JP4175557B2 - 流動状二重乳化油脂組成物 - Google Patents

流動状二重乳化油脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パン生地への練込み用等に利用される流動状二重乳化油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、パン類等の食品の食感を向上させる目的で、生地に可塑性のショートニング、マーガリン、バター等の油脂類が添加されている。しかしながら従来の可塑性のショートニング、マーガリン、バター等の油脂類は流動性を有していないため、生産の合理化を図るためにパン類等を連続生産しようとした場合、これらの可塑性油脂類はポンプによって連続供給することができない。このためパン類等の製造に用いる油脂類の流動化が求められた。このような要求に対し、油脂を溶融流動化して添加する方法が提案されたが、この方法では油脂の常時加熱が必要であり、加熱による油脂の劣化や常時加熱するためのランニングコストがかかるという問題があった。
【0003】
一方、常温で液体の植物性油脂に、食用乳化剤及び/又は極度硬化食用油脂を配合した液体ショートニング(特開昭50−156504号、特開平3−76527号等)は、常温で流動性を有するため常時加熱保持する必要がない利点がある。しかしながら、液体油脂に固体脂を分散させた液体ショートニングは固体脂や乳化剤が沈殿する虞れがあった。
【0004】
更に、油脂を油中水型に乳化した流動状油脂組成物(特開昭61−56040号、特開昭63−146749号、特開平9−191824号等)や、水中油型に乳化した流動状油脂組成物(特開平5−49382号、特開平6−78672号等)も提案されている。しかしながら油中水型の流動状油脂組成物は油相に乳脂肪を使用した場合、乳化物保管中の温度変化によって油相中の固体脂の融解や再結晶化が生じ、乳化物の流動性が消失したり乳化が破壊されたりする虞れがある。また水中油型の流動状油脂組成物は細菌により汚染されたり腐敗しやすい等の保存性に問題がある。また乳化安定性にも問題があるため、安定性を高めるためにソルビトール等の糖質の添加が必要となり、風味が低下するという問題があった。
【0005】
本発明者等は上記課題を解決するために鋭意研究した結果、最内相となる油相に乳脂肪を用い、最外相となる油相に特定の液状食用油脂を用いて、油中水中油型に二重乳化した油脂組成物が、流動性や乳化安定性に優れるとともに風味に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の流動状二重乳化油脂組成物は、最内相となる第一の油相:Oと、最外相となる第二の油相:Oが、O/W/O型に二重乳化されている油中水中油型乳化物であって、第一の油相が乳脂肪を主成分とした油脂よりなるとともに、第二の油相が固体脂析出温度0℃以下の液状食用油脂90重量%以上と、極度硬化油10重量%以下とからなることを特徴とする。
【0007】
本発明において、第一の油相:Oを水相:WにO/W型に乳化した乳化物60〜10重量%を、第二の油相:O40〜90重量%に乳化してなるものが好ましい。また第一の油相を構成する乳脂肪を主成分とした油脂は、バター、バターファット、バターファット混合物、ナチュラルチーズ、生クリーム、全脂乳、牛乳、加糖練乳、無糖練乳あるいはこれらの乾燥物より選ばれた1種又は2種以上のものが好ましい。第一相の油脂は、乳脂肪のみが好ましいが、乳脂肪が少なくとも60%以上であれば、他の動植物油脂を併用することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の流動状二重乳化油脂組成物は、例えば第一の油相:Oを、水相:WにO/W型に乳化した乳化物を、第二の油相:Oに添加して、O/W型に乳化した乳化物を、第二の油相中に分散させる等の方法で得ることができる。
【0009】
最内相となる第一の油相:Oは乳脂肪を主成分とした油脂よりなり、第一の油相:Oと水相:Wとの比は、重量比でO:W=1:1〜1:10が好ましく、特に最終的に得られる流動状油脂組成物の粘度、風味の面から重量比で、O:W=1:1〜1:5がより好ましい。第一の油相:Oを構成する乳脂肪を主成分とした油脂としては、バター、バターファット、バターファット混合物、ナチュラルチーズ、生クリーム、全脂乳、牛乳、加糖練乳、無糖練乳、或いはこれらの乾燥物の1種又は2種以上に由来するものが挙げられるが、中でもバター、ナチュラルチーズ、生クリーム、全脂乳、牛乳、無糖練乳が好ましい。ナチュラルチーズは、高乳脂肪のクリームチーズが好ましい。出来あがった乳化物やこの乳化物を用いたパンなどの焼成品の風味の観点から、第一の油相:Oに用いる油脂は、乳脂肪が60%以上であることが好ましく、この範囲であれば他の動植物油脂を併用することができる。
【0010】
第一の油相:Oが水相:Wに、O/W型に乳化している乳化物は、乳脂肪を主成分とした油脂を水中に乳化して調製することができる。乳脂肪を主成分とした油脂からなる第一の油相:Oを水相:WにO/W型に乳化させるには、乳脂肪を主成分とした油脂を水に加熱溶解させてプロペラミキサー、ホモミキサー等の攪拌機を用いて予備乳化した後、高圧ホモジナイザーで微細乳化する方法により得ることができる。乳蛋白を含む乳脂肪を主成分とした油脂を用いる場合には、ホモジナイザーにかけるだけで容易にO/W型の乳化物を得ることができるが、乳蛋白の含有量が少ないか、乳蛋白を含まない乳脂肪を主成分とした油脂を用いる場合には、乳化補助のために全脂粉乳、脱脂粉乳、ホエーパウダー、カゼイン等を添加することができる。牛乳、生クリーム等はO/W型乳化物であるため、これらはそのまま、または更に水を添加してOとWの比率を調整してO/Wとして使用することができる。
【0011】
最外相となる第二の油相:Oは、固体脂析出温度が0℃以下の液状食用油脂90重量%以上と、極度硬化油10重量%以下とからなる。第二の油相:Oを構成する液状食用油脂は、より好ましくは固体脂析出温度が−5℃以下のものである。
第二の油相を構成する液状食用油脂の原料油脂としては、植物性油脂、動物性油脂、或いはこれらの混合物等が挙げられるが、固体脂の含有率の高い動物性油脂に比べて液状油脂含有量の多い植物性油脂が通常は好適である。植物性油脂としては、例えば大豆油、ナタネ油、綿実油、コーン油、サフラワー油、ピーナッツ油、オリーブ油、米糠油やこれらの混合物等が挙げられる。これらを1種または、2種以上混合して用いることができる。
【0012】
植物性油脂中には液状油脂が多量に含まれており、通常は室温において液状ではあるが、植物性油脂中にも少なからず固体脂が含まれている。このため固体脂析出温度が0℃以下である液状油脂は、通常、0℃以下の温度において原料油脂から固体脂を分別除去して得ることができる。固体脂を分別除去する方法としては、例えばウインタリング法が挙げられる。ウインタリング法は油脂を0℃以下の温度に保持して当該温度で析出した固体脂を濾過して除去する方法であり、0℃以下の温度で固体脂を分別除去した油脂中には、その温度を超える温度においては実質的に固体脂は存在しない。第二の油相を形成する液状油脂としては、2種以上の油脂の混合物を、0℃以下の温度でウインタリング処理等を施して固体脂を分別除去して調製したものでも、0℃以下の温度で固体脂を分別除去した油脂を2種以上混合して調製したものでも良い。
【0013】
第二の油相:Oは、上記固体脂析出温度が0℃以下である液状食用油脂のみからなる場合に限らず、液状食用油脂と極度硬化油との混合物であっても良いが、固体脂析出温度が0℃以下である液状食用油脂90重量%以上含み、極度硬化油が10重量%以下であることが必要である。極度硬化油は油脂の不飽和結合部分全てに水素を添加した油脂で、原料油脂としては植物性油脂、動物性油脂のいずれも使用することができる。極度硬化油としては、常温で油脂結晶の融解や再結晶が生じるのを防止する上で、融点が58〜62℃のものが好ましい。このような極度硬化油としては、パーム油極度硬化油、ナタネ油極度硬化油、牛脂極度硬化油等が挙げられる。流動状油脂組成物の最外相となる第二の油相中に極度硬化油を含んでいると、極度硬化油を含まない場合に比べてパン生地等への流動状油脂組成物の練り込み性が高められるとともに、この生地から得られるパン等のボリューム感も高められる効果がある。
また、完全水添型の極度硬化油脂は、その融点付近まで油脂結晶の融解や再結晶化が生じないことから、冷蔵〜常温まで、乳化物の物性変化が生じにくい。
【0014】
第二の油相が固体脂析出温度0℃以下である液状食用油脂と極度硬化油との混合物よりなる場合、液状食用油脂97〜95重量%、極度硬化油3〜5重量%であることが好ましい。第二の油相中における極度硬化油が10重量%を超えると、油脂組成物の流動性が失われる。
【0015】
第二の油相:Oに、前記第一の油相:Oを水相:Wに乳化させたO/W型乳化物を分散させるには、第二の油相:Oを60〜70℃程度に加熱保持し、この第二の油相に、60〜70℃に加熱したO/W型の乳化物を添加してホモミキサー等で攪拌して乳化する等の方法を採用することができる。乳化後、ボテーター、コンビネーター、パーフェクター等の急冷可塑化機を通して急冷することにより、O/W/O型の二重乳化構造を有する本発明の流動状油脂組成物を得ることができる。O/W型乳化物を第二の油相:Oに分散させる際に、O/W型乳化物を60〜10重量%、第二の油相Oを40〜90重量%の割合で用いることが好ましく、特にO/W型乳化物を60〜40重量%、第二の油相を40〜60重量%の割合で用いることが特に好ましい。O/W型乳化物の割合が60重量%を超えると最終的に得られる油中水中油型乳化物の流動性が損なわれたり、乳化状態が不安定となる虞れがある。またO/W型乳化物の割合が10重量%未満では、最内相となる第一の油相:Oに乳脂肪を用いていても、パン等の風味の向上効果が十分得られない虞れがある。
【0016】
第二の油相:Oに、O/W型乳化物を分散させる際に、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを乳化剤として第二の油相中に予め添加しておくことが好ましい。ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルの添加量は、最終的に得られるO/W/O型二重乳化油脂組成物中の含有量が0.5〜5.0重量%となる量を添加することが好ましい。
【0017】
本発明の流動状二重乳化油脂組成物は、食パンや菓子パンなどの製パン用の生地等への練り込み用に使用することができる。本発明の油脂組成物は、パン生地に配合中の小麦粉に対して、5〜15%程度添加される。
【0018】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1
第一の油相を構成する油脂として高脂肪クリームチーズを、第二の油相を構成する油脂として100%ナタネ油をウインタリング処理して固体脂を分別除去した液状油脂(固体脂析出温度0℃以下)を用いた。上記クリームチーズに水を加えて70℃に加熱溶解した後、2段式高圧ホモジナイザーにより1次圧力40kg/cm、2次圧力150kg/cmでホモジナイズして、第一の油相:Oが水相:Wに、O/W型に乳化した乳化物を得た。一方、上記ナタネ油をウインタリング処理して得た液状油脂に、乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して加熱溶解し第二の油相:Oとした。第二の油相10kgを70℃に加熱保持し、第二の油相に前記O/W型乳化物10kgを添加してホモミキサーにて6000r.p.mで攪拌して乳化した後、コンビネ-ターによって急冷してO/W/O型の二重乳化油脂組成物を得た。
【0019】
この二重乳化油脂組成物の10℃、20℃、30℃それぞれの流動性、10℃、20℃、30℃の各温度における乳化安定性を下記のようにして試験した。またこの乳化油脂組成物を用い、下記のようにしてパンを製造した。パン生地に油脂組成物を添加する際の作業性及び得られたパンの食感、風味について試験した。これらの結果を表1に示す。
【0020】
流動性試験は、500mlのビーカーに300gづつ分注しラッピングして、10℃、20℃、30℃の恒温槽に静置保管し、静置保管時とビーカー内の乳化物をフロペラミキサー(攪拌速度150r.p.m)で攪拌した、攪拌時の乳化物の流動状態を目視観察した。
○・・流動性良好
△・・流動性低下
×・・流動性消失
【0021】
乳化安定性試験は、100mlのメスシリンダーに二重乳化油脂組成物を100mlづつ分注しラッピングをして、恒温槽に静置保管し、10℃、20℃、30℃における、乳化物の水相部分の分離状態を目視観察した。なお、水相部の分離は、細菌汚染などの保存安定性に影響を与えるが、静置時に表面部分の生じる油膜状の部分は、乳化破壊による分離とは判断しなかった。
○・・乳化安定(水相部の分離見られず)
△・・乳化不安定(水相部が若干分離ぎみ)
×・・乳化不良(水相部が分離)
【0022】
製パン方法
強力粉100重量部、イースト2.5重量部、イーストフード0.1重量部、水40重量部を配合してミキシング(中種ミキシング)し、この中種を27℃、湿度75%の発酵室で4時間発酵させた(中種発酵)。その後、これに強力粉30重量部、砂糖10重量部、脱脂粉乳2重量部、食塩2重量部、上記二重乳化油脂組成物10重量部、水25重量部を配合してミキシング(本捏ミキシング)を行い、27℃に捏ねあげた。この生地を20分間休ませ(フロアタイム)た後、分割して更に20分間パン生地を休ませ(ベンチタイム)、その後、成形して38℃、湿度80%のホイロ内で最終発酵させ、次いで200℃のオーブン内で25分間焼成してパンを得た。製パン時の作業性及び得られたパンのボリューム、風味の評価を表1にあわせて示す。
【0023】
製パン時の作業性:ミキシング、分割、成型時の生地のべたつきを触感にて観察した。
○・・パン生地のべたつきなく作業性良好。
△・・パン生地のべたつきは少なく作業性に支障なし。
×・・パン生地がべたつき作業性が悪い。
【0024】
パンのボリューム(容積):
二重乳化油脂組成物の代わりに通常のショートニングを、強力粉100重量部当たり10重量部配合して同様にして調製したパン生地を、同様にして焼成して得たパンと比較し、
○・・パンのボリューム(容積)が大きくなっている。
△・・パンのボリュームが対照品と同等。
×・・パンのボリューム(容積)が小さくなった。
として評価した。
【0025】
パンの風味:
二重乳化油脂組成物の代わりに一般的なバターとショートニング1:2の割合で、強力粉100重量部当たり10重量部配合して調製したパン生地を同様にして焼成して得たパンを対照として、風味を比較し、
○・・対照のパンより風味が好ましい。
△・・風味が対照のパンと同程度。
×・・対照のパンより、風味に乏しい。
として評価した。
【0026】
【表1】
Figure 0004175557
【0027】
実施例2
第一の油相を水相に乳化したO/W型乳化物として生クリーム8kgを、実施例1と同様に調整した第二の油相12kgに添加して乳化した他は、実施例1と同様にして二重乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物の性状及び、この油脂組成物を用いた製パン試験を実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。
【0028】
実施例3
大豆油をウインタリング処理して固体脂を除去した液状油(固体脂析出温度0℃以下)を第二の油相を構成する油脂とし、これに乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して加熱溶解させたものを第二の油相として用いた他は、実施例1と同様にして二重乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物の性状及び、この油脂組成物を用いた製パン試験を実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。
【0029】
実施例4
ウインタリング処理したナタネ油(固体脂析出温度0℃以下)93重量%と、牛脂極度硬化油(融点約59℃)7重量%を混合して調整した液状油脂を第二の油相を構成する油脂とし、これに乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して加熱溶解させたものを第二の油相Oとして14kg用い、第1の油相を含むO/Wは実施例1と同様にして、これを6kg用い二重乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物の性状及び、この油脂組成物を用いた製パン試験を実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。
【0030】
実施例5
ウインタリング処理したナタネ油の代わりに、ウインタリング処理した大豆油(固体脂析出温度0℃以下)97重量%と、ナタネ極度硬化油(融点約60℃)3重量%混合して調整した液状油油を第二の油相を構成する油脂とし、これに乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して加熱溶解させたものを第二の油相として用いた他は、実施例4と同様にして二重乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物の性状及び、この油脂組成物を用いた製パン試験を実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。
【0031】
比較例1
ウインタリング処理したナタネ油(固体脂析出温度0℃以下)85重量%と、牛脂極度硬化油(融点約59℃)15重量%を混合して調整した油脂を第二の油相を構成する油脂とし、これに乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して加熱溶解させたものを第二の油相として用いた他は、実施例1と同様にして二重乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物の性状及び、この油脂組成物を用いた製パン試験を実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。
【0032】
比較例2
25℃でウインタリングしたパーム油(融点約24℃)97重量%と、牛脂極度硬化油(融点約59℃)3重量%を混合して調整した油脂を第二の油相を構成する油脂とし、これに乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して加熱溶解させたものを第二の油相として用いた他は、実施例4と同様にして二重乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物の性状及び、この油脂組成物を用いた製パン試験を実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。
【0033】
比較例3
第一の油相を構成する油脂として大豆硬化油(融点約34℃)を用い、これにショ糖脂肪酸エステル(HLB=11)を1重量%含む水を加えて70℃に加熱溶解した後、2段式高圧ホモジナイザーにより1次圧力40kg/cm、2次圧力150kg/cmでホモジナイズして、第一の油相:Oが水相:WにO/W型に乳化した乳化物を得た。一方、ウインタリング処理したナタネ油(固体脂析出温度0℃以下)を第二の油相を構成する油脂とし、これに乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して加熱溶解して、第二の油相:Oとした。第二の油相10kgを70℃に加熱保持し、第二の油相に前記O/W型乳化物10kgを添加してホモミキサーにて6000r.p.mで攪拌して乳化した後、コンビネ−ターによって急冷してO/W/O型の二重乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物の性状及び、この油脂組成物を用いた製パン試験を実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。
【0034】
比較例4
大豆油をウインタリング処理して固体脂を除去した液状油(固体脂析出温度0℃以下)を第二の油相を構成する油脂とし、これに乳化剤としてポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを添加して加熱溶解させたものを第二の油相Oとして6kg用い、第一油相を含むO/Wは実施例1と同様にして、これを14kg用い、二重乳化油脂組成物を得た。この乳化油脂組成物の性状及び、この油脂組成物を用いた製パン試験を実施例1と同様に行った。結果を表1にあわせて示す。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の流動状二重乳化油脂組成物は、最内相の油相が乳脂肪で構成し、かつ最外相の油相が固体脂析出温度0℃以下の液状食用油脂90重量%以上と極度硬化油10重量%以下とで構成したことにより、油相に乳脂肪を用いていながら、流動性に優れるとともに乳化安定性に優れる。本発明の油脂組成物はポンプ等による連続供給が可能であり、本発明の油脂組成物を用いれば、パン等の製造工程の連続化を容易に図ることができる。また本発明の油脂組成物を製パン用に用いると、製パンの練り込み油脂に一般的な可塑性油脂を用いた場合と同様の製パン性と、バターを併用した時と同様に風味等に優れたパンを製造することができる。

Claims (3)

  1. 最内相となる第一の油相:Oと、最外相となる第二の油相:Oが、O/W/O型に二重乳化されている油中水中油型乳化物であって、第一の油相が乳脂肪を主成分とした油脂よりなるとともに、第二の油相が固体脂析出温度0℃以下の液状食用油脂90重量%以上と、極度硬化油10重量%以下とからなることを特徴とする流動状二重乳化油脂組成物。
  2. 第一の油相:Oを水相:WにO/W型に乳化した乳化物60〜10重量%を、第二の油相:O40〜90重量%に添加して乳化してなる請求項1記載の流動状二重乳化油脂組成物。
  3. 第一の油相を構成する乳脂肪を主成分とする油脂が、バター、バターファット、バターファット混合物、ナチュラルチーズ、生クリーム、全脂乳、牛乳、加糖練乳、無糖練乳、あるいはこれらの乾燥物より選ばれた1種又は2種以上に由来する請求項1又は2記載の流動状二重乳化油脂組成物。
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