JP4178408B2 - 燃料噴射弁およびその製造方法 - Google Patents
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Description
また、本発明の他の目的は、弾性部材の荷重の調整を容易かつ高精度に行える燃料噴射弁の製造方法を提供することにある。
さらに、請求項1記載の発明では、係止部の可動部側に薄肉部を有している。薄肉部は肉厚が小さくなっている。これにより、薄肉部よりも可動部とは反対側に位置する係止部は、塑性変形に必要な力が低減される。したがって、弾性部材の荷重を容易に調整することができる。
請求項4記載の発明では、固定コアは係止部となるテーパ部を有している。テーパ部は、可動部とは反対側の端部から径方向内側へ傾斜して伸びている。これにより、テーパ部の傾斜角度を変更することにより、弾性部材の可動部とは反対側の端部とテーパ部とが接する軸方向の位置が変化する。したがって、弾性部材の荷重を容易に調整することができる。
(第1参考例)
本発明の第1参考例による燃料噴射弁(以下、燃料噴射弁を「インジェクタ」という。)を図1に示す。第1参考例によるインジェクタ10は、例えばガソリンエンジンの燃焼室に吸入される吸気に燃料を噴射する。なお、インジェクタ10は、ガソリンエンジンの燃焼室に直接燃料を噴射する直噴式のガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジンに適用してもよい。
図3に示すように、収容パイプ11、弁ボディ20およびコイル31が組み付けられ、樹脂モールド35が形成される。弁ボディ20には、噴孔プレート22が取り付けられている。収容パイプ11および弁ボディ20の内側に、一体に接続された可動コア33およびニードル24が収容される。収容パイプ11の内径は可動コア33の外径よりもわずかに大きい。そのため、一体の可動コア33およびニードル24は収容パイプ11の内側において軸方向へ移動可能である。一体の可動コア33およびニードル24が収容パイプ11の内側に収容されると、可動コア33のニードル24とは反対側にスプリング39が設置される。スプリング39は、収容パイプ11の内側に挿入され、軸方向の一方の端部が可動コア33と接している。このとき、スプリング39は、圧縮も伸長もしておらず、本来の全長Lとなっている。
スプリング39の荷重の調整が完了すると、収容パイプ11の弁ボディ20とは反対側の端部に燃料フィルタ16が取り付けられる。これにより、インジェクタ10の組み付けが完了する。
コイル31への通電が停止されているとき、固定コア40と可動コア33との間には磁気吸引力が発生しない。そのため、可動コア33はスプリング39の押し付け力によって固定コア40とは反対側へ移動するとともに、可動コア33と一体のニードル24も固定コア40とは反対側へ移動している。その結果、コイル31への通電が停止されているとき、ニードル24のシール部25は弁座21に着座している。したがって、燃料は噴孔23から噴射されない。
また、底部42は、固定コア40の可動コア33とは反対側の端部に設置されている。そのため、固定コア40は、内部に全長の長いスプリング39を収容可能である。これにより、スプリング39の全長が長い場合でも、スプリング39は固定コア40の内部に収容され、インジェクタ10の全長が長くなることはない。したがって、体格の小型化を図ることができる。さらに、スプリング39の全長の増大にともなう体格の大型化が抑制されるため、スプリング39は所望の全長を設定することができる。したがって、スプリング39の荷重の自由度を高めることができる。
本発明の第2参考例によるインジェクタの固定コアを図6に示す。なお、第1参考例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第2参考例によるインジェクタ10の固定コア60は、図6に示すように可動コア33とは反対側の端部に筒部61よりも外径が小さな小径部64を有している。固定コア60の底部62は、小径部64から径方向内側へ突出している。小径部64には、燃料が流れる孔部63が形成されている。
第2参考例では、固定コア60の小径部64から底部62が突出している。そのため、固定コア60は、圧入量に関わらず一定の荷重で収容パイプ11に圧入することができる。したがって、固定コア60と可動コア33との間の距離gの精度を高めることができる。
本発明の第3参考例によるインジェクタの固定コアを図7に示す。なお、第1参考例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3参考例では、図7に示すように固定コア70は筒部71の軸方向の途中に係止部72を有している。係止部72は、固定コア70の筒部71から径方向内側へ突出して形成されている。係止部72には、燃料が流れる孔部73が形成されている。スプリング39の可動コア33とは反対側の端部は係止部72に接する。第3参考例では、固定コア70を収容パイプ11に圧入するとき、圧入荷重は固定コア70の可動コア33とは反対側の端面74に加えられる。一方、スプリング39の荷重を調整するとき、係止部72に力を加えることにより係止部72は塑性変形する。そのため、固定コア70は、圧入のための荷重が加わる位置と、スプリング39の荷重を調整するための力が加わる位置とが異なる。
本発明の第1実施形態および第2実施形態によるインジェクタの固定コアをそれぞれ図4または図5に示す。なお、第1参考例または第3参考例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し説明を省略する。
第1実施形態は、第1参考例の変形である。図4に示すように、固定コア40は底部42の可動コア33側に薄肉部45を有している。薄肉部45は、筒部41よりも肉厚が小さく設定されている。これにより、底部42は比較的小さな力で容易に変形する。
第1実施形態および第2実施形態では、いずれも固定コア40、70に薄肉部45、75を形成することにより、底部42または係止部72は比較的小さな力で容易に変形する。したがって、スプリング39の荷重を精密かつ容易に調整することができる。
本発明の第3実施形態によるインジェクタの固定コアを図10に示す。なお、第1参考例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第3実施形態では、図10に示すように固定コア80は、筒部81の可動コア33とは反対側の端部にテーパ部82を有している。テーパ部82は、固定コア80の可動コア33とは反対側の端部において可動コア33から遠ざかるにつれて径方向内側へ傾斜している。これにより、スプリング39の可動コア33とは反対側の端部は、固定コア80のテーパ部82に接する。すなわち、テーパ部82は、特許請求の範囲の係止部となる。
とテーパ部82との段差83に圧入荷重が加えられる。これにより、固定コア80の圧入時に力が加わる位置と、スプリング39の荷重を調整するために力が加わる位置とは異なる。さらに、固定コア80は、筒部81のみが収容パイプ11に圧入され、テーパ部82は圧入されない。これにより、固定コア80は、一定の圧入荷重で収容パイプ11に圧入される。したがって、固定コア80の位置の精度、および固定コア80と可動コア33との間の距離gの精度を高めることができる。
上記の各実施形態及び参考例では、本発明を適用した実施形態及び参考例を個別に説明したが、複数の実施形態及び参考例を組み合わせてもよい。
Claims (8)
- 軸方向へ往復移動し、噴孔に連通する燃料通路を開閉する可動部と、
前記噴孔側へ前記可動部を押し付ける弾性部材と、
径方向内側に突出し前記弾性部材の前記可動部とは反対側の端部を係止する係止部を有し、前記可動部の前記噴孔とは反対側の端部と対向して設置され、コイルの通電時に前記可動部との間に前記可動部を吸引する磁気吸引力を発生する固定コアとを備え、
前記固定コアは、前記係止部の前記可動部側に肉厚の小さな薄肉部を有し、
前記係止部が塑性変形していることを特徴とする燃料噴射弁。 - 前記固定コアは、前記可動部とは反対側の端部に前記係止部を有することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射弁。
- 前記固定コアは、カップ状に形成され、前記可動部とは反対側の端部に位置する底部が前記係止部であることを特徴とする請求項2記載の燃料噴射弁。
- 軸方向へ往復移動し、噴孔に連通する燃料通路を開閉する可動部と、
前記噴孔側へ前記可動部を押し付ける弾性部材と、
前記可動部とは反対側の端部で径方向内側に突出し前記弾性部材の前記可動部とは反対側の端部を係止する係止部を有し、前記可動部の前記噴孔とは反対側の端部と対向して設置され、コイルの通電時に前記可動部との間に前記可動部を吸引する磁気吸引力を発生する固定コアとを備え、
前記固定コアは前記可動部とは反対側の端部から径方向内側へ傾斜して伸びるテーパ部を有し、前記テーパ部が前記係止部であり、前記係止部が塑性変形していることを特徴とする燃料噴射弁。 - 前記固定コアは、軸方向の両端部の間に前記係止部を有することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射弁。
- 前記係止部は、前記固定コアの他の部分よりも外径が小さな小径部から径方向内側へ突出していることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載の燃料噴射弁。
- 前記係止部の板厚をtとすると、0.1mm≦t≦1.0mmであることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の燃料噴射弁。
- 軸方向へ往復移動し噴孔に接続する燃料通路を開閉する可動部と、コイルに通電することにより前記可動部との間に磁気吸引力を発生する固定コアと、一方の端部が前記可動部に接し他方の端部が前記固定コアに接し前記可動部を前記噴孔側へ押し付ける弾性部材を備える燃料噴射弁の製造方法であって、
前記固定コアは、前記係止部の前記可動部側に肉厚の小さな薄肉部を有し、
前記固定コアから径方向内側に突出する係止部を塑性変形させることにより前記弾性部材の押し付け力を調整する段階を含むことを特徴とする燃料噴射弁の製造方法。
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