JPH1060539A - 矯正焼戻し装置 - Google Patents
矯正焼戻し装置Info
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Abstract
処理ができ、品質を均等にでき、低コストの矯正型で大
物や長尺なワークの矯正処理ができ、矯正型へのワーク
の脱着をスムーズにできる矯正焼戻し装置を提供する。 【解決手段】 焼入れ後のワークRを焼戻し温度に加熱
する加熱炉2と、ワークRの外周面に沿って放射状に複
数配置されて基端部が炉2を貫通して炉外不動部13に
固定される矯正腕12、及び腕12の先端部に設けられ
てワークRの外周形状に対応する形状を有する型部14
を備えた矯正型11と、型11へのワークRの挿入・取
り出しの際に、型11を冷却する冷却液バルブスタンド
16とを具備し、型11は、ワークRが焼戻し温度に達
した時、型11及びワークRの熱膨張によって型部14
がワークRの外周面と接触してワークRを所定の加工率
で変形矯正するように不動部13から型部14までの距
離が定められている。
Description
改良に関する。
は、ワークが例えばリング状部材の場合に、リングの外
径、或いは内径に適当な治具をセットし、逆楕円を与え
た状態で通常の熱風テンパー炉に90〜120分間保持
して矯正を行うものや、PCT国際公開番号WO96/
06194に示すように、伝熱加熱、誘導加熱等の加熱
手段を用い、ワークに加圧若しくは円筒状の矯正型内に
て該ワークの熱膨張と焼戻し進行を利用することによ
り、短時間で矯正を行うものが知られている。
矯正焼戻し装置においては、治具のセットに多大な時間
を要し、しかも、十分な矯正効果が得られないという不
都合がある。
特に大物やリニアガイドのレール等のような長尺なワー
クに対応する円筒状の矯正型の製造が難しく、それらの
ワークの矯正が困難であるという不都合がある。
く、したがって、一個当たりの処理時間の短縮化を狙い
としている本装置では、複数個処理の場合には品質にば
らつきが生じて質の低下を招くという不都合がある。
の脱着を必要とするため、装置的にも複雑になりやすい
等の不都合がある。本発明はかかる不都合を解消するた
めになされたものであり、高寸法精度の熱処理を行うこ
とができるようにして次工程の研削工程における研削ロ
スを大幅に低減することができるのは勿論のこと、一度
に複数個の処理を可能にして量産に対応することができ
ると共に、品質を均等にすることができ、しかも、低コ
ストの矯正型で大物やリニアガイドのレール等のような
長尺なワークの矯正処理を行うことができ、更にはプレ
ス等の圧入工程を経なくても矯正型へのワークの脱着を
スムーズに行うことができるようにして装置の簡略化を
可能にした矯正焼戻し装置を提供することを目的とす
る。
めに、本発明に係る矯正焼戻し装置は、焼入れ後のワー
クを焼戻し温度に加熱する加熱炉と、前記ワークの外周
面に沿って放射状に複数配置されて該ワークから離間す
る側の端部が前記加熱炉を貫通して該加熱炉の外部に配
置された固定部に固定される矯正腕、及び該矯正腕の前
記ワークを向く端部に設けられて該ワークの外周形状に
対応する形状を有する型部を備えた矯正型と、前記矯正
型に前記ワークを挿入する際及び該矯正型から該ワーク
を取り出す際に、該矯正型を冷却する冷却手段とを具備
し、前記矯正型は、前記ワークが焼戻し温度に達した
時、該矯正型及び該ワークの熱膨張によって前記型部が
前記ワークの外周面と接触して該ワークを所定の加工率
で変形矯正するように前記固定部から前記型部までの距
離が定められていることを特徴とする。
実に行うには矯正率が50%以上必要であるが、50%
以上の矯正率を得るためには0〜1.5%の範囲の加工
率を付与する必要がある。加工率0%は全く変形矯正し
ないように見えるが、変形矯正前のワーク(例えばリン
グ状部材)は有限の真円度を有しているので、それを加
工率0%とすることでも既有の真円度を矯正できる。加
工率の上限を1.5%としたのは、図4を参照して、加
工率0.5%以上の領域から既に矯正率は90%と飽和
しているので、変形矯正の改善効果に乏しく、しかも、
大きな加工率を与えると、焼戻し温度を高くしなければ
ならず、該焼戻し温度を必要以上に高くすることは焼戻
し後の硬さを低下させるからである。
好ましくは170〜550°Cとする。焼戻し温度が1
50°C未満では必要な加工率(0%以上)を付与でき
ず、一方、600°Cを越えると焼戻し後の製品の硬さ
が低下(HRC58未満)してしまう。
での距離を調整できる距離調整手段を備えると、複数の
ワークに多少の寸法差があっても該距離調整により対応
できるので好ましい。
おいて加工率が−0.65%以下になるように選択す
る。これにより、矯正型へのワークの脱着をスムーズに
行うことができる。
を図1〜図5を参照して説明する。図1は本発明の実施
の形態の一例である矯正焼戻し装置を説明するための説
明的断面図、図2は図1のII−II線断面図、図3は
ワーク、炉内、型における温度と時間との関係を示すグ
ラフ図、図4は加工率と矯正率との関係を示すグラフ
図、図5は温度と加工率との関係を示すグラフ図であ
る。なお、この実施の形態では、ワークとしてリング状
部材Rを例に採る。
台1には加熱炉2が取り付けられている。加熱炉2は、
円筒状の炉壁3と、該炉壁3の内周面及び上下開口端に
一体に装着された断熱材4とを備える。炉壁3の上下開
口端に装着された断熱材4の略中央部にはそれぞれリン
グ状部材Rより大径の円形開口部5a,5bが同心に形
成されており、下側の開口部5bは固定台1の略中央部
に突設された円柱状の突部7に外嵌固定され、上側の開
口部5aは蓋6によって開閉自在に閉塞されている。加
熱炉2の内部には、ワーク吊るし治具8が配設されてい
る。
沿って上下方向に延びる棒部9と、該棒部9の下端部に
固定された円形の載置板10とを備える。棒部9はその
上端部が蓋6を挿脱自在に貫通して外部に突出してお
り、また、載置板10はリング状部材Rより若干大径に
形成されて固定台1の突部7の上端面に載置されてい
る。載置板10には複数個(図では16個)のリング状
部材Rが上下方向に略同心に積み重ねられており、積み
重ねられたリング状部材Rの周囲には矯正型11が配置
されている。
み重ねられた16個のリング状部材Rに対して、上下方
向に互いに隣り合う2個のリング状部材R毎に該2個の
リング状部材Rの外周面に沿って放射状に8個(合計6
4個)配置されている(図2参照)。矯正型11は矯正
腕12を備えており、矯正腕12はその軸線延長線がリ
ング状部材Rの中心と交差するよう配置されている。ま
た、矯正腕12は、リング状部材Rの外周面から離間す
る側の端部が加熱炉2及び該加熱炉2の周囲に所定の間
隔を存して外挿されて下端部が固定台1の上面に嵌合固
定された円筒状の炉外不動部(固定部)13の各側壁を
貫通して該炉外不動部13から突出している。矯正腕1
2の加熱炉2と炉外不動部13との間の部分には、ステ
ンレス鋼やセラミックス等の断熱材12aが介在されて
いる。
く端部は上下方向に二つに分岐されており、各分岐端に
はSi3 N4 、ハイス(SKH)又はダイス鋼(SK
D)等を素材とする型部14が上下方向に互いに隣り合
う2個のリング状部材Rの外周面を臨むように取り付け
られている。型部14はリング状部材Rの外周面に対応
する形状を有しており、また、摩耗を考慮して着脱自在
とされている。矯正腕12の炉外不動部13の側壁から
突出する部分には締代調整ダイヤル(締代調整ダイヤ
ル)15が取り付けられており、該ダイヤル15を正逆
方向に回すことにより矯正腕12が軸方向(加熱炉2の
半径方向)に進退して矯正型11の炉外不動部13から
型部14までの寸法が調整できるようになっている。こ
れにより、複数個のリング状部材Rに多少の寸法差があ
っても締代調整ダイヤル15による寸法調整により対応
できるようにして、寸法が異なるリング状部材R毎にセ
ラミック等の高価な型を用意しなくても済むようにして
いる。
焼戻し温度に達した時、矯正腕12及び該リング状部材
Rの熱膨張によって型部14がリング状部材Rの外周面
と接触して該リング状部材Rを所定の加工率で変形矯正
するように炉外不動部13から型部14までの距離が定
められている。
実に行うには矯正率が50%以上必要であるが、50%
以上の矯正率を得るためには0〜1.5%の範囲の加工
率を付与する必要がある。加工率0%は全く変形矯正し
ないように見えるが、変形矯正前のリング状部材Rは有
限の真円度を有しているので、それを加工率0%とする
ことでも既有の真円度を矯正できる。加工率の上限を
1.5%としたのは、図4を参照して、加工率0.5%
以上の領域から既に矯正率は90%と飽和しているの
で、変形矯正の改善効果に乏しく、しかも、大きな加工
率を与えると、焼戻し温度を高くしなければならず、該
焼戻し温度を必要以上に高くすることは焼戻し後の硬さ
を低下させるからである。
出する部分には冷却液バルブスタンド(冷却手段)16
の冷却液供給部17が接続されており、リング状部材R
を矯正型11から脱着する際に該供給部17から矯正腕
12の内部に形成された冷却液通路12bに冷却液が所
定時間循環供給されて矯正型11が約50°Cに冷却さ
れるようになっている。ここで、矯正腕12の軸方向の
長さは、矯正型11の温度が50°Cにおいて加工率が
−0.65%以下になるように選択される。なお、図1
では左側の矯正腕12のみ冷却液を供給するようにして
いるが、実際には全ての矯正腕12に冷却液を供給す
る。
18が固定台1に形成された冷却液供給路19に連通し
て形成されている。冷却液供給路19から冷却液流通路
18に冷却液を常時循環供給することにより、炉外不動
部13を一定温度に保持して該炉外不動部13が径方向
に変化しないように、換言すれば、各矯正型11の炉外
不動部13から型部14までの寸法が不用意に変化しな
いようにしている。なお、図1の下側に加熱中の炉内中
心から炉外までの温度勾配を示す。このように加熱炉2
の外部に冷却液を常時流した一定温度の炉外不動部13
を設けて該炉外不動部13に矯正腕12のリング状部材
Rの外周面から離間する側の端部を固定することで、加
熱炉2内のリング状部材Rと矯正型11との熱膨張の方
向性を異にする同一円周域を設けることが可能になり、
加熱時に自然矯正が行える構造となっている。
に延びる棒状のヒータ20が周方向に互いに隣り合う矯
正型11の間に位置して複数配置されている。ヒータ2
0は、加熱炉2内の上部に設けられた熱電対21の検知
温度に応じて図示しない制御装置に制御され、加熱炉2
内を150〜600°C(好ましくは170〜550°
C)の焼戻し温度に保持するようになっている。焼戻し
温度が150°C未満では必要な加工率(0%以上)を
付与できず、一方、600°Cを越えると焼戻し後の製
品の硬さが低下(HRC58未満)してしまう。このよ
うに加熱手段としてヒータ20を用いることにより、製
品の品質を均等にすることができる。なお、図において
符号22は、処理温度が300°C以上で製品の酸化に
よる着色を嫌う場合や、リング状部材Rへの熱伝達を効
率よく行いたい場合に、加熱炉2内へ窒素を供給するた
めのN2 パージ弁である。
する。まず、焼入れが完了した複数個(図では16個)
のリング状部材Rをワーク吊るし治具8の載置板10に
上下方向に略同心に積み重ねてセットする。次いで、ヒ
ータ20によって150〜600°C(好ましくは17
0〜550°C)の焼戻し温度に保持された加熱炉2の
蓋6を開け、この状態で冷却液バルブスタンド16から
矯正腕12内に冷却液を循環供給する。これにより、矯
正型11が加熱炉2内の温度より低温(50°C近く)
にされて炉内中心から径方向外方に熱収縮して型径が大
きくなり、この結果、ワーク吊るし治具8にセットされ
た複数個のリング状部材Rをプレス等の圧入工程を経ず
に加熱炉2の上端開口部5aから該矯正型11へスムー
ズに挿入することができる。
が完了すると、矯正腕12内への冷却液の供給を終了し
て加熱炉2の蓋6を閉める。蓋6が閉められると加熱炉
2内の加熱が進行し、該加熱進行に伴ってリング状部材
Rは炉内中心から径方向外方に熱膨張を開始し、一方、
矯正型11はリング状部材Rの外周面から離間する側の
端部が炉外不動部13に固定されているため、炉内中心
方向に熱膨張を開始する。そして、所定の温度に達する
とリング状部材Rの最大径と矯正型11の型部14とが
接触し、更に加熱が進むと、最終的には、リング状部材
Rは矯正型11の熱膨張量によって定まる真円状態に保
持される。これにより、高寸法精度の熱処理品が完成さ
れ、次工程の研削工程における研削ロスを大幅に低減す
ることが可能になる。
11の型部14との密着開始時は、弾性変形が主体であ
るが、焼戻しの進行に伴って塑性変形に移り変わり、最
終的に真円近くの製品が完成する。
炉2内からワーク吊るし治具8を引き抜いてリング状部
材Rを矯正型11から取り出す。取り出す直前には、冷
却液バルブスタンド16から矯正腕12内に冷却液を循
環供給する。これにより、矯正型11が加熱炉2内の温
度より低温(50°C近く)にされて炉内中心から径方
向外方に熱収縮して型径が大きくなり、この結果、ワー
ク吊るし治具8にセットされた矯正完了後の複数個のリ
ング状部材Rを矯正型11からスムーズに取り出すこと
ができる。
の処理を可能にして量産に対応するため、ワークとして
比較的小さいリング状部材Rを採用しているが、これに
限定されず、ワークとして例えば大物のリング状部材
や、リニアガイドのレールのような長尺物を採用するこ
ともできる。
して説明する。
のしめ代(mm) D:ワーク外径(mm) h:矯正型高さ(炉の半径方向のt°Cに曝される長
さ)(mm) D’:外径不動部の内径(mm) α:ワーク線膨張係数 β:矯正型線膨張係数 とすると、式(1)の関係が成立する。
れぞれの値は外径真円度、リニアガイドのレールのよう
に長尺物であれば(3)式のそれぞれの値は反り量にて
算出した。
されるが、ここでは焼戻し温度域である150〜600
°Cの設定温度にワークが上昇した後、40〜120分
の保持を行う。
正型、ワーク、炉内の温度のサイクルの一例である。表
1では加熱温度中、比較的矯正効果の得にくいt=17
0を主体に実施例及び比較例を示した。
加工率(2)式がΔd(t) /D×100≧0で50%以
上の矯正率が得られることが判る。矯正率50%以上で
あれば、次工程の研削工程の効率化は確実に達成できる
と予測される。
施例のワークAについて示したもので、図中の斜線部は
適用焼戻し温度域且つ矯正可能な領域を示す。低温側は
例えば軸受等のような低合金製のワーク(SUJズブ焼
又は浸炭若しくは浸炭窒化を行うワーク)のマルテンサ
イト歪みを除去する温度領域、高温側は例えば転動部品
等のような二次析出硬化型鋼(SKH、SKD)を用い
たワークの焼戻し温度域である。
600°Cにて加工率(2)式が {Δd(t) /D}×100≧0 …(4) であれば矯正効果が得られる。
(2)式が Δd(50)/D×100≦−0.65% …(5) であれば表1の実施例A〜Dに示すワークの矯正型への
脱着がプレス等による圧入工程を経なくてもスムーズに
行える条件となる(但し、ワークのサイズが異なると、
−0.65%の値は若干異なると思われるが、矯正腕の
長さ等を変えることで対処可能である。)。
実施例A〜Dとし、いずれか一方でも満たさないものは
比較例E,Fとする。
によれば、高寸法精度の熱処理品を完成できるようにし
て次工程の研削工程における研削ロスを大幅に低減する
ことができるのは勿論のこと、一度に複数個の処理を可
能にして量産に対応することができると共に、品質を均
等にすることができ、しかも、低コストの矯正型で大物
やリニアガイドのレール等のような長尺なワークの矯正
処理を行うことができ、更にはプレス等の圧入工程を経
なくても矯正型へのワークの脱着をスムーズに行うこと
ができるようにして装置の簡略化を可能にした矯正焼戻
し装置を提供することができる。
置を説明するための説明的断面図である。
グラフ図である。
る。
る。
Claims (1)
- 【請求項1】 焼入れ後のワークを焼戻し温度に加熱す
る加熱炉と、 前記ワークの外周面に沿って放射状に複数配置されて該
ワークから離間する側の端部が前記加熱炉を貫通して該
加熱炉の外部に配置された固定部に固定される矯正腕、
及び該矯正腕の前記ワークを向く端部に設けられて該ワ
ークの外周形状に対応する形状を有する型部を備えた矯
正型と、 前記矯正型に前記ワークを挿入する際及び該矯正型から
該ワークを取り出す際に、該矯正型を冷却する冷却手段
とを具備し、 前記矯正型は、前記ワークが焼戻し温度に達した時、該
矯正腕及び該ワークの熱膨張によって前記型部が前記ワ
ークの外周面と接触して該ワークを所定の加工率で変形
矯正するように前記固定部から前記型部までの距離が定
められていることを特徴とする矯正焼戻し装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP21575296A JP3763168B2 (ja) | 1996-08-15 | 1996-08-15 | 矯正焼戻し装置及び矯正焼戻し方法 |
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JPH1060539A true JPH1060539A (ja) | 1998-03-03 |
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JP21575296A Expired - Fee Related JP3763168B2 (ja) | 1996-08-15 | 1996-08-15 | 矯正焼戻し装置及び矯正焼戻し方法 |
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1996
- 1996-08-15 JP JP21575296A patent/JP3763168B2/ja not_active Expired - Fee Related
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