JP5553440B2 - 熱処理方法及び熱処理装置 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄鋼材料に対する焼き入れに代表される、金属ワークに対する熱処理方法に関するものである。また本発明は、金属ワークを熱処理する装置に関するものである。
鉄鋼製の機械部材に対しては、焼き入れ等の熱処理が施されることが多い。例えば鉄鋼製の歯車においては、歯面部分に焼き入れが施される。
また鉄鋼製の機械部材に対して焼き入れを施す方法として、高周波焼き入れが広く知られており、歯車の焼き入れにも応用されている。
特開2004−225072号公報
ところで前記した様に、鉄鋼製の歯車においては、歯面部分に焼き入れが施されるが、歯車形状が内歯歯車であるならば、環状形状の内面側を焼き入れすることとなる。
高周波焼き入れ手段によって、内歯歯車の焼き入れをするならば、環状形状の中(空洞部分)に円形の誘導コイルを挿入して行うこととなる。
しかしながら、本発明者らが大型の内歯歯車に対して高周波焼き入れを試みたところ、内歯歯車の歯先部分が過度に昇温されてしまうという問題があった。また逆に内歯歯車の歯底部分は焼き入れに足る温度まで昇温せず、満足な硬度を得にくいという不満があった。
この理由は、一つには、歯の高さに起因してコイルと被加熱部との距離に差が生じるためである。
即ち内歯歯車の環状形状の中(空洞部分)に円形の誘導コイルを挿入する場合、誘導コイルの外径は、内歯歯車の歯先円直径よりも僅かに小さいものが選定される。そのため誘導コイルは、内歯歯車の歯先に極めて近い位置にある。その一方、歯車の谷の部分(歯底)は、誘導コイルから離れる。
そのため誘導コイルは、歯先に極めて近く、歯底からは相当に遠い位置にあり、誘導コイルの変動磁界が内歯歯車内に発生させる誘導電流は、歯先部分に集中的に流れ、歯底部分に流れる誘導電流は少ないものとなる。
そのため前記した様に内歯歯車の歯先部分が過度に昇温し、歯底部分の温度は不十分なものとなる。
さらに加えて、内歯歯車の膨張についても無視できない影響がある。即ち内歯歯車を焼き入れすると、内歯歯車が熱膨張して内径が拡大する。例えば内径が900mm程度の内歯歯車であるならば、焼き入れの際の昇温によって内径が10mm以上も増大する。
そのため内歯歯車内に円形の誘導コイルを挿入して高周波焼き入れすると、昇温にともなって次第に内歯歯車が拡大し、誘導コイルと内歯との距離が遠ざかる。その結果、誘導コイルと歯底との距離がますます開き、内歯歯車の昇温に伴って歯底部分に流れる誘導電流が減少してゆく。そのためますます歯底部分の昇温速度が衰え、歯底部分の温度は不十分なままとなる。
この問題を解決する方策として、誘導コイルを流れる電流を制限して内歯歯車を時間を掛けて昇温し、内歯歯車内において熱を拡散し内歯歯車を全体的に昇温させることが考えられる。
しかしながら、この方策は、作業開始から焼き入れ完了までに相当の時間を要し、作業効率が悪い。
本発明は、従来技術の上記した問題点を解決するものであり、内歯歯車の様な環状であってその内面に対して熱処理を施す要求があり、且つ、熱処理を施す面に凹凸があるワークを程よく熱処理することができ、且つ処理時間の短い方法を提供するものである。
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、環状の金属製ワークの内周面に内周面処理用の誘導コイルを近接し、前記誘導コイルに高周波電流を通電してワークの内周面を誘導加熱し、ワークの内周面を熱処理する熱処理方法において、ワークの内周面を前記内周面処理用の誘導コイルで誘導加熱するのに先立って、あるいはワークの内周面を誘導加熱するのと平行して、ワークの外側に予熱用の半開放形誘導コイルを近接し、前記半開放形誘導コイルに高周波電流を通電すると共に前記半開放形誘導コイルとワークとを相対回転し、ワークを外側から誘導加熱することによってワークを予熱する予熱工程を有し、前記予熱工程においては予熱用の半開放形誘導コイルによってワークを弾性領域内に加熱し、その後に内周面処理用の誘導コイルによってワークの内周面を焼入れ温度に昇温した後ワークを冷却してワークを焼き入れすることを特徴とする熱処理方法である。
ここでワークの「外側」とは、内周面を除く面を指す。例えば環状の金属製ワークが内歯歯車であるとすれば、歯先円側が内周面である。そして外径円側と、両歯車の両側面とがワークの「外側」である。
本発明の熱処理方法では、ワークの外周面側或いはワークの側面側に予熱用の半開放形誘導コイルを近接し、半開放形誘導コイルに高周波電流を通電し、ワークを外側から誘導加熱することによってワークを予熱する。そのため焼き入れ等の熱処理を施す以前にワーク全体をある程度昇温させることができる。
また予熱に使用されるのは半開放形コイルであり、且つ予熱工程においては、半開放形誘導コイルとワークとを相対回転するから、ワークが均一的に昇温する。
即ち予熱に使用されるのは半開放形コイルであるから、ワークは部分的に変動磁界にさらされることとなる。即ちワークの全体に誘導電流が流れるのではなく、ワークの一部に誘導電流が流れ、ワークは一部だけが昇温する。しかしながら、本発明では、予熱工程の際に半開放形誘導コイルとワークとを相対回転するから、昇温される部位は常に移動することとなる。
この様に、ワークは一部だけが昇温し、且つ昇温される部位が常に移動するから、ワークが全体的にまんべんなく加熱されることとなる。また一旦加熱された部位は、ワークが一回転して元の姿勢にもどるまで加熱されないから、加熱された部位からその周囲に熱移動する時間を稼ぐことができるため、ワークの温度が均一化する。
本発明の熱処理方法では、ワークをまんべんなく昇温した後、あるいはそれと同時に内周面処理用の誘導コイルでワークの内周面を誘導加熱するから、歯底部分の様な内周面処理用の誘導コイルから遠い位置にある被加熱部分も、例えば焼き入れ温度まで達することができる。
そのため従来焼き入れを行い難かった、歯底の様な部位にも、十分に熱処理を施すことができる。
また、本発明は、環状の金属製ワークを焼き入れする際の態様として好適である。
内周面処理用の誘導コイルは円形のコイルであり、ワークに対してワークの軸方向に相対移動してワークに対して近接・離反することが望ましい(請求項2)
また請求項3に記載の発明は、ワークは、内周面と、外周面と、一対の側面を有し、内周面処理用の誘導コイルは円形のコイルであり、ワークに対してワークの軸方向に相対移動してワークに対して近接・離反するものであり、予熱用の半開放形誘導コイルは、ワークに対してワークの径方向に相対移動してワークに対して近接・離反し、予熱工程においては、半開放形誘導コイルの一部がワークの側面近傍にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理方法である。
本発明では、予熱用の半開放形誘導コイルは、ワークに対してワークの径方向に相対移動してワークに対して近接・離反するが、ワークの径方向に相対移動する態様としては、ワークの外側から近接させる方策と、ワークの内側に予熱用の半開放形誘導コイルを配置し、ワークの内側から近接させる方策が考えられる。
本発明の熱処理方法では、内周面処理用の誘導コイルは円形のコイルであり、ワークに対してワークの軸方向に相対移動してワークに対して近接・離反する。これに対して予熱用の半開放形誘導コイルは、ワークに対してワークの径方向に相対移動してワークに対して近接・離反する。そのため内周面処理用の誘導コイルと、予熱用の半開放形誘導コイルは、近接・離反の際の移動方向が異なり、衝突することがない。
請求項に記載の発明は、冷却後に再度半開放形誘導コイルによってワークを昇温する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱処理方法である。
本発明は、ワークを冷却後に再度半開放形誘導コイルによってワークを昇温する工程を有するものであり、ワークの焼き戻しを行うものである。
請求項に記載の発明は、環状の金属製ワークの内周面に内周面処理用の誘導コイルを近接し、前記誘導コイルに高周波電流を通電してワークの内周面を誘導加熱し、ワークの内周面を熱処理する熱処理方法において、ワークの内周面を前記内周面処理用の誘導コイルで誘導加熱するのに先立って、あるいはワークの内周面を誘導加熱するのと平行して、ワークの外側に予熱用の半開放形誘導コイルを近接し、前記半開放形誘導コイルに高周波電流を通電すると共に前記半開放形誘導コイルとワークとを相対回転し、ワークを外側から誘導加熱することによってワークを予熱する予熱工程を有し、前記ワークは、内歯歯車であることを特徴とする熱処理方法である。
即ち本発明は、内歯歯車を焼き入れする方策として推奨されるものである。
請求項に記載の発明は、環状の金属製ワークであって、内周面と外周面と一対の側面を有するワークの内周面を熱処理する熱処理装置において、円形の作用部を備えた内周面処理用の誘導コイルと、ワークの両側面に沿った一対の円弧形状線を備えた予熱用の半開放形誘導コイルと、前記内周面処理用の誘導コイルをワークに対してワークの軸方向に相対移動してワークに対して近接・離反させる第一移動手段と、予熱用の半開放形誘導コイルをワークの径方向に相対移動してワークに対して近接・離反させる第二移動手段とを備えたことを特徴とする熱処理装置である。
本発明は、内歯歯車の様な形状のワークを焼き入れする装置として好適なものである。
請求項に記載の発明は、ワークを冷却するワーク冷却手段を有し、ワーク冷却手段は、冷却液を溜める冷却槽と、ワークの内周面に対して冷却液を噴射する冷却液噴射部を備えることを特徴とする請求項に記載の熱処理装置である。
本発明の熱処理装置では、ワークの内周面に対して冷却液を噴射するのでワークの昇温部分を急冷することができ、焼き入れに適する。
本発明の熱処理方法及び熱処理装置は、内歯歯車の様な形状のワークに対しても必要部分を熱処理することができる効果がある。
本発明の実施形態の熱処理装置の概念図である。 本発明の実施形態の熱処理方法で熱処理されるワークの斜視図である。 本発明の熱処理方法の準備段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の予熱段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の焼き入れ段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の冷却段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の一連の工程における温度と時間を表したグラフである。 本発明の第二実施形態の熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の準備段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の予熱段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の予熱段階における熱処理装置の図10に続く動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の予熱段階における熱処理装置の図11に続く動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の焼き入れ段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。 本発明の熱処理方法の冷却段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。 図12のA−A断面斜視図である。
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の熱処理装置1は、大型の内歯歯車50を高周波焼き入れするための装置である。
ワークたる内歯歯車50は、ショベルカー、クレーン等の土木建築機械の運転席等を回動させるための歯車であり、外径が600mm〜1000mm程度、モジュールが6〜20程度の大型歯車である。
内歯歯車50は、図2の様に環状であって内周面51に歯が設けられている。内歯歯車50は、大きく歯が設けられている内周面51と、外部側に露出する外側部分54とに区別される。即ち内歯歯車50は、歯が形成された内周面51と、「外側54」たる、外周面52及び一対の側面55,56を有する。そして内周面51に歯形が形成されている。また外周面には、ベアリングの玉が配される溝57が設けられている。
本実施形態の熱処理装置1は、図1の様に、ワーク載置台2と、内周面処理用の誘導コイル3と、第一移動手段5と、予熱用の半開放形誘導コイル6と、第二移動手段7と、冷却槽8及び冷却ジャケット(冷却液噴射部)9によって構成されている。
冷却ジャケット(冷却液噴射部)9は、回転テーブル11と同心上に設けられたものであり、その形状は円柱状である。
冷却ジャケット9は、パイプ17を介して冷却槽8に固定されており、移動しない。
冷却ジャケット9の中は空洞であり、当該空洞に、パイプ17を介して冷却液が供給される。また冷却ジャケット9の周囲には、多数の孔18が設けられており、冷却液は、孔18から外部に噴射される。
ワーク載置台2は、モータ10によって回転する回転テーブル11を備えている。回転テーブル11は、リング状の載置部13を複数の棒状体14で支持した構造であり、リング状の載置部13の下部には空間がある。
また回転テーブル11は、前記したパイプ17の周囲を覆う外パイプ19に支持されている。さらに外パイプ19は、冷却槽8の下に設けられたシリンダー12に接続されており、上下方向に移動する。
内周面処理用の誘導コイル3は、円形の作用部15と直線状の導線部16を有するワンターンコイルである。誘導コイル3の作用部15の外径は、内歯歯車50の歯先円直径よりもわずかに小さい。なお本実施形態では、後記する様に内歯歯車50を予熱した後に誘導コイル3を内歯歯車50内に挿入するものであり、内歯歯車50がある程度膨張した後に誘導コイル3を内歯歯車50内に挿入するので常温時における誘導コイル3の外径と、歯先円直径の差は、極めて小さいもので足る。
誘導コイル3の内部は空洞であり、冷却水が通過する。誘導コイル3の素材の断面形状は長方形であることが望ましい。
誘導コイル3の導線部16には、図示しない高周波発振回路が接続されており、誘導コイル3には、高周波電流が流れる。
第一移動手段5は、シリンダーであり、誘導コイル3を上下方向に移動するものである。なお第一移動手段5は、サーボモータ等の電力を利用したアクチェータを採用することもできる。
予熱用の半開放形誘導コイル6は、作用部20と、導線部21を備えたコイルである。半開放形誘導コイル6の作用部20は、一対の円弧形状線23,24が連結部22で結合された形状をしている。円弧形状線23,24は、同一の形状をしており、いずれも90度から180度程度の扇形である。円弧形状線23,24の曲率は、ワークたる内歯歯車50の外周曲率と内周曲率の中間の曲率である。
本実施形態では、連結部22は、円弧形状線23,24の扇形に対して外側に突出するものである。
また円弧形状線23,24の間隔は、ワークたる内歯歯車50の幅よりも広い。
半開放形誘導コイル6の素材の断面形状は長方形であるが、内部は空洞であり、冷却水が通過する。
半開放形誘導コイル6の導線部21には、図示しない高周波発振回路が接続されており、半開放形誘導コイル6には、高周波電流が流れる。
第二移動手段7は、シリンダーであり、半開放形誘導コイル6を水平方向に移動するものである。第二移動手段7についても、電力を利用したアクチェータを採用することができる。
冷却槽8は、水槽である。
次に前記した熱処理装置1の動作及び本発明の実施形態の熱処理方法について説明する。
図3〜図6は、本発明の熱処理方法の各段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。
本実施形態の熱処理方法では、準備工程として、熱処理装置1のワーク載置台2にワークたる内歯歯車50を載置する。
このときの内周面処理用の誘導コイル3及び予熱用の半開放形誘導コイル6の位置は、図3の通りであり、内周面処理用の誘導コイル3は、内歯歯車50の上部にあって内歯歯車50から離れた位置で待機しており、半開放形誘導コイル6は、内歯歯車50から水平方向に離れた位置にある。
即ち内周面処理用の誘導コイル3は、内歯歯車50から軸方向に離れている。また半開放形誘導コイル6は、内歯歯車50から径方向に離れた位置で待機している。
そして続いて予熱工程を実行する。即ち予熱用の半開放形誘導コイル6を、第二移動手段7によって水平方向に移動し、内歯歯車50に対して径方向から接近させる。そして図4の様に、円弧形状線23,24同士の間に内歯歯車50を挿入する。ここで円弧形状線23,24同士の間隔は、内歯歯車50の幅よりも広く、且つ円弧形状線23,24の曲率は、内歯歯車50の外周曲率と内周曲率の中間の曲率であるから、円弧形状線23,24は、内歯歯車50の外側54の一部たる側面55,56に位置することとなる。
この状態で、予熱用の半開放形誘導コイル6に高周波電流を通電する。その結果、予熱用の半開放形誘導コイル6が変動磁界を発生し、変動磁界にさらされる内歯歯車50の側面55,56に誘導電流が生じ、内歯歯車50の側面55,56が昇温する。即ち内歯歯車50を外側から加熱する。
またモータ10を回転してワーク載置台2を回転させる。その結果、誘導電流が生じる位置が循環的に変化する。特定の部位に注目すると、当該部位には簡潔的に誘導電流が生じ、間欠的に昇温される。そのため、昇温されていない時間帯は、当該部位の熱が周囲に逃げ、周囲に熱が拡散され、やがて歯車の歯底の部位にも熱が行き渡る。即ち誘導電流が生じるのは、内歯歯車50の側面55,56であり、歯車の歯底と近いので、歯車の歯底の部位にも熱が行き渡る。その結果、内歯歯車50の側面55,56から歯部の歯底にかけての部位がまんべんなく昇温される。
そして例えば、一定時間、予熱用の半開放形誘導コイル6に高周波電流を通電し、内歯歯車50を予熱する。なお予熱温度は、弾性領域内であり、例えば摂氏400度から摂氏500度である。予熱は、一定の時間を区切って行ってもよく、また実際の温度を監視しつつ行ってもよい。
予熱が終了すると、図5の様に予熱用の半開放形誘導コイル6を内歯歯車50の径方向に逃がす。なお予熱用の半開放形誘導コイル6を内歯歯車50の径方向に移動するものであり、一方の内周面処理用の誘導コイル3は、内歯歯車50に対して軸方向に離れているから、予熱用の半開放形誘導コイル6が移動する際に内周面処理用の誘導コイル3と衝突することはない。
そして代わって内周面処理用の誘導コイル3を降下し、内周面処理用の誘導コイル3を内歯歯車50の軸方向から接近させ、遂には内周面処理用の誘導コイル3を内歯歯車50の空洞部分に挿入する。なお内周面処理用の誘導コイル3は内歯歯車50の軸方向に移動するものであり、一方の予熱用の半開放形誘導コイル6は内歯歯車50に対して径方向に離れているから、内周面処理用の誘導コイル3が移動する際に半開放形誘導コイル6と衝突することはない。
そして内周面処理用の誘導コイル3に高周波電流を流す。その結果、内周面処理用の誘導コイル3が変動磁界を発生させ、変動磁界にさらされる内歯歯車50の内周面に誘導電流が生じ、内歯歯車50の内周面51が昇温する。
ここで、前記した予熱工程によって内歯歯車50の歯底が摂氏400度程度に昇温されているから、内周面処理用の誘導コイル3に高周波電流を流すと、内歯歯車50の歯底が短時間の内にA1変態点の温度に達する。また歯先部分は、内周面処理用の誘導コイル3に近いので、歯先部分についても直ちに昇温する。
内歯歯車50の歯先部分及び歯底部分が目標の温度に達すると、図6の様にワーク載置台2を降下させ、冷却槽8に内歯歯車50を沈めて内歯歯車50を冷却する。このとき、冷却ジャケット9に設けられた多数の孔18から冷却液が噴射され、ワークたる内歯歯車50の内周面51に対して冷却液が噴射される。
同時に内周面処理用の誘導コイル3を上昇し、内周面処理用の誘導コイル3を待機位置に戻す。この場合においても、一方の予熱用の半開放形誘導コイル6は内歯歯車50に対して径方向に離れているから、内周面処理用の誘導コイル3が移動する際に半開放形誘導コイル6と衝突することはない。
内歯歯車50を冷却することによって焼き入れ処理が終わるが、引き続き焼戻しを行う。
焼き戻す場合には、ワーク載置台2を上昇し、再度図4の様に予熱用の半開放形誘導コイル6を近接して内歯歯車50の外周を昇温する。昇温の際の温度は、弾性領域内である。
図7は、これらの一連の工程における温度と時間を表したグラフである。
以上説明した実施形態では、予熱用の半開放形誘導コイル6を内歯歯車50の外側から接近させたが、本発明は、この方策に限定されるものではなく、予熱用の半開放形誘導コイル6を内歯歯車50の内側から接近させてもよい。
以下、予熱用の半開放形誘導コイルを内歯歯車50の内側から接近させる構成について説明する。
図8は、本発明の第二実施形態の実施形態の熱処理装置の概念図である。
図8に示す熱処理装置30は、内周面処理用の誘導コイル31の形状及び第二移動手段34の構造のみが先の実施形態と異なる。そのため先の実施形態と同一の部材には同一の番号を付して重複する説明を省略する。
即ち第二実施形態の熱処理装置30は、図8の様に、ワーク載置台2と、内周面処理用の誘導コイル3と、第一移動手段5と、予熱用の半開放形誘導コイル31と、第二移動手段34及び冷却槽8によって構成されている。
この内、ワーク載置台2と、内周面処理用の誘導コイル3と、第一移動手段5及び冷却槽8は先の実施形態のそれと同一である。
予熱用の半開放形誘導コイル31は、作用部33と、導線部35を備えたコイルである。半開放形誘導コイル31の作用部33は、一対の円弧形状線37,38が連結部40で結合された形状をしている。円弧形状線37,38は、同一の形状をしており、いずれも90度から120度程度の扇形である。円弧形状線37,38の曲率は、ワークたる内歯歯車50の外周曲率と内周曲率の中間の曲率である。
本実施形態では、連結部40は、円弧形状線37,38の扇形に対して内側に突出するものである。
また円弧形状線37,38の間隔は、ワークたる内歯歯車50の幅よりも広い。
第二移動手段34は、垂直移動用のシリンダー43と、水平移動用のシリンダー45とを備え、予熱用の半開放形誘導コイル31を垂直方向と水平方向に二方向に移動することができる。なおシリンダー43に代わってサーボモータ等の電力を利用したアクチェータを採用することもできる。
次に第二実施形態の熱処理装置30の動作について説明する。
図9〜図14は、本発明の熱処理方法の各段階における熱処理装置の動作を説明する熱処理装置の概念図である。
本実施形態の熱処理装置30のワーク載置台2に内歯歯車50を載置した際の内周面処理用の誘導コイル3及び予熱用の半開放形誘導コイル31の位置は、図9の通りであり、内周面処理用の誘導コイル3は、内歯歯車50の上部にあって内歯歯車50から離れた位置で待機しており、半開放形誘導コイル31は、内歯歯車50から水平方向にも垂直方向にも離れた位置にある。
そして続いて予熱工程を実行する。即ち予熱用の半開放形誘導コイル31を、第二移動手段34の水平移動用のシリンダー45によって水平方向に移動し、図10の様に内歯歯車50を内歯歯車50の真上に移動させる。
続いて垂直移動用のシリンダー43を伸長させて半開放形誘導コイル31を降下し、図11の様に半開放形誘導コイル31を内歯歯車50の中心孔内に入れる。
さらに続いて水平移動用のシリンダー45によって半開放形誘導コイル31を水平方向に引き戻し、半開放形誘導コイル31を内歯歯車50に対して径方向内側から接近させる。そして図12の様に、円弧形状線37,38同士の間に内歯歯車50を挿入する。ここで円弧形状線37,38同士の間隔は、内歯歯車50の幅よりも広く、且つ円弧形状線37,38の曲率は、内歯歯車50の外周曲率と内周曲率の中間の曲率であるから、円弧形状線37,38は、内歯歯車50の側面55,56に位置することとなる。
図15は、図12のA−A断面斜視図であり、下側の円弧形状線38は、ワーク載置台2の載置部13の孔内に入り、内歯歯車50の下側側面56であって、歯底近傍に位置する。
この状態で、予熱用の半開放形誘導コイル31に高周波電流を通電し、内歯歯車50の側面55,56が昇温する。
またモータ10を回転してワーク載置台2を回転させる。そして例えば、一定時間、予熱用の半開放形誘導コイル31に高周波電流を通電し、内歯歯車50を予熱する。
予熱が終了すると、先とは逆の経路を辿って予熱用の半開放形誘導コイル31を元の位置に戻す。そして代わって内周面処理用の誘導コイル3を降下し、内周面処理用の誘導コイル3を内歯歯車50の軸方向から接近させ、遂には内周面処理用の誘導コイル3を内歯歯車50の空洞部分に挿入し、内歯歯車50の内周面51が加熱する。
内歯歯車50の歯先部分及び歯底部分がA1変態点の温度に達すると、図14の様にワーク載置台2を降下させ、冷却槽8に内歯歯車50を沈めて内歯歯車50を冷却する。
同時に内周面処理用の誘導コイル3を上昇し、内周面処理用の誘導コイル3を待機位置に戻す。
以上の工程によって一連の焼き入れ工程が完了する。
1,30 熱処理装置
2 ワーク載置台
3 内周面処理用の誘導コイル
5 第一移動手段
6,31 予熱用の半開放形誘導コイル
7,34 第二移動手段
8 冷却槽
23,24 円弧形状線
37,38 円弧形状線
50 内歯歯車
54 外側
55,56 側面

Claims (7)

  1. 環状の金属製ワークの内周面に内周面処理用の誘導コイルを近接し、前記誘導コイルに高周波電流を通電してワークの内周面を誘導加熱し、ワークの内周面を熱処理する熱処理方法において、ワークの内周面を前記内周面処理用の誘導コイルで誘導加熱するのに先立って、あるいはワークの内周面を誘導加熱するのと平行して、ワークの外側に予熱用の半開放形誘導コイルを近接し、前記半開放形誘導コイルに高周波電流を通電すると共に前記半開放形誘導コイルとワークとを相対回転し、ワークを外側から誘導加熱することによってワークを予熱する予熱工程を有し、
    前記予熱工程においては予熱用の半開放形誘導コイルによってワークを弾性領域内に加熱し、その後に内周面処理用の誘導コイルによってワークの内周面を焼入れ温度に昇温した後ワークを冷却してワークを焼き入れすることを特徴とする熱処理方法。
  2. 内周面処理用の誘導コイルは円形のコイルであり、ワークに対してワークの軸方向に相対移動してワークに対して近接・離反することを特徴とする請求項1に記載の熱処理方法。
  3. ワークは、内周面と、外周面と、一対の側面を有し、内周面処理用の誘導コイルは円形のコイルであり、ワークに対してワークの軸方向に相対移動してワークに対して近接・離反するものであり、予熱用の半開放形誘導コイルは、ワークに対してワークの径方向に相対移動してワークに対して近接・離反し、予熱工程においては、半開放形誘導コイルの一部がワークの側面近傍にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱処理方法。
  4. 冷却後に再度半開放形誘導コイルによってワークを昇温する工程を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の熱処理方法。
  5. 環状の金属製ワークの内周面に内周面処理用の誘導コイルを近接し、前記誘導コイルに高周波電流を通電してワークの内周面を誘導加熱し、ワークの内周面を熱処理する熱処理方法において、ワークの内周面を前記内周面処理用の誘導コイルで誘導加熱するのに先立って、あるいはワークの内周面を誘導加熱するのと平行して、ワークの外側に予熱用の半開放形誘導コイルを近接し、前記半開放形誘導コイルに高周波電流を通電すると共に前記半開放形誘導コイルとワークとを相対回転し、ワークを外側から誘導加熱することによってワークを予熱する予熱工程を有し、前記ワークは、内歯歯車であることを特徴とする熱処理方法。
  6. 環状の金属製ワークであって、内周面と外周面と一対の側面を有するワークの内周面を熱処理する熱処理装置において、円形の作用部を備えた内周面処理用の誘導コイルと、ワークの両側面に沿った一対の円弧形状線を備えた予熱用の半開放形誘導コイルと、前記内周面処理用の誘導コイルをワークに対してワークの軸方向に相対移動してワークに対して近接・離反させる第一移動手段と、予熱用の半開放形誘導コイルをワークの径方向に相対移動してワークに対して近接・離反させる第二移動手段とを備えたことを特徴とする熱処理装置。
  7. ワークを冷却するワーク冷却手段を有し、ワーク冷却手段は、冷却液を溜める冷却槽と、ワークの内周面に対して冷却液を噴射する冷却液噴射部を備えることを特徴とする請求項に記載の熱処理装置。
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