整ダイヤル)15が取り付けられており、該ダイヤル15を正逆方向に回すことにより矯正腕12が軸方向(加熱炉2の半径方向)に進退して矯正型11の炉外不動部13から型部14までの寸法が調整できるようになっている。これにより、複数個のリング状部材Rに多少の寸法差があっても締代調整ダイヤル15による寸法調整により対応できるようにして、寸法が異なるリング状部材R毎にセラミック等の高価な型を用意しなくても済むようにしている。
【0017】
ここで、矯正型11は、リング状部材Rが焼戻し温度に達した時、矯正腕12及び該リング状部材Rの熱膨張によって型部14がリング状部材Rの外周面と接触して該リング状部材Rを所定の加工率で変形矯正するように炉外不動部13から型部14までの距離が定められている。
【0018】
この場合、次工程の研削工程の効率化を確実に行うには矯正率が50%以上必要であるが、50%以上の矯正率を得るためには0〜1.5%の範囲の加工率を付与する必要がある。加工率0%は全く変形矯正しないように見えるが、変形矯正前のリング状部材Rは有限の真円度を有しているので、それを加工率0%とすることでも既有の真円度を矯正できる。加工率の上限を1.5%としたのは、図4を参照して、加工率0.5%以上の領域から既に矯正率は90%と飽和しているので、変形矯正の改善効果に乏しく、しかも、大きな加工率を与えると、焼戻し温度を高くしなければならず、該焼戻し温度を必要以上に高くすることは焼戻し後の硬さを低下させるからである。
【0019】
矯正腕12の炉外不動部13の側壁から突出する部分には冷却液バルブスタンド(冷却手段)16の冷却液供給部17が接続されており、リング状部材Rを矯正型11から脱着する際に該供給部17から矯正腕12の内部に形成された冷却液通路12bに冷却液が所定時間循環供給されて矯正型11が約50°Cに冷却されるようになっている。ここで、矯正腕12の軸方向の長さは、矯正型11の温度が50°Cにおいて加工率が−0.65%以下になるように選択される。なお、図1では左側の矯正腕12のみ冷却液を供給するようにしているが、実際には全ての矯正腕12に冷却液を供給する。
【0020】
炉外不動部13の側壁には、冷却液流通路18が固定台1に形成された冷却液供給路19に連通して形成されている。冷却液供給路19から冷却液流通路18に冷却液を常時循環供給することにより、炉外不動部13を一定温度に保持して該炉外不動部13が径方向に変化しないように、換言すれば、各矯正型11の炉外不動部13から型部14までの寸法が不用意に変化しないようにしている。なお、図1の下側に加熱中の炉内中心から炉外までの温度勾配を示す。このように加熱炉2の外部に冷却液を常時流した一定温度の炉外不動部13を設けて該炉外不動部13に矯正腕12のリング状部材Rの外周面から離間する側の端部を固定することで、加熱炉2内のリング状部材Rと矯正型11との熱膨張の方向性を異にする同一円周域を設けることが可能になり、加熱時に自然矯正が行える構造となっている。
【0021】
加熱炉2の内部には、該加熱炉2の軸方向に延びる棒状のヒータ20が周方向に互いに隣り合う矯正型11の間に位置して複数配置されている。ヒータ20は、加熱炉2内の上部に設けられた熱電対21の検知温度に応じて図示しない制御装置に制御され、加熱炉2内を150〜600°C(好ましくは170〜550°C)の焼戻し温度に保持するようになっている。焼戻し温度が150°C未満では必要な加工率(0%以上)を付与できず、一方、600°Cを越えると焼戻し後の製品の硬さが低下(HRC58未満)してしまう。このように加熱手段としてヒータ20を用いることにより、製品の品質を均等にすることができる。なお、図において符号22は、処理温度が300°C以上で製品の酸化による着色を嫌う場合や、リング状部材Rへの熱伝達を効率よく行いたい場合に、加熱炉2内へ窒素を供給するためのN2 パージ弁である。
【0022】
次に、かかる矯正焼戻し装置の作動を説明する。
まず、焼入れが完了した複数個(図では16個)のリング状部材Rをワーク吊るし治具8の載置板10に上下方向に略同心に積み重ねてセットする。次いで、ヒータ20によって150〜600°C(好ましくは170〜550°C)の焼戻し温度に保持された加熱炉2の蓋6を開け、この状態で冷却液バルブスタンド16から矯正腕12内に冷却液を循環供給する。これにより、矯正型11が加熱炉2内の温度より低温(50°C近く)にされて炉内中心から径方向外方に熱収縮して型径が大きくなり、この結果、ワーク吊るし治具8にセットされた複数個のリング状部材Rをプレス等の圧入工程を経ずに加熱炉2の上端開口部5aから該矯正型11へスムーズに挿入することができる。
【0023】
ワーク吊るし治具8の矯正型11への挿入が完了すると、矯正腕12内への冷却液の供給を終了して加熱炉2の蓋6を閉める。蓋6が閉められると加熱炉2内の加熱が進行し、該加熱進行に伴ってリング状部材Rは炉内中心から径方向外方に熱膨張を開始し、一方、矯正型11はリング状部材Rの外周面から離間する側の端部が炉外不動部13に固定されているため、炉内中心方向に熱膨張を開始する。そして、所定の温度に達するとリング状部材Rの最大径と矯正型11の型部14とが接触し、更に加熱が進むと、最終的には、リング状部材Rは矯正型11の熱膨張量によって定まる真円状態に保持される。これにより、高寸法精度の熱処理品が完成され、次工程の研削工程における研削ロスを大幅に低減することが可能になる。
【0024】
この真円状態のリング状部材Rは、矯正型11の型部14との密着開始時は、弾性変形が主体であるが、焼戻しの進行に伴って塑性変形に移り変わり、最終的に真円近くの製品が完成する。
【0025】
変形矯正が終了した後、蓋6を開けて加熱炉2内からワーク吊るし治具8を引き抜いてリング状部材Rを矯正型11から取り出す。取り出す直前には、冷却液バルブスタンド16から矯正腕12内に冷却液を循環供給する。これにより、矯正型11が加熱炉2内の温度より低温(50°C近く)にされて炉内中心から径方向外方に熱収縮して型径が大きくなり、この結果、ワーク吊るし治具8にセットされた矯正完了後の複数個のリング状部材Rを矯正型11からスムーズに取り出すことができる。
【0026】
なお、上記実施の形態では、一度に複数個の処理を可能にして量産に対応するため、ワークとして比較的小さいリング状部材Rを採用しているが、これに限定されず、ワークとして例えば大物のリング状部材や、リニアガイドのレールのような長尺物を採用することもできる。
【0027】
【実施例】
表1の記号及び加工率等について図2を参照して説明する。
【0028】
【表1】
Figure 0003763168
【0029】
Δd(t) :t°C加熱時のワークと矯正型のしめ代(mm)
D:ワーク外径(mm)
h:矯正型さ(炉の半径方向のt°Cに曝される長さ)(mm)
D’:外径不動部の内径(mm)
α:ワーク線膨張係数
β:矯正型線膨張係数
とすると、式(1)の関係が成立する。
【0030】
Δd(t) =D(1+αt)+2h(1+βt)−D’ …(1)
即ち、
加工率={Δd(t) /D}×100=100(1+αt)+200h(1+βt)/D−(D’/D)×100(%) …(2)
となる(α=β=12×10-6で算出した。)。
【0031】
また、表1の矯正率とは、
矯正率(%)=(矯正前値−矯正後値)/矯正前値×100) …(3)
を意味し、ワークがリング状部材であれば(3)式のそれぞれの値は外径真円度、リニアガイドのレールのように長尺物であれば(3)式のそれぞれの値は反り量にて算出した。
【0032】
加熱条件は、材質、目標熱処理により選択されるが、ここでは焼戻し温度域である150〜600°Cの設定温度にワークが上昇した後、40〜120分の保持を行う。
【0033】
図3は例えばワーク170°C加熱時の矯正型、ワーク、炉内の温度のサイクルの一例である。表1では加熱温度中、比較的矯正効果の得にくいt=170を主体に実施例及び比較例を示した。
【0034】
図4は加工率と矯正率との関係を示すが、加工率(2)式がΔd(t) /D×100≧0で50%以上の矯正率が得られることが判る。矯正率50%以上であれば、次工程の研削工程の効率化は確実に達成できると予測される。
【0035】
図5は処理温度と加工率の関係を表1の実施例のワークAについて示したもので、図中の斜線部は適用焼戻し温度域且つ矯正可能な領域を示す。
低温側は例えば軸受等のような低合金製のワーク(SUJズブ焼又は浸炭若しくは浸炭窒化を行うワーク)のマルテンサイト歪みを除去する温度領域、高温側は例えば転動部品等のような二次析出硬化型鋼(SKH、SKD)を用いたワークの焼戻し温度域である。
【0036】
そして、焼戻し温度域であるt=150〜600°Cにて加工率(2)式が
{Δd(t) /D}×100≧0 …(4)
であれば矯正効果が得られる。
【0037】
また、矯正焼戻し終了時t=50にて(2)式が
Δd(50)/D×100≦−0.65% …(5)
であれば表1の実施例A〜Dに示すワークの矯正型への脱着がプレス等による圧入工程を経なくてもスムーズに行える条件となる(但し、ワークのサイズが異なると、−0.65%の値は若干異なると思われるが、矯正腕の長さ等を変えることで対処可能である。)。
【0038】
式(4)及び(5)を共に満足するものが実施例A〜Dとし、いずれか一方でも満たさないものは比較例E,Fとする。
【0039】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、本発明によれば、高寸法精度の熱処理品を完成できるようにして次工程の研削工程における研削ロスを大幅に低減することができるのは勿論のこと、一度に複数個の処理を可能にして量産に対応することができると共に、品質を均等にすることができ、しかも、低コストの矯正型で大物やリニアガイドのレール等のような長尺なワークの矯正処理を行うことができ、更にはプレス等の圧入工程を経なくても矯正型へのワークの脱着をスムーズに行うことができるようにして装置の簡略化を可能にした矯正焼戻し装置及び矯正焼戻し方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例である矯正焼戻し装置を説明するための説明的断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】ワーク、炉内、型の温度と時間との関係を示すグラフ図である。
【図4】加工率と矯正率との関係を示すグラフ図である。
【図5】処理温度と加工率との関係を示すグラフ図である。
【符号の説明】
R…リング状部材(ワーク)
2…加熱炉
11…矯正型
12…矯正腕
13…炉外不動部(固定部)
14…型部
16…冷却液バルブスタンド(冷却手段)

Claims (4)

  1. 焼入れ後のワークを焼戻し温度に加熱する加熱炉と、前記ワークの外周面に沿って放射状に複数配置されて該ワークから離間する側の端部が前記加熱炉を貫通して該加熱炉の外部に配置された固定部に固定される矯正腕、及び該矯正腕の前記ワークを向く端部に設けられて該ワークの外周形状に対応する形状を有する型部を備えた矯正型と、前記矯正型に前記ワークを挿入する際及び該矯正型から該ワークを取り出す際に、該矯正型を冷却する冷却手段とを具備し、前記矯正型は、前記ワークが焼戻し温度に達した時、該矯正腕及び該ワークの熱膨張によって前記型部が前記ワークの外周面と接触して該ワークを所定の加工率で変形矯正するように前記固定部から前記型部までの距離が定められていることを特徴とする矯正焼戻し装置。
  2. 請求項1に記載の矯正焼戻し装置であって、矯正型の前記型部から前記固定部までの距離を調整可能な距離調節手段を備えることを特徴とする矯正焼戻し装置。
  3. 請求項1に記載の矯正焼戻し装置を使用し、加熱炉によって焼入れ後のワークを150〜600℃の焼戻し温度に加熱し、前記焼戻し温度における矯正型の内径と前記ワークの外径との間の締代を前記ワークの外径の0〜1.5%の寸法としたことを特徴とする矯正焼戻し方法。
  4. 請求項3に記載の矯正焼戻し方法であって、前記矯正型に前記ワークを挿入する際及び前記矯正型から前記ワークを取り出す際に、前記矯正型の内径と前記ワークの外径との間の隙間の間隔を前記ワークの外径の0.65%以上の寸法とすることを特徴とする矯正焼戻し方法。
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