JPH09235618A - 環状体の変形矯正熱処理装置 - Google Patents

環状体の変形矯正熱処理装置

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JPH09235618A
JPH09235618A JP4191896A JP4191896A JPH09235618A JP H09235618 A JPH09235618 A JP H09235618A JP 4191896 A JP4191896 A JP 4191896A JP 4191896 A JP4191896 A JP 4191896A JP H09235618 A JPH09235618 A JP H09235618A
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JP
Japan
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work
stage
outer diameter
straightening
quenching
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Pending
Application number
JP4191896A
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English (en)
Inventor
Akitoshi Maeda
明年 前田
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NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】環状体の外径矯正型内でワークを外径を拘束し
つつ熱処理して、高寸法精度の熱処理ずみ環状体を量産
できる、小型で且つ環境汚染のおそれのない連続式の変
形矯正熱処理装置を提供する。 【解決手段】ターンテーブルT上にそれぞれ外径矯正型
1を有する複数個のステージSを円周等分に配してあ
り、それらの複数個のステージSは、型1へのワーク供
給手段10を有するワーク供給ステージS1と、型予熱
手段5を有する予熱ステージS2と、ワーク加熱手段5
とワーク冷却手段6とを有する矯正焼入ステージS3及
びワーク加熱手段5のみを有する矯正焼戻しステージS
6の少なくとも一方と、ワーク取り出し手段8,9を有
するワーク取り出しステージS7とからなっている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば転がり軸受
の軌道輪などのような鋼製の環状部品を対象とした変形
矯正のための熱処理装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】マルテンサイト変態を伴う鋼からなる環
状体は、熱処理時に変形が発生し、製造の品質やコスト
に大きく影響する。変形が発生する原因には次のような
ものがある。
【0003】(1)焼入れ前の状態で素材が有している
変形。例えば旋削,冷間鍛造などの前処理加工による加
工歪や、浸炭等の熱処理による残留歪などの如く既に素
材に発生し、残留している歪が焼入れ冷却前の加熱時に
解放されて変形が発生する。
【0004】(2)焼入れ冷却時に発生する熱歪と変態
歪によるもの。不均一加熱や不均一冷却によって変形量
は増加する。例えば油焼入れ時の蒸気膜段階において、
どこか先にこの蒸気膜が切れて断熱効果が途切れ、その
結果早く冷却が始まる所と、蒸気膜がなかなか切れず冷
却が遅くなる所とが生じると、冷却が不均一になって変
形が発生する。
【0005】(3)焼入れ時に(2)に示すように変態
応力熱応力の不均一により変形とともに内部に歪が残
留する。特にマルテンサイト変態中に変形矯正を行う場
合は、さらに変態に伴う外力が加わることで内部の歪が
増加する。この歪は、変形矯正完了後の冷却過程や、そ
の後の洗浄工程及び焼戻し工程などで残留オーステナイ
トが歪を解放する方向に変態膨張する。つまり変形力が
増加する。
【0006】一般には、(2)が焼入れ変形の主原因と
されているが、変形量ばらつきの要因として(1),
(3)の変形も十分影響してくる。従来、この種の環状
体の焼入れ変形を矯正する場合は、焼入れ時もしくは焼
戻し時に単独の環状体に対して矯正を施す。すなわち、
焼入れ時の矯正では、焼入れ装置の冷却の際に環状体の
外径,内径の少なくとも一つを矯正型によりプレス矯正
して、焼入れ時に発生する変形を少なくする。一方、焼
戻し時の矯正では、焼入れ後に変形している環状体に適
当な治具等を用いて逆変形を与え、その状態で焼戻し
(60〜120分間)を行うことにより変形を矯正す
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の変形矯正法はいずれも、通常の熱処理設備を用いる
ことを前提としており、特に焼入れ単独で高精度に仕上
げるには強加工を要し、設備の大型化や環境悪化が避け
られない。また、焼戻し時矯正は、個々の環状体の変形
を考慮して治具の調整を行う必要があるので、一個あた
りの処理時間が非常に長くなり生産能率が極めて悪い。
しかも、焼入れ時の矯正と焼戻し時矯正の両者を併用す
ることは、それぞれの処理タクトの違いから極めて難し
く、実行されていない、等の未解決の課題がある。
【0008】そこで、本発明は、このような従来の未解
決の課題に着目してなされたものであり、環状体の外径
矯正型内でワークを外径を拘束しつつ熱処理して高寸法
精度の熱処理ずみ環状体を量産可能な小型で且つ環境汚
染のおそれのない連続式の変形矯正熱処理装置を提供す
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の環状体の変形矯
正熱処理装置は、ターンテーブル上にそれぞれ外径矯正
型を有する複数個のステージを円周等分に配してあり、
それらの複数個のステージが、型へのワーク供給手段を
有するワーク供給ステージと、型予熱手段を有する予熱
ステージと、ワーク加熱手段とワーク冷却手段とを有す
る矯正焼入ステージ及びワーク加熱手段のみを有する矯
正焼戻しステージの少なくとも一方と、ワーク取り出し
手段を有するワーク取り出しステージとからなっている
ことを特徴とするものである。
【0010】上記装置において、一個の外径矯正型に焼
入れ用と焼戻し用との二個の矯正部を設けて焼入れ,焼
戻し併用型とすることができる。また、焼入れ用矯正部
による焼入れ時の加工率を0.02〜0.5%とするこ
とができる。
【0011】また、焼戻し用矯正部にる焼戻し時の加工
率を0.02〜0.9%とすることができる。また、焼
入れ工程前の型温度を300〜400℃,焼戻し工程前
の型温度を150〜250℃,ワーク取り出し前の型温
度を100℃以下とすることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は環状体の変形矯正熱処理装
置の一実施形態例の平面図、図2〜図8はその各ステー
ジ毎の詳細を示す側面図である。
【0013】先ず構成を説明すると、本装置は量産対応
タイプで、一台のターンテーブルTに1個の冷却ゾーン
Rzと円周等分に配設した7つのステージS1〜S7と
を備えて構成されている。各ステージSにはそれぞれ、
円筒形の外径矯正型1がターンテーブルTに嵌め込んで
装着されている。
【0014】その外径矯正型1は一つの型でワークWの
外径の矯正焼入れと矯正焼戻しとを兼用するものであっ
て、その内径面に図2に示すように上下二つの矯正位置
(矯正面)が設けられている。上部の矯正位置1Aは旋
削された鋼製の環状体であるワークWの外径寸法より1
〜1.2%ほど大きい内径とされ、ワークWの焼入れ変
形矯正を行う。下部の矯正位置1Bは、ワークWの焼戻
し変形矯正を行うべく上部の矯正位置1Aより若干小さ
い内径とされ、両矯正面はテーパ面でつながっている。
なお、以下の説明において「矯正焼入れ」を単に「焼入
れ」、「矯正焼戻し」を単に「焼戻し」ともいう。
【0015】各ステージS毎の概略構成は以下の通りで
ある。 ステージS1:(図1,図2参照) ワーク供給ステージである。ターンテーブルTの下方に
図示されない昇降手段により昇降する支え治具2がワー
クWと同軸に設置されるとともに、外径矯正型1に上方
からワークWを供給するワーク供給手段としての自動供
給装置10が近傍に設置されている。外径矯正型1及び
支え治具2は、ステージS3での誘導加熱の影響を避け
るためにセラミック製もしくは非磁性鋼製である。この
ステージS1は外径矯正型1にワークWを挿入するワー
クセット工程として機能する。
【0016】ステージS2:(図1,図3参照) 型予熱ステージである。ターンテーブルTの下方に上記
同様の支え治具2が設置されるとともに、図外のプレス
装置で駆動される上下一対の焼入れ保温用ホットプレー
ト4,4が型予熱手段として設置されている。各ホット
プレート4は400〜500℃間に加熱可能に設定さ
れ、外径矯正型1の内径近傍を上下から挟んで伝熱加熱
で300〜400℃に昇温させる能力を有している。こ
のステージS2は外径矯正型1の内径近傍を予熱する工
程として機能し、ステージS3での誘導加熱をより効果
的に行うと共に、特に外径矯正型1と接触するワークW
の外径側の温度勾配を軽減して均等な焼入れ品質を確保
するためのものである。
【0017】ステージS3:(図1,図4参照) 矯正焼入れステージである。ターンテーブルTの下方に
上記同様の支え治具2が設置されるとともに、型加熱手
段としての誘導加熱装置5が設けられている。上下一対
の誘導加熱コイル5C,5Cは、外径矯正型1の上下両
面にそれぞれ対向配置されており、外径矯正型1内に挿
入されているワークWを最高到達温度820〜1200
℃まで誘導加熱できるものである。この温度範囲におい
て、ワークWの材質に応じた焼入れ温度の設定を行う。
さらに、外径矯正型1の上方に同軸に、図外の昇降手段
で昇降駆動されるワーク冷却手段としての冷却液噴射装
置6が配設されている。この冷却液噴射装置6の先端部
の周面には多数の冷却液噴射口6aが開設置されてお
り、ワークWの誘導加熱終了後に直ちに下降して冷却液
噴射口6aから吹き出す冷却液をワークWの内径面に噴
射して焼入れを完了するようにしてある。このステージ
S3は、ワークWの焼入れ変形矯正を行う工程として機
能し、外径拘束をワークWがオーステナイト状態にある
うちに短時間で行い変形矯正を終了させる。これにより
外径矯正型1の上部の矯正位置1A内にあるワークWを
オーステナイト状態で拘束してその焼入れ変形を最小限
に抑えることができるものである。ここで処理された後
のワークWの外径は、旋盤で旋削された外径寸法に対し
て0.1〜0.3%程膨張を生じる。
【0018】ステージS4:(図1,図5参照) ターンテーブルTの上方にワークWと同軸に、図外の昇
降手段で昇降駆動される圧入治具7が配設されている。
このステージS3は、ワークWを外径矯正型1の下部の
矯正位置1B内に軽圧入する工程として機能し、外径矯
正型1の上部の矯正位置1A内にあるワークWを圧入治
具7で押し下げて下部の矯正位置1B内にセットするも
のである。
【0019】ステージS5:(図1,図6参照) 型予熱ステージである。ステージS2と同様の上下一対
の保温用ホットプレート4,4が設置されている。各ホ
ットプレート4は加熱温度250〜350℃間に設定さ
れ、外径矯正型1の内径近傍を150〜250℃に昇温
させる。このステージS5は外径矯正型1の内径近傍を
予熱する工程として機能し、ステージS6での誘導加熱
をより効果的に行うと共に、特に外径矯正型1と接触す
るワークWの外径側の温度勾配を軽減して均等な焼戻し
品質を確保するためのものである。
【0020】ステージS6:(図1,図7参照) 矯正焼戻しステージである。ステージS3と同様に型加
熱手段としての誘導加熱装置5が設けられている。上下
一対の誘導加熱コイル5C,5Cは、外径矯正型1の上
下両面にそれぞれ対向配置されており、外径矯正型1の
下部の矯正位置1Bに圧入されているワークWを最高到
達温度300〜500℃まで誘導加熱できるものであ
る。この温度範囲において、ワークWの材質や目的焼戻
し処理に応じた焼戻し温度の設定を行う。このステージ
S6は、ワークWの焼戻し変形矯正を行う工程として機
能する。ワークWは焼戻しの進行に伴いε炭化物を析出
拡散させ、マルテンサイトが正方晶から立方晶になって
靭性が付与される。同時に、この過程で現れる塑性を利
用して変形矯正を行うものであり、ここで処理された後
のワークWの外径は、旋盤で旋削された外径寸法に対し
て次に述べる冷却のステージの終了後で0.2〜0.5
%程収縮する。
【0021】冷却ゾーンRz:(図1参照) ステージS6の直後からステージS7にかけて設けられ
たゾーンで、これ以前の工程で加熱された外径矯正型1
及びワークWを冷却する工程として機能する。外径矯正
型1とワークWとの双方を冷却することで、ステージS
7でのワークWの取り出し,型内径の洗浄やステージS
1での次サイクルのワークWのセットを無理なく行うた
めのものである。冷却方法は空冷式であり、外径矯正型
1の内径温度は50℃程度,ワークWの温度は20℃程
度まで冷却可能である。
【0022】ステージS7:(図1,図8参照) ワーク取り出しステージである。ターンテーブルTの上
方にワークWと同軸に、図外の昇降手段で昇降駆動され
る回転式の洗浄器8が配設されている。洗浄器8の先端
部は、外径矯正型1の内径面である上部の矯正位置1
A,下部の矯正位置1B及びその両位置を連結するテー
パ面に対応させた形状を有してその表面にワイヤブラシ
が植設されている。また、ターンテーブルTの下方には
外径矯正型1から取り出したワークWを搬送するシュー
ト9が配置されている。
【0023】前記洗浄器8とシュート9とでワーク取り
出し手段を構成しており、このステージS7はワークW
の取り出し及び外径矯正型1内径面の洗浄工程として機
能するものである。冷却されたワークWの外径は、外径
矯正型1の内径寸法よりも0.2〜0.5%程小さくな
り、したがってワークWは下降する洗浄器8に軽く押さ
れただけでシュート9に自然落下して装置外に取り出さ
れる。その後、洗浄器8は回転して外径矯正型1の内径
面に付着した焼入れ時の粉塵を除去するものである。
【0024】次に、上記環状体の変形矯正熱処理装置の
作用を述べる。本装置では、主要な加熱手段に誘導加熱
を採用したため、ワーク温度上昇の急速化が可能とな
り、且つターンテーブル方式を用いたことで各処理工程
を同時進行させることができて処理時間の大幅な短縮が
可能になり、量産に十分対応できる。また、一個の外径
矯正型1に焼入れ用の矯正部である上部の矯正位置1A
と焼戻し用の矯正部である下部の矯正位置1Bとを併設
してあるから、本装置一台で焼入れ,焼戻しを完了させ
ることができ、従来のような両者間の処理タクトの問題
は生じる余地がない。もっとも、本装置による焼入れ単
独または焼戻し単独の処理も可能であり、それらの処理
を自由に選択することで現場設備や処理タクト等の要請
に応じた効率の良い熱処理が可能である。
【0025】本装置の各ステージS1〜S7におけるワ
ーク処理時間は、ワークWの形状やサイズに応じて設定
され通常2〜10秒の範囲である。この処理時間で各ス
テージS1〜S7において並行的に同時処理を行い、タ
ーンテーブルTの回転で順次下流のステージSに進行す
る。したがって、本装置のワーク1個あたりの処理能力
は2〜10秒/個である。
【0026】先ず、ワークセット工程であるステージS
1で、生材のワークWが自動供給装置10により外径矯
正型1の上部の矯正位置1Aに挿入される。このとき、
支え治具2は上限位置に上昇している。ワークWの内径
は外径矯正型1の内径より1〜1.2%小さいため、落
下したワークWは自然に支え治具2の上に置かれた状態
になる。すると、ターンテーブルTが所定角度回転して
ワークWを入れた外径矯正型1は次の型内径予熱工程で
あるステージS2に送られる。
【0027】ステージS2で、上下に退避していた保温
用ホットプレート4,4が昇降駆動されて閉じ、外径矯
正型1の上下面にそれぞれ当接して型内径近傍を300
〜400℃に伝熱加熱する。その後直ちに保温用ホット
プレート4,4は開き、ターンテーブルTが再び回転し
てワークWを入れた外径矯正型1は次の矯正焼入れ工程
であるステージS3に送られる。
【0028】ステージS3では、誘導加熱コイル5Cに
よる誘導加熱が行われて、ワークWは最高温度820〜
1200℃に加熱されて熱膨張し、その外径面が外径矯
正型1の上部の矯正位置1Aの面に密着して拘束され
る。ワークWが予め設定した規定の最高温度に到達した
後に誘導加熱を終了し、直ちに冷却液噴射装置6を下降
させて冷却液噴射口6aから冷却液をワーク内径面に噴
射し急冷して焼入れを完了する。ワークWはオーステナ
イト状態で拘束されるため、最小限の焼入れ変形で済
む。この処理後のワークWの外径寸法は、旋削加工され
た生材の外径より0.1〜0.3%程膨張している。
【0029】焼入れが完了したワークWは、ターンテー
ブルTの回転で次の焼戻し矯正位置セット工程であるス
テージS4に送られる。ステージS4では、圧入治具7
を下降させて、焼入れ時に外径矯正型1の上部の(焼入
れ)矯正位置1AにあったワークWを下部の(焼戻し)
矯正位置1Bにセットし直す。ワークWは軽く圧入さ
れ、その外径面が型に密着する。
【0030】この外径矯正型1とワークWとが、ターン
テーブルTの回転で次の型内径予熱工程であるステージ
S5に送られる。ステージS5では、上下に退避してい
た保温用ホットプレート4,4が昇降駆動されて閉じ、
外径矯正型1の上下面にそれぞれ当接して型内径近傍を
150〜250℃に予熱する。これにより外径矯正型1
と接触するワークWの外径側の温度勾配が軽減される結
果、次工程で均等な焼戻し品質を確保することができ
る。予熱後直ちに保温用ホットプレート4,4は開き、
ターンテーブルTが再び回転してワークWを入れた外径
矯正型1は次の矯正焼戻し工程であるステージS6に送
られる。
【0031】ステージS6では、誘導加熱コイル5Cに
よる誘導加熱が行われて、ワークWは材質等に応じ最高
温度300〜500℃に焼戻し加熱される。加熱開始か
らワークWは熱膨張を始めてその外径面が外径矯正型1
の下部の矯正位置1Bの面に強く密着して拘束される。
ワークWが予め設定した規定の最高温度に到達した後に
誘導加熱を終り焼戻しを完了する。ワークWはこの過程
で現れる塑性を利用して変形矯正される。焼戻しが完了
したワークWは、ターンテーブルTの回転で、次の冷却
ゾーンRzを経て最後のステージS7に送られる。
【0032】冷却ゾーンRzでは、温度が高くなってい
る外径矯正型1が及びワークWが空冷されて、型内径温
度は50℃、ワーク温度は20℃程度になる。ステージ
S7で、ワーク取り出し及び型内径洗浄が行われる。即
ち冷却ゾーンRzで冷却されたワークWは、型内径より
も0.2〜0.5%程小さくなっており、洗浄器8を下
降させることで容易に突き出されてシュート9に自然落
下する。その後、洗浄器8を回転させて、焼入れ時に外
径矯正型1の内径面に付着した粉塵を除去し清浄にす
る。
【0033】こうして、1サイクルを終了した後、引き
続き次サイクル以降を上記同様に繰り返すことにより、
環状体の変形矯正熱処理を連続的に行い製品を量産する
ことができる。
【0034】(実施例)以下、本発明の環状体の変形矯
正熱処理装置を用いて行った熱処理試験について、図面
を参照して説明する。
【0035】この試験の供試環状体であるワークWとし
て、外径47.3mm,内径43.3mm,高さ7mm
のSUJ2リングを主体に用いた。また、ワークWの焼
入れ温度は840℃と1050℃、焼戻し温度は320
℃(低温焼戻し)と460℃(高温焼戻し)の2種類づ
つとした。また、外径矯正型1の内径温度は、焼入れ前
230〜430℃、焼戻し前50〜270℃、取り出し
前50〜150℃の範囲で試験を行った。なお、上記ワ
ークWの温度は、その内径部の最高到達温度を示したも
のである。
【0036】表1に各実施例A1 〜A7 ,B1 〜B5 ,
C1 〜C5 ,D1 ,E1 ,F1 についての、また表2に
各比較例G1 〜G5 ,H1 ,I1 ,J1 ,K1 について
の熱処理条件〔ワークWの材質,形状,熱処理区分,焼
入れ温度,焼戻し温度,加工率,型(内径面)温度,1
個当たり処理時間〕を示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】ここで、加工率(%)とは、(ワーク外径
−外径矯正型内径)/外径矯正型内径×100で求めら
れ、矯正加工の程度を表す。また、表1中、熱処理区分
の表記の内容は次の通りである。
【0040】 Q+T:矯正焼入れ+矯正焼戻し Q :矯正焼入れ+フリー焼戻し(加工率0%の焼戻し) T :フリー焼入れ(加工率0%の焼入れ)+矯正焼戻し F :フリー焼入れ+フリー焼戻し 1st :1ステージによる変形矯正装置を用いたもの(すなわち、全ステー ジを直列的に処理を行ったもの) また、表3に上記の各実施例についての、表4に各比較
例についての試験結果、即ち焼入れ後真円度,焼戻し後
真円度,品質,型寿命(同一型の最大処理回数)をそれ
ぞれ示した。
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】表3,表4中、品質評価は供試環状体の断
面硬さ(ビッカス硬さHv)と、その5点測定による最
大値と最小値との差(max−min)で行った。ma
x−minの値が小さいもの程硬さムラが少なく品質の
均等性が良好である。
【0044】上記の表1,表2及び表3,表4のデータ
をグラフにプロットしたものを図9〜図15に示す。以
下、これらの各図について述べる。
【0045】図9は、焼入れ前の型温度と供試環状体の
硬さムラ及び焼入れ処理時間との関係を示している。型
温度の上昇とともに硬さムラが少なくなる傾向があり、
250℃以下ではHv20を超えるムラとなり品質が不
均一で好ましくない。
【0046】処理時間については、この実験では装置の
構造上、外径矯正型1の内径近傍を予熱するホットプレ
ート4の最高温度が500℃である。この保温用ホット
プレート4で型温度を430℃まで上昇させるに必要な
処理時間は最大12秒であった(比較例G2 )。この時
間が本装置における全工程の処理タクトを決める要因で
あり、量産時の生産効率を考慮すると処理時間は10秒
以下とすることが望ましい。
【0047】以上の結果から、本発明の焼入れ前の型温
度は250〜400℃とするのが良い。すなわち、焼入
れ前型温度が250℃未満では供試環状体の品質(硬さ
ムラ)が悪くなり、一方400℃を超えると生産性が悪
く量産に不利となる。
【0048】図10は、焼戻し前の型温度と供試環状体
の硬さとの関係を示している。図1の焼入れ前の場合と
同じく型温度の上昇とともに硬さムラが少なくなる傾向
があるが、焼入れと比較して型温度は低くなっている。
しかし型温度100℃未満では硬さムラがHv20を超
えてしまい品質が不均一で好ましくない。一方、型温度
が250℃を超えると比較例G4 のように製品硬さがH
v600以下となってしまい硬さを必要とする例えば軸
受軌道輪の等の部品の場合には適しない。
【0049】以上の結果から、本発明の焼戻し前の型温
度は100〜250℃とするのが良い。図11は、取り
出し前の型温度と型寿命との関係を示している。取り出
し前の型温度が100℃を超えると(比較例G5 )、型
寿命が急激に低下する。
【0050】以上の結果から、本発明の取り出し前の型
温度は100℃以下とするのが良い。図12は、矯正焼
入れの加工率と矯正後のワーク真円度(外径及び内径)
との関係を示している。
【0051】また図13は、矯正焼戻しの加工率と矯正
後のワーク真円度(外径及び内径)との関係を示してい
る。両図とも、矯正前(矯正なし)のワークの真円度は
120〜130μm(比較例J1 参照)と最悪品を対象
としている。加工率の下限はワーク外径及び内径ともに
0.02%から矯正可能である。その後は、ワーク外径
については加工率の上昇とは無関係にほぼ一定の真円度
が維持される。しかしワーク内径については、加工率の
上昇にともない真円度が悪化する傾向が認められる。こ
れはワークの偏肉,偏心が内径側に影響を及ぼすためで
ある。いずれにしても、例えば次工程に研削工程が必要
な場合、取代をできるだけ小さくするため、真円度は最
悪でも55μm以下としたく、そのためにはワーク径の
矯正率=(矯正前真円度−矯正後真円度)/矯正前真円
度×100を60%程度とすることが必要である。図1
2の結果から矯正焼入れ加工率は0.02〜0.5%と
し、また図13の結果から矯正焼戻し加工率は0.02
〜0.9 %の範囲とするのが良い。
【0052】図14は、ワーク外径についての焼入れ後
真円度と焼戻し後真円度との関係を処理区分別に整理し
て示したものである。図15は、ワーク内径について、
同様に焼入れ後真円度と焼戻し後真円度との関係を処理
区分別に整理して示したものである。
【0053】両図14,15での処理区分について、Q
+T,Q,T,及びFの意味は前記の通りであり、その
後の数値は順に焼入れ温度及び焼戻し温度を示す。例え
ば○は840℃で矯正焼入れ後、320℃で矯正焼戻し
を行ったもの、■は840℃でフリー焼入れ後、460
℃で矯正焼戻しを行ったものであることを示す。
【0054】矯正加工率は全て0.02%のもののみと
りあげた。図14,15の結果から、処理後の真円度5
0μm以下を満足し、より好ましくは30μm以下を満
足するためには、Q+T(矯正焼入れ+矯正焼戻し)処
理を行うとよいことがわかる。
【0055】但し高温焼戻し、すなわち46℃での焼戻
しの場合については、T処理でも矯正テンパー効果が大
きいため、十分な真円度を得ることが可能となる。比較
例K1 は、矯正焼入れ及び矯正焼戻しの加工率の条件
と、各段階の型温度とをいずれも前記の好ましい範囲と
しているので、真円度,品質とも良好である。しかし、
装置の構造上、一つのワーク毎に矯正焼入れ及び矯正焼
戻しが終了するまで待たねばならず、ワーク1個あたり
の処理時間が30秒必要であった。このため、多数のワ
ークを連続的に処理する実際の熱処理設備の場合には、
熱処理工程に長時間を要してしまい生産効率を下げる要
因となる。
【0056】これに対し本発明の装置では、ターンテー
ブル上にそれぞれ外径矯正型を有する複数個のステージ
を配した構造としており、同時に複数ワークの処理が進
められる。このため、多数のワークを連続的に処理する
場合、本実施例の場合で4〜10秒の間隔で処理済のワ
ークを得ることができる。
【0057】なお、上記実施形態例の説明では、環状体
の変形矯正熱処理を矯正焼入れQと矯正焼戻しTとの併
用即ちQ+Tの工程で行うものを説明したが、本発明の
環状体の変形矯正熱処理装置はこれに限らず、矯正焼入
れ又は矯正焼戻し工程のいずれか一方の処理のみを行う
ようにしてもよい。
【0058】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の環状体の
変形矯正熱処理装置によれば、ターンテーブル上に複数
個のステージを円周等分に配し、各ステージにそれぞれ
外径矯正型を設置するとともに、それら複数個のステー
ジをワーク供給ステージと予熱ステージと矯正焼入ステ
ージ及び矯正焼戻しステージの少なくとも一方とワーク
取り出しステージとで構成したため、高寸法精度を有す
る熱処理ずみ環状体を連続的に効率良く生産することが
できて、その結果、高寸法精度の熱処理ずみ環状体を環
境汚染のおそれなしに低コストで提供できるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例の全体配置を示す平面図
である。
【図2】ワーク供給ステージの断面図である。
【図3】(焼入れ)予熱ステージの断面図である。
【図4】矯正焼入ステージの断面図である。
【図5】矯正焼戻し位置セットステージの断面図であ
る。
【図6】(焼戻し)予熱ステージの断面図である。
【図7】矯正焼戻しステージの断面図である。
【図8】ワーク取り出しステージの断面図である。
【図9】焼入れ前の型温度と供試環状体の硬さムラ及び
焼入れ処理時間との関係を示すグラフである。
【図10】焼戻し前の型温度と供試環状体の硬さとの関
係を示すグラフである。
【図11】取り出し前の型温度と型寿命との関係を示す
グラフである。
【図12】矯正焼入れの加工率と矯正後のワーク真円度
(外径及び内径)との関係を示すグラフである。
【図13】矯正焼戻しの加工率と矯正後のワーク真円度
(外径及び内径)との関係を示すグラフである。
【図14】ワーク外径についての焼入れ後真円度と焼戻
し後真円度との関係を処理区分別に整理して示すグラフ
である。
【図15】ワーク内径についての焼入れ後真円度と焼戻
し後真円度との関係を処理区分別に整理して示すグラフ
である。
【符号の説明】
1 外径矯正型 4 型予熱手段 5 誘導加熱装置(ワーク加熱手段) 5C 加熱コイル(ワーク加熱手段) 6 ワーク冷却手段 8 洗浄器(ワーク取り出し手段) 9 シュート(ワーク取り出し手段) 10 ワーク供給手段 T ターンテーブル S1 ワーク供給ステージ S2 予熱ステージ S3 焼入れ矯正ステージ S5 予熱ステージ S6 焼戻し矯正ステージ S7 ワーク取り出しステージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16C 33/64 F16C 33/64

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ターンテーブル上に、円周等分に配した
    複数個のステージを備え、各ステージにそれぞれ外径矯
    正型を配置するとともに、前記複数個のステージが、型
    へのワーク供給手段を有するワーク供給ステージと、型
    予熱手段を有する予熱ステージと、ワーク加熱手段とワ
    ーク冷却手段とを有する矯正焼入ステージ及びワーク加
    熱手段のみを有する矯正焼戻しステージの少なくとも一
    方と、ワーク取り出し手段を有するワーク取り出しステ
    ージとからなることを特徴とする環状体の変形矯正熱処
    理装置。
JP4191896A 1996-02-28 1996-02-28 環状体の変形矯正熱処理装置 Pending JPH09235618A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003277881A (ja) * 2002-03-25 2003-10-02 Jfe Steel Kk 高周波熱処理部の転動疲労特性および加工性に優れた軸受部材
WO2007013279A1 (ja) * 2005-07-27 2007-02-01 Kikuchi Co., Ltd. 加熱装置及び加熱方法
KR101110630B1 (ko) * 2009-11-11 2012-02-15 범아유니텍(주) 대형 베어링 교정장치 및 교정방법
JP2012031485A (ja) * 2010-07-30 2012-02-16 Neturen Co Ltd 熱処理装置及び熱処理方法
JP2012087348A (ja) * 2010-10-18 2012-05-10 Mitsubishi Motors Corp ピニオンギヤ高周波加熱処理装置とその熱処理方法
JP2017020090A (ja) * 2015-07-14 2017-01-26 電気興業株式会社 熱処理装置

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