JP3054426B2 - 医療用袋 - Google Patents

医療用袋

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JP3054426B2
JP3054426B2 JP2149488A JP14948890A JP3054426B2 JP 3054426 B2 JP3054426 B2 JP 3054426B2 JP 2149488 A JP2149488 A JP 2149488A JP 14948890 A JP14948890 A JP 14948890A JP 3054426 B2 JP3054426 B2 JP 3054426B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は衛生性、柔軟性、透明性、耐熱性などにすぐ
れた血液、薬液などを充填する医療用袋に関する。さら
にくわしくは、三層または四層以上からなるシートで製
袋され、それぞれの層がポリエチレン系樹脂またはその
組成物から構成されてなる医療用袋に関するものであ
り、衛生性、柔軟性、透明性、耐熱性などにすぐれた血
液、薬液などを充填する医療用袋を提供するものであ
る。
〔従来の技術〕
現在、医療用容器として、ガラス、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどからなる硬質の容器と可塑剤を含むポ
リ塩化ビニルからなる軟質の袋が知られている。しか
し、前者は内容液を滴下するさいに通気針または通気孔
つきの輸液セットを用いて空気を導入せねばならない。
さらに、内容液の汚染などを生じる。一方、後者は、前
記の空気の導入が不要であり、内容液の滴下とともに袋
自体が大気圧によって絞られるなどの安全性、運搬の便
利性などがある。しかし、ポリ塩化ビニルに含まれる可
塑剤、残留モノマーの毒性などの問題がある。
これに対して、柔軟性、透明性、衛生性などの点で、
エチレン−酢酸ビニル共重合体、エラストマーなどのポ
リマーを中間層に用いた医療用袋が提案されている(特
開昭58−165866号)が、中間層に使われるこれらのポリ
マーは耐熱性が乏しいために滅菌時に袋にシワ状態が発
生するなどの外観の劣る医療用袋が得られるなどの問題
がある。
これらのことから、本発明者の一部らは、衛生性、柔
軟性、透明性、耐熱性などにすぐれた血液、薬液などを
充填する医療用袋について種々探索した結果、三層から
なり、それぞれの層がポリエチレン系樹脂から構成され
てなるシートで製袋された医療用袋が前記の特性を満足
するものであることを見い出し、以前に提案した(特開
昭62−44256号、同62−64363号)。
〔発明が解決しようとする課題〕
前記特開昭62−44256号公報明細書に記載された発明
では、外内表面層としてラジカル触媒を用いて製造され
た低密度ポリエチレン樹脂で構成されている(中間層は
線状低密度ポリエチレン樹脂)。このために該医療用袋
の内容物を滅菌する目的で、たとえば120℃の高圧蒸気
で処理すると、外表面層が低密度ポリエチレン樹脂で構
成されているので、耐熱性はかならずしも満足すべきも
のではなかった。たとえば、前記の高圧蒸気で20分間処
理すると、袋のシール強度が充分でなく、落下強度につ
いても満足すべきものではない。しかも、柔軟性および
透明性の点において充分ではなく、かつ若干の変形があ
る。
また、特開昭62−64363号公報明細書に記載された発
明では、いずれの層も線状ポリエチレン樹脂で構成され
ている。該線状ポリエチレン樹脂はいわゆるチーグラー
触媒を用いて製造されている。そのために、内表面層を
構成する線状ポリエチレン樹脂に存在する微量のチタン
およびアルミニウムが医療用袋に充填されている内容物
(薬液、血液など)中に場合によっては滲出する心配が
ある。しかも、該触媒系を構成するハロゲン原子(一般
には、塩素原子)を中和するために添加されるステアリ
ン酸カルシウムなどにより、また微粒子が増加する問題
がある。そのため、線状ポリエチレン樹脂中に残存する
触媒系をほぼ完全に除去するには触媒系の除去の工程が
必要であり、かりに触媒系の除去を行ったとしても、満
足すべき程度の効果を発揮することは難しい。
以上のことから、本発明は120℃の高圧蒸気で20分間
滅菌処理をしたとしても、変形がほとんどなく、シール
強度および落下強度の低下が小さく、かつ柔軟性および
透明性が維持され、しかも前記のごとく滲出するなどの
問題があった線状ポリエチレン樹脂を内表面層に使わな
い(用いたとしても、少量)医療用袋を提供することを
目的とするものである。
〔課題を解決するための手段および作用〕
本発明にしたがえば、これらの課題は、(A)炭素の
数が1〜10個である短鎖の分岐が、主鎖の炭素数1000個
当り1〜30個存在し、かつ密度が0.920〜0.970g/cm3
あり、メルトフローレートが0.1〜10g/10分であり、し
かも示差走査熱量計で測定した融点のピークが118〜135
℃に示す線状ポリエチレン樹脂(I)(以下「ポリエチ
レン樹脂(I)」という)、またはポリエチレン樹脂
(I)とラジカル触媒を用いて製造され、長鎖の分岐を
有する密度が0.915〜0.930g/cm3であり、メルトフロー
レートが0.1〜10g/10分である低密度ポリエチレン樹脂
(II)(以下「ポリエチレン樹脂(II)」という)を多
くとも50重量%含有する組成物からなる外表面層と、 (B)ポリエチレン樹脂(II)、またはポリエチレン樹
脂(II)と多くとも50重量%のポリエチレン樹脂(I)
を含有する組成物からなる内表面層と、 (C)炭素の数が1〜10個である短鎖の分岐が、主鎖の
炭素数1000個当り10〜70個存在し、かつ密度が0.890〜
0.930g/cm3であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10
分であり、しかも示差走査熱量計で測定した融点のピー
クが110〜128℃に示す線状低密度ポリエチレン樹脂(II
I)(以下「ポリエチレン樹脂(III)」という)、また
はポリエチレン樹脂(III)とポリエチレン樹脂(II)
を多くとも50重量%含有する組成物からなる中間層の三
層からなるフィルムないしシートで製袋された医療液体
用袋、及び上記医療液体用袋において、中間層と外表面
層との間に、ポリエチレン樹脂(II)、もしくはポリエ
チレン樹脂(II)と多くとも50重量%のポリエチレン樹
脂(I)を含有する組成物からなる層、および/または
中間層と内表面層との間に、ポリエチレン樹脂(I)、
もしくはポリエチレン樹脂(III)と多くとも50重量%
のポリエチレン樹脂(II)を含有する組成物からなる層
が設けられた、少なくとも4層からなるフィルムないし
シートで製袋された医療液体用袋、 によって解決することができる。以下、本発明を具体的
に説明する。
(A) ポリエチレン樹脂(I) 本発明において使われるポリエチレン樹脂(I)は、
主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の分岐の数は1〜30個で
あり、かつ密度は0.920〜0.970g/cm3である。また、MFR
は0.1〜10g/10分である。しかも、DSC(示差走査熱量
計)で測定した融点のピークが118〜135℃に示すもので
ある。
主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の分岐の数は1〜30個
であり、1〜25個が好ましく、特に4〜20個が好適であ
る。主鎖の炭素数1000個当りの分岐の数が1個未満のポ
リエチレン樹脂では、透明性が劣り、しかも柔軟性に欠
ける。一方、30個を超えたものでは、120℃の高温蒸気
滅菌時に表面力が変形して透明性も著しく劣る。
ここで短鎖の炭素数は1〜10個であり、1〜6個のも
のが好ましい。
また、密度は0.920〜0.970g/cm3であり、0.925〜0.97
0g/cm3のものが望ましく、とりわけ0.930〜0.965g/cm3
のものが好適である。密度が0.920g/cm3未満のポリエチ
レン樹脂を用いると、120℃の高圧蒸気滅菌時に表面力
が変形して透明性が劣る。一方、0.970g/cm3を超えたも
のを使用すると、柔軟性が劣る。
さらに、MFRは0.1〜10g/10分であり、0.2〜10g/10分
のものが好ましく、特に0.2〜8.0g/10分のものが好適で
ある。MFRが0.1g/10分未満のポリエチレン樹脂を使う
と、加工性が劣るために表面が肌荒れし、平滑なフィル
ムないしシートが得られない。一方、10g/10分を超えた
ものを用いると、衝撃強度が著しく弱くなり、袋として
の実用性の点で問題がある。
また、DSC(示差走査熱量計)で測定した融点のピー
クが118〜135℃に示すものであり、120〜135℃に示すも
のが望ましく、とりわけ122〜132℃に示すものが好適で
ある。該ピークが118℃未満に示すものでは、120℃の高
圧蒸気滅菌時に表面が変形し、透明性の点で問題があ
る。一方、135℃よりも高い温度に示すものでは、柔軟
性や透明性に劣る。
(B) ポリエチレン樹脂(II) また、本発明において用いられるポリエチレン樹脂
(II)はラジカル触媒を用いて製造されているものであ
る。このポリエチレン樹脂は一般には前記触媒を使用
し、高圧下(通常700〜3000kg/cm2)においてエチレン
を重合することによって製造されているのであり、工業
的に高圧法ポリエチレン樹脂として製造され、多方面に
わたって利用されているものである。このポリエチレン
樹脂(II)は長鎖の分岐を有するものである。ここで、
長鎖の分岐とは、主鎖に対して充分比較し得る程度の長
さを有するものであり、たとえば炭素数が15以上(一般
には、30個以上)の分岐を意味する。
該ポリエチレン樹脂(II)のMFRは前記のポリエチレ
ン樹脂(I)の場合と同じ理由により、0.1〜10g/10分
であり、0.2〜10g/10分が望ましく、とりわけ0.2〜8.0g
/10分が好適である。
また、該ポリエチレン樹脂(II)の密度は、0.915〜
0.930g/cm3であり、0.915〜0.928g/cm3が好ましく、特
に0.915〜0.927g/cm3が好適である。密度が0.915g/cm3
未満のポリエチレン樹脂(II)では、得られる医療用袋
を高圧蒸気を使って滅菌処理するさいに耐熱性に劣り、
変形やブロッキングが生じる。一方、0.930g/cm3を超え
ると、フィルムの柔軟性が低下し、落袋強度が低下する
ために好ましくない。
(C) ポリエチレン樹脂(III) さらに、本発明において使用されるポリエチレン樹脂
(III)は、主鎖の炭素数1000個当りの分岐数は10〜70
個であり、かつ密度は0.890〜0.930g/cm3である。ま
た、MFRは0.1〜10g/10分である。しかも、DSCで測定し
た融点のピークが110〜125℃に示すものである。
主鎖の炭素数1000個当りの短鎖の分岐数は10〜70個で
あり、20〜70個が好ましく、特に25〜70個が好適であ
る。主鎖の炭素数1000個当りの分岐数が10個未満のポリ
エチレン樹脂では、フィルムないしシートに成形したと
きのこれらの柔軟性に劣り、本発明の医療用袋としては
好ましくない。一方、70個を超えたものは、現在商業的
に生産されていない。
また、密度は0.890〜0.930g/cm3であり、0.890〜0.92
0g/cm3のものが望ましく、とりわけ0.890〜0.915g/cm3
のものが好適である。密度が0.890g/cm3未満のポリエチ
レン樹脂は現在商業的に生産されていない。一方、0.93
0g/cm3を超えたものを用いると、フィルムないしシート
に成形したときの柔軟性に劣り、本発明の医療用袋とし
て好ましくない。
さらに、MFRは前記のポリエチレン樹脂(I)と同じ
理由により、0.1〜10g/10分であり、0.2〜10g/10分のも
のが好ましく、特に0.2〜8.0g/10分が好適である。
また、DSCで測定した融点のピークが110〜125℃に示
すものであり、113〜124℃に示すものが望ましく、とり
わけ115〜122℃に示すものが好適である。該ピークが11
0℃未満に示すものは、現在商業的に生産されていな
い。
一方、125℃よりも高い温度に示すものでは、フィル
ムないしシートに成形した時に柔軟性に劣り、本発明の
医療用袋として好ましくない。
前記ポリエチレン樹脂(I)についても、またポリエ
チレン樹脂(III)についても、いずれもエチレンと炭
素数が3〜12個(好ましくは、3〜8個)のα−オレフ
ィンとをいわゆるフィリップス触媒またはチーグラー触
媒の存在下で共重合することによって工業的に広く製造
されているものである。また、ポリエチレン樹脂(I)
では、エチレン単独を前記の触媒系で単独重合すること
によっても製造されている。いずれの場合でも、一般に
は常圧ないし約100kg/cm3の圧力下で溶液法、気相法な
どの重合されている、該α−オレフィンの好ましいもの
としては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4
−メチルペンテン−1およびオクテン−1があげられ
る。
ポリエチレン樹脂(I)の場合でも、またポリエチレ
ン樹脂(III)の場合でも、いずれも“短鎖の分岐”と
は、分岐が主鎖と比較して極めて短いものであり、通常
炭素数が15個以下(好ましくは、10個以下)のものであ
る。
(D) 各層 本発明の医療用袋において、外表面層は前記ポリエチ
レン樹脂(I)単独で構成されていてもよく、またポリ
エチレン樹脂(I)と多くとも50重量%のポリエチレン
樹脂(II)を含有する組成物から構成されているもので
もよい。該組成物中にポリエチレン樹脂(II)の含有量
が50重量%を超えると、120℃の高圧蒸気滅菌時に表面
が成形し、透明性が劣る。これらの理由により、組成物
中のポリエチレン樹脂(II)の含有量が40重量%以下の
ものが好ましく、特に35重量%以下が好適である。
また、内表面層はポリエチレン樹脂(II)のみで構成
されていてもよく、またポリエチレン樹脂(II)と多く
とも50重量%のポリエチレン樹脂(I)を含有する組成
物から構成されているものでもよい。該組成物中のポリ
エチレン樹脂(I)の含有量が50重量%を超えると、重
合時に使用する微量の金属系触媒残分や中和するために
使用する添加剤が内容液に直接触媒するので好ましくな
い。これらの理由により、組成物中のポリエチレン樹脂
(I)の含有量が30重量%以下が望ましく、とりわけ20
重量%以下が好適である。
さらに、中間層はポリエチレン樹脂(III)単独で構
成されていてもよく、またポリエチレン樹脂(III)と
多くとも50重量%のポリエチレン樹脂(II)を含有する
組成物から構成されていてもよい。該組成物中にポリエ
チレン樹脂の含有量が50重量%を超えると、柔軟性が劣
るとともに透明性も劣るために好ましくない。これらの
理由により、組成物中のポリエチレン樹脂(II)の含有
量が40重量%以下のものが好ましく、特に35重量%以下
のものが好適である。
本発明の医療用袋は以上の中間層を介在し、その両表
面に外表面層と内表面層とからなる三層のものでもよ
い。また、中間層と外表面層との間に前記内表面層を構
成するポリエチレン樹脂(II)またはポリエチレン樹脂
(II)と多くとも50重量%のポリエチレン樹脂(I)を
含有する組成物の層を設けてもよく、中間層と内表面層
との間に前記外表面層を構成する前記ポリエチレン樹脂
(I)またはポリエチレン樹脂(I)と多くとも50重量
%のポリエチレン樹脂(II)とを含有する組成物の層を
設けてもよい。
(E) シートおよびその製造方法 本発明の医療用袋を製造するには、まず前記の各層か
らなるフィルムないしシートを製造する。このフィルム
ないしシートはチューブ状でもよい。
本発明のシートにおいて、各層を構成するために使用
されるポリエチレン樹脂(I)ないしポリエチレン樹脂
(III)はそれぞれ同一でもよく、異種でもよい。ま
た、各層が組成物の場合、組成割合は同一でもよく、異
ってもよい。
本発明のフィルムないしシートの厚さは全体として通
常0.10mmないし0.80mmであり、0.15〜0.70mmが望まし
く、とりわけ0.15〜0.50mmが好適である。フィルムない
しシートの厚さが全体として0.10mm未満では、衝撃強度
が弱く、実用上問題がある。一方、0.80mmを超えると、
柔軟性が著しく低下して医療用袋としての実用性に劣
る。
また、該フィルムシートの各層の厚さの比は外表面層
/中間層(多層も含む)/内表面層で比較すると、一般
には5:90:5〜30:40:30であり、5:90:5〜25:50:25が望ま
しく、とりわけ5:90:5〜20:60:20が好適である。外表面
層および内表面層が下限未満では、得られる医療用袋の
耐熱性がよくない(120℃の高圧蒸気で20分間滅菌処理
をすると、変形することがある)。一方、上限を超える
と、得られる医療用袋の柔軟性が劣り、実用上問題があ
る。
本発明のフィルムないしシートを製造するには、水冷
式または空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダ
イ法、ドライラミネーション法、押出ラミネーション法
などがあげられるが、経済性および医療用袋の衛生性な
どの点から、共押出インフレーション法および共押出T
ダイ法が好ましい。
以上の共押出インフレーション法の場合でも、共押出
Tダイ法の場合でも、さらに各層が組成物の場合におけ
る組成物を製造するさいに溶融混練するときでも、いず
れもポリエチレン樹脂(I)ないしポリエチレン樹脂
(III)が溶融する温度で実施する必要がある。しか
し、高過ぎる温度で実施するならば、これらのポリエチ
レン樹脂が熱分解しない温度で実施しなければならな
い。これらのことから、以上のことを実施するさいの温
度範囲は通常150〜210℃(好ましくは、160〜200℃)で
ある。
(F) 医療用袋およびその製造 以上のようにして得られたフィルムないしシートまた
はそのチューブ状物を一般の袋を製造するさいに行なわ
れている方法を適用し、適宜所定の形状および寸法に製
袋し、注出入口(口栓)を取付けることによって本発明
の医療用袋を製造することができる。
第1図は本発明に係る代表的な医療用袋の正面図であ
る。第1図において、1は袋部であり、2は上融着部で
あり、3は下融着部である。また、4は注出入口(口
栓)である。さらに5は境界線であり、5aは端部であ
り、5bは末端部である。6は吊孔であり、7は透明な融
着部である。正面図が第1図に示される医療用袋におい
て、上融着部2および下融着部3は透明状のものでもよ
い。しかし、融着をより確実なものにするためにローレ
ット状のものでもよい。
本発明の医療用袋を製造するために第1図の医療用袋
の上融着部2および下融着部3および袋部1と注出入口
4を設けるさい、シールは一般に行なわれているように
熱シールする。熱シールは内表面層を構成する低密度ポ
リエチレン樹脂またはその組成物が溶融する温度であ
る。しかし、高い温度で熱シールすると、外表面層、中
間層などのフィルムを容易に溶かし、流動し易くなるた
めにシール部分のフィルムの厚みが極度に薄肉化して強
度が低下する。これらのことから、内表面層の融点より
も10〜30℃(好ましくは、10〜25℃)高い温度で実施す
ることが望ましい。また、注出入口4は内表面層を構成
する低密度ポリエチレン樹脂またはその組成物と同種の
ものが好ましい。
以上のようにして得られる医療用袋の重要な点は、前
記の厚さの範囲内に外表面層および内表面層に前記ポリ
エチレン樹脂(I)またはその樹脂を主成分とする組成
物を設けることによって耐熱性がすぐれ、しかも中間層
にポリエチレン樹脂(II)またはその樹脂を主成分とす
る組成物を設けることによって柔軟性が良好であり、か
つ内表面層に前記ポリエチレン樹脂(II)またはその樹
脂を主成分とする組成物を設けることによって安全性の
点でもすぐれ、これらによってポリエチレン樹脂製の安
全性が高く、かつ性能の点でも良好な医療用袋を得るこ
とができたのである。
〔実施例および比較例〕
以下、実施例によって本発明をさらにくわしく説明す
る。
なお、実施例および比較例において、密度はJIS K711
2のD法にしたがい、23℃±0.1℃の温度において測定し
た。さらに、融点はDSC−法にしたがい、昇温速度が1
分間当り10℃で昇温させ、ピークの温度を求めた。ま
た、柔軟性はASTM D−882に準拠し、引張弾性率を測定
した。さらに、透明性は内容液を充填した後、120℃の
温度で20分間高圧蒸気滅菌処理をし、40℃において40分
間熱処理したさいに肉眼で観察した。また、透明性は生
理食塩水を充填し、滅菌後の透視性を肉眼で観察するこ
と、およびASTM D−1003法に準拠して測定することによ
って求めたヘーズ(Haze)によって評価した。さらに、
熱収縮率はJIS Z1709にしたがい、140℃の温度において
縦方向について測定した。また、衛生性は日本薬局方輸
液用プラスチック容器試験法に基づいて試験した結果を
評価した。それぞれ、シワ、変形および破袋の状態を観
察した。なお、衛生性、落下強度、および外観は下記の
四ランクで示した。
◎:非常に良好 ○:良好 △:やや不良 ×:不良 なお、実施例および比較例において、医療用袋の外表
面層、中間層および内表面層を構成するポリエチレン樹
脂(I)、ポリエチレン樹脂(II)およびポリエチレン
樹脂(III)の物性を下記に示す。
〔(A)ポリエチレン樹脂(I)〕
ポリエチレン樹脂(I)として、主鎖の炭素数1000個
当りのエチル基の数が5個であり、融点のピークが128
℃であり、かつMFRが1.0g/10分であり、ブテン−1の共
重合割合が1モル%であるエチレンとブテン−1との共
重合体〔密度0.951g/cm3、以下「PE(a)」と云う〕お
よび主鎖の炭素数1000個当りのブチル基が12個であり、
融点のピークが123℃であり、かつMFRが4.0g/10分であ
り、ヘキセン−1の共重合割合が約2.5モル%であるエ
チレンとヘキセン−1との共重合体〔密度0.932g/cm3
以下「PE(b)」と云う〕を使った。比較のために主鎖
の炭素数1000個当りのエチル基の数が5個であり、かつ
MFRが12g/10分であり、しかも融点のピークが129℃であ
り、ブテン−1の共重合割合が約1モル%であるエチレ
ンとブテン−1との共重合体〔密度 0.950g/cm3、以下
「PF(c)」と云う〕を使用した。
〔(B)ポリエチレン樹脂(II)〕
また、ポリエチレン樹脂(II)として、いずれもフリ
ーラジカル触媒を使用していわゆる高圧法で製造したMF
Rが1.0g/10分であり、かつ密度が0.928g/cm3であるポリ
エチレン樹脂〔以下「LDPE(1)」と云う〕およびMFR
が3.0g/10分であり、かつ密度が0.917g/10分であるポリ
エチレン樹脂〔以下「LDPE(2)」と云う〕、MFRが0.5
g/10分であり、かつ密度が0.928g/cm3であるポリエチレ
ン樹脂〔以下「LDPE(3)と云う〕およびMFRが5.0g/10
分であり、かつ密度が0.920g/cm3であるポリエチレン樹
脂〔以下「LDPE(4)」と云う〕を用いた。
〔(C)ポリエチレン樹脂(III)〕
さらに、ポリエチレン樹脂(III)として、主鎖の炭
素数1000個当りのエチル基の数が48個であり、融点のピ
ークが117℃であり、かつMFRが2.0g/10分であり、ブテ
ン−1の共重合割合が約9.5モル%であるエチレンとブ
テン−1との共重合体〔密度0.895g/cm3、以下「PE
(A)」と云う〕および主鎖の炭素数1000個当りのブチ
ル基の数が37個であり、融点のピークが119℃であり、
かつMFRが0.9g/10分であり、しかもヘキセン−1の共重
合割合が7.5モル%であるエチレンとヘキセン−1との
共重合体〔密度0.905g/cm3、以下「PE(B)」と云う〕
を使用した。比較のために、主鎖の炭素数1000個当りエ
チル基の数が8個であり、融点のピークが125℃であ
り、かつMFRが1.0g/10分であり、ブテン−1の共重合割
合が1.6モル%であるエチレンとブテン−1との共重合
体〔密度0.925g/cm3、以下「PE(C)」と云う〕および
主鎖の炭素数1000個当りのブチル基の数が20個であり、
融点のピークが120℃であり、かつMFRが15g/10分であ
り、ヘキセン−1の共重合割合が4モル%であるエチレ
ンとヘキセン−1との共重合体〔以下「PE(D)」と云
う〕を使用した。
〔(D)組 成 物〕
また、組成物として、いずれも各組成成分をあらかじ
め5分間ヘンシェルミキサーを用い、得られた各混合物
を樹脂温度が180℃において一軸押出機(スクリューの
径65mm)を使用して混練しながらペレット状の組成物を
製造した。各組成成分の組成割合および種類ならびに得
られた各組成物の略称を第1表に示す。
実施例1〜7、比較例1〜9 それぞれの厚さが第2表に示される中間層として種類
が第2表に示されるポリエチレン系樹脂または組成物を
介在し、内表面層および外表面層として種類が第2表に
示されるポリエチレン系樹脂または組成物を水冷式共押
出法によって積層長尺物を製造した(実施例1〜5、比
較例1〜6)。また、Tダイ法によって積層長尺物を製
造した(実施例6,7、比較例7〜9)。
実施例8〜14 それぞれの厚さが第3表または第4表に示される中間
層(I)および中間層(II)または中間層(I)、中間
層(II)および中間層(III)として種類が第3表また
は第4表に示されるポリエチレン系樹脂または組成物を
介在し、内表面層および外表面層として種類が第3表ま
たは第4表に示されるポリエチレン系樹脂を水冷式共押
出法によって積層長尺物を製造した。
以上のようにして得られる各積層長尺物から第1図に
正面図が示されている医療用袋(内容積500ml)を製造
した。このようにして得られた医療用袋の引張弾性率
(柔軟性)、熱収縮率およびヘーズ(透明性)の測定を
行なった。それらの結果を第5表に示す。
以上の実施例および比較例の結果から、本発明の医療
用袋は、柔軟性が良好であるばかりでなく、透明性にも
すぐれており、しかも衛生性が良好であり、とりわけ耐
熱性がすぐれていることは明らかである。
〔発明の効果〕
本発明の医療用袋は下記のごとき効果(特徴)を発揮
する。
(1) 耐熱性がすぐれているために120℃で20分間滅
菌したとしても、袋にシワ、変形などの発生がほとんど
なく、外観的にも良好である。
(2) 柔軟性がすぐれているために内容液の排出ムラ
などを生じることがない。
(3) 透明性が良好であるから、内容液の状態の判断
が簡易である。
(4) 外観(シワ、変形などがない)がよく、破袋が
ほとんどない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の代表的な医療用袋の正面図である。 1……袋部、2……上融着部 3……下融着部、4……注出入口(口栓) 5……境界線、5a……端部 5b……末端部、6……吊孔 7……融着部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61J 1/10 B32B 27/32

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)炭素の数が1〜10個である短鎖の分
    岐が、主鎖の炭素数1000個当り1〜30個存在し、かつ密
    度が0.920〜0.970g/cm3であり、メルトフローレートが
    0.1〜10g/10分であり、しかも示差走査熱量計で測定し
    た融点のピークが118〜135℃に示す線状ポリエチレン樹
    脂(I)、または線状ポリエチレン樹脂(I)とラジカ
    ル触媒を用いて製造され、長鎖の分岐を有する密度が0.
    915〜0.930g/cm3であり、メルトフローレートが0.1〜10
    g/10分である低密度ポリエチレン樹脂(II)を多くとも
    50重量%含有する組成物からなる外表面層と、 (B)低密度ポリエチレン樹脂(II)、または低密度ポ
    リエチレン樹脂(II)と多くとも50重量%の線状ポリエ
    チレン樹脂(I)を含有する組成物からなる内表面層
    と、 (C)炭素の数が1〜10個である短鎖の分岐が、主鎖の
    炭素数1000個当り10〜70個存在し、かつ密度が0.890〜
    0.930g/cm3であり、メルトフローレートが0.1〜10g/10
    分であり、しかも示差走査熱量計で測定した融点のピー
    クが110〜128℃に示す線状低密度ポリエチレン樹脂(II
    I)、または線状低密度ポリエチレン樹脂(III)と低密
    度ポリエチレン樹脂(II)を多くとも50重量%含有する
    組成物からなる中間層の三層からなるフィルムないしシ
    ートで製袋された医療用袋。
  2. 【請求項2】請求項1記載の医療用袋において、中間層
    と外表面層との間に、低密度ポリエチレン樹脂(II)、
    もしくは低密度ポリエチレン樹脂(II)と多くとも50重
    量%の線状ポリエチレン樹脂(I)を含有する組成物か
    らなる層、および/または中間層と内表面層との間に、
    線状ポリエチレン樹脂(I)、もしくは線状低密度ポリ
    エチレン樹脂(III)と多くとも50重量%の低密度ポリ
    エチレン樹脂(II)を含有する組成物からなる層が設け
    られた、少なくとも4層からなるフィルムないしシート
    で製袋された医療用袋。
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