JPH079042B2 - 薄肉環状部品の高周波焼入方法及びその高周波焼入装置 - Google Patents

薄肉環状部品の高周波焼入方法及びその高周波焼入装置

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JPH079042B2
JPH079042B2 JP1307288A JP30728889A JPH079042B2 JP H079042 B2 JPH079042 B2 JP H079042B2 JP 1307288 A JP1307288 A JP 1307288A JP 30728889 A JP30728889 A JP 30728889A JP H079042 B2 JPH079042 B2 JP H079042B2
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Description

【発明の詳細な説明】 a. 産業上の利用分野 本発明は、肉厚の薄い円筒体等の如き形状を有する薄肉
環状部品の高周波焼入方法及びその高周波焼入装置に関
するものである。
b. 従来の技術 機械部品としての環状部品は大小様々あるが、これらの
環状部品は強化のために焼入れを施して使用に供される
場合が極めて多い。ところが、肉厚が例えば2mm以下の
薄肉環状部品については、高周波焼入れするに当って可
成り大きな焼入歪を生じ易いのが実状である。すなわ
ち、第10図に示す如く、円筒形状の薄肉環状部品(被焼
入物)30を焼入治具31の円柱部32の外周に嵌着すると共
にそのフランジ部33上に載置し、この状態の下で薄肉環
状部品30を高周波誘導加熱コイル34にて所要の焼入温度
に加熱した後に、高周波誘導加熱コイル34に設けられた
冷却水噴射孔35からの噴射冷却水によって急冷して焼入
れすると、薄肉環状部品30の半径方向における変形や上
下方向における反り等の焼入歪が大きく発生する。この
傾向は、被焼入物たる薄肉環状部品30の肉厚tが薄くな
ればなるほど顕著となる。
そこで従来では、この種の薄肉環状部品30の低歪高周波
焼入方法として、第11図(a),(b)に示す如き方法
にて薄肉環状部品30の焼入処理を行なっている。すなわ
ち、まず始めに、薄肉環状部品30を第11図(a)に示す
ように焼入治具31に装着して高周波誘導加熱コイル34に
て所要の焼入温度に加熱し、この後に加熱状態の薄肉環
状部品30を焼入治具31から取り外して第11図(b)に示
すように所定と外径寸法を有する芯金(治具)36に密着
状態で嵌装し、次いで噴射冷却或いは冷却液中への浸漬
冷却を施すことにより焼入処理を行ない、これによって
歪の発生を抑えるようにしていた。
c. 発明が解決しようとする課題 しかしながら、上述の如き従来の焼入方法では次のよう
な問題点があった。
すなわち、第11図(a),(b)に示す焼入方法では、
薄肉環状部品30の高周波誘導加熱後にこの部品30を芯金
36に嵌装する作業を必要とするため焼入作業が繁雑とな
る。また、部品30の肉厚が可成り薄い場合には、加熱後
の温度降下が顕著なため、部品30の材質によっては、不
完全な焼入組織となり易い。その上、芯金36の外径寸法
を歪防止効果を充分に得られる程度に設定して焼入処理
を行なうと、被焼入物である薄肉環状部品30は冷却後に
前記芯金36に焼嵌めされてしまうこととなり、従って冷
却後に芯金36から部品30を取り外すのにプレス抜出し作
業等を必要としていた。
本発明は、このような種々の問題点を解決するためにな
されたものであって、その目的は、極めて簡単な手段に
より薄肉環状部品を効率良く焼入れすることができ、し
かも焼入歪の発生を極力抑えることができるような薄肉
環状部品の高周波焼入方法及びその高周波焼入装置を提
供することにある。
d. 課題を解決するための手段 上記の目的を達成するために、本発明に係る薄肉環状部
品の高周波焼入方法においては、薄肉環状部品の軸心方
向の一端側部分及び他端側部分を、少なくとも一方が対
向方向に沿って相対的に移動可能に配設された一対の保
持治具のテーパ面に環状の線接触をなすように係合せし
め、この状態で前記薄肉環状部品を前記一対の保持治具
の間に保持し、焼入処理のために高周波誘導加熱コイル
にて前記薄肉環状部品を加熱して冷却するに際し、加熱
時に生じる前記薄肉環状部品の膨張及び冷却時に生じる
前記薄肉環状部品の収縮にそれぞれ応じて、前記一対の
保持治具の少なくとも一方を挾持方向に沿って追従移動
せしめて前記一対の保持治具のテーパ面と薄肉環状部品
の一端側部分及び他端側部分との間の線接触の係合を常
に維持した状態にすることにより、前記薄肉環状部品に
焼入歪が発生するのを抑えるようにしている。
また、本発明に係る薄肉環状部品の高周波焼入装置にお
いては、 <a>焼入処理すべき薄肉環状部品の軸心方向の一端部
分が環状に線接触されるテーパ面を有する第1の保持治
具と、 <b>前記薄肉環状部品の軸心方向の他端部分が環状に
線接触されるテーパ面を有する第2の保持治具と、 <c>前記薄肉環状部品を前記第1及び第2の保持治具
の間に所要の挾持力にて保持し、前記薄肉環状部品の膨
張及び収縮にそれぞれ応じて前記第1及び第2の保持治
具のテーパ面と前記薄肉環状部品の一端部分及び他端部
分との環状の線接触を常に維持するように、前記第1及
び第2の保持治具のうちの少なくとも一方を他方に向け
て常時押圧する押圧力付与手段と、 <d>前記第1及び第2の保持治具の間に挾持された前
記薄肉環状部品を加熱する高周波誘導加熱コイルと、 <e>前記高周波誘導加熱コイルにて加熱された前記薄
肉環状部品を冷却する冷却手段と、 をそれぞれ設けるようにしている。
以下、本発明の一実施例に付き第1図〜第6図を参照し
て説明する。
第1図は本発明に係る高周波焼入方法を実施するための
高周波焼入装置1を示すものであって、本装置1は薄肉
環状部品の1種であるベアリング用外側保持部品2を焼
入れするのに用いられるものである。被焼入物たるベア
リング用外側保持部品2は、第2図に示すように、肉厚
2mm以下の薄肉鋼板をプレス成型してこれを円環状に構
成して成るものであり、一端側にフランジ3が形成され
ると共に、鋼球保持用の多数の孔部4が等間隔を置いて
形成されている。このように、ベアリング用外側保持部
品2は、薄肉でありかつその形状が複雑であるため、こ
れを焼入れする際に変形(焼入歪)を生じ易い部品の1
つである。
本例の高周波焼入装置1は、ベアリング用外側保持部品
2を所要の挾持力にて保持しつつ回転を与えるための一
対の保持治具5,6と、これらの保持治具5,6にて教示され
た前記部品2を高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイ
ル7と、加熱された前記部品2を冷却するための冷却環
8及び水槽9とをそれぞれ具備している。
上述の保持治具5,6は、非磁性ステンレス材から成り、
これら両治具5及び6にはその上面及び下面の中央に軸
10及び11がそれぞれ同軸状に結合されている。そして、
上方の保持治具5の軸10が第1図において矢印A,B方向
(上下方向)に移動可能に構成されると共に、その軸心
を中心に矢印C方向に回動駆動されるように構成されて
いる。さらに、この保持治具5には図外の押圧力付与手
段(錘,ばね等)にて挟持方向(矢印A方向)に常に所
定の押圧力が常時付与されるようになっている。また、
下方の保持治具6の底面6aは、水槽9の底壁9a上に固定
される一方、その軸11が水槽9の孔9bに挿通されて図外
の装着基台に軸心を中心に矢印C方向に回転自在に取付
けられている。なお、この軸11は上下方向(矢印A,B方
向)には移動しないように固定されている。
さらに、保持治具5,6及び軸10,11の軸心は互いに同一の
直線上に配置されており、一対の保持治具5,6が上下方
向において互いに対向配置されている。
また、上下一対の保持治具5,6には、互いに対向する面
の側に円錐台形状のテーパ面12,13がそれぞれ形成され
ている。なお、これらのテーパ面12,13の傾斜角すなわ
ち保持治具5,6の軸心に対するテーパ面12,13の交差角θ
1は、第3図に示すように、互いに等しく45゜に設
定されている。
一方、ベアリング用外側保持部品2を高周波誘導加熱す
るための高周波誘導加熱コイル7は、当該部品2の半径
よりも約2mm程度大きい半径となるように環状に巻回さ
れており、コイル7自身を冷却するためにその内部に冷
却水路7aを有している。そして、この冷却水路7aの一端
は図外の冷却水供給パイプに、またその他端は図外の排
水パイプに接続されている。
また、上述の冷却環8は、ベアリング用外側保持部品2
を取り囲むように環状に巻回されており、その内部に冷
却水路8aが設けられている。この冷却水路8aは第1図に
示すように仕切部14によって内側室15と外側室16とに区
画されており、給水パイプ17から供給された冷却水はま
ず外側室16に導かれてからこの外側室16を通って内側室
15に導かれ、しかる後に排水パイプ18から排水されるよ
うになっている。さらに、第1図に示すように、内側室
15に連通する複数の噴射孔19が冷却環8の内周壁に形成
されると共に、外側室16に連通する複数の噴射孔20が冷
却環8の底壁に形成されている。
次に、このような構成の高周波焼入装置1を用いてベア
リング用外側保持部品2を高周波焼入する際の操作並び
に作用につき述べる。
まず、被焼入物である環状のベアリング用外側保持部品
2の開口内の下方の保持治具6を挿嵌することによりこ
の部品2を保持治具6のテーパ面13上に載置する。次い
で、上方の保持治具5に図外の押圧力付与手段からの押
圧力を作用させることによりこの保持治具5を矢印A方
向(下方)に駆動し、前記部品2を例えば約5.0kg重の
荷重で常時押圧し、この状態の下で図外の回転駆動機構
にて下方の保持治具6に矢印C方向の回転を与える。こ
の際、前記部品2を保持治具6に対して水平に載置しな
くても、すなわち傾斜した状態で載置したとしても、上
下2つの保持治具5,6間で挟持されかつ回転が付与され
ることによって、前記部品2は自動的に水平状態(第1
図に示す状態)になる。その結果、前記部品2の軸心方
向における上下部品の内径側角部が保持治具5,6のテー
パ面12,13に円環状にぴったりと線接触した状態で約5.0
kg重の力で挾持される。
このようにして前記部品2を保持治具5,6間に挾持した
後に、高周波誘導加熱コイル7に高周波電流を供給して
前記部品2を所要温度に加熱する。この際、加熱に伴っ
て前記部品2が膨脹して直径が大きくなるが、前記部品
2の上下の内径側角部が上下の保持治具5,6のテーパ面1
2,13にそれぞれ円環状に線接触されかつ所定の挾持力が
作用しているので、テーパ面12,13上のすべり作用にて
円環状の線接触状態が常に維持される。従って、前記部
品2と前記テーパ面12,13との間の係合により、前記部
品2の上下部分の変形が防止される。なおこの場合、上
側の保持治具5から前記部品2への押圧力が強すぎる
と、前記部品2は上下の開口部分が中央部分よりも大き
く広がって“ツヅミ”形となってしまうが、本例の場合
には前記部品2の内径、肉厚、高さ等に応じて押圧力を
約5.0kg重(比較的小さな力)に設定しているため、
“ツヅミ形になってしまうようなことはない。また、加
熱時には部品2と保持治具5,6とは円環状線接触状態で
ある故、部品2から保持治具5,6へ熱が殆ど逃げること
がない。
上述の如く加熱処理をした後に、高周波誘導加熱コイル
7への通電を停止し、直ちに給水パイプ17を介して冷却
環8の外側室16内に冷却水を供給する。これに伴い、冷
却水は、噴射孔20を通して下方へ放出され、水槽9内に
溜められる。そして、この冷却水が水槽9内に満たされ
て前記部品2が水没する水位になると同時に噴射孔20が
水没し、この後に冷却水が冷却環8の内側室15に導入さ
れて噴射孔19から前記部品2に向けて水平方向(横方
向)に噴射される。従って、前記部品2は、水槽9内に
溜められた冷却水中に浸漬されて急冷されると共に噴射
孔19からの噴射冷却水にて急冷される。この場合、水平
方向のみから冷却水を噴射して前記部品2の冷却を行な
うと複雑形状の前記部品2は均一冷却されないが、本例
のように浸漬冷却と噴射冷却とを併用するようにしてい
るので前記部品2を均一冷却することができる。
なお、前記部品2を加熱後に急冷すると一旦収縮した後
にマルテンサイト化により再び膨脹することとなるが、
この部品2は既述の如く上下の保持治具5,6と円環状の
線接触を保ちながら収縮及び膨脹に常に相対的に追従移
動するため、変形の発生は効果的に抑えられる。
しかる後、第1図に示す装置1を用いて高周波焼戻しを
行ない、これにより一連の焼入作業を終了する。
以下に、本発明に係る焼入方法を実施した具体例を述べ
る。
具体例 (1) ベアリング用外側保持部品の材質 S35C (2) ベアリング用外側保持部品の寸法 本体の外径:88.50±0.1mm ツバ部の外径:91.40±0.1mm 高さ:18.10mm 孔部:5.0×12.50mm 肉厚:1.6mm (3) 保持治具による押圧力 5.0kg重 (4) 高周波焼入条件 〈a〉加熱条件 (イ)周波数:200KHz (ロ)入力:32KW (ハ)加熱時間:5sec 〈b〉冷却条件 (イ)冷却液:ユーコンクエンチャントA10% (ロ)圧力:3.5kg/cm2 (ハ)流量:下方向;15/min 水平方向;20/min (ニ)冷却時間:2.0sec (5) 高周波焼戻条件 〈a〉加熱条件 (イ)周波数:8KHz (ロ)入力:28KW (ハ)加熱時間:2.0sec 〈b〉冷却条件 (イ)冷却液:ユーコンクエンチャントA10% (ロ)圧力:3.5kg/cm2 (ハ)流量:下方向;15/min 水平方向;20/min (6) 実施結果 〈i〉高周波焼入後の断面硬さを測定したところ、第4
図に示す如き結果を得た。
第4図に示すように、焼入後の部品はビッカース硬度
(Hv)550〜600の範囲で充分に硬化されていることが確
認された。
〈ii〉高周波焼戻後の断面硬さを測定したところ、第5
図に示す如き結果を得た。
第5図に示すように、焼戻後の部品はビッカース硬度35
0〜450の範囲に焼戻されていることが確認された。
〈iii〉焼入及び焼戻によって部品に発生した変形量を
測定したところ、第6図(a),(b),(c)に示す
如き結果を得た。
この測定に際しては、部品の軸心方向における上端部、
下端部、上下方向の中間部の外周箇所にダイアルゲージ
の測定端子を当ててこのダイアルゲージを固定し、部品
を回転させ、基準寸法に対して最大値及び最小値を測定
した。その結果、上端部の測定結果は、第6図(a)、
中間部の測定結果は第6図(b)、下端部の測定結果は
第6図(c)に示す如であった。
第6図(a),(b),(c)から明らかなように、焼
入により部品は膨脹しており、上下端部より中間部の方
が僅かに大きな値を示しており、焼戻により少々収縮し
ているが最大値並びに最小値は0〜0.5mm程度と許容範
囲内におさまっていることが確認された。
以上のように、本例によれば、大きな焼入歪を生じるこ
となくベアリング用外側保持部品2を効率良く焼入処理
することができる。また、焼入作業時には、前記部品2
を保持治具5,6に容易に装着でき、しかも焼入処理後に
は前記部品2を保持治具5,6から容易に取り外すことが
できる。
以上、本発明の一実施例に付き述べたが、本発明は既述
の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思
想に基いて各種の変形及び変更が可能である。
例えば、既述の実施例では、水槽9を下方の保持治具6
の底面に固定するようにしているが、第7図に示すよう
に水槽9と保持治具6とを互いに分離し、水を溜めた水
槽9内に冷却環8を配置し、第7図において一点鎖線で
示すように前記部品2を水面より上部で高周波誘導加熱
コイル7にて加熱した後に、保持治具5,6間に前記部品
2を挾持した状態のまま下降させて水槽9内の水中に浸
漬し、冷却環8の噴射孔19より冷却水を水平方向に噴射
させて冷却する方法も採用可能である。
また、高周波焼入後の焼戻処理は、高周波誘導加熱コイ
ル7を用いることなく、加熱炉を用いて行なってもよ
い。
また、加熱された部品2の冷却方法は、部品2の肉厚及
び形状によっては、冷却環8の噴射孔19よりの噴射水の
み、すなわち浸漬冷却のみでも焼入冷却が可能である。
また、保持治具5,6のテーパ面12,13の角度θ1は被
焼入物の材質,肉厚,寸法等に応じて変更可能である。
また、テーパ面12,13は円錐台の外周面でなく、第8図
に示す如く断面が弧状に湾曲したテーパ面21,22であっ
てもよく、第9図に示すように部品2を外側から取り囲
むようテーパ面23,24であってもよい。
さらに、本発明は、ベアリング用外側保持部品2に限ら
ず、カラー等の薄肉環状部品にも適用し得ることは言う
迄もない。
e. 発明の効果 以上の如く、本発明に係る高周波焼入方法は、薄肉環状
部品の両端部を一対の保持治具のテーパ面に常に環状に
線接触させた状態でこれらの間に挾持して高周波誘導加
熱及び冷却するようにしたものであるから、加熱及び冷
却時における前記部品の膨脹及び収縮に対して保持治具
が相対的に追従移動し、保持治具のテーパ面と部品との
線接触状態が常に維持されることとなり、その結果、部
品の焼入歪の発生を効果的に最小限に抑えることができ
る。
また、本発明に係る高周波焼入装置によれば、一対の保
持治具の対向部側にテーパ面を形成するだけの簡単な構
成でありながら、焼入歪の極めて少ない焼入処理を効率
良くしかも簡単な操作によって行なうことができる。
さらに、本発明に係る方法及び装置によれば、加熱膨張
時及び冷却収縮時の何れにおいても薄肉環状部品の軸心
を一定位置に維持し得て、この部品を高周波誘導加熱コ
イルに対して常に同軸状に保持でき、ひいては加熱むら
の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は本発明の一実施例を示すものであっ
て、第1図は高周波焼入装置の概略断面図、第2図はベ
アリング用外側保持部品の斜視図、第3図は一対の保持
治具の正面図、第4図は高周波焼入後の部品の断面硬さ
の測定結果を示すグラフ、第5図は高周波焼戻後の部品
の断面硬さの測定結果を示すグラフ、第6図(a),
(b),(c)は焼入処理後の部品の変形量をそれぞれ
示すグラフ、第7図は高周波焼入装置の変形例を示す概
略断面図、第8図及び第9図は保持治具のテーパ面の変
形例をそれぞれ示す断面図、第10図及び第11図は従来例
を示すものであって、第10図は焼入治具に部品を装着し
て加熱及び冷却する状態を示す断面図、第11図(a)は
焼入治具に部品を装着して加熱する状態を示す断面図、
第11図(b)は加熱した部品を芯金に装着して冷却する
状態を示す断面図である。 1……高周波焼入装置、 2……薄肉環状部品であるベアリング用外側保持部品、 5,6……保持治具、 7……高周波誘導加熱コイル、 8……冷却環、 9……水槽、 12,13,21,22,23,24……テーパ面、 19,20……噴射孔。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】薄肉環状部品の軸心方向の一端側部分及び
    他端側部分を、少なくとも一方が対向方向に沿って相対
    的に移動可能に配設された一対の保持治具のテーパ面に
    環状の線接触をなすように係合せしめ、この状態で前記
    薄肉環状部品を前記一対の保持治具の間に保持し、焼入
    処理のために高周波誘導加熱コイルにて前記薄肉環状部
    品を加熱して冷却するに際し、加熱時に生じる前記薄肉
    環状部品の膨張及び冷却時に生じる前記薄肉環状部品の
    収縮にそれぞれ応じて、前記一対の保持治具の少なくと
    も一方を挾持方向に沿って追従移動せしめて前記一対の
    保持治具のテーパ面と薄肉環状部品の一端側部分及び他
    端側部分との間の線接触の係合を常に維持した状態にす
    ることにより、前記薄肉環状部品に焼入歪が発生するの
    を抑えるようにしたことを特徴とする薄肉環状部品の高
    周波焼入方法。
  2. 【請求項2】前記一対の保持治具のうちの一方の保持治
    具を固定すると共に、他方の保持治具を挾持方向に沿っ
    て移動可能に配設し、前記他方の保持治具から前記薄肉
    環状部品に押圧力を常時作用させることにより、前記薄
    肉環状部品を所定の挾持力にて保持するようにし、前記
    挾持力の大きさを前記加熱時及び冷却時における前記保
    持治具の追従移動が可能な大きさに設定するようにした
    ことを特徴とする特許請求の範囲第(1)項に記載の薄
    肉環状部品の高周波焼入方法。
  3. 【請求項3】前記一対の保持治具を回転させることによ
    って、前記薄肉環状部品をこれらの保持治具と一緒に回
    転させるようにしたことを特徴とする特許請求の範囲第
    (2)項に記載の薄肉環状部品の高周波焼入方向。
  4. 【請求項4】<a>焼入処理すべき薄肉環状部品の軸心
    方向の一端部分が環状に線接触されるテーパ面を有する
    第1の保持治具と、 <b>前記薄肉環状部品の軸心方向の他端部分が環状に
    線接触されるテーパ面を有する第2の保持治具と、 <c>前記薄肉環状部品を前記第1及び第2の保持治具
    の間に所要の挾持力にて保持し、前記薄肉環状部品の膨
    張及び収縮にそれぞれ応じて前記第1及び第2の保持治
    具のテーパ面と前記薄肉環状部品の一端部分及び他端部
    分との環状の線接触を常に維持するように、前記第1及
    び第2の保持治具のうちの少なくとも一方を他方に向け
    て常時押圧する押圧力付与手段と、 <d>前記第1及び第2の保持治具の間に挾持された前
    記薄肉環状部品を加熱する高周波誘導加熱コイルと、 <e>前記高周波誘導加熱コイルにて加熱された前記薄
    肉環状部品を冷却する冷却手段と、 をそれぞれ具備することを特徴とする薄肉環状部品の高
    周波焼入装置。
  5. 【請求項5】前記第1及び第2の保持治具が前記薄肉環
    状部品と一緒に回転されるように構成し、前記薄肉環状
    部品を回転させながら高周波誘導加熱及び冷却を行なう
    ようにしたことを特徴とする特許請求の範囲第(4)項
    に記載の薄肉環状部品の高周波焼入装置。
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