JPH0657401A - チタンまたはチタン合金の表面硬化方法 - Google Patents
チタンまたはチタン合金の表面硬化方法Info
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- JPH0657401A JPH0657401A JP25055892A JP25055892A JPH0657401A JP H0657401 A JPH0657401 A JP H0657401A JP 25055892 A JP25055892 A JP 25055892A JP 25055892 A JP25055892 A JP 25055892A JP H0657401 A JPH0657401 A JP H0657401A
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- titanium
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Abstract
(57)【要約】
【目的】 チタンまたはチタン合金の表面を短時間に比
較的深くそして選択的に硬化を行うことができるチタン
またはチタン合金の表面硬化方法を提供する。 【構成】 材料1を大気中に配置し、操作盤5を操作
し、高周波発振機3の制御を行って発振機3からマッチ
ングトランス4を介して所定の高周波を加熱コイル2に
供給し、材料1の高周波誘導加熱を行い、その後材料の
冷却を行った。この材料の高周波加熱と冷却のサイクル
を複数回繰り返し、材料の硬度分布を測定した。その結
果、ビッカース硬さ 400HV以上の硬化層は、1回のサ
イクルでは80μm程度、5回のサイクルでは約130
μmまで硬化層が確認でき、10回のサイクルでは約2
50μmまでの深い硬化層が確認できた。
較的深くそして選択的に硬化を行うことができるチタン
またはチタン合金の表面硬化方法を提供する。 【構成】 材料1を大気中に配置し、操作盤5を操作
し、高周波発振機3の制御を行って発振機3からマッチ
ングトランス4を介して所定の高周波を加熱コイル2に
供給し、材料1の高周波誘導加熱を行い、その後材料の
冷却を行った。この材料の高周波加熱と冷却のサイクル
を複数回繰り返し、材料の硬度分布を測定した。その結
果、ビッカース硬さ 400HV以上の硬化層は、1回のサ
イクルでは80μm程度、5回のサイクルでは約130
μmまで硬化層が確認でき、10回のサイクルでは約2
50μmまでの深い硬化層が確認できた。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタンまたはチタン合
金の表面を短時間に比較的深く硬化を行うことができる
チタンまたはチタン合金の表面硬化方法に関する。
金の表面を短時間に比較的深く硬化を行うことができる
チタンまたはチタン合金の表面硬化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタンは、その比重は鉄の約1/2で、
高比強度,高耐蝕性,非磁性が特徴であり、工業的に利
用価値が高い材料である。しかしながら、耐磨耗性,耐
焼付性に劣る欠点があり、使用に当っては表面を硬化さ
せる必要がある。そのため、一般には加熱炉中で熱処理
を行ったり、ガス窒化,プラズマ窒化などの表面硬化処
理が行われている。
高比強度,高耐蝕性,非磁性が特徴であり、工業的に利
用価値が高い材料である。しかしながら、耐磨耗性,耐
焼付性に劣る欠点があり、使用に当っては表面を硬化さ
せる必要がある。そのため、一般には加熱炉中で熱処理
を行ったり、ガス窒化,プラズマ窒化などの表面硬化処
理が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、真空炉
や雰囲気炉などの一般の熱処理炉を使用し、チタンまた
はチタン合金の加熱処理を行うと、被加熱物の表面全体
が一定温度に加熱され、必要な部分以外の表面部分の性
質が変化したり、その部分を劣化させたりする。また、
一般の熱処理炉では、炉の構造上、1,000 ℃〜1,200 ℃
程度の温度が限界であり、その結果、母材の加熱は数時
間程度から場合によっては数十時間要する。従って、被
加熱物を長時間加熱炉に入れ高温加熱を行わねばなら
ず、母材全体が均一に加熱されてしまい、母材の中心部
まで性質が変化する欠点がある。更に、炉中加熱である
ために、バッジ処理にならざるを得ず、硬化処理による
多数の製品の製造を短時間に連続的に行うことができな
い。一方、低温加熱での表面硬化処理では、硬化深さが
1〜数十μmと非常に浅く、このような深さに硬化処理
された母材を工業的に用いるには、用途に甚だしい制約
を受けることになる。このように、チタンあるいはチタ
ン合金には未だ適切な表面硬化方法がなく、チタンの広
範囲の利用に大きな障害となっている。
や雰囲気炉などの一般の熱処理炉を使用し、チタンまた
はチタン合金の加熱処理を行うと、被加熱物の表面全体
が一定温度に加熱され、必要な部分以外の表面部分の性
質が変化したり、その部分を劣化させたりする。また、
一般の熱処理炉では、炉の構造上、1,000 ℃〜1,200 ℃
程度の温度が限界であり、その結果、母材の加熱は数時
間程度から場合によっては数十時間要する。従って、被
加熱物を長時間加熱炉に入れ高温加熱を行わねばなら
ず、母材全体が均一に加熱されてしまい、母材の中心部
まで性質が変化する欠点がある。更に、炉中加熱である
ために、バッジ処理にならざるを得ず、硬化処理による
多数の製品の製造を短時間に連続的に行うことができな
い。一方、低温加熱での表面硬化処理では、硬化深さが
1〜数十μmと非常に浅く、このような深さに硬化処理
された母材を工業的に用いるには、用途に甚だしい制約
を受けることになる。このように、チタンあるいはチタ
ン合金には未だ適切な表面硬化方法がなく、チタンの広
範囲の利用に大きな障害となっている。
【0004】本発明は、上述した点に鑑みて成されたも
ので、チタンまたはチタン合金の表面を短時間に比較的
深くそして選択的に硬化を行うことができるチタンまた
はチタン合金の表面硬化方法を提供することを目的とし
ている。
ので、チタンまたはチタン合金の表面を短時間に比較的
深くそして選択的に硬化を行うことができるチタンまた
はチタン合金の表面硬化方法を提供することを目的とし
ている。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に基づくチタンま
たはチタン合金の表面硬化方法は、チタンまたはチタン
合金より成る母材を加熱し、該母材の表面を硬化させる
方法において、高周波電源から母材の局所部分に接近し
て配置された加熱コイルに高周波電力を供給して該母材
を高周波誘導加熱し、該母材の局所部分の表層部分にの
み酸素および/もしくは窒素を固溶させ、該局所部分の
表層部分に酸素および/もしくは窒素の拡散層を形成
し、その後母材の冷却を行うようにしたことを特徴とし
ている。また、母材を高周波誘導加熱し、その後母材の
冷却を行うサイクルを複数回繰り返すようにした。さら
に、母材の表面温度を検出し、該表面温度が所定時間予
め定めた温度に保持されるように該高周波電力を制御
し、該所定時間経過後高周波加熱を停止し、その後母材
の冷却を行うようにした。
たはチタン合金の表面硬化方法は、チタンまたはチタン
合金より成る母材を加熱し、該母材の表面を硬化させる
方法において、高周波電源から母材の局所部分に接近し
て配置された加熱コイルに高周波電力を供給して該母材
を高周波誘導加熱し、該母材の局所部分の表層部分にの
み酸素および/もしくは窒素を固溶させ、該局所部分の
表層部分に酸素および/もしくは窒素の拡散層を形成
し、その後母材の冷却を行うようにしたことを特徴とし
ている。また、母材を高周波誘導加熱し、その後母材の
冷却を行うサイクルを複数回繰り返すようにした。さら
に、母材の表面温度を検出し、該表面温度が所定時間予
め定めた温度に保持されるように該高周波電力を制御
し、該所定時間経過後高周波加熱を停止し、その後母材
の冷却を行うようにした。
【0006】
【作用】本発明に基づくチタンまたはチタン合金の表面
硬化方法は、チタンまたはチタン合金より成る母材を特
定雰囲気中で高周波誘導加熱する。例えば、チタンを酸
素や窒素雰囲気中で高周波加熱し、母材を1500℃程度に
加熱することにより、表面の硬化処理が行われる。すな
わち、固体金属であるチタンの表層部分に特定元素を固
溶させると、チタン内に固溶された元素の拡散速度は、
固体内では温度上昇につれて大きくなる。一方、チタン
に酸素や窒素などの元素が固溶されると、その硬度が増
すことが知られている。このようなことから、母材を加
熱するにつれ、母材表面の温度が急速に上昇し、雰囲気
元素である酸素あるいは窒素が表面から効率良く母材内
部に固溶,拡散される。そして加熱を停止し、母材の冷
却を行えば、短時間に表面から深い部分にまで元素が拡
散した材料が得られ、結果として深い硬化層が得られ
る。この高周波加熱とその後の冷却のサイクルを複数回
繰り返すと、硬化部分の深さが更に深くなることが確認
された。また、高周波加熱されている材料の表面温度を
検出し、該表面温度が所定時間保持されるように高周波
電力を制御すると、硬化部分の深さが更に深くなること
が確認された。なお、一定の高周波電力により材料を連
続して高周波加熱したのでは、材料の表面温度は時間と
共に上昇し、材料が溶けてしまうために好ましくない。
硬化方法は、チタンまたはチタン合金より成る母材を特
定雰囲気中で高周波誘導加熱する。例えば、チタンを酸
素や窒素雰囲気中で高周波加熱し、母材を1500℃程度に
加熱することにより、表面の硬化処理が行われる。すな
わち、固体金属であるチタンの表層部分に特定元素を固
溶させると、チタン内に固溶された元素の拡散速度は、
固体内では温度上昇につれて大きくなる。一方、チタン
に酸素や窒素などの元素が固溶されると、その硬度が増
すことが知られている。このようなことから、母材を加
熱するにつれ、母材表面の温度が急速に上昇し、雰囲気
元素である酸素あるいは窒素が表面から効率良く母材内
部に固溶,拡散される。そして加熱を停止し、母材の冷
却を行えば、短時間に表面から深い部分にまで元素が拡
散した材料が得られ、結果として深い硬化層が得られ
る。この高周波加熱とその後の冷却のサイクルを複数回
繰り返すと、硬化部分の深さが更に深くなることが確認
された。また、高周波加熱されている材料の表面温度を
検出し、該表面温度が所定時間保持されるように高周波
電力を制御すると、硬化部分の深さが更に深くなること
が確認された。なお、一定の高周波電力により材料を連
続して高周波加熱したのでは、材料の表面温度は時間と
共に上昇し、材料が溶けてしまうために好ましくない。
【0007】
【実施例】図1は本発明を実施するための高周波加熱装
置の一例を示したもので、1は棒状のチタン材料であ
る。2は加熱コイルであり、チタン材料1の硬化される
部分に巻回されている。加熱コイル2には、高周波発振
機3からマッチングトランス4を介して所望の周波数の
高周波が印加される。5は操作盤である。
置の一例を示したもので、1は棒状のチタン材料であ
る。2は加熱コイルであり、チタン材料1の硬化される
部分に巻回されている。加熱コイル2には、高周波発振
機3からマッチングトランス4を介して所望の周波数の
高周波が印加される。5は操作盤である。
【0008】さて、このような装置において、外形12
φの材料(工業用純チタン)1を大気中に配置し、操作
盤5を操作し、高周波発振機3の制御を行って発振機3
からマッチングトランス4を介して所定の高周波を加熱
コイル2に供給し、材料1の高周波誘導加熱を行った。
なお、この時の各条件は次の通りであった。
φの材料(工業用純チタン)1を大気中に配置し、操作
盤5を操作し、高周波発振機3の制御を行って発振機3
からマッチングトランス4を介して所定の高周波を加熱
コイル2に供給し、材料1の高周波誘導加熱を行った。
なお、この時の各条件は次の通りであった。
【0009】使用発振機 100KW 周波数 100KHz 電圧 12.5KV 電流 3.2A 加熱時間 2.0秒 上記条件で加熱を行い、その後材料の冷却を行った。そ
の後、材料の硬度分布を測定したところ、ビッカース硬
さ(HV)が400HV以上の硬化層が80μm程度の
深さまで得られていることが判明した。また、高周波加
熱により硬化された部分は、加熱コイル2に接近した部
分だけであり、他の部分については熱処理が成されてお
らず、選択的な硬化処理が高周波加熱により成し遂げら
れることが証明された。
の後、材料の硬度分布を測定したところ、ビッカース硬
さ(HV)が400HV以上の硬化層が80μm程度の
深さまで得られていることが判明した。また、高周波加
熱により硬化された部分は、加熱コイル2に接近した部
分だけであり、他の部分については熱処理が成されてお
らず、選択的な硬化処理が高周波加熱により成し遂げら
れることが証明された。
【0010】次に、この材料の高周波加熱と冷却のサイ
クルを複数回繰り返し、材料の硬度分布を測定した。こ
の測定において、材料1の表面温度を常に監視し、高周
波加熱は、材料1の表面の加熱温度が1500℃に上昇した
時点で停止した。図2のグラフは硬さ分布の測定結果を
示しており、縦軸はビッカース硬さ(HV)であり、横
軸は材料表面からの深さ(μm)である。この図におけ
る3つの線のうち、実線は高周波加熱と冷却のサイクル
が1回の場合、点線はこのサイクルが5回の場合、一点
鎖線はこのサイクルが10回の場合である。この図から
明らかなように、いずれの場合でもチタン材料1の表面
の硬度は、ビッカース硬さ 1,000HV以上と極めて硬く
なっている。また、ビッカース硬さ 400HV以上の硬化
層は、1回のサイクルでは80μm程度、5回のサイク
ルでは約130μmまで硬化層が確認でき、10回のサ
イクルでは約250μmまでの深い硬化層が確認でき
た。このことは、高周波加熱により表面の温度が急速に
上昇し、表面から急速に元素が内部に拡散したため、短
時間に表面から深い部分にまで元素が拡散した材料が得
られ、結果として深い硬化層が得られたものと推測され
る。
クルを複数回繰り返し、材料の硬度分布を測定した。こ
の測定において、材料1の表面温度を常に監視し、高周
波加熱は、材料1の表面の加熱温度が1500℃に上昇した
時点で停止した。図2のグラフは硬さ分布の測定結果を
示しており、縦軸はビッカース硬さ(HV)であり、横
軸は材料表面からの深さ(μm)である。この図におけ
る3つの線のうち、実線は高周波加熱と冷却のサイクル
が1回の場合、点線はこのサイクルが5回の場合、一点
鎖線はこのサイクルが10回の場合である。この図から
明らかなように、いずれの場合でもチタン材料1の表面
の硬度は、ビッカース硬さ 1,000HV以上と極めて硬く
なっている。また、ビッカース硬さ 400HV以上の硬化
層は、1回のサイクルでは80μm程度、5回のサイク
ルでは約130μmまで硬化層が確認でき、10回のサ
イクルでは約250μmまでの深い硬化層が確認でき
た。このことは、高周波加熱により表面の温度が急速に
上昇し、表面から急速に元素が内部に拡散したため、短
時間に表面から深い部分にまで元素が拡散した材料が得
られ、結果として深い硬化層が得られたものと推測され
る。
【0011】上記したサイクルの高周波加熱をチタン合
金(Ti−6Al−4V)の母材に対して行い、材料の
硬度分布を測定した。図3はこの結果であり、3つの線
のうち、実線は高周波加熱と冷却のサイクルが1回の場
合、点線はこのサイクルが5回の場合、一点鎖線はこの
サイクルが10回の場合である。この図から明らかなよ
うに、チタン合金に対しても高周波加熱と冷却のサイク
ルを複数回繰り返すことにより、より深い硬化層を得る
ことができる。なお、上記した実施例では、酸素と窒素
が含まれている大気中に材料を配置したが、酸素や窒素
雰囲気で材料の高周波加熱を行っても良い。
金(Ti−6Al−4V)の母材に対して行い、材料の
硬度分布を測定した。図3はこの結果であり、3つの線
のうち、実線は高周波加熱と冷却のサイクルが1回の場
合、点線はこのサイクルが5回の場合、一点鎖線はこの
サイクルが10回の場合である。この図から明らかなよ
うに、チタン合金に対しても高周波加熱と冷却のサイク
ルを複数回繰り返すことにより、より深い硬化層を得る
ことができる。なお、上記した実施例では、酸素と窒素
が含まれている大気中に材料を配置したが、酸素や窒素
雰囲気で材料の高周波加熱を行っても良い。
【0012】図4は本発明の他の実施例を行うための高
周波加熱装置の一例を示したもので、図1の装置と同一
部分には同一番号が付されている。1は棒状のチタン材
料、2は加熱コイルであり、コイル2はチタン材料1の
硬化される部分に巻回されている。加熱コイル2には、
高周波発振機3からマッチングトランス4を介して所望
の周波数の高周波が印加される。6は放射温度計であ
り、加熱されるチタン材料1の表面温度を検出する。7
はコンピュータの如き制御装置であり、放射温度計6か
らの温度信号に基づいて高周波発振機3を制御し、加熱
コイル2に供給される高周波電力の制御を行う。
周波加熱装置の一例を示したもので、図1の装置と同一
部分には同一番号が付されている。1は棒状のチタン材
料、2は加熱コイルであり、コイル2はチタン材料1の
硬化される部分に巻回されている。加熱コイル2には、
高周波発振機3からマッチングトランス4を介して所望
の周波数の高周波が印加される。6は放射温度計であ
り、加熱されるチタン材料1の表面温度を検出する。7
はコンピュータの如き制御装置であり、放射温度計6か
らの温度信号に基づいて高周波発振機3を制御し、加熱
コイル2に供給される高周波電力の制御を行う。
【0013】さて、このような装置において、材料1を
大気中に配置し、高周波発振機3の制御を行って発振機
3からマッチングトランス4を介して所定の高周波を加
熱コイル2に供給し、材料1の高周波誘導加熱を行う。
その結果、材料1は高周波加熱されその表面温度が急上
昇する。この材料1の表面温度は放射温度計6によって
測定されており、温度計6からの温度信号は制御装置7
に供給される。制御装置7においては、材料表面の設定
温度値と材料の加熱時間とが予め設定されている。制御
装置7は、温度計6からの温度と設定温度値とを比較
し、材料1の表面温度が設定温度値に維持されるように
高周波発振機3の制御を行う。すなわち、材料1の温度
が設定温度値以上となった場合には、制御装置7は高周
波発振機3を制御し、加熱コイル2に供給される高周波
電力を減少させる。一方、材料1の温度が設定温度値以
下となった場合には、制御装置7は高周波発振機3を制
御し、加熱コイル2に供給される高周波電力を増加させ
る。材料1の加熱が予め設定されている時間行われた
後、制御装置7は発振機3を制御し、加熱コイル2への
高周波電力の供給を停止する。その後、材料1は冷却さ
れる。
大気中に配置し、高周波発振機3の制御を行って発振機
3からマッチングトランス4を介して所定の高周波を加
熱コイル2に供給し、材料1の高周波誘導加熱を行う。
その結果、材料1は高周波加熱されその表面温度が急上
昇する。この材料1の表面温度は放射温度計6によって
測定されており、温度計6からの温度信号は制御装置7
に供給される。制御装置7においては、材料表面の設定
温度値と材料の加熱時間とが予め設定されている。制御
装置7は、温度計6からの温度と設定温度値とを比較
し、材料1の表面温度が設定温度値に維持されるように
高周波発振機3の制御を行う。すなわち、材料1の温度
が設定温度値以上となった場合には、制御装置7は高周
波発振機3を制御し、加熱コイル2に供給される高周波
電力を減少させる。一方、材料1の温度が設定温度値以
下となった場合には、制御装置7は高周波発振機3を制
御し、加熱コイル2に供給される高周波電力を増加させ
る。材料1の加熱が予め設定されている時間行われた
後、制御装置7は発振機3を制御し、加熱コイル2への
高周波電力の供給を停止する。その後、材料1は冷却さ
れる。
【0014】上記のような制御を行うことにより、予め
定めた加熱温度での保持時間に応じて、硬化層の深さを
任意に選択することが可能となった。このような制御に
よる効果は、チタン材料でもチタン合金でも得られるこ
とが確認された。
定めた加熱温度での保持時間に応じて、硬化層の深さを
任意に選択することが可能となった。このような制御に
よる効果は、チタン材料でもチタン合金でも得られるこ
とが確認された。
【0015】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、チタ
ンまたはチタン合金より成る母材を加熱し、該母材の表
面を硬化させる方法において、該母材を高周波誘導加熱
するようにしたので、従来数時間程度あるいは場合によ
っては数十時間掛かっていたチタンまたはチタン合金の
硬化処理を、数秒間という極めて短い時間で表面からか
なりの深さまで硬化処理を行うことが可能となった。そ
の結果、母材の局所的な部分のみの耐磨耗性を向上させ
ることができるようになるので、チタンあるいはチタン
合金の工業的利用価値を飛躍的に向上させることができ
ることになった。また、バッジ処理とならざるを得ない
一般の熱処理炉による加熱処理ではなく、炉を用いない
高周波誘導加熱であるため、ラインの中で多数の被硬化
処理材料を連続的に硬化処理することができる。そし
て、加熱コイルの配置場所や形状を任意に変えることに
より、材料の所望部分のみの加熱硬化処理が可能とな
る。更に、繰り返し加熱の回数を制御したり、加熱到達
温度における保持時間を制御することにより、比較的表
面部分のみの硬化処理から、表面から深い部分までの硬
化処理を選択的に行うことができる。
ンまたはチタン合金より成る母材を加熱し、該母材の表
面を硬化させる方法において、該母材を高周波誘導加熱
するようにしたので、従来数時間程度あるいは場合によ
っては数十時間掛かっていたチタンまたはチタン合金の
硬化処理を、数秒間という極めて短い時間で表面からか
なりの深さまで硬化処理を行うことが可能となった。そ
の結果、母材の局所的な部分のみの耐磨耗性を向上させ
ることができるようになるので、チタンあるいはチタン
合金の工業的利用価値を飛躍的に向上させることができ
ることになった。また、バッジ処理とならざるを得ない
一般の熱処理炉による加熱処理ではなく、炉を用いない
高周波誘導加熱であるため、ラインの中で多数の被硬化
処理材料を連続的に硬化処理することができる。そし
て、加熱コイルの配置場所や形状を任意に変えることに
より、材料の所望部分のみの加熱硬化処理が可能とな
る。更に、繰り返し加熱の回数を制御したり、加熱到達
温度における保持時間を制御することにより、比較的表
面部分のみの硬化処理から、表面から深い部分までの硬
化処理を選択的に行うことができる。
【図1】本発明を実施するための高周波加熱システムの
一例を示す図である。
一例を示す図である。
【図2】工業用純チタン材料の表面からの深さに応じた
硬度分布を示す図である。
硬度分布を示す図である。
【図3】チタン合金材料の表面からの深さに応じた硬度
分布を示す図である。
分布を示す図である。
【図4】本発明を実施するための高周波加熱システムの
他の例を示す図である。
他の例を示す図である。
1 チタン材料 2 加熱コイル 3 高周波発振機 4 マッチングトランス 5 操作盤 6 放射温度計 7 制御装置
Claims (3)
- 【請求項1】チタンまたはチタン合金より成る母材を加
熱し、該母材の表面を硬化させる方法において、高周波
電源から母材の局所部分に接近して配置された加熱コイ
ルに高周波電力を供給して該母材を高周波誘導加熱し、
該母材の局所部分の表層部分にのみ酸素および/もしく
は窒素を固溶させ、該局所部分の表層部分に酸素および
/もしくは窒素の拡散層を形成し、その後母材の冷却を
行うようにしたチタンまたはチタン合金の表面硬化方
法。 - 【請求項2】チタンまたはチタン合金より成る母材を加
熱し、該母材の表面を硬化させる方法において、高周波
電源から母材の局所部分に接近して配置された加熱コイ
ルに高周波電力を供給して該母材を高周波誘導加熱し、
該母材の局所部分の表層部分にのみ酸素および/もしく
は窒素を固溶させ、該局所部分の表層部分に酸素および
/もしくは窒素の拡散層を形成し、その後母材の冷却を
行うサイクルを複数回繰り返すようにしたチタンまたは
チタン合金の表面硬化方法。 - 【請求項3】チタンまたはチタン合金より成る母材を加
熱し、該母材の表面を硬化させる方法において、高周波
電源から母材の局所部分に接近して配置された加熱コイ
ルに高周波電力を供給して該母材を高周波誘導加熱し、
該母材の局所部分の表層部分にのみ酸素および/もしく
は窒素を固溶させ、該局所部分の表層部分に酸素および
/もしくは窒素の拡散層を形成すると共に該母材の表面
温度を検出し、該表面温度が所定時間予め定めた温度に
維持されるように該高周波電力を制御し、該所定時間経
過後高周波加熱を停止し、その後母材の冷却を行うよう
にしたチタンまたはチタン合金の表面硬化方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25055892A JPH0657401A (ja) | 1991-09-05 | 1992-08-26 | チタンまたはチタン合金の表面硬化方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3-254766 | 1991-09-05 | ||
JP25476691 | 1991-09-05 | ||
JP25055892A JPH0657401A (ja) | 1991-09-05 | 1992-08-26 | チタンまたはチタン合金の表面硬化方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0657401A true JPH0657401A (ja) | 1994-03-01 |
Family
ID=26539815
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25055892A Pending JPH0657401A (ja) | 1991-09-05 | 1992-08-26 | チタンまたはチタン合金の表面硬化方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0657401A (ja) |
Cited By (4)
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