JP4176108B2 - 横編機におけるステッチプレッサー - Google Patents
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Description
揺動シンカーには編糸保持部が形成されており、この編糸保持部の作用によって編目の編糸が保持され、例えば編目編成にあっては、係止された編目がノックオーバー可能なクリア位置を通過できることになる。
しかしながら、前後に対峙されたニードルベッドの編針を使って編まれるリブ編、更に編針間における渡り糸の長さが短いようなリブ編地等に対しては、前記揺動シンカーの編糸保持部によって編目を保持することは困難であった。
そこで、キャリッジ側にステッチプレッサー装置を設け、プレッサーバーを歯口編成領域に作用させて、編目を保持することも考えられるが、歯口部にはシンカーの一部が突出しているため僅かな隙間しかなく、プレッサーバーを歯口部に対して進退動させるように設けることは、ニードルベッド上の任意の位置でキャリッジを反転走行させるようにした横編機に実施することはきわめて難しい。
こうした問題を解消するために本発明の出願人は、揺動シンカーとプレッサーバーとをニードルベッドの歯口部に対し相対的に進退動させるようにしたものを先に提案している(例えば特公平6−72347)。
即ち、特公平6−72347に記載された先の提案にかかるものは、キャリッジに、シンカー揺動制御機構とステッチプレッサー制御機構とを連動するようにして付設し、上記キャリッジの上端部近傍には上記ステッチプレッサー機構で支持されたプレッサーバーを配設し、該プレッサーバーが上記ステッチプレッサー制御機構の作動によってニードルベッド頂部近傍の歯口部に対し進退動できるようにすると共に、上記ステッチプレッサー制御機構と連動するシンカー揺動制御機構によって前記シンカーが揺動するようにし、更に前記シンカー揺動制御機構とステッチプレッサー制御機構とによってキャリッジの方向反転時に、上記プレッサーバー及びシンカーが相対して進退駆動制御されるようにしたものである。
本発明の出願人による先の提案では、シンカー揺動制御機構と連動するステッチプレッサー制御機構のプレッサーバーの歯口部への進退揺動がモータの正逆切替により行なわれることから、編地の編成時には、キャリッジの進行方向に合ったステッチプレッサーのプレッサーバーが歯口部に進入した状態にある。
したがって、編地の編成中にキャリッジ内の編成カムの破損等の異常が発生し、モータへの給電を止めて横編機を停止した場合、プレッサーバーが歯口部に進入した状態で残されてしまう。
ステッチプレッサーのプレッサーバーが歯口部に進入した状態で残されてしまうと、キャリッジ内の編成カムを取り替えるためにキャリッジを左側に移動させ、転換レールを支持するブラッケットを越えて移動させ、編機からキャリッジを降ろす際にプレッサーバーがブラッケットに衝突してしまう。
こうした場合、プレッサーバーを分解して取り外すか、モータの軸を手動で回転させてプレッサーバーと前記ブラケットとの衝突を回避できる状態に保持したままキャリッジを移動させなければならず手間がかかるという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑み提案されたもので、モータへの給電が停止した状態でキャリッジ内の編成カムの取り替え等でキャリッジをブラッケットを越えて移動させる必要があるような時、キャリッジの移動を簡単に行えるようにすることを目的とするものである。
また、本発明においては、一端がモータの回動軸若しくはこれに連動する部材に連結され、他端がキャリッジ側の固定部材に連結されたゼンマイバネ若しくはコイルバネで回動付勢機構を形成したことも特徴とするものである。
図2は本発明にかかるステッチプレッサーを組み込んだ横編機の側面図である。
図3は本発明のステッチプレッサー部分の側面図である。
図4は本発明のステッチプレッサーの退出状態を示す側面図である。
図5は本発明のステッチプレッサー部分の平面図である。
図6は本発明のステッチプレッサー部分の背面図である。
図7は本発明の回動付勢機構部分の分解斜視図である。
図8は本発明の回動付勢機構部分の側面図である。
図9は本発明の回動付勢機構部分のステッチプレッサーが退出した状態を示す側面図である。
図1は本発明にかかるステッチプレッサーを組み込んだ横編機の正面図、図2はその側面図であって、図中符号1は横編機を全体的に示す。
この横編機1は図3及び図4に示すように、歯口部2の中心線Xを線対称として前後に一対のニードルベッド3・3(片方は図示せず)を逆V字上に配設し、この各ニードルベッド3・3に、多数の編針(図示省略)を進退摺動可能に収納する。
上記ニードルベッド1の長手方向に配設されたピアノ線4に固定するようにして各シンカー5を編針間に配設し、且つこのニードルベッド3上を長手方向に沿って一対のキャリッジ(図1参照)6が、駆動装置(図示せず)によって任意の位置で反転可能に往復走行するようにしたものである。
この横編機1の上記各キャリッジ6の左右上端部には、図5及び図6に示すように、プレッサーバー8を作動させるステッチプレッサー制御機構9を付設してあり、このステッチプレッサー制御機構9は、図3乃至図7に示すように駆動装置10のモータ11の出力軸11aに取付けられた回動付勢機構部14と、プレッサーバー8の揺動リンク機構15とからなる。
回動付勢機構部14は、図7に示すように、モータ11の非通電時にプレッサーバー8が編機1の歯口部2に対し退出する側にモータ11の回動軸11aを回転させるものであって、合成樹脂で内方にバネ収容用空間が形成された容器本体16と容器本体16の開口部を蓋する薄い金属製蓋体17とで形成されたケーシング18にゼンマイバネ19を収納してなる。
このゼンマイバネ19は、その中心側始端部19aがモータ11の出力軸11aに取付けられた後述の操作アーム23に形成された固定用のピン20に固定され、外周の終端部19bが取付け具21で容器本体16(キャリッジ側の固定部材)に固定されている。
上記プレッサーバー8の揺動リンク機構15は、図3乃至図7に示すように下端がキャリッジ6側の固定部材(図示せず)に回動可能に枢支された前後一対の平行リンクプレート24・24と、この平行リンクプレート24・24の上端部に支持されたプレッサーバー支持腕25と、モータ11の出力軸11aに取付けられた操作アーム23で一方(図上右方)の平行リンクプレート24の上端の枢支部24aを押し引き操作する操作杆26、及び位置検出機構27とで形成されている。
そして、プレッサーバー8の形状は、編地押圧部8aを有する本出願人の先の提案にかかる従来のプレッサーバー8と略同形状のものであって、プレッサーバー支持腕25の歯口部2側の端部に固定具で取付けられている。
ここで、上記平行リンクプレート24・24は操作杆26が連結されている側が長めにしてあり、これによりプレッサーバー8の編地押圧部8aは円弧を描いて進退揺動する。
上記位置検出機構27は、図5及び図6に示すように上記とは反対側に突出されたモータ11の出力軸11bに取付けられた検出片28と、この検出片28を検知する2個の近接センサ29・29とからなる。
この近接センサ29・29のうち一方がプレッサーバー8の歯口部2への進入検出用であり、他方がプレッサーバー8の歯口部2からの退出用となっている。
上述のように構成された横編機1では、ニードルベッド3・3をキャリッジ6が往復摺動して編地が編成されるが、このキャリッジ6の往復反転時に、ステッチプレッサーを使用する編地ではキャリッジ6の進行方向にあったプレッサーバー8に切り換えられながら編地が編成されるので、図3のように編地の編成中は何れかのプレッサーバー8が歯口部2に進入している。
そして、このプレッサーバー8が歯口部2に進入している状態では図8に示すようにモータ11の出力軸11aの回転によりゼンマイバネ19はその弾性力に抗して位置検出機構27の進入用近接スイッチ29がモータ11の出力軸11bに取付けられた検出片28を検出するまで巻き込まれた状態になっている。
この状態で停電等によりモータ11への給電が停止すると、モータ11の出力軸11aは自由状態となるので、ゼンマイバネ19の弾性力でモータ11の出力軸11aが図9のように反転し、プレッサーバー8は図3の歯口部2に進入している状態から、図4の歯口部2から退出した状態になる。
斯くしてプレッサーバー8が歯口部2から退出した状態になると、このままキャリッジ6をニードルベッド3から抜き出しても、図1及び図2に示す転換レール30を支持する支持ブラケット31に衝突することがなくなる。
尚、上記の実施の形態ではゼンマイバネを使用するようにしてあるが、こうしたものに限られず断面が円形のコイルバネを使用することができるのは勿論である。
以上に説明したように、本発明の横編機におけるステッチプレッサーは、モータの非通電時に前記プレッサーバーが編機の歯口部から退出する側にモータの回動軸を回転させる回動付勢機構を設けてあり、例えば編機に異常が発生し編機への給電を停止した時には、これまでプレッサーバーを歯口部に進入するように駆動させていたモータの駆動が停止されて、モータの回転軸はフリー回転可能となり、モータの回転軸は回動付勢機構でプレッサーバーが歯口部から退出する方向に回転される。
これにより、プレッサーバーが歯口部から退出するので、不意の編成カムの取り替え等、キャリッジを編機から降ろすためブラッケットを越えて移動させる場合に、そのまま移動させることができるので、キャリッジを編機から降ろすためキャリッジを移動させる際の手間や時間を短縮できるという利点がある。
Claims (2)
- ニードルベッド上を往復摺動するキャリッジに付設され、キャリッジの往復動の方向切り換えに連動して所定のプレッサーバーを駆動するモータに給電されることにより、当該モータの回動軸の回動に連繋してプレッサーバーが横編機の歯口部へ進入するように構成された横編機におけるステッチプレッサーにおいて、歯口部に進入したプレッサーバーを駆動しているモータの非通電時に前記プレッサーバーが横編機の歯口部から退出する側にモータの回動軸を回転させる回動付勢機構を設けたことを特徴とする横編機におけるステッチプレッサー。
- 一端がモータの回動軸若しくはこれに連動する部材に連結され、他端がキャリッジ側の固定部材に連結されたゼンマイバネ若しくはコイルバネで回動付勢機構を形成したことを特徴とする請求の範囲第1項に記載の横編機におけるステッチプレッサー。
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