JP5810406B2 - 誘導加熱装置及び誘導加熱方法 - Google Patents
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Description
補正係数は被加熱領域が予め定めた設定加熱状態に達したときに変更されるのがよい。
本実施形態では、大型の円環形状の加熱対象物を加熱及び冷却して焼入れするための旋回型焼入装置の例を用いて説明する。
まず本発明の加熱対象であるワークについて説明する。
加熱対象のワークは、鋼材のような焼入可能な材料からなり、表面側のみが加熱されるものであっても、内部まで加熱されるものであってもよく、ワークの表面の一部には加熱される面からなる被加熱領域が、一方向に略一定形状で延びて設定されている。特に被加熱領域の両側縁間の距離である幅に比べ、被加熱領域Hの全長が長いワーク形状のものに適用するのが好適である。ここで一方向とは、有端のワークの場合、両端間に延びる直線、波線、曲線等に沿う方向であり、環形状のワークの場合、環形状に沿う方向である。
次に、本実施形態の熱処理装置について説明する。
ここでは熱処理装置10の複数の位置に接続部が設けられているため、作業者が熱処理装置10の様々な場所で操作部710の操作パネルまで移動せずに、各種の入力や操作を行うことができる。またケーブル702により有線で接続するため、高周波を用いて熱処理を行う装置であっても、通信障害を防止して正常に操作することができる。
加熱セクション400は、図7に示すように、治具100の放射架台111を下から支持し周方向の移動を規制する治具保持機構410と、治具100に載置されたワークWを加熱する複数の加熱部450と、を備える。治具保持機構410及び加熱部450は、治具100の中心であるワークWの回転中心Cに対して周囲に複数設けられている。ここでは治具100の互いに隣接する放射架台111間にワークWの加熱位置P3が設けられており、各加熱部450は加熱位置P3に対応するように配設されている。
各加熱部450は、図7及び図8に示すように、ワークWの表面位置を検出する位置検出手段480と、各加熱位置P3で治具100上に載置されたワークWの被加熱領域Hに対向配置される加熱コイル451と、電気設備の一部からなり加熱部450の各部を制御すると共に加熱コイル451に高周波電力を給電するための給電設備700と、加熱コイル451を接続して支持する支持ボックス452と、支持ボックス452を変位及び変向させることでワークWに対する加熱コイル451の相対位置を変位させると共に相対角度を変向させる変位手段460と、変位手段460の動作を制御してワークWと加熱コイル451との相対位置及び相対角度を調整する姿勢制御部490と、給電設備700の一部からなり加熱コイル451に供給される高周波電力を調整するための電力調整手段491と、を備えている。
位置検出手段480は、加熱時にワーク表面の位置を検出するものであり、図7に示すように、各加熱位置P3の上流側に配置されている。本実施形態では2つの加熱位置P3毎に、その上流側に配置される治具100の放射架台111と対応する位置に配置されている。
このように接触子488の変位量を変化量検出部489において検出することで、ワークW表面の上下方向の変位及び水平方向の変位が検出され、測定位置を示す信号が出力される。
加熱コイル451は、被加熱領域Hの一方向に沿う全長のうちの一部に対向する大きさに形成され、ワークWの全周のうちの加熱位置P3に配置される部位に対向配置される。各加熱部450の加熱コイル451は互いに所定間隔を開けて、被加熱領域Hの全長において均等に配置されている。
加熱コイル451の形状は適宜選択可能であり、平面視においてワークWの加熱部位の弧形状に対応した形状であって、ワークWの縦断面形状に対応した縦断面形状となっている。ここでは複数の加熱コイル451、好ましくは全ての加熱コイル451が同じ形状を有する。
そのために被加熱領域Hの形状と加熱コイル451の被加熱領域Hと対向する面の形状とが、なるべく広い範囲で一致するのがよい。また加熱コイル451の被加熱領域Hと対向する面の面積である対向面積が、被加熱領域Hの幅方向においてなるべく均一になるのがよい。さらに被加熱領域Hと直交する断面において、加熱コイル451の被加熱領域Hと対向する面と被加熱領域Hとの間の角度はなるべく小さくするのがよく、好ましくは0度となる。
加熱コイル451の被加熱領域Hと直交する方向の幅は被加熱領域Hの幅と同等にするのがよい。加熱コイル451の幅が狭い場合、複数の加熱コイル451の配置を幅方向にずらすことで被加熱領域Hの全幅により均一に加熱できる。
給電設備700は、図11に示すように、複数の変成器722と複数の整合器723とインバータ724とインバータ制御部725とスイッチ群726などにより、加熱コイル451毎に設けられる。
インバータ724は、商用電源729からの商用電圧を直流電圧に変換する順変換部724Aと、順変換部724Aから出力された直流電圧を指定の周波数の電圧に変換する逆変換部724Bと、を備えている。
インバータ制御部725は、順変換部724Aを制御する順変換制御部725Aと、逆変換部724Bを制御することにより指定の周波数の電圧を逆変換部724Bから出力させる逆変換制御部725Bと、を備える。複数の逆変換制御部725Bが備えられ、ワークWの誘導加熱開始からの時間に応じてインバータ724から出力される電力の周波数を換えることができる。
スイッチ群726として、複数の整合器723の一つをインバータ24に接続するためにスイッチ726Dが設けられ、複数の整合器723の一つを複数の変成器722の一つに接続するためのスイッチ726B,726Cが設けられ、複数の変成器722の一つを加熱コイル451に接続するためのスイッチ726Aが設けられ、逆変換制御部725Bの一つを逆変換部724Bに接続するスイッチ726Eが設けられる。
ここで、複数の整合器723はそれぞれ異なる容量を備えるコンデンサにより構成されたものであり、複数の変成器722はそれぞれ一次巻線と二次巻線の巻き数及び比が異なるものである。各整合器722にはコンデンサのほかコイルを含んでいてもよい。各変成器722A,722B,722C及び各整合器723A,723B,723C内のスイッチは、各変成器、各整合器のインダクタンス、リアクタンスを調整するためのものであり、切り替え制御部727によって切り替えられる。
変位手段460は、ワークWと加熱コイル451との相対位置を変位させ、且つ、相対角度を変向するものである。
変位手段460は、図8に示すように、支持ボックス452を上下に変位させる上下変位部462と、支持ボックス452をワークWの回転中心Cからの放射方向に沿って水平方向に変位させる水平変位部463と、支持ボックス452の傾斜を調整する角度変向部492と、を備える。
上下駆動機構465は、下架台464に固定されて上下方向に配置された変位ガイドロッド466及び縦変位ネジ軸467と、変位架台42に固定されて変位ガイドロッド466を上下動可能に支持する変位軸受468と、変位架台42に固定されたサーボモータ等からなる上下駆動モータ469と、変位架台42に設けられて上下駆動モータ469の回転により縦変位ネジ軸467を上下動させる連結体471とを備える。
変位手段460には、位置検出手段480の検出結果に基づいて変位手段460の動作を制御することで、ワークWと加熱コイル451との相対位置及び相対角度を調整する姿勢制御部490が設けられている。この姿勢制御部490は、図8に示すように、電気設備の操作部710内に組み込まれた状態で設けられており、変位手段460の各駆動機器を制御するように構成されている。
図15に実線で示すような常温状態のワークWを回転させつつ、加熱コイル451によりワークWの内周面のc1−d1間の被加熱領域Hを、図中破線で示す内周面の下側を冷却液で冷却しつつ加熱する。すると、被加熱領域Hの昇温と共に、図中に仮想線で示すようにワークWが不均一に熱膨張し、被加熱領域Hの一方の縁側と他方の縁側とで異なる変形量となる。その結果、被加熱領域Hはc2−d2間の位置となる。なお、理解容易のために図では変形を誇張して記載している。
ここで加熱条件とは、例えばワークWの形状、大きさ、材質、加熱コイル451の形状、対向面積、ワークWの移動速度、加熱コイル451に供給する高周波電力の電圧、電流、周波数、加熱時のワークWの冷却位置、冷却液温度などである。また加熱状態とは、被加熱領域Hの表面温度、加熱経過時間などである。
この姿勢制御部490では、予め設定された加熱条件で加熱コイル451により誘導加熱を開始してから、適宜な加熱状態で、好ましくは予め設定された設定加熱状態で、加熱コイル451の位置及び傾き角度を調整する。これにより被加熱領域Hの全体を出来るだけ均一に加熱することが可能となり、ギャップのずれなどに起因した供給電力に対する加熱効率を向上することができる。
まず、加熱時に各位置検出手段480の検出結果、即ち、被加熱領域H以外の部分で測定された検出結果から得られた測定位置を、少なくともワーク形状に基づいて補正し、補正により得られた補正位置に対応するように変位手段460の動作を制御する機能を有する。
基準位置は、加熱コイル451と被加熱領域Hとの間のギャップが加熱コイル451全体で均一な場合、加熱コイル451の被加熱領域Hに対向する面と被加熱領域Hの表面との間の距離が所定値となる位置であるのがよい。加熱コイル451と被加熱領域Hとの間のギャップが不均一となる場合には、加熱コイル451の被加熱領域Hに対向する面の適宜な地点と被加熱領域Hの地点に対向する地点との間の距離が所定値となる位置とすることができる。
このような補正係数は経験上で得られたものであってもよい。また加熱条件、設定加熱状態等に基づいて加熱時の設定加熱状態におけるワークWの変形を演算し、位置検出手段480の径方向位置検出手段483及び軸方向位置検出手段484において測定される部位の変形量と、演算により求められる被加熱領域Hの変位量とから補正係数を求めてもよい。さらに姿勢制御部490に予め補正係数を求めるシミュレーション処理のステップを設定しておき、このシミュレーション処理により補正係数を求めてもよい。
このような補正係数は加熱時又は加熱前に入力してもよく、姿勢制御部490に記憶してもよい。
姿勢制御部490により制御して変位手段460により各加熱コイル451を変位させることで、複数の加熱コイル451と被加熱領域Hとの対向面積を、被加熱領域の幅方向に変化するように調整する。例えば各加熱コイル451を、加熱期間開始時点ではワークWの被加熱領域Hの幅方向において略同じ位置に配置しておき、所定の加熱状態に達した時点で各加熱コイル451を被加熱領域Hの幅方向における位置を個々に、又は複数組み合わせて変位させる。全ての加熱コイル451を変位させてもよい。
なお、各加熱コイル451の配置を変位させた状態では、互いに異なる加熱コイル451の一部が被加熱領域Hの幅方向における同じ位置に配置され、被加熱領域Hの幅方向における同じ位置を重畳的に加熱する配置とすることも可能である。
これにより、被加熱領域Hの幅方向における複数の加熱コイル451の配置分布を加熱コイル451の変位前と変位後とで異ならせて調整し、誘導加熱の際の発熱量を適切に調整することができる。
さらに姿勢制御部490に予め複数の加熱コイル451の姿勢を決定するためのシミュレーション処理のステップを設定しておき、このシミュレーション処理により決定することも可能である。ここではシミュレーション処理により被加熱領域Hの幅方向における変形量を求め、この変形量に対応させるように姿勢の調整量を決定してもよい。
ここでは加熱状態として加熱経過時間を用いるが、加熱状態として被加熱領域Hの温度を用いることも可能である。その場合、図16に破線で示すように、被加熱領域Hの温度を非接触式の温度センサにより検出し、加熱状態判定部496により検出温度が予め設定した温度に到達したことで設定加熱状態を判定してもよい。
シミュレーション処理のステップは、加熱条件下で被加熱領域Hが設定加熱状態に達した際の変形状態を演算するためのものであり、その手法は特に限定されるものではない。例えば二次元FEM(Finite Element Method)解析モデルにより熱変形を求めるシミュレーション処理などを採用してもよい。
電力調整手段491は、給電設備700の操作部710の一部として設定されている。この電力調整手段491では、複数の加熱コイル451に供給する高周波電力を加熱コイル451毎に別々に調整する。高周波電力の調整は予め設定された設定加熱状態に到達した時点及びそれ以後に、設定加熱状態に対応して設定されている高周波電力に調整してもよい。
この電力調整手段491では、姿勢制御部490により各加熱コイル451と被加熱領域Hとの間の相対位置及び相対角度を調整することと組み合わせて、各加熱コイル451に給電する高周波電力を異ならせることで、複数の加熱コイル451により被加熱領域Hを加熱する。
次に、このような熱処理装置10を用いてワークWを焼入処理する方法について説明する。
本実施形態の焼入方法では、ワークWに応じて各部を設定する準備工程と、ワークWを搬入して治具100に載置する搬入工程と、ワークWを載置した治具100を搬送する搬送工程と、治具100上のワークWを誘導加熱する加熱工程と、治具100上のワークWを冷却する冷却工程と、焼入れ後のワークWを搬出する搬出工程とを備える。
搬入搬出セクション300の搬入搬出位置P1において、治具100にワークWを支持させる。図4に示すように、ワークWは治具100の複数の回転ローラ112上に、中央構造部130を囲むと共に、一方の端面を下向きにして載置する。その後、ワークWが載置された治具100を吊り下げ位置P2に移動して停止させる。
搬送工程では、図3及び図4に示すように、ワークWが載置された治具100を搬送機構200の搬送ローダ部220に接続し、吊り下げて加熱セクション400に搬送する。
加熱工程では、図17に示すような加熱処理ステップが実行される。
図9に示すように、位置検出具483,484の接触子488をワークWの外周面の中腹と上面とに当接させて測定位置の測定を行う。図8に示すように、加熱される被加熱領域Hに隣接する下部側に、加熱冷却部440から冷却液を噴射して冷却を開始する。
各位置検出手段480の径方向位置検出具483及び軸方向位置検出具484の接触子488の変位量を変化量検出部489で検出することで、各加熱位置P3における被加熱領域Hの測定位置が測定されている。そのため各加熱コイル451をワークWに追従させつつ加熱することができる。例えばワークWが治具100の中心から偏心した状態で配置されるなどにより、ワークWが回動する際に径方向に変位しながら旋回するような場合であっても、加熱コイル451をワークWに追従させて加熱することができる。
この誘導加熱処理工程S4では、加熱開始後から加熱状態を継続的に検出しており、加熱開始後からの加熱経過時間を加熱状態として検出している。
このような誘導加熱処理が継続されることで、被加熱領域H及びワークWが昇温される。それと同時にワークWが熱膨張により徐々に不均一に変形する。
例えば図18に示すように、設定加熱状態に到達するまでの間は各加熱コイル451が図中に実線で示すような傾きで配置されている。設定加熱状態に到達した後は、ワークWの不均等な変形により被加熱領域Hの傾斜が変化するため、この変化に対応するように、図中の仮想線で示すように角度θで傾斜を変化させ、各加熱コイル451と被加熱領域Hとの間のギャップをより均一にする。
そして設定加熱条件以後の高温状態では、次の設定加熱条件に到達するまでの間、この角度が維持される。
そのため、図19に実線で示すように、設定加熱状態に到達する前には被加熱領域Hの幅方向における複数の加熱コイル451の位置が同等に配置されていたところを、図中の仮想線で示すように、一部の加熱コイル451の位置を被加熱領域Hの縁側にずらして配置する。必要により、複数の加熱コイル451の全部を縁側にすらして配置してもよい。これにより、被加熱領域Hの幅方向における加熱コイル451の対向面積の分布を調整し、被加熱領域Hの低温側がより多い対向面積となるように各加熱コイル451を配置し、低温側の発熱量をより大きくする。
そして、設定加熱条件以後の高温状態では、次の設定加熱条件に到達するまでの間この角度が維持される。
ワークWの被加熱領域Hの温度が十分に低下した段階で冷却工程を終了する。
姿勢制御部490は、加熱期間中に被加熱領域Hが予め定めた設定加熱状態に達したときに補正係数を変更する。これによりワークWの不均一な変形量が昇温するほど大きくなるのであっても、加熱コイル451を適切な位置に配置できる。
例えば、上記では位置検出手段480により検出される測定位置を補正すると共に、被加熱領域Hの幅方向における複数の加熱コイル451の配置分布を調整したり、加熱時の被加熱領域Hに沿うように加熱コイル451の角度を調整して配置しているが、加熱コイル451の配置分布や角度の調整をせずに、位置検出手段480により検出される測定位置をより適切に補正することで、被加熱領域の不均一な加熱状態のむらを小さくして均一化を図ることは可能である。
上記では加熱コイル451に対してワークWを回転させることで加熱コイル451とワークWとを相対移動させる例について説明したが、加熱コイル451を回転させることで相対移動させることも可能である。
W1 基部
W2 突出部
W3 傾斜面
H 被加熱領域
C 回転中心
P1 搬入搬出位置
P2 吊り下げ位置
P3 加熱位置
10 熱処理装置(加熱装置)
40 加熱冷却架台
42 変位架台
43 位置検出支柱
44 位置検出台
100 治具
110 ワーク支持部
111 放射架台
112 回転ローラ(相対移動手段)
130 中央構造部
200 搬送機構
210 搬送レール
220 搬送ローダ部
246 回転駆動手段
255 回転駆動モータ
300 搬入搬出セクション
400 加熱セクション
410 治具保持機構
440 加熱冷却部
450 加熱部
451 加熱コイル
452 支持ボックス
460 変位手段
461 位置調整ハンドル
462 上下変位部
463 水平変位部
464 下架台
465 上下駆動機構
466 変位ガイドロッド
467 縦変位ネジ軸
468 変位軸受
469 上下駆動モータ
471 連結体
472 第1変位レール
473 上架台
474 第1変位駆動機構
475 第2変位レール
476 第2変位駆動機構
477 変位駆動モータ
478 横変位ネジ軸
479 変位突部
480 位置検出手段
481 第1進退機構
482 第2進退機構
483 径方向位置検出具
484 軸方向位置検出具
485 進退用駆動手段
486 ロッド
487 ガイドロッド
488 接触子
489 変化量検出部
490 姿勢制御部
491 電力調整手段
492 角度変向部
493 設定入力部
494 演算処理部
495 記憶部
496 加熱状態判定部
497 駆動制御部
500 冷却セクション
600 部品交換セクション
700 給電設備
701 携帯端末器
702 ケーブル
710 操作部
711 入出力画面
722,722A,722B,722C 変成器
723,723A,723B,723C 整合器
724 インバータ
724A 順変換部
724B 逆変換部
725 インバータ制御部
725A 順変換制御部
725B 逆変換制御部
726 スイッチ群
726A,726B,726C,726D,726E スイッチ
727 切り替え制御部
Claims (6)
- 基部と該基部から突出した突出部とを備えた円環形状のワークの前記突出部に、円環形状に沿って無端状の被加熱領域が設定され、該被加熱領域が誘導加熱されたときに該被加熱領域の一方の縁側と他方の縁側とで熱膨張による変形量が異なる前記ワークを誘導加熱する加熱装置であって、
前記被加熱領域の周方向の一部となる加熱位置に対向する加熱コイルと、前記ワークを円環形状に沿って回転させる相対移動手段と、加熱時に前記加熱位置の上流側における前記ワークの前記被加熱領域以外の位置で軸方向と径方向との表面位置を検出する位置検出手段と、該位置検出手段の検出結果に基づいて前記ワークと前記加熱コイルとの相対位置を変位させる変位手段と、を備え、
前記変位手段は、前記加熱時に前記位置検出手段でそれぞれ検出された軸方向と径方向との基準位置からの位置ずれ量を、少なくともワーク形状に基づいて補正し、補正により得られた位置ずれ補正量に対応するように前記ワークと前記加熱コイルとの相対位置を変位させる、誘導加熱装置。 - 前記位置ずれ補正量は前記位置ずれ量を少なくともワーク形状に対応した補正係数倍することで求める、請求項1に記載の誘導加熱装置。
- 前記変位手段は、前記被加熱領域が予め定めた設定加熱状態に達したときに前記補正係数を変更する、請求項2に記載の誘導加熱装置。
- 前記変位手段は、前記位置ずれ補正量に対応するように前記変位手段の動作を制御する姿勢制御部を備え、
該姿勢制御部は、前記ワークの加熱条件を入力する設定入力部と、前記被加熱領域の設定加熱状態における前記補正係数を記憶する記憶部と、前記被加熱領域の加熱状態が前記設定加熱状態に達したことを判定する加熱状態判定部と、前記位置ずれ量と前記補正係数から前記位置ずれ補正量を演算する演算処理部と、前記位置ずれ補正量に対応するように前記変位手段を駆動する駆動制御部と、を備え、
前記演算処理部は、予め設定されたシミュレーション処理により前記加熱条件に基づいて前記設定加熱状態における前記補正係数を演算し、前記記憶部は前記演算処理部で得られた前記補正係数を前記設定加熱状態に対応させて記憶する、請求項2又は3に記載の誘導加熱装置。 - 基部と該基部から突出した突出部とを備えた円環形状のワークの前記突出部に、円環形状に沿って無端状の被加熱領域が設定され、該被加熱領域が誘導加熱されたときに該被加熱領域の一方の縁側と他方の縁側とで熱膨張による変形量が異なる前記ワークを誘導加熱する加熱方法であって、
前記被加熱領域の周方向の一部となる加熱位置に加熱コイルを対向させ、前記ワークを円環形状に沿って回転させつつ前記加熱コイルにより前記ワークを加熱する加熱工程を備え、
加熱期間中に前記加熱位置の上流側における前記ワークの前記被加熱領域以外の位置で軸方向と径方向との表面位置を検出し、
それぞれ検出された軸方向と径方向との基準位置からの位置ずれ量を、少なくともワーク形状に基づいて補正し、補正により得られた位置ずれ補正量に対応するように前記ワークと前記加熱コイルとの相対位置を変位させる、誘導加熱方法。 - 予め設定されたシミュレーション処理により加熱条件に基づいて設定加熱状態における補正係数を演算し、前記設定加熱状態に対応する前記補正係数を用いて前記基準位置からの位置ずれ量を補正する、請求項5に記載の誘導加熱方法。
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