JP4175095B2 - 積層フィルム及び包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層フィルムに関し、さらに詳しくは袋体にしたときの高温滅菌処理後におけるヘイズの変化が少なく、耐落袋性が良好でピンホールが発生しにくい積層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ノルボルネン系重合体などの脂環構造含有重合体は、これまで光学用途に使用されている熱可塑性樹脂と比較してガラス転移温度が高く、光線透過率が高く、しかも低複屈折性を示すなどの特徴を有しており、耐熱性、透明性及び光学特性に優れた透明熱可塑性樹脂として注目されており、いろいろな用途への展開が図られている。
【0003】
特許文献1には、壁面が材質の異なる少なくとも2層を含む多層からなる容器であって、その内の少なくとも1層が熱可塑性飽和ノルボルネン系ポリマーであることを特徴とする医療用又は食品包装用容器が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、環状オレフィン系樹脂(A)層と、該環状オレフィン系樹脂(A)層の表面に、それぞれ少なくとも1層ずつ設けられた線状中密度ポリエチレン及び/または線状低密度ポリエチレン樹脂(B)層とが積層された易カット性積層フィルムが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、特定の環状オレフィン系樹脂、またはこれとポリオレフィンとの組成物よりなる層と、ガラス転移温度が0℃以下の低結晶性ないし非晶性軟質重合体及び結晶性ポリオレフィン樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂99〜50重量%と、ガラス転移温度が50℃以上の低結晶性乃至非晶性重合体1〜50重量%の組成物から形成される層よりなる少なくとも2層が積層されてなる積層体が開示されている。
【0006】
さらに、当出願人は、特許文献4において、小角度X線散乱法で測定される長周期が275オングストローム以下である直鎖状低密度ポリオレフィンを含む層と、脂環式重合体からなる層と、熱可塑性樹脂からなる層とが、少なくとも積層されてなるフィルムを開示している。
【0007】
【特許文献1】
特開平4−276253号公報
【特許文献2】
特開平11−129415号公報
【特許文献3】
特開2001−38848号公報
【特許文献4】
特開2000−326459号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの公報に記載されている積層体を用いて袋体にし、煮沸滅菌、レトルト、スチーム滅菌などで高温に曝すと、積層体の界面での白化が発生したり、ヘイズや耐落袋性が悪化したり、突起物などによる突き刺しピンホールが発生したりすることがわかり、さらなる改良が望まれている。
従って、本発明の目的は、袋体にしたときの高温滅菌処理後におけるヘイズの悪化がなく、耐落袋性が良好でピンホールが発生しにくい積層フィルムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の脂環式構造含有重合体樹脂からなる層と少なくともその片面に特定の直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層とを積層することにより、上記目的を達成しうることを見出し、この知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0010】
かくして本発明によれば、
(1)脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有しかつガラス転移温度が60℃以上である脂環式構造含有重合体樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面に、融点が123〜133℃でかつビカット軟化点が114〜125℃である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層(B層)を少なくとも1層積層してなることを特徴とする積層フィルム、
(2)脂環式構造含有重合体樹脂の280℃におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜70g/10分である前記(1)記載の積層フィルム、
(3)脂環式構造含有重合体樹脂が、ノルボルネン系開環重合体水素添加物である前記(1)記載の積層フィルム、
(4)直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の密度が、0.923〜0.942g/cm3である前記(1)記載の積層フィルム、
(5)直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の190℃におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜5g/10分である前記(1)記載の積層フィルム、及び
(6)前記(1)乃至(5)のいずれか1項に記載の積層フィルムからなる包装体、
がそれぞれ提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の積層フィルムは、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有しかつガラス転移温度が60℃以上である脂環式構造含有重合体樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面に、融点が123〜133℃でかつビカット軟化点が114〜125℃である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層(B層)を少なくとも1層積層してなることを特徴とする。
【0012】
本発明の積層フィルムのA層に使用する脂環式構造含有重合体とは、主鎖及び/又は側鎖に脂環式構造を有するものであり、機械強度、耐熱性などの観点から、主鎖に脂環式構造を含有するものが好ましい。
【0013】
重合体の脂環式構造としては、飽和脂環炭化水素(シクロアルカン)構造、不飽和脂環炭化水素(シクロアルケン)構造などが挙げられるが、機械強度、耐熱性などの観点から、シクロアルカン構造やシクロアルケン構造が好ましく、中でもシクロアルカン構造が最も好ましい。脂環式構造を構成する炭素原子数には、格別な制限はないが、通常4〜30個、好ましくは5〜20個、より好ましくは5〜15個の範囲であるときに、機械強度、耐熱性、及びフィルムの成形性の特性が高度にバランスされ、好適である。本発明に使用される脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合は、使用目的に応じて適宜選択すればよいが、好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上、もっとも好ましくは90重量%以上である。脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合がこの範囲にあるとフィルムの透明性および耐熱性の観点から好ましい。
【0014】
脂環式構造含有重合体樹脂の具体例としては、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィン系重合体、(3)環状共役ジエン系重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素系重合体、及び(1)〜(4)の水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性及び機械的強度等の観点から、ノルボルネン系重合体及びその水素添加物、ビニル脂環式炭化水素重合体及びその水素添加物が好ましい。
【0015】
本発明において、脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を含有してなる構造のうち、ノルボルナン環を有しない脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合が、10重量%以上であることが好ましく、30重量%以上であることがさらに好ましく、50重量%以上であることが特に好ましい。ノルボルナン環を有しない脂環式構造を含有してなる繰り返し単位の割合を多くすることにより、得られる積層フィルムの防湿性、機械強度及び非吸着性を向上させることができる。
【0016】
(1)ノルボルネン系重合体
本発明に用いるノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系モノマーの開環重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、ならびにこれらの水素添加物、ノルボルネン系モノマーの付加重合体及びノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、耐熱性、機械的強度等の観点から、ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素添加物が最も好ましい。
【0017】
ノルボルネン系モノマーとしては、ビシクロ〔2.2.1〕ヘプト−2−エン(慣用名:ノルボルネン)及びその誘導体(環に置換基を有するもの)、トリシクロ〔4.3.01,6.12,5〕デカ−3,7−ジエン(慣用名ジシクロペンタジエン)及びその誘導体、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう:慣用名メタノテトラヒドロフルオレン)及びその誘導体、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(慣用名:テトラシクロドデセン)及びその誘導体、などが挙げられる。
【0018】
置換基としては、アルキル基、アルキレン基、ビニル基、アルコキシカルボニル基などが例示でき、上記ノルボルネン系モノマーは、これらを2種以上有していてもよい。具体的には、8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン、8−メチル−8−メトキシカルボニル−テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エンなどが挙げられる。
これらのノルボルネン系モノマーは、それぞれ単独であるいは2種以上を組み合わせて用いられる。
【0019】
これらノルボルネン系モノマーの開環重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体は、モノマー成分を、公知の開環重合触媒の存在下で重合して得ることができる。
ノルボルネン系モノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体などを挙げることができる。
【0020】
ノルボルネン系モノマーの開環重合体水素化物は、通常、上記開環重合体の溶液に、ニッケル、パラジウムなどの遷移金属を含む公知の水素化触媒を添加し、炭素−炭素不飽和結合を水素化することにより得ることができる。
【0021】
ノルボルネン系モノマーの付加重合体、またはノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとの付加(共)重合体は、これらのモノマーを、公知の付加重合触媒、例えば、チタン、ジルコニウム又はバナジウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒を用いて(共)重合させて得ることができる。
【0022】
ノルボルネン系モノマーと付加共重合可能なその他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテンなどの炭素数2〜20のα−オレフィン、及びこれらの誘導体;シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセンなどのシクロオレフィン、及びこれらの誘導体;1,4−ヘキサジエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなどの非共役ジエン;などが用いられる。これらの中でも、α−オレフィン、特にエチレンが好ましい。
【0023】
これらの、ノルボルネン系モノマーと共重合可能なその他のモノマーは、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。ノルボルネン系モノマーとこれと共重合可能なその他のモノマーとを共重合する場合は、共重合体中のノルボルネン系モノマー由来の構造単位と共重合可能なその他のモノマー由来の構造単位との割合が、重量比で通常30:70〜99:1、好ましくは50:50〜97:3、より好ましくは70:30〜95:5の範囲となるように適宜選択される。
【0024】
(2)単環の環状オレフィン系重合体
単環の環状オレフィン系重合体としては、例えば、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどの単環の環状オレフィン系単量体の付加重合体を用いることができる。
【0025】
(3)環状共役ジエン系重合体
環状共役ジエン系重合体としては、例えば、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンなどの環状共役ジエン系単量体を1,2−または1,4−付加重合した重合体及びその水素化物などを用いることができる。
【0026】
(4)ビニル脂環式炭化水素重合体
ビニル脂環式炭化水素重合体としては、例えば、ビニルシクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンなどのビニル脂環式炭化水素系単量体の重合体及びその水素化物;スチレン、α−メチルスチレンなどのビニル芳香族系単量体の重合体の芳香環部分の水素化物;などが挙げられ、ビニル脂環式炭化水素重合体やビニル芳香族系単量体と、これらの単量体と共重合可能な他の単量体とのランダム共重合体、ブロック共重合体などの共重合体及びその水素化物など、いずれでもよい。ブロック共重合体としては、ジブロック、トリブロック、またはそれ以上のマルチブロックや傾斜ブロック共重合体などが挙げられ、特に制限はない。
【0027】
脂環式構造含有重合体樹脂の分子量は、使用目的に応じて適宜選択されるが、シクロヘキサン溶液(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン溶液)のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーで測定したポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量で、通常5,000〜500,000、好ましくは8,000〜250,000、より好ましくは10,000〜200,000の範囲であるときに、樹脂の機械的強度及び成形加工性が高度にバランスされて好適である。
【0028】
脂環式構造含有重合体樹脂のガラス転移温度(Tg)は、60℃以上、好ましくは90℃以上、特に好ましくは120℃以上である。脂環式構造含有重合体樹脂のTgを前記範囲にすることにより、耐スチーム滅菌性、ヒートシール性及び柔軟性に優れる積層フィルムを得ることができる。脂環式構造含有重合体樹脂のTgが前記下限温度を下回るとスチーム滅菌時の熱収縮で寸法安定性が悪くなったり、内容物の容量が変化したり、応力による破損が起きたりする恐れがある。
【0029】
脂環式構造含有重合体樹脂の280℃におけるメルトフローレート(以下、「MFR」と記す。)は、0.1〜70g/10分の範囲が好ましく、更に好ましくは1〜65g/10分、特に好ましくは3〜60g/10分の範囲である。脂環式構造含有重合体樹脂(A)の280℃におけるMFRが上記下限値を下回ると樹脂の流動性が低くなりすぎて成形できず、逆に上記上限値を上回ると流動性が高くなりすぎて成形体の強度が低下する傾向にある。なお、脂環式構造含有重合体樹脂の280℃におけるMFRは、JIS K6719に準拠して測定する。
【0030】
本発明において、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつガラス転移温度が60℃以上である脂環式構造含有重合体樹脂からなる層(A層)の厚さは、特に限定されないが、通常15〜250μm、好ましくは25〜150μmである。
【0031】
本発明において、B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の融点は、123〜133℃、好ましくは124〜131℃の範囲である。融点が123℃を下回るとスチーム滅菌後に直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層に水滴が残ったり、熱変形や熱劣化が生じたりする傾向がある。
【0032】
本発明において、B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のビカット軟化点は、90〜130℃、好ましくは95〜125℃の範囲である。ビカット軟化点が90℃を下回ると、ピンホール性が低下し、逆に130℃を上回ると耐落袋性が低下する。なお、ビカット軟化点は、JIS K7206に準拠して測定する。
【0033】
本発明において、B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の密度は、好ましくは0.923〜0.942g/cm3の範囲、さらに好ましくは0.925〜0.940g/cm3の範囲である。直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の密度を上記範囲にすることにより、透明性に優れ、機械的強度が優れる積層フィルムを得ることができる。
【0034】
本発明において、B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の190℃におけるMFRは、好ましくは0.1〜5g/10分の範囲、さらに好ましくは0.5〜4g/10分の範囲、特に好ましくは1〜3g/10分の範囲である。MFRが上記下限値を下回ると樹脂の流動性が低くなりすぎて成形できず、逆に上記上限値を上回ると流動性が高くなりすぎて成形体の強度が低下する傾向にある。なお、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の190℃におけるMFRは、JIS K6719に準拠して測定する。
【0035】
本発明において、B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体であっても良く、また、エチレンと炭素数3〜10のα−オレフィンとの共重合体であっても良い。炭素数3〜10のα−オレフィンの具体例としては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセンー1、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1などが挙げられる。これらのα−オレフィンは1種を単独で使用しても良く、また、2種以上を併用しても良い。
【0036】
エチレンとα−オレフィンとの共重合体はランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であっても良い。共重合体中のエチレンの含有量は、通常、共重合体全体に対して90モル%以上、好ましくは93〜99.9モル%である。エチレンの量を90モル%以上にすることにより、機械的強度を向上させることができる。又、本発明の目的を阻害しなければ、酢酸ビニル、マレイン酸、ビニルアルコール、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチルなどを共重合体全体の10モル%以下の範囲で、共重合していても良い。
【0037】
本発明において、B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂は、チーグラー・ナッタ系重合触媒やメタロセン系オレフィン重合用触媒などの重合触媒を用いて公知の製造法で得ることができる。例えば、エチレンやα−オレフィンを原料モノマーとして、▲1▼チーグラー・ナッタ系重合触媒、又は▲2▼メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物の組合せからなる触媒系を用い、不活性ガス中での流動床式気相重合あるいは攪拌式気相重合、不活性溶媒中でのスラリー重合、モノマーを溶媒とするバルク重合などで製造される。
【0038】
本発明において、融点が123〜133℃でかつビカット軟化点が90〜130℃である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層(B層)の厚さは、特に限定されないが、通常15〜250μm、好ましくは25〜150μmである。
【0039】
本発明の積層フィルムは、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有しかつガラス転移温度が60℃以上である脂環式構造含有重合体樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面に、融点が123〜133℃でかつビカット軟化点が90〜130℃である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層(B層)を少なくとも1層積層されているものであるが、必要に応じて前記脂環式構造含有重合体樹脂からなる層(A層)の両面に前記融点が123〜133℃でかつビカット軟化点が90〜130℃である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層(B層)を積層したものでもよい。
【0040】
本発明においては、A層に用いる脂環式構造含有重合体樹脂及び/又はB層に用いる直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、分散剤、塩素捕捉剤、難燃剤、結晶化核剤、ブロッキング防止剤、防曇剤、離型剤、顔料、有機又は無機の充填材、中和剤、滑剤、分解剤、金属不活性化剤、汚染防止材、抗菌剤やその他の樹脂、熱可塑性エラストマーなどの公知の添加剤を発明の効果が損なわれない範囲で添加することができる。
【0041】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、有機ホスファイト系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。中でも透明性及び耐熱性の観点から、フェノール系酸化防止剤が好ましい。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が挙げられる。紫外線吸収剤としてはベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0042】
帯電防止剤としては、ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、両性イオン系帯電防止剤、無機フィラー、カーボンナノチューブ等があげられる。中でも、透明性及び分散性の観点から、ノニオン系帯電防止剤、カチオン系帯電防止剤、アニオン系帯電防止剤、カーボンナノチューブが好ましい。
分散剤としてはビスアミド系分散剤、ワックス系分散剤、有機金属塩系分散剤が挙げられる。
【0043】
難燃剤としては、リン酸系難燃剤、三酸化アンチモン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、マグネシウムの炭酸塩、赤リン等が挙げられる。中でも、分散性の観点からリン酸系難燃剤が好ましい。
ブロッキング防止剤としては、シリカ、天然ゼオライト、合成ゼオライト、カオリン、タルク、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、溶融シリカ、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ハイドロタルサイト系等の微粒子が挙げられる。
スリップ剤としては、ラウリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミドが好適である。
添加できるその他の樹脂としては、石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂やこれらの水素添加誘導体などが挙げられる。
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体とこの水添物のスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体とこの水添物のスチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体、エチレンプロピレンゴム、アイオノマーなどが挙げられる。
【0044】
本発明の積層フィルムを得る方法としては、共押出Tダイ法、共押出インフレーション法、共押出ラミネーション法等の共押出による成形方法、ドライラミネーション等のフィルムラミネーション成形方法、及び基材樹脂フィルムに対して樹脂溶液をコーティングするようなコーティング成形方法などの公知の方法を適宜利用することができる。
成形条件は、使用する前記脂環式構造含有重合体樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の種類に応じて適宜選択すればよい。
本発明の積層フィルムは、通常はシート状になっているが、チューブ状になっていてもよい。
【0045】
本発明の積層フィルムにおいて、通常は無延伸であるが、必要に応じて延伸加工を行ってもよい。延伸は、ロール方式、テンター方式、及びチューブ方式のいずれの方式で行うこともできる。延伸条件は、使用する前記脂環式構造含有重合体樹脂及び直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の種類に応じて適宜選択すればよい。
【0046】
本発明の積層フィルムの厚さは、好ましくは30〜500μm、さらに好ましくは35〜400μm、特に好ましくは40〜300μmの範囲である。積層フィルムの厚さが、上記上限厚さを超えると積層フィルムの柔軟性がなくなり、逆に上記下限厚さを下回ると積層フィルムの強度が低下し、破れやすくなる傾向がある。
【0047】
本発明の積層フィルムは、高温滅菌処理後におけるヘイズの変化が少なく、耐落袋性が良好で、さらにピンホールが発生しにくいので、湯滅菌、レトルト、ホットフィル、スチーム滅菌等に使用される用途に好適である。例えば、輸液バッグ、試薬管などの医療関連の容器又は包装袋用のフィルム;加熱滅菌の必要なレトルトパック、ゼリー、プリン容器及びこの容器に用いる蓋、ホットフィル用容器などの食品容器又は包装袋用のフィルム;電気電子部品、半導体部品、プリント配線板等の精密部品包装容器又は包装袋用のフィルム;食品、薬品、及び器具、文具、ノートなど雑貨類の保存・運搬用の熱収縮性包装材用のフィルム;キャップ、栓等の開封防止用シール包装材料用のフィルム;ボトル、容器等の熱収縮性ラベル材料用フィルムなどが挙げられる。
【0048】
本発明の包装体は、本発明の積層フィルムからなる。
本発明の包装体を製造する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有しかつガラス転移温度が60℃以上である脂環式構造含有重合体樹脂からなる層(A層)又は融点が123〜133℃でかつビカット軟化点が90〜130℃である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層(B層)を最内層として対向させて、ヒートシールする方法を挙げることができる。ヒートシールの形態は、積層フィルムの最内層を折り重ねるか、又は、その2枚を重ね合わせて、さらにその外周の周辺端部を、例えば側面シール型、2方シール型、3方シール型、4方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型、ひだ付きシール型、平底シール型、角底シール型などのヒートシール形態などにより、シールする方法が挙げられる。
ヒートシールする方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法が挙げられる、例えば、バーシール法、回転ロールシール法、ベルトシール法、インパルスシール法、高周波シール法、超音波シール法などである。本発明の包装体には、ワンピースタイプ、ツーピースタイプなどの注入口や、開閉用ジッパーなどを取り付けることもできる。
【0049】
本発明の包装体は、高温滅菌処理後におけるヘイズの変化が少なく、耐落袋性が良好で、さらにピンホールが発生しにくいので、湯滅菌、レトルト、ホットフィル、スチーム滅菌等に使用される用途に好適である。中でも、輸液バッグ、試薬管などの医療関連の容器又は包装袋、加熱滅菌の必要なレトルトパック、ゼリー、プリン容器及びこの容器に用いる蓋、ホットフィル用容器などの食品容器又は包装袋、電気電子部品、半導体部品、プリント配線板等の精密部品包装容器又は包装袋に特に好適である。なお、包装体の形状は、特に制限されるものではない。
【0050】
【実施例】
本発明を、参考例、及び実施例を示しながら、さらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
本実施例における評価は、以下の方法によって行う。
(1)分子量
シクロヘキサン(重合体樹脂が溶解しない場合はトルエン)を溶媒にして、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレン又はポリイソプレン換算の重量平均分子量(Mw)を求める。
(2)ガラス転移温度(Tg)
JIS−K7121に基づいて、示差走査熱量分析法(DSC)で測定する。
(3)水素添加率
重合体の主鎖及び芳香環の水素添加率は、1H−NMRを測定し算出する。
(4)積層フィルムの厚さ
マイクロゲージを用いて測定する。
【0051】
(5)積層フィルムの各層の厚さ
積層フィルムを医療用ミクロトームを用いて切断し、その切断面をデジタルマイクロスコープを用いて観察する。
(6)スチーム滅菌処理前後の形状変化
積層フィルムをヒートシールして得られた袋体に蒸留水500mlを充填し、これを20℃、50%RHの雰囲気下に24時間放置した後、高圧スチーム滅菌処理(121℃)を20分間行い、スチーム滅菌前後における袋体の形状の変化を確認して以下の3段階で評価する。
○:スチーム滅菌前後で変形がない
△:スチーム滅菌前後でへこみや歪みなどの若干の変形が見られる
×:スチーム滅菌前後で伸縮、破れ、内層の密着などの著しい変形が見られる
【0052】
(7)スチーム滅菌処理前後のヘイズ変化
積層フィルムを100mm×100mmに切り出して試験片とし、このヘイズH1を測定する。次いで、この試験片を高圧スチーム滅菌処理(121℃)を20分間行い、スチーム滅菌処理後の試験片のヘイズH2を測定する。スチーム滅菌前後のヘイズの変化率(%)(=100×(H2−H1)/H1)を計算し、以下の3段階で評価する。なお、ヘイズはJIS K7105に準拠して、ヘイズメーターで測定する。
○:ヘイズの変化率が10%未満
△:ヘイズの変化率が10%以上30%未満
×:ヘイズの変化率が30%以上
【0053】
(8)スチーム滅菌処理後の耐落袋性
積層フィルムをヒートシールして作成した袋体に蒸留水500mlを充填し、これを5℃、50%RHの雰囲気下に24時間放置した後、これを高さ1.2mの高さから落下させ、10袋中破袋した袋体の数を調べ、以下の3段階で評価する。
○:10袋中1袋も破袋なし
△:10袋中1〜2袋の破袋あり
×:10袋中3袋以上の破袋あり
【0054】
(9)スチーム滅菌処理前後のピンホール試験
ASTM−D1164に準拠して、内径100mmφの円形型筒に積層フィルムを緊張させてねじ止めし、スチーム滅菌処理前後で、その袋面に直径1mm、先端が曲率半径0.5mmの針を50±0.5mm/分の速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定し、以下の3段階で評価する。針が貫通するまでの最大荷重が大きいほど、ピンホールが発生しにくいことを示す。
○:0.08MPa以上
△:0.06MPa以上0.08MPa未満
×:0.06MPa未満
【0055】
(参考例1)脂環式構造含有重合体樹脂1の製造
窒素雰囲気下、脱水したシクロヘキサン500部に、1−ヘキセン0.82部、ジブチルエーテル0.15部、及びトリイソブチルアルミニウム0.30部を室温で反応器に入れ混合した後、45℃に保ちながら、トリシクロ〔4.3.01,6.12,5〕デカ−3,7−ジエン(ジシクロペンタジエン、以下、「DCP」と略記する。)80部と、7,8−ベンゾトリシクロ〔4.3.0.12,5〕デカ−3−エン(メタノテトラヒドロフルオレン、以下、「MTF」と略記する。)50部、テトラシクロ〔4.4.0.12,5.17,10〕ドデカ−3−エン(テトラシクロドデセン、以下、「TCD」と略記する。)70部と、及び六塩化タングステン(0.7%トルエン溶液)80部とを、2時間かけて連続的に添加し重合した。重合溶液にブチルグリシジルエーテル1.06部とイソプロピルアルコール0.52部を加えて重合触媒を不活性化し重合反応を停止させた。
【0056】
次いで、得られた開環重合体を含有する反応溶液100部に対して、シクロヘキサン35部を加え、さらに水素添加触媒としてニッケル−アルミナ触媒(日揮化学社製)5部を加え、水素により5MPaに加圧して撹拌しながら温度200℃まで加温した後、4時間反応させ、DCP/MTF/TCD開環共重合体水素添加物を20%含有する反応溶液を得た。濾過により水素化触媒を除去した後、前記水素添加物100部あたり0.1部のヒンダードフェノール系酸化防止剤(吉富製薬社製;トミノックスTT)を、得られた溶液に添加して溶解させた。次いで、円筒型濃縮乾燥器(日立製作所製)を用いて、温度270℃、圧力1kPa以下で、溶液から、溶媒であるシクロヘキサン及びその他の揮発成分を除去しつつ水素化物を溶融状態で押出機からストランド状に押出し、冷却後ペレット化してペレットを回収した。この開環共重合体水素添加物の、重量平均分子量(Mw)は35,000、水素添加率は99.8%、Tgは134℃、280℃におけるMFRは20g/10分であった。
【0057】
(実施例1)
参考例1で得られた脂環式構造含有重合体樹脂1とチーグラー系重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂a(融点126℃、ビカット軟化点122℃、密度0.939g/cm3、190℃におけるMFR2.1g/10分)とを、スクリュー径50mmφ、圧縮比2.5、L/D=30のスクリューを備えた樹脂溶融混練機を有するハンガーマニホールドタイプのTダイ式フィルム溶融押出し成形機を使用し、ダイリップを0.5mm、脂環式構造含有重合体樹脂1の溶融樹脂温度を220℃、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂aの溶融樹脂温度を180℃とし、Tダイの幅300mm、キャストロール温度60℃及び冷却ロール温度50℃の条件で、2層Tダイ押出し成形を行い、脂環式構造含有重合体樹脂1からなるA層(70μm)−直鎖状低密度ポリエチレン樹脂aからなるB層(30μm)の積層フィルム1を得た。
この積層フィルム1をヒートシール試験器(テスター産業社製)を用いて、シールバー幅は1mm、圧力は0.2MPa、温度210℃で、最内層をA層とし、A層同士をヒートシールして、袋体1を得た。得られた積層フィルム1及び袋体1の測定及び評価結果を表1に示す。
【0058】
(実施例2)
参考例1で得られた脂環式構造含有重合体樹脂1とチーグラー系重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂a(融点126℃、ビカット軟化点122℃、密度0.939g/cm3、190℃におけるMFR2.1g/10分)とメタロセン系オレフィン重合用触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂b(融点123℃、ビカット軟化点114℃、密度0.923g/cm3、190℃におけるMFR4.0g/10分)とを、脂環式構造含有重合体樹脂1の溶融樹脂温度を220℃、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂aの溶融樹脂温度を180℃、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂bの溶融樹脂温度を150℃とした他は、実施例1と同様の条件で、3層Tダイ押出し成形を行い、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂aからなるB1層(30μm)−脂環式構造含有重合体樹脂1からなるA層(70μm)−直鎖状低密度ポリエチレン樹脂bからなるB2層(30μm)の積層フィルム2を得た。さらに実施例1と同様に、最内層をB2層とし、B2層同士をヒートシールして、袋体2を得た。得られた積層フィルム2及び袋体2の測定及び評価結果を表1に示す。
【0059】
(比較例1)
チーグラー系重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂aのかわりにチーグラー系重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂c(融点125℃、ビカット軟化点88℃、密度0.923g/cm3、190℃におけるMFR5.0g/10分)を用い、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂cの溶融樹脂温度を160℃とした他は、実施例1と同様にして2層Tダイ押出し成形を行い、脂環式構造含有重合体樹脂1からなるA層(70μm)−直鎖状低密度ポリエチレン樹脂cからなるB層(30μm)の積層フィルム3を得た。さらに実施例1と同様に、最内層をA層とし、A層同士をヒートシールして、袋体3を得た。得られた積層フィルム3及び袋体3の測定及び評価結果を表1に示す。
【0060】
(比較例2)
チーグラー系重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂aのかわりにチーグラー系重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂d(融点120℃、ビカット軟化点104℃、密度0.924g/cm3、190℃におけるMFR2.1g/10分)を用い、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂dの溶融樹脂温度を160℃とした他は、実施例1と同様にして2層Tダイ押出し成形を行い、脂環式構造含有重合体樹脂1からなるA層(70μm)−直鎖状低密度ポリエチレン樹脂dからなるB層(30μm)の積層フィルム4を得た。さらに実施例1と同様に、最内層をA層とし、A層同士をヒートシールして、袋体4を得た。得られた積層フィルム4及び袋体4の測定及び評価結果を表1に示す。
【0061】
(比較例3)
チーグラー系重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂aのかわりにチーグラー系重合触媒を用いて製造された直鎖状低密度ポリエチレン樹脂e(融点121℃、ビカット軟化点89℃、密度0.923g/cm3、190℃におけるMFR0.7g/10分)を用い、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂eの溶融樹脂温度を160℃とした他は、実施例1と同様にして2層Tダイ押出し成形を行い、脂環式構造含有重合体樹脂1からなるA層(70μm)−直鎖状低密度ポリエチレン樹脂eからなるB層(30μm)の積層フィルム5を得た。さらに実施例1と同様に、最内層をA層とし、A層同士をヒートシールして、袋体5を得た。得られた積層フィルム5及び袋体5の測定及び評価結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
表1の結果から以下のことがわかる。実施例に示すように、脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有し、かつガラス転移温度が60℃以上である脂環式構造含有重合体樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面に、融点が123〜133℃で、かつビカット軟化点が90〜130℃である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層(B層)を少なくとも1層積層してなることを特徴とする積層フィルムは、袋体にしたときのスチーム滅菌処理前後における形状変化やヘイズの変化率が小さくてピンホールが発生しにくく、スチーム滅菌処理後の耐落袋性に優れている。
一方、B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の融点は本発明の範囲であるが、ビカット軟化点が本発明の範囲から外れているもの(比較例1)は、袋体にしたときのスチーム滅菌処理前後の形状変化が大きくなったり、スチーム滅菌後の袋体のピンホールが発生しやすくなったりする。B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のビカット軟化点は本発明の範囲であるが、融点が本発明の範囲から外れているもの(比較例2)は、袋体にしたときのスチーム滅菌処理前後の形状変化及びヘイズ変化率が大きくなったり、スチーム滅菌後の耐落袋性が低下したり、スチーム滅菌後の袋体のピンホールが発生しやすくなったりする。B層に使用する直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のビカット軟化点及び融点が本発明の範囲から外れているもの(比較例3)は、袋体にしたときのスチーム滅菌処理前後における形状変化やヘイズの変化率が大きくなったり、スチーム滅菌処理後の耐袋落性が低下したり、スチーム滅菌後の袋体のピンホールが発生しやすくなったりする。
【0064】
【発明の効果】
本発明の積層フィルムは、袋体にしたときの高温滅菌処理後におけるヘイズの変化が少なく、耐落袋性が良好で、ピンホールが発生しにくいので、湯滅菌、レトルト、ホットフィル、スチーム滅菌等に使用される食品、医薬品若しくは精密部品の容器又は包装などに適用できる。中でも、輸液バッグ、試薬管などの医療容器又は包装、加熱滅菌の必要なレトルトパック、ゼリー、プリン容器及びこの容器に用いる蓋、ホットフィル用容器などの食品容器又は包装等、高温での処理の必要な用途に特に好適である。
Claims (6)
- 脂環式構造を含有してなる繰り返し単位を有しかつガラス転移温度が60℃以上である脂環式構造含有重合体樹脂からなる層(A層)の少なくとも片面に、融点が123〜133℃でかつビカット軟化点が114〜125℃である直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂からなる層(B層)を少なくとも1層積層してなることを特徴とする積層フィルム。
- 脂環式構造含有重合体樹脂の280℃におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜70g/10分である請求項1記載の積層フィルム。
- 脂環式構造含有重合体樹脂が、ノルボルネン系開環重合体水素添加物である請求項1記載の積層フィルム。
- 直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の密度が、0.923〜0.942g/cm3である請求項1記載の積層フィルム。
- 直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の190℃におけるメルトフローレート(MFR)が、0.1〜5g/10分である請求項1記載の積層フィルム。
- 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の積層フィルムからなる包装体。
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