JP2013221200A - 転がり軸受軌道輪の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】転がり軸受の軌道輪の製造方法として、従来の方法よりも、熱処理効率が高く、熱処理時の変形を小さくできる方法方法を提供する。
【解決手段】内輪7に対して、先ず、浸炭処理室1で、減圧下でA1 変態点を超える温度に誘導加熱して浸炭処理を行った後に、A1 変態点未満に冷却する。次に、焼入れ・矯正部3で焼入れと矯正を行う。冷却途中のMS 点に到達する前に、内輪7を外径拘束型34に入れてMS 点以下になるまで冷却する。次に、焼戻し部4で高周波焼戻しを行う。
【選択図】図1

Description

この発明は、熱処理工程に特徴を有する転がり軸受軌道輪の製造方法に関する。
転がり軸受の軌道輪を誘導加熱により浸炭または浸炭窒化処理を行う場合には、処理温度を高くして処理時間を短縮化することにより、熱処理効率を高めることが求められている。
例えば、特許文献1には、鋼部品の浸炭方法として、1.33〜13.3kPaの減圧無酸化雰囲気下で高周波加熱手段により1000〜1200℃に加熱し、鎖状炭化水素ガス供給を行う浸炭処理と行わない拡散処理を、鋼部品の表面炭素量がオーステナイト固溶限に到達しない範囲で、各浸炭時間を5秒〜3分として適数回繰り返し、その後、減圧無酸化雰囲気下において一次冷却、再加熱、均熱保持及びガス焼入れを行う方法が記載されている。
しかし、処理温度を高くすると熱処理時の変形が大きくなるため、熱処理後に行う研削工程での取り代が多くなり、研削工程の作業効率が低下する。よって、転がり軸受の軌道輪を誘導加熱により浸炭または浸炭窒化処理を行う場合には、熱処理時の変形を低減することが求められている。
例えば、特許文献2には、焼入れ処理によって生じる熱変形を、焼入れ処理中に矯正することができるリング状品(例えば軸受の軌道輪)の焼入れ方法が記載されている。この方法は、リング状品を誘導加熱により焼入れ温度まで加熱する加熱過程と、焼入れ温度まで加熱されたリング状品をマルテンサイト変換点温度よりも高い変形矯正開始温度まで冷却する一次冷却過程と、二次冷却過程を含むことを特徴とする。
二次冷却過程は、変形矯正開始温度まで冷却されたリング状品の外周面に、一対の受けロールをリング状品の中心と平行な回転中心軸回りに転動自在に接触させた状態で、前記一対の受けロールの中間点とリング状品を介して対向する側から、リング状品の外周面にリング状品の中心と平行な回転中心軸回りに回転する加圧ロールを押付けつつ、マルテンサイト変態点温度よりも低い温度まで冷却する過程である。
特許文献2の方法において、一次冷却過程と二次冷却過程は油槽内で行われている。
特許文献3には、軌道輪をオーステナイト変態温度以上に誘導加熱した後、回転している軌道輪に向けて冷却液を噴射することにより、軌道輪の表面温度がマルテンサイト変態開始温度(MS 点)より高い温度から500℃までの温度範囲となるまで水冷した後、MS 点以下となるまでガス冷する焼入れ工程を備え、前記水冷またはガス冷中に、軌道輪を筒状の外径矯正型に入れて拘束し、軌道輪の外形寸法を矯正することを特徴とする転がり軸受軌道輪の製造方法が記載されている。
特許4041602号公報 特開2009−84611号公報 特開2009−203522号公報
この発明の課題は、転がり軸受を構成する鋼製の軌道輪に対して、浸炭または浸炭窒化処理、焼入れ、および焼戻しからなる熱処理を行う転がり軸受軌道輪の製造方法として、熱処理効率が高く、熱処理時の変形を小さくできる方法を提供することである。
上記課題を解決するために、この発明の転がり軸受軌道輪の製造方法は、下記の構成(1) 〜(3) の工程を順に行うことを特徴とする。
(1) 転がり軸受を構成する鋼製の軌道輪(内輪または外輪)を、減圧下でA1 変態点を超える温度T1に誘導加熱して浸炭または浸炭窒化処理を行う浸炭工程。
加熱温度T1が高いほど、浸炭または浸炭窒化処理にかかる時間が短くできが、高すぎるとオーバーヒートが発生する。オーバーヒートの発生温度は鋼種によって異なるが、軸受鋼の場合は1250℃程度、浸炭鋼の場合は1300℃程度まで、加熱温度T1を高くすることができる。
加熱温度T1の範囲としては、加熱時間を短くすることが主な目的の場合には1000℃〜1300℃とすることが好ましく、良好な金属組織を確保しつつ加熱時間を短くするためには1000℃〜1100℃にすることが好ましい。
(2) 前記浸炭工程後の軌道輪をMS 点以下になるまで冷却する工程であって、冷却途中のMS 点に到達する前に、前記軌道輪の外周面、内周面、および軌道溝肩のいずれか一箇所を拘束し、この状態で前記軌道輪の冷却を継続する焼入れ・矯正工程。
(3) 前記焼入れ・矯正工程後の軌道輪を誘導加熱することで焼戻しを行う高周波焼戻し工程。
高周波焼戻し工程の加熱温度は、160℃〜300℃とすることが好ましく、160℃〜240℃とすることがより好ましい。高周波焼戻し工程の加熱温度が300℃を超えると、靱性が不十分となる。高周波焼戻し工程の加熱温度が240℃を超えると、硬さが不十分となる。
この発明の方法では、浸炭または浸炭窒化処理を減圧下で誘導加熱により行うことで、炉加熱により行った場合と比較して、浸炭または浸炭窒化処理に要する時間が短くなる。
また、焼入れ時の冷却途中のMS 点に到達する前に、軌道輪の外周面、内周面、および軌道溝肩のいずれか一箇所を拘束し、この状態で前記軌道輪の冷却を継続することにより、過冷オーステナイトからマルテンサイトへの変態膨張を利用した矯正が行われる。よって、このような矯正を行わない場合と比較して、熱処理時の変形を小さくすることができる。
なお、MS 点は、浸炭または浸炭窒化処理により鋼材の表面と芯部とで異なるものとなる。前記構成(2) のMS 点は、浸炭層または浸炭窒化層におけるMS 点を意味する。
この発明の方法において、前記焼入れ・矯正工程の冷却を、ガス冷のみで行うかガス冷と水冷の組み合わせで行えば、 水冷のみで行う場合よりも冷却速度を遅くできるため、タイミング良く焼入れから矯正へ移行することができる。
この発明の方法は、転がり軸受を構成する鋼製の軌道輪に対して、浸炭または浸炭窒化処理、焼入れ、および焼戻しからなる熱処理を行う転がり軸受軌道輪の製造方法であって、従来の方法よりも、熱処理効率が高く、熱処理時の変形を小さくできる方法である。
実施形態の方法を実施可能な処理ラインを示す概略構成図である。 図1の処理ラインを構成する焼入れ・矯正部で、内輪を冷却しながら矯正している状態を示す図である。 図1の処理ラインを構成する焼戻し部で、内輪を加熱している状態を示す図である。
以下、この発明の実施形態について説明する。
この実施形態の方法では、図1に示す処理ラインを使用して、転がり軸受の内輪(軌道輪)に対する処理を行う。
この処理ラインは、浸炭または浸炭窒化工程を行う浸炭処理室1と、焼入れ・矯正部3と、焼戻し部4と、コンベヤ6とを有する。内輪7は、各室および部間をコンベヤ6で搬送される。なお、内輪7の各室および部間を搬送する方法はこの限りではない。
浸炭処理室1の内部には、環状の誘導加熱コイル111と、被処理物である内輪7を配置する台112が配置されている。浸炭処理室1から外部に延びる各配管には、内部を所定の減圧下に保持する真空ポンプ114と、浸炭性ガス供給装置115と、アンモニアガス供給装置116が接続されている。
焼入れ・矯正部3には、回転テーブル31と、環状の冷却ジャケット32と、内部冷却装置33と、円筒形の外径矯正型34と、ピストン35が配置されている。回転テーブル31は、下方に延びる回転軸31aを有し、この回転軸31aに沿って昇降自在に構成されている。回転テーブル31はコンベヤ6とほぼ同じ高さの位置に待機している。
冷却ジャケット32は、外径矯正型34より内径および軸方向寸法が大きい環状体からなる。冷却ジャケット32の内側には多数のノズルが配置されている。冷却ジャケット32には、切り替え弁を介して、冷却液を供給する冷却液供給装置と冷却ガス(窒素ガス等)を供給する冷却ガス供給装置が接続されている。また、切り替え弁には制御装置が接続されている。
この制御装置により、所定のタイミングで切り替え弁の切り替えが行われて、設定量の冷却液または冷却ガスが冷却ジャケット32のノズルから噴射される。冷却ジャケット32は、回転テーブル31の回転軸31aと中心を合わせて、コンベヤ6より高い位置に配置されている。
内部冷却装置33はピストン35の下部に固定されている。内部冷却装置33の外側には多数のノズルが配置されている。内部冷却装置33の配管は、ピストン35を通って外部まで延設されている。この配管には、切り替え弁を介して、冷却液を供給する冷却液供給装置と冷却ガス(窒素ガス等)を供給する冷却ガス供給装置が接続されている。また、切り替え弁には制御装置が接続されている。
この制御装置により、所定のタイミングで切り替え弁の切り替えが行われて、設定量の冷却液または冷却ガスが内部冷却装置33のノズルから内輪7に向けて噴射される。
外径矯正型34は、冷却ジャケット32の内部の上側に、回転テーブル31の回転軸31aと中心を合わせて配置されている。
ピストン35は、円板状の押え板35aと上方に延びる軸35bを有し、軸35bに沿って昇降自在に構成されている。押え板35aの下面の中央部に内部冷却装置33が固定されている。ピストン35は、回転テーブル31の回転軸31aと中心を合わせて、外径矯正型34の内部の上側に配置されている。
焼入れ・矯正部3で内輪7を冷却する際には、内輪7を載せた回転テーブル31を上昇させて、図2(a)に示すように、冷却ジャケット32内の内径矯正型34より下側に内輪7を配置する。また、ピストン35を下降させて押え板34aで内輪7を上から押える。これにより、内部冷却装置33が内輪7の内部に入る。この状態で、冷却ジャケット32および内部冷却装置33を作動させて、回転テーブル31を回転させる。
焼入れ・矯正部3で内輪7を矯正する際には、内輪7を載せた回転テーブル31を、図2(a)の状態からさらに上昇させて、図2(b)に示すように、内輪7を外径矯正型34に圧入する。この状態で、冷却ジャケット32および内部冷却装置33を作動させて、回転テーブル31を回転させる。
焼戻し部4には、回転テーブル41と、環状の誘導加熱コイル42とが配置されている。回転テーブル41は、下方に延びる回転軸41aを有し、この回転軸41aに沿って昇降自在に構成されている。回転テーブル41はコンベヤ6とほぼ同じ高さの位置に待機している。
誘導加熱コイル42は、回転テーブル41の回転軸41aと中心を合わせて、コンベヤ6より高い位置に配置されている。誘導加熱コイル42としては、処理対象の内輪7の外側に一定の間隔が生じる内径のものを使用する。
焼戻し部4で内輪7を加熱する際には、内輪7を載せた回転テーブル41を上昇させて、図3に示すように、誘導加熱コイル42内に内輪7を配置する。この状態で、回転テーブル21を回転させ、誘導加熱コイル42に通電する。
この実施形態の方法では、図1の処理ラインを使用し、以下の方法で、内輪7に対する処理を行う。
先ず、浸炭処理室1内に内輪7を入れて、台112の上に載せ、 真空ポンプ114を作動させて、 内部を減圧下(0.1〜10kPa)に保持する。
次に、浸炭を行う場合には、浸炭性ガス供給装置115から浸炭性ガス(ブタン、プロパン、エチレン、アセチレンなどの炭化水素ガス、または炭化水素ガスに窒素ガスを添加した混合ガス)を浸炭処理室1内に供給することで、内部を浸炭雰囲気にする。浸炭窒化を行う場合には、浸炭性ガス供給装置115から浸炭性ガスを供給するとともに、 アンモニアガス供給装置116からアンモニアガスを供給ことで、浸炭処理室1内を浸炭窒化雰囲気にする。
この状態で、誘導加熱コイル111に高周波(5〜15kHz)を所定時間通電する。これにより、内輪7の軌道面71を、A1 変態点(726℃)を超える温度T1(例えば、950〜1100℃)に加熱して、この温度に所定時間保持する。これにより、内輪7に対する浸炭処理または浸炭窒化処理を行う。
次に、内輪7を浸炭処理室1から出して、コンベヤ6に載せて焼入れ・矯正部3まで搬送する。次に、コンベヤ6上の内輪7を回転テーブル31の上に載せて、回転テーブル31を上昇させるとともに、ピストン35を降下して図2(a)に示す状態とする。この状態で、冷却ジャケット32および内部冷却装置33を作動させて、回転テーブル31を回転させることにより、内輪7を冷却する。
この冷却により、内輪7が浸炭層のMS 点より少し高い温度になった時点で、回転テーブル31をさらに上昇させて、図2(b)に示すように、内輪7を外径矯正型34に圧入する。この状態で浸炭層のMS 点以下の温度になるまで冷却を行う。これにより、内輪7の外径が矯正される。また、図2(a)および(b)の工程により、内輪7に対する焼入れが行われる。
次に、回転テーブル31をコンベヤ6の高さまで降下して、内輪7をコンベヤ6に載せて焼戻し部4まで搬送する。次に、コンベヤ6上の内輪7を回転テーブル41の上に載せて、回転テーブル41を上昇させることで、図3に示す状態とする。この状態で、回転テーブル31を回転させて、誘導加熱コイル42に高周波(3〜10kHz)を短時間(3〜10秒)通電する。これにより、内輪7の軌道面71を、焼戻し加熱温度(180〜300℃)に加熱する。
この実施形態の方法によれば、浸炭または浸炭窒化処理を減圧下で誘導加熱により行うことで、炉加熱により行った場合と比較して、浸炭または浸炭処理工程に要する時間が短くなる。
また、焼入れ・矯正部3で、冷却途中の内輪7が浸炭層のMS 点に到達する前に、内輪7の外周面を拘束し、この状態で内輪7の冷却を継続することにより、過冷オーステナイトからマルテンサイトへの変態膨張を利用した矯正が行われるため、熱処理時の変形を小さくすることができる。
したがって、この実施形態の方法は、従来の方法よりも、熱処理効率が高く、熱処理時の変形を小さくできる方法であることが分かる。
なお、この実施形態では、焼入れ・矯正部3の冷却ジャケット32および内部冷却装置33を、冷却液供給装置と冷却ガス供給装置の両方を備えたものとすることで、焼入れ・矯正工程の冷却をガス冷と水冷の組み合わせで行うことができるようにしている。 しかし、これに代えて、焼入れ・矯正部3を、ガス冷のみが可能な冷却ジャケット32および内部冷却装置33を備えた設備と、これとは別に設けた、水冷のみが可能な冷却ジャケット32および内部冷却装置33を備えた設備とで構成してもよい。
以下、この発明の実施例について説明する。
SCr420(浸炭後の表面MS 点:200℃)からなる素材を旋削することで、玉軸受の内輪の形状(外径101mm、内径95mm、幅13mm、溝底厚さ2mm)に加工した。この内輪7に対して、表1に示す熱処理を行った。
Figure 2013221200
サンプルNo. 1〜3では、図1の処理ラインを用いて、上述の実施形態の方法に基づき、浸炭工程、焼入れ・矯正工程、高周波焼戻し工程を行った。
浸炭工程では、先ず、浸炭処理室1の内部を減圧下(1kPa)でアセチレン雰囲気とし、誘導加熱コイル111に高周波を通電した。この通電を、サンプルNo. 1では周波数10kHzで行い、軌道面71の溝底位置での表面温度を1100℃として、 軌道面71の有効硬化層深さが0.5mmになるまで20分間保持した。
サンプルNo. 2では周波数10kHzで行い、軌道面71の溝底位置での表面温度を1000℃として、 軌道面71の有効硬化層深さが0.5mmになるまで60分間保持した。サンプルNo. 3では周波数10kHzで行い、軌道面71の溝底位置での表面温度を950℃として、 軌道面71の有効硬化層深さが0.5mmになるまで120分間保持した。
次に、内輪7を焼入れ・矯正部3に移動して、冷却ジャケット32から冷却液を噴射することによる冷却(水冷)を、先ず、図2(a)の状態で2秒間行うことで内輪7の表面温度を300℃とした。 次に、図2(b)の状態として、さらに10秒間、冷却液で冷却することで内輪7の表面温度を30℃とした。
高周波焼戻し工程では、誘導加熱コイル42による加熱条件を、周波数5kHz、加熱時間5秒とすることにより、内輪7に対する焼戻しを180℃で行った。
サンプルNo. 4では、図1の処理ラインを用いて、浸炭工程、焼入れ・矯正工程、高周波焼戻し工程を行った。すなわち、先ず、内輪7に対する浸炭工程を浸炭処理室1でサンプルNo. 3と同様に行った。
次に、内輪7を焼入れ・矯正部3に移動して、先ず、図2(a)の状態として、冷却ジャケット32から冷却ガスを噴射することによる冷却(ガス冷)を15秒間行うことで内輪7の表面温度を300℃とした。 次に、図2(b)の状態として、冷却ジャケット32から冷却液を噴射することによる冷却(水冷)を10秒間行うことで、内輪7の表面温度を30℃とした。次に、サンプルNo. 3と同様に高周波焼戻し工程を行った。
サンプルNo. 5では、図1の処理ラインを用いて、浸炭工程、焼入れ・矯正工程、高周波焼戻し工程を行った。すなわち、先ず、内輪7に対する浸炭工程を浸炭処理室1でサンプルNo. 3と同様に行った。
次に、内輪7を焼入れ・矯正部3に移動して、冷却ジャケット32から冷却ガスを噴射することによる冷却(ガス冷)を、先ず、図2(a)の状態で15秒間行うことで内輪7の表面温度を300℃とした。 次に、図2(b)の状態として、さらに30秒間、冷却ガスで冷却することで内輪7の表面温度を30℃とした。次に、サンプルNo. 3と同様に高周波焼戻し工程を行った。
サンプルNo. 6では、図1の処理ラインを用いて、浸炭工程、焼入れ工程、高周波焼戻し工程を行った。すなわち、サンプルNo. 5では、焼入れ・矯正部3での冷却を、図2(a)の状態で12秒間、水冷により行うことで内輪の表面温度を30℃とすることで終え、図2(b)の状態にする矯正工程は行わなかった。浸炭工程と高周波焼戻し工程はサンプルNo. 3と同様にして行った。
サンプルNo. 7では、先ず、大気圧下、アセチレン雰囲気(No. 1〜5と同じアセチレン濃度)で、温度950℃に保持した加熱炉内に180分間保持した。次に、油冷却による油焼入れを行った。次に、温度180℃に保持した加熱炉内に90分間保持することにより、 内輪7に対する焼戻しを180℃で行った。
また、No. 1〜7の全てのサンプルについて、焼戻し工程の後に、研削室5で内輪7を設計通りの形状になるように研削する仕上げ工程を行った。この仕上げ工程にかかった時間を測定した。
また、各サンプルで、熱処理のうち浸炭処理と焼入れにかかった時間および仕上げ工程にかかった時間を、No. 1の値で除算して、No. 1の値を「1」とした相対値を算出した。その結果と各サンプルの熱処理方法の違いを表2に示す。
Figure 2013221200
表2の結果から以下のことが分かる。
浸炭処理を同じ950℃で行ったNo. 3〜7の結果を比較すると、浸炭処理を減圧下での誘導加熱で行ったNo. 3〜6の熱処理時間は、浸炭処理を炉加熱で行ったNo. 7の熱処理時間の2/3程度に短くすることができた。
浸炭処理を減圧下での誘導加熱で行い、浸炭処理の温度のみが異なるNo. 1〜3の結果を比較すると、1100℃であるNo. 1で950℃であるNo. 3の1/6となっており、 著しく短くすることができた。
浸炭処理を減圧下での誘導加熱で同じ950℃で行い、矯正工程の有無のみが異なるNo. 3と5を比較すると、矯正工程を行うことで研削時間を半分以下(1/2.5)にすることができた。
浸炭処理を減圧下での誘導加熱で同じ950℃で行い、焼入れ時の冷却方法が異なるNo. 3〜5を比較すると、水冷のみで行うNo. 3で最も冷却時間が短く、ガス冷のみで行うNo. 5が最も冷却時間が長かった。しかし、水冷のみで行ったNo. 3では、冷却速度が早くて焼入れから矯正へ移行するタイミングがつかみ難かった。これに対して、ガス冷後に水冷を行ったNo. 4とガス冷のみで行ったNo. 5では、冷却速度が遅いため、タイミング良く焼入れから矯正へ移行することができた。
以上のように、この発明の実施例に相当するサンプルNo. 1〜5に対して行った方法によれば、この発明の比較例に相当するサンプルNo. 6,7に対して行った方法よりも、熱処理効率が高く、熱処理時の変形を小さくすることができる。
1 浸炭処理室
111 誘導加熱コイル
112 台
114 真空ポンプ
115 浸炭性ガス供給装置
116 アンモニアガス供給装置
3 焼入れ・矯正部
31 回転テーブル
31a 回転軸
32 冷却ジャケット
33 内部冷却装置
34 外径矯正型
35 ピストン
35a 押え板
35b 軸
4 焼戻し部
41 回転テーブル
41a 回転軸
42 誘導加熱コイル
6 コンベヤ
7 内輪(軌道輪)
71 軌道面

Claims (2)

  1. 転がり軸受を構成する鋼製の軌道輪を、減圧下でA1 変態点を超える温度に誘導加熱して浸炭または浸炭窒化処理を行う浸炭工程と、
    前記浸炭工程後の軌道輪をMS 点以下になるまで冷却する工程であって、冷却途中のMS 点に到達する前に、前記軌道輪の外周面、内周面、および軌道溝肩のいずれか一箇所を拘束し、この状態で前記軌道輪の冷却を継続する焼入れ・矯正工程と、
    前記焼入れ・矯正工程後の軌道輪を誘導加熱することで焼戻しを行う高周波焼戻し工程と、
    をこの順に行うことを特徴とする転がり軸受軌道輪の製造方法。
  2. 前記焼入れ・矯正工程の冷却を、 ガス冷のみで行うかガス冷と水冷の組み合わせで行う請求項1記載の転がり軸受軌道輪の製造方法。
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