JP4176539B2 - 界面活性剤組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は優れた起泡性、増粘性、水溶性及び安定性を有する界面活性剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
シャンプー、リンス、固形石鹸、ボディシャンプー、台所用洗剤、衣料用洗剤、住居用洗剤等の洗浄剤には高い洗浄力はもとより豊かな泡立ちが要求される。従来主基剤として多くの製品に広く使用されているのは、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等の陰イオン界面活性剤であるが、これらはいずれも通常では洗浄力や泡立ちに優れているものの、油汚れやシリコン等の汚れが存在する場合、著しく洗浄力、起泡性が低下するという問題がある。
【0003】
こうした洗浄力や起泡性の低下を改善するため、主基剤の他に補助界面活性剤を配合することが種々検討されている。実際に広く製品中に使用されてきたジエタノール脂肪酸アミドを初めとして、近年ではモノエタノール脂肪酸アミド(特許文献1、特許文献2、特許文献3等)、糖アミド型非イオン界面活性剤(特許文献4)、アシル化ザルコシン(特許文献5)等が提案されている。
【0004】
しかしながら、これらの洗浄剤組成物も洗浄力、起泡性が改良されるものの未だ十分に満足できるものではない。また上記の洗浄剤は日々直接皮膚に接することから、皮膚にマイルドな弱酸性のpH領域で高い性能を発現できることが望まれている。しかし、従来の界面活性剤系においては中性〜塩基性領域では泡立ちが良好なものであっても、酸性下では全く泡立たない等の問題点が挙げられてきた。
【0005】
【特許文献1】
国際公開第98/507号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第97/44434号パンフレット
【特許文献3】
特開平11−80785号公報
【特許文献4】
国際公開第94/12610号パンフレット
【特許文献5】
国際公開第96/6596号パンフレット
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、広いpH領域下で、また油汚れの存在下であっても優れた起泡性、増粘性、水溶性及び安定性を有する界面活性剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(a)成分及び(b)成分、並びに(a)及び(b)成分以外の界面活性剤を含有する界面活性剤組成物を提供する。
(a)一般式(I)で表される化合物(以下化合物(I)という)。
【0008】
【化3】
【0009】
(式中、R1CO−は炭素数6〜24の水酸基を有していてもよい飽和又は不飽和のアシル基、R2は炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R3は炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基あるいは炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルケニレン基を示す。)
(b)一般式(II)で表される化合物(以下化合物(II)という)、一般式(III)で表される化合物(以下化合物(III)という)及び一般式(IV)で表される化合物(以下化合物(IV)という)からなる群から選ばれる1種以上。
【0010】
【化4】
【0011】
(式中、R1CO−、R2及びR3は上記と同じ意味を示し、各化合物において、R1、R2及びR3は、互いに同一でも異なっていても良い。)
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の(a)成分において、R1CO−は上記のようなアシル基を示すが、炭素数8〜18の飽和又は不飽和アシル基が好ましい。具体的にはオクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、リノール酸、2−エチルヘキサン酸、2−オクチルウンデカン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸等から誘導されるアシル基が挙げられ、特に好ましくは、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オレイン酸、ヤシ脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸、牛脂脂肪酸から誘導されるアシル基である。これらのアシル基の中でも、炭素数12〜14の脂肪酸から誘導されるアシル基が50重量%以上含まれたものが好ましく、また、炭素数12の脂肪酸から誘導されるアシル基が40重量%以上100重量%未満のものがより好ましい。
【0013】
また、R2は起泡性を低下させないために、炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基である。さらにR3は、界面活性能を低下させないために、炭素数1〜6の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基あるいは炭素数2〜6の直鎖又は分岐鎖のアルケニレン基であり、好ましくは炭素数2もしくは3の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基であり、特に好ましくはエチレン基である。
【0014】
(a)成分の具体例として、例えば、N−エタノール−N−メチルオクタン酸アミド、N−エタノール−N−メチルデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルドデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルテトラデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヘキサデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルオクタデカン酸アミド、N−エタノール−N−メチルヤシ脂肪酸アミド、N−エタノール−N−メチルパーム核油脂肪酸アミド、N−イソプロパノール−N−エチルドデカン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールオレイン酸アミド、N−エチル−N−イソプロパノールイソステアリン酸アミド等が挙げられる。
【0015】
(a)成分の製造法は特に限定されず、例えば、脂肪酸又は脂肪酸低級アルコールエステルとアルカノールアミンとの脱水又は脱アルコール反応、脂肪酸ハロゲン化物とアルカノールアミンのアルカリ触媒下での反応、あるいは油脂とアルカノールアミンとのエステル−アミド交換反応等を用いて製造することができる。これらの方法で得られた製造物中に、脂肪酸、無機塩、グリセリン等が少量含まれることがあるが、それらは性能には何ら差し支えない。
【0016】
本発明の(b)成分は、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群から選ばれるが、単独である必要はなく、複数種類が混ざっていてもよい。
【0017】
(b)成分の製造法は特に限定されず、例えば、対応する脂肪酸又は脂肪酸エステル等の脂肪酸誘導体と、上記アミンを適切な酸性又は塩基性触媒の存在下で脱水縮合等の反応を行うことによって得ることができる。
【0018】
一般式(II)、(III)及び(IV)中のR1CO−、R2及びR3は一般式(I)と同じ意味を示し、各化合物において、R1、R2及びR3は、互いに同一でも異なっていても良い。
【0019】
本発明で用いられる化合物(II)の具体例として、例えば、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオクタン酸アミド、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのデカン酸アミド、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのドデカン酸アミド、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのテトラデカン酸アミド、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオクタデカン酸アミド、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのヤシ脂肪酸アミド、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのパーム核油脂肪酸アミド、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオレイン酸アミド、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのイソステアリン酸アミド、3−エチル−3,6−ジアザオクタノールのドデカン酸アミド、3−エチル−3,6−ジアザオクタノールのヤシ脂肪酸アミド等が挙げられる。
【0020】
本発明で用いられる化合物(III)の具体例として、例えば、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオクタン酸エステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのデカン酸エステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのドデカン酸エステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのテトラデカン酸エステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオクタデカン酸エステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのヤシ脂肪酸エステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのパーム核油脂肪酸エステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオレイン酸エステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのイソステアリン酸エステル、3−エチル−3,6−ジアザオクタノールのドデカン酸エステル、3−エチル−3,6−ジアザオクタノールのヤシ脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0021】
本発明で用いられる化合物(IV)の具体例として、例えば、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオクタン酸アミドエステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのデカン酸アミドエステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのドデカン酸アミドエステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのテトラデカン酸アミドエステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオクタデカン酸アミドエステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのヤシ脂肪酸アミドエステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのパーム核油脂肪酸アミドエステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのオレイン酸アミドエステル、3−メチル−3,6−ジアザへプタノールのイソステアリン酸アミドエステル、3−エチル−3,6−ジアザオクタノールのドデカン酸アミドエステル、3−エチル−3,6−ジアザオクタノールのヤシ脂肪酸アミドエステル等が挙げられる。
【0022】
本発明の組成物中の(a)及び(b)成分の配合割合は、起泡性、増粘性及び安定性の観点から、重量比で(a)/(b)=99.99/0.01〜80/20が好ましく、98/2〜90/10が更に好ましい。
【0023】
本発明においては、(a)及び(b)成分を、(a)及び(b)成分以外の界面活性剤(以下他の界面活性剤という)と併用することにより、非常に高い起泡性及び増粘性能を発現する。本発明の組成物中の(a)成分と(b)成分の合計含有量は、他の界面活性剤の特性に応じて適宜選ぶことができるが、水溶性、安定性、起泡性及び増粘性の観点から、(a)及び(b)成分の合計配合量と、他の界面活性剤の配合量との割合が、重量比で0.5/99.5〜50/50であることが好ましい。
【0024】
本発明に用いられる他の界面活性剤としては、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれでもよく、これらの1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
【0025】
陰イオン界面活性剤としては、アルキル(アルキル基の炭素数6〜24)硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩(エチレンオキサイド平均付加モル数0.1〜100、アルキル基の炭素数6〜24)等の硫酸塩型界面活性剤;アルキル(アルキル基の炭素数6〜24)ベンゼンスルホン酸塩、一般式(V)
【0026】
【化5】
【0027】
〔式中、R4CO−は炭素数6〜24の飽和又は不飽和のアシル基、R5は水素原子、あるいは置換基として−OH、−CN又は−COOHを有していても良い炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基(好ましくは水素原子又はメチル基)、R6は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基あるいはアルケニレン基を示す。〕
で表されるアミノスルホン酸のアシル化物又はその塩、一般式(VI)
【0028】
【化6】
【0029】
(式中、R4CO−は前記の意味を示し、R7は炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基あるいはアルケニレン基を示す。)
で表されるヒドロキシスルホン酸のアシル化物又はその塩、炭素数6〜24の脂肪酸の低級アルキル(アルキル基の炭素数1〜3)エステルのスルホン化物又はその塩、炭素数3〜9のジカルボン酸のモノ又はジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜24、好ましくは1〜12)のスルホン化物又はその塩等のスルホン酸塩型界面活性剤;石鹸(炭素数6〜24)、アルキルエトキシカルボン酸塩(アルキル基の炭素数6〜24、エチレンオキサイド平均付加モル数0〜20)、アシル化(アシル基の炭素数6〜24)アミノ酸塩等のカルボン酸塩型界面活性剤;直鎖又は分岐鎖の(ポリオキシエチレン)アルキルエーテル鎖(アルキル基の炭素数8〜18、エチレンオキサイドの平均付加モル数0〜10)を持つ、リン酸モノ又はジエステル等のリン酸エステル塩型界面活性剤が挙げられる。
【0030】
陽イオン界面活性剤としては、アルキル(アルキル基の炭素数6〜24)トリメチルアンモニウムハライド、アミド(アシル基の炭素数6〜24)プロピルトリメチルアンモニウムハライド等の4級アンモニウム塩型界面活性剤、アルキル(アルキル基の炭素数6〜24)ジメチルアミンオキサイド、アミド(アシル基の炭素数6〜24)プロピルジメチルアミンオキサイド等のアミンオキサイド型界面活性剤が挙げられる。
【0031】
非イオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキル又はアルケニルエーテル(アルキル又はアルケニル基の炭素数6〜24、アルキレンオキサイド平均付加モル数1〜25)、アルキル又はアルケニルグリコシド(アルキル又はアルケニル基の炭素数6〜24)等が挙げられる。
【0032】
両性界面活性剤としては、アミド(アシル基の炭素数6〜24)プロピルジメチルカルボベタイン等のアミド基含有ベタイン型界面活性剤が挙げられる。
【0033】
これら他の界面活性剤の中では、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤が好ましく、陰イオン界面活性剤が更に好ましく、硫酸塩型、スルホン酸塩型又はリン酸エステル塩型界面活性剤が特に好ましい。
【0034】
本発明の界面活性剤組成物は、pH範囲4.0〜11.0で特に好ましい起泡性、増粘性等の性能を発現することができ、洗浄剤基剤として有用である。
【0035】
【実施例】
実施例1〜6、比較例1〜7
下記に示す成分を用い、表1に示す組成の各種界面活性剤組成物を調製した。得られた界面活性剤組成物について、起泡性能を下記方法により評価した。結果を表1に示す。
【0036】
<成分>
(a)成分
化合物a-1:N−エタノール−N−メチルデカン酸アミド
化合物a-2:N−エタノール−N−メチルドデカン酸アミド
化合物a-3:N−エタノール−N−メチルヤシ脂肪酸アミド
化合物a-4:N−エタノール−N−メチルパーム核油脂肪酸アミド
(b)成分
化合物b-1:3-メチル-3,6-ジアザへプタノールのデカン酸アミド(式(II)において、R1CO−がデカン酸から誘導されるアシル基、R2がメチル基、R3がエチレン基である化合物)
化合物b-2:3-メチル-3,6-ジアザへプタノールのデカン酸アミドエステル(式(IV)において、R1CO−がデカン酸から誘導されるアシル基、R2がメチル基、R3がエチレン基である化合物)
化合物b-3:3-メチル-3,6-ジアザへプタノールのドデカン酸アミド(式(II)において、R1CO−がドデカン酸から誘導されるアシル基、R2がメチル基、R3がエチレン基である化合物)
化合物b-4:3-メチル-3,6-ジアザへプタノールのドデカン酸アミドエステル(式(IV)において、R1CO−がドデカン酸から誘導されるアシル基、R2がメチル基、R3がエチレン基である化合物)
化合物b-5:3-メチル-3,6-ジアザへプタノールのヤシ脂肪酸アミド(式(II)において、R1CO−がヤシ脂肪酸から誘導されるアシル基、R2がメチル基、R3がエチレン基である化合物)
化合物b-6:3-メチル-3,6-ジアザへプタノールのヤシ脂肪酸アミドエステル(式(IV)において、R1CO−がヤシ脂肪酸から誘導されるアシル基、R2がメチル基、R3がエチレン基である化合物)
化合物b-7:3-メチル-3,6-ジアザへプタノールのパーム核油脂肪酸アミド(式(II)において、R1CO−がパーム核油脂肪酸から誘導されるアシル基、R2がメチル基、R3がエチレン基である化合物)
化合物b-8:3-メチル-3,6-ジアザへプタノールのパーム核油脂肪酸アミドエステル(式(IV)において、R1CO−がパーム核油脂肪酸から誘導されるアシル基、R2がメチル基、R3がエチレン基である化合物)
他の界面活性剤
AES:ポリオキシエチレン(3)ラウリル硫酸エステルナトリウム塩
LAPB:ラウロイルアミドプロピルジメチルカルボベタイン
MEA:ラウロイルモノエタノールアミド
DEA:ラウロイルジエタノールアミド
<起泡性能評価法>
表1に示す界面活性剤組成物1mLを、4°DH硬水30gで希釈し、25℃において、特開平10−73584号公報に開示されている起泡性測定装置を用いて、250mLの泡を生成するのに要する時間を測定した。起泡に要する時間が短いほど起泡性能が良好であることを意味する。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】
本発明の界面活性剤組成物は、広いpH領域下で、また油汚れの存在下であっても優れた起泡性、増粘性、水溶性及び安定性を有する。
Claims (2)
- 下記(a)成分及び(b)成分、並びに(a)及び(b)成分以外の界面活性剤を含有し、(a)成分と(b)成分の割合が重量比で、(a)/(b)= 99.99 / 0.01 〜 80 / 20 であり、(a)及び(b)成分の合計配合量と、(a)及び(b)成分以外の界面活性剤の配合量との割合が、重量比で 0.5 / 99.5 〜 50 / 50 である界面活性剤組成物。
(a)一般式(I)で表される化合物。
(b)一般式(II)で表される化合物、一般式(III)で表される化合物及び一般式(IV)で表される化合物からなる群から選ばれる1種以上。
- (a)及び(b)成分以外の界面活性剤が、陰イオン界面活性剤である請求項1記載の界面活性剤組成物。
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