JP5813361B2 - 異形円筒部材の誘導加熱方法および誘導加熱装置 - Google Patents

異形円筒部材の誘導加熱方法および誘導加熱装置 Download PDF

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Description

本発明は、ベアリングの内輪や外輪のように、断面形状が異形の円筒部材を均一に加熱する異形円筒部材の誘導加熱方法および誘導加熱装置に関する。
深溝玉軸受のようなベアリングの軌道輪は、ボールなどの転動体を保持するため、溝が形成されている。このため、軌道輪の断面形状は、肉厚寸法が軌道輪の幅方向(軸方向)の中心側が小さく、両端部側が大きい異形形状となる。
このベアリングの軌道輪のような量産機械部品(ワーク)の全体を均一に加熱するには、従来、雰囲気炉を用いたいわゆる「ずぶ焼入れ」によって行われていた(特許文献1の段落0002参照)。
特開平5−202414号公報
しかしながら、雰囲気炉を用いたずぶ焼入れでは、仕掛かり在庫を待って、まとめて処理しなければならないため、製造効率が悪い。また、炉内に入れたワークの位置によって加熱温度がバラツキ、ワークを均一に加熱処理できないという課題もある。
そこで、ワークを1個ずつ加熱することができる高周波誘導加熱コイルを用いて、ベアリングの軌道輪を加熱する方法を考えられる。しかしながら、このような誘導加熱は、従来、ワーク表面の焼入処理のために行われるものであり、ワーク全体を加熱するものではなかった。特に、前記軌道輪のように、肉厚が異なる部分を有する異形円筒部材を、加熱コイルを用いて誘導加熱する場合、肉厚が異なるため、ワーク全体を均一に加熱することが困難である。
また、本発明者は、前記ワークの断面形状に合わせた形状を有する加熱コイルを作成することで、異形円筒部品の全体を均一に加熱する方法も考案した。
しかしながら、この場合、ワーク形状に合わせて加熱コイルを作成しなければならない。このため、ワーク形状が複雑になって、コイルの製作に工数や手間が掛かるという問題があった。さらに、加熱対象のワーク種類を変更する場合には、そのワークに合わせた加熱コイルを製作し、交換しなければならない。従って、コイルの製作作業の負担が大きく、作業工数やコストも増大するという問題があった。
本発明の目的は、単純な形状の誘導加熱コイルを用いて異形円筒部品を均一に加熱できる異形円筒部材の誘導加熱方法および誘導加熱装置を提供することにある。
本発明は、異形円筒部材を誘導加熱コイルで誘導加熱する方法であって、前記異形円筒部材は、軸方向の一方の端部に設けられた第1厚肉部と、他方の端部に設けられた第2厚肉部と、各厚肉部間に設けられて前記厚肉部に比べて厚さ寸法が小さい薄肉部とを有し、前記誘導加熱コイルは、前記異形円筒部材の軸方向に沿った幅寸法に応じて設定された幅寸法を有するリング状のコイル本体を有し、前記誘導加熱コイルのコイル本体の幅寸法は、前記異形円筒部材の幅寸法の1/4以上、1/2以下であり、前記コイル本体を、前記第1厚肉部を加熱する第1加熱位置に停止させた状態で電力を供給して前記第1厚肉部を加熱する第1加熱工程と、前記コイル本体を、前記第1加熱位置から前記第2厚肉部を加熱する第2加熱位置に、電力供給を継続したまま前記異形円筒部材に対して相対的に移動する第1移動工程と、前記コイル本体を、前記第2加熱位置に停止させた状態で電力を供給して前記第2厚肉部を加熱する第2加熱工程と、前記コイル本体を、前記第2加熱位置から第1加熱位置に、電力供給を継続したまま前記異形円筒部材に対して相対的に移動する第2移動工程と、を有し、前記第1加熱工程、第1移動工程、第2加熱工程、第2移動工程の一連の工程を繰り返し実行するとともに、前記一連の工程を実行するごとに、前記誘導加熱コイルに供給する電力を段階的に低下させて前記異形円筒部材を均一に加熱することを特徴とする。
本発明によれば、異形円筒部材の第1厚肉部および第2厚肉部を加熱する第1加熱工程および第2加熱工程では、リング状のコイル本体を停止させた状態で加熱しているので、厚さ寸法が大きい厚肉部を十分に加熱することができる。
また、コイル本体の幅寸法を、異形円筒部材の幅寸法に応じて設定しているので、薄肉部がオーバーヒートすることを防止できる。すなわち、コイル本体の幅寸法を大きくすると、前記第1厚肉部および第2厚肉部の中間部は、いずれの停止加熱時にも加熱されてしまい、オーバーヒートするおそれがある。そこで、本発明では、コイル本体の幅寸法を、前記両方の停止加熱時に加熱される部分が無いように設定することで、薄肉部のオーバーヒートを防止できる。
さらに、第1加熱工程、第1移動工程、第2加熱工程、第2移動工程の一連の工程を行うごとに、誘導加熱コイルに供給する電力を段階的に低下させているので、目標温度に近づいた際の温度制御を精度良く行うことができる。
しかも、前記誘導加熱コイルのコイル本体の幅寸法は、前記異形円筒部材の幅寸法の1/4以上、1/2以下であるため、コイル本体を適切なサイズに設定できるので、異形円筒部材を十分に昇温することができるとともに、異形円筒部材の幅方向中間部のオーバーヒートを防止できる。
本発明において、前記第1加熱工程および第2加熱工程では、加熱対象の厚肉部の温度を測定し、測定温度が目標温度に達すると加熱工程を終了して移動工程を実行し、前記第1移動工程および第2移動工程では、薄肉部の温度を測定し、測定温度が目標温度に達すると誘導加熱コイルへの電力供給を停止することが好ましい。
本発明によれば、各加熱工程において、加熱対象の厚肉部の温度を測定しているので、厚肉部を目標温度に正確に加熱できる。また、各移動工程においても、薄肉部の温度を測定しているので、薄肉部が目標温度に到達したかを正確に把握できる。
このため、各加熱工程を、タイマーを用いて時間で制御する場合に比べて、温度を直接測定しているので、正確に加熱制御することができる。
本発明において、前記第1加熱工程および第2加熱工程を1回目に実行する場合は、前記目標温度よりも低い第1設定温度に達すると加熱工程を終了して移動工程を実行することが好ましい。
本発明によれば、第1加熱工程および第2加熱工程のそれぞれの1回目は、目標温度よりも低い第1設定温度まで加熱されると移動工程になるため、異形円筒部材において、加熱される部分とそれ以外の部分との温度差が極端に大きくなることを防止でき、異形円筒部材をバランスよく加熱することができる。
本発明の異形円筒部材の誘導加熱装置は、軸方向の一方の端部に設けられた第1厚肉部と、他方の端部に設けられた第2厚肉部と、各厚肉部間に設けられて前記厚肉部に比べて厚さ寸法が小さい薄肉部とを有する異形円筒部材を誘導加熱する誘導加熱装置であって、誘導加熱コイルと、前記誘導加熱コイルに電力を供給するとともに、供給電力を段階的に変更する電力供給手段と、前記異形円筒部材および前記誘導加熱コイルのうちの少なくともいずれか一方を軸方向に相対的に移動させる移動手段と、を備え、前記誘導加熱コイルは、前記異形円筒部材の軸方向に沿った幅寸法に応じて設定された幅寸法を有するリング状のコイル本体を有し、前記誘導加熱コイルのコイル本体の幅寸法は、前記異形円筒部材の幅寸法の1/4以上、1/2以下であり、前記移動手段は、前記コイル本体を、前記第1厚肉部を加熱する第1加熱位置から前記第2厚肉部を加熱する第2加熱位置に、前記異形円筒部材に対して相対的に移動する第1移動工程と、前記コイル本体を、前記第2加熱位置から前記第1加熱位置に、前記異形円筒部材に対して相対的に移動する第2移動工程と、を実行し、前記電力供給手段は、前記コイル本体を、前記第1加熱位置に停止させた状態で電力を供給して前記第1厚肉部を加熱する第1加熱工程と、前記コイル本体を、前記第2加熱位置に停止させた状態で電力を供給して前記第2厚肉部を加熱する第2加熱工程と、を実行し、前記第一移動工程と前記第二移動工程では、それぞれ前記コイル本体に電力供給を継続したままとし、前記第1加熱工程、第1移動工程、第2加熱工程、第2移動工程の一連の工程を実行するごとに、前記誘導加熱コイルに供給する電力を段階的に低下することを特徴とする。
これらの異形円筒部材の誘導加熱装置においても、前記異形円筒部材の誘導加熱方法と同様の作用効果が得られる。
本発明の第1実施形態における誘導加熱装置を示す側面図。 第1実施形態における誘導焼入装置を示す平面図。 第1実施形態におけるワークおよびコイル本体を示す断面図。 (A)は第1実施形態における第1加熱工程を示す断面図、(B)は第2加熱工程を示す断面図。 (A)は第1実施形態におけるワークの温度変化を示すグラフ、(B)はワークの移動位置を示すグラフ、(C)はコイルに供給される電力変化を示すグラフ。 (A)は比較例1における第1加熱工程を示す断面図、(B)は第2加熱工程を示す断面図。 (A)は比較例2における第1加熱工程を示す断面図、(B)は第2加熱工程を示す断面図。 (A)は第2実施形態における第1加熱工程を示す断面図、(B)は第2加熱工程を示す断面図。 第3実施形態における誘導加熱コイルおよびワークを示す平面図。 (A)は第3実施形態における第1加熱工程を示す断面図、(B)は第2加熱工程を示す断面図。
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
[誘導加熱装置の全体構成]
図1は、本実施形態における誘導加熱装置1の概略構成を示す側面図であり、図2はその平面図である。
本実施形態の誘導加熱装置1は、後述するように、ワーク10として、ベアリングの軌道輪(内輪、外輪)を加熱するものである。
誘導加熱装置1は、誘導加熱コイル2と、コントロールボックス3と、ワーク10を保持するワーク保持装置4と、加熱処理後のワーク10を移動するワーク移動装置5と、加熱処理後のワーク10を冷却する冷却油が入れられた油槽6と、テーブル7とを備えている。
[ワークの構成]
図3は、ワーク10の一例であるベアリングの内輪の断面図である。ワーク10は、図3にも示すように、ワーク10の幅方向(軸方向)の両端に、第1厚肉部11および第2厚肉部12を備えている。このため、各厚肉部11,12間は、厚肉部11,12に比べて厚さ寸法が小さい薄肉部13とされている。
このため、ワーク10は、断面形状が異形の円筒部材とされている。
[誘導加熱コイルの構成]
誘導加熱コイル2は、単巻きのコイル(リングコイル)である。具体的には、誘導加熱コイル2は、図1,2にも示すように、略円筒形とされたコイル本体20と、コイル本体20の分割部分に設けられた一対のリード部21を備えている。
そして、図3に示すように、コイル本体20の幅寸法L1(ワーク10の軸方向の寸法)は、ワーク10の幅寸法W1に対応して設定される。
すなわち、本実施形態では、前記幅寸法L1は、幅寸法W1の1/4〜1/2(1/4以上、1/2以下)に設定される。図3では、L1=W1×2/5である。すなわち、ワーク10の幅寸法W1が50mmの場合、誘導加熱コイル2の幅寸法L1は20mmに設定される。なお、ワーク10の幅寸法と直径との比は、図3に示す比率に限定されるものではない。
誘導加熱コイル2のコイル本体20には、円周方向の少なくとも一箇所に、貫通孔23が形成され、この貫通孔23の外側には放射温度計24が設けられている。放射温度計24は、前記貫通孔23を介して露出するワーク10の表面温度を測定する非接触の温度計である。この放射温度計24は、前記コントロールボックス3に接続され、測定温度データはコントロールボックス3に送られる。
[コントロールボックスの構成]
コントロールボックス3は、誘導加熱装置1の動作を制御するコンピューターが内蔵されている。このコントロールボックス3は、図1に示すように、テーブル7上に載置され、図1の左右方向に移動可能に設けられている。
コントロールボックス3には、前記誘導加熱コイル2のリード部21と、図示しない交流商用電源が接続される。コントロールボックス3は、交流商用電源から得た電流を、所定周波数の高周波に変換して誘導加熱コイル2に供給する。この際、コントロールボックス3は、誘導加熱コイル2への供給電力の値を段階的に変更できる。従って、コントロールボックス3によって電力供給手段が構成されている。
このコントロールボックス3は、後述するように、ワーク保持装置4や、ワーク移動装置5の動作も制御する。
[ワーク保持装置の構成]
ワーク保持装置4は、図1,2に示すように、ワーク10を支持するワーク支持部材41と、ワーク支持部材41を回転自在に支持する移動台42と、移動台42を上下移動可能に支持するベース台43とを備えている。
ワーク支持部材41は、移動台42に軸支された軸部411と、軸部411から3方向に延長された支持アーム412とを備える。支持アーム412の先端側は上方に折曲され、その先端側にワーク10を支持するフランジが形成されている。
移動台42には、ワーク支持部材41を回転するモーター(図示略)が内蔵されている。このモーターは、コントロールボックス3で制御され、ワーク支持部材41を回転させることができる。ワーク支持部材41が回転すると、ワーク支持部材41に支持されているワーク10も一体で回転する。
ベース台43には、移動台42を上下方向に移動させるモーター44が内蔵されている。このモーター44も、コントロールボックス3で制御され、移動台42を上下に移動させることができる。
移動台42が上下に移動すると、ワーク10は、誘導加熱コイル2のコイル本体20に対して、軸方向に移動する。
従って、ワーク保持装置4によって、ワーク10である異形円筒部材を、前記誘導加熱コイル2に対して、軸方向に相対的に移動させる移動手段が構成されている。
ワーク移動装置5は、モーター50によって回転される送りネジ51と、この送りネジ51で移動されるプッシャー52とを備えている。
そして、ワーク移動装置5は、ワーク保持装置4の移動台42が、テーブル7表面よりも下方に移動することで、テーブル7上に載置されるワーク10を、プッシャー52で油槽6まで移送する。
このため、テーブル7には、前記移動台42やワーク支持部材41を埋没させることができる溝部71が形成されている。
[誘導加熱装置による加熱動作]
次に、誘導加熱装置1の加熱動作について説明する。
まず、加熱対象のワーク10を、ワーク支持部材41に載置し、加熱動作を開始する。
すると、コントロールボックス3は、移動台42を上下動させて、図4(A)に示すように、誘導加熱コイル2のコイル本体20が、ワーク10の第1厚肉部11を加熱する第1加熱位置に位置するようにワーク10を移動する。
この第1加熱位置は、コイル本体20の幅方向(軸方向)の中心が、第1厚肉部11の幅方向(ワーク10の軸方向)の中心に一致する位置に設定されている。たとえば、ワーク10の幅寸法W1が50mm、各厚肉部11,12の幅寸法S1が10mm、コイル本体20の幅寸法L1が20mmの場合、コイル本体20の上面が、ワーク10の上端より5mm上方となるように配置される。
[第1加熱工程:第1サイクル]
そして、コントロールボックス3は、第1加熱工程を実行するため、ワーク支持部材41によってワーク10を回転させながら、図5(C)に示すように、第1設定電力P1(たとえば250KW)の高周波電力を誘導加熱コイル2に供給する。誘導加熱コイル2に高周波電流が流れると、図4(A)に示すように、コイル本体20の周囲に交番磁束が発生し、ワーク10が誘導加熱される。この際、コイル本体20は第1加熱位置にあるため、特に、第1厚肉部11が設けられたワーク10の上端側が加熱される。
そして、第1厚肉部11の温度は、放射温度計24で測定され、この測定値は、図5(A)の実線100に示すように、急激に上昇する。
[第1移動工程:第1サイクル]
コントロールボックス3は、第1厚肉部11の測定温度が設定温度T1(たとえば700度)になると、誘導加熱コイル2への第1設定電力P1の供給を継続したまま、移動台42を上方に移動する第1移動工程を実行する。この移動中に、薄肉部13も加熱されるため、図5(A)の一点鎖線101に示すように、温度が上昇する。ただし、第1厚肉部11は、コイル本体20が第1加熱位置に停止した状態で加熱されるのに対し、薄肉部13はコイル本体20に対して移動しながら加熱され、かつ、加熱時間も短いため、薄肉部13の温度は設定温度T1までは上昇しない。
[第2加熱工程:第1サイクル]
そして、図4(B)に示すように、コイル本体20が第2厚肉部12を加熱する第2加熱位置になったら、コントロールボックス3は、移動台42の移動(第1移動工程)を停止し、第2加熱工程を実行する。
なお、第2加熱位置も第1加熱位置と同じであり、上記具体例では、コイル本体20の下端はワーク10の下端よりも5mm下方に突出することになる。また、移動工程における移動台42の移動速度は、たとえば10mm/秒である。第1移動工程では、図5(B)に示すように、コイル本体20を第1加熱位置から第2加熱位置まで40mm移動させる必要があるため、移動時間は4秒である。
そして、第2加熱工程で、コイル本体20が第2厚肉部12部分を加熱している際、第2厚肉部12の温度は、放射温度計24で測定され、この測定値は、図5(A)の2点鎖線102に示すように、急激に上昇する。
一方、第1厚肉部11部分は、コイル本体20から離れて加熱されないため、実線100に示すように、温度が低下する。
[第2移動工程:第1サイクル]
コントロールボックス3は、第2厚肉部12の測定温度が設定温度T1(たとえば700度)になると、誘導加熱コイル2への第1設定電力P1の供給を継続したまま、移動台42を下方に移動する。この移動時にも薄肉部13は加熱され、図5(A)の一点鎖線101に示すように、温度が上昇する。
そして、誘導加熱コイル2が、図4(A)の第1加熱位置になったら移動台42の移動を停止する。
[第1加熱工程:第2サイクル]
次に、コントロールボックス3は、コイル本体20を第1加熱位置に停止させ、ワーク支持部材41によってワーク10を回転させながら、第2設定電力P2の高周波電力を誘導加熱コイル2に供給して、第1厚肉部11部分を加熱する。第2設定電力P2は、第1設定電力P1よりも小さい電力であり、たとえば140KWである。このため、第1厚肉部11は、図5(A)の実線100に示すように、再度温度が上昇する。この際、誘導加熱コイル2への供給電力P2は、前回の第1加熱工程における前記第1設定電力P1よりも低いため、昇温速度は緩やかになる。
また、第2厚肉部12部分は、誘導加熱コイル2から離れるため、図5(A)の2点鎖線102に示すように、温度が低下する。
[第1移動工程:第2サイクル]
そして、コントロールボックス3は、第1厚肉部11の測定温度が目標温度T2(たとえば900度)になると、誘導加熱コイル2への第2設定電力P2の供給を継続したまま、移動台42を上方に移動する。この移動中も薄肉部13は加熱されて温度が上昇する。
[第2加熱工程:第2サイクル]
そして、コントロールボックス3は、コイル本体20が第2加熱位置になったら移動台42の移動を停止し、第2加熱工程を実行する。すると、第2厚肉部12は、図5(A)の2点鎖線102に示すように、再度温度が上昇する。この場合も、誘導加熱コイル2への供給電力P2は、前回の第2加熱工程における前記第1設定電力P1よりも低いため、昇温速度は緩やかになる。
[第2移動工程:第2サイクル]
コントロールボックス3は、第2厚肉部12の測定温度が目標温度T2になると、誘導加熱コイル2への第2設定電力の供給を継続したまま、移動台42を下方に移動する。
そして、誘導加熱コイル2が第1加熱位置になったら移動台42の移動を停止する。
なお、コントロールボックス3は、移動工程中に、薄肉部13の温度も測定し、目標温度T2に達しているかを判定する。
[第1加熱工程〜第2移動工程:第3サイクル]
コントロールボックス3は、前記移動工程中に薄肉部13の温度が目標温度T2に達していない場合は、誘導加熱コイル2への供給電力を第3設定電力P3に切り替えて、第1加熱工程、第1移動工程、第2加熱工程、第2移動工程を順次実行する。
第3設定電力P3は、第2設定電力P2よりも小さい電力であり、たとえば95KWである。このため、各加熱工程での温度上昇は第2サイクルに比べて緩やかになる。
また、コントロールボックス3は、第2サイクルと同じく、第1厚肉部11や第2厚肉部12の測定温度が目標温度T2になるまで各加熱工程を継続し、目標温度T2になると移動工程を実行する。
さらに、コントロールボックス3は、移動工程中に、薄肉部13の温度も測定し、目標温度T2に達しているかを判定する。
[第1加熱工程〜第2移動工程:第4サイクル]
コントロールボックス3は、前記移動工程中に薄肉部13の温度が目標温度T2に達していない場合は、誘導加熱コイル2への供給電力を第4設定電力P4に切り替えて、第1加熱工程、第1移動工程、第2加熱工程、第2移動工程を順次実行する。
第4設定電力P4は、第3設定電力P3よりも小さい電力であり、たとえば60KWである。このため、各加熱工程での温度上昇は第3サイクルに比べて緩やかになる。
また、コントロールボックス3は、第3サイクルと同じく、第1厚肉部11や第2厚肉部12の測定温度が目標温度T2になるまで各加熱工程を継続し、目標温度T2になると移動工程を実行する。
さらに、コントロールボックス3は、移動工程中に、薄肉部13の温度も測定し、目標温度T2に達しているかを判定する。
図5(A)の例では、第4サイクルの第2移動工程において、薄肉部13の温度が目標温度T2に達している。このことにより、ワーク10全体も略目標温度T2に均一に加熱されている。
そのため、コントロールボックス3は、誘導加熱コイル2への電力供給を停止する。
なお、第4サイクルにおいて、薄肉部13が目標温度T2に到達していない場合には、誘導加熱コイル2への電力をさらに一段階低下させて、第1加熱工程、第1移動工程、第2加熱工程、第2移動工程を繰り返せばよい。
[冷却工程]
コントロールボックス3は、誘導加熱コイル2への電力供給を停止すると、ワーク支持部材41の支持アーム412を、テーブル7の溝部71に位置合わせして、移動台42をテーブル7表面よりも下方に移動し、ワーク10をテーブル7の表面に載置する。
次に、コントロールボックス3は、ワーク移動装置5のモーター50を作動してプッシャー52を移動し、ワーク10を油槽6に搬送する。すると、ワーク10は油槽6の冷却油に浸漬されて冷却される。これにより、ワーク10の全体が焼入れされる。
以上のような本実施形態によれば、次のような効果が得られる。
(1)本実施形態では、コイル本体20の幅寸法L1を、ワーク10の幅寸法W1に応じて適切な寸法に設定しているので、コイル本体20の幅寸法が長すぎる場合や、短すぎる場合に比べて、薄肉部13がオーバーヒートすることもなく、かつ、昇温不足になることもなく、ワーク10全体を均一に加熱することができる。
すなわち、本実施形態では、コイル本体20の幅寸法L1を、ワーク10の幅寸法W1に対して適切な寸法、具体的には、1/4以上、1/2以下に設定している。この本実施形態の比較例として、図6,7に示すような幅寸法のコイル本体を製作して実験した。
図6は、コイル本体20Aの幅寸法L2を、ワーク10の幅寸法W1の1/2よりも大きくした比較例1である。具体的には、幅寸法W1=50mmの場合、幅寸法L2=30mmとしたものである。
図7は、コイル本体20Bの幅寸法L3を、ワーク10の幅寸法W1の1/4よりも小さくした比較例2である。具体的には、幅寸法W1=50mmの場合、幅寸法L3=10mmとしたものである。
これらの比較例1,2において、前記実施形態と同じ加熱処理を行った。
比較例1では、コイル本体20Aの幅寸法L2が、ワーク10の幅寸法W1に比べて比較的大きいため、第1加熱位置や第2加熱位置にコイル本体20Aが配置された状態でも、ワーク10の軸方向の中間部に磁束が加わって渦電流が生じていた。なお、第1加熱位置や第2加熱位置は、前記実施形態と同じく、コイル本体20Aの軸方向の中心位置が、第1厚肉部11や第2厚肉部12の軸方向中心位置に一致する位置である。
このため、ワーク10の中間部分にある薄肉部13は、第1加熱工程および第2加熱工程の両方の工程で加熱されてオーバーヒートし、ワーク10全体を均一に加熱することができなかった。
また、薄肉部13のオーバーヒートを防止するため、第1加熱位置や第2加熱位置におけるコイル本体20Aの位置を、ワーク10の中心部からより離すことも考えられる。この場合、コイル本体20Aによって発生する磁束の多くが無負荷状態になり、ワーク10の誘導加熱に利用されず、電力を無駄に消費してしまうことになる。
一方、比較例2では、コイル本体20Bの幅寸法L3が、ワーク10の幅寸法W1に比べて比較的小さいため、電力を十分に投入することができず、ワーク10を十分に加熱することができなかった。
これらの比較例1,2に対し、本実施形態では、図4に示すように、コイル本体20の幅寸法L1をワーク10の幅寸法W1の1/4〜1/2の範囲に設定したので、薄肉部13がオーバーヒートすることもなく、かつ、誘導加熱コイル2に供給する電力も適切なレベルにできて省電力化を図ることができ、誘導加熱コイル2の寿命も長くできる。
(2)また、第1加熱位置、第2加熱位置ではコイル本体20を軸方向に移動することなく停止状態でワーク10を加熱している。このため、第1厚肉部11や第2厚肉部12を有する異形円筒部材のワーク10を加熱する場合でも、コイル本体20は単純な形状のリングコイルを用いることができる。よって、ワーク10に合わせた形状のコイルを製作する場合に比べて、コイルの製作が容易となる。さらに、断面形状が異なる複数種類のワーク10に対して、同じ誘導加熱コイル2を用いて加熱処理することができ、この点でもコストを低減できる。
(3)さらに、誘導加熱コイル2に供給する電力は、第1加熱工程および第2加熱工程を繰り返すごとに段階的に低減している。このため、ワーク10全体を最終的な目標温度T2に容易に調整することができる。すなわち、誘導加熱コイル2への供給電力を段階的に低減させることで、初期には温度を急激に上昇させているが、目標温度T2に近づいた時点では温度上昇を緩やかにできる。このため、目標温度T2に近づいた際に、加熱処理で一気に温度が上昇して目標温度T2を超えてしまうことがなく、ワーク10全体を目標温度T2に精度良く加熱することができる。
(4)その上、誘導加熱コイル2に供給する電力を段階的に低減させても、各加熱工程で加えられた熱がワーク10内を移動し、ワーク10表面だけでなく、ワーク10全体を加熱することができる。従って、高周波誘導加熱処理における周波数を変更した場合と同様の効果が得られ、ワーク10の表面だけでなく、ワーク10の全体を均一に加熱することができる。
(5)本実施形態では、各厚肉部11,12の1回目(第1サイクル)の加熱処理は、目標温度T2よりも低い設定温度T1に達した時点で終了していた。このため、1回目から目標温度T2に達するまで加熱処理を行う場合に比べて、ワーク10の各部分を均一に加熱することができる。すなわち、第2厚肉部12が加熱されていない状態で、第1厚肉部11のみを目標温度T2(約900度)に加熱する場合、厚肉部11,12の温度差が大きくなりすぎて、ワーク10全体を均一な温度に加熱するには、時間が掛かる。これに対し、本実施形態では、第1サイクルでは設定温度T1まで加熱し、第2サイクル以降で目標温度T2まで加熱しているので、ワーク10の全体を均一に加熱できる。
(6)本実施形態では、誘導加熱コイル2を用いた誘導加熱によってワーク10を加熱しているので、雰囲気炉内で加熱する場合のように所定数まとめて加熱処理する必要が無い。このため、本実施形態では、1個ずつ必要個数だけ加熱処理を行うことができ、ワーク10を製造する際に、バッチ処理ではなくインライン処理を行うことができる。
さらに、雰囲気炉内では、部品の配置位置によって加熱状態もばらつくおそれがあるが、本実施形態では、1個ずつ加熱処理するため、バラツキの少ない均一な加熱が可能となる。
(7)誘導加熱コイル2に貫通孔23を形成し、この貫通孔23から放射温度計24で温度測定できるようにしたので、誘導加熱コイル2に対向する厚肉部11,12の温度を直接、かつ、精度良く測定することができる。このため、加熱制御の精度を向上でき、ワーク10全体を目標温度T2に均一に加熱できる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について、図8を参照して説明する。
第2実施形態は、図8に示すようなワーク10Bを加熱するものである。このワーク10Bは、各厚肉部11B、12Bの互いに対向する面が内側に凹むように逆R状に形成されたものである。
このワーク10Bでは、前記ワーク10に比べて厚肉部11B、12Bの肉厚が薄くなるため、第1厚肉部11B、第2厚肉部12Bを加熱する第1加熱位置、第2加熱位置は、図8に示す位置とされている。これらの加熱位置は、コイル本体20Cの幅方向の端部が、各厚肉部11B、12Bよりも内側に位置し、かつ厚肉部11B、12Bに近接する位置とされている。
具体的には、図8の例では、ワーク10Bの幅寸法W2=50mm、各厚肉部11B、12Bの幅寸法S3=5mm、厚肉部11B、12B間の寸法W3=40mm、コイル本体20Cの幅寸法L4=12.5mmであり、コイル本体20Cとワーク10Bの相対移動量は27.5mmである。
すなわち、コイル本体20Cは、幅寸法L4が12.5mmであって、ワーク10Bの幅寸法W2の1/4である。
そして、コイル本体20Cおよびワーク10Bは、図8(A)に示す、コイル本体20Cの上面が第1厚肉部11Bの下端の位置(第1加熱位置)から、図8(B)に示す、コイル本体20Cの下面が第2厚肉部12Bの上端の位置(第2加熱位置)まで相対的に移動する。
このような第2実施形態においても、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
すなわち、各厚肉部11B、12Bを加熱する第1加熱位置、第2加熱位置で停止加熱を行い、各厚肉部11B、12Bが所定の温度になれば、コイル本体20Cを相対的に移動し、かつ、コイル本体20Cに供給する電力を段階的に低減している。このため、コイル本体20Cは、断面形状が矩形状の単巻きのコイルを利用することができ、たとえば、前記逆R部を有するワーク10Bの形状に合わせてコイルを製作する場合に比べて、形状が単純であるため、コイル作成の工数を少なくでき、作成コストも低減できる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について、図9,10を参照して説明する。
第3実施形態は、図9,10に示すように、誘導加熱コイル2のコイル本体20Dの内径に対して、直径が小さいワーク10Cを加熱するものである。
誘導加熱コイル2に対して、ワーク10Cのサイズ(直径)が小さい場合、コイル本体20Dおよびワーク10Cの中心を一致させて同心円状に配置すると、コイル本体20Dとワーク10Cとの距離が離れてしまい、誘導加熱コイル2で発生する磁束がワーク10Cに十分に流れず、誘導加熱ができないおそれがある。
このため、第3実施形態では、ワーク10Cの中心を、コイル本体20Dの中心に対して偏心位置に配置し、ワーク10Cの一部がコイル本体20Dに近接するようにしている。
この場合、ワーク10Cのコイル本体20Dに近接する部分のみが加熱されるが、ワーク10Cを所定の速度で回転させることで、ワーク10Cの円周方向の全体を均一に加熱している。
なお、ワーク10Cを誘導加熱コイル2に対して偏心位置に配置するには、誘導加熱コイル2が取り付けられたコントロールボックス3を前後に移動して調整すればよい。この際、特に、誘導加熱コイル2のコイル本体20Dにおいて、リード部21とは反対側の部分が、前記ワーク10Cに近接するように配置することが好ましい。
第3実施形態においても、コイル本体20Dに対するワーク10Cの軸方向の移動は、前記第1実施形態と同様に行うことができる。たとえば、ワーク10Cを所定の速度で回転させながら、コイル本体20Dを第1加熱位置に移動して加熱する工程と、コイル本体20Dを第2加熱位置に移動して加熱する工程を繰り返せばよい。
また、第3実施形態では、ワーク10Cに対してコイル本体20Dが偏心位置に配置されているため、ワーク10Cにおいて加熱される部分はコイル本体20Dに近接する部分のみである。このため、第3実施形態のコイル本体20Dは、幅寸法L5を大きくして、ワーク10C全体を均一に加熱できるようにしている。たとえば、図10に示す例では、コイル本体20Dの幅寸法L5は25mmであり、ワーク10Cの幅寸法W2(=50mm)の1/2と大きな寸法とされている。また、ワーク10Cに対するコイル本体20Dの軸方向の相対移動量は、コイル本体20Dが厚肉部11B、12B間の範囲(寸法W3=40mmの範囲)で移動するように設定すればよく、たとえば11mmである。この場合、コイル本体20Dが図10(A)に示す第1加熱位置にある場合と、図10(B)に示す第2加熱位置にある場合のいずれの場合も、ワーク10Cの幅方向中間部まで加熱することができ、コイル本体20Dに対して偏心位置に配置されるワーク10C全体を均一に加熱できる。
この第3実施形態においても、前記第1実施形態と同じ作用効果を奏することができる。
さらに、コントロールボックス3を移動することで、ワーク10Cをコイル本体20Dに対して偏心させることができるので、コイル本体20Dに対してワーク10Cのサイズが小さい場合でも、均一に加熱できる。
このため、たとえば、コイル本体20Dの直径が320mmであれば、直径200〜300mm程度のワーク10Cを加熱することができる。このようにワーク10Cのサイズが複数種類ある場合でも、一つのコイルで対応できる。すなわち、コントロールボックス3の移動により、サイズの異なるワーク10Cに対して誘導加熱コイル2を適切な位置に配置でき、ワーク全体を均一に加熱できる。
〔本発明の変形例〕
なお、本発明は前記実施形態の構成に限らない。
たとえば、前記各実施形態では、誘導加熱コイル2のコイル本体20をワーク10の外周側に配置していたが、内周側に配置してもよい。この場合も、一方の厚肉部を加熱する加熱位置にコイル本体を配置して停止した状態で誘導加熱を行い、その部分が所定の温度に達したら、ワークおよびコイル本体を相対的に移動して、他方の厚肉部を加熱する加熱位置でコイル本体を停止して誘導加熱を行う工程を繰り返せばよい。
また、誘導加熱コイルとしては、ワーク10の外周側および内周側にそれぞれコイル本体を設けてもよい。
さらに、前記ワークは、外周側に突出する突起部を有するベアリングの内輪であったが、内周側に突出する突起部を有するベアリングの外輪でもよい。
また、各加熱工程を終了する目標温度として、第1サイクルから最終的な目標温度T2を設定してもよい。ただし、前記実施形態のように、設定温度T1、目標温度T2と段階的に設定したほうが、ワーク10を均一に加熱しやすい利点がある。
さらに、前記コイル本体の幅寸法は、ワークの幅寸法に基づいて設定していたが、さらに、厚肉部の幅寸法も加味して設定してもよい。たとえば、コイル本体の幅寸法Lを、ワークの幅寸法Wの1/4〜1/2であり、かつ、厚肉部の幅寸法Sの2〜3倍の範囲で設定してもよい。このように厚肉部の幅寸法を加味すれば、コイル本体の幅寸法をより適切に設定できる。
また、前記各実施形態では、放射温度計24を用いてワーク10の温度を測定しながら、加熱工程を制御していたが、ワークの温度を測定せずに、あらかじめ設定した加熱時間をタイマーで計測することで制御してもよい。すなわち、あらかじめ試作品などで、ワークの温度が所定温度に達するまでの時間を測定しておき、その測定値に基づいて各供給電力値に応じた加熱工程の時間を設定し、実際にワークを加熱処理する場合には、タイマーの時間計測で行えばよい。この場合、放射温度計24を不要にできるが、前記実施形態のように温度を測定したほうが、加熱精度を向上できる。
1…誘導加熱装置、2…誘導加熱コイル、3…コントロールボックス、4…ワーク保持装置、5…ワーク移動装置、6…油槽、7…テーブル、10,10A,10B,10C…ワーク、11,11B…第1厚肉部、12,12B…第2厚肉部、13…薄肉部、20,20A,20B,20C,20D…コイル本体、21…リード部、23…貫通孔、24…放射温度計、41…ワーク支持部材、42…移動台、43…ベース台、44…モーター、50…モーター、51…送りネジ、52…プッシャー、71…溝部、411…軸部、412…支持アーム。

Claims (4)

  1. 異形円筒部材を誘導加熱コイルで誘導加熱する方法であって、
    前記異形円筒部材は、軸方向の一方の端部に設けられた第1厚肉部と、他方の端部に設けられた第2厚肉部と、各厚肉部間に設けられて前記厚肉部に比べて厚さ寸法が小さい薄肉部とを有し、
    前記誘導加熱コイルは、前記異形円筒部材の軸方向に沿った幅寸法に応じて設定された幅寸法を有するリング状のコイル本体を有し、
    前記誘導加熱コイルのコイル本体の幅寸法は、前記異形円筒部材の幅寸法の1/4以上、1/2以下であり、
    前記コイル本体を、前記第1厚肉部を加熱する第1加熱位置に停止させた状態で電力を供給して前記第1厚肉部を加熱する第1加熱工程と、
    前記コイル本体を、前記第1加熱位置から前記第2厚肉部を加熱する第2加熱位置に、電力供給を継続したまま前記異形円筒部材に対して相対的に移動する第1移動工程と、
    前記コイル本体を、前記第2加熱位置に停止させた状態で電力を供給して前記第2厚肉部を加熱する第2加熱工程と、
    前記コイル本体を、前記第2加熱位置から第1加熱位置に、電力供給を継続したまま前記異形円筒部材に対して相対的に移動する第2移動工程と、を有し、
    前記第1加熱工程、第1移動工程、第2加熱工程、第2移動工程の一連の工程を繰り返し実行するとともに、前記一連の工程を実行するごとに、前記誘導加熱コイルに供給する電力を段階的に低下させて前記異形円筒部材を均一に加熱する
    ことを特徴とする異形円筒部材の誘導加熱方法。
  2. 請求項1に記載の異形円筒部材の誘導加熱方法において、
    前記第1加熱工程および第2加熱工程では、加熱対象の厚肉部の温度を測定し、測定温度が目標温度に達すると加熱工程を終了して移動工程を実行し、
    前記第1移動工程および第2移動工程では、薄肉部の温度を測定し、測定温度が目標温度に達すると誘導加熱コイルへの電力供給を停止する
    ことを特徴とする異形円筒部材の誘導加熱方法。
  3. 請求項2に記載の異形円筒部材の誘導加熱方法において、
    前記第1加熱工程および第2加熱工程を1回目に実行する場合は、前記目標温度よりも低い第1設定温度に達すると加熱工程を終了して移動工程を実行する
    ことを特徴とする異形円筒部材の誘導加熱方法。
  4. 軸方向の一方の端部に設けられた第1厚肉部と、他方の端部に設けられた第2厚肉部と、各厚肉部間に設けられて前記厚肉部に比べて厚さ寸法が小さい薄肉部とを有する異形円筒部材を誘導加熱する誘導加熱装置であって、
    誘導加熱コイルと、
    前記誘導加熱コイルに電力を供給するとともに、供給電力を段階的に変更する電力供給手段と、
    前記異形円筒部材および前記誘導加熱コイルのうちの少なくともいずれか一方を軸方向に相対的に移動させる移動手段と、を備え、
    前記誘導加熱コイルは、前記異形円筒部材の軸方向に沿った幅寸法に応じて設定された幅寸法を有するリング状のコイル本体を有し、前記誘導加熱コイルのコイル本体の幅寸法は、前記異形円筒部材の幅寸法の1/4以上、1/2以下であり、
    前記移動手段は、
    前記コイル本体を、前記第1厚肉部を加熱する第1加熱位置から前記第2厚肉部を加熱する第2加熱位置に、前記異形円筒部材に対して相対的に移動する第1移動工程と、
    前記コイル本体を、前記第2加熱位置から前記第1加熱位置に、前記異形円筒部材に対して相対的に移動する第2移動工程と、を実行し、
    前記電力供給手段は、
    前記コイル本体を、前記第1加熱位置に停止させた状態で電力を供給して前記第1厚肉部を加熱する第1加熱工程と、
    前記コイル本体を、前記第2加熱位置に停止させた状態で電力を供給して前記第2厚肉部を加熱する第2加熱工程と、を実行し、
    前記第一移動工程と前記第二移動工程では、それぞれ前記コイル本体に電力供給を継続したままとし、
    前記第1加熱工程、第1移動工程、第2加熱工程、第2移動工程の一連の工程を実行するごとに、前記誘導加熱コイルに供給する電力を段階的に低下する
    ことを特徴とする異形円筒部材の誘導加熱装置。
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