JP2016106792A - 医療用複室容器 - Google Patents

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加央里 舩津
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Abstract

【課題】透明性、柔軟性を備え、耐落下性、耐低温衝撃性、ヒートシール特性を有し、かつ、弱シール部である仕切部における良好な剥離作業性を備える医療用複室容器を提供する。【解決手段】 医療用複室容器1は、熱可塑性樹脂製シートからなり、剥離可能な仕切部9を備えた容器本体2と排出ポート3を有する。シートは、プロピレン系樹脂を65〜75wt%、融解温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する樹脂組成物により形成されており、かつ、プロピレン系樹脂中に、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体が分散した状態となっており、さらに、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、円相当径が、300nm以下のものが、90%以上となっている。【選択図】図1

Description

本発明は、熱可塑性樹脂製の医療用複室容器に関する。
輸液等の体内に注入する薬液の容器として、ガラス瓶やプラスチックバッグ等が用いられている。ガラス瓶は、重量が大きく、また輸送時の衝撃や落下等により破損しやすいと言う問題点があった。現在では、医療用容器として、ポリエチレン、ポリプロピレン等の素材を用いたプラスチック容器が用いられるようになった。
医療用プラスチック容器を用いる医療用容器は、Tダイ法やインフレーション法でシート状やチューブ状にされた後、熱融着等によって袋状の容器本体を形成し、開口部より薬液を充填した後、開口部を密封シールし、蒸気滅菌等により滅菌されることによって製造される。
ポリエチレンは、耐熱性に劣り、120℃での水蒸気滅菌が困難であるため、低温で滅菌せざるを得なかった。ポリプロピレンは、120℃での水蒸気滅菌が可能であるという点で他の素材に比べ優れているが、低温での耐衝撃性に劣り、特に、熱融着によって形成されたシール部の剥離が大きな衝撃を受けた際に起こり易いという問題点があった。さらに、従来のバッグ素材は、透明性が低く、視認性が劣るという問題点があった。
医療用容器においては、排液性を向上させるために柔軟性が必要であり、また、内容物を確認するための透明性、使用・輸送時に破壊が生じないための耐落下性や低温での耐衝撃性が必要である。さらに容器用シートを成形する際の成形安定性も必要な事項となる。そして、そのような条件を考慮し、柔軟性、耐衝撃性が高く、透明性に優れるスチレン系熱可塑性エラストマー等を含有するポリプロピレン系樹脂組成物が提案されている。
ポリプロピレン系樹脂組成物を用いた医療用容器として、以下のようなものを本願出願人が提案している。
特開2010−229256(特許文献1)では、複数の収容室に区画されている医療用複室容器であって、医療用複室容器は、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いない医療容器用ポリプロピレン系樹脂組成物により形成されている。そして、ポリプロピレン系樹脂組成物としては、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)50〜65wt%、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)25〜35wt%、条件(C−i)〜(C−iii)を満たすプロピレン系樹脂成分(C)10〜20wt%からなる医療容器用プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いた医療用容器。(C−i)プロピレン−エチレンブロック共重合体であること、(C−ii)分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること、(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレートが2.0〜8.0g/10minの範囲にあるものを用いている。
また、医療用輸液容器としては、2室に収納された薬液の未混合状態での投与を防止するために、例えば、特開平9−327498号(特許文献2)のように薬剤排出口と薬剤を収納する分室との間を区切る連通阻害用弱シール部を備える複室容器を本願出願人が提案している。
特開2010−229256 特開平9−327498号公報
特許文献1の医療用複室容器は、透明性および柔軟性を備え、良好な耐落下性、耐低温衝撃性、ヒートシール特性を有しており有用である。この医療用複室容器は、剥離可能な弱シール部からなる仕切部により、2つの薬剤室に区分されている。弱シール部形成のためのヒートシール温度を管理しても、剥離が不能ではないが、操作が困難な仕切部が形成されることがあった。本発明者が、鋭意検討したところ、シート形成材料中の樹脂構造に起因することがわかった。
本発明の目的は、スチレン系熱可塑性エラストマーを用いることなく、透明性および柔軟性を備え、良好な耐落下性、耐低温衝撃性、ヒートシール特性を有し、かつ、弱シール部である仕切部における良好な剥離作業性を備える仕切部を有する医療用複室容器を提供するものである。
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1)熱可塑性樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、前記薬剤室の下端部と連通するように前記容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有し、さらに、前記薬剤室は、剥離可能な仕切部により内部空間が第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分され、かつ、前記排出ポートが、前記容器本体に前記第1の薬剤室の下端部と連通するように固定されている医療用複室容器であって、前記シートは、融解温度が、120℃以上であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、融解温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されており、かつ、前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成された前記シートは、前記プロピレン系樹脂中に、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体が分散した状態となっており、かつ、前記略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布において円相当径が、300nm以下のものが、累積頻度90%以上であり、かつ、前記容器本体は、前記仕切部において、前記プロピレン系樹脂によりヒートシールされない領域を含むことにより、剥離可能なものとなっている医療用複室容器。
(2) 前記略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布において円相当径が、300nm以下のものが、累積頻度95%以上である上記(1)に記載の医療用複室容器。
(3) 前記略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布における累積50%粒子径が、80〜220nmである上記(1)または(2)に記載の医療用複室容器。
(4) 前記シートは、形成材料である前記プロピレン系樹脂および前記エチレン−α−オレフィン共重合体を含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物を混練機能付き押出機に投入後、前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物の溶融温度以上にて、3分以上混練した後、シート状に押し出し、かつ押し出されたものを所定速度にて引き取ることにより作製したものである上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(5) 前記仕切部は、中央弱シール部と、該中央弱シール部の両側に形成され、かつ前記中央弱シール部よりシール強度が高い側部シール部を有している上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(6) 前記複室容器は、前記第1の薬剤室と前記排出ポートとの連通を阻害する連通阻害用弱シール部を備えている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(7) 前記第1の薬剤室および前記第2の薬剤室のそれぞれに薬剤が収納されている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(8) 前記医療用複室容器は、前記薬剤が収納された薬剤室を押圧することにより、前記仕切部が剥離するものである上記(7)に記載の医療用複室容器。
(9) 前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、前記プロピレン系樹脂として、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)を50〜60wt%、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)を、10〜20wt%、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)を25〜35wt%含有している上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の医療用複室容器。
(10) 前記プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)は、下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たし、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、下記条件(B−i)〜(B−iii)を満たし、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)は、(C−i)〜(C−iii)を満たすものである上記(9)に記載の医療用複室容器。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10minの範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
(B−i)密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあること
(B−ii)DSC測定における融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
(C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
本発明の医療用複室容器は、熱可塑性樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、薬剤室の下端部と連通するように容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有し、さらに、薬剤室は、内部空間が剥離可能な仕切部により第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分され、かつ、排出ポートが、容器本体に第1の薬剤室の下端部と連通するように固定されている。さらに、シートは、融解温度が、120℃以上であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、融解温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されており、かつ、シートを構成する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂中に、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体が分散した状態となっており、かつ、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布において円相当径が、300nm以下のものが、累積頻度90%以上であり、かつ、容器本体は、仕切部において、前記仕切部において、前記プロピレン系樹脂によりヒートシールされない領域を含むことにより、剥離可能なものとなっている。
この医療用複室容器では、プロピレン系樹脂中に分散する略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体の円相当径(言い換えれば、粒径)が小さいため、仕切部において、エチレン−α−オレフィン共重合体が形成する多数の小さい略粒状部により、ヒートシールされており、部分的な強シール部の形成がなく、全体として均一なシール部となっている。このため、複室容器の連通操作である、仕切部の剥離作業を容易に行うことができる。
図1は、本発明の医療用複室容器の一実施例の正面図である。 図2は、本発明の実施例の医療用複室容器について行った測定結果を示すグラフである。 図3は、本発明の実施例の医療用複室容器について行った測定結果を示すグラフである。 図4は、本発明の実施例の医療用複室容器について行った測定結果を示すグラフである。 図5は、比較例の医療用複室容器について行った測定結果を示すグラフである。 図6は、比較例の医療用複室容器について行った測定結果を示すグラフである。
本発明の医療用複室容器について、図面に示す実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の医療用容器の一実施例の正面図である。なお、図中の上側を「上端」、下側を「下端」として説明する。
本発明の医療用複室容器1は、熱可塑性樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、薬剤室の下端部と連通するように容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有し、さらに、薬剤室は、内部空間が剥離可能な仕切部により第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分され、かつ、排出ポートが、容器本体に第1の薬剤室の下端部と連通するように固定されている。さらに、シートは、融解温度が、120℃以上であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、融解温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されており、かつ、シートを構成する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂中に、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体が分散した状態となっており、かつ、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布において円相当径が、300nm以下のものが、累積頻度90%以上であり、かつ、容器本体は、仕切部において、仕切部において、前記プロピレン系樹脂によりヒートシールされない領域を含むことにより、剥離可能なものとなっている。また、仕切部は、少なくとも分散した状態の略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体によりヒートシールされることにより、剥離可能なものとなっているということもできる。
この実施例の医療用複室容器1は、可撓性材料により作製され、剥離可能な仕切部9により第1の薬剤室21と第2の薬剤室22とに内部空間が区分された容器本体(軟質バッグ)2と、第1の薬剤室21の下端部と連通する排出ポート3と、第1の薬剤室21に収納された第1の薬剤と、第2の薬剤室22に収納された第2の薬剤とを備えている。さらに、この実施例の医療用複室容器1は、第1の薬剤室21と排出ポート3との連通を阻害する剥離可能な連通阻害用弱シール部10を備えている。
医療用複室容器1は、図1に示すように、軟質バッグ2と、第1の薬剤と、第2の薬剤と、排出ポート3、混注ポート4とを備えている。
また、本発明の軟質バッグ2は、図1に示すように、第1の薬剤室21と、第2の薬剤室22と、仕切部9と、連通阻害用弱シール部10と、排出ポート取付部27、混注ポート取付部28,薬剤注入部29を備えている。
軟質バッグ2は、インフレーション成形法により筒状に成形されたものが好ましい。なお、軟質バッグ2は、例えばブロー成形法などの種々の方法により製造されたものであってもよい。また、軟質バッグ2は、筒状体の外周部の全周をシールしたもの、上下端のみをシールしたもの、1枚のシートを2つ折りにして、折り曲げ部(側辺部7または8)以外の3辺をシールしたものなどの袋状物であってもよい。
すなわち、軟質バッグ2の上端部および下端部には、上端側シール部5および下端側シール部6が設けられている。上端側シール部5、下端側シール部6は、幅広強シール部となっている。また、軟質バッグ2の側辺には、強シール部である側辺部7,8が設けられていてもよい。また、軟質バッグ2の下端側シール部6には、図1に示すように、排出ポート3を取り付けるための排出ポート取付部27、第1の薬剤室21内に薬剤を注入するための薬剤注入部29が設けられている。
排出ポート取付部27および薬剤注入部29は、下端側シール部6の一部を軟質バッグ2内部と外部とが連通する非シール部である。そして、薬剤注入部29は、薬剤注入後、シール部6aによりシールされている。なお、下端側シール部6には薬剤注入部29が設けられていることが好ましいが側辺部7、8に設けられていてもよく、また、なくてもよい。また、上端側シール部5には、混注ポートを取り付けるための混注ポート取付部28が設けられている。混注ポート取付部28は、上端側シール部5の一部を軟質バッグ内部と外部とが連通するように形成した非シール部である。なお、混注ポート取付部28は、必ずしも設けなくてもよい。また、同様の非シール部を第2の薬剤室の薬剤の注入部として同じ位置に設けてもよい。なお、第2の薬剤室の薬剤の注入部は、側辺部7、8に設けてもよい。
図1に示すように、軟質バッグ2は、仕切部9により第1の薬剤室21と第2の薬剤室22に区画されている。そして、この実施例の医療用複室容器1では、仕切部9は、中央弱シール部9aと、中央弱シール部9aの両側部分もしくは両側に形成された側部シール部9bとにより形成されている。本発明の実施例においては、仕切部9は、図1に示すように、軟質バッグ2の薬剤室の横方向全体を横切るように設けられている。
そして、中央弱シール部9aは、軟質バッグ2の側辺部(側辺シール部)7、8からそれぞれ軟質バッグ2の中央に向かって延出した2つの側部シール部9bの間を連続してつなぐように設けられている。中央弱シール部9a及び側部シール部9bは、軟質バッグ2のシート材を帯状に剥離可能に融着することにより形成されている。このような構成により、薬剤室の中央付近には、中央弱シール部9aのみ形成されており、その両側には中央弱シール部9aに重なって側部シール部9bが形成されている。また、この実施例では、側部シール部9bは中央弱シール部9aより幅が広く、かつ、その上縁は、側辺部に向かうに従って、軟質バッグの上端側に向かうように湾曲している。このため、第2の薬剤室22を圧迫したとき、薬剤室22内の薬剤が、中央弱シール部9aに向かうように構成されている。
なお、この実施例の医療用複室容器1において、側部シール部9bは、中央弱シール部9aより幅が広いものとなっているが、同程度の幅、あるいは狭幅のものとしてもよい。
実施例の仕切部9は、いずれか一方の薬剤室を手指等で強く圧迫したとき(例えば、押圧したときあるいは絞ったとき)に剥離して第1の薬剤室21と第2の薬剤室22とを連通可能なものである。また、中央弱シール部9aは、第2の薬剤室22を圧迫したとき、連通阻害部10より剥離しやすいものである。
また、実施例の側部シール部9bは、中央弱シール部9aおよび連通阻害部10より剥離しにくいものとなっている。
仕切部9(中央弱シール部9a)の剥離強度としては、輸送中に2つ折り梱包形態の軟質バッグ2に対して加えられる圧力では剥離せず、軟質バッグ2を手指などで強く圧迫した(絞った)ときに剥離する程度であることが好ましい。仕切部9は、軟質バッグ2を融着することにより形成されることが好ましい。融着としては、熱融着、高周波融着、超音波融着などであることが好ましい。軟質バッグ2は、このように仕切部9に区分された2つの薬剤室21、22を有しているため、異なる成分の薬剤を無菌的に軟質バッグ2内で混合することができる。
また、図1に示す実施例において仕切部9は、軟質バッグ2に対して水平に直線的に設けられているが、これに限定されるものではない。なお、本発明の実施例では、仕切部9は、中央弱シール部9aおよび側部シール部9bにより構成されているが、これに限定されるものではなく、中央弱シール部9aのみにより構成してもよい。また、側部シール部9bは、通常の使用方法では剥離しないことが好ましい。また、側部シール部9bは、軟質バッグ2を熱融着、高周波融着、超音波融着などにより融着することにより形成されることが好ましい。なお、側部シール部9bは、剥離不能な強シール部であってもよい。
具体的には、弱シール部(中央弱シール部)9aのシール強度(初期の剥離強度)は、1〜10N/10mm、特に、2〜6N/10mmであることが好ましい。シール強度がこの範囲内であれば、輸送や保管中等に誤って中央弱シール部が剥離することがなく、また、中央弱シール部を剥離する作業も容易である。側部シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、3N/10mm以上、特に、4N/10mm以上であることが好ましい。中央弱シール部と側部シール部とのシール強度差(初期の剥離強度差)としては、側部シール部のシール強度が、中央弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)より、3〜30N/10mm、特に、4〜25N/10mm大きいものであることが好ましい。このようにすることにより、いずれかの薬剤室を押圧した際、仕切用弱シール部の全体が一気に剥離することを抑制し、少なくとも中央弱シール部からの剥離を確実なものとできる。また、本発明の医療用容器では、図2に示し後述するように、ヒートシール温度(金型温度)の上昇に対して、シール強度も緩やかに上昇するものとなっており、ヒートシール温度を適宜変化させることにより、ヒートシール部に所望のシール強度を付与することができる。
なお、本発明の実施例では、中央弱シール部9aの両側に側部シール部9bが形成されているが、側部シール部9bが形成されていなくてもよく、易剥離性の中央弱シール部9aのみにより軟質バッグ2が仕切られていてもよい。また、側部シール部9bに該当する部分が強シールであっても良い。なお、側部シール部9bに相当する部分を切り欠いて、軟質バッグ2をひょうたんのような形状としても側部弱シール9bと同様の効果を得ることができる。
側部シール部9bを有する場合の中央弱シール部9aの長さ(側部シール部9bを除く長さ)は、薬剤室の横幅に対して0.2〜0.8であることが好ましい。特に、0.3〜0.7であることが好ましい。具体的には、中央弱シール部9aの長さは、薬剤室の横幅にもよるが横幅190mmの場合70〜110mm、特に80〜100mmであることが好ましい。中央弱シール部9aの幅は、8〜20mm、特に、10〜15mmであることが好ましい。側部シール部9bの幅は、6〜50mm、特に8〜30mmであることが好ましい。
また、仕切部9は、図1に示すように、後述する連通阻害部10の上方、特に、鉛直方向上方となる位置に設けられていることが好ましい。また、側部シール部9bは、図示するように、連通阻害部10の鉛直方向上方となる位置の両側に設けられていることが好ましい。このような位置に仕切部9が設けられていることにより、仕切部9が剥離した際、軟質バッグ2の連通阻害部10が形成されている部分が大きく膨らむため連通阻害部10が剥離しやすくなる。
なお、側部シール部9bは、実質的に剥離することができないシール部となっていてもよい。側部シール部9bに相当する部分を必ずしも剥がれるシールとする必要はなく、当該部分が強シール部となっていてもよい。なお、仕切部9(中央弱シール部9a)は、帯状に形成されていなくてもよい。例えば、仕切部9(中央弱シール部9a)は、V字形状、半円形状、半楕円形状に形成されていてもよい。また、仕切部9(中央弱シール部9a)は、細く作製されていることにより、剥離しやすいものとなっていてもよい。また、この実施例では、排出ポート3および連通阻害用弱シール部10が軟質バッグ2下部の中央付近に設けられているため、それに対応して中央弱シール部9aも軟質バッグ2の中央付近に設けられている。排出ポート3および連通阻害用弱シール部10が軟質バッグ2の側辺側に寄った位置に設けられる場合には、それに対応して、中央弱シール部9aも軟質バッグ2の横方向の中央付近から側辺側に寄った位置に設けることが好ましい。
仕切部9により区分される第1の薬剤室21と第2の薬剤室22との容積比は、1:1〜1:5であることが好ましい。
また、医療用複室容器1の第1の薬剤室21の容積はできるだけ小さい方がよい。このような構成であれば、第2の薬剤室22を圧迫したとき(例えば、押圧したときあるいは絞ったとき)、ワンアクションで連通阻害用弱シール部10が容易に剥離するものとなる。
そして、医療用複室容器1は、連通阻害部10を備える。この実施例の医療用複室容器1では、連通阻害部は、連通阻害用弱シール部により形成されている。そして、この実施例の医療用複室容器1では、連通阻害部10は、排出ポート3の上方を取り囲むように形成されている。この連通阻害部10により、第1の薬剤室21から隔離された第3の室23が形成されている。この第3の室23は、空室となっている。しかし、第3の室23には、所定の液体(例えば、注射用水または生理食塩水)が入れられていてもよい。また、第3の室23は、乾燥状態でもよいが、滅菌のための微量の液体が充填されていてもよい。さらに、連通阻害用弱シール部10に若干の水蒸気などの水分が通る通路を形成し、第1の薬剤室21と上記のようなレベルで連通するものであってもよい。連通阻害用弱シール部10は、シート材を熱シール(熱融着、高周波融着、超音波融着)することにより形成することができる。
連通阻害部10は、仕切部9の中央弱シール部9a部分の下側となる位置に形成されていることが好ましい。このような位置に形成されることにより、第1の薬剤室21または第2の薬剤室22を圧迫したとき(例えば押圧したときあるいは絞ったとき)に、上述したように連通阻害部10が剥離しやすくなる。
連通阻害部10は、図1に示す実施例では、脚部が開いた反転したU字(コの字)形状(言い換えれば、短辺が上側となる台形状)に形成されている。また、連通阻害部10は、排出ポート3が底辺にある三角形状、四角形状等の多角形状、略半円形状、略半楕円形状であってもよい。なお、連通阻害部10が外周縁に角部を有する場合には、角部にエッジが形成されていないことが好ましい。
連通阻害部10の剥離のための強度は、仕切用弱シール部(中央弱シール部9a)の剥離のための強度より大きいものとなっている。また、連通阻害用弱シール部10は、本発明の実施例においては、側部シール部9bより剥離しやすいものである。
また、医療用複室容器1は、第1の薬剤室21を圧迫することにより、仕切部9(中央弱シール部9a)の剥離に続いて連通阻害用弱シール部10が剥離するものであってもよい。このようなものであれば、軟質バッグ2の第1の薬剤室21を圧迫し、仕切部9の剥離時の流体の力により、連通阻害用弱シール部10を剥離させることができる。
また、連通阻害用弱シール部10は、連通阻害用弱シール部のシール強度が、仕切部9(中央弱シール部9a)と同等もしくは仕切部9(中央弱シール部9a)のシール強度より若干強くすることにより構成することができる。連通阻害用弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、2〜25N/10mm、好ましくは、4〜20N/10mm、特に6〜15N/10mmであることが好ましい。そして、本発明の医療用容器では、図2に示し後述するように、ヒートシール温度(金型温度)の上昇に対して、シール強度も緩やかに上昇するものとなっており、連通阻害用弱シール部と仕切部(中央弱シール部)のヒートシール温度に1〜10℃差をもたせることにより、各ヒートシール部にシール強度差のある所望のシール強度を付与することが可能となる。
連通阻害用弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)は、2N/10mm以上、特に、4N/10mm以上であることが好ましい。中央弱シール部と連通阻害用弱シール部とのシール強度差(初期の剥離強度差)としては、容器や各シール部の形状の影響も考えられるため一概には言えないが、連通阻害用弱シール部のシール強度が、中央弱シール部のシール強度(初期の剥離強度)より、0.1〜10N/10mm、特に、1〜5N/10mm大きいものであることが好ましい。
このようにすることにより、いずれかの薬剤室を圧迫した際、連通阻害用弱シール部が仕切部9より先に剥離することを抑制し、少なくとも中央弱シール部9a部分からの剥離が確実なものとなる。
剥離強度の具体的な測定方法としては、以下のようにして行うことができる。医療用容器を、各測定対象シール部を含む部分を容器の幅方向に10mmの長さに切断して、それぞれの切断片のシール部を引張速度300mm/分で剥離させた際の測定値の平均値である。
また、医療用複室容器1は、連通阻害用弱シール部10の上端と薬剤排出ポートの上端との間の長さ(最短距離)に対する中央弱シール部9aの横方向の長さの比は、0.2〜3であることが好ましく、更に0.5〜2であることが好ましい。特に、0.7〜1.5であることが好ましい。また、連通阻害用弱シール部10の幅(帯幅)は、2〜20mm、特に、4〜12mmであることが好ましい。
本発明の医療用複室容器の容器本体(軟質バッグ)2は、熱可塑性樹脂製シートにより形成されている。そして、熱可塑性樹脂製シートは、融解温度が、120℃以上、好ましくは、130〜180℃であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、融解温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されている。
軟質バッグ2を構成するシート材料の厚さは、その層構成や用いる素材の特性(柔軟性、強度、水蒸気透過度、耐熱性など)に応じて適宜決定され、特に限定されるものではないが、通常は、100〜550μm程度であるのが好ましく、200〜400μm程度であるのがより好ましい。また、軟質バッグ2としては、引張弾性率で500MPa以下、好ましくは50〜300MPaの押出フィルムあるいはインフレーション成形したチューブを用いることが好ましい。
軟質バッグ2は、上記樹脂を用いてブロー成形することにより作製したもの、上記樹脂により形成された2枚のシートの周縁部を融着して形成したもの、上記樹脂により形成された1枚のシートを折り返すとともに残りの3辺の開放周縁部を融着して形成したものなどのいずれでもよい。
さらに、熱可塑性樹脂製シートを構成する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂中に、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体が分散した状態となっている。本発明において容器本体2の形成に用いる熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂を主構成成分とし、エチレン−α−オレフィン共重合体副構成成分としている。そして、プロピレン系樹脂がいわゆる海を形成し、略粒子状のエチレン−α−オレフィン共重合体がいわゆる島を形成する海島構造を有するものとなっている。そして、熱可塑性樹脂製シートはその表面においても、上記のように、プロピレン系樹脂がいわゆる海を形成し、略粒子状のエチレン−α−オレフィン共重合体がいわゆる島を形成する海島構造を有するものとなっている。
そして、シート構成樹脂中における略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布において円相当径が、300nm以下のものが、累積頻度90%以上となっている。このため、シート構成樹脂中における略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒子径が小さく、かつ、良好に分散した状態となっている。そして、熱可塑性樹脂製シートは、表面においても上記のようにような形態を有している。
そして、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布において円相当径が、300nm以下のものが、累積頻度95%以上であることが好ましい。なお、円相当径とは、輸液バック断面を2〜4万倍程度の倍率でTEM解析を行い、その画像についてトレーシングペーパーにトレースした。その後、Image Pro-Plusを用いて画像処理を行い、PE粒子の断面積と同じ断面積を有する円に換算し、その直径を円相当径とした。累積頻度は円相当径の頻度の積分である。また、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布における累積50%粒子径が、80〜220nmであることが好ましく、特に、100〜200nmであることが好ましい。また、平均円相当径は、60〜240nmであることが好ましく、特に、90〜180nmであることが好ましい。なお、累積50%粒子径とは、全円相当径の中央値のことである。
また、熱可塑性樹脂製シートは、形成材料であるプロピレン系樹脂およびエチレン−α−オレフィン共重合体を含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物を混練機能付き押出機に投入後、熱可塑性プロピレン系樹脂組成物の溶融温度以上にて、3分以上混練した後、シート状に押し出し、かつ押し出されたものを所定速度にて引き取ることにより作製したものであることが好ましい。このような十分な混練時間を有するものであれば、プロピレン系樹脂中におけるエチレン−α−オレフィン共重合体の粒子径が十分に小さいものとなる。
なお、混練機能付き押出機としては、例えば、スパイラルマンドレルのような混練機能を有するサーキュラーダイもしくはフラットダイが好適に使用できる。また、混練温度は、使用するプロピレン系樹脂の融点より10〜40℃高い温度であることが好ましい。また、混練時間は、3〜7分が好ましく、特に、4〜6分が好ましい。また、引取速度は、13〜25m/minが好ましく、特に、15〜20m/minが好ましい。また、混練速度は、装置および成形する層厚によって適宜選択すれば良いが、PE粒子を微細にするという観点から、高い回転数であることが好ましい。具体的には20rpm〜90rpmが好ましく、さらには、装置の負荷が増大になりすぎないようにするという観点から、20rpm〜80rpmが特に好ましい。
そして、容器本体2は、仕切部9において、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体により部分的にヒートシールされることにより、言い換えれば、プロピレン系樹脂によりヒートシールされない領域を含むことにより、剥離可能なものとなっている。仕切部9の形成は、主構成成分であるプロピレン系樹脂の融点より低く、かつ、エチレン−α−オレフィン共重合体の融点より高い温度にて、ヒートシールすることにより形成される。このため、略粒子状のエチレン−α−オレフィン共重合体部分にて、いわゆるパートシールされるため、剥離可能なものとなっている。
軟質バッグ2の薬剤室21、22には、薬剤が収納されている。薬剤室21、22には共存することにより沈殿が生じたり、経時的にあるいは一時的な加熱による着色・分解等の配合変化が生じたりすることがある成分を分離して収納するなど、異なった成分のものが収容されていることが好ましい。このような薬剤(輸液剤)としては、例えば、腹膜透析液、経中心静脈輸液剤、経末梢静脈用注射剤、液状栄養剤などのように2つ以上の薬剤を輸液の際に混合する必要のあるものが好ましい。また、輸液剤としては、例えば生理食塩水、電解質溶液、リンゲル液、高カロリー輸液、ブドウ糖液、注射用水、アミノ酸電解質溶液などが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、薬剤室の一方にブドウ糖電解質液、他方にアミノ酸液を収納し、さらに両室にビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、パンテノール、ニコチン酸アミドなどの水溶性ビタミン等を、安定性等を考慮して適宜振り分け収納することができる。
そして、この医療用複室容器1では、第1の薬剤室21の圧迫による仕切部9および連通阻害用弱シール部10の剥離作業性と第2の薬剤室22の圧迫による仕切部9および連通阻害用弱シール部10の剥離作業性に差違を有している。ここでいう剥離作業性の差違における優劣は、両薬剤室を個別に圧迫した際に、どちらの薬剤室を圧迫した方が容易に仕切部9および連通阻害用弱シール部10を剥離できたかの比較結果である。
本発明の医療用複室容器1では、第1の薬剤室21、第2の薬剤室22のいずれを圧迫することによっても、仕切部9、連通阻害部10の順にワンアクションで、剥離するものとなっている。しかし、本発明の医療用複室容器1では、上述したように、第1の薬剤室21の圧迫による仕切部9および連通阻害部10の剥離作業性と第2の薬剤室22の圧迫による仕切部9および連通阻害部10の剥離作業性に差違を有している。これは、薬剤室の変形の容易性、薬剤室の大きさ、薬剤室内に充填される薬剤量などに起因する。そして、作業性の優劣は、第1の薬剤室21、第2の薬剤室22のいずれを圧迫した方が、ワンアクションでの仕切部と連通阻害部の連続剥離性が良好であるかが判断基準となる。
また、軟質バッグ2の上端側シール部5には、ハンガーなどに吊り下げるための孔(吊り下げ部)25が設けられている。
排出ポート3は、図1に示すように、軟質バッグ2の下端側シール部6に形成された排出ポート取付部27に取り付けられている。排出ポート取付部27は、下端側シール部6の中心に設けられている。また、医療用複室容器1は、薬液を混注するための混注ポート4を備えている。このようにすることにより、医療用複室容器1に入れられた薬剤以外の成分を使用前に混注することができる。排出ポート3、混注ポート4は、高周波融着、熱融着、超音波融着等により軟質バッグ2に取り付けられている。なお、排出ポート3、混注ポート4としては、公知のものが使用できる。
本発明における容器本体の形成に用いられる熱可塑性プロピレン系樹脂組成物について、より詳細に説明する。
熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂とエチレン−α−オレフィン共重合体との混合物である。具体的には、熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、プロピレン系樹脂として、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)を50〜60wt%、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)を、10〜20wt%、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)を25〜35wt%含有しているものであることが好ましい。
そして、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)は、下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たすものであることが好ましい。
(A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
(A−ii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10minの範囲にあること
(A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
また、エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、下記条件(B−i)〜(B−iii)を満たすものであることが好ましい。
(B−i)密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあること
(B−ii)DSC測定における融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
そして、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)は、(C−i)〜(C−iii)を満たすものであることが好ましい。
(C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
プロピレン系樹脂成分(A)の詳細を説明する。
プロピレン系樹脂組成物の主成分として用いられるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であるプロピレン系樹脂成分(A)は、高い透明性、柔軟性、及び、耐衝撃性を備える樹脂である。本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物は、医療用複室容器用プロピレン系樹脂組成物として特に有効である。
そして、プロピレン系樹脂成分(A)は以下の要件を満たしている。
(1)基本規定
プロピレン系樹脂成分(A)は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定(示差走査熱量測定)における融解ピーク温度Tm(A)が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られる。
(2)成分(A1)について
(2−1)成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)
第1工程で製造される成分(A1)は、プロピレン系樹脂成分(A)において結晶性を決定する成分であり、成分(A)が耐熱性を発現するためには、成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)が比較的高いことが必要である。しかし一方で、Tm(A)が高すぎると柔軟性が不足し、また、ヒートシール特性を制御するためには、後述するプロピレン−エチレンランダム共重合体成分である第2のプロピレン系樹脂成分(C)の融解ピーク温度Tm(C)との差が大きいことが必要である。そこで、成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)は、125〜135℃の範囲にあることが必要である。
すなわち、融解ピーク温度Tm(A)が125℃以下の場合には、薬液充填条件下にて、高圧蒸気滅菌した際に、容器に変形が生じたり、融着を起こすといった問題を生じ易いため、Tm(A)は125℃以上であることが必要であり、好ましくは128℃以上である。
一方、Tm(A)が高いと、耐熱性は良くなるが、柔軟性や透明性が阻害され易くなるばかりでなく、成分(C)の融解ピーク温度Tm(C)との差が小さくなることで、ヒートシールカーブが急激に立ち上がってしまい、多段階の安定的な剥離強度制御が困難となってしまうため、Tm(A)は135℃以下であることが必要であり、好ましくは133℃以下である。
(2−2)成分(A1)のエチレン含有量E(A1)
成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A)は、エチレン含有量によって制御され、本発明における成分(A1)のエチレン含量E(A1)が1.5〜3.0wt%の範囲である。エチレン含有量が1.5wt%以下の場合には、Tm(A)が高くなりすぎ、また、3.0wt%以上の場合には低くなりすぎる。
(2−3)プロピレン系樹脂成分(A)中に占める成分(A1)の割合W(A1)
プロピレン系樹脂成分(A)中に占める成分(A1)の割合W(A1)は、成分(A)に耐熱性を付与する成分であるが、W(A1)が多過ぎると柔軟性や耐衝撃性を十分に発揮することが出来ず、また、透明性が損なわれる恐れがある。そこで成分(A1)の割合は60wt%以下であることが必要である。
一方、成分(A1)の割合が少なくなり過ぎると、融解ピーク温度Tm(A)が十分であっても耐熱性が低下し、薬液充填条件下にて、高圧蒸気滅菌した際に、容器に変形が生じたり、融着を起こすといった問題を生じ易くなるため、成分(A1)の割合は50wt%以上でなければならない。
(3)成分(A2)について
(3−1)成分(A2)中のエチレン含量E(A2)
第2工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、プロピレン系樹脂成分(A)の柔軟性と耐衝撃性及び透明性を向上させるのに必要な成分である。一般に、プロピレン−エチレンランダム共重合体においてエチレン含有量が増加することで結晶性は低下し、柔軟性向上効果は大きくなるため、成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)は8wt%以上であることが必要である。E(A2)が8wt%以下の場合には十分な柔軟性を発揮することが出来ず、好ましくは10wt%以上である。
一方、成分(A2)の結晶性を下げるためにエチレン含量を増加させ過ぎると、成分(A1)と成分(A2)の相溶性が低下し、成分(A2)が(A1)と相溶化せずにドメインを形成するようになる。このような相分離構造において、マトリクスとドメインの屈折率が異なると透明性が急激に低下してしまう。そこで本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(A)中のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)のエチレン含有量は14wt%以下であることが必要であり、好ましくは12wt%以下である。
(3−2)プロピレン系樹脂成分(A)中に占める成分(A2)の割合W(A2)
成分(A2)の割合が多過ぎると耐熱性が低下するため、成分(A2)の割合W(A2)は50wt%以下に抑えることが必要である。
一方、成分(A2)の割合が少なくなり過ぎると柔軟性と耐衝撃性の改良効果が得られないため、成分(A2)の割合は40wt%以上であることが必要である。
(4)成分(A1)と(A2)の各成分のエチレン含量E(A1)とE(A2)及び各成分量W(A1)とW(A2)の特定
成分(A1)と(A2)の各エチレン含量及び成分量は、重合時の物質収支(マテリアルバランス)や、公知の各種分析法によって定量される。尚、本発明において用いた測定方法については、実施例においてその詳細を記載する。
(5)プロピレン系樹脂成分(A)のメルトフローレート MFR(A)
プロピレン系樹脂成分(A)のMFRは、4〜10g/10minの範囲を取ることが必要である。
プロピレン系樹脂成分(A)全体のメルトフローレート MFR(A)は、各成分(A1)、(A2)各々のMFR(各々MFR(A1)、MFR(A2)とする)と比率によって決定されるが、本発明においては、全体のMFRが4〜10の範囲にあれば、各々のMFRは本発明の目的を損ねない範囲で任意である。しかし、両者のMFRが大きく異なる場合には外観不良等が生じることがあるため、各成分各々のMFR(A1)、MFR(A2)共に4〜10g/10minの範囲にあることが望ましい。
MFRが低いと、モータ負荷や先端圧力が上昇するばかりでなく、フィルムの表面が荒れることで外観を悪化させるといった問題が生じるため、MFRは4g/10min以上であることが必要であり、好ましくは5g/10min以上である。一方で、MFRが高すぎると、成形が不安定になりやすく、均一なフィルムを得ることが困難となるため、MFRは10g/10min以下であることが必要であり、好ましくは8g/10min以下である。なお、本発明における各樹脂のメルトフローレート(MFR)は、JIS K7210 A法 条件M に従い、試験温度:230℃ 公称加重:2.16kg ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mmの条件で測定したものである。
(6)固体粘弾性測定によるガラス転移温度の特定
プロピレン系樹脂成分(A)においては、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表すtanδ曲線のピークが0℃以下に単一のピークを示すことが必要である。
プロピレン系樹脂成分(A)が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、透明性が顕著に悪化するという問題が生じる。通常プロピレン−エチレンランダム共重合体におけるガラス転移温度は−60〜20℃の範囲において観測され、相分離構造を取っているかどうかは、本範囲における固体粘弾性測定におけるtanδ曲線において判別可能であり、成形品の透明性を左右する相分離構造の回避は、0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。固体粘弾性測定(DMA)の具体的な方法については実施例に記載する。
(7)プロピレン系樹脂成分(A)の製造方法
本発明に用いられるプロピレン系樹脂成分(A)の製造方法は、特開2005−248156号公報、特許4156491号公報に記載の方法を用いることが好ましい。
また、メタロセン系触媒としては、特開2005−248156号公報に開示されているものが使用できる。代表的なメタロセン化合物としては、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(アズレニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、メチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリドなどが例示できる。なお、メタロセン系触媒は、上記のものに限定されるものではない。
次に、本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物に含有されるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)について説明する。
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、以下の条件(B−i)〜(B−iii)を具備するものである。
(B−i)密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあること
(B−ii)DSC測定における融解ピーク温度が80℃以下であること
(B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
そして、本発明では、このエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)を含有させることにより、樹脂組成を用いて形成されたシートに良好な耐衝撃性とヒートシール特性を付与している。
成分(B)は組成物の低温における衝撃強度を改良する効果を有する。本発明における医療容器用プロピレン系樹脂組成物は、製品の保管や輸送時に冷蔵されることがあるため、このときに破壊が生じないよう低温での耐衝撃性が必要である。このとき成分(B)の量が少なすぎると、ヒートシール特性が十分でないばかりか、耐衝撃性も不足するという問題が生じる。
また、本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物を用いた医療用容器は、シートをヒートシールすることにより形成される。ヒートシールは、熱と圧力を加えることで樹脂を融着させ、冷却固化する工程である。このとき、シートの厚みや形状、シール温度、圧力や時間等により剥離強度は変化するが、この剥離強度を制御するためには、ヒートシール温度に対する強度の変化を小さく設定することが重要である。すなわち、実際のヒートシール工程においては、剥離強度は加熱部の温度により制御されるが、実際の温度は誤差や周囲温度等の外乱による振れを持っており、ヒートシール温度に対する強度の変化が急激であると、温度の振れにより剥離強度が大きく変化してしまい、安定した剥離強度を得にくい。第1のヒートシール特性としてまず必要となるのは、手で容器を絞った際に比較的容易に剥離可能な弱シール強度である1〜10N/10mm程度の強度範囲、好ましくは2〜6N/10mm程度の強度範囲で設定強度±1N/10mmで強度管理が可能な弱シール特性を発揮させることであり、ヒートシール温度変動に対しシール強度の影響が少ないことが重要である。
エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)はプロピレン系樹脂成分(A)や(C)とは相溶性が乏しく相分離構造を取り、融解温度に大きな差を有している。成分(B)はプロピレン系樹脂成分(A)および(C)中にドメインを形成しているものと思われる。このため、ヒートシール温度が、プロピレン系樹脂成分(A)や(C)は融解せず熱融着しないが、成分(B)は融解する温度であれば、組成物全体中で少ない割合の成分(B)が表面に存在している部分のみが融着し、全体が融着するのに比べて低い融着強度を示すために、この量と融解温度を調節することで弱シール特性を制御できると考えられる。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の屈折率が成分(A)と大きく異なる場合には、組成物の透明性が悪化するため、屈折率をあわせることも重要である。これら融解温度や屈折率は密度によって制御可能であり、ヒートシール特性と透明性を両立させるには、密度を特定の範囲にすることが必要となる。
(1)密度
以上の理由から、本発明に用いられるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあることが必要である。
密度が低くなりすぎると、屈折率差が大きくなり透明性が悪化するため、0.870未満の場合には、本発明に必要な透明性を確保することが出来ず、0.870以上であることが必要で、好ましくは0.875以上である。
一方、密度が高くなりすぎると、結晶性が高くなることで柔軟性、耐衝撃性や透明性が悪化し易くなり、また、成分(A)の融解温度と成分(B)の融解温度に差が無くなるとヒートシール特性の制御が困難となるため、0.890以下であることが必要で、好ましくは0.885以下である。
(2)融解温度T(B)
前述したように1〜10N/10mm程度の比較的弱いヒートシール強度領域のシール強度を制御するためには、成分(A)と成分(B)の融解温度を離すことが重要であり、本発明においては成分(B)の融解ピーク温度T(B)は80℃以下であることが必要である。T(B)が80℃以下であれば、1〜10N/10mmの強度領域にてシール強度が±1N/10mmの範囲内に設定可能であり、T(B)が80℃を越える場合には、ヒートシール温度範囲が狭く、安定したヒートシール強度を得ることが出来ない。
(3)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)
本発明の樹脂組成物は、成形性を確保するために適度な流動性を持っていることが必要であり、成分(B)の粘度が高すぎると流動性が不足し、分散不良が生じたりすることで透明性や耐衝撃性が低下し易くなり、また、ヒートシール特性にばらつきが生じるといった問題を生じ易くなる。そこで本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)はメルトフローレートが2.0g/10min以上であることが必要であり、好ましくは2.5以上である。一方、メルトフローレートが高すぎると、成形時の安定性が低下し、フィルムの厚みムラが生じたり、耐衝撃性が低下するといった問題を生じ易くなり、また、ヒートシール時に成分(B)は成分(A)に比べより低い温度で融解するため、粘度が低すぎるとヒートシール圧力により表面にブリードしやすく、ヒートシールの制御性が悪化するため、メルトフローレートは5.0g/10min以下であることが必要であり、好ましくは4.5g/10min以下である。
(4)樹脂組成物中の成分(B)の割合
成分(B)が樹脂組成物中に占める割合は、25〜35wt%の範囲であることが必要である。すなわち、成分(B)は成分(A)中にドメインとして存在し、かつ、成分(A)に比べ融解温度が低いため、低い温度域で成分(B)だけが融解することでヒートシール強度が低い領域の制御を行っている。このとき、成分(B)の量が少なすぎると、フィルム表面における成分(B)の存在量が少なくなり、弱シール時の強度が低くなりすぎ十分な制御を行うことが出来ないばかりでなく、耐衝撃性が不足し、製品が輸送時に破袋するといった問題を生じる。一方で、量が多くなりすぎると、成分(B)が表面に多く存在することで、加熱滅菌時に融着が生じてしまう恐れがある。本発明における成分(B)が組成物中に占める割合は、25〜35wt%の範囲にあることが必要で、25wt%未満の場合には、弱シール特性が不十分、かつ、柔軟性、耐衝撃性が不足になり、35wt%以上の場合には耐熱性が不足するため、用いることが出来ない。
(5)エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)の製造方法
本発明のエチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、成分(A)との屈折率差を小さくするためには密度を低くすることが必要であり、さらに、ベタツキやブリードアウトを抑制するためには結晶性及び分子量分布が狭いことが望ましい。そこで、成分(B)の製造には結晶性及び分子量分布の狭くできるメタロセン系触媒を用いることが望ましい。
(5−1)メタロセン系触媒
メタロセン触媒としては、エチレン−α−オレフィン共重合体の重合に用いられる公知の各種触媒を用いることが出来る。具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35006号、特開平3−163088号の各公報などに記載されているメタロセン系触媒を例示できる。
(5−2)重合方法
具体的な重合方法としては、これらの触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、あるいは圧力が200kg/cm以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法などが挙げられる。好ましい製造法としては高圧バルク重合が挙げられる。エチレン−α−オレフィン共重合体成分(B)は、メタロセン系ポリエチレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、デュポンダウ社製アフィニティー(登録商標)及びエンゲージ(登録商標)、日本ポリエチレン社製カーネル(登録商標)、エクソン社製EXACT(登録商標)などが挙げられる。
これらの使用において、本発明の要件である密度と融解ピーク温度、MFRのグレードを選択すればよい。
また、エチレン−α−オレフィン共重合体は、前記条件(B−i)〜(B−iii)を満たす限りエチレンとエチレン以外の一種類のα−オレフィンからなる共重合体であっても、エチレンとエチレン以外の二種類以上のα−オレフィンからなる共重合体であっても良い。
次に、本発明の医療容器用プロピレン系樹脂組成物に含有されるプロピレン−エチレンブロック共重合体であるプロピレン系樹脂成分(C)について説明する。
このプロピレン系樹脂成分(C)は、(C−i)〜(C−iii)の条件を具備する。
(C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
(C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
(C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
そして、本発明では、第2のプロピレン−エチレンブロック共重合体であるプロピレン系樹脂成分(C)を含有させることにより、樹脂組成を用いて形成されたシートに良好なヒートシール特性を付与している。
医療容器用プロピレン系樹脂組成物として、多段階の安定的な剥離強度制御性を有することが望ましい。本発明の樹脂組成物では、上述した成分(B)を含有することにより、1〜10N/10mm程度、好ましくは2〜6N/10mm程度の比較的容易に剥離可能な弱シール強度領域におけるシール温度に対し安定的な弱シール特性を発揮させることを可能としている。しかし、容易に剥離可能であるが1〜10N/10mmの弱シール領域に加えて、第2のヒートシール特性として、より高い2〜25N/10mm程度、好ましくは4〜20N、さらに好ましくは6〜15Nの剥離強度領域にてシール強度を制御することが望ましい。また、安定した剥離強度の製品を得るためには、ヒートシール温度に対するこの領域の強度の変化を出来るだけ小さくすることが必要なのは1〜10N/10mmと同様である。このとき、2〜25N/10mmの強度領域で設定強度±2N/10mmで強度管理するには、プロピレン系樹脂成分自体の改良が必要であり、プロピレン系樹脂成分(C)は、これを制御するための成分である。
すなわち、本発明に主成分として用いられるプロピレン系樹脂成分(A)は、メタロセン系触媒により製造されることで、高い柔軟性と透明性を両立させているが、一方で、結晶性成分の結晶性分布が狭く、特定の温度で一度に融解するため、温度に対するヒートシール強度の立ち上がりが急激である。結晶性分布を広げると結晶性が高い成分ほど高い温度で融解するため、温度に対するヒートシール強度はなだらかになるものの、ヒートシール時の圧力により融解している成分が流動しやすいとその効果は十分でない。このとき、メタロセン系触媒により製造されるプロピレン系樹脂成分(A)は、分子量分布が狭く、高分子量成分を持たないため、ヒートシール時の圧力によって流動しやすく、プロピレン系樹脂成分(C)を含有させることにより、結晶性分布を付与すると同時に、分子量にも分布を持たせることで、高強度側での温度に対するヒートシール強度の変化をなだらかにすることが可能となる。
(1)基本規定
プロピレン系樹脂成分(C)は、第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られる。
(2)成分(C1)について
成分(C1)はポリプロピレン成分であり、結晶性が高い成分である。本成分は組成物中で成分(A)よりも融解温度が高く、成分(A)が融解する温度での融着を抑えることで温度に対するヒートシール強度の変化をなだらかにするための成分である。従って、成分(C1)は成分(A)よりも結晶性が高いことが必要であり、プロピレンのみからなるポリプロピレン成分であることが好ましい。
(2−1)成分(C1)のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)
後述するように、成分(C2)は分子量が高いことが必要であるが、成分(C)全体の分子量が高いと、流動性が悪く、組成物中で十分に分散することが出来ず効果が不十分となるばかりか、流れムラ、ゲルやフィッシュアイと呼ばれる外観不良の原因ともなるため、成分(C1)の流動性を高めることで、成分(C)全体の流動性を確保することが必要である。そこで、成分(C1)のメルトフローレートは少なくとも100g/10minである事が必要であるが、一方で、メルトフローレートが高すぎても流れムラが発生しやすくなったり、耐衝撃性や柔軟性が低下する恐れがあるため、200g/10min未満であることが必要であり、本発明における成分(C1)のメルトフローレートは100〜200g/10minの範囲にあることが必要である。
(3)成分(C2)について
成分(C2)は成分(A)の結晶成分が融解した際の流動性を下げることで、ヒートシール強度の急激な上昇を抑えるための成分である。流動性を下げることでヒートシール強度の上昇を抑制するには、成分(A)が融解したときに、成分(C2)も融解している必要がある。そこで、成分(C2)は成分(C1)とは異なり、結晶性を低下させることが必要であり、結晶性はエチレン含有量で制御されるためエチレン含有量を4〜8wt%にすることが必要である。
(3−1)重量平均分子量
成分(C2)はヒートシール時に成分(A)が融解し、ヒートシール圧力により流動するのを阻害することで、ヒートシール強度の急激な上昇を抑えることが必要である。このとき、成分(C2)の分子量が低いと、流動を阻害する効果が不足し、ヒートシール特性を十分に改良することが出来ない。そこで、成分(C2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)が80万以上であることが必要である。また、分子量が高くなりすぎると分散性が悪化するため、300万未満であることが必要である。
(3−2)成分(C)中の成分(C2)の割合W(C2)
成分(C2)は極めて分子量が高いため、成分(C)中に占める割合W(C2)が多くなりすぎると、成分(C)が組成物中で十分に分散することが出来ず、ヒートシール特性の改良が出来ないばかりか、物性の悪化や、外観不良等の問題の原因となるため、35wt%以下であることが必要である。一方、成分(C2)が少なすぎると、十分なヒートシール特性を発揮するために組成物中に多くの成分(C)が必要となることで柔軟性が低下し、また、透明性の低下を招く恐れがあるため、25wt%以上であることが必要である。
(4)組成物中の成分(C)の割合
成分(C)が組成物中に占める割合は、10〜20wt%の範囲であることが必要である。本発明において成分(C)は高強度側のヒートシール特性を改良するための成分であり、成分(A)に結晶性分布を付与し、結晶の融解挙動を制御するために、高結晶性成分である成分(C1)を、また成分(A)のヒートシール時の圧力による流動を抑制するために高分子量の成分(C2)を含むことで、温度に対するヒートシール強度の急激な上昇を抑制している。成分(C)の量が少なすぎると、高結晶性成分や高分子量成分が不足し、十分なヒートシール特性改良効果を得ることが出来ない。さらに溶融張力不足によるシート成形性の改善効果も発揮できない。一方で、成分(C)の量が多くなりすぎると、柔軟性や透明性等の物性低下が顕著になり、本発明の樹脂組成物に要求される品質を満たすことが出来ない。
本発明における組成物中の成分(C)の割合が10wt%未満の場合には十分なヒートシール特性を付与することが出来ないため、10wt%以上であることが必要であり、好ましくは12wt%以上である。一方、20wt%以上では物性が悪化するため、20wt%未満であることが必要であり、好ましくは18wt%未満である。
(5)成分(C1)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)について
本発明に用いる成分(C)は、分子量の大きく異なる成分(C1)と成分(C2)からなるため、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)において求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が、9.0以上であることが必要である。分子量分布が9.0未満の場合には、ヒートシール特性改良効果が十分でなく、15.0以上の場合には分散性が悪化する。
(6)成分(C1)のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)について
本発明において用いる成分(C)は、分子量が高い成分(C2)を含んでいるにもかかわらず、組成物中で十分な分散が必要である。そのためには、成分(C)が適度な流動性を有することが必要であり、流動性の尺度であるメルトフローレートが2.0〜8.0g/10minの範囲にあることが必要である。メルトフローレートが2.0未満の場合には分散が悪化し、流れムラやゲル、フィッシュアイと呼ばれる外観不良を引き起こすばかりか、ヒートシール特性が安定しにくくなり、十分な効果が得ることが出来ない。一方、8.0以上の場合には、耐衝撃性や柔軟性の低下といった物性上の問題を生じたり、ヒートシール特性改良効果が得られにくくなる等の問題が生じる。
(7)製造方法
成分(C)は、分子量の低い成分(C1)と分子量の極めて高い成分(C2)からなるが、これらの各成分は流動性が極めて異なるため、両者を溶融混練により混ぜることは事実上不可能である。一方、溶媒等に溶かしてブレンドすることはコスト面、環境面から好ましくない。そこで、本発明に用いられる成分(C)は第1工程で成分(C1)を、第2工程で成分(C2)を逐次重合することで、重合分散させたものであることが必要である。
成分(C)を得るための触媒系としては、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするもの、またはπ電子共役配位子を少なくとも1個有するメタロセン系の遷移金属化合物を用いることができる。ここで、成分(C2)はより高分子量の成分が含まれるほどヒートシール特性の改良効果が大きいため、チタン含有固体触媒成分と有機アルミニウム化合物とを主体とするものより製造されることが好ましい。
チタン含有固体触媒成分は、固体のマグネシウム化合物、四ハロゲン化チタン及び電子供与性化合物を接触させて得られる公知の担持型触媒成分、三塩化チタンを主成分として含む公知の触媒成分から選ばれる。助触媒のアルミニウム化合物は、一般式AlRnX3-n(式中Rは炭素数2から10の炭化水素基を表し、nは3≧n>1.5の数を表す)で表される。チタン含有固体触媒成分が固体のマグネシウム化合物を含有する担体担持型触媒成分である場合はAlR3またはAlR3とAlR2Xの混合物を使用するのが好ましく、一方三塩化チタンあるいは三塩化チタンを主成分として含む触媒成分である場合はAlR2Xを使用するのが好ましい。さらに本発明においては上記触媒および共触媒成分の他に第3成分として公知の電子供与性化合物を使用することができる。成分(C)を得るための重合反応は、たとえばヘキサン、ヘプタンなどの不活性溶媒の存在下でも、不存在下、即ち液体プロピレンの存在下あるいは気相プロピレン中でも行うことができる。反応は1基の重合槽を用いて回分式に行うこともできるし、2基以上の重合槽を直列につないで連続的に行うこともできる。
重合の順位は最初に成分(C1)を重合し次いで成分(C2)を重合する2段階で行なわれ、付加的に重合を行ない3段階、4段階で行ってもよい。
触媒は、第1段階で重合前に添加されるのが一般的である。後段に於いて触媒を補充することを必ずしも排除するものではないが、樹脂のブレンドでは得られない特性を得るためには、触媒は第1段階で添加するのが好ましい。
成分(C1)を得るための工程(1)は、プロピレンを水素の存在下に重合する。水素は工程(1)で得られる重合体のMFRが100〜200の範囲となるように制御される。一般には水素濃度(スラリー重合においては気相部濃度、液体プロピレン中の重合あるいは気相法においてはモノマー中の含有量を指す)が1〜50mol%、好ましくは3〜30mol%添加される。
工程(1)の重合温度は一般に40〜90℃であり、全重合量の65〜75重量%を製造する。
成分(C2)を得るための工程(2)は高分子量成分を得るための重合であり、水素濃度は0.1mol%以下の実質的に無水素状態で重合を進行させる。工程(2)で得られる重合体の重量平均分子量は80万〜300万である。
重合温度は通常40〜90℃、好ましくは50〜80℃であり、共重合コモノマーとしてエチレンを含みコモノマー含量は4〜8重量%の範囲となるようにモノマーの濃度を制御する。
本発明に用いる医療容器用プロピレン系樹脂組成物は、付加的成分(添加剤)を含有してもよい。添加剤としては、酸化防止剤、中和剤などが用いられる。
酸化防止剤は、樹脂組成物の成形加工時の熱安定性や、成形体の熱劣化を抑制するための添加剤であり、内容物に影響が小さいものを用いる必要があり、本発明において最も好適なのは、フェノール系酸化防止剤として、テトラキス[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、リン系酸化防止剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトであり、加水分解しやすいものはさけることが好ましい。添加量は、樹脂組成物の安定性を確保するために必要な最低限にとどめ、2000ppm以下に抑えることが好ましい。中和剤としては、ステアリン酸カルシウムを用いることが出来るが、内容物によって高圧蒸気滅菌後にも不溶性微粒子の発生原因になる場合があるので、添加量は200ppm以下であることが望ましい。
(実施例1)
プロピレン系樹脂成分(A)として、下記のものを用いた。
メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度Tm(A)が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%の範囲にあるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体を用いた。プロピレン系樹脂成分(A)は、融解ピーク温度Tm(A)が、130℃、成分(A1)中のエチレン含有量が、2.2wt%、成分(A1)の比率が、56wt%、成分(A2)中のエチレン含有量が、11wt%、成分(A2)の比率が、44wt%、ガラス転移温度が、−8.6℃、成分(A)全体のMFRが、6g/10minであった。
エチレン・α−オレフィン共重合体(B)として、以下のものを用いた。
エチレンとヘキセン−1の共重合体を製造した。触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器にエチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が73重量%となるように供給し、反応器内の圧力を130MPaに保ち、127℃で反応を行った。1時間あたりのポリマー生産量は約2.5kgであった。
得られたエチレン・α−オレフィン共重合体は、密度が、0.88g/cc、融解ピーク温度Tm(B)が、60℃、MFRが、3.5g/10minであった。
プロピレン系樹脂成分(C)として、下記のものを用いた。
第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することにより、プロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
プロピレン系樹脂成分(C)は、成分(C)全体のMFRが、5.4g/10min、全体の分子量分布(Mw/Mn)が、13.7、C1成分比率が、70wt%、C2成分比率が、30wt%、C2成分エチレン含有量が、6wt%であった。
上記成分(A)、成分(B)および成分(C)を、各々58、27、15wt%になるように計量し、ヘンシェルミキサーに投入後、この成分(A)と成分(B)と成分(C)の混合物100重量部に対して、下記の酸化防止剤、中和剤を添加し、充分に撹拌混合した。
酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 イルガノックス1010)0.08重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガホス168)0.02重量部、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製イルガノックス1076)0.015重量部
中和剤:ステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)製 Ca−St)0.003重量部
造粒
スクリュ口径30mmの池貝製作所製PCM二軸押出機にて、スクリュ回転数200rpm、吐出量10kg/hr、押出機温度190℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することでプロピレン系樹脂組成物原料ペレットを得た。
医療用容器の作製
(1) シートの作製
上述のようにして作製したプロピレン系樹脂組成物原料ペレットを多層用の混練機能付サーキュラーダイ(インフレーションダイ)に供給し、190℃、混練機能付サーキュラーダイ滞留時間(混練時間)5分にて、チューブ状のシートを押出し、水冷リングで冷却後、厚さ0.3mm、折径190mmシートを18m/分の速度で引取ることにより、プロピレン系樹脂組成物製インフレーションシートを作製した。
(2) 医療用容器の作製
上記のシートを300mm長に裁断し、排出ポート装着部、注入ポート装着部および薬剤注入部を除き上端をシート上端から幅 20〜30mmおよび下端をシート下端から幅20〜30mm、金型温度225℃、時間4秒の条件で片面加熱金型を用いてヒートシールして周縁部を有する容器本体を作製した。さらに、容器本体の中央部の幅7mm部分を金型温度120℃、時間3秒の条件で両面加熱金型を用いてヒートシールし、剥離可能な仕切部用弱シール部を形成した。次いで、幅7mmの連通阻害用弱シール部を金型温度130℃、時間5秒の条件で両面加熱金型を用いてヒートシールし、剥離可能であるが前述の弱シール部よりも剥離しにくいようにした剥離可能な連通阻害用弱シール部を形成した。そして、容器本体の排出ポート装着部および注入ポート装着部のそれぞれに筒状ポート部材を挿入し、両面加熱金型を用いてヒートシールして容器本体に固着した。また、排出ポート装着部に固着したポート部材の開口にゴム製の弾性部材を装着したキャップ部材を超音波融着し、開口を封止した。
そして、弱シール部により区分された一方の薬剤室側に、注入ポート装着部に固着したポート部材の開口より10wt/v%アミノ酸水溶液を350ml充填した後、ポート部材の開口にゴム製の弾性部材を装着したキャップ部材を超音波融着し、開口を封止した。他方の薬剤室側の薬剤注入部より10.7wt/v%ブドウ糖・電解質水溶液を150ml充填した後、薬剤注入部部分を幅10mm、金型温度210℃、時間3秒の条件で片面加熱金型を用いてヒートシールし、図1に示す本発明の薬液入り医療用複室容器(実施例1)を作製した。
(3) 滅菌
上記のように作製した薬液入り医療用容器を高圧蒸気滅菌機に入れ、窒素雰囲気中で、温度110℃、ゲージ圧1.8Kg/cm2、時間30分の条件において滅菌し、室温まで冷却した。
(4) 医療用容器の評価
(4−1)透明性の評価
滅菌後の薬液入り医療用容器を窒素雰囲気中で48時間放置した後、容器のシートの一部を切り取って、波長450mmにおける水中透過率を島津ダブルビーム型自記分光光度計UV−300にて測定したところ、水中透過率は、85%であった。
(4−2)柔軟性の評価
滅菌後の薬液入り医療用容器のシートをダンベル状に裁断し、JISK7113に準じて引張弾性率を測定したところ、引張弾性率は、180MPaであった。
(4−3)シール強度の測定
滅菌後の薬液入り医療用容器の弱シール部および周縁部を部分的に切り取り、300mm/分の速度で180゜剥離強度を測定したところ、仕切部用弱シール部の剥離強度は、4Nであり、連通阻害用弱シール部の剥離強度は、8Nであった。なお、ここにおける剥離強度は、幅10mmに換算した値である。
(4−4)エチレン・α−オレフィン共重合体の粒状物観察
実施例1の医療用複室容器の弱シール面近傍の非シール部分からシート切片を切り出した後、エポキシ樹脂に包埋処理し、ミクロトームにてバック断面超薄片を採取し、サンプルとした。このサンプルの断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体を四酸化ルテニウム(以下、「Ru04」という)を用いて着色した後、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、内層部分断面における樹脂構造を観察した。断面観察において、ポリオレフィン成分を海とし、エチレン・α−オレフィン共重合体が微細な略粒状の島を形成する海島形態を確認した。そして、断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の粒状物の約660個の粒子について、TEM画像について画像解析により円相当径(nm)、頻度、累積%を測定したところ、図2に示す通りであった。
なお、図2における横軸は円相当径(nm)、左側縦軸は棒グラフの示す頻度、および右側縦軸は折線グラフの示す累積頻度(%)を表す。なお、横軸の数値はそれぞれ数値範囲を有し、例えば「30」は0nmより大きく30nm以下の数値範囲を表す。累積50%における円相当径は、120nm、円相当径300nm以下の累積%は、98.63%、平均円相当径は、140nmであった。であった。 円相当径はImage Pro-Plusを用いて画像処理を行い、PE粒子の断面積と同じ断面積を有する円に換算した直径である。平均円相当径については、円相当径と頻度の積を積分した値を頻度の合計で割って算出した。
(実施例2)
実施例1におけるシートの作製における混練機能付サーキュラーダイ滞留時間(混練時間)を4分とした以外は、実施例1と同様に行い、本発明の薬液入り医療用複室容器(実施例2)を作製した。実施例2の複室容器について、弱シール部および周縁部を部分的に切り取り、300mm/分の速度で180゜剥離強度を測定した。仕切部用弱シール部の剥離強度は、5Nであり、連通阻害用弱シール部の剥離強度は、10Nであった。なお、ここにおける剥離強度は、幅10mmに換算した値である。
そして、実施例1と同様に、実施例2の医療用複室容器に用いたシートの破断片を準備し、破断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体をRu04を用いて着色した後、電子顕微鏡を用いて、破断面における樹脂構造を観察した。破断面観察において、ポリオレフィン成分を海とし、エチレン・α−オレフィン共重合体が微細な略粒状の島を形成する海島形態を確認した。また、破断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の粒状物の約540個の粒子について、円相当径(nm)、頻度、累積%を測定したところ、図3に示す通りであった。なお、累積50%における円相当径は、150nm、円相当径300nm以下の累積%は、98.71%、平均円相当径は、170nmであった。
(実施例3)
実施例1におけるシートの作製における混練機能付サーキュラーダイの温度を180℃、混練機能付サーキュラーダイ滞留時間(混練時間)を6分とした以外は、実施例1と同様に行い、本発明の薬液入り医療用複室容器(実施例3)を作製した。実施例3の複室容器について、弱シール部および周縁部を部分的に切り取り、300mm/分の速度で180゜剥離強度を測定した。仕切部用弱シール部の剥離強度は、4Nであり、連通阻害用弱シール部の剥離強度は、12Nであった。なお、ここにおける剥離強度は、幅10mmに換算した値である。
そして、実施例1と同様に、実施例3の医療用複室容器に用いたシートの破断片を準備し、破断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体をRu04を用いて着色した後、電子顕微鏡を用いて、破断面における樹脂構造を観察した。破断面観察において、ポリオレフィン成分を海とし、エチレン・α−オレフィン共重合体が微細な略粒状の島を形成する海島形態を確認した。また、破断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の粒状物の約640個の粒子について、円相当径(nm)、頻度、累積%を測定したところ、図4に示す通りであった。なお、累積50%における円相当径は、150nm、円相当径300nm以下の累積%は、98.9%、平均円相当径は、150nmであった。
(比較例1)
実施例1におけるシートの作製における混練機能付サーキュラーダイ滞留時間(混練時間)を2分、引取速度を20m/minとした以外は、実施例1と同様に行い、薬液入り医療用複室容器(比較例1)を作製した。比較例1の複室容器について、弱シール部および周縁部を部分的に切り取り、300mm/分の速度で180゜剥離強度を測定した。仕切部用弱シール部の剥離強度は、8Nであり、連通阻害用弱シール部の剥離強度は、20Nであった。なお、ここにおける剥離強度は、幅10mmに換算した値である。
そして、実施例1と同様に、比較例1の医療用複室容器に用いたシートの破断片を準備し、破断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体をRu04を用いて着色した後、電子顕微鏡を用いて、破断面における樹脂構造を観察した。破断面観察において、ポリオレフィン成分を海とし、エチレン・α−オレフィン共重合体が微細な略粒状の島を形成する海島形態を確認した。また、破断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の粒状物の約250個の粒子について、円相当径(nm)、頻度、累積%を測定したところ、図5に示す通りであった。なお、累積50%における円相当径は、390nm、円相当径300nm以下の累積%は、16.60%、累積95%における円相当径は、480nm、平均円相当径は、380nmであった。
(比較例2)
実施例1におけるシートの作製における混練機能付サーキュラーダイの温度を200℃、混練機能付サーキュラーダイ滞留時間(混練時間)、引取速度を250/minとした以外は、実施例1と同様に行い、薬液入り医療用複室容器(比較例2)を作製した。比較例2の複室容器について、弱シール部および周縁部を部分的に切り取り、300mm/分の速度で180゜剥離強度を測定した。仕切部用弱シール部の剥離強度は、10Nであり、連通阻害用弱シール部の剥離強度は、25Nであった。なお、ここにおける剥離強度は、幅10mmに換算した値である。
そして、実施例1と同様に、比較例2の医療用複室容器に用いたシートの破断片を準備し、破断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体をRu04を用いて着色した後、電子顕微鏡を用いて、破断面における樹脂構造を観察した。破断面観察において、ポリオレフィン成分を海とし、エチレン・α−オレフィン共重合体が微細な略粒状の島を形成する海島形態を確認した。また、破断面におけるエチレン・α−オレフィン共重合体の粒状物の約200個の粒子について、円相当径(nm)、頻度、累積%を測定したところ、図6に示す通りであった。なお、累積50%における円相当径は、450nm、円相当径300nm以下の累積%は、9.91%、累積96%における円相当径は、540nm、平均円相当径は、440nmであった。
1 医療用複室容器
2 容器本体
3 排出ポート
4 混注ポート
5 上端側シール部
6 下端側シール部
9 仕切部
9a 中央弱シール部
9b 側部シール部
11 連通阻害用弱シール部
21 第1の薬剤室
22 第2の薬剤室

Claims (10)

  1. 熱可塑性樹脂組成物により形成されたシートをヒートシールして形成した薬剤室を有する容器本体と、前記薬剤室の下端部と連通するように前記容器本体にヒートシールされた排出ポートとを有し、さらに、前記薬剤室は、剥離可能な仕切部により内部空間が第1の薬剤室と第2の薬剤室に区分され、かつ、前記排出ポートが、前記容器本体に前記第1の薬剤室の下端部と連通するように固定されている医療用複室容器であって、
    前記シートは、融解温度が、120℃以上であるプロピレン系樹脂を65〜75wt%、融解温度が、90℃以下であるエチレン−α−オレフィン共重合体を25〜35wt%含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成されており、かつ、前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物により形成された前記シートは、前記プロピレン系樹脂中に、略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体が分散した状態となっており、かつ、前記略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布において円相当径が、300nm以下のものが、累積頻度90%以上であり、かつ、前記容器本体は、前記仕切部において、前記プロピレン系樹脂によりヒートシールされない領域を含むことにより、剥離可能なものとなっていることを特徴とする医療用複室容器。
  2. 前記略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布において円相当径が、300nm以下のものが、累積頻度95%以上である請求項1に記載の医療用複室容器。
  3. 前記略粒状のエチレン−α−オレフィン共重合体は、粒度分布における累積50%粒子径が、80〜220nmである請求項1または2に記載の医療用複室容器。
  4. 前記シートは、形成材料である前記プロピレン系樹脂および前記エチレン−α−オレフィン共重合体を含有する熱可塑性プロピレン系樹脂組成物を混練機能付き押出機に投入後、前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物の溶融温度以上にて、3分以上混練した後、シート状に押し出し、かつ押し出されたものを所定速度にて引き取ることにより作製したものである請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用複室容器。
  5. 前記仕切部は、中央弱シール部と、該中央弱シール部の両側に形成され、かつ前記中央弱シール部よりシール強度が高い側部シール部を有している請求項1ないし4のいずれかに記載の医療用複室容器。
  6. 前記複室容器は、前記第1の薬剤室と前記排出ポートとの連通を阻害する連通阻害用弱シール部を備えている請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用複室容器。
  7. 前記第1の薬剤室および前記第2の薬剤室のそれぞれに薬剤が収納されている請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用複室容器。
  8. 前記医療用複室容器は、前記薬剤が収納された薬剤室を押圧することにより、前記仕切部が剥離するものである請求項7に記載の医療用複室容器。
  9. 前記熱可塑性プロピレン系樹脂組成物は、前記プロピレン系樹脂として、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)を50〜60wt%、プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)を、10〜20wt%、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)を25〜35wt%含有している請求項1ないし8のいずれかに記載の医療用複室容器。
  10. 前記プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)は、下記条件(A−i)〜(A−iii)を満たし、前記エチレン−α−オレフィン共重合体(B)は、下記条件(B−i)〜(B−iii)を満たし、前記プロピレン−エチレンブロック共重合体(C)は、(C−i)〜(C−iii)を満たすものである請求項9に記載の医療用複室容器。
    (A−i)メタロセン系触媒を用いて、第1工程でDSC測定における融解ピーク温度が125〜135℃、エチレン含量が1.5〜3.0wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を50〜60wt%、第2工程でエチレン含有量が8〜14wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を50〜40wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体であること
    (A−ii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃ 2.16kg)が4〜10g/10minの範囲にあること
    (A−iii)固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60〜20℃の範囲において観測されるガラス転移を表す温度−損失正接(tanδ)曲線が0℃以下に単一のピークを示すものであること
    (B−i)密度が0.870〜0.890g/cmの範囲にあること
    (B−ii)DSC測定における融解ピーク温度が80℃以下であること
    (B−iii)メルトフローレート(JIS K7210 A法 条件D、190℃ 2.16kg)が2.0〜5.0g/10minの範囲にあること
    (C−i)第1工程でメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が100〜200g/10minの範囲にあるポリプロピレン成分(C1)を65〜75wt%、第2工程でエチレン含量が4〜8wt%、重量平均分子量が80万〜300万のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(C2)を35〜25wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体であること
    (C−ii)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である分子量分布(Mw/Mn)が9.0〜15.0の範囲にあること
    (C−iii)プロピレン系樹脂成分(C)全体のメルトフローレート(JIS K7210 A法 条件M、230℃、2.16荷重)が2.0〜8.0g/10minの範囲にあること。
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