JP5146800B2 - 高周波熱処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は高周波熱処理装置に関し、さらに詳しくは、外周面を高周波誘導加熱される環状ワークが熱膨張しても芯出し状態に内径チャックを継続できる高周波熱処理装置に関する。
例えば、コンクリートミキサー車に備えられる内歯歯車などの大口径環状ワークには、高周波誘導加熱による熱処理が施されている。この内歯歯車の歯面に硬度付与や耐摩耗性を保有させるために、複数の高周波誘導加熱コイルを内歯歯車の内側に配置し、各高周波誘導加熱コイルを1つ置きの歯と歯の谷間に近接状態に位置して高周波誘導加熱を行う。加熱を終了すると、各高周波誘導加熱コイルを干渉しない位置に離れさせてから内歯歯車を一定角度回転させて停止し、再び各高周波誘導加熱コイルを歯と歯の谷間に近接状態に位置して高周波誘導加熱を行う、ということを反復し、内歯歯車を2回転させて全部の歯面を例えば1000℃に加熱し、その後急冷することが行われる。このとき、高周波誘導加熱コイルと歯面とのギャップを一定に保って高周波誘導加熱を均一に行えるようにする(特許文献1参照)。この加熱方法によれば、処理時間が極めて多くかかる。
そこで、内歯歯車の外周面を一周して断面が半円形状であるレース溝を設け、このレース溝を被加熱局部として円弧状の高周波誘導加熱コイルを近接して高周波誘導加熱を行い、その後急冷することを行う大口径環状ワークの高周波熱処理装置が開発され実用化されている。
外周が円周面であって、円周面を一周する被加熱局部を円周面に有する大口径環状ワークをテーブル上に載置し、略半円環状ワーク形状の一対の高周波誘導加熱コイルを大口径環状ワークの両側の待機位置から大口径環状ワークを挟むように接近移動し、一対の高周波誘導加熱コイルを被加熱局部に近接して高周波誘導加熱を行う。この加熱方法によれば処理時間が短縮されるが、一対の高周波誘導加熱コイルが完全な半円を合体させて円となって被加熱局部に近接する状態ではないので、一方の高周波誘導加熱コイルの端部と他方の高周波誘導加熱コイルの端部との間における高周波誘導加熱が不足し、この部分の焼入れが十分ではないという不具合がある。
特許文献2には、大口径環状ワークを回転させつつ高周波誘導焼入れを行う方法が開示されている。この高周波誘導焼入れ方法によれば、外周面を一周する被加熱局部を有する大口径環状ワークを回転テーブル上に載置して行われ、焼入れ前に大口径環状ワークを1回転させて、大口径環状ワークのふれ回りを測定して数値データを記憶している。
この場合、2つの接触式距離センサの接触子を大口径環状ワークの円周面とレース溝底面に接触させ、この状態で大口径環状ワークを回転させて両接触子の変位の合成から軌跡を対応する軸上変位として分解し計測して位置データとし、この結果に基づいて適正なコイルギャップを保持している。
次いで、円弧状の一対の高周波誘導加熱コイルを大口径環状ワークの両側の待機位置から大口径環状ワークを挟むように接近移動し、記憶した数値データに基づいて一対の高周波誘導加熱コイルを被加熱局部に近接させる。
そして、大口径環状ワークを回転すると共に記憶した数値データに基づいて高周波誘導加熱コイルと被加熱局部とのギャップを一定に保つように一対の高周波誘導加熱コイルを変動させ、一対の高周波誘導加熱コイルに高周波誘導電流を給電して高周波誘導加熱を行っている。
特開昭61−99623号公報 特開昭61−106709号公報
しかしながら、特許文献2の図2に開示されている大口径環状ワークを回転させつつ高周波誘導焼入れを行う方法において、大口径環状ワークに対するチャック方法は開示されていない。大口径環状ワークを内径チャックと外径チャックのいずれによるチャックが良いのかについても開示されていない。また、大口径環状ワークが熱膨張することについて開示も示唆もなく、大口径環状ワークの熱膨張がチャックに及ぼす影響についても開示も示唆もない。
本発明者は種々検討した結果、大口径環状ワークでは膨張後の寸法変化が大きいので、大口径環状ワークが偏心すると、高周波誘導加熱コイルが大口径環状ワークと接触して破損する恐れがあることが分かった。また、大口径環状ワークの内径が熱膨張して内径チャックが効かなくなり、その後に大口径環状ワークが偏心すると、高周波誘導加熱コイルの大口径環状ワークとの接触を回避するための技術的解決が困難であることが分かった。
さらに、特許文献2に開示されている大口径環状ワークを回転させつつ高周波誘導焼入れを行う方法は、高周波誘導加熱を行う前に、2つの接触式距離センサの接触子を大口径環状ワークの円周面とレース溝底面に接触させてギャップ測定を行うものであり、大口径環状ワークの熱膨張を考慮に入れていないので、以下のような不都合がある。
すなわち、例えば直径1200mmの大口径環状ワークに焼入れを行うとき、円弧形状の高周波誘導加熱コイルにより加熱される被加熱局部は1000℃前後になり、被加熱局部の近傍で比較的速く温度上昇して約300℃になり、被加熱局部から最も離れた位置でも約300℃程度になる。
このため、被加熱局部の直径値は熱膨張により大きくなる。大口径環状ワークの材質を鉄系材料とすると、線膨張係数は約12×10-6であるから、直径1200mmの大口径環状ワークは、直径で約4mm程度(半径で約2mm程度)膨張する。
従って、大口径環状ワークと高周波誘導加熱コイルとの間のギャップ設定値は2mm程度なので、加熱時に大口径環状ワークと高周波誘導加熱コイルが接触する可能性があるため、コイル温度が上昇するに連れて後退させる必要があると共に、大口径環状ワークの高周波誘導加熱の開始から終了までの間、大口径環状ワークを精密な芯出し状態に内径チャックした状態を維持する必要があることが分かった。
特許文献2に開示されているギャップ測定方法は、大口径環状ワークの熱膨張時に接触子が大口径環状ワークに接触して接触子に過大な負荷がかかり、接触子並びに計測器を破損させてしまう可能性もある。また、接触子の先端形状も小さいR形状となっているため、膨張しながら大口径環状ワークが回転する場合、その先端部分で大口径環状ワークを傷付けてしまうことも考えられる。さらに、接触子と大口径環状ワークの接触力が規定されていないため、大口径環状ワークへの押し付け力が強いと大口径環状ワークに傷が付くこともあるし、弱いと膨熱張の状態によって大口径環状ワークから離れてしまい誤測定の原因となる。接触子並びに計測器に関する問題は、大口径環状ワークを芯出しして回転して高周波誘導加熱の開始した後に、大口径環状ワークに対するチャックが効かなくなり、偏心したときに、一層大きな問題となる。
従って、高周波誘導加熱を行っている間、環状ワークに接触子が傷を付けることがなく、さらに、環状ワークの高温の影響を受けないで耐熱温度に限界がある距離センサを正常に機能させることができる測定装置が必要であり、その前提として、大口径環状ワークを芯出し状態にチャックする必要があることが分かった。
本発明は、上記課題に鑑み、高周波誘導加熱の開始前に芯出しした状態を高周波誘導加熱の開始から終了までの間、環状ワークの内径チャックを継続することができるチャック機能を備えた、高周波熱処理装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するため、本発明の高周波熱処理装置は、環状ワークを回転させる環状ワーク回転駆動手段と、環状ワークの外周面を高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイルと、を備え、環状ワーク回転駆動手段は、環状ワークを回転テーブルに載置して回転させる回転テーブル装置と、回転テーブルに設けられ回転テーブルに載置される環状ワークの内周をチャックする固定チャック手段及び複数の可動チャック手段と、を備え、固定チャック手段は、誘導加熱前に環状ワークの内周をチャックして環状ワークの芯出しを行い、複数の可動チャック手段は、固定チャック手段で芯出しされた環状ワークを、圧力供給手段から複数の可動チャック手段に供給される所定の圧力で、環状ワークを誘導加熱開始から終了までの間熱膨張に追従して内周チャックすることを特徴とする。
この構成によれば、高周波誘導加熱の開始前に芯出しした状態を高周波誘導加熱の開始から終了までの間、環状ワークの内径チャックを継続することができるチャック機能を備えるものとなる。
上記構成において、固定チャック手段と可動チャック手段は、好ましくは、交互に円周方向等配列に設けられ、可動チャック手段は、誘導加熱開始前は固定チャック手段よりも中心側に退避して、固定チャック手段による芯出しチャック後に所定のチャック圧となるように制御される構成である。
この構成によれば、誘導加熱開始前は可動チャック手段が邪魔にならずに固定チャック手段により芯出し状態にチャックすることができ、その後、可動チャック手段により、環状ワークの内周面の等間隔位置を所定のチャック圧でチャックできる。誘導加熱開始後に環状ワークが熱膨張して固定チャック手段からの内径チャックを外れると、誘導加熱開始から終了までの間、環状ワークの芯出しを良好に保持できる。
上記構成においては、高周波誘導加熱コイルを支持し移動する加熱コイル支持移動手段と、環状ワークの熱膨張変位を測定する熱膨張変位測定手段と、を備え、加熱コイル支持移動手段は、熱膨張変位測定手段により測定された熱膨張変位に応じて、高周波誘導加熱コイルを環状ワークから離隔する方向に移動させることができる。
上記構成においては、複数の可動チャック手段を作動させるための高圧エア供給手段を備え、複数の可動チャック手段は、それぞれチャック体と、チャック体を作動させるシリンダ装置と、を有し、高圧エア供給手段は、複数のシリンダ装置に高圧エアを供給する高圧エア分配器を有する構成にすることができる。
本発明によれば、環状ワークを回転テーブルに載置して一回転させて芯振れを測定し、この芯振れを解消するように環状ワークを位置修正して芯出しを行い、固定チャック手段により環状ワークを内周チャックし、次いで、可動チャック手段により環状ワークを内周チャックするので、高周波誘導加熱により環状ワークが熱膨張して固定チャック手段による内径チャックが効かなくなるが、可動チャック手段が、環状ワークを誘導加熱開始から終了までの間熱膨張に追従して該環状ワークを内周チャックするので、芯出し状態が確保される。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。各図において同一又は対応する部材には同一符号を用いる。
図1〜図4は、本発明の第1実施形態に係る高周波熱処理装置を示す。図1は概略平面図であり、図2は図1の高周波熱処理装置のX−X方向に沿う部分断面図、図3は図1の高周波熱処理装置のY−Y方向に沿う部分断面図である。
図1に示すように、本発明の高周波誘導加熱処理装置10は、環状ワーク回転駆動手段11と、環状ワーク(リング体)20を高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイル16と、高周波誘導加熱コイル16を支持し移動する加熱コイル支持移動手段17と、環状ワーク20の膨張変位を測定する熱膨張変位測定手段40と、図3に示す高周波熱処理装置の制御部30と、を備えて構成されている。
環状ワーク20は、一例として鋼製の歯車であり、円周面(外周面)21を精密円筒加工された円環体であり、円周面21の上半部を一周する断面形状が半円状の凹部である被加熱局部22を有している。
高周波誘導加熱処理装置10は、環状ワーク20を回転させて、円周面21の被加熱局部22に高周波誘導加熱処理を行う。以下の説明においては、熱処理として焼入れを行う場合について説明する。
高周波誘導加熱処理装置10は、環状ワーク回転駆動手段11を備えている。環状ワーク回転駆動手段11は、回転テーブル装置12と、固定チャック手段13と、可動チャック手段14と、高圧エア供給手段15と、を具備してなる。図示の場合には、固定チャック手段13は、4個の固定チャック手段13A〜13Dからなり、可動チャック手段14は、4個の可動チャック手段14A〜14Dから構成されている。
回転テーブル装置12は、回転テーブル12aを備えている。回転テーブル12aは、外径が環状ワーク20の内径よりも小さい図示しない円環体と、円環体の外周部の例えば4等分位置に基端を固定され他端を遠心方向に張り出しているワーク載置用張出板12bとからなる。
回転テーブル装置12は、回転テーブル12aと、回転テーブル12aが芯振れすることなく回転可能であるように円環体の下面及び外周面をコロ等で支承する軸受手段(図示しない)と、円環体の内周面に摩擦接触して回転することで回転テーブル12aを回転駆動する回転駆動手段(図示しない)と、軸受手段と回転駆動手段を受承して昇降する昇降手段(図示しない)とから構成される。従って、この回転テーブル装置12は、4つのワーク載置用張出板12bに環状ワーク20を載置して、昇降自在及び回転自在である。
回転テーブル装置12の各ワーク載置用張出板12b上には、可動チャック手段14A〜14Dが設けられ、各可動チャック手段14A〜14Dの間には固定チャック手段13A〜13Dが設けられている。従って、円環体の上面の周方向の8等分位置に、固定チャック手段13A〜13Dと可動チャック手段14A〜14Dとが交互の配列で設けられている。
固定チャック手段13A〜13Dは、第1のチャック体13aをねじ機構13bで可動するようになっていて、第1のチャック体13aで環状ワーク20を内径チャックするように構成されている。固定チャック手段13は、高周波誘導加熱前に環状ワーク20を芯出し状態にチャックする役目を果たす。
固定チャック手段13A〜13Dは、高周波誘導加熱を開始すると、環状ワーク20が膨張するので、環状ワーク20に対する内径チャック機能を喪失する。
可動チャック手段14A〜14Dは、第2のチャック体14aをシリンダ装置14bで可動するようになっていて、第2のチャック体14aで環状ワーク20を内径チャックするように構成されている。シリンダ装置14bは、例えばガイド付薄形シリンダを使用するのが好ましい。シリンダ装置14bは制御部30により伸縮作動される。そして、可動チャック手段14A〜14Dは、誘導加熱開始前は固定チャック手段13A〜13Dよりも中心側に退避し、固定チャック手段13A〜13Dによる芯出しチャック後に、所定のチャック圧となるように制御部30により制御され、環状ワーク20を内径チャックする。可動チャック手段14A〜14Dは、固定チャック手段13A〜13Dにより環状ワーク20に対して芯出し状態に内径チャックした後に、環状ワーク20に対して内径チャックし、誘導加熱開始後の環状ワーク20の熱膨張に追随して誘導加熱開始から終了までの間、環状ワークの芯出しが良好に保持する役目を果たす。
高圧エア供給手段15は、可動チャック手段14A〜14Dのシリンダ装置14bを作動するための高圧エアを供給する手段である。
高圧エア供給手段15は、図示しない昇降手段により円環体と一体に昇降されるように構成された昇降板15aを備え、昇降板15aの下側より円環体の中心の回転式空気継ぎ手15dと高圧エア分配器15eとを介してシリンダ装置14bの往動側シリンダ室と復動側シリンダ室とに交互に高圧エアを供給するように構成されている。回転式空気継ぎ手15dは、シイベルジョイントを用いることができる。
さらに詳述すると、高圧エア供給手段15は、回転テーブル12aの中心に一致する固定パイプ15bと、固定パイプ15bの下端に高圧ホース15cを介して接続された高圧空気発生手段(コンプレッサ:図示しない)と、固定パイプ15bの上端に接続されたシイベルジョイント15dと、シイベルジョイント15dと接続された高圧エア分配器15eと、高圧エア分配器15eとシリンダ装置14bのポートに両端を接続された高圧用エアホース15f等からなる。高圧用エアホース15fは、接続ブラケット15g、15hを連結貫通している保護管15iに通されている。この構成によれば、シイベルジョイント15dと高圧エア分配器15eが保護管15iを介して円環体に支持されている。
また、環状ワーク回転駆動手段11は、高周波誘導加熱時には回転テーブル12を上昇し、環状ワーク20を高所に位置させて回転テーブル12を回転し、また高周波誘導加熱を終了すると、回転テーブル12を回転させたままで回転テーブル12を下降させて環状ワーク20を低所の冷却位置に位置させるように構成される。
ここまでの構成によるチャック機能について説明する。
先ず、環状ワーク20を回転テーブル12に載置する。回転テーブル12を一回転させて環状ワーク20の芯振れを測定する。芯振れを解消するように環状ワーク20を微小移動する。再度、回転テーブル12を一回転させて環状ワーク20の芯振れを測定し、芯振れを解消するように環状ワーク20を微小移動する。芯出しができたら、固定チャック手段13A〜13Dにより、環状ワーク20を内周チャックして芯出し状態を固定する。
次いで、可動チャック手段14A〜14Dを作動して、環状ワーク20を内周チャックする。
そして、回転テーブル12を連続回転させて高周波誘導加熱コイル16に高周波誘導電流を通電し、環状ワーク20の外周面を高周波誘導加熱する。これにより、環状ワーク20は、所要時間経過した時点で環状ワークの被加熱部が例えば300℃になり、全体が例えば1000℃になる。これに伴い、環状ワーク20が熱膨張するので、固定チャック手段13A〜13Dによる環状ワーク20に対する内径チャックが誘導加熱の直後から効かなくなる。
しかし、可動チャック手段14A〜14Dは、環状ワーク20を誘導加熱開始から終了までの間熱膨張に追従して該環状ワーク20を内周チャックする。このため、環状ワーク20は、誘導加熱開始から終了までの間、可動チャック手段14A〜14Dによる内径チャックにより芯出し状態が確保されるので、環状ワーク20と高周波誘導加熱コイル16との微小ギャップを誘導加熱開始から終了までの間一定となるように制御することが容易になる。
なお、ワークの内径チャックについて、固定チャック手段13と可動チャック手段14の何れかのチャック体のテーパ部分を利用して環状ワーク20を滑り込ませて芯出しすると、芯出し作業が容易にできる。
高周波誘導加熱処理装置10は、上述した環状ワーク回転駆動手段11の両側に高周波誘導加熱コイル16を支持し移動する加熱コイル支持移動手段17を備えている。加熱コイル支持移動手段17は、一対の可動テーブル装置17A,17Bよりなる。可動テーブル装置17A,17Bは、直動ガイド17aを有する基台17bと、直動ガイド17aに係合する可動スタンド17cと、可動スタンド17cに支持されるテーブル17dと、基台17bと可動スタンド17cとの間に設けられ可動スタンド17cを往復動させる往復動手段(図示しない)を具備してなる。可動テーブル装置17A,17Bは、可動スタンド17cを例えば0.2mm単位で位置決め駆動できる。
テーブル17d上には、環状ワーク20の円周面21の被加熱局部22に近接状態に位置される円弧状の高周波誘導加熱コイル16と、焼入れ用冷却液を環状ワーク20の円周面21の被加熱局部22に噴射する複数の噴射ノズル18aを有する円弧状の噴射管18を備えている。
高周波誘導加熱コイル16は、図示しない高周波電源と接続されていると共に、高周波誘導加熱コイル16の両端と接続され内部に冷却水を通流させるコイル用冷却液循環装置(図示しない)と接続されている。
高周波誘導加熱処理装置10は、環状ワーク20を4つの固定チャック手段13A〜13Dと4つの可動チャック手段14A〜14Dによりチャックするとき、及びチャック解除するときには、可動スタンド17cを移動し、テーブル17dを環状ワーク20から離れた位置(待機位置)に位置させ、環状ワーク20に対して高周波誘導加熱コイル16と噴射管18とが干渉しないように構成されている。
高周波誘導加熱処理装置10は、4つの固定チャック手段13A〜13Dと4つの可動チャック手段14A〜14Dによりチャックされる環状ワーク20に対して高周波誘導加熱を行う時には、両側の可動スタンド17cを環状ワーク20に接近移動させて、高周波誘導加熱コイル16を環状ワーク20の円周面21の被加熱局部22に進入させ、例えば2mmのギャップとなる近接状態に位置させる。
高周波誘導加熱コイル16の下側の噴射管18,18は、環状ワーク20よりも一回り大きい円弧状に形成されていて、環状ワーク20が下降した時の環状ワーク20を挟んで近接する位置に設けられている。
噴射管18は、環状ワーク20が対向した低所位置に来ると、焼入れ用冷却液を噴射するようになっている。すなわち、環状ワーク20の円周面21の被加熱局部22に高周波誘導加熱が行われ、全周にわたり例えば1000℃の温度に達して一定時間経過すると、回転テーブル12が回転したまま下降する。これにより、環状ワーク20が回転したまま噴射管18に対向する低所位置に来る。そこで、噴射管18は、噴射ノズル18aから被加熱局部22に向けて勢いよく焼入れ用冷却液を噴射するようになっている。これにより、被加熱局部22の表面焼入れが行われる。
制御部30は、高周波誘導加熱処理装置10の全ての駆動手段を制御する。図2において、符号30は高周波誘導加熱処理装置10の全ての駆動手段を制御する制御部である。この制御部30は、回転テーブル12の昇降と回転の動作、内径チャック手段13e〜13hのチャックやチャック解除の動作、図示しない高周波電源から高周波誘導加熱コイル16への高周波通電と遮電、可動テーブル装置17A,17Bの移動、コイル用冷却液循環装置への指令、及び焼入れ用冷却液の噴射や噴射停止等の諸々の制御を行う。
高周波誘導加熱コイル16には、図示しない高周波発振器からの電力が供給される。その周波数は環状ワーク20の抵抗率や高周波の侵入深さである表皮厚み等を考慮した周波数や環状ワーク20の大きさを考慮した電力が適宜に選択される。本発明における高周波発振器の周波数はkHz以上の周波数である。高周波誘導加熱コイル16を環状ワーク20の円周面21の被加熱局部22に位置させて高周波誘導加熱を行うと、被加熱局部22は所定温度に熱せられる。この所定温度が1000℃とした場合、高周波誘導加熱を行っている箇所の上側では300℃前後に熱せられ、下側では100℃前後に熱せられる。被加熱局部22から離れた位置では次第に高温度に昇温していき、環状ワーク20の全体が300℃前後に熱せられると、環状ワーク20の外径が、環状ワークの熱膨張率にもよるが例えば4mm程大きく膨張する。
この場合、高周波誘導加熱コイル16を、膨張する環状ワーク20に対して後退させないでいると、高周波誘導加熱コイル16と環状ワーク20とが干渉してしまうことになり、高周波誘導加熱コイル16が損傷してしまう。
高周波誘導加熱を開始する前に、高周波誘導加熱コイル16と被加熱局部22とのギャップを適正な間隔、例えば上記寸法の2mmに保つように高周波誘導加熱コイル16の位置を制御する。そして、高周波誘導加熱を開始したら終了するまでの間、環状ワーク20が熱膨張しても、これに同調させて、高周波誘導加熱コイル16も後退させるようにするために、熱膨張変位測定手段40が付設されている。
図3は、本発明の実施の形態に係る熱膨張変位測定手段40を示す側面図である。図3に示すように、熱膨張変位測定手段40は、距離センサ41と演算手段60とを具備してなる。距離センサ41は、環状ワーク20に接触して、環状ワークの高周波誘導加熱に伴う寸法変位を測定できればよい。このような距離センサ41としては、例えば接触式距離センサを用いることができる。
図1に示すように、熱膨張変位測定手段40は、左右配置の高周波誘導加熱コイル16とは離隔された環状ワーク20に対向する位置に配置されている。図1では、熱膨張変位測定手段40は一つ設けているが、環状ワーク20に応じて複数の熱膨張変位測定手段40を設けてもよい。
図3に示すように、熱膨張変位測定手段40は、耐熱性接触子43と距離センサ41とを有し、かつ、距離センサ41の耐熱温度以下の熱伝導となるように耐熱性の接触子43と距離センサ41の変位検出軸41aとが連結されてなる。詳しくは、熱膨張変位測定手段40は、距離センサ41と、ボールスプライン42と、耐熱性の接触子43と、付勢手段44と、を具備して構成されている。
耐熱性の接触子43としては、耐熱性ベアリングを用いることができる。この構成によれば、環状ワーク20と耐熱性ベアリング43が確実に接触する。したがって、環状ワーク20が熱膨張して環状ワーク20と耐熱性ベアリング43との圧力が増しても、環状ワークに傷を付ける惧れがなくなる。
付勢手段44としては、例えば各種のバネを用いることができ、圧縮コイルばね等が挙げられる。接触子43を付勢して、環状ワーク20に接触させることができる。付勢手段44を所定の長さにすれば、この長さ部分における放熱作用が大きくなり、高温に熱せられる環状ワークからの熱伝導を大きく低減することができる。これにより、距離センサ41のセンサ部の耐熱温度以下とすることができる。例えば、耐熱温度が100℃以下である接触式距離センサ41を正常に機能させることができる。
熱膨張変位測定手段40は、接触子43を付勢手段44で付勢し、接触子43を、環状ワーク20の被加熱局部22の高周波誘導加熱が行われる部分の近傍に当接することができる。このため、距離センサ41により環状ワークの熱膨張による変位を常時検出して、高周波誘導加熱を行うことができる。
演算手段60には、距離センサ41の検出信号が入力される。高周波誘導加熱を行う前に、距離センサ41の接触子43が環状ワーク20に接触して付勢手段44が一定の長さに圧縮されたときに、距離センサ41の検出信号を入力して基準値とするように構成されている。したがって、高周波誘導加熱を開始した時点より環状ワーク20の熱膨張に対応したギャップ変動を測定できる。
この場合、演算手段60は高周波誘導加熱を開始する前の距離センサ41の検出信号を入力して基準値としたが、基準値をゼロ点に設定する場合も含まれる。
加熱コイル支持移動手段17は、高周波誘導加熱コイル16と環状ワーク20の被加熱局部22との間隔(以下、適宜ギャップとも呼ぶ)を高周波誘導加熱の開始時から終了時まで略一定に保つように、熱膨張変位測定手段40により検出した熱膨張変位に応じて高周波誘導加熱コイル16を環状ワーク20から離隔する方向に移動するように構成されている。
本発明の高周波誘導加熱処理装置10によれば、距離センサ41の耐熱温度以下の熱伝導となるように耐熱性接触子43と距離センサの変位検出軸41aとが連結された熱膨張変位測定手段40を採用したので、距離センサ41が正常に機能することが保障される。
したがって、高周波誘導加熱を行っている間中、高周波誘導加熱コイル16により加熱される環状ワーク20の被加熱局部22における熱膨張変位の測定を正確に行うことができると共に、環状ワーク20の温度が上昇するにつれて、高周波誘導加熱コイル16を、環状ワーク20との間のギャップを一定に保つように後退させることができる。このため、環状ワーク20の被加熱局部22に対する高周波誘導加熱による熱処理を、高速に、かつ、ムラなく行うことができる。
ここで、高周波誘導加熱による熱処理は、加熱後急速冷却する焼入れ、加熱後の冷却速度を変えて焼戻しや焼鈍する場合も含む。
図4を参照して熱膨張変位測定手段40の一例を説明する。
接触式距離センサ41は、プレート45上に設けたブラケット46により支持されている。接触式距離センサ41の変位検出軸41aの先端がボールスプライン42のボールスプライン軸42bの後端と接続されている。ボールスプライン42は、ボールスプライン本体42aがプレート45上のボックスブラケット47により支持され、ボールスプライン軸42bが移動可能とされている。
ボールベアリング43は、例えば、SUS304のようなステンレス鋼からなる玉軸受を採用できる。ボールベアリング43は、ボールスプライン軸42bの先端側に取り付けたフォークブラケット48のフォーク部間に位置して、フォークブラケット48のフォーク部に設けた軸孔とベアリング内輪に頭部付きシャフト49を通し、該頭部付きシャフト49のねじ部にナット50を締め付けることにより、ボールスプライン軸42bの先端側に回転自在に取り付けられている。
圧縮コイルばね44は、ボックスブラケット47とフォークブラケット48との間に位置してボールスプライン軸42bの外側に取り巻いて取り付けられている。なお、ボックスブラケット47は、図示していないが、水冷されるようにしてもよい。熱伝導を遮断して接触子43と変位量検出部とを連結する連結部として、ボックスブラケット47を水冷する構成以外に、遮熱材よりなる連結部を用いても良い。距離センサ41は、変位検出軸41aを押し込まれる方向に変位検出量を大きくなるように検出する。
上記構成の熱膨張変位測定手段40は、例えば、基台51上に設けたエアシリンダ装置52により環状ワーク20への所定位置に配置される。高周波誘導加熱処理装置10は、熱膨張変位測定手段40とエアシリンダ装置52等を隠蔽するカバー53と、焼入れ用冷却液回収タンク54とを備えていてもよい。
制御部30は、環状ワーク20のチャック前及びチャック解除時には、エアシリンダ装置52を縮小状態に制御する。これにより、エアシリンダ装置52が縮小作動して熱膨張変位測定手段40の全体が待機位置に位置して、耐熱性接触子であるボールベアリング43が環状ワーク20から大きく離隔した待機位置に位置する。
制御部30は、高周波誘導加熱処理装置10の環状ワーク回転駆動手段11が環状ワーク20をチャックした後高周波誘導加熱を開始する前に、エアシリンダ装置52を伸張状態に制御する。これにより、エアシリンダ装置52が伸張作動して熱膨張変位測定手段40の全体を前進移動し、ボールベアリング43が環状ワーク20に接触し、圧縮コイルばね44が圧縮されその蓄勢復帰力によりボールベアリング43が環状ワーク20に付勢状態に接触する。
接触式距離センサ41は、変位検出軸41aを押し込まれる方向に変位検出量を大きくなるように変位量を検出する構成であるので、ボールベアリング43が環状ワーク20に接触すると、変位検出軸41aを押し込まれて変位量を検出し検出信号を出力する。
制御部30は、ボールベアリング43が待機位置から移動して環状ワーク20に接触して停止したときに1回目のラッチ信号を演算手段60へ出力し、その後一定時間(例えば数秒)経過する毎に2回目以降のラッチ信号を演算手段60へ出力する。
演算手段60は、距離センサ41からの変位量検出信号を常時入力するようになっている。演算手段60は、制御部30からの1回目〜数回目のラッチ信号の入力毎に、各変位量検出信号をラッチしてメモリに記憶し、それらの平均値を算出して基準値としてメモリに記憶する。それ以降のラッチ信号の入力がある毎に、各変位量検出信号をラッチして変動値としてメモリに記憶する。演算手段60は、この変動値から基準値を差し引いて差値を算出し、差値に対応した信号を随時に制御部30に出力する。
制御部30は、演算手段60から差値に対応した信号が入力され、差値の増減を算出する。差値が例えば0.2mm以上増加したときは、その増加寸法分だけ可動スタンド17cを駆動して高周波誘導加熱コイル16を環状ワーク20から離間する方向にシフト移動させる。
これにより、高周波誘導加熱を行っている間も、高周波誘導加熱コイル16により加熱される被加熱局部22の位置測定を正確に行って、環状ワーク20が熱膨張しても、高周波誘導加熱コイル16を環状ワーク20の熱膨張に同調してシフト移動させてギャップを一定に保つことができるようになっている。
制御部30における制御手順をフローチャートを参照して説明する。
図5は、図1の高周波熱処理装置における制御部からの制御手順の一例を示すフローチャートである。
(ステップS11、S12)
例えば、クレーンあるいはホイスト等で搬送してきた環状ワーク20を環状ワーク回転駆動手段11に載置しチャックして回転する。この場合、固定チャック手段13A〜13Dにより芯出しチャックを行ってから、高圧エア供給通路に設けられた電磁弁(図示しない)に信号を出力して、可動チャック手段14A〜14Dによりチャックを行う。
(ステップS13)
可動テーブル装置17A,17Bを環状ワーク20に接近移動して、高周波誘導加熱コイル16を環状ワーク20の被加熱局部22に近接し、高周波誘導加熱コイル16と被加熱局部22とのギャップを例えば2mmとなるようにし、続いて、コイル用冷却液循環装置(図示しない)を稼動してコイル用冷却液を高周波誘導加熱コイル16の内部に通流させて高周波電源装置(図示しない)により高周波誘導加熱コイル16へ高周波電流を給電開始する。
(ステップS14)
次に、超耐熱性のボールベアリング43を環状ワーク20に接触させる。ボールベアリング43は外輪を環状ワーク20との摩擦により連れ回り回転するので、ボールベアリング43が環状ワーク20の円周面(外周面)21を傷つけることがない。
(ステップS15、S16)
次に、演算手段60に対して数秒、例えば2秒間経過する毎にラッチ信号を出力し、距離センサ41からの変位量検出信号を演算手段60を経由して入力して検出値をメモリにストアすることを例えば5回繰り返す。
(ステップS17)
前記ストアした検出値の平均値を算出し該平均値を基準値としてメモリに記憶する。
(ステップS18)
引き続いて、例えば2秒間経過する毎にラッチ信号を出力し、接触式距離センサ41からの変位量検出信号を演算手段60を経由して入力して検出値をメモリにストアし、前記基準値との差値を算出する。
(ステップS19)
差値が前回の差値よりも0.2mm以上大きく変化したか否かを判断する。
(ステップS20)
0.2mm以上大きく変化した時は、当該差値に対応するように可動テーブル装置17A,17Bを環状ワーク20から離隔する方向に微小にステップ移動して高周波誘導加熱コイル16を後退させる。
これにより、環状ワーク20が熱膨張して被加熱局部22が高周波誘導加熱コイル16に接近する方向に変位しても、被加熱局部22の変位に同調して高周波誘導加熱コイル16が変位寸法にほぼ等しく後退して被加熱局部22と高周波誘導加熱コイル16とのギャップが引き続いて約2mmに保持される。
回転している環状ワーク20は、高周波誘導加熱コイル16による高周波誘電加熱の位置を絶えず変化させ数回回転している中に次第に温度上昇していき、被加熱局部22から離れた位置で、例えば300℃に達する。ボールベアリング43は環状ワーク20から熱伝達する熱をボールスプライン軸42bに伝達するが放熱が行われ、ボックスブラケット47のところでも放熱される。したがって、距離センサ41に伝わる熱の温度は、距離センサ41の耐熱温度の例えば80℃よりも大幅に下回るので、距離センサ41が熱破壊されることがない。
(ステップS21)
このような、被加熱局部22の変位に同調して高周波誘導加熱コイル16が変位寸法にほぼ等しい後退を、環状ワーク20が所定の熱処理温度(例えば、1000℃)になるまで、あるいは加熱後設定された時間になるまで反復する。環状ワーク20が所定の熱処理温度になると、高周波誘導加熱コイル16による加熱と環状ワーク20の放熱とが平衡するように、高周波誘導加熱コイル16への通電量が制御される。
(ステップS22〜S24)
環状ワーク20の全周が所定の熱処理温度になり、例えば5秒間経過すると、可動テーブル装置17A,17Bを待機位置に移動すると共に、エアシリンダ装置52を縮小作動して、高周波誘導加熱コイル16とボールベアリング43とを、環状ワーク20から大きく離隔させる。
(ステップS25〜S27)
次に、回転テーブル12を引続いて回転したままで下降して環状ワーク20を焼入れ位置に位置させて、噴射管18の噴射ノズルから焼入れ用冷却液を1000℃に加熱された被加熱局部22に例えば5分間噴射して急冷し焼入れを行う。
(ステップS28、S29)
その後、焼入れ用冷却液の噴射を停止し、回転テーブル12を回転停止して上昇させ、環状ワーク20を上昇位置でチャック解除する。以上で、環状ワーク20の焼入れを完了する。
この実施の形態によれば、まず、環状ワーク20を回転テーブル12に載置する。回転テーブル12を一回転させて環状ワーク20の芯振れを測定する。芯振れを解消するように環状ワーク20を微小移動する。再度、回転テーブル12を一回転させて環状ワーク20の芯振れを測定し、芯振れを解消するように環状ワーク20を微小移動する。芯出しができたら、固定チャック手段13により、環状ワーク20を内周チャックして芯出し状態を固定する。
次いで、可動チャック手段14を作動して、環状ワーク20を内周チャックする。そして、回転テーブル12を連続回転させ高周波誘導加熱コイル16に高周波電力を供給して、環状ワークの外周面を高周波誘導加熱する。これにより、環状ワーク20は、所要時間経過した時点で環状ワークの被加熱部22が例えば300℃になり、全体が例えば1000℃になる。これに伴い、環状ワーク20が熱膨張するので、固定チャック手段13による環状ワーク20に対する内径チャックが高周波誘導加熱の直後から効かなくなる。
しかし、可動チャック手段14は、環状ワーク20を高周波誘導加熱開始から終了までの間熱膨張に追従して環状ワーク20を内周チャックする。このため、環状ワーク20は、高周波誘導加熱開始から終了までの間、可動チャック手段14による内径チャックにより芯出し状態が確保されるので、以下の如く、環状ワーク20と高周波誘導加熱コイル16との微小ギャップを高周波誘導加熱開始から終了までの間一定となるように制御することが容易になる。
この実施の形態によれば、熱膨張変位測定手段40と連携して高周波誘導加熱コイル16を環状ワーク20の熱膨張に追随させて位置を修正し、高周波誘導加熱コイル16と被加熱局部22とのギャップを略一定に保ちつつ高周波誘導加熱処理を行う。
環状ワーク20を回転テーブルに同心状態を保って載置して回転させ、次いで、高周波誘導加熱コイル16を待機位置から接近移動して被加熱局部22に近接し、熱膨張変位測定手段の接触式距離センサ41を待機位置から接近移動して環状ワーク20の円周面21の高周波誘導加熱が行われる部分の近傍に当接する。
次に、高周波誘導加熱コイル16に高周波電力を供給して高周波誘導加熱を行うと共に、熱膨張変位測定手段40により、環状ワーク20の円周面21の熱膨張による変位を常時検出する。
次いで、この検出した変位に応じて高周波誘導加熱コイル16を環状ワーク20から離隔する方向に随時移動し、高周波誘導加熱コイル16と環状ワーク20の被加熱局部22とのギャップを高周波誘導加熱の開始時から終了時まで略一定に保ち高周波誘導加熱を行う。
この場合、熱膨張変位測定手段40は、耐熱性接触子43と距離センサ41を有し、かつ、この距離センサ41の耐熱温度以下の熱伝導となるように耐熱性接触子43と距離センサ41の変位検出軸41aとが連結された構成であるので、耐熱温度が低い距離センサ41が正常に機能することが保障される。
これにより、高周波誘導加熱を行っている間中、環状ワーク20の高周波誘導加熱コイル16により加熱される被加熱局部22の熱膨張変位の測定を正確に行える。このため、環状ワーク20の温度が上昇するにつれて、環状ワーク20と高周波誘導加熱コイル16とのギャップを一定に保つように高周波誘導加熱コイル16を正確に後退させることができる。
上記実施の形態では、演算手段60と制御部30とは別途に設けているが、制御部30が演算手段60を兼ねてもよい。
以下、具体例に基づいて、本発明をさらに詳細に説明する。
環状ワーク20として鉄鋼製の直径が1200mm、厚みが80mmの旋回輪インナーレースの焼入れ熱処理を行った。旋回輪インナーレース20は、精密円筒加工された円環体であり、円周面21の上半部を一周する断面形状が半円状の凹部である被加熱局部22を有している。円弧状(角度120°)の高周波誘導加熱コイル16を2組とし、熱膨張変位測定手段40を一つ配置した高周波誘導加熱処理装置10を用いた。
熱膨張変位測定手段40において、距離センサ41は、接触式距離センサ(キーエンス製、AT3−010)を使用し、耐熱性接触子43として、SUS304からなる玉軸受(ミスミ製、型番SUB6201ZZ)を使用し、ボールスプライン42としては、THK製のLT16A+144Lを使用した。この接触式距離センサ41は、変位検出軸41aを押し込まれる方向に変位検出量が大きくなるように検出される。接触式距離センサの測定上限、つまり、耐熱温度は80℃である。
2組の高周波誘導加熱コイル16のそれぞれには、周波数が9.8kHzで300kWの電力を印加し、1000℃まで加熱した後、直ちに高周波電力の印加を停止して、冷却することで焼き入れ処理をした。1000℃までの加熱時間は約20秒であった。
上記加熱処理中、接触式距離センサの変位が0.2mm毎に高周波誘導加熱コイル16の位置制御を行い、高周波誘導加熱コイル16と環状ワークの被加熱局部22とのギャップは常に2mmとなるように制御することができた。また、加熱中の接触式距離センサの部位の温度は80℃以下とすることができた。
これにより、高周波誘導加熱を行っている間中、大口径環状ワーク20の円弧状高周波誘導加熱コイル16により加熱される被加熱局部22の熱膨張変位の測定を、正確に行うことができ、被加熱局部22の全周に対して約20秒間という短時間に高周波誘導加熱をムラなく行うことができた。
本発明は、上記一実施形態に限られるものではなく、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形又は変更が可能である。
本発明の高周波熱処理装置の概略平面図である。 図1の高周波熱処理装置のX−X方向に沿う部分断面図である。 図1の高周波熱処理装置のY−Y方向に沿う部分断面図である。 本発明の実施の形態に係る熱膨張変位測定手段を示す側面図である。 図1の高周波熱処理装置における制御部からの制御指令の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
10:高周波熱処理装置
11:環状ワーク回転駆動手段(環状ワーク回転駆動手段)
12:回転テーブル装置
12a:回転テーブル
13:固定チャック手段
14:可動チャック手段
15:高圧エア供給手段
16:円弧状高周波誘導加熱コイル
17:加熱コイル支持移動手段
17A,17B:可動テーブル装置
17a:直動ガイド
17b:基台
17c:可動スタンド
17d:テーブル
18:噴射管
18a:噴射ノズル
20:大口径環状ワーク
21:円周面
22:被加熱局部
30:制御部
40:熱膨張変位測定手段
41:接触式距離センサ
41a:変位検出軸
42:ボールスプライン
42a:ボールスプライン本体
42b:ボールスプライン軸
43:耐熱性接触子(ボールベアリング)
44:付勢手段(コイルばね)
45:プレート
46:ブラケット
47:ボックスブラケット
48:フォークブラケット
49:シャフト
50:ナット
51:基台
52:エアシリンダ装置
53:カバー
54:焼入れ用冷却液回収タンク
60:演算手段

Claims (4)

  1. 環状ワークを回転させる環状ワーク回転駆動手段と、該環状ワークの外周面を高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイルと、を備え、
    上記環状ワーク回転駆動手段は、上記環状ワークを回転テーブルに載置して回転させる回転テーブル装置と、上記回転テーブルに設けられ該回転テーブルに載置される上記環状ワークの内周をチャックする固定チャック手段及び複数の可動チャック手段と、を備え
    上記固定チャック手段は、誘導加熱前に上記環状ワークの内周をチャックして上記環状ワークの芯出しを行い、
    上記複数の可動チャック手段は、上記固定チャック手段で芯出しされた上記環状ワークを、圧力供給手段から該複数の可動チャック手段に供給される所定の圧力で、該環状ワークを誘導加熱開始から終了までの間熱膨張に追従して内周チャックする、高周波熱処理装置。
  2. 前記固定チャック手段と前記可動チャック手段は、交互に円周方向等配列に設けられ、前記可動チャック手段は、誘導加熱開始前は前記固定チャック手段よりも中心側に退避して、前記固定チャック手段による芯出しチャック後に所定のチャック圧となるように制御される構成であることを特徴とする、請求項1に記載の高周波熱処理装置。
  3. 前記高周波誘導加熱コイルを支持し移動する加熱コイル支持移動手段と、前記環状ワークの熱膨張変位を測定する熱膨張変位測定手段と、を備え、
    記加熱コイル支持移動手段は、前記熱膨張変位測定手段により測定された熱膨張変位に応じて、前記高周波誘導加熱コイルを前記環状ワークから離隔する方向に移動させる、請求項1又は2に記載の高周波熱処理装置。
  4. 前記複数の可動チャック手段を作動させるための高圧エア供給手段を備え、
    前記複数の可動チャック手段は、それぞれチャック体と、該チャック体を作動させるシリンダ装置と、を有し、
    前記高圧エア供給手段は、前記複数のシリンダ装置に高圧エアを供給する高圧エア分配器を有する、請求項1乃至3の何れかに記載の高周波熱処理装置。
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