JP5274762B2 - 熱処理方法 - Google Patents

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Description

本発明は、被処理物(例えば、鉄鋼部品)を熱処理(例えば、焼入処理及び焼戻処理)するための熱処理方法に関する。
従来、鉄鋼部品の熱処理を行う場合には、高周波誘導加熱装置を用いており、焼入処理後の焼戻処理においても高周波誘導加熱装置が多用されている。高周波誘導加熱装置の公知技術としては、例えば、特開2001−303134号(特許文献1)が挙げられる。
従来、鉄鋼部品を焼入処理及び焼戻処理する場合には、例えば図3に示す高周波熱処理装置50を用いるのが通例である。この高周波熱処理装置50を用いて熱処理を行う工程は、以下の通りである。まず、被処理物1を焼入処理部2で、図示しない焼入用高周波電源に接続された焼入用高周波誘導加熱コイル3によって所定の時間にわたり所定の高周波電力で所要の焼入温度まで加熱した後に、冷却手段4から焼入冷却液5を被処理物1に噴射することにより90%マルテンサイト変態完了温度(被処理物1の材質によって異なるが、約215℃)まで急速冷却する。以下において、この急速冷却工程を一次冷却工程と称することとする。
しかる後に、90%マルテンサイト変態が完了した被処理物1を、焼戻加熱に備えて、一次冷却工程の施行位置とは異なる位置にある二次冷却部6において冷却手段7から焼入冷却液5を被処理物1に噴射してこの被処理物1の全体を常温まで冷却する。以下において、この常温に均熱化する冷却工程を二次冷却工程と称することとする。なお、一次冷却工程及び二次冷却工程で噴射する焼入冷却液5は図示しない共通の焼入冷却液タンクより供給される同一の液体(冷却液)である。
そして、エアーブロー部8ではチャンバー9内部で圧縮空気10を被処理物1に噴射することにより、二次冷却工程において常温になった被処理物1の表面に付着した焼入冷却液5を除去した後に、図示しない搬送装置により被処理物1を焼戻処理部11に搬送する。次いで、図示しない焼戻用高周波電源に接続された焼戻処理部11の焼戻用高周波誘導加熱コイル12により所定の時間にわたり所定の高周波電力で焼戻加熱を行い、その後に焼戻用高周波誘導加熱コイル12とは別の位置に配置された放冷治具(放冷用の被処理物保持部材)13の上で所要時間にわたり空冷(放冷)することによって焼入処理及び焼戻処理を完了する。かくして、例えば図4に示す如く被処理物1としてのハブユニットの内輪Wの円柱部αの外周面のうちのクロスハッチングで示された領域に、高周波焼入処理により得られる硬化層Sが形成される。なお、図3において、14,15,16,17は、焼入処理部(一次冷却部)2,二次冷却部6,エアーブロー部8,及び焼戻処理部11において被処理物1をそれぞれ所定の位置に載置状態で保持するために用いられる被処理物保持部材である。
特開2001−303134号公報
ここで、焼戻加熱前に被処理物1の全体を常温まで冷却する理由を述べると、次の通りである。すなわち、被処理物1が例えば図4に示す如く円柱部α及びフランジ部βを有するハブユニットの内輪Wである場合には、細径部1a、太径部1bの中央付近、そして太径部1bからフランジ部βに至る領域1cは熱容量がそれぞれ大きく異なる。焼入加熱を行って一次冷却を完了した後には、ハブユニットの内輪Wには図5においてクロスハッチングで示す焼入硬化層Sが形成されるが、焼入硬化層Sの量を焼入加熱中に被処理物1に付与される熱量と考えると、細径部1aは焼入硬化層Sの形成量が少なく、細径であることから熱容量も小さいため、一次冷却の段階で常温近くの温度にまで十分に冷却される。また、太径部1bからフランジ部βに至る領域1cも焼入硬化層Sの形成量が少なく、フランジ部βの大部分は高周波誘導加熱されていないため常温の部分が多く残っており、この部分も一次冷却のみで略常温近くの温度にまで冷却される。しかし、太径部1bは、その熱容量が多いため、一次冷却のみでは他の部位に比べて温度が下がりきらない傾向が現れる。
そのため、一次冷却のみでは被処理物1の一個体内において温度差が生じてしまい、温度差が存在している状態のままで焼戻加熱を行うと、焼入処理後の温度分布の傾向が焼戻処理後にそのまま反映されてしまうため、焼戻処理後の被処理物1の硬さのバラツキが大きくなってしまうこととなる。さらに詳しく述べると、細径部1a、太径部1bからフランジ部βに至る領域1c、及びフランジ部βに比べ、太径部1bの焼戻硬さが下がりすぎてしまうのである。そこで焼戻処理後の硬さのバラツキを小さくするために、二次冷却工程により被処理物1の全体を常温まで冷却することが必要になる。これが、焼戻加熱前に被処理物1の全体を常温まで冷却する理由である。
なお、二次冷却部6を設けずに二次冷却工程を省略して一次冷却工程のみで被処理物1の全体を常温まで冷却することも可能であるが、その場合には一次冷却の時間を延長しなければならないため、焼入処理部2での被処理物1の滞留時間が長くなり、サイクルタイム(被処理物1個あたりの処理時間)が長くなるという不具合を生じる。
また、焼入冷却液による二次冷却後は被処理物1の表面に焼入冷却液が付着しており、エアーブローによりこの焼入冷却液を除去しておかないと、次の工程の焼戻加熱時に焼入冷却液中の水分が気化する際に気化熱として被処理物表面の昇温を部分的に妨げる場合があり、その結果として表面の温度ムラ、すなわち、焼戻硬さのムラとなる。従って、焼戻加熱前のエアーブロー部8におけるエアーブロー処理は、従来においては必要不可欠な工程である。
さらに、従来の焼戻方法では、常温から焼戻温度まで加熱しなければならないため、ある程度の長い加熱時間が必要となり、サイクルタイム短縮の障害となる。また、焼戻加熱電力を大きくして焼戻加熱時間を短縮しようとすると、被処理物1の表面温度は上昇するが、被処理物1の内部は常温であるために昇温しにくく、焼入硬化層Sの表面しか焼戻されないか、或いは、被処理物1の表面の硬さが下降しすぎるという焼戻不良が発生する不具合も生じる。
上記の現象は、磁気変態点以下での鋼の高周波電流の浸透深さは略1mm以下であり、極端な急速加熱により焼戻処理を行うと被処理物1の表面近傍のみが加熱されてその内部は誘導加熱されずに表面からの熱伝導のみにより昇温するため、被処理物1の全体が常温である場合には、表面からの熱伝導による内部の昇温量は少なく、表面と内部に急激な温度差が生じることに起因する。
本発明は、上述の如き実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、高品質な焼戻処理を短時間で行うことができる熱処理方法を提供することにある。
上述の如き目的を達成するために、本発明に係る熱処理方法では鋼材料からなる被処理物の表面を高周波誘導加熱により焼入処理した後に焼戻処理を行うに際し、前記被処理物を焼入加熱後に常温の冷却液にて90%マルテンサイト変態完了温度(被処理物の材質によって異なるが、約215℃)まで急速冷却し、次いで、100℃の液体により100℃より高い温度にて前記被処理物の表面の100%マルテンサイト変態(被処理物の材質によって異なるが、約110℃)を完了させるとともに全体を均熱化させてから焼戻処理を行うようにしている。
また、本発明において、前記被処理物を焼入加熱後に常温の冷却液にて100℃より高い100%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却し、100℃より高い温度にて前記被処理物の表面の100%マルテンサイト変態を完了させ、次いで、100℃の液体により前記被処理物の全体を均熱化させてから焼戻処理を行うようにすることもできる
前記100℃の液体による均熱化は、前記被処理物の全体を100℃に保持された液体に浸漬させることにより行われることが好ましい。また、前記100℃の液体は好適には水である。
請求項1に記載の本発明は、被処理物を焼入処理した後に焼戻処理を行うに際し、被処理物を焼入加熱後に常温まで冷却せずに90%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却した後に、100℃の液体により100℃より高い温度にて被処理物表面の100%マルテンサイト変態を完了させるとともに全体を均熱化させ焼戻処理を行うようにしたものであるから、焼戻処理直前の被処理物は内部まで略100℃程度(但し、場所によっては100℃以下の部分も存在するが、常温よりも充分に高い温度)に保たれており、常温から焼戻加熱を行う場合よりも加熱時間を短縮することができ、また、被処理物の内部も略100℃近くの温度から昇温されることとなるため、被処理物の表面と内部の昇温量の差が小さく、従って表面は勿論のこと、内部も十分に焼戻されて良好な焼戻品質を得ることができる。
また、請求項2に記載の本発明は、被処理物を焼入処理した後に焼戻処理を行うに際し、被処理物を焼入加熱後に常温まで冷却せずに100%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却し、100℃より高い温度にて被処理物の表面の100%マルテンサイト変態を完了させた後に、100℃の液体により被処理物の全体を均熱化させ焼戻処理を行うようにしたものであるから、焼戻処理直前の被処理物は内部まで略100℃程度(但し、場所によっては100℃以下の部分も存在するが、常温よりも充分に高い温度)に保たれており、常温から焼戻加熱を行う場合よりも加熱時間を短縮することができ、また、被処理物内部も略100℃近くの温度から昇温されるため、被処理物の表面と内部の昇温量の差が小さく、従って表面は勿論のこと、内部も十分に焼戻されて良好な焼戻品質を得ることができる。
さらに、前記100℃の液体水であれば、温度の上限は100℃であり、均熱槽の温度管理が容易になるという利点がある。
また、焼戻処理前に前記被処理物に付着した液体を除去する工程を省路できる。すなわち、100℃の液体を水にすることにより、被処理物を焼戻処理する直前では被処理物表面の100℃の水は蒸発してしまうため、水を除去するための工程が不要となり、熱処理設備をコンパクトに構成できるという利点がある。
以下、本発明の一実施形態に係る熱処理方法について図1,図2,及び図4を参照して説明する。なお、これらの図において図3及び図4と同様の部分には同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1は、本発明の熱処理方法を実施するために用いられる熱処理装置20を示すものである。本装置20は、例えば被処理物1を焼入・焼戻処理(焼入処理及び焼戻処理)するのに用いられるものであって、焼入処理部2と、均熱部21と、焼戻処理部11と、焼入処理部2から均熱部21へ、そして均熱部21から焼戻処理部11への被処理物1の受け渡しを行う搬送機構(図示せず)とを具備している。なお、本実施形態においては、焼入処理部2,均熱部21,及び焼戻処理部11は例えば横並びに配列されており、被処理物1としては例えば鉄鋼部品の1種であるバブユニットの内輪Wが用いられる。
まず、上述の焼入処理部2は、被処理物1であるハブユニットの内輪Wを焼入加熱するための図示しない焼入用高周波電源に接続された焼入用高周波誘導加熱コイル3と、所要の焼入温度に加熱完了した被処理物1(ハブユニットの内輪W)を90%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却するための冷却手段4と、被処理物1を保持して回転及び昇降させる回転・昇降機構(図示せず)と、この回転・昇降機構に固定された被処理物(焼入処理部物)保持部材14とから構成されている。
また、上述の均熱部21は、90%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却された被処理物11を100%マルテンサイト変態完了させ、かつ、被処理物1の全体を均熱させる媒体としての100℃の液体(例えば、水)22を溜めておく均熱槽23と、液体(例えば、真水)22の放熱を防ぐために均熱槽23を覆う断熱材24と、液体22の温度を常に100℃に保つために用いられる図示しないヒーター及び温度センサーと、被処理物1を均熱槽23に出し入れするための昇降機構(図示せず)と、この昇降機構に固定された被処理物保持部材25から構成されている。
また、上述の焼戻処理部11は、被拠理物1を焼戻加熱するための図示しない焼戻用高波電源に接続された焼戻用高周波誘導加熱コイル12と、被処理物1を保持して回転及び昇降をさせる回転・昇降機構(図示せず)と、この回転・昇降機構に固定された被処理物(焼戻処理物)保持部材17と、焼戻加熱後に被拠理物1を放冷位置まで搬送する搬送装置(図示せず)と、被処理物1を放冷位置に保持する保持治具(放冷用の被処理物保持部材)13とから構成されている。
次に、このような構成の熱処理装置20によって、被処理物1に熱処理を行う工程を詳述すると、以下の通りである。なお、この場合、被処理物1としては、図4に示すハブユニットの内輪Wを用いるものとする。また、図1における矢印は、被処理物1であるハブユニットの内輪W及び被処理物保持部材14,25,17の移送方向を示している。
まず、ハブユニットの内輪Wを焼入処理部2の被処理物(焼入処理物)保持部材14上に載置し、図示しない回転・昇降機構により焼入用高周波誘導加熱コイル3内の所定の位置にハブユニットの内輪Wを配置する。次に、回転・昇降機構(図示せず)により被処理物保持部材14を介してハブユニットの内輪Wにその軸線を中心とする回転を付与した後に、図示しない焼入用高周波電源より焼入用高周波誘導加熱コイル3に所定の高周波電力を所要時間にわたり供給してハブユニットの内輪Wの表面を所要の焼入温度まで加熱し、しかる後に回転・昇降機構(図示せず)により冷却手段4内の所定の位置に下降移動させてこの冷却手段4から焼入冷却液5をハブユニットの内輪Wの表面に噴射して、被処理物1を焼入加熱後に常温まで冷却せずに90%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却する一次冷却工程を行う。そして、一次冷却工程完了後に、ハブユニットの内輪Wを図示しない搬送装置により均熱部21に搬送する。
均熱部21においては、ハブユニットの内輪Wを被処理物保持部材25上に載置し、図示しない昇降機構により均熱槽23内の100℃の液体22に浸漬し所定時間経過後(内輪Wの材質,質量,形状等により異なるが、約15秒程度の経過後)に均熱槽23の外に引き上げる。所定時間にわたる浸潰中に均熱槽23内に溜められて常に100℃に保持された液体22によりハブユニットの内輪Wの焼入硬化層S(図4参照)は100%マルテンサイト変態が完了し(この際の内輪Wの表面温度は、100%マルテンサイト変態完了温度より低くかつ100℃以上)、さらにハブユニットの内輪Wの全体が理想的には略100℃程度(但し、場所によっては100℃以下の部分も存在するが、常温よりも充分に高い温度)に均熱された状態となる。
次いで、均熱部21により略100℃程度に全体が均熱されたハブユニットの内輪Wを図示しない搬送装置により焼戻処理部11に搬送して被処理物(焼戻処理物)保持部材17上に載置し、図示しない回転・昇降機構により焼入用高周波誘導加熱コイル12内の所定の位置にハブユニットの内輪Wを配置する。次に、回転・昇降機構(図示せず)により被処理物保持部材17を介してハブユニットの内輪Wに回転を付与した後に、図示しない焼戻用高周波電源より焼戻用高周波誘導加熱コイル12に所要の高周波電力を所要時間にわたり供給してハブユニットの内輪Wの表面を所要の焼戻温度まで加熱する。そして、焼戻加熱が完了したハブユニットの内輪Wを図示しない焼戻処理部11内の搬送装置(図示せず)により放冷位置まで搬送して放冷治具(放冷用の被処理物保持部材)13上に載置し、所定時間にわたり放冷した後に図示しない水冷手段によって全体を常温まで冷却して本装置20によるハブユニットの内輪Wの焼入・焼戻工程を完了する。
図2は、焼戻加熱電力を18kW(一定)とした場合の本発明に係る熱処理装置20と従来の熱処理装置50とを用いてハブユニットの内輪Wに焼入・焼戻処理を行った場合の一次冷却完了直後から焼戻加熱完了までの温度変化を比較したグラフであって、図2中の破線は従来の熱処理装置50を用いた場合の温度変化を示し、実線は本発明に係る熱処理装置20を用いた場合の温度変化を示している。なお、温度測定位置A,B,Dは図4に示すハブユニットの内輪Wの断面図に付された符号A,B,Dにそれぞれ対応する。グラフの時間軸(横軸)について本装置20においては均熱部21から焼戻処理部11への搬送時間は含まず、従来装置50においては二次冷却部6からエアーブロー部8の搬送時間、エアーブロー部8におけるエアーブローの時間、及びエアーブロー部8から焼戻処理部11への搬送時間は含んでいない。一方、下記の表1は、本装置20と従来装置50とで処理した場合のハブユニットの内輪Wの表面硬さを比較するものである。
焼戻加熱前に被処理物1であるハブユニットの内輸Wの全体が既述の如く熱処理装置20の均熱部21において略100℃程度に均熱化されているため、図2に示されているように、従来の焼戻加熱時間は15秒を要していたが、本発明では9秒で完了しており、到達温度も約40℃低くてよいことがわかる。また、下記の表1により焼戻後の表面硬さを比較しても、従来法よりも各部分での表面硬さの差がないことが確認された。なお、下記の表1は、本発明の熱処理方法及び従来の熱処理方法をハブユニットの内輪Wにそれぞれ適用した場合の焼戻処理後における内輪Wの表面硬さを比較するものである。
Figure 0005274762
なお、焼入加熱後の一次冷却工程において100%マルテンサト変態完了温度まで冷却される場合もあるが、これは、被処理物の材質、形状、質量により異なる。このような場合には、焼入処理部2において被処理物1を焼入加熱後に常温まで冷せずに100%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却した後に、均熱部21において100℃の液体22により被処理物1の全体を均熱化させてから焼戻処理部11において焼戻処理を行う。
以上のように、100℃の液体22を用いて被処理物1を焼戻処理前に理想的には略100℃程度に均熱させるようにした本実施形態の熱処理方法の利点としては、次のような作用効果が挙げられる。
(1) 焼戻処理のための焼戻加熱時間を短縮することができる。
(2) 焼戻処理前の被処理物の全体が略100℃に均熱化されているため、高周波誘導加熱により焼戻加熱を行った際に、加熱完了直後の被処理物の各部の温度差が少ない。
(3) 高周波誘導焼戻でも被処理物の内部硬さが表面硬さよりも高くなる傾向が少ない。
(4) 上記(2)及び(3)により、高品質な焼戻処理を行うことができる。
(5) 被拠理物を略100℃に均熱化する液体として100℃の水を用いることにより被処理物の均熱温度、及び液体の温度の上限は100℃となり温度管理が容易になる。
(6) 被処理物が略100℃程度に均熱化された状態では被処理物表面に付着した100℃の水は速やかに蒸発するため、焼戻処理前のエアーブロー工程を省略することができ、熱処理装置のコンパクト化を図ることができる。
このように、本実施形態に係る熱処理方法によれば、焼戻品質を向上させながらサイクルタイム(被処理物1ヶあたりの処理時簡)も短縮でき、さらに焼戻処理前のエアーブロー部8(図3参照)を省略することができるので熱処理装置をコンパクト(小型)にすることができる。
以上、本発明の一実施形態について述べたが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づき各種の変形、及び変更が可能である。既述の実施形態では焼入処理及び焼戻処理を順次に連続して行う方法であったが、別工程で焼入処理を完了した後に焼戻処理を行う焼戻装置にも利用可能である。そして、既述の実施形態では均熱部21の液体22を100℃の真水としているが、水溶性の防錆材等を添加した水であってもよい。また、100℃の水に代えて、その他の各種の液体を用いてもよい。また、既述の実施形態では被処理物1をハブユニットの内輪Wとしているが、それに限定されるものではなく、例えば、等速ジョイントやクランクシャフト等の各種の部品にも適用可能である。
本発明の一実施形態に係る熱処理方法を実施するための熱処理装置の概念図である。 本発明及び従来の熱処理方法による二次冷却完了後から焼戻加熱完了後までの被処理物としてのハブユニットの内輪の各部における表面温度と処理時間との関係を示すグラフである。 従来の熱処理方法を実施するための熱処理装置の概念図である。 被処理物としてのハブユニットの内輪の断面図である。
符号の説明
1 被処理物
2 焼入処理部
3 焼入用高周波誘導加熱コイル
4 冷却手段
11 焼戻処理部
12 焼戻用高周波誘導加熱コイル
13 放冷治具(放冷用の被処理物保持部材)
14,15,16,17,25 被処理物保持部材
20 熱処理装置
21 均熱部
22 液体(水)
23 均熱槽
26 放冷治具(放冷用の被処理物保持部材)
W ハブユニットの内輪








Claims (4)

  1. 鋼材料からなる被処理物の表面を高周波誘導加熱により焼入処理した後に焼戻処理を行う熱処理方法において、
    前記被処理物を焼入加熱後に常温の冷却液にて90%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却し、
    次いで100℃の液体により100℃より高い温度にて前記被処理物の表面の100%マルテンサイト変態を完了させるとともに全体を均熱化させてから焼戻処理を行うこと、を特徴とする熱処理方法。
  2. 鋼材料からなる被処理物の表面を高周波誘導加熱により焼入処理した後に焼戻処理を行う熱処理方法において、
    前記被処理物を焼入加熱後に常温の冷却液にて100℃より高い100%マルテンサイト変態完了温度まで急速冷却し、100℃より高い温度にて前記被処理物の表面の100%マルテンサイト変態を完了させ、
    次いで100℃の液体により前記被処理物の全体を均熱化させてから焼戻処理を行うこと、を特徴とする熱処理方法。
  3. 前記100℃の液体による均熱化は、前記被処理物の全体を100℃に保持された液体に浸漬させることにより行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理方法。
  4. 前記100℃の液体は水であることを特徴とする請求項1、2又はに記載の熱処理方法。
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