JP6028877B2 - 燃料噴射弁および燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁力で開弁させる方式の燃料噴射弁に関する。
特許文献1には、コイルへの通電により電磁力を生じさせる固定コアと、上記電磁力により吸引される可動コアと、吸引される可動コアとともに移動して噴孔を開弁する弁体と、を備える燃料噴射弁が記載されている。弁体には、スプリングの弾性力および燃料圧力が閉弁方向に付与されており、コイルへの通電による吸引力(開弁力)が弾性力および燃圧による閉弁力よりも大きくなると、弁体は開弁作動を開始する。
特開2011−214536号公報
ここで、コイルへ通電して弁体を開弁作動させると、吸引された可動コアは固定コアに衝突することとなる。この衝突速度が速いと、衝突した可動コアが固定コア上で弾む、といったバウンス現象が生じる。すると、コイルへの通電時間tiと噴射量qとの関係を表したti−q特性線にうねりが生じることとなり、噴射量にバラツキが生じる。また、上記衝突速度が速いと、可動コアおよび固定コアの損傷が懸念されるようになる。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたもので、その目的は、可動コアの衝突速度緩和を図った燃料噴射弁および燃料噴射装置を提供することにある。
開示されたひとつの発明は上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、開示された発明の技術的範囲を限定するものではない。
さて、可動コアの衝突速度を緩和させるには、衝突時の閉弁力を大きくすればよい。しかし、燃圧閉弁力の大きさは、閉弁時が最大であり、弁体の開弁移動量が大きくなるに連れて徐々に小さくなっていき、衝突時に最小となる。その理由を以下に説明する。弁体のシート面よりも下流側部分には、閉弁時には燃圧がかからないので、その分だけ燃圧閉弁力が大きくなるが、開弁とともに上記下流側部分に燃料が流れ込むと、その下流側部分にて反閉弁側にかかる燃圧が増大していく。そのため、燃圧閉弁力は弁体の開弁移動に伴い徐々に小さくなる。このことが衝突速度を増長させる要因の一つであるとの知見に基づき、本発明者らは、以下の第1および第2の発明を想起した。
(第1の発明)
開示された発明の一つは、内燃機関の燃焼室(2)へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁であって、磁束を生じさせるコイル(13)と、磁束の通路となる磁気回路の一部を形成して電磁力を生じさせる固定コア(14)と、電磁力により吸引される可動コア(15)と、吸引される可動コアとともに移動して噴孔を開弁する弁体(12)と、弁体の移動に伴い弾性変形して、その弾性力を弁体へ閉弁方向に付与する弾性力付与手段(SP1、SP2)と、を備える。
そして、燃料圧力により弁体を閉弁方向へ押し付ける力である燃圧閉弁力のうち、弁体が閉弁している時の燃圧閉弁力を「Ffc」、弁体が最大開弁位置に移動した時の燃圧閉弁力を「Ffo」と定義し、弁体による閉弁位置から最大開弁位置までの移動距離を「L」、弾性力付与手段の弾性係数を「K」と定義した場合において、Ffc−Ffo≦L×Kとの条件を満たすように弾性係数が設定されていることを特徴とする。
要するに本発明では、Ffc−Ffo≦L×Kとの条件を満たすように弾性係数Kを設定する。この条件式の左辺は、閉弁時から最大開弁時までに燃圧閉弁力が減少する量を表しており、右辺は、閉弁時から最大開弁時までに弾性力が増大する量を表す。つまり、この条件式は、弾性力の増大量(L×K)が燃圧閉弁力の減少量(Ffc−Ffo)以上であることを意味する。そのため、燃圧閉弁力の減少量が弾性力の増大量により補われることになるので、衝突時の燃圧閉弁力低下を抑制でき、ひいては可動コアの衝突速度を低減できる。よって、可動コアのバウンスを抑制して噴射量バラツキを低減でき、また、可動コアおよび固定コアの損傷を抑制できる。
(第2の発明)
開示された発明の一つは、内燃機関の燃焼室(2)へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁であって、磁束を生じさせるコイル(13)と、磁束の通路となる磁気回路の一部を形成して電磁力を生じさせる固定コア(14)と、電磁力により吸引される可動コア(15)と、吸引される可動コアとともに移動して噴孔を開弁する弁体(12)と、弁体の移動に伴い弾性変形して、その弾性力を弁体へ閉弁方向に付与する弾性力付与手段(SP1、SP2)と、を備える。
そして、燃料圧力により弁体を閉弁方向へ押し付ける力である燃圧閉弁力のうち、最大開弁位置よりも閉弁側の所定位置に弁体がある時の燃圧閉弁力を「Ffx」と定義し、弁体による閉弁位置から所定位置までの移動距離を「Lx」、弁体による閉弁位置から最大開弁位置までの移動距離を「L」、弾性力付与手段の弾性係数を「K」と定義した場合において、弁体の開弁作動に伴い移動距離がLxからLになるまでの間、Ffx+Lx×Kの値が上昇し続ける、との条件を満たすように弾性係数Kが設定されていることを特徴とする。
ここで、Ffxは、移動距離がLxの時点における燃圧閉弁力であり、Lx×Kは、移動距離がLxの時点における弾性力である。したがって、本発明に係る「Ffx+Lx×Kの値」とは、移動距離がLxの時点における燃圧閉弁力と弾性力とを合算した閉弁合力である。よって、本発明によれば、最大開弁位置になるまでの間、閉弁合力が上昇し続けることになるので、衝突時の燃圧閉弁力低下を抑制でき、ひいては可動コアの衝突速度を低減できる。よって、可動コアのバウンスを抑制して噴射量バラツキを低減できる。また、可動コアおよび固定コアの損傷を抑制できる。
本発明の第1実施形態にかかる燃料噴射弁の搭載状態を示す図。 第1実施形態において、燃料噴射弁の全体構造を示す断面図。 図2の拡大図であって、弁体のシート面の形状を示す断面図。 図2の拡大図であって、磁気回路を示す断面図。 第1実施形態において、メインスプリングおよびサブスプリングによる弾性力Fs1、Fs2の変化を表す図。 第1実施形態において、燃料噴射弁にかかる閉弁力の変化を表す図。 第1実施形態にて噴射制御を実施した場合における、コイルへの印加電圧、コイル電流および電磁吸引力の、時間経過に伴い生じる変化を示す図。 本発明の第2実施形態において、弁体のシート面の形状を示す断面図。
以下、本発明にかかる燃料噴射弁の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
(第1実施形態)
図1に示す燃料噴射弁10は、点火式の内燃機関(ガソリンエンジン)に搭載されており、内燃機関の燃焼室2へ直接燃料を噴射するものである。具体的には、燃焼室2を形成するシリンダヘッド3のうちシリンダの軸線Cと一致する位置に、燃料噴射弁10を挿入する取付穴4が形成されている。燃料噴射弁10へ供給される燃料は燃料ポンプPにより圧送され、燃料ポンプPは内燃機関により駆動する。
図2に示すように、燃料噴射弁10は、ボデー11、弁体12、コイル13、固定コア14、可動コア15、ハウジング16等を備えて構成されている。ボデー11は、内部に燃料通路11aが形成されるよう、金属製の磁性材料にて形成されている。ボデー11は、弁体12が離着座する着座面17b、および燃料を噴射する噴孔17aを形成する。
図3を用いてより詳細に説明すると、ボデー11は、着座面17bが形成された噴孔体17、および噴孔17aが形成された噴孔プレート17pを有して構成されている。弁体12のうち着座面17bに着座する部分がシート面12aである。具体的には、弁体12の本体部12bと先端部12cとの境界線が、着座面17bに着座するシート面12aとして機能する。本体部12bは軸線C方向に延びる円柱形状であり、先端部12cは、本体部12bの噴孔側先端から噴孔17aに向けて延びる円錐形状である。要するに、円柱と円錐の境界線である角部が、軸線C周りに延びる環状のシート面12aに相当する。
シート面12aを着座面17bに着座させるよう弁体12を閉弁作動させると、噴孔17aからの燃料噴射が停止される。シート面12aを着座面17bから離座させるよう弁体12を開弁作動(リフトアップ)させると、噴孔17aから燃料が噴射される。
コイル13は、樹脂製のボビン13aに巻き回して構成され、該ボビン13aと樹脂材13bにより封止されている。つまり、コイル13、ボビン13a、樹脂材13bにより、円筒形状のコイル体が構成されている。
固定コア14は、金属製の磁性材料にて円筒形状に形成され、円筒内部に燃料通路14aを形成する。ボデー11の内周面には固定コア14が挿入され、ボデー11の外周面にはボビン13aが挿入されている。さらに、コイル13を封止する樹脂材13bの外周面は、ハウジング16により覆われている。ハウジング16は、金属製の磁性材料にて円筒形状に形成されている。なお、ハウジング16の開口端部には、金属製の磁性材料にて形成される蓋部材18が取り付けられている。これにより、コイル体は、ボデー11、ハウジング16および蓋部材18により取り囲まれることとなる。
可動コア15は、金属製の磁性材料にて円盤形状に形成され、ボデー11の内周面に挿入配置されている。なお、ボデー11、弁体12、コイル体、固定コア14、可動コア15およびハウジング16は、各々の中心線が一致するように配置されている。そして、可動コア15は、固定コア14に対して噴孔17aの側に配置されており、コイル13への非通電時には固定コア14と所定のギャップを有するよう、固定コア14に対向配置されている。
コイル13へ通電して固定コア14に電磁吸引力(電磁力)を生じさせると、この電磁吸引力により可動コア15が固定コア14に引き寄せられる。その結果、可動コア15に連結されている弁体12は、後述するメインスプリングSP1の弾性力および燃圧閉弁力に抗してリフトアップ(開弁作動)する。一方、コイル13への通電を停止させると、メインスプリングSP1の弾性力により、弁体12は可動コア15とともに閉弁作動する。
図4は、図2の拡大図であるとともに、シリンダヘッド3の取付穴4へ燃料噴射弁10を挿入して取り付けた状態を示す。先述の如くコイル体を取り囲むボデー11、ハウジング16、蓋部材18および固定コア14は、磁性材料により形成されるため、コイル13への通電により生じた磁束の通路となる磁気回路を形成することとなる。つまり、図中の矢印に示すように磁気回路中を磁束が流れる。
なお、ハウジング16のうちコイル13を収容する領域の部分をコイル領域部16aと呼ぶ。また、ハウジング16のうち磁気回路を形成する領域の部分を磁気回路領域部16bと呼ぶ。換言すれば、挿入方向(図4の上下方向)のうち、蓋部材18の反噴孔側(図4の上側)の端面位置が、磁気回路領域部16bの反噴孔側の領域境界である。図4の例では、磁気回路領域部16bのうち挿入方向(図4の上下方向)の全体が、全周に亘って、取付穴4の内周面4aにより囲まれている。そして、シリンダヘッド3のうち磁気回路を全周に亘って取り囲んでいる部分が、「環状導電部3a(内燃機関の所定箇所)」に相当する。
図1に示すように、ボデー11のうちハウジング16よりも噴孔側に位置する部分の外周面は、取付穴4の内周面4bに接触している。これに対し、ハウジング16の外周面は、取付穴4の内周面4aとの間に隙間CLを形成している(図4参照)。換言すれば、磁気回路領域部16bの外周面と取付穴4の内周面4aとは、隙間CLを隔てて対向する。
図2の説明に戻り、可動コア15には貫通孔15aが形成されており、この貫通孔15aに弁体12が挿入配置されることで、弁体12は可動コア15に対して摺動して相対移動可能に組み付けられている。弁体12の反噴孔側端部には係止部12dが形成されている。可動コア15が固定コア14に吸引されて移動する際には、係止部12dが可動コア15に係止された状態で移動するので、可動コア15の移動に伴い弁体12も移動(開弁作動)する。但し可動コア15が固定コア14に接触した状態であっても、弁体12は可動コア15に対して相対移動してリフトアップすることが可能である。
弁体12の反噴孔側にはメインスプリングSP1が配置され、可動コア15の噴孔側にはサブスプリングSP2が配置されている。これらのスプリングSP1、SP2はコイル状であり、軸線C方向に変形して弾性変形する。メインスプリングSP1の弾性力(メイン弾性力Fs1)は、調整パイプ101からの反力として弁体12へ閉弁方向に付与される。サブスプリングSP2の弾性力(サブ弾性力F2)は、ボデー11の凹部11bからの反力として可動コア15へ吸引方向に付与される。
要するに、弁体12は、メインスプリングSP1と着座面17bとの間に挟まれており、可動コア15は、サブスプリングSP2と係止部12dとの間に挟まれている。そして、サブスプリングSP2の弾性力F2は、可動コア15を介して係止部12dに伝達され、弁体12へ開弁方向に付与されることとなる。したがって、メイン弾性力Fs1からサブ弾性力Fs2を差し引いた弾性力Fsが、弁体12へ閉弁方向に付与されているとも言える。なお、メインスプリングSP1およびサブスプリングSP2が「弾性力付与手段」に相当する。
図5の横軸は、弁体12の開弁移動量(ストローク)を示し、閉弁時の弁体12位置をストロークゼロとしている。図5の縦軸は弁体12に付与される弾性力を示しており、プラス側が閉弁力、マイナス側が開弁力である。そして、弁体12がリフトアップすると、メインスプリングSP1については圧縮量(弾性変形量)が増大するので、図中の実線Fs1に示すように増大する。
一方、サブスプリングSP2については、弁体12がリフトアップすると圧縮量(弾性変形量)が減少するので、図中の実線Fs2に示すようにリフトアップに伴いサブ弾性力Fs2が減少する。図中の一点鎖線は、両弾性力Fs1、Fs2を合成した弾性力Fs(=Fs1+Fs2)を示す。|Fs1|>|Fs2|であるため合成弾性力Fsは閉弁側に作用する。また、リフトアップに伴い合成弾性力Fsは増大する。
この合成弾性力Fsは、弾性力付与手段SP1、SP2の弾性力に相当し、合成弾性力Fsの弾性係数Kは、メインスプリングSP1の弾性係数K1とサブスプリングSP2の弾性係数K2とを合成したものである。なお、リフトアップに伴いメイン弾性力Fs1は増大してサブ弾性力Fs2は減少するので、K1が大きいほどKは大きくなり、K2が小さいほどKは大きくなるように合成されている。
図5に示すように、閉弁時(ストローク=0)におけるメイン弾性力Fs1(セット荷重Fset1)は、閉弁時におけるサブ弾性力Fs2(セット荷重Fset2)よりも大きい。したがって、閉弁時の合成弾性力Fsはセット荷重Fset1よりも小さい。図4および図2に示すように、固定コア14の円筒内部には、調整パイプ101が取り付けられており、その取付位置を調整することで、メインスプリングSP1のセット荷重Fset1を調整可能にしている。
なお、図中の符号102は、コイル13へ電力供給するためのターミナルを示す。図4中の矢印に示すように、磁気回路が環状導電部3aに取り囲まれることとなる。そのため、コイル13へ電流を流して磁気回路で磁束変化が生じると、その磁束変化に伴い導電体(つまりシリンダヘッド)に渦電流が生じる。この渦電流は図4の紙面垂直方向に流れている。
図6の横軸は、図5と同様にストロークを示し、縦軸は、弁体12に付与される閉弁力を示す。図中の実線Fsは図5に示す合成弾性力Fsであり、実線Ffは、燃料圧力により弁体12を閉弁方向へ押し付ける力(燃圧閉弁力Ff)を示す。
ここで、燃料通路11a内の燃料の圧力は弁体12の表面全体にかかっているが、閉弁側に弁体12を押す力の方が、開弁側に弁体12を押す力よりも大きい。よって、燃圧により弁体12は閉弁方向へ押し付けられる。但し、閉弁時には、弁体12のうちシート面12aよりも下流側部分(先端部12c)の面については、閉弁時には燃圧がかからない。そして、開弁とともに、先端部12cに流れ込む燃料の圧力が徐々に上昇して、先端部12cを開弁側に押す力が増大する。したがって、開弁とともに先端部12c近傍の燃圧が上昇し、その結果、燃圧閉弁力Ffが低下していく。以上の理由により、燃圧閉弁力の大きさは、閉弁時が最大であり、弁体12の開弁移動量が大きくなるに連れて徐々に小さくなっていく。
図中の一点鎖線は、合成弾性力Fsおよび燃圧閉弁力Ffを合成した閉弁合力F(=Ff+Fs)を示す。そして、閉弁時の燃圧閉弁力Ffおよび合成弾性力Fsを「Ffc」「Fsc」、弁体12が最大開弁位置に移動した時の燃圧閉弁力Ffおよび合成弾性力Fsを「Ffo」「Fso」、弁体12による閉弁位置から最大開弁位置までの移動距離を「L」、所定位置までの移動距離を「Lx」、最大開弁位置よりも閉弁側の所定位置に弁体12がある時の燃圧閉弁力を「Ffx」、弁体12による閉弁位置から、閉弁時の合成弾性力を「Fsc」、と定義する。
この定義において、以下の条件1、条件2、条件3を満たすように弾性係数K1、K2は設定されている。条件1はFfc−Ffo≦L×Kである。条件2は、移動距離がLxからLになるまでの間、F(=Ffx+Lx×K)の値が上昇し続けることである。条件3はFsc≧Ffcである。
ここで、燃圧閉弁力Ffは、燃料ポンプPから燃料噴射弁10へ供給される燃料圧力(供給燃圧)に応じて変化するが、燃料ポンプPは内燃機関により駆動するため、内燃機関の機関回転速度Neに応じて燃圧閉弁力Ffは変化すると言える。そして、先述した条件1および条件2は、内燃機関のアイドル運転時の燃圧閉弁力において満たされるように、弾性係数K1、K2は設定されている。また、機関回転速度Neが所定値以上となっている高速運転時の燃圧閉弁力においては条件1および条件2が満たされないよう、弾性係数K1、K2は設定されている。
図1の説明に戻り、電子制御装置(ECU20)は、特許請求の範囲に記載の「制御手段」に相当するものであり、マイクロコンピュータ(マイコン21)、集積IC22、昇圧回路23、スイッチング素子SW2、SW3、SW4等を備える。燃料噴射装置は、燃料噴射弁10およびECU20を備える。
マイコン21は、中央演算装置、不揮発性メモリ(ROM)および揮発性メモリ(RAM)等を有して構成され、内燃機関の負荷および機関回転速度に基づき、燃料の目標噴射量および目標噴射開始時期を算出する。なお、通電時間Tiと噴射量qとの関係を示す噴射特性を予め試験して取得しておき、その噴射特性にしたがってコイル13への通電時間Tiを制御することで、噴射量qを制御する。図中の符号t1は通電開始時期、t5は通電停止時期を示す。
集積IC22は、スイッチング素子SW2、SW3、SW4の作動を制御する噴射駆動回路22a、および昇圧回路23の作動を制御する充電回路22bを有する。これらの回路22a、22bは、マイコン21から出力された噴射指令信号に基づき作動する。噴射指令信号は、燃料噴射弁10のコイル13への通電状態を指令する信号であり、先述した目標噴射量および目標噴射開始時期と、後述するコイル電流検出値Iとに基づき、マイコン21により設定される。噴射指令信号には、後述する噴射信号、ブースト信号およびバッテリ信号が含まれている。
昇圧回路23は、コイル23a、コンデンサ23b、ダイオード23cおよびスイッチング素子SW1を有する。スイッチング素子SW1がオン作動とオフ作動を繰り返すように充電回路22bがスイッチング素子SW1を制御すると、バッテリ端子Battから印加されるバッテリ電圧がコイル23aにより昇圧(ブースト)されて、コンデンサ23bに蓄電される。このように昇圧されて蓄電された電力の電圧が「ブースト電圧」に相当する。
そして、噴射駆動回路22aがスイッチング素子SW2、SW4をともにオン作動させると、燃料噴射弁10のコイル13へブースト電圧が印加される。一方、スイッチング素子SW2をオフ作動させてスイッチング素子SW3をオン作動させるように切り替えると、燃料噴射弁10のコイル13へバッテリ電圧が印加される。なお、コイル13への電圧印加を停止させる場合には、スイッチング素子SW2、SW3、SW4をオフ作動させる。なお、ダイオード24は、スイッチング素子SW2のオン作動時に、ブースト電圧がスイッチング素子SW3に印加されることを防止するためのものである。
シャント抵抗25は、スイッチング素子SW4を流れる電流、つまりコイル13を流れる電流(コイル電流)を検出するためのものであり、マイコン21は、シャント抵抗25で生じた電圧降下量に基づき、先述したコイル電流検出値Iを検出する。
次に、コイル電流を流すことにより生じる電磁吸引力(開弁力)について、詳細に説明する。
固定コア14で生じさせる起磁力(アンペアターンAT)が大きいほど、電磁吸引力は大きくなる。つまり、コイル13の巻き数が同じであれば、コイル電流を多くしてアンペアターンATを大きくするほど(AT2>AT1)、電磁吸引力は大きくなる。但し、通電を開始してから吸引力が飽和して最大値になるまでには時間がかかる。本実施形態では、このように飽和して最大値になった時の電磁吸引力を、静的吸引力Fbと呼ぶ。
また、弁体12が開弁作動を開始するのに必要な電磁吸引力を、必要開弁力Faと呼ぶ。なお、燃料噴射弁10に供給される燃料の圧力が高いほど、弁体12が開弁作動を開始するのに必要な電磁吸引力(必要開弁力)は大きくなる。また、燃料の粘性が大きい場合等、各種状況に応じて必要開弁力は大きくなる。そこで、必要開弁力が最も大きくなる状況を想定した場合の必要開弁力の最大値を、必要開弁力Faと定義する。
図7(a)は、燃料噴射を1回実施する場合における、コイル13への印加電圧波形を示す。図示されるように、噴射指令信号により指令される電圧印加開始時期t1に、ブースト電圧を印加して通電を開始させている。すると、通電開始に伴いコイル電流が第1目標値I1まで上昇する(図7(b)参照)。そして、先述したコイル電流検出値Iが、第1目標値I1に達したt1時点で、通電をオフさせている。要するに、初回の通電によるブースト電圧印加により、第1目標値I1までコイル電流を上昇させるように制御する。このように制御している時のマイコン21は「上昇制御手段」に相当する。
その後、第1目標値I1よりも低い値に設定された第2目標値I2にコイル電流が維持されるように、バッテリ電圧による通電を制御する。具体的には、コイル電流検出値Iと第2目標値I2との乖離が所定幅以内となるよう、バッテリ電圧による通電オンオフを繰り返すことで、変動するコイル電流の平均値が第2目標値I2に保持されるようにデューティ制御する。このように制御している時のマイコン21は「ピックアップ制御手段」に相当する。そして、第2目標値I2は、静的吸引力Fbが必要開弁力Fa以上となるような値に設定されている。
その後、第2目標値I2よりも低い値に設定された第3目標値I3にコイル電流が維持されるように、バッテリ電圧による通電を制御する。具体的には、コイル電流検出値Iと第3目標値I3との乖離が所定幅以内となるよう、バッテリ電圧による通電オンオフを繰り返すことで、変動するコイル電流の平均値が第3目標値I3に保持されるようにデューティ制御する。このように制御している時のマイコン21は「ホールド制御手段」に相当する。
図7(c)に示すように、電磁吸引力は、通電開始時点、つまり上昇制御開始時点(t0)から、ピックアップ制御終了時点(t3)までの期間に上昇し続ける。なお、電磁吸引力の上昇速度は、上昇制御期間よりもピックアップ制御期間の方が遅い。そして、吸引力が上昇する期間(t0〜t3)のうちに吸引力が必要開弁力Faを超えることとなるよう、第1目標値I1、第2目標値I2およびピックアップ制御期間は設定されている。
ホールド制御期間(t4〜t5)では吸引力が所定値に保持される。開弁状態を保持するのに必要な開弁保持力Fcよりも上記所定値が高くなるよう、第3目標値I3は設定されている。なお、開弁保持力Fcは必要開弁力Faよりも小さい。
噴射指令信号に含まれる噴射信号は、通電時間Tiを指令するパルス信号であり、目標噴射開始時期よりも所定の噴射遅れ時間だけ早い時期t0にパルスオン時期が設定されている。そして、パルスオンしてから、通電時間Tiに応じた時間が経過した時期t5にパルスオフ時期が設定されている。この噴射信号にしたがってスイッチング素子SW4は作動する。
噴射指令信号に含まれるブースト信号は、ブースト電圧による通電オンオフを指令するパルス信号であり、噴射信号のパルスオンと同時にパルスオンする。その後、コイル電流検出値Iが第1目標値I1に達するまでの期間、ブースト信号はオンオフを繰り返す。このブースト信号のオンオフにしたがってスイッチング素子SW2は作動する。これにより、上昇制御期間においてブースト電圧が印加される。
噴射指令信号に含まれるバッテリ信号は、ピックアップ制御の開始時点t2でパルスオンする。その後、通電開始からの経過時間が所定時間に達するまでの期間、コイル電流検出値Iが第2目標値I2に保持されるようにフィードバック制御するよう、バッテリ信号はオンオフを繰り返す。さらにその後、噴射信号のパルスオフまでの期間、コイル電流検出値Iが第3目標値I3に保持されるようにフィードバック制御するよう、バッテリ信号はオンオフを繰り返す。このバッテリ信号にしたがってスイッチング素子SW3は作動する。
なお、燃料噴射弁10へ供給される燃料の圧力(燃圧Pc)は、図1に示す燃圧センサ30により検出されている。ECU20は、燃圧センサ30により検出された燃圧Pcに応じて、上述したピックアップ制御を実施するか否かを判定する。例えば、燃圧Pcが所定の閾値Pth以上である場合には、ピックアップ制御を許可するが、Pc<Pthの場合には、ピックアップ制御を実施せず、上昇制御の後にホールド制御を実施する。
以上に説明した本実施形態では、要するに、以下に列挙する特徴を備える。そして、それらの各特徴により以下に説明する作用効果が発揮される。
<特徴1>
Ffc−Ffo≦L×Kとの条件1を満たすように弾性力付与手段の弾性係数K(つまり弾性係数K1、K2)が設定されていることを特徴とする。
この条件式の左辺は、閉弁時から最大開弁時までに燃圧閉弁力が減少する量を表し、右辺は、閉弁時から最大開弁時までに弾性力が増大する量を表す(図6参照)。つまり、この条件式は、弾性力の増大量(L×K)が燃圧閉弁力の減少量(Ffc−Ffo)以上であることを意味する。そのため、燃圧閉弁力の減少量が弾性力の増大量により補われることになるので、可動コア15が固定コア14に衝突する時点における閉弁合力Fo(=Fso+Ffo)が、燃圧閉弁力Ffの減少に起因して小さくなることを抑制できる。
その結果、衝突した可動コア15が固定コア14上で弾む、といったバウンスを抑制できる。よって、先述した噴射特性(Ti−q)からずれた噴射量qになることを抑制して噴射量バラツキを低減できる。また、先述したように衝突時点における閉弁合力F(=Fso+Ffo)低下を抑制できるので、可動コア15および固定コアの損傷を抑制できる。
<特徴2>
弁体12の開弁作動に伴い移動距離がLxからLになるまでの間、Ffx+Lx×Kの値が上昇し続けるように、弾性力付与手段の弾性係数Kは(つまり弾性係数K1、K2)が設定されていることを特徴とする。これによれば、燃圧閉弁力Ffと弾性力Fsとを合算した閉弁合力F(=Fs+Ff)が、最大開弁位置になるまでの間に上昇し続けるので、可動コア15の衝突速度を低減できる。その結果、可動コアのバウンスを抑制して噴射量バラツキを低減でき、可動コアおよび固定コアの損傷を抑制できる。
<特徴3>
内燃機関のアイドル運転時の上記燃圧閉弁力において上記条件1または条件2を満たすように、弾性力付与手段の弾性係数Kは(つまり弾性係数K1、K2)が設定されていることを特徴とする。
ここで、燃圧閉弁力Ffは、燃料ポンプPから燃料噴射弁10へ供給される燃料圧力(供給燃圧)に応じて変化するが、燃料ポンプPは内燃機関により駆動するため、内燃機関の機関回転速度Neに応じて燃圧閉弁力Ffは変化すると言える。そして、低Neであるほど、Ffc−Ffoは小さくなる。
この点を鑑みた上記特徴では、少なくとも、Ffc−Ffoが最も小さいアイドル時において、条件1または条件2を満たすように、弾性係数K1、K2を設定しているので、少なくともアイドル運転時においては可動コアの衝突速度低減の効果が発揮される。
そして、アイドル運転時には可動コアの衝突音低下の要求が最も高いので、そのようなアイドル運転時に衝突速度低減の効果が発揮されるので、該効果が好適に発揮される。
さらに、アイドル運転時には燃料噴射量が少なく、噴射特性(Ti−q)のうち微小噴射領域では、噴射量を高精度で制御する要求が最も高い。よって、そのような微小噴射領域に、衝突速度低減による噴射量バラツキ低減の効果が発揮されるので、該効果が好適に発揮される。
<特徴4>
内燃機関の機関回転速度Neが所定値以上となっている高速運転時の燃圧閉弁力Ffにおいては、上記条件1または条件2が満たされないよう、弾性力付与手段の弾性係数Kは(つまり弾性係数K1、K2)は設定されていることを特徴とする。
ここで、高速運転時には、1燃焼サイクル時間が短いため、1燃焼サイクル中に噴射できる時間が短い。そのため、弁体12の開弁速度を速くすることが望まれる。そのためには、弾性係数Kを小さくして弾性力Fsを小さくし、閉弁合力F(=Ff+Fs)を小さくすることが望ましい。この点を鑑み、上記特徴によれば、高速運転時には条件1または条件2が満たされないように弾性係数Kを設定するので、高速運転時には開弁速度を速くする、といった要求に応えることができる。要するに、アイドル運転時には、可動コア15の衝突速度低減を開弁速度増大よりも優先し、高速運転時には、開弁速度増大を衝突速度低減よりも優先するよう、弾性係数Kを設定していると言える。
<特徴5>
Fsc≧Ffcとなるように弾性係数Kが設定されていることを特徴とする。これによれば、Fsc≧Ffcとの条件を満たす程度にFsc(セット荷重)が大きく設定されていると言える。そのため、通電を停止させたt5時点から閉弁するまでの閉弁応答遅れ時間が短くなる。そのため、同じ通電時間tiであっても噴射量qが少なくなる。よって、ti−q特性線のうち、フルリフト状態で噴射できる領域(フルリフト領域)を、微小噴射量の領域(微小領域)の側に拡大できる。
ところで、微小領域では、弁体12のストローク量が少なくシート面12aでの開弁量が小さいので、シート面12aで燃料の流れが絞られて燃圧低下する度合いが大きい。したがって、フルリフト領域を微小領域の側に拡大することが望ましい。そして、上記特徴によれば、このような望ましい状態(高圧噴射状態)で噴射できるフルリフト領域を拡大でき、好適である。
<特徴6>
弁体12は、可動コア15に対して相対移動可能な状態で該可動コア15に組み付けられており、弾性力付与手段は、弁体12の開弁ストローク増大に伴い閉弁方向への弾性力が増大するように配置されたメインスプリングSP1と、可動コア15を介して弁体12へ弾性力を開弁方向に付与するスプリングであって、弁体12の開弁ストローク増大に伴い開弁方向への弾性力が減少するように配置されたサブスプリングSP2と、を有して構成されている。そして、弾性係数Kは、メインスプリングSP1の弾性係数K1とサブスプリングSP2の弾性係数K2とを合成したものであることを特徴とする。
これによれば、サブスプリングSP2は、開弁方向に弾性力を付与するものであり、かつ、開弁ストローク増大に伴いその弾性力が減少するものであるため、両スプリングSP1、SP2を合成した弾性係数K(図5中のFsの傾き)は、メインスプリングSP1の弾性係数K1(図5中のFs1の傾き)よりも大きくなる。
ここで、先述した条件1(Ffc−Ffo≦L×K)または条件2(LxからLになるまでF(=Ffx+Lx×K)の値が上昇し続ける)を満たすためには、これらの条件1、2を満たしていない場合に比べて弾性係数Kを大きくすることを要する。そして、弾性係数Kを大きくするには、コイルばねであるメインスプリングSP1のコイル径や線径を大きくすることを要するが、燃料噴射弁10内部におけるメインスプリングSP1の搭載スペースには限りがあるため、弾性係数Kを大きくすることには限界がある。
この点を鑑みた上記特徴によれば、合成した弾性係数KはメインスプリングSP1の弾性係数K1よりも大きくなるので、サブスプリングSP2を有すること無くメインスプリングSP1のみで弾性力付与手段を構成する場合に比べて、メインスプリングSP1の弾性係数K1を小さくしつつも条件1、2を満たすようにできる。よって、メインスプリングSP1の搭載スペースに限りがある状況下において、条件1、2を満たすように弾性係数Kを大きくすることを容易に実現できる。
<特徴7>
メインスプリングSP1の弾性係数K1が、サブスプリングSP2の弾性係数K2よりも大きいことを特徴とする。
ここで、メインスプリングSP1のセット荷重Fset1は、調整パイプ101の取付位置で調整される。一方、サブスプリングSP2のセット荷重Fset2は、ボデー11の凹部11bと可動コア15との軸方向距離で決定されるため、ボデー11等の寸法精度で決定されると言える。そのため、Fset1の方がFset2よりも高精度で調整可能である。
この点を鑑みた上記特徴ではK1>K2であるため、弾性力付与手段の弾性係数Kに与える影響はK1の方がK2よりも大きい。したがって、弾性力付与手段のセット荷重Fset(=Fset1−|Fset2|)に与える影響はFset1の方がFset2よりも大きい。そして、Fset1の方が高精度で調整可能であるため、上記特徴によれば、K1≦K2とした場合に比べてFsetを高精度で調整できる。
<特徴8>
制御手段(ECU20)は、コイル電流が第1目標値I1まで上昇するよう、コイル13へ電圧印加させる上昇制御手段(マイコン21)と、上昇制御手段により上昇させた後、第1目標値I1以下に設定された第2目標値I2にコイル電流を保持させるよう、コイル13へ電圧印加させるピックアップ制御手段(マイコン21)と、を有する。そして、弁体12が開弁作動を開始するのに必要な電磁吸引力の最大値を必要開弁力Faと呼び、第2目標値I2のコイル電流を流し続けることにより飽和した電磁吸引力を静的吸引力Fbと呼ぶ場合において、第2目標値I2は、静的吸引力Fbが必要開弁力Fa以上となるような値に設定されていることを特徴とする。
これによれば、上昇制御により電磁吸引力が上昇した後、ピックアップ制御の期間においても電磁吸引力が上昇し、かつ、ピックアップ制御期間中に電磁吸引力が必要開弁力Fa以上となるようにできる。したがって、ピックアップ制御期間中に開弁させるようにできる。
ここで、先述した条件1または条件2を満たすように弾性係数Kを設定すると、従来よりも弾性係数が大きくなるので、開弁してからフルリフトに達するまでの時間が長くなる。そのため、上記特徴に反して、上昇制御期間中に開弁させてフルリフトにまでリフトアップさせようとすると、上昇制御期間が長くなってコイル電流が過大になり、フルリフト時の電磁吸引力が過大になる。そのため、可動コア15の衝突速度を十分に低減できなくなることが懸念される。
この点を鑑みた上記特徴によれば、上述したようにピックアップ制御期間中に開弁させるようにできるので、条件1、2を満たすKの設定に起因してフルリフトに達するまでの時間が長くなる状況下において、上昇制御期間が長くなることはない。よって、コイル電流が過大になることによりフルリフト時の電磁吸引力が過大になることを抑制できる、ひいては上記懸念を解消できる。
(第2実施形態)
上記第1実施形態では、円柱形状の本体部12bと円錐形状の先端部12cとの境界角部をシート面12aとして機能させている(図3参照)。これに対し本実施形態では、図8に示すように、円柱形状の本体部12bから噴孔17a側に延びる先端部12eの形状は、球体形状である。そして、球体形状である先端部12eの球面の一部を、着座面17bに接触するシート面120aとして機能させている。要するに、図3の例ではシート面12aが角形状であるのに対し、図8の例ではシート面120aが曲面形状である。
さて、フルリフト時の燃圧閉弁力Ffoは、閉弁時の燃圧閉弁力Ffcよりも小さくなることは先述した通りであり、その小さくなる割合を示すFfo/Ffcを「絞り率」と定義する。絞り率が小さいほど、Ffoが小さくなることが抑制されるので、リフトアップに伴い燃圧閉弁力が徐々に小さくなることが抑制される。
そして、シート面120aが曲面形状であると、角形状である場合に比べて絞り率が小さくなる。そのため、曲面形状のシート面120aを採用すると、Ffoが小さくなることが抑制されるので、リフトアップに伴い燃圧閉弁力が徐々に小さくなることが抑制される。よって、条件1、2を満たす最小限の弾性係数Kを小さくできるので、条件1、2を満たすように弾性係数Kを大きくすることを容易に実現できる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、以下のように変更して実施してもよい。また、各実施形態の特徴的構成をそれぞれ任意に組み合わせるようにしてもよい。
・図2に示す燃料噴射弁10の例では、弁体12が可動コア15に対して相対移動可能に組み付けられており、2つのスプリングSP1、SP2により弾性力付与手段を構成している。しかし、本発明を実施するにあたり、弁体12が可動コア15に対して相対移動できない状態に固定されており、サブスプリングSP2を有すること無くメインスプリングSP1のみで弾性力付与手段を構成する燃料噴射弁であってもよい。
・上記第1実施形態では、フルリフト時の閉弁合力Fo(=Fso+Ffo)が、閉弁時の閉弁合力Fc(=Fsc+Ffc)よりも大きくなるように弾性係数Kを設定している。しかし、本発明を実施するにあたり、Fo≦Fcであっても、移動距離がLxからLになるまでの間Ffx+Lx×Kの値が上昇し続ける、といった条件2を満たしていればよい。或いは、条件2を満たしていなくても条件1(Ffc−Ffo≦L×K)を満たしていればよい。
・上記第1実施形態では、上昇制御によりコイル電流が第1目標値I1まで上昇すると、コイル電流を第2目標値I2にまで低下させている。しかし、上昇制御によりコイル電流が第1目標値I1まで上昇した後、コイル電流を低下させることなくその第1目標値I1を所定時間だけ保持させてから、コイル電流を第3目標値I3にまで低下させるようにしてもよい。つまり、第1実施形態において、第2目標値I2を第1目標値I1と同じ値にしてもよい、とも言える。
10…燃料噴射弁、12…弁体、13…コイル、14…固定コア、15…可動コア、Ffc…閉弁時の燃圧閉弁力、Ffo…フルリフト時の燃圧閉弁力、Ffx…所定位置に弁体がある時の燃圧閉弁力、K…弾性力付与手段の弾性係数、L…フルリフト量(閉弁位置から最大開弁位置までの移動距離)、Lx…所定位置までの移動距離、SP1…メインスプリング(弾性力付与手段)、SP2…サブスプリング(弾性力付与手段)。

Claims (10)

  1. 内燃機関の燃焼室(2)へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁であって、
    磁束を生じさせるコイル(13)と、
    前記磁束の通路となる磁気回路の一部を形成して電磁力を生じさせる固定コア(14)と、
    前記電磁力により吸引される可動コア(15)と、
    吸引される前記可動コアとともに移動して噴孔を開弁する弁体(12)と、
    前記弁体の移動に伴い弾性変形して、その弾性力を前記弁体へ閉弁方向に付与する弾性力付与手段(SP1、SP2)と、
    を備え、
    燃料圧力により前記弁体を閉弁方向へ押し付ける力である燃圧閉弁力のうち、前記弁体が閉弁している時の前記燃圧閉弁力を「Ffc」、前記弁体が最大開弁位置に移動した時の前記燃圧閉弁力を「Ffo」と定義し、
    前記弁体による閉弁位置から最大開弁位置までの移動距離を「L」、前記弾性力付与手段の弾性係数を「K」と定義した場合において、
    Ffc−Ffo≦L×Kとの条件を満たすように前記弾性係数が設定されていることを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 最大開弁位置よりも閉弁側の所定位置に前記弁体がある時の前記燃圧閉弁力を「Ffx」と定義し、前記弁体による閉弁位置から前記所定位置までの移動距離を「Lx」と定義した場合において、
    前記弁体の開弁作動に伴い前記移動距離がLxからLになるまでの間、Ffx+Lx×Kの値が上昇し続けるように、前記弾性係数Kが設定されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料噴射弁。
  3. 内燃機関の燃焼室(2)へ直接燃料を噴射する燃料噴射弁であって、
    磁束を生じさせるコイル(13)と、
    前記磁束の通路となる磁気回路の一部を形成して電磁力を生じさせる固定コア(14)と、
    前記電磁力により吸引される可動コア(15)と、
    吸引される前記可動コアとともに移動して噴孔を開弁する弁体(12)と、
    前記弁体の移動に伴い弾性変形して、その弾性力を前記弁体へ閉弁方向に付与する弾性力付与手段(SP1、SP2)と、
    を備え、
    燃料圧力により前記弁体を閉弁方向へ押し付ける力である燃圧閉弁力のうち、最大開弁位置よりも閉弁側の所定位置に前記弁体がある時の前記燃圧閉弁力を「Ffx」と定義し、
    前記弁体による閉弁位置から前記所定位置までの移動距離を「Lx」、前記弁体による閉弁位置から最大開弁位置までの移動距離を「L」、前記弾性力付与手段の弾性係数を「K」と定義した場合において、
    前記弁体の開弁作動に伴い前記移動距離がLxからLになるまでの間、Ffx+Lx×Kの値が上昇し続ける、との条件を満たすように前記弾性係数Kが設定されていることを特徴とする燃料噴射弁。
  4. 前記噴孔から噴射される燃料の燃焼により作動する内燃機関と、前記内燃機関により駆動して前記燃料圧力を生じさせる燃料ポンプと、を備える燃焼システムに適用され、
    前記内燃機関のアイドル運転時の前記燃圧閉弁力において前記条件を満たすように、前記弾性力付与手段の弾性係数は設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  5. 前記内燃機関の機関回転速度が所定値以上となっている高速運転時の前記燃圧閉弁力においては前記条件が満たされないよう、前記弾性力付与手段の弾性係数は設定されていることを特徴とする請求項4に記載の燃料噴射弁。
  6. 前記弁体が閉弁している時の前記弾性力付与手段の弾性力を「Fsc」、前記弁体が閉弁している時の前記燃圧閉弁力を「Ffc」と定義した場合において、
    Fsc≧Ffcとなるように前記弾性係数Kが設定されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  7. 前記弁体は、前記可動コアに対して相対移動可能な状態で該可動コアに組み付けられており、
    前記弾性力付与手段は、
    前記弁体へ弾性力を閉弁方向に付与するスプリングであって、前記弁体の開弁ストローク増大に伴い閉弁方向への弾性力が増大するように配置されたメインスプリング(SP1)と、
    前記可動コアを介して前記弁体へ弾性力を開弁方向に付与するスプリングであって、前記弁体の開弁ストローク増大に伴い開弁方向への弾性力が減少するように配置されたサブスプリング(SP2)と、
    を有して構成され、
    前記弾性係数Kは、前記メインスプリングの弾性係数(K1)と前記サブスプリングの弾性係数(K2)とを合成したものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  8. 前記メインスプリングの弾性係数(K1)が、前記サブスプリングの弾性係数(K2)よりも大きいことを特徴とする請求項7に記載の燃料噴射弁。
  9. 前記弁体の外周面に形成された環状のシート面(12a)が、前記噴孔を形成するボデー(11)の着座面(17b)に着座することで、前記噴孔が閉弁されるように構成されており、
    前記シート面は曲面形状であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の燃料噴射弁。
  10. 請求項1〜9のいずれか1つに記載の燃料噴射弁と、
    前記コイルに流れるコイル電流を制御することにより、前記噴孔からの燃料噴射状態を制御する制御手段(20)と、
    を備える燃料噴射装置であって、
    前記制御手段は、
    前記コイル電流が第1目標値(I1)まで上昇するよう、前記コイルへ電圧印加させる上昇制御手段(21)と、
    前記上昇制御手段により上昇させた後、前記第1目標値以下に設定された第2目標値(I2)に前記コイル電流を保持させるよう、前記コイルへ電圧印加させるピックアップ制御手段(21)と、
    を有し、
    前記弁体が開弁作動を開始するのに必要な電磁吸引力の最大値を必要開弁力(Fa)と呼び、前記第2目標値のコイル電流を流し続けることにより飽和した電磁吸引力を静的吸引力(Fb)と呼ぶ場合において、
    前記第2目標値は、前記静的吸引力が前記必要開弁力以上となるような値に設定されていることを特徴とする燃料噴射装置。
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