JP4173962B2 - 真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物 - Google Patents

真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性に優れる真珠光沢濃縮物に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗浄剤組成物の外観を向上させるために、常温では外相に溶解しない固形油剤を特定の形状に析出するように製造方法と洗浄剤組成物をコントロールしてパールのような光沢を出現させることは従来より良く行われている。また、固形油脂として脂肪酸グリコールエステル類が多く使用されている。
【0003】
固形油脂として脂肪酸グリコールエステルを使用し、真珠光沢を付与する方法としては、
(1)配合組成物内に脂肪酸グリコールエステルを配合し真珠光沢を出現せしめる方法、
(2)あらかじめ真珠光沢を得やすい条件で脂肪酸グリコールエステルの濃縮真珠光沢溶液或いはペーストを作成しておき、配合組成物に脂肪酸グリコールエステルの融点未満で混合して配合組成物に真珠光沢を付与する方法、
がある。
【0004】
前記(1)の方法によって得られる組成物は、そのまま液体洗浄剤組成物とする場合が多く、液体洗浄剤としての機能も同時に求められ脂肪酸グリコールエステルの配合量は0.5〜5.0重量%程度とするのが通常である。真珠光沢の出現を支配する因子はほとんどその処方組みに係わっている特徴を有するが、一旦真珠光沢を有するとその安定性に優れる一面を有する。
【0005】
一方、N−アシルアミノ酸系界面活性剤は安全でありかつ独特な使用感を有することから、近年洗浄剤組成物によく用いられようになっている。しかし、N−アシルアミノ酸系界面活性剤を洗浄剤組成物に配合すると、パール光沢剤として常用されている脂肪酸グリコールエステルの結晶析出のコントロールが困難になる。N−アシルアミノ酸系界面活性剤を主剤とした洗浄剤組成物では、上記(1)の方法による手法では、その条件の選択に係わらず、真珠光沢の無い白濁した洗浄剤になり、場合によっては脂肪酸グリコールエステルが分離する事態が発生する。
【0006】
N−アシルアミノ酸系界面活性剤を含有しない真珠光沢組成物に関しては、多くの技術が報告されてきた。これらの開示された技術により濃縮真珠光沢液を調製して、前記(2)の方法により、N−アシルアミノ酸系界面活性剤を含有する洗浄剤組成物に真珠光沢を付与することが可能である。しかしながら前記(2)の方法で付与した真珠光沢は、一般的に不安定な場合が多く、さらに製造した真珠光沢含有洗浄剤組成物がパール光沢剤の融点以上の温度にさらされると真珠光沢を失ってしまうなどの欠点があった。
【0007】
その為、N−アシルアミノ酸系界面活性剤を含有する洗浄剤処方に前記(1)の方法による安定な真珠光沢を付与する技術の開発が望まれていた。
【0008】
また、N−アシルアミノ酸系界面活性剤を含有しない真珠光沢組成物に関しては、多くの技術が報告されている。例えば、特公昭47−804 号公報に、液状またはペースト状製品を混濁するためのパール光沢形成剤が開示されており、その組成は脂肪酸グリコールエステルと脂肪酸モノアルキロールアミドを含有するものである。しかしながら、この組成であるとパール光沢形成剤の粘度が高くなり、結晶粒径がばらつき、結晶形も不均一なものとなり、光沢品質が悪く、分散性が悪くなる。そのためあらかじめ、多量の水等で希釈することが必要となり、高濃度の光沢形成剤が得られない欠点を有する。
【0009】
また、特開昭58−71021 号公報には、真珠様光沢剤の製造法が開示されており、上記の不具合を解消して高濃度の光沢剤を得るために、脂肪酸グリコールエステルと脂肪酸ジアルキロールアミドとを加熱熔融した後、冷却しながら脂肪酸グリコールエステルの融点以下の温度で水を添加する方法の記載がある。しかし、当該方法では、融点以上では水が漆加されておらず実質的に無水状態であり、これを冷却した後に水に添加するため、結晶粒径がばらつき、結晶形も不均一なものとなり、光沢品質の悪いものとなる。
【0010】
さらに、特開昭57−156409号公報や特開昭57−156410号公報には、高濃度パール剤分散液の製造方法が開示されているが、パール化剤に対する脂肪酸ジエタノールアミドの添加量が多くなるため、高濃度にする程脂肪酸ジエタノールアミドの量が多くなり、利用範囲が制限される。また、この組成では結晶粒径がばらつき、結晶形も不均一なものとなる。
【0011】
特開平8-231985号公報には、脂肪酸アルカノールアミドと両性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を特定の比率で混合し、低粘度の真珠光沢分散剤を得ることが出来ると開示している。
【0012】
しかしながら、これらの技術はすべてその構成要件に脂肪酸アルカノールアミド類を含有している。脂肪酸アルカノールアミドは脂肪酸グリコールエステルのパール化において優れた溶剤となり得るが、その製造履歴および経時変化により着色するなどの問題が発生する場合があり、脂肪酸アルカノールアミドを含有せず、洗浄剤組成物に混合しやすく、洗浄剤組成物の性能に影響を与えない濃縮真珠光沢組成物の開発が望まれていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記課題を解決すべく、真珠光沢を付与したN−アシルアミノ酸系界面活性剤を主剤として含有する洗浄剤組成物およびN−アシルアミノ酸系界面活性剤を溶媒主剤とした混合特性に優れる着色安定性の良好な真珠光沢濃縮物を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、N−アシルアミノ酸系界面活性剤と水溶性無機塩からなる配合物中で脂肪酸グリコールエステル類を析出させると意外にも極めて容易に真珠光沢が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち本発明は、
(A)一般式(1)
【0016】
【化7】
Figure 0004173962
【0017】
[但し式中R1 は炭素数7〜19のアルキル基、アルケニル基を示し、R2 は水素原子またはメチル基、エチル基を示し、pは1または2の数、M1 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸を示し、q はM1 の荷電数を示す。]で示されるN−アシル中性アミノ酸塩 10 30 重量%
(B)一般式(2)
【0018】
【化8】
Figure 0004173962
【0019】
[但し、式中R3 は炭素数15〜21のアルキル基、アルケニル基を示し、mは1乃至は3の数を示し、Aは水素原子またはR3 CO基を表す。]で示される脂肪酸グリコールエステル、
(C)水溶性無機塩、ただし使用する水溶性無機塩が一価の陽イオンを含有する場合は3〜15重量%、二価の陽イオンを含有する場合は1.5重量%〜10重量%
および
(D)水
を必須成分として含有し脂肪酸アルカノールアミドを含有しないことを特徴とする真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物に関するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物における第一成分は前記一般式(1)で示されるN−アシルアミノ酸型界面活性剤である。
【0021】
前記一般式(1)のN−アシルアミノ酸型界面活性剤において、R2 は水素原子、メチル基、エチル基から選ばれるが、R2 が水素原子およびエチル基の場合真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物が低温時ペースト化するなどの問題点および流通上の入手の容易性より、R2 がメチル基である事が好ましい。
【0022】
前記一般式(1)で示されるN−アシルアミノ酸型界面活性剤の好適例としては、N−ラウロイル−β−アラニン、N−ラウロイル−N−メチル−β−アラニン、N−ラウロイルサルコシン、N−ラウロイルグリシン、N−ミリストイル−β−アラニン、N−ミリストイル−N−メチル−β−アラニン、N−ミリストイルサルコシン、N−ミリストイルグリシンN−ヤシ脂肪酸−β−アラニン、N−ヤシ脂肪酸−N−メチル−β−アラニン、N−ヤシ脂肪酸サルコシン、N−ヤシ脂肪酸グリシン等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アルカノールアミン塩、塩基性アミノ酸塩および各種酸の混合物らが挙げられる。
【0023】
本発明の真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物における第二成分は前記一般式(2)で示される脂肪酸グリコールエステルである。
【0024】
本発明における脂肪酸グリコールエステルは、真珠光沢を発現させる溶液中に分散した結晶となる。これらのパール結晶の条件としては界面活性剤を含有する洗浄剤組成物中で室温下でほぼ難溶性であり、高温での安定性の面から融点が50℃以上の結晶性脂肪酸グリコールエステルであり、昇温した場合には均一系になる物がより望ましい。
【0025】
脂肪酸グリコールエステルの好適例を挙げると、モノステアリン酸エチレングリコール、モノパルミチン酸エチレングリコール、モノイソステアリン酸エチレングリコール、ジステアリン酸エチレングリコール、ステアリン酸パルミチン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ジエチレングリコール、モノパルミチン酸ジエチレングリコール、モノイソステアリン酸ジエチレングリコール、ジステアリン酸ジエチレングリコール等が挙げられるが特にジステアリン酸エチレングリコールが好ましい。
【0026】
本発明の真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物における第三成分は水溶性無機塩である。水溶性無機塩としては、例えばナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオンからなる一価の陽イオンおよび/または、マグネシウムイオン、カルシウムイオンからなる二価の陽イオンと、塩素イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオンからなる陰イオンから形成される塩の少なくとも1種を挙げることができる。好適例を示すと、NaCl、Na2 CO3 、Na2 SO4 、NaHSO4 、Na3 PO4 、Na2 HPO4 、KCl、K2 SO4 、KHSO4 、K3 PO4 、K2 HPO4 、KH2 PO4 、MgCl2 、CaCl2 、(NH42 SO4 、(NH43 PO4 、MgSO4 等が挙げられるが、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムが
の点でより好ましい。
【0027】
本発明の真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物における第四成分は、水である。通常の真珠光沢付与された洗浄剤組成物であれば水のみで本発明を実施可能であるが、組成物の撹拌流動性性を上昇させるために、多価アルコールを併用したほうが好ましい。
【0028】
特に真珠光沢剤である脂肪酸グリコールエステルの含有量を組成物の10重量%以上に配合した濃縮真珠光沢液を製造する場合は、撹拌流動性を上昇させるために多価アルコールと水を併用した溶媒の中で行うことが好ましい。
【0029】
本発明で用いられる多価アルコールとしては、炭素原子数2〜6個を含有し、水酸基を2個以上含有するものが好ましく、好適例を示せば、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。
【0030】
水と多価アルコールを組み合わせる場合の混合比率は水100重量部に対して多価アルコール120重量部以下であることが好ましく、より好ましくは5〜20重量部の比率で混合することが好ましい。
【0031】
次に本発明構成成分の配合量に関して詳細に述べる。
【0032】
本発明による第一成分であるN−アシルアミノ酸型界面活性剤は組成物全体の10〜30重量%であることが好ましい。より好ましくは15〜25重量%である。N−アシルアミノ酸型界面活性剤の含有量が10%を下回ると、真珠光沢を発生しない、脂肪酸グリコールエステルの分散安定性が悪くなり、分離する事もあるため好ましくなく、30重量%を超えて配合されるとゲル化する事もあり好ましくない。
【0033】
本発明の第二成分である脂肪酸グリコールエステルの配合量は0.5重量%〜25重量%であることが好ましい。
【0034】
本発明による真珠光沢組成物をそのまま液体洗浄剤組成物として使用する場合は、0.5〜5.0重量%であることがより好ましい。脂肪酸グリコールエステルの含量が0.5重量%を下回ると真珠光沢が弱くなり好ましくなく、5.0重量%を超えて配合した場合真珠光沢には影響無いが、液体洗浄剤組成物の起泡力を著しく低下させる場合があり好ましくない。
【0035】
本発明による真珠光沢組成物を濃縮真珠光沢組成物として製造し、他の液体洗浄剤処方に濃縮真珠光沢組成物を分散させて使用する場合は、脂肪酸グリコールエステルの含有量は5.0〜25重量%が好ましい。25重量%より多くの脂肪酸グリコールエステルを配合すると真珠光沢濃縮液が部分的にゲル化或いは固化するなどの問題が発生して他の液体洗浄剤処方に濃縮真珠光沢組成物を分散させる際困難となるため好ましくない。
【0036】
本発明の第三成分である水溶性無機塩の配合量は、1.5重量%〜15重量%であることが好ましい。使用する水溶性無機塩が一価の陽イオンを含有する場合は3〜15重量%が好ましく、二価の陽イオンを含有する場合は1.5重量%〜10重量%であることがより好ましい。水溶性無機塩の配合量が1.5重量%を下回ると真珠光沢は出現せず、15重量%を超えて配合した場合は、本発明による真珠光沢組成物をそのまま液体洗浄剤組成物として使用する場合には起泡安定性が悪化するなどの問題が発生し、真珠光沢濃縮液として使用する場合は組成物の粘度が上昇し、他の液体洗浄剤処方に濃縮真珠光沢組成物を分散させる際困難となるため好ましくない。
【0037】
本発明を用いて濃縮真珠光沢組成物を配合して後、これを他の洗浄剤成分を含有する液体洗浄剤組成物に希釈して真珠光沢含有液体洗浄剤を製造する際、従来の濃縮パール化剤が多量の脂肪酸アルカノールアミド等のノニオンを含有している為、濃縮真珠光沢組成物の分散性に問題があったが、本発明による濃縮真珠光沢組成物は、その必須成分にノニオン類を含有しせず、濃縮溶液がその固形分含量に比較して非常に低粘度に調整されるため、室温による分散も可能であり、本発明による濃縮真珠光沢組成物は、容易に分散し得る特徴を有する。
【0038】
本発明真珠光沢を有する洗浄剤組成物および分散性良好な真珠光沢濃縮物には脂肪酸グリコールエステル類の溶解性を挙げる目的で両性界面活性剤および/または双性界面活性剤を配合することが出来る。特に好ましい両性界面活性剤および双性界面活性剤は、下記一般式(3)で示される構造を有する界面活性剤である。
【0039】
【化9】
Figure 0004173962
【0040】
[但し、式中R4 は炭素数7〜19のアルキル基、アルケニル基を示し、R5 は水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基を示し、R6 は水酸基を含んで良い炭素数1〜3のアルキル基を示し、sは1〜3の数、tは1または0を示し、Xはカルボアニオン(COO- )またはサルフェート型アニオン(SO3 -)を示す。]
好適例を示せば、ラウリルジメチル酢酸ベタイン、ラウロイルアミドジメチル酢酸ベタイン、ラウリルジメチルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイルアミドヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0041】
本発明による真珠光沢組成物をそのまま液体洗浄剤組成物として使用する場合は、真珠光沢出現を妨害しない範囲でアニオン性、非イオン性、半極性界面活性剤および通常洗浄剤あるいは化粧品に用いられる他の成分、例えば、動物、植物、魚貝類、微生物由来の抽出物、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級アルコール、エステル類、シリコーン、保湿剤、水溶性高分子、被膜剤、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、低級アルコール、糖類、アミノ酸類、有機アミン類、合成樹脂エマルジョン、pH 調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、などを必要に応じて1種または2種以上用いてもよい。
【0042】
【実施例】
以下に実施例により、本発明の内容を更に詳細に説明する。
【0043】
実施例1〜6、比較例1〜3
本発明による真珠光沢を有する洗浄剤組成物を以下の実施例1〜6に示す。比較例3以外は、下記表1の比率に従って真珠光沢含有洗浄剤組成物を配合し、80℃まで加熱した後20℃まで撹拌下冷却し評価サンプルを作成した。
【0044】
比較例3は市販濃縮真珠光沢液(商品名「アルポールPA」、ライオン(株)製)以外の成分を80℃に加熱して溶解させた後40℃まで冷却して市販濃縮真珠光沢液を分散させて20℃まで冷却させた。
【0045】
作成した各サンプルは比較例2のサンプルを標準に以下の評価を行った。
【0046】
真珠光沢性能
◎ 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付き、比較例2に比較して真珠光沢が優秀である。
○ 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付き、比較例2と同等の真珠光沢である。
× 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付かない。
【0047】
安定性
作成したサンプルを40℃恒温機に3日静置した後、25℃まで冷却してサンプルの状態を観察した。
○ 変化無し。
× 分離、或いは析出が発生する。
【0048】
再析出性
作成したサンプルを60℃まで加熱して、無撹拌で20℃まで冷却した後のサンプルの状態を同処理を行った比較例2のサンプルを標準に以下の評価を行った。
◎ 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付き、比較例2に比較して真珠光沢が優秀である。
○ 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付き、比較例2と同等の真珠光沢である。
× 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付かない。
【0049】
なお、表1中の略号は、以下の化合物の略号である。
ALE N−ラウロイル−N−メチル−βアラニンナトリウム塩
SLE N−ラウロイルサルコシンナトリウム塩
SLES ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム塩
18EG18 エチレングリコールジステアリン酸エステル
【0050】
【表1】
Figure 0004173962
【0051】
表1の結果より明らかなように、N−アシルアミノ酸系界面活性剤を主剤としたサンプルでエチレングリコールジステアリン酸エステルを真珠光沢様に析出させるためには、水溶性無機塩が必須成分となる。市販濃縮真珠光沢液を使用した比較例3の場合、サンプル作成直後は、良好な真珠光沢を有するが、熱安定性は悪く、再析出性が悪い。この事は流通に載った商品が真夏の倉庫等に保存された場合、真珠光沢が失われることを意味し、商品設計上好ましくない。
【0052】
また、本発明組成物をそのまま液体洗浄剤組成物として使用する場合、真珠光沢出現に影響を与えない範囲で他の活性剤、添加剤を併用する事が可能である。それらの例を以下に記載する。以下の処方は真珠光沢性能、安定性、再析出性が良好である。
【0053】
実施例7
以下のシャンプーを作成した
N−ラウロイル−N−メチル−βアラニンナトリウム・30%溶液 50.0%
ラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン・30%溶液 16.6%
塩化マグネシウム 2.0%
POP(1)ヤシ脂肪酸モノイソプロパノールアミド 2.0%
クエン酸 pH=7.0とする量
エチレングリコールジステアリン酸エステル 2.5%
カチオン化グアー 0.2%
ピロクトンオラミン 0.5%
メチルパラベン 0.2%
グリセリン 2.0%
精製水 100%とする量
全ての成分を所定量反応器に仕込み、撹拌下80℃まで加熱して10分保持した後、20℃まで撹拌下冷却した。真珠光沢性能:◎、安定性:○、再析出性:◎であった。
【0054】
実施例8
以下のシャンプーを作成した
N−ラウロイル−サルコシンナトリウム液・30%溶液 45.0%
ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン・30%溶液 15.0%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム・25%溶液 15.0%
塩化マグネシウム 2.0%
POP(1)ヤシ脂肪酸モノイソプロパノールアミド 2.0%
クエン酸 pH=7.0とする量
エチレングリコールジステアリン酸エステル 2.5%
カチオン化グアー 0.5%
グリチルリチン酸ジカリウム 0.5%
メチルパラベン 0.2%
精製水 100%とする量
全ての成分を所定量反応器に仕込み、撹拌下80℃まで加熱して10分保持した後、20℃まで撹拌下冷却した。真珠光沢性能:◎、安定性:○、再析出性:◎であった。
【0055】
実施例9
以下のシャンプー組成物を作成した。
Figure 0004173962
全ての成分を所定量反応器に仕込み、撹拌下80℃まで加熱して10分保持した後、20℃まで撹拌下冷却した。真珠光沢性能:◎、安定性:○、再析出性:◎であった。
【0056】
実施例10,11、比較例4
本発明による真珠光沢濃縮物を以下の実施例1〜6に示す。下記表2の比率に従って、各配合成分を真空乳化機に仕込み、冷却水を流しながら、配合液が脱泡されるまで減圧した後、密封し、攪拌下80℃まで昇温し、30分間80℃保持後、攪拌下40℃まで冷却して後、系を開放して常圧に戻し各サンプルを取り上げた。
【0057】
この時得られた各サンプルに関して以下の性能評価を行った。
【0058】
外観
真空乳化機から取り出したときの各サンプルの状態。
【0059】
分散性試験
予め製造例1の液体洗浄剤を調整しておき、180ml共栓付試験管に製造例1の液体洗浄剤組成物90gに対して各サンプル10gを試験管壁面に付着しないように静かに添加し、室温下、5秒間隔で180°転倒し、360°転倒した時を1回とカウントする。
【0060】
共栓付試験管中の組成物が均一に分散するまでのカウント数を3回測定し、その平均転倒数により以下の評価を行う。
◎ 転倒回数1回〜5回で分散終了
○ 転倒回数6回〜10回で分散終了
× 転倒回数11回以上で分散終了
(製造例1)
N−ラウロイルサルコシンナトリウム液・30%溶液 35.0%
ラウリン酸アミドプロピルベタイン・30%溶液 15.0%
POP(1)ヤシ油脂肪酸モノイソプロパノールアミド 3.0%
ラウロイル加水分解シルクナトリウム液・20%溶液 20.0%
硫酸マグネシウム 2.0%
カチオン化セルロース 0.25%
精製水 100%とする量
分散後の真珠光沢性能
分散性試験に供したサンプルの真珠光沢を表1の比較例2で得られたサンプルを基準に以下評価を行った
◎ 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付き、比較例2に比較して真珠光沢が優秀である。
○ 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付き、比較例2と同等の真珠光沢である。
× 時計皿にサンプルを入れ、サンプルをガラス棒で混ぜた際、ガラス棒の軌跡を真珠光沢結晶のオリエンテーションによる筋が付かない。
【0061】
表2中の略号は、以下の化合物の略号である。
ALE N−ラウロイル−N−メチル−βアラニンナトリウム塩
18EG18 エチレングリコールジステアリン酸エステル
LPB−R ラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン(RO膜処理、脱塩品)
【0062】
【表2】
Figure 0004173962
【0063】
表2の結果より、本発明による濃縮真珠光沢組成物は、完成時の外観が液状ないしペースト状であるが、ノニオン系の活性剤中での濃縮真珠光沢組成物に比較して容易に分散しやすい性質を有する。また微量の両性界面活性剤を添加することにより、真珠光沢性能を上げることが出来る。
【0064】
【発明の効果】
本発明の真珠光沢を有する洗浄剤組成物は、N−アシルアミノ酸系界面活性剤を主材とするものであるが、真珠光沢性能、安定性、再析出性等に優れた真珠光沢を有するものである。
【0065】
また、本発明の真珠光沢濃縮物は、脂肪酸アルカノールアミドを含有せず、洗浄剤組成物に混合しやすく、洗浄剤組成物の性能に影響を与えないという効果を有するものである。

Claims (6)

  1. (A)一般式(1)
    Figure 0004173962
    [但し式中R1 は炭素数7〜19のアルキル基、アルケニル基を示し、R2 は水素原子またはメチル基、エチル基を示し、pは1または2の数、M1 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸を示し、q はM1 の荷電数を示す。]
    で示されるN−アシル中性アミノ酸塩 10 30 重量%、
    (B)一般式(2)
    Figure 0004173962
    [但し、式中R3 は炭素数15〜21のアルキル基、アルケニル基を示し、mは1乃至3の数を示し、Aは水素原子またはR3 CO基を表す。]で示される脂肪酸グリコールエステル、
    (C)水溶性無機塩、ただし使用する水溶性無機塩が一価の陽イオンを含有する場合は3〜15重量%、二価の陽イオンを含有する場合は1.5重量%〜10重量%
    および
    (D)水
    を必須成分として含有し脂肪酸アルカノールアミドを含有しないことを特徴とする真珠光沢を有する洗浄剤組成物。
  2. さらに多価アルコールを含むことを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。
  3. さらに一般式(3)
    Figure 0004173962
    [但し、式中R4 は炭素数7〜19のアルキル基、アルケニル基を示し、R5 は水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基を示し、R6 は水酸基を含んで良い炭素数1〜3のアルキル基を示し、sは1〜3の数、tは1または0を示し、Xはカルボアニオン(COO- )またはサルフェート型アニオン(SO3 -)を示す。]
    で示される両性および/または双性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の洗浄剤組成物。
  4. (A)一般式(1)
    Figure 0004173962
    [但し式中R1 は炭素数7〜19のアルキル基、アルケニル基を示し、R2 は水素原子またはメチル基、エチル基を示し、pは1または2の数、M1 は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカノールアミン、塩基性アミノ酸を示し、q はM1 の荷電数を示す。]
    で示されるN−アシル中性アミノ酸塩、
    (B)一般式(2)
    Figure 0004173962
    [但し、式中R3 は炭素数15〜21のアルキル基、アルケニル基を示し、mは1乃至は3の数を示し、Aは水素原子またはR3 CO基を表す。]
    で示される脂肪酸グリコールエステル、
    (C)水溶性無機塩、
    および
    (D)水
    を必須成分として含有することを特徴とする分散性良好な真珠光沢濃縮物。
  5. さらに多価アルコールを含むことを特徴とする請求項4に記載の真珠光沢濃縮物。
  6. さらに一般式(3)
    Figure 0004173962
    [但し、式中R4 は炭素数7〜19のアルキル基、アルケニル基を示し、R5 は水素原子、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基を示し、R6 は水酸基を含んで良い炭素数1〜3のアルキル基を示し、sは1〜3の数、tは1または0を示し、Xはカルボアニオン(COO- )またはサルフェート型アニオン(SO3 -)を示す。]
    で示される両性および/または双性界面活性剤を含有することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の真珠光沢濃縮物。
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