JP2016222998A - 加熱装置及び熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
Description
ここでは周方向に配列された複数の転動ローラに環状ワークを載置して回転させるため、直径が多少異なる環状ワークであっても、回転させて加熱することが可能であった。
また冷却時には、ワーク支持部を加熱セクションの下方に設けた冷却セクションに下降させ、回転させつつ多量の焼入液を環状ワークに供給することで冷却する。
本実施形態は大型の環状ワークを焼入処理するための旋回型焼入装置の例である。環状ワークは、特に限定されるものではないが、例えば直径が1m程度以上の円環形状を有する大型の旋回輪、大型の軸受の内輪や外輪などである。
熱処理装置10は、図1及び図2に示すように、特定の加熱装置に複数の冷却部20が組み込まれたものである。
この加熱装置は、ベース架台11に配設されており、環状ワークWを寝かせた状態で載置するワーク支持部30と、載置された環状ワークWを環形状に沿って回転させるとともに昇降させるワーク駆動部40と、回転させた環状ワークWを加熱する複数の加熱部50と、を備えている。
ワーク支持部30は、中心部31a及び中心部31aから放射方向に延びる複数の放射部31bを有する放射架台31と、転動軸32aを放射方向に向けて周方向に配列するように各放射部31bに装着された複数の転動ローラ32と、中心部31aに配設される後述のワーク駆動部40からの駆動力を複数の転動ローラ32に伝達する伝達部33と、を備えている。
なお、放射部31b及び転動ローラ32は円周方向に均等な間隔で配設されており、互いに隣接する放射部31b間が空間となっている。
ワーク駆動部40は、ワーク支持部30の放射架台31の中心部31aに配設されており、複数の転動ローラ32を転動させて環状ワークWを回転させる回転駆動手段41と、ワーク支持部30を昇降させる昇降駆動手段42と、を備えている。
昇降駆動手段42は、転動ローラ32より下方に配置され、ベース架台11に固定されてワーク支持部30の中心部31aを下方から支持する昇降シリンダ42a及びガイド42bを有する。昇降駆動手段42は、回転駆動手段41及び放射架台31の全体を昇降可能となっている。
ワーク支持部30の放射部31b間にそれぞれ加熱部50が設けられている。各加熱部50は、環状ワークWの周方向の一部に対向する加熱コイル51と、加熱コイル51を先端側に支持して放射方向に沿って延びるアーム52と、ワーク支持部30より外周に配設され、アーム52を介して加熱コイル51を支持する加熱コイル支持手段53と、を備えている。
各加熱部50は、上流側の位置検出部13による環状ワークWの検出結果に基づいて、各加熱コイル51の位置、周方向の傾き、軸方向に対する角度等を精密に制御可能となっている。
ワーク支持部30上の加熱された環状ワークWを冷却する冷却部20が、加熱位置Phより下方に設けられている。この冷却部20は、加熱位置Phより下方の冷却位置Pcに配置されて環状ワークWに向けて多量の焼入液を吐出する複数の冷却ジャケット22と、冷却ジャケット22から吐出された焼入液を流下させて貯留する焼入液貯留部21と、焼入液貯留部21の焼入液を冷却ジャケット22に循環供給するためのポンプユニットと、を備えている。
この実施形態では、環状ワークWの大きさや加熱領域Whの位置や向きに応じて、冷却ジャケット22の位置や向きなどを適宜変更可能となっている。
また、焼入液貯留部21上にはベース架台11が架設されており、このベース架台11に焼入液貯留部21と平面視で重なる位置にワーク駆動部40が配置されている。そのため、十分な容積の焼入液貯留部21を配置効率よく設けることができる。しかも、焼入液貯留部21内の空間の上部にワーク駆動部40の一部を収容した状態で配置するため、配置効率を一層向上できる。
以上のような加熱装置及び熱処理装置10を用いて、例えば直径が4〜5m程度の大型の環状ワークWを加熱及び焼入処理する方法について、図3及び図4を用いて説明する。
まず図3に仮想線で示すように、加熱部50の昇降機構53b及び進退機構53cにより加熱コイル支持手段53を変位させることで、加熱コイル51及びアーム52を放射方向外側に後退させることで、ワーク支持部30の複数の転動ローラ32の上方を開放する。
この状態で、図示しない搬入搬出手段により、環状ワークWをワーク支持部30の複数の転動ローラ32上に位置合わせして載置する。これにより環状ワークWは加熱位置に配置される。
ワーク駆動部40の回転駆動手段41により複数の転動ローラ32を転動させることで、環状ワークWを環形状に沿って回転させる。そして、環状ワークWを回転させつつ、各加熱コイル51に高周波電力を給電することで、加熱領域Whを所定の温度まで加熱する。
そして、加熱領域が所定の加熱温度に達した後で、加熱コイル51への給電を停止して加熱を終了する。その後、再び加熱部50の昇降機構53b及び進退機構53cにより加熱コイル支持手段53を変位させることで、移動空間S内で加熱コイル51及びアーム52を後退させ、ワーク支持部30の複数の転動ローラ32上方を開放しておく。
冷却を継続し、加熱領域Whが所定の冷却温度まで達した後、焼入液の吐出を停止して焼入処理を終了する。
そして、加熱部50の加熱コイル51及びアーム52が後退した状態で、加熱位置Phの環状ワークWを搬出して熱処理操作を完了することができる。
まず、ワーク支持部30の複数の転動ローラ32が、小型の環状ワークWsを載置可能な大きさであればそのまま使用し、そうでない場合には適切な大きさの放射架台31に予め交換しておく。また、冷却部20の冷却ジャケット22を小型の環状ワークWsに対応する位置に移動させておく。
また、加熱部50の昇降機構53b及び進退機構53cにより加熱コイル支持手段53を変位させることで、移動空間S内で加熱コイル51及びアーム52を前進させる。このとき、各加熱コイル51及びアーム52の先端側が、放射架台31の中心部の上部に配置される程度まで前進させることで、小型の環状ワークWsの加熱領域に各加熱コイル51を精度よく対向させる。
以上のように熱処理装置10に組み込まれた加熱装置によれば、ワーク支持部30の中心部31aに配設された回転駆動手段41及び昇降駆動手段42が転動ローラ32より下方に配置されることで、複数の加熱コイル51及びアーム52を進退させるための移動空間Sが、ワーク支持部30の外周から中心部31aまでの上方に連続して設けられている。
そのため、複数の加熱コイル51及びアーム52を中心部31aの上方まで前進させても、外周まで後退させても、ワーク駆動部40等の他の部材に干渉することを防止でき、加熱コイル51及びアーム52をワーク支持部30の上方における広い範囲で進退させることが可能である。
その結果、加熱可能な環状ワークWの直径範囲を広げることができ、加熱装置又は熱処理装置10の汎用性を向上できる。従って、例えば互いに大きく異なる直径を有する環状ワークWであっても、共通の加熱装置又は熱処理装置10により加熱又は熱処理することができる。
そのため、回転駆動手段41及び昇降駆動手段42が転動ローラ32より下方に配置されるとともに、冷却部20が加熱コイル51の移動空間Sより下方に設けられることで、回転駆動手段41及び昇降駆動手段42が冷却ジャケット22と同様の低い位置に配置されていても、冷却ジャケット22から吐出された焼入液が、下方の焼入液貯留部21に流下する。これにより、回転駆動手段41及び昇降駆動手段42に接触することを有効に防止できる。
例えば上記実施形態では、大径の環状ワークWを加熱及び冷却する際に8個の全ての加熱部50の加熱コイル51及び冷却部20の冷却ジャケット22を使用し、小型の環状ワークWsを加熱及び冷却する際にも、8個の全ての加熱部50の加熱コイル51及び冷却部20の冷却ジャケット22を使用した例について説明した。しかし、小型の環状ワークWsを加熱及び冷却する際には、加熱部50の加熱コイル51及び冷却部20の冷却ジャケット22の使用する数を減らすことも可能である。このようにすれば、隣接する加熱コイル51同士や冷却ジャケット22同士が互いに干渉し難くなるため、より小型の環状ワークWsであっても加熱や冷却を行うことができる。
また上記では、加熱コイル51の放射方向の移動は環状ワークWの回転中心からの放射線に沿って移動する場合に限らず、斜め方向や曲線方向に移動させてもよい。
さらに上記実施形態では、ワーク支持部30に環状ワークWを搬入したり搬出したりする際に使用する手段は何ら限定されない。例えば、吊り下げ搬送装置や搬送コンベアなどにより搬入搬出してもよく、ワーク支持部30に環状ワークWを載置した状態で搬入搬出する構成とすることも可能である。
Ws 小型の環状ワーク
Wh 加熱領域
Ph 加熱位置
Pc 冷却位置
S 移動空間
10 熱処理装置
11 ベース架台
13 位置検出部
20 冷却部
21 焼入液貯留部
22 冷却ジャケット
30 ワーク支持部
31 放射架台
31a 中心部
31b 放射部
32 転動ローラ
32a 転動軸
33 伝達部
34 補強部
40 ワーク駆動部
41 回転駆動手段
41a 回転駆動モータ
41b ギヤボックス
42 昇降駆動手段
42a 昇降シリンダ
42b ガイド
50 加熱部
51 加熱コイル
52 アーム
53 加熱コイル支持手段
53a 加熱架台
53b 昇降機構
53c 進退機構
53d 支持ボックス
Claims (3)
- 環状ワークを寝かせた状態で載置するワーク支持部と、載置された前記環状ワークを環形状に沿って回転させるとともに昇降させるワーク駆動部と、回転させた前記環状ワークを加熱する複数の加熱部と、を備えた加熱装置において、
前記ワーク支持部は、転動軸を放射方向に向けて周方向に配列した複数の転動ローラを備え、
前記ワーク駆動部は、前記複数の転動ローラを転動させて前記環状ワークを回転させる回転駆動手段と、前記ワーク支持部を昇降させる昇降駆動手段と、を前記ワーク支持部の中心部に備え、
前記複数の加熱部の各々は、前記環状ワークの周方向の一部に対向する加熱コイルと、前記ワーク支持部より外周に配設され、前記加熱コイルをアームを介して支持して前記放射方向に進退させる加熱コイル支持手段と、を備え、
前記回転駆動手段及び前記昇降駆動手段が前記転動ローラより下方に配置されることで、前記各加熱コイル及びアームの移動空間が、前記ワーク支持部の外周から前記中心部までの上方に連続して設けられている、加熱装置。 - 請求項1に記載の加熱装置と、前記ワーク支持部上の加熱された前記環状ワークを冷却する冷却部と、を備え、該冷却部は前記加熱コイルの移動空間より下方に設けられている、熱処理装置。
- 前記冷却部は、前記環状ワークに向けて焼入液を吐出する複数の冷却ジャケットを備え、
該冷却ジャケットから吐出された前記焼入液を流下させる焼入液貯留部が、前記複数の冷却ジャケット及び前記ワーク駆動部の下方に設けられている、請求項2に記載の熱処理装置。
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