JP6146139B2 - 多段形状軸部材の加熱装置、加熱方法及び加熱コイル - Google Patents
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Description
従って、大径軸部と小径軸部とを同時に同程度に加熱でき、しかも加熱コイルの形状を簡素化することが可能である。
本実施形態の加熱対象のワークWは、図1に示すように、大径軸部W1と小径軸部W2とが同軸に設けられた多段形状軸部材である。大径軸部W1の外周面と小径軸部W2の外周面とは、それぞれ軸Cを中心とした断面円形となっている。大径軸部W1の軸方向の一部の外周面と小径軸部W2の軸方向の一部の外周面とには、それぞれ被加熱領域が設けられている。なお、大径軸部W1の内部は中空に形成されている。
この加熱装置は、図1に示すように、ワークWを支持して軸Cを中心に回転させるワーク支持部11と、大径軸部W1を加熱する第1コイル21と、第1コイル21と直列に接続されて小径軸部W2を加熱する第2コイル31と、第1コイル21及び第2コイル31を支持するコイルベース13と、を備えている。
なお、加熱装置には、加熱後のワークWに冷却液を接触させるジャケット等の冷却部が設けられているが、詳細な図示は省略されている。
ここでは、連結導体部33の内側面と端部導体部34の内側面との間の離間距離が、ワークWの直径の3倍以上となっている。即ち、空間Sの長手方向中央にワークWを配置したとき、ワークWと連結導体部33との間をワークWの直径に相当する長さ分離間させることができ、同時に、ワークWと端部導体部34との間をワークWの直径に相当する長さ分離間させることができる。
これにより、空間Sの長手方向中央に小径軸部W2を配置すると、通電時に、主として一対の延長導体部32の対向する部位で生じる磁場により加熱することができる。
なお、可動支持部15により第2コイル31が進退可能に構成されているため、一対の第2接続導体部35は、給電部16及び第1コイル21との間がそれぞれ柔軟性を有する接続線により接続されている。
ワークWを加熱するには、まず大径軸部W1及び小径軸部W2の加熱領域に応じた形状を有する第1コイル21と第2コイル31とを準備する。そして第1コイル21をコイルベース13の固定支持部14に固定し、第2コイル31をコイルベース13の可動支持部15に固定し、第1コイル21と第2コイル31とを直列に接続すると共に給電部16に接続する。そして第2コイル31の位置調整を行った後、多数のワークWの加熱及び冷却して熱処理を行う。
なお、第2コイル31の位置調整は、予めワークWに応じて適切な位置が明らかな場合には、第2コイル31をコイルベース13の可動支持部15に固定することで完了することができる。
一対の延長導体部32間の空間Sは、図3に示すように、小径軸部W2をワークWの軸Cと交差する方向に相対移動可能な大きさであるため、空間S内に配置された小径軸部W2と第2コイル31とを相対移動させることで、小径軸部W2と連結導体部33との間の離間距離を適宜変更する。
大径軸部W1の被加熱領域が所望の程度に加熱できるように設定された条件には、例えばワーク支持部11によるワークWの回転速度、通電時間、高周波電力の周波数などを含んでいてもよい。
また同程度に加熱するとは、例えば加熱された領域の深さや温度、その後に急冷して得られる焼入れ領域の深さや硬さなどが同等と見なせる程度になることである。
そして、小径軸部W2と連結導体部33との間の離間距離を最適に調整した状態で、スライド部材17をその位置に固定し、第2コイル31位置調整を完了する。
さらに加熱後には、冷却液を接触させて急冷することで、各被加熱領域の焼入れ処理を終了する。
しかも第1コイル21は、大径軸部W1に対応した簡素な形状に形成すればよく、第2コイル31は、一方向に延びる一対の延長導体部32間に、小径軸部W2と連結導体部33との間の離間距離を調整可能な大きさの空間Sを形成すればよく、それぞれ複雑な形状にする必要がない。
従って、大径軸部W1と小径軸部W2とを同時に同程度に加熱でき、しかも加熱コイルの形状を簡素化することが可能である。
例えば上記では、多段形状軸部材として、大径軸部W1と小径軸部W2との2個の軸部を有するワークWの例について説明したが、軸部の数は3個以上であってもよく、その数は限定されない。その場合、最大径の軸部を第1コイル21により加熱し、他の軸部をそれぞれの軸部に対応した第2コイル31により加熱すればよく、上述と同様に各軸部を同時に同程度に加熱することが可能である。
また上記では、第2加熱コイルは一対の延長導体部32が互いに平行に形成されていたが、特に限定されるものではない。例えば、一対の延長導体部32を回転軸C方向の互いに異なる位置に配置し、その一対の延長導体部32間を斜めに傾斜した連結導体部33により連結した形状や、一対の延長導体部32間が連結導体部33側で近接し端部導体部34側で離間する形状など、適宜変更することができる。
さらに上記では、大径軸部W1及び小径軸部W2の被加熱領域がそれぞれ一定円形断面を有する円柱形状であったが、第1コイル21と第2コイル31とを対向配置して加熱できる限り、特に限定されるものではない。例えば、大径軸部W1の全長や小径軸部W2の全長に被加熱領域が設けられていてもよく、各被加熱領域が軸方向に沿って傾斜したテーパ面やスプライン等の凹凸に形成されていてもよい。その場合、第1コイル21及び第2コイル31は基準となる仮想面に精度よく対応したものを使用してもよい。
W ワーク
W1 大径軸部
W2 小径軸部
11 ワーク支持部
13 コイルベース
14 固定支持部
15 可動支持部
16 給電部
17 スライド部材
21 第1コイル
22 環状導体部
23 第1接続導体部
31 第2コイル
32 延長導体部
33 連結導体部
34 端部導体部
35 第2接続導体部
Claims (3)
- ワークの大径軸部の外周面に対向させる第1コイルと、上記大径軸部と同軸に設けられた小径軸部の外周面に対向させる第2コイルと、を備え、上記ワークを回転させつつ上記第1コイルと上記第2コイルとに直列に通電して、上記大径軸部と上記小径軸部とを同時に誘導加熱する多段形状軸部材の加熱装置であって、
上記第2コイルは、一方向に延びて上記小径軸部の径方向両側に対向配置される一対の延長導体部と、該一対の延長導体部を先端側で連結する連結導体部と、を備え、
上記小径軸部と上記第2コイルとを上記一方向に沿って相対移動させることで、上記一対の延長導体部間に配置された上記小径軸部と上記連結導体部との間の離間距離を調整可能である、多段形状軸部材の加熱装置。 - ワークの大径軸部の外周面に第1コイルを対向させ、上記大径軸部と同軸に設けられた小径軸部の外周面に第2コイルを対向させ、上記ワークを回転させつつ上記第1コイルと上記第2コイルとに直列に通電して上記大径軸部と上記小径軸部とを同時に誘導加熱する多段形状軸部材の加熱方法であって、
一方向に延びる一対の延長導体部と、該一対の延長導体部を先端側で連結する連結導体部と、を備えた上記第2コイルを準備し、
上記一対の延長導体部間に上記小径軸部を配置して上記一対の延長導体部を上記小径軸部の両側に対向させると共に、上記小径軸部が上記大径軸部と同程度に加熱されるように上記小径軸部と上記連結導体部との間の離間距離を調整し、
上記第1コイルと上記第2コイルとに通電する、多段形状軸部材の加熱方法。 - ワークの軸部を回転させつつ誘導加熱する加熱コイルであり、
一方向に延びる一対の延長導体部と、該一対の延長導体部を先端側で連結する連結導体部と、を備え、
上記一対の延長導体部間には空間が設けられ、該空間に上記軸部が配置されて前記一対の延長導体部と対向して回転するとともに、該空間に配置された上記軸部と上記連結導体部との間の離間距離が調整可能である、加熱コイル。
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