JP5239965B2 - 燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料噴射弁に関し、例えば内燃機関に燃料を噴射供給する燃料噴射弁に適用して好適なものである。
従来技術として、下記特許文献1に開示された燃料噴射弁がある。この燃料噴射弁は、弁ボディ、弁ハウジング、筒部材等で構成されて一端側に噴孔が形成されたハウジングと、可動コアと噴孔を開閉するノズルニードルとが一体となった可動子と、筒部材内の可動コアより反噴孔側に固定された固定コアと、通電時には固定コアに可動コアを吸引する磁力を発生するコイルと、可動子を噴孔に向かって常に付勢するスプリングと、を備えている。
そして、コイルに通電されると可動子が固定コアに磁気吸引され、スプリングの付勢力、燃圧力に打ち勝って可動コアが固定コアに当接するまで可動子が変位して、ノズルニードルが噴孔を全開する。コイル通電中は可動子が噴孔全開位置に維持され、コイルへの通電が停止されると磁気吸引力がなくなり、スプリングの付勢力、燃圧力によってノズルニードルが噴孔を閉じる位置まで可動子が変位する。再度コイルへの通電が行われるまでは可動子が噴孔閉位置に維持される。
このように、スプリングの付勢力によってノズルニードルが噴孔を閉じる閉位置と、コイルの磁力によって可動コアが固定コアに当接してノズルニードルが噴孔を全開する全開位置との間を可動子が変位し、コイルへの通電パルスのオンオフにより噴孔からの噴射量を制御するようになっている。
特開2006−22721号公報
しかしながら、上記従来技術の燃料噴射弁では、コイルへの通電をオフした際に、磁気吸引力が低下するまでに時間を要すること、および可動コアと固定コアとの当接部において燃料流体による貼り付き力(所謂スクィーズ力)が発生すること等により、通電オフ時から可動子閉弁動作開始まで時間遅れが発生するという問題がある。近年、内燃機関の燃費向上要求等より燃料噴射弁の最小噴射量をより小さくすることが求められているが、コイル通電オフ時から閉弁動作開始まで時間遅れが大きいと、すなわち、閉弁応答性が良好でないと、燃料噴射弁の最小噴射量を小さくすることができないという不具合が発生する。
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、閉弁応答性を向上することが可能な燃料噴射弁を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、
燃料が噴射される噴孔が形成されたハウジングと、
ハウジング内に設けられ、往復変位することによって噴孔を開閉して噴孔からの燃料の噴射を断続する弁部材と、この弁部材とともに変位する可動コアと、を有する可動子と、
ハウジング内の可動コアより反噴孔側に固定された固定コアと、
通電されることによって固定コアに可動コアを吸引する磁力を発生するコイルと、
可動子を噴孔に向かって常に付勢する常時付勢手段と、を備え、
常時付勢手段の付勢力によって弁部材が噴孔を閉じる閉位置と、コイルが発生する磁力によって可動コアが固定コアに当接して弁部材が噴孔を全開する全開位置との間を、可動子が変位する燃料噴射弁であって、
閉位置と全開位置との間の可動子の変位域のうち可動子が一部域にあるときに可動子を付勢する一時付勢手段を備え、
常時付勢手段および一時付勢手段の噴孔に向かう付勢合力は、可動子が閉位置にあるときよりも全開位置にあるときの方が大きいことを特徴としている。
これによると、可動子が閉位置にあるときに可動子を噴孔に向かって付勢する力よりも、可動子が全開位置にあるときに可動子を噴孔に向かって付勢する力の方が大きい。したがって、可動子が全開位置にありコイルへの通電がオフされたときには、比較的大きい噴孔に向かう付勢力により、閉弁動作を速やかに開始することができる。このようにして、閉弁応答性を向上することができる。
また、請求項に記載の発明では、
一時付勢手段は、
可動子を付勢する付勢力を発生する弾性部材と、
可動子が変位域のうち一部域にあるときには弾性部材による可動子への付勢を許可する付勢許可状態とし、可動子が変位域のうち残部域にあるときには弾性部材による可動子への付勢を禁止する付勢禁止状態とする付勢状態切替手段と、
を有することを特徴としている。
これによると、付勢状態切替手段で弾性部材による可動子への付勢の許可と禁止とを切り替えて、容易に、常時付勢手段および一時付勢手段の噴孔に向かう付勢合力が、可動子が閉位置にあるときよりも全開位置にあるときの方を大きくなるようにすることができる。
また、請求項に記載の発明では
弾性部材は、可動子に対して反噴孔側に向かう開弁力を付勢する開弁力付勢弾性部材であり、
付勢状態切替手段は、
可動子が、閉位置と、閉位置と全開位置との間の所定中間位置との間にある場合には、開弁力付勢弾性部材を付勢許可状態とし、
可動子が、所定中間位置と全開位置との間にある場合には、開弁力付勢弾性部材を付勢禁止状態とすることを特徴としている。
これによると、可動子が閉位置と所定中間位置との間にある場合には開弁力付勢弾性部材による付勢を許可し、可動子が所定中間位置と全開位置との間にある場合には開弁力付勢弾性部材による付勢を禁止して、容易かつ確実に、常時付勢手段および一時付勢手段の噴孔に向かう付勢合力が、可動子が閉位置にあるときよりも全開位置にあるときの方を大きくなるようにすることができる。
また、請求項に記載の発明では、
開弁力付勢弾性部材は、ハウジング内の噴孔と可動コアとの間に設けられて、可動コアに対して反噴孔側に向かう開弁力を付勢するようになっており、
付勢状態切替手段は、所定中間位置よりも反噴孔側に位置する可動コアに対する開弁力付勢弾性部材の追従変形を禁止して、可動子が所定中間位置と全開位置との間にある場合に、開弁力付勢弾性部材を付勢禁止状態とすることを特徴としている。
これによると、可動コアが所定中間位置と全開位置との間にある場合には、開弁力付勢弾性部材の可動コアへの追従変形を禁止することで、可動子への開弁力付勢を禁止して、常時付勢手段および一時付勢手段の噴孔に向かう付勢合力が、可動子が閉位置にあるときよりも全開位置にあるときの方を大きくなるようにすることができる。
また、請求項に記載の発明では、
開弁力付勢弾性部材はコイルスプリングからなり、
付勢状態切替手段は、コイルスプリングの反噴孔側端部を全周に亘って支持する支持部材と、可動子が所定中間位置にあるときよりも支持部材が反噴孔側に移動することを規制する規制部材と、を有することを特徴としている。
これによると、規制部材でコイルスプリングの反噴孔側端部を安定して支持し、可動コアが閉位置と所定中間位置との間にある場合には、開弁力付勢弾性部材であるコイルスプリングを可動コアに確実に追従変形させ、可動コアが所定中間位置と全開位置との間にある場合には、開弁力付勢弾性部材であるコイルスプリングの可動コアへの追従変形を確実に禁止することができる。
また、請求項に記載の発明では、
開弁力付勢弾性部材はコイルスプリングからなり、
可動子が閉位置と所定中間位置との間にある場合には、コイルスプリングの反噴孔側端部の周方向の一部を可動コアが支持するようになっており、
付勢状態切替手段は、可動子が所定中間位置と全開位置との間にある場合に、コイルスプリングの反噴孔側端部の周方向の残部を支持して、可動子が所定中間位置にあるときよりもコイルスプリングの反噴孔側端部が反噴孔側に移動することを規制する規制部材を有することを特徴としている。
これによると、可動コアが閉位置と所定中間位置との間にある場合には、コイルスプリングの反噴孔側端部の周方向の一部を可動コアで支持して、開弁力付勢弾性部材であるコイルスプリングを可動コアに追従変形させ、可動コアが所定中間位置と全開位置との間にある場合には、コイルスプリングの反噴孔側端部の周方向の残部を規制部材で支持して、開弁力付勢弾性部材であるコイルスプリングの可動コア追従変形を禁止することができる。したがって、コイルスプリングの反噴孔側端部を支持する専用の支持部材を設けることなく、コイルスプリングの可動コア追従変形許可および追従変形禁止を切り替えることができる。
本発明を適用した第1の実施形態における燃料噴射弁であるインジェクタ10の構造を示す断面図である。 第1の実施形態におけるインジェクタ10の要部構造を示す断面図である。 第1の実施形態におけるインジェクタ10の作動時に可動子に加わる力を示す図である。 第1の実施形態におけるインジェクタ10の作動特性を示すグラフであり、(a)はコイルに印加される駆動信号を示し、(b)は(a)の駆動信号に対応した可動子のリフト波形を示し、(c)は駆動信号時間に対する噴射量特性を示している。 第2の実施形態における燃料噴射弁であるインジェクタ10の要部構造を示す断面図である。 第2の実施形態におけるインジェクタ10の作動時に可動子に加わる力を示す図である。 他の実施形態におけるインジェクタ10の要部構造を示す断面図である。 図7のVIII−VIII線断面図である。 他の実施形態におけるインジェクタ10の要部構造を示す断面図である。 他の実施形態におけるインジェクタ10の要部構造を示す断面図である。
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した形態と同様とする。実施の各形態で具体的に説明している部分の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、実施の形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1の実施形態)
図1は、本発明を適用した第1の実施形態のインジェクタ10を示す断面図である。また、図2は、インジェクタ10の要部構造を示す断面図であり、図3は、インジェクタ10作動時に可動子に加わる力を示す図である。
図1に示すインジェクタ10は、燃料噴射弁であって、たとえば直噴式のガソリンエンジンに適用される。直噴式のガソリンエンジンにインジェクタ10を適用する場合、インジェクタ10はエンジンヘッド(図示せず)に搭載される。
インジェクタ10は、予め定める軸方向Z(開閉方向)に延びる筒部材11、筒部材11の軸方向Z一端部に設けられる入口部材12、筒部材11の軸方向Z他端部に設けられるノズルホルダ13、インジェクタ10内部を軸方向Zへ往復移動可能に収容されるニードル14、およびニードル14を駆動する駆動部15を有している。
以下、インジェクタ10の方向として、筒部材11が延びる方向を軸方向Z(図1における上下方向)と称し、軸方向Zの一方を開弁方向Z1(図1における上方、反噴孔側)と称し、軸方向Zの他方を閉弁方向Z2(図1における下方、噴孔側)と称することがある。
筒部材11は、軸方向Zへ概ね内径が同一の筒状に形成されている。筒部材11は、磁性を有する磁性部16および磁性を有しない非磁性部17を有している。磁性部16は、非磁性部17よりも開弁方向Z1に位置する。したがって閉弁方向Z2に位置する筒部材11の端部は、非磁性部17となる。このような非磁性部17は、磁性部16とノズルホルダ13との磁気的な短絡を防止する。磁性部16および非磁性部17は、たとえばレーザ溶接などにより一体に接続されている。また筒部材11は、たとえば一体に成形した後、熱加工などにより一部を磁性化または非磁性化してもよい。また、非磁性部は、磁性部に対し板厚を薄くした磁気の絞りを設けた形状としてもよい。
入口部材12は、開弁方向Z1に位置する筒部材11の端部に設けられる。入口部材12は、筒部材11の内周側に圧入されている。入口部材12は軸方向Zに貫通する燃料入口18を有する。燃料入口18には、燃料ポンプ(図示せず)から燃料が供給される。燃料入口18には、燃料フィルタ19が設けられる。燃料フィルタ19は、燃料に含まれる異物を除去する。したがって燃料入口18に供給された燃料は、燃料フィルタ19を経由して筒部材11の内周側に流入する。
ノズルホルダ13は、閉弁方向Z2に位置する筒部材11の端部に設けられる。ノズルホルダ13は、磁性を有する。したがって筒部材11の非磁性部17は、軸方向Zに関して、磁性部16と磁性を有するノズルホルダ13との間に位置する。ノズルホルダ13は、筒状に形成される。
ノズルホルダ13は、略同軸であり内径が互いに異なる大径部20、中径部21、小径部22および取付部23を有している。3つの径部20〜22のうち、大径部20は、最も内径が大きく、次に中径部21の内径が大きく、小径部22は最も内径が小さい。また3つの径部20〜22の位置関係は、大径部20が開弁方向Z1の端部に位置し、小径部22が閉弁方向Z2の端部に位置し、中径部21が軸方向Zの中央、すなわち大径部20と小径部22との間に位置する。大径部20の内径は、筒部材11の内径と略等しく、筒部材11と略同軸となるように配置される。取付部23は、閉弁方向Z2に位置する小径部22の端部に設けられる。したがってノズルホルダ13の閉弁方向Z2の端部は、取付部23となる。取付部23には、ノズルボディ24が設けられる。
ノズルボディ24は、筒状に形成され、例えば圧入あるいは溶接などによりノズルホルダ13の取付部23に固定されている。ノズルボディ24の内壁面は、閉弁方向Z2に向かうにつれて内径が小さくなるように傾斜し、いわゆる尖鋭状に形成される。このようなノズルボディ24の先端部には、ノズルボディ24を軸方向Zに貫いて内壁面と外壁面とを連通する噴孔25が形成される。また噴孔25の周囲の内壁面は、弁座29として機能する。
ここで、筒部材11、ノズルホルダ13、およびノズルボディ24からなる構成が、一端側に噴孔25が形成された本発明で言うところのハウジングに相当する。
ニードル14は、弁部材であって、筒部材11、ノズルホルダ13およびノズルボディ24の内周側に軸方向Zへ往復移動可能に収容されている。ニードル14は、軸方向Zへ往復変位することによって噴孔25を開閉して、噴孔25からの燃料の噴射を断続する。ニードル14は、ノズルボディ24と概ね同軸上に配置されている。ニードル14は、軸部26、ストッパ27およびシール部28を有している。ニードル14は、軸部26の一方の端部側すなわち燃料入口18側(反噴孔側)の端部において径外方向に鍔状に(フランジ状に)突出するように設けられたストッパ27を有している。また、ニードル14は、軸部26の他方の端部側すなわち燃料入口18とは反対側(噴孔側)の端部にシール部28を有している。シール部28は、ノズルボディ24に形成されている弁座29に着座可能である。
また、ニードル14には、内部に燃料が流通する流入孔30および連通孔31が形成されている。具体的には、ニードル14には、上流側通路である流入孔30と、流入孔30の下流側に接続する下流側通路である連通孔31とが形成される。流入孔30および連通孔31からなる構成が、噴孔25へ向かう燃料通路322に供給される燃料の供給通路である。
流入孔30は、ニードル14のストッパ27形成位置から軸方向Zに沿って延びるように形成される。したがって開弁方向Z1に位置する流入孔30の上端部、すなわち供給通路の上流端は、開弁方向Z1に開口する。また閉弁方向Z2に位置する流入孔30の下端部は、閉塞している。流入孔30の下端部に臨む内壁には、ニードル14の径方向に延び、流入孔30と外方空間とを連通する連通孔31が形成される。
ハウジングをなす筒部材11、ノズルホルダ13およびノズルボディ24の内側では、後述する固定コア35の内側の空間である燃料通路321、弁部材であるニードル14の内部に形成された通路空間である流入孔30および連通孔31、および可動コア36よりも噴孔側においてノズルホルダ13とニードル14との間に形成された空間である燃料通路322、を含む空間が、燃料入口18から噴孔25に向かう燃料の通路である燃料通路32となっている。
これにより、燃料フィルタ19を経由して筒部材11の内周側に流下した燃料は、固定コア35内側の燃料通路321を介してニードル14に形成される流入孔30に流入し、さらに流入孔30の下端部に形成される連通孔31から、ニードル14の外方に導かれる。その後、燃料は、ニードル14とノズルホルダ13との間に形成される燃料通路322を流下し、噴孔25側へ流入する。
次に、ニードル14を駆動する駆動部15に関して説明する。図2は、ニードル14が着座している閉弁状態にあるインジェクタ10の一部を拡大している断面図である。駆動部15は、ニードル14を軸方向Zに沿って駆動する。駆動部15は、スプール33、コイル34、固定コア35、磁性プレート50、上部磁性プレート70、可動コア36、コネクタ37、第1スプリング39、第2スプリング46、支持体80、ストッパ90、ノズルホルダ13、および筒部材11を有している。
スプール33は、筒部材11の外周側に設置されている。スプール33は、樹脂で筒状に形成され、外周側にコイル34が巻かれている。コイル34は、通電されることによって固定コア35に可動コア36を吸引する磁力を発生する。コイル34は、コネクタ37の端子部38に電気的に接続している。端子部38は、コネクタ37に装着される外部電気回路(図示せず)と電気的に接続され、外部電気回路によってコイル34への通電状態が制御される。
固定コア35は、筒部材11を挟んでコイル34の内周側であって、予め定める設置位置に固定される。固定コア35は、例えば鉄などの磁性材料により筒状に形成され、筒部材11の内周側に例えば圧入などにより固定されている。磁性プレート50は、磁性材料から形成され、コイル34の外周側を覆っている。また、上部磁性プレート70は、磁性材料から構成され、コイル34の反噴孔側(開弁方向Z1側)を覆っている。
可動コア36は、筒部材11の内周側、およびノズルホルダ13の大径部20の内周側に軸方向Zへ往復移動可能に設置されている。可動コア36は、例えば鉄などの磁性材料から筒状に形成されている。固定コア35内には第1スプリング39が配置されている。第1スプリング39は、一方の端部がニードル14に接しており、他方の端部がアジャスティングパイプ40と接している。第1スプリング39は、軸方向Zへ伸長する力を有している。そのため、可動コア36およびニードル14は、第1スプリング39により弁座29に着座する閉弁方向Z2へ常時押し付けられる。アジャスティングパイプ40は、固定コア35の内周側に圧入されている。これにより、第1スプリング39の荷重は、アジャスティングパイプ40の圧入量を調整することにより調整される。コイル34に通電していないとき、可動コア36およびニードル14は、閉弁方向Z2へ押し付けられ、シール部28は弁座29に着座する。
可動コア36とニードル14とからなる構成が可動子60であり、第1スプリング39が可動子60を噴孔25に向かって常に付勢する本実施形態における常時付勢手段に相当する。
このように駆動部15は、固定コア35および可動コア36を有している。可動コア36には、ニードル14の軸部26(軸状部)が挿入されている。すなわち、可動コア36は、弁部材であるニードル14の軸部26の周囲に筒状に設けられている。可動コア36は、径方向の中央部に軸方向Zへ貫く挿通孔が形成される。挿通孔に臨む内周面部(以下、「穴部」ということがある)41は、内径がニードル14の軸部26の外径よりもやや大きく形成されている。そのため、ニードル14は、穴部41の内周側を軸方向Zへ移動可能である。
ニードル14の軸部26の外周面部42は、可動コア36の穴部41と接触する。したがってニードル14は、可動コア36と接触した状態で軸方向Zに変位するので、ニードル14と可動コア36とは摺動する。これにより、ニードル14は、可動コア36との接触によって常に摺動抵抗(摩擦力)が生じた状態で、可動コア36によって軸方向Zの移動が案内される。
また、可動コア36の径方向外側の外周面部43は、筒部材11の内周面部44と接触している。本実施の形態では、筒部材11の内周面部44と接触する可動コア36の外周面部43は、残余の面部より径方向外方に突出する凸部43である。凸部43は、開弁方向Z1に位置する可動コア36の端部に設けられる。また凸部43が筒部材11と接触部分は、非磁性部17から成る部位である。
したがって可動コア36の凸部43は、非磁性部17の内周面部44と接触した状態で軸方向Zに変位するので、可動コア36と非磁性部17とは摺動する。これにより、可動コア36は、常に摺動抵抗(摩擦力)が生じた状態で、非磁性部17によって軸方向Zの移動が案内される。すなわち、可動コア36の外周面部43とハウジングの一部である非磁性部17の内周面部44との接触部が、可動コア36が軸方向Zに変位する際の可動コア案内部となっている。
ニードル14に設けられるストッパ27は、開弁方向Z1への可動コア36の変位を規制する。ストッパ27の外径は、穴部41の内径よりも大きい。そのため、ニードル14のストッパ27は、開弁方向Z1に位置する可動コア36の端面部45(以下、「可動コア36の上端面部45」ということがある)と接する。ストッパ27と可動コア36の上端面部45とが接することにより、可動コア36とニードル14との間におけるニードル14の弁座29側(閉弁方向Z2)への移動および可動コア36の固定コア35側への相対的な移動は制限される。これにより、ニードル14のストッパ27は、可動コア36とニードル14との過剰な相対移動を制限する。また、ストッパ27は、筒状の固定コア35の内方側にて軸方向Zに沿って往復変位する。したがってストッパ27の外径は、固定コア35の内径よりも小さい。また、ストッパ27は、筒状の固定コア35の内方側にて軸方向Zに沿って往復変位する。
可動コア36の反噴孔側の面である上端面部45には、内周側縁部に軸方向Zの開弁方向Z1に突出した凸部51が環状に設けられている。固定コア35側に突出した凸部51が設けられることによって、凸部51の外周側には、固定コア35の下端面部49と可動コア36の上端面部45との間に、可動コア35の変位位置に係わらずコア間空間52が形成される。凸部51を設けることによって固定コア35と可動コア36とが当接する際の当接面積を低減し、所謂スクイズ力を低減するようになっている。
そして、可動コア36には、コア間空間52と、燃料通路322(ノズルホルダ13とニードル14との間の空間)に繋がる可動コア36と後述するストッパ90との間の空間とを連通する通路断面が円形状の連通路53が形成されている。連通路53は、可動コア36に複数(本例では6つ)設けられており、それぞれの連通路53は、可動コア36を軸方向Zに貫通している。複数の連通路53は、可動コア36の軸を中心とする円周状に均等に配置されている。連通路は4〜8個設けることが好ましい。
可動コア36は、閉弁方向Z2に位置する端部48(以下、「可動コア36の下端面部48」ということがある)が支持体80の反噴孔側端面(開弁方向Z1に位置する端部)と接している。支持体80の噴孔側端面(閉弁方向Z2に位置する端部)には、第2スプリング46が接している。第2スプリング46はコイルスプリングからなる本実施形態における弾性部材に相当し、支持体80は、第2スプリング46の反噴孔側端部を全周に亘って支持する支持部材に相当する。
支持体80は、軸方向Zに延びる円筒部81と、円筒部81の噴孔側端部から径外方向に全周に亘って突出した鍔部82とから構成されている。円筒部81の内側にはニードル14の軸部26(軸状部)が挿入されている。すなわち、支持体80は、弁部材であるニードル14の軸部26の周囲に設けられている。支持体80は、径方向の中央部に軸方向Zへ貫く挿通孔が形成される。挿通孔に臨む内周面部は、内径がニードル14の軸部26の外径よりもやや大きく形成されている。そのため、ニードル14は、支持体80円筒部81の内周側を軸方向Zへ移動可能である。
第2スプリング46は、軸方向Zへ伸長する力を有している。第2スプリング46は、開弁方向Z1に位置する端部が支持体80と接し、閉弁方向Z2に位置する端部がノズルホルダ13と接している。第2スプリング46は、ノズルホルダ13の大径部20および中径部21に収容されている。中径部21と小径部22との接続部分には、内径が互いに異なるので段差があり、閉弁方向Z2に位置する第2スプリング46の端部が当接する段差面部47が形成される。中径部21の内径は、第2スプリング46の外径よりもやや大きくなるように選択される。このような中径部21によって、第2スプリング46の傾きおよび曲がりが低減される。したがって、第2スプリング46の押し付け力を精密に維持することができる。
ノズルホルダ13の大径部20の内周側には、ストッパ90が配設されている。ストッパ90は、軸方向Zに延びる円筒部91と、円筒部91の反噴孔側端部から径内方向に全周に亘って突出した鍔部92とから構成されている。鍔部92の内周側端面の直径は支持体80の鍔部82の外周側端面の直径より小さくなっており、軸方向Zから見たときには、支持体80の鍔部82とストッパ90の鍔部92とが重なり合うようになっている。
ストッパ90は、ノズルホルダ13の大径部20の内周側に例えば圧入等によって固定されており、ストッパ90円筒部91の噴孔側端面がノズルホルダ13の大径部20と中径部21との間の段差面部に当接して位置決めされている。図2に示すように、閉弁状態における支持体80の鍔部82上端面(反噴孔側面)とストッパ90の鍔部92下端面(噴孔側面)との軸方向Zの間隔h2は、閉弁状態における固定コア35下端面部49と可動コア36上端面の凸部51との軸方向Zの間隔h1よりも小さくなるように設定されている。すなわち、間隔h1で決まる閉弁状態からの可動子60の変位可能量よりも、間隔h2で決まる閉弁状態からの支持体80の変位可能量の方が小さくなっている。
第2スプリング46は、軸方向Zへ伸長する力を有している。そのため、可動コア36は、閉弁状態においては第2スプリング46によって支持体80を介して力を付勢され固定コア35側(開弁方向Z1)へ押し付けられている。可動コア36には、第1スプリング39からニードル14を経由して閉弁方向Z2への閉弁力f1(以下、「付勢力S1」ということがある)が加わり、第2スプリング46から支持体80を経由して開弁方向Z1への開弁力f2(以下、「付勢力S2」ということがある)が加わる。図2では、理解を容易にするため、実際に閉弁力f1および開弁力f2が作用する部位には図示せず、閉弁力f1および開弁力f2が作用する方向を図示する。
第1スプリング39の押し付け力である閉弁力f1は、第2スプリング46の押し付け力である開弁力f2よりも大きく設定される。そのため、コイル34への通電が停止されている閉弁状態では、第1スプリング39に接するニードル14は、ストッパ27に接する可動コア36とともに第2スプリング46の開弁力f2に抗して噴孔25側(閉弁方向Z2)へ移動している。その結果、コイル34への通電が停止されている閉弁状態では、ニードル14のシール部28は弁座29に着座している。
前述したように、本実施形態のインジェクタ10において、図2に示すように、ハウジングの一部をなすノズルホルダ13は、大径部20、中径部21、小径部22を有しており、大径部20の内側に可動コア36が配設されている。また、第2スプリング46は、ノズルホルダ13の大径部20および中径部21の内側に配設され、反噴孔側(開弁方向Z1側)の端部が可動コア36の下端面部48に接して支持され、噴孔側(閉弁方向Z2側)の端部がノズルホルダ13の中径部21と小径部22との間の段差面部47に接して支持されている。
ここで、大径部20および中径部21が大内径部であり、小径部22が小内径部である。したがって、ハウジングの一部をなすノズルホルダ13は、小内径部である小径部22と、この小径部22より反噴孔側に小径部22よりも内径が大きい大内径部である中径部21および大径部20とを有し、小径部22と弁部材であるニードル14との間に噴孔25に向かう燃料通路322が形成されるとともに、大内径部の一部である中径部21と小内径部である小径部22との間の段差面部47が弾性部材である第2スプリング46の噴孔側の端部を支持する座面となっている。
次に、上記の構成によりインジェクタ10の作動について図3も参照して説明する。
図3は、コイルへの通電時および非通電時に可動子60に加わる各力を矢印で示し、それらの力の合成力を黒丸で示している。コイル通電時には可動子60が閉弁状態(閉状態、閉位置)から全開弁状態(全開状態、全開位置)に向かって変位するので、可動子60に加わる力の状態は、図3上段に示すように(A1)状態から(A5)状態に向かって変化する。また、コイル非通電時には可動子60が全開弁状態(全開状態)から閉弁状態(閉状態)に向かって変位するので、可動子60に加わる力の状態は、図3下段に示すように(B1)状態から(B5)状態に向かって変化する。
先ず、開弁時の動作に関して説明する。コイル34への通電が停止されているとき、固定コア35と可動コア36との間には磁気吸引力は発生しない。したがって、ニードル14は、第1スプリング39の押し付け力である閉弁力f1(付勢力S1)によって閉弁方向Z2に押圧されている。このとき、ニードル14のストッパ27は、可動コア36の上端面部45(本例では凸部51のうち内周側の部分)に接している。そのため、可動コア36は、第1スプリング39の付勢力S1と第2スプリング46の押し付け力である付勢力S2との差によってニードル14とともに開弁状態のときよりも閉弁方向Z2へ移動して、可動コア36は固定コア35と離れている。このようにニードル14が開弁状態のときよりも閉弁方向Z2へ移動することにより、ニードル14のシール部28は弁座29に着座している。したがって、燃料は噴孔25から噴射されない。なお、このとき、可動子60(具体的にはニードル14)には、燃料圧力とシール部28内側面積とで決まる燃圧閉弁力FPが加わっており、図3(B5)に示すように、比較的大きな力で確実なシール構造を形成している。この閉弁状態では、可動コア36の下端面部48は、段差面部47とは離間した位置に停止している。
閉弁状態からコイル34に通電すると、コイル34に発生した磁界により磁性プレート50、上部磁性プレート70、磁性部16、可動コア36、固定コア35およびノズルホルダ13には磁束が流れ、磁気回路が形成される。これにより、固定コア35と可動コア36との間には磁気吸引力EMが発生する。図3(A1)に示すように、固定コア35と可動コア36との間に発生する磁気吸引力EMと第2スプリング46の付勢力S2との和が第1スプリング39の付勢力S1と燃圧閉弁力FPとの和よりも大きくなり、可動コア36は開弁方向Z1への移動を開始する。このとき、可動コア36の上端面部45にストッパ27が接しているニードル14は、可動コア36とともに開弁方向Z1へ移動する。その結果、ニードル14のシール部28は、弁座29から離れる。
ニードル14シール部28が弁座29から離れると、噴孔側に燃料が流れ、燃圧閉弁力FPは激減して、図3(A2)に示すように、可動子60が僅かにリフトした時点から合成力は開弁方向の比較的大きな力となり、可動子60を開弁方向に速やかに変位させる。
このように可動子60が変位して噴孔25を開くと、燃料入口18からインジェクタ10の内部へ流入した燃料は、前述したように燃料フィルタ19、入口部材12の内周側、アジャスティングパイプ40の内周側、固定コア35の内周側(上流側燃料通路321)、燃料通路61、燃料通路62、中径部21の内周側(下流側燃料通路322)、小径部22の内周側(下流側燃料通路322)を順次経由して、ノズルボディ24の内周側に流入する。ノズルボディ24に流入した燃料は、弁座29から離れたニードル14とノズルボディ24との間を経由して噴孔25へ流入する。これにより、噴孔25から燃料が噴射される。
このように、可動コア36には、磁気吸引力EMだけでなく第2スプリング46の付勢力S2も加わっている。そのため、コイル34へ通電すると、発生した磁気吸引力EMにより可動コア36およびニードル14は迅速に開弁方向Z1へ移動する。
上述したように、閉弁状態から磁気吸引力EMが作用すると、可動コア36およびニードル14は、可動コア36の上端面部45とストッパ27とが接することによって一体の可動子60として開弁方向Z1へ移動する。可動コア36およびニードル14は、可動コア36の上端面部45(本例では凸部51)が固定コア35の下端面部49と衝突して噴孔25を全開(最大開度)とするまで開弁方向Z1へ移動する。
可動子60が閉弁状態から全開弁状態に向かって開弁動作していくと、閉弁状態から可動子60が間隔寸法h2変位した時点で、可動子60とともに変位していた支持体80の鍔部82がストッパ90の鍔部92に当接する。支持体80鍔部82がストッパ90鍔部92に当接したときの可動子60の位置が本実施形態における所定中間位置である。ストッパ90は、支持体80のこれよりも開弁方向への変位を規制する。これによって、全開状態に向かって変位を続ける可動子60の可動コア36と、ストッパ90によって変位を規制された支持体80とが離れる。
可動コア36から支持体80が離れることに伴い、可動コア36に支持体80を介して付勢されていた第2スプリング46の付勢力S2の付勢が中止され、可動子60に加わる力が、図3(A3)の状態から図3(A4)の状態へ変化する。可動子60に加わる付勢力S2は消滅するものの、燃圧閉弁力FPが充分に小さいため、開弁方向の合成力を充分に確保することができ、可動子60は開弁方向Z1へ確実に移動していく。
図3(A5)に示す全開位置にまで可動子60が変位し、可動コア36が固定コア35に衝突すると、可動コア36とニードル14とは軸方向Zへ相対移動可能であるので、ニードル14は開弁方向Z1への慣性力によって、ストッパ27が可動コア36の上端面部45から離間して、さらに開弁方向Z1への移動を継続する。このようにストッパ27が離間しても、ストッパ27は第1スプリング39と接触している状態が維持されるので、なんら他の部材にストッパ27が衝突することはない。したがってニードル14がバウンドすることなく、噴孔25からの不規則な燃料の噴射は低減される。
また、ニードル14は開弁方向Z1への慣性力によって開弁方向Z1への移動を継続して、可動コア36とストッパ27とが離れると、ニードル14には、第1スプリング39の閉弁方向の付勢力S1および燃圧閉弁力FPが加わっているので、ニードル14の開弁方向Z1への過剰な移動が制限され、いわゆるオーバーシュートは小さいものとなる。
同様に、ニードル14が開弁方向Z1への慣性力によって開弁方向Z1への移動を継続して、可動コア36とニードル14とが離れると、可動コア36には磁気吸引力EMが加わり、第1スプリング39の付勢力S1および燃圧閉弁力FPが加わらない。すなわち可動コア36とストッパ27とが離れると、可動コア36に対し開弁方向Z1へ加わる力が大きくなる。したがって、可動コア36が固定コア35に衝突すると、その衝撃により可動コア36は閉弁方向Z2へ跳ね返ることなく、少なくともコイル34が通電されている期間は固定コア35に接触した状態が維持される。
可動コア36が固定コア35に衝突する時の衝撃力は、衝撃力に寄与する重量が低減されるため(可動コア36分の重量のみとなるため)小さくなる。このように衝撃力が小さいために、可動コア36は極めて跳ね返り難い。
さらに、オーバーシュートしたニードル14には、第1スプリング39の付勢力S1および燃圧閉弁力FPが継続して加わるので、ニードル14は開弁方向Z1への移動速度が減少し、オーバーシュート量が最大となった後、付勢力S1および燃圧閉弁力FPによって閉弁方向Z2へ移動を開始する。一方、可動コア36は、磁気吸引力EMによって固定コア35に接触した状態であるので、ニードル14が閉弁方向Z2へ移動するとき、固定コア35と接触している可動コア36によって閉弁方向Z2への移動が規制される。その結果、ニードル14には再び磁気吸引力EMが加わるので、ニードル14は開弁状態を維持することができる。このように、可動コア36とニードル14とは相対的に移動可能であるため、ニードル14のバウンドにともなう噴孔25からの不規則な燃料の噴射は低減される。したがって、コイル34への通電時間が短期間でも、噴孔25から噴射される燃料の噴射量を精密に制御することができる。
次に、閉弁時の動作に関して説明する。開弁状態(全開状態)からコイル34への通電を停止すると、固定コア35と可動コア36との間の磁気吸引力EMは消滅し、可動子60に加わる力が図3(A5)に示す状態から図3(B1)に示す状態へ変化する。これにより、ニードル14は、第1スプリング39の付勢力S1および燃圧閉弁力FPによって可動コア36とともに閉弁方向Z2へ移動を開始する。コイル34への通電を停止したとき、可動コア36およびニードル14は第1スプリング39の付勢力S1および燃圧閉弁力FPによって閉弁方向Z2へ迅速に移動する。
可動子60が全開弁状態から閉弁状態に向かって閉弁動作していくと、全開弁状態から可動子60が寸法(h1−h2)変位した時点で、可動コア36の下端面部が支持体80の反噴孔側端面に当接する。すなわち、可動子60が前述の所定中間位置に到達した時点で、可動コア36と支持体80とが当接する。これによって、閉状態に向かって変位を続ける可動子60の可動コア36とともに支持体80も変位を開始し、支持体80の鍔部82とストッパ90の鍔部92とが離れる。
支持体80がストッパ90から離れ可動コア36と当接しつつ変位することに伴い、支持体80を介する可動コア36への第2スプリング46の付勢力S2の付勢が回復され、可動子60に加わる力が、図3(B2)の状態から図3(B3)の状態へ変化する。可動子60に加わる付勢力S2は復活するものの、第1スプリング39の付勢力S1および燃圧閉弁力FPの和の方が充分に大きいため、閉弁方向の合成力を充分に確保することができ、可動子60は閉弁方向Z2へ確実に移動していく。
図3(B5)に示す閉位置にまで可動子60が変位し、ニードル14のシール部28が弁座29に着座すると、ニードル14は衝突の衝撃によって開弁方向Z1へ跳ね返ろうとする。ここで、可動コア36とニードル14とは相対移動可能であるため、ニードル14のシール部28が弁座29に着座しても、可動コア36は閉弁方向Z2へ向かう慣性力によって、そのまま閉弁方向Z2への移動を継続し、可動コア36とニードル14とは離れる。
そのため、ニードル14には第1スプリング39の付勢力S1および燃圧閉弁力FPが加わり、可動コア36には第2スプリング46の付勢力S2のみが加わる。したがって可動コア36とニードル14とが離れることによって、ニードル14に作用する合力が付勢力S1および燃圧閉弁力FPのみになり、ニードル14の開弁方向Z1への跳ね返りが防止される。
また、ニードル14のシール部28が弁座29に着座すると、噴孔側への燃料流れが停止し、燃圧閉弁力FPは激増して、可動子60に加わる力が図3(B4)に示す状態から図3(B5)に示す状態に変化する。これらにより、コイル34への通電を停止すると、燃料通路32と噴孔25との間の燃料の流れは遮断され、噴孔25からの燃料の噴射は迅速に停止される。したがって、不規則な燃料の噴射が低減され、噴孔25から噴射される燃料の噴射量を精密に制御することができる。
ニードル14が弁座29に衝突する時の衝撃力は、衝撃力に寄与する重量が低減されるため(ニードル14分の重量のみとなるため)小さくなる。このように衝撃力が小さいために、ニードル14は極めて跳ね返り難い。
また、ニードル14が着座すると、ニードル14に対して相対変位可能な可動コア36は、閉弁方向Z2への慣性力によって、可動コア36を開弁方向Z1に付勢する第2スプリング46の付勢力S2に打ち勝ち、さらに閉弁方向Z2に過剰に変位、いわゆるアンダーシュートする。
可動コア36がアンダーシュートして、可動コア36に加わる力が第2スプリング46の付勢力S2のみとなると、可動コア36は閉弁方向Z2への移動速度が減少し、アンダーシュート量が最大となった後、付勢力S2によって開弁方向Z1へ移動を開始する。一方、ニードル14は、第1スプリング39の付勢力S1および激増した燃圧閉弁力FPによってシール部28が弁座29に着座した状態である。付勢力S2によって開弁方向Z1へ移動する可動コア36は、ニードル14のストッパ27により移動が規制されて停止し、次の開弁動作が開始可能な閉弁状態となる。
上記の作動説明からも明らかなように、本実施形態のインジェクタ10では、支持体80およびストッパ90を設けることによって、第2スプリング46の付勢力S2は、可動子60の閉位置と全開位置との間の可動子変位域のうち、一部域である可動子60が閉位置と所定中間位置との間にあるときには可動子60に付勢され、可動子60が残部域である所定中間位置と全開位置との間にあるときには付勢されないようになっている。
弾性部材である第2スプリング46が、可動子60に対して反噴孔側に向かう開弁力を付勢する開弁力付勢弾性部材に相当し、支持部材である支持体80および規制部材であるストッパ90が、第2スプリング46による可動子60への付勢許可状態と付勢禁止状態とを切り替える付勢状態切替手段に相当する。また、第2スプリング46、支持体80およびストッパ90が、可動子60の変位域のうち一部域にあるときに可動子60を付勢する一時付勢手段に相当する。
上述の構成および作動によれば、インジェクタ10は、可動子60を常時閉弁方向に付勢する第1スプリング39と、可動子60が閉位置と所定中間位置との間にあるときのみ可動子60を開弁方向に付勢する第2スプリング46とを備えている。これにより、第1スプリング39および第2スプリング46の噴孔側に向かう(閉弁方向となる)付勢合力(付勢力の総和)は、可動子60が閉位置にあるときよりも全開位置にあるときの方が大きくなっている。
したがって、第2スプリング46が可動子60を常時開弁方向に付勢するインジェクタを比較例とした場合に、比較例のインジェクタに対し、コイルへの通電を中止して閉弁動作を開始する際の可動子60に加わる閉弁方向の合成力を増大させることができる。図3(B1)に示すように、白丸で示した比較例に対して、黒丸で示した本実施形態のインジェクタ10の方が、コイル通電オフ時の合成力を大きくすることができる。
このように、可動子60が全開弁位置にありコイルへの通電がオフされたときには、比較的大きい噴孔に向かう付勢力により、閉弁動作を速やかに開始することができ、閉弁応答性を向上することができる。
図4(a)にコイル34に印加される駆動パルス信号を示し、図4(b)に可動子60のリフト(変位)波形を示す。本実施形態によれば、比較例に対し、コイル通電オフ時から可動子閉弁動作開始まで時間遅れを抑制することができる。近年、内燃機関の燃費向上要求等よりインジェクタの最小噴射量をより小さくすることが求められているが、インジェクタの最小噴射量は、駆動パルス信号の通電時間(駆動時間)と燃料噴射量との関係が安定した範囲(例えば、図4(c)に示す直線性のある範囲)における最小噴射量の値により決まる。換言すれば、噴射量が通電時間に対して比例関係にある範囲における最小値により決まる(図4(c)参照)。
本実施形態によれば、コイル通電オフ時から可動子閉弁動作開始まで時間遅れを小さくすること、および、閉弁移動時間(全開位置から閉位置への可動子の移動時間)も短縮できることで、図4(c)に示すように、比較例よりも閉弁応答性を向上させてインジェクタの最小噴射量を確実に小さくすることができる。
燃料噴射弁の閉弁応答性を向上する技術として、可動子を閉弁方向に常時付勢するスプリングの付勢力を大きくする方法がある。しかしながら、閉弁状態から開弁動作を行うためには、スプリング付勢力と燃圧(燃料圧力)とにより決まる閉弁力は、磁気吸引力により決まる開弁力以下とする必要がある。すなわち、スプリング付勢力は磁気開弁力から燃圧閉弁力を減じた力以下に設定する必要があり、可動子を常時噴孔に向かって付勢するスプリングの付勢力は大きくし難い。また、磁気吸引力により決まる開弁力を大きくする方法も考えられるが、磁気回路となる構成の体格や駆動エネルギーの観点から磁気吸引力の増大化も困難であり、磁気吸引力を大きくできたとしても、磁気切れが悪くなり閉弁応答性を向上することは困難である。本実施形態によれば、比較的困難な上記の方法を用いなくとも、容易に開弁応答性を向上することができる。
また、支持体80とストッパ90とが、所定中間位置よりも反噴孔側に位置する(所定中間位置と全開位置との間に位置する)可動子60に対して、第2スプリング46の追従変形を禁止して、開弁方向の付勢力S2を付勢しないようになっている。したがって、可動子60が全開弁位置にあるときの噴孔側に向かう(閉弁方向の)付勢合力を容易かつ確実に増大させることができる。
また、第2スプリング46はコイルスプリングであり、支持体80は、第2スプリング46の反噴孔側端部を全周に亘って支持している。したがって、支持体80で第2スプリング46の反噴孔側端部を安定して支持し、可動子60が閉位置と所定中間位置との間にある場合には、第2スプリング46を可動子60に確実に追従変形させ、可動子60が所定中間位置と全開位置との間にある場合には、第2スプリング46の可動コア追従変形を確実に禁止することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について図5および図6に基づいて説明する。
本第2の実施形態は、前述の第1の実施形態と比較して、ニードルと可動コアとが一体となった可動子を採用するとともに、閉弁力を付勢するスプリングを可動子一時付勢手段に用いた点が異なる。なお、第1の実施形態と同様の部分については、同一の符号をつけ、その説明を省略する。
図5に閉弁状態の要部構成を示すように、本実施形態では、ニードル14を可動コア36の噴孔側に例えば圧入及び溶接により固定して可動子60を構成している。なお、本実施形態の可動子60では、燃料の流入孔30および連通孔31は可動コア36に形成している。
また、本実施形態では、第1の実施形態で採用していた第2スプリング46を用いておらず、固定コア35と可動コア36との間に弾性部材である第2スプリング146を設けている。第2スプリング146はコイルスプリングからなり、下端面部49から固定コア35の軸方向Zの一部に延設された(掘り込まれた)凹部95(筒状の固定コア35の噴孔側部に設けられた内径拡大部)内に設けられており、第1スプリング39の外周側に配設されている。
第2スプリング146の噴孔側端部は、全周に亘って可動コア36の反噴孔側の端面(本例では上端面部45の凸部51)に接触可能となっており、第2スプリング146の反噴孔側端部は、全周に亘って凹部95の底面(図示上面)に相当する段差面部96に接触可能となっている。
図5に示すように、閉弁状態では、第2スプリング146の自由長は、可動コア36の反噴孔側の端面と固定コア35の段差面部96との軸方向Zの間隔よりも短くなっており、その差(図5に示す間隔h2)が、閉弁状態における固定コア35下端面部49と可動コア36上端面の凸部51との軸方向Zの間隔h1よりも小さくなるように設定されている。すなわち、間隔h1で決まる閉弁状態からの可動子60の全変位可能量よりも、間隔h2で決まる閉弁状態からの第2スプリング146の圧縮が開始されるまでの可動子60の変位可能量(第2スプリング146を圧縮することなく可動子60が変位可能な量)の方が小さくなっている。
図6に、上述の構成のインジェクタ10が作動する際に、可動子60に加わる力の関係を示す。図6では、第1の実施形態における図3と同様に、コイルへの通電時および非通電時に可動子60に加わる各力を矢印で示し、それらの力の合成力を黒丸で示している。また、図6の(A1)〜(A5)、(B1)〜(B5)も、図3の場合と同様の状態を示している。
コイル通電時には可動子60が閉弁状態(閉状態、閉位置)から全開弁状態(全開状態、全開位置)に向かって変位するので、可動子60に加わる力の状態は、図6上段に示すように(A1)状態から(A5)状態に向かって変化する。また、コイル非通電時には可動子60が全開弁状態(全開状態)から閉弁状態(閉状態)に向かって変位するので、可動子60に加わる力の状態は、図6下段に示すように(B1)状態から(B5)状態に向かって変化する。
図6からも明らかなように、本実施形態のインジェクタ10では、閉弁時にフリー(非圧縮状態)となり、全開弁時に圧縮状態となる第2スプリング146を設けることによって、第2スプリング146の付勢力S2は、可動子60の閉位置と全開位置との間の可動子変位域のうち、一部域である可動子60が所定中間位置と全開位置との間にあるときには可動子60に閉弁方向に付勢され、可動子60が残部域である閉位置と所定中間位置との間にあるときには付勢されないようになっている。
弾性部材である第2スプリング146が、可動子60に対して噴孔側に向かう閉弁力を付勢する閉弁力付勢弾性部材に相当し、第2スプリング146の圧縮状態と非圧縮状態とを切り替える、可動コア36の反噴孔側の端面(本例では上端面部45の凸部51)および固定コア35の段差面部96が、第2スプリング146による可動子60への付勢許可状態と付勢禁止状態とを切り替える付勢状態切替手段に相当する。また、第2スプリング146、可動コア36の反噴孔側の端面(本例では上端面部45の凸部51)および固定コア35の段差面部96が、可動子60の変位域のうち一部域にあるときに可動子60を付勢する一時付勢手段に相当する。
上述の構成および作動によれば、本実施形態のインジェクタ10は、可動子60を常時閉弁方向に付勢する第1スプリング39と、可動子60が所定中間位置と全開位置との間にあるときのみ可動子60を閉弁方向に付勢する第2スプリング146とを備えている。これにより、第1スプリング39および第2スプリング146の噴孔側に向かう(閉弁方向となる)付勢合力(付勢力の総和)は、可動子60が閉位置にあるときよりも全開位置にあるときの方が大きくなっている。
したがって、第2スプリング146を有しないインジェクタを比較例とした場合に、比較例のインジェクタに対し、コイルへの通電を中止して閉弁動作を開始する際の可動子60に加わる閉弁方向の合成力を増大させることができる。図6(B1)に示すように、白丸で示した比較例に対して、黒丸で示した本実施形態のインジェクタ10の方が、コイル通電オフ時の合成力を大きくすることができる。
このように、可動子60が全開弁位置にありコイルへの通電がオフされたときには、比較的大きい噴孔に向かう付勢力により、閉弁動作を速やかに開始することができ、閉弁応答性を向上することができる。
また、可動子60が所定中間位置よりも噴孔側に位置する(閉位置と所定中間位置との間に位置する)ときには、可動コア36の反噴孔側端面および固定コア35の段差面部96の少なくともいずれかが第2スプリング146から離れて非圧縮状態を形成し、第2スプリング146が可動子60に閉弁方向の付勢力S2を付勢しないようになっている。したがって、容易かつ確実に、第1スプリング39および第2スプリング146の噴孔に向かう付勢合力が、可動子60が閉位置にあるときよりも全開位置にあるときの方を大きくなるようにすることができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能である。
上記第1の実施形態では、コイルスプリングからなる開弁力付勢弾性部材としての第2スプリング46の反噴孔側端部を全周に亘って支持する支持体80と、可動子60が所定中間位置にあるときよりも支持体80が反噴孔側に移動することを規制するストッパ90とで付勢状態切替手段を構成していたが、付勢状態の切り替えはこれに限定されるものではない。
例えば、図7に示すように、可動コア36とは別体の支持体80を設けずに、可動コア36の噴孔側に突出部361を設け、この突出部361の先端面(噴孔側面)で第2スプリング46の反噴孔側端部の周方向の一部を支持するものであってもよい。図8に図7のVIII−VIII線断面図を示すように、例えば、突出部361の横断面(軸方向Zに直交する断面)の形状を略三角形状とすることにより、突出部361の先端面で第2スプリング46の反噴孔側端部の周方向の一部を支持することができる。
一方、図8に示すように、規制部材であるストッパ90は、鍔部92を、突出部361と干渉しないように突出部361の形状に対応して中心に略三角形状の孔を形成するように設け、可動子60が所定中間位置と全開位置との間にあるときには、ストッパ90の鍔部92により、第2スプリング46の反噴孔側端部の周方向の残部を支持するものであってもよい。
図7に示す閉弁状態において、ストッパ90鍔部92の下端面(噴孔側面)と可動コア36突出部361の先端面(噴孔側面)との間隔h2が、可動子60の閉位置から所定中間位置までの変位量を決めることになる。
すなわち、開弁力付勢弾性部材である第2スプリング46がコイルスプリングからなり、可動子60が閉位置と所定中間位置との間にある場合には、第2スプリング46の反噴孔側端部の周方向の一部を可動コア36が支持するようになっており、可動子60が所定中間位置と全開位置との間にある場合には、第2スプリング46の反噴孔側端部の周方向の残部をストッパ90で支持して、可動子60が所定中間位置にあるときよりも第2スプリング46の反噴孔側端部が反噴孔側に移動することを規制する規制部材としてのストッパ90を付勢状態切替手段とするものであってもよい。
これによると、可動子60が閉位置と所定中間位置との間にある場合には、第2スプリング46の反噴孔側端部の周方向の一部を可動コア36で支持して、開弁力付勢弾性部材である第2スプリング46を可動コア36に追従変形させ、可動子60が所定中間位置と全開位置との間にある場合には、第2スプリング46の反噴孔側端部の周方向の残部を規制部材であるストッパ90で支持して、開弁力付勢弾性部材である第2スプリング46の可動コア36追従変形を禁止することができる。
したがって、第2スプリング46の反噴孔側端部を支持する専用の支持部材(第1の実施形態における支持体80)が不要であり、第2スプリング46の可動コア36への追従変形許可および追従変形禁止を容易に切り替えることができる。また、専用の支持部材を不要としたことで、付勢状態切替手段を構成する部品点数を削減することができ、付勢状態を切り替える所定中間位置を精度よく設定することができる。
また、上記第1の実施形態では、ニードル14と可動コア36とが相対移動可能な可動子60を採用し、第2スプリング46を開弁力付勢弾性部材として設け、上記第2の実施形態では、ニードル14が可動コア36に固定された可動子60を採用し、第2スプリング146を閉弁力付勢弾性部材として設けていたが、これらに限定されるものではなく、組み合わせを変更することも可能である。
例えば、図9に示すように、ニードル14が可動コア36に固定された可動子60を採用し、第2スプリング46を開弁力付勢弾性部材として設けるものであってもよいし、図10に示すように、ニードル14と可動コア36とが相対移動可能な可動子60を採用し、第2スプリング146を閉弁力付勢弾性部材として設けるものであってもよい。図10に例示したインジェクタでは、ニードル14と可動コア36とが相対移動可能であるので、ニードル14を閉弁方向に常時付勢する第1スプリング39と可動コア36を開弁方向に常時付勢する第3スプリング246とで常時付勢手段を構成することが好ましい。
また、上記各実施形態では、弾性部材である第2スプリング46、146にコイルスプリングを用いていたが、開弁力もしくは閉弁力を付勢できるものであれば、コイルスプリング以外の弾性部材であってもかまわない。また、上記第1の実施形態では、第2スプリング46を可動コア36の噴孔側に設けて開弁力付勢弾性部材とし、上記第2の実施形態では、第2スプリング146を可動コア36の反噴孔側に設けて閉弁力付勢弾性部材としていたが、配設位置もこれらに限定されるものではない。
また、上記第1の実施形態では、可動コア36に連通路53を設け、上記第2の実施形態では、可動コア36に連通路を設けていなかったが、可動コアの連通路の有無に係わらず、本発明を適用して有効である。
また、上記各実施系形態では、閉弁時のスプリング力を比較例として示したような従来品と同等に設定した場合について説明したが、全開時のスプリング力を従来品と同等に設定してもよく、その場合は閉弁応答性は従来品と同等のままだが、開弁開始時のスプリング力を小さく設定できるため、開弁応答性の向上やより高い燃圧力での使用が可能となるメリットがある。
また、上記各実施形態では、筒部材11、ノズルホルダ13およびノズルボディ24でハウジングを構成するものとしていたが、これに限定されるものではなく、例えば2部材以下もしくは4部材以上でハウジングを構成するものであってもよい。
また、上記一実施形態では、インジェクタ10は、直噴式のガソリンエンジンに適用されるものとしていたが、直噴式のガソリンエンジンに限るものではなく、ポート噴射式のガソリンエンジン、またはディーゼルエンジンなどに適用してもよい。
10 インジェクタ(燃料噴射弁)
11 筒部材(ハウジングの一部)
13 ノズルホルダ(ハウジングの一部)
14 ニードル(弁部材、可動子の一部)
24 ノズルボディ(ハウジングの一部)
25 噴孔
34 コイル
35 固定コア
36 可動コア(可動子の一部)
39 第1スプリング(常時付勢手段)
46 第2スプリング(コイルスプリング、弾性部材、開弁力付勢弾性部材、一時付勢手段の一部)
60 可動子
80 支持体(支持部材、付勢状態切替手段の一部、一時付勢手段の一部)
90 ストッパ(規制部材、付勢状態切替手段の一部、一時付勢手段の一部)
146 第2スプリング(コイルスプリング、弾性部材、閉弁力付勢弾性部材、一時付勢手段の一部)

Claims (4)

  1. 燃料が噴射される噴孔が形成されたハウジングと、
    前記ハウジング内に設けられ、往復変位することによって前記噴孔を開閉して前記噴孔からの燃料の噴射を断続する弁部材と、前記弁部材とともに変位する可動コアと、を有する可動子と、
    前記ハウジング内の前記可動コアより反噴孔側に固定された固定コアと、
    通電されることによって前記固定コアに前記可動コアを吸引する磁力を発生するコイルと、
    前記可動子を前記噴孔に向かって常に付勢する常時付勢手段と、を備え、
    前記常時付勢手段の付勢力によって前記弁部材が前記噴孔を閉じる閉位置と、前記磁力によって前記可動コアが前記固定コアに当接して前記弁部材が前記噴孔を全開する全開位置との間を、前記可動子が変位する燃料噴射弁であって、
    前記閉位置と前記全開位置との間の前記可動子の変位域のうち前記可動子が一部域にあるときに前記可動子を付勢する一時付勢手段を備え、
    前記常時付勢手段および前記一時付勢手段の前記噴孔に向かう付勢合力は、前記閉位置よりも前記全開位置の方が大きく、
    前記一時付勢手段は、
    前記可動子を付勢する付勢力を発生する弾性部材と、
    前記可動子が前記変位域のうち前記一部域にあるときには前記弾性部材による前記可動子への付勢を許可する付勢許可状態とし、前記可動子が前記変位域のうち残部域にあるときには前記弾性部材による前記可動子への付勢を禁止する付勢禁止状態とする付勢状態切替手段と、を有し、
    前記弾性部材は、前記可動子に対して反噴孔側に向かう開弁力を付勢する開弁力付勢弾性部材であり、
    前記付勢状態切替手段は、
    前記可動子が、前記閉位置と、前記閉位置と前記全開位置との間の所定中間位置との間にある場合には、前記開弁力付勢弾性部材を前記付勢許可状態とし、
    前記可動子が、前記所定中間位置と前記全開位置との間にある場合には、前記開弁力付勢弾性部材を前記付勢禁止状態とすることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記開弁力付勢弾性部材は、前記ハウジング内の前記噴孔と前記可動コアとの間に設けられて、前記可動コアに対して反噴孔側に向かう開弁力を付勢するようになっており、
    前記付勢状態切替手段は、前記所定中間位置よりも反噴孔側に位置する前記可動コアに対する前記開弁力付勢弾性部材の追従変形を禁止して、前記可動子が前記所定中間位置と前記全開位置との間にある場合に、前記開弁力付勢弾性部材を前記付勢禁止状態とすることを特徴とする請求項に記載の燃料噴射弁。
  3. 前記開弁力付勢弾性部材はコイルスプリングからなり、
    前記付勢状態切替手段は、前記コイルスプリングの反噴孔側端部を全周に亘って支持する支持部材と、前記可動子が前記所定中間位置にあるときよりも前記支持部材が反噴孔側に移動することを規制する規制部材と、を有することを特徴とする請求項に記載の燃料噴射弁。
  4. 前記開弁力付勢弾性部材はコイルスプリングからなり、
    前記可動子が前記閉位置と前記所定中間位置との間にある場合には、前記コイルスプリングの反噴孔側端部の周方向の一部を前記可動コアが支持するようになっており、
    前記付勢状態切替手段は、前記可動子が前記所定中間位置と前記全開位置との間にある場合に、前記コイルスプリングの反噴孔側端部の周方向の残部を支持して、前記可動子が前記所定中間位置にあるときよりも前記コイルスプリングの反噴孔側端部が反噴孔側に移動することを規制する規制部材を有することを特徴とする請求項に記載の燃料噴射弁。
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