JP4176713B2 - 塗装体 - Google Patents
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Description
本発明は、マイナスイオンを発生する塗装体の改良に関する。
背景技術
トルマリン(電気石)はマイナスイオンを発生する物質として注目されているが、塗料に混入これを基材に塗布しただけでは、マイナスイオンの発生はあまり高くならなかった。
そこで、本発明は、上記欠点を解消し、塗装体(基材に塗装を施したもの)からのマイナスイオンの発生を高くすることを目的とする。
発明の開示
上記目的を達成するために本発明者は、鋭意研究の結果、下塗り用の塗料中に電気石を混入するとよいこと、さらにこの上に銀製の薄膜を形成することによりマイナスイオンの発生が著しく増大することを知見し本発明に至った。
すなわち請求項1の発明は、電気石を混入した下塗り用塗料を塗装して形成した下塗り層の上の全面に、銀製の薄膜を形成し、さらにその上に、上塗り用塗料を塗布して上塗り層を形成して表面に金属状の光沢を有する塗装体にする。
請求項2の発明は、電気石を混入した下塗り用塗料を塗装して形成した下塗り層の上に、電気石を含まない前記下塗り用塗料を塗装して中塗り層を形成し、その上の全面に銀製の薄膜を形成し、さらにその上に、上塗り用塗料を塗装して上塗り層を形成して表面に金属状の光沢を有する塗装体にする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の銀製の薄膜を銀鏡塗装により形成することを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の銀製の薄膜を真空蒸着により形成することを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項1又は2の電気石が粒状であることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
本発明の実施の形態について以下図面をもとに説明する。
図1は、本発明基材の製造手順を示す図である。(a)は下塗り前、(b)は下塗り層形成後、(c)は銀鏡塗装後、(d)は上塗り層形成後をそれぞれ示す。
先ず、基材1に下塗り用塗料を塗布して下塗り層2を形成する。下塗り用塗料は、ウレタン系樹脂塗料に粒状の電気石3を混入したものを使用する。基材1は樹脂、木材、金属など材質を問わない。
次に、下塗り層2形成後の基材1の表面に銀鏡塗装を施し金属性の薄膜4を形成する。銀鏡塗装は、硝酸銀水溶液とアンモニア水を同時に吹き付けるなど公知の方法を使用して行う。
その後、上塗り用塗料を塗布し上塗り層5を形成する。上塗り塗装は、ウレタン系樹脂塗料やシリコン系樹脂塗料を使用する。
以上のようにして形成した塗装体は、表面が金属状の光沢を有するとともに、シボ状の模様が形成される。また、マイナスイオンの発生が良好になる。
このような塗装体を例えばエアコンの風向き切換板にすれば、室内にマイナスイオンが放出される。
次に別の実施の形態について以下図面をもとに説明する。
図2は、本発明基材の製造手順を示す図である。(a)は下塗り前、(b)は下塗り層形成後、(c)は更に中塗り層を形成した後銀鏡塗装を重ねた後、(d)は上塗り層形成後をそれぞれ示す。
先ず、基材1に下塗り用塗料を塗布して下塗り層2を形成する。下塗り用塗料は、ウレタン系樹脂塗料に粒状の電気石3を混入したものを使用する。
次に、下塗り層2形成後の基材1の表面に下塗り用塗料を塗布して中塗り層6を形成し、以後の工程で使用する金属製の薄膜とのヌレをよくする。
この後銀鏡塗装を施し金属性の薄膜4を形成する。銀鏡塗装は、硝酸銀水溶液とアンモニア水を同時に吹き付けるなど公知の方法を使用して行う。
その後、上塗り用塗料を塗布し上塗り層5を形成する。上塗り塗装は、ウレタン系樹脂塗料やシリコン系樹脂塗料を使用する。
以上のように下塗り塗装を繰り返すことにより、金属製の薄膜4が美麗に形成され高級感のある塗装になる。
なお、前記銀鏡塗装に代えて真空蒸着にて銀製の薄膜を形成してもよい。特に前記下塗り用塗料を塗布して中塗り層6を形成すると、この真空蒸着を施す際に薄膜を形成し易くする作用がある。
以上の実施形態では粒状の電気石3を使用しているが、本発明は、粒状に限定されるものではなく、粉状であってもよい。但し、粒状の電気石を使用すると基材の形状にかかわらずシボ模様が簡便に形成できる。
(実施例)
図3は、各種塗料に粒状の電気石(粒径約0.5〜5mm)を混入した場合のマイナスイオン発生数を示す図表である。
測定は空気イオン測定器(フィーサー社製)を予め測定用の試料のない恒温恒湿状態(17℃、37%)で30分間運転させる。その後空気イオン測定器の測定用シリンダの前方10cmに試料を配置し5秒間マイナスイオンの個数を計測した。
なお、いずれもABS製の基板に塗装するものであり、ブランク状態(塗装なしの状態)での、マイナスイオンの個数は250個/cm3であった。
(1)の試料は、アクリルシリコン系樹脂塗料に粒状の電気石を24重量%混入したものを、ABS製の基板に上塗りしたものであり、塗膜の厚さを10〜15μmにした。
(2)の試料は、アクリルシリコン系樹脂塗料に粒状の電気石を13重量%混入したものを、ABS製の基板に上塗りしたものであり、塗膜の厚さを10〜15μmにした。
(3)の試料は、ウレタン系樹脂塗料に粒状の電気石を40重量%混入したものを、ABS製の基板に下塗りした塗膜の厚さを10〜15μmにしたものの上に、さらにウレタン系樹脂塗料に粒状の電気石を40重量%混入したものを上塗りし塗膜の厚さを合計20〜30μmにした。
(4)の試料は、本発明に係るものであり、ウレタン系樹脂塗料に粒状の電気石を40重量%混入したものを、ABS製の基板に下塗りした塗膜の厚さを10〜15μmにしたものの上に、硝酸銀水溶液とアンモニア水を同時に吹き付け膜厚50〜100μmの銀鏡塗装を施した後、ウレタン系樹脂塗料を上塗りし塗膜の厚さを合計65〜125μmにした。
以上の結果より、本発明品のマイナスイオン発生数が群を抜いていることがわかる。特に、マイナスイオン発生数が、電気石の量が約2倍である(3)と比べても約2倍と多い。この理由は不明であるが、電気石と銀との相乗効果であると思われる。
なお、ABS製の基板に硝酸銀水溶液とアンモニア水を同時に吹き付け膜厚50〜100μmの銀鏡塗装を施しただけのものにつきマイナスイオン発生数を測定したところ、ブランク状態のものと殆ど変らなかった。
産業上の利用可能性
これを要するに、請求項1の発明は、電気石を混入した下塗り用塗料を塗装して形成した下塗り層の上に、銀製の薄膜を形成し、さらにその上に、上塗り用塗料を塗布して上塗り層を形成するので、銀製の薄膜と電気石との相乗効果によりマイナスイオンが大量に発生する。
請求項2の発明では、電気石を混入した下塗り用塗料を塗装して形成した下塗り層の上に、電気石を含まない下塗り用塗料を塗装して中塗り層を形成し、その上に銀製の薄膜を形成するので、銀製の薄膜が美麗に形成できる。
さらに、請求項3,4の発明のように銀製の薄膜を銀鏡塗装や真空蒸着で形成すると薄膜の形成が容易になる。
また、請求項5の発明のように電気石を粒状にすると、表面にシボ状の模様を有する塗装体が基材の形状にかかわらず簡単に形成できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明塗装体の製造手順を示す図である。図2は、図1とは別の製造手順を示す図である。図3は、各種塗料に粒状の電気石を混入した場合のマイナスイオン発生数を示す図表である。
Claims (5)
- 電気石を混入した下塗り用塗料を塗装して形成した下塗り層の上に、銀製の薄膜を形成し、さらにその上に、上塗り用塗料を塗布して上塗り層を形成することを特徴とする表面に金属状の光沢を有する塗装体。
- 電気石を混入した下塗り用塗料を塗装して形成した下塗り層の上に、電気石を含まない前記下塗り用塗料を塗装して中塗り層を形成し、その上に銀製の薄膜を形成し、さらにその上に、上塗り用塗料を塗装して上塗り層を形成することを特徴とする表面に金属状の光沢を有する塗装体。
- 前記銀製の薄膜を銀鏡塗装により形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の表面に金属状の光沢を有する塗装体。
- 前記銀製の薄膜を真空蒸着により形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗装体。
- 前記電気石が粒状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面に金属状の光沢を有する塗装体。
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