JP4172689B2 - 画像認識による歯科診療支援システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科診療支援システムに関し、詳しくは、歯科診療エリアの診療ユニット、患者、術者の配置・位置を画像認識することにより、歯科診療ユニットの各部及び装置を最適ポジションに自動配置して診療行為を支援するシステムに関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科診療においては、患者の導入時や診察時には、診療ユニットのテーブルやチェアーの移動を術者がその都度行っていた。また、術者が診療位置にテーブルをセットする際に、あらかじめ診療しやすい位置を歯科診療ユニットの可動機構に記憶させておき、手動で動作方向に押すと所定位置まで移動させるユニットや、可動機構に駆動部を備え、スイッチの操作により診療位置まで移動させる自動機構付の診療ユニットがあるが、これらの自動セット機構では歯科診療ユニットの可動機構に駆動装置と共に、位置検出センサーを備えて動作を制御する必要があるため、信号機構が複雑となっていた。
【0003】
テーブル等の歯科診療器具保持手段を治療に適した位置に自動的に移動させる従来の装置は、術者(ドクターまたは歯科衛生士)用椅子の位置に対応させて予め記憶手段に記憶させた診療位置に対応させた最適位置まで移動させる構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−166995号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の装置では、患者導入時には、診療ユニットの各部(テーブルなど)を患者が着座するための移動の際に接触しない位置まで移動させる必要があった。また、自動セット機構のスイッチで、予め記憶させた最適診療位置までテーブルを移動させる方法では、術者の診療位置にずれがあっても自動修正ができないため、手動で修正を行う必要があった。
【0006】
また、診療時のテーブルの設定位置は、術者がドクターチェアに着座した状態で肘を軽く曲げた高さに位置し、容易に手の届く距離にセットすることが望ましいが、術者の体型(背の高さ、手の長さなどの体格)によって最適なテーブル設定位置に大きな違いが発生する。このため、術者用椅子からの距離だけでテーブルの設定位置を判断して移動させても再度手動で調整する手間がかかる問題があった。しかも、複数の術者(ドクター、歯科衛生士)が同一診療ユニットに対して交代する場合、術者の体型個人差のために必ず調整しなければならない煩雑さがあった。
【0007】
また、これらの歯科ユニットの各部分を自動移動させる際に、移動する部分が患者や術者に接触する恐れがあるため、スイッチ操作の都度、衝突事故が起きないか確認し、監視していなければならなかった。
【0008】
このような歯科診療ユニットの自動動作機構では、可動部分の制御のため、その制御信号伝達の配線が多くなり、可動部分の断線・誤動作、インスツルメントの誤作動などが発生しやすい。このため、可能な限り単純かつ安全な制御機構とすることが望まれていた。
【0009】
本発明は、このような従来の問題を考慮してなされたものであり、歯科診療ユニットの各装置の位置、患者および術者の存在とその位置をリアルタイムに認識して、患者の導入、診療開始、診療終了に対応して歯科診療ユニットの所定装置をそれぞれの最適位置に移動させる画像認識による歯科診療支援システムを提供することを課題とする。
【0010】
また、術者が選択した診療器具(インスツルメント類、その他の器具)の固体判別により、重複使用のロックや、ホースの送り出し、巻き取りを自動的に行い歯科診療行為を支援することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するため、請求項1の発明の画像認識による歯科診療支援システムは、患者が着座する診療チェアを含む歯科診療ユニットならびに術者及び補助者の診察椅子近傍における診療エリアの画像情報を取得する一つまたは複数のカメラと、カメラからの画像情報に基づいて歯科診療ユニットにおける各装置の位置及び患者、術者の存在並びにその位置をリアルタイムに認識する認識手段と、認識手段が患者及び術者を認識したとき、歯科診療ユニットにおける所定の装置を診療動作の支援に最適な位置に移動させるポジション制御手段と、術者が選択したインスツルメントの固体判別を行うインスツルメント判別手段と、重複使用禁止のインスツルメントが選択されたとき、少なくとも使用禁止側のインスツルメントの作動をロックするインスツルメントロック手段とを備えていることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、歯科診療ユニットの可動可能な各装置がどのような位置・状態にセットされているかをリアルタイムに把握することができる。また、診療エリアをリアルタイムに認識することにより、患者、術者及び補助者の存在と位置から診療過程(患者導入、診療開始、診療終了等)を認識することができる。さらに、リアルタイムに認識した画像情報と、一定時間前に認識した画像情報との差分から診療ユニットの各部の移動、患者、術者の移動を認識する動作認識を可能とすることができる。これらの状態認識と動作認識とにより、従来では術者または補助者が行っていた歯科診療ユニットの操作作業を自動化して支援することができる。
【0013】
また、前記作用に加え、患者が診療チェアーに着座し、術者が診療ポジションに位置したことを認識し、テーブル、アシスタントハンガー等を診療動作に最適な位置に移動させる操作を自動的に行うことができる。このため、術者は余分な作業に煩わされることなく、患者の観察、説明、対話に専念して診療行為に入ることができる。
【0014】
この発明では、さらにインスツルメント判別手段を備えることにより、術者が現在使用しているインスツルメント(タービン回転、注水など)のみの作動を可能状態とし、同時使用禁止の装置を動作禁止として、誤って作動させることを防止することができる。
【0015】
請求項2の発明の画像認識による歯科診療支援システムは、患者が着座する診療チェアを含む歯科診療ユニットならびに術者及び補助者の診察椅子近傍における診療エリアの画像情報を取得する一つまたは複数のカメラと、カメラからの画像情報に基づいて歯科診療ユニットにおける各装置の位置及び患者、術者の存在並びにその位置をリアルタイムに認識する認識手段と、認識手段が患者及び術者を認識したとき、歯科診療ユニットにおける所定の装置を診療動作の支援に最適な位置に移動させるポジション制御手段と、術者が選択したインスツルメントの固体判別を行うインスツルメント判別手段と、判別されたインスツルメントに接続されているインスツルメントホースを当該インスツルメントの使用状況に応じて送り出し状態、巻き取り状態、テンションフリー状態に制御するインスツルメントホース制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0016】
この発明では、請求項1の発明の作用に加え、インスツルメントホース制御手段を備えることにより、インスツルメントの使用状況に応じてホースの巻き取り状態を自動制御することができる。
【0017】
請求項3の発明は、請求項2の発明であって、前記インスツルメントホース制御手段は、前記認識手段により使用インスツルメントの位置をリアルタイムに認識し、使用インスツルメントが治療エリア内に移動されるときにインスツルメントホースを送り出し状態とし、治療エリア内ではテンションフリー状態とし、使用インスツルメントが治療エリア外に移動されたときにはインスツルメントホースを巻き取り状態とすることを特徴とする。
【0018】
この発明では、治療エリア内でインスツルメントを把持している術者の手の動作を画像認識することにより、インスツルメントの使用状態を把握する。このため、術者はホース操作に煩わされることなく治療に専念できる。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1,2のいずれかに記載の発明であって、前記認識手段は歯科診療ユニットにおける各装置の移動経路及び移動先の障害物の認識が可能となっており、前記ポジション制御手段は認識手段からのデータに基づいて障害物を回避するように各装置の移動軌道の変更または/及び移動の停止または/及び警告を行うことを特徴とする。
【0020】
この発明では、認識手段が各装置の動作を監視し、その移動経路を推測することにより、ポジション制御手段で動作している各部が障害物に接触または衝突することを防止することができる。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1,2のいずれかに記載の発明であって、前記カメラは、患者が着座する診療チェアを含む歯科診療ユニットならびに術者及び補助者の診察椅子近傍の診療エリアを上方から撮影する第1のカメラと、患者ならびに術者の顔画像を撮影する第2のカメラと、前記診療エリアを側面から撮影する第3のカメラとが配置されることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、第1のカメラにより診療エリアの診療ユニットの状態、患者、術者の存在と位置とを平面視して配置状況を取得できると共に、第2のカメラにより患者ならびに術者の顔画像をリアルタイムで取得して個人の特定が可能となり、第3のカメラにより診療ユニットの患者用椅子の高さ、背板の傾き、テーブルなどの高さに関する画像を取得して装置の各部の移動の際の接触判定が可能となる。
【0023】
請求項6の発明は、請求項5記載の発明であって、前記第1のカメラが歯科診療ユニットの無影灯に回動自在に取り付けられており、無影灯の回動に伴って、診療エリアを平面視する第1の撮影位置と、顔画像を撮影する第2の撮影位置及び診療エリアを側面から撮影する第3の撮影位置との間を移動可能となっていることを特徴とする。
【0024】
この発明では、カメラを無影灯に取り付け、無影灯のアームを回動させることにより、任意の撮影位置に移動させ、診療段階(患者導入、診療開始、診療中、診療終了)に応じた画像を取得させることができる。このため、複数のカメラを必要とすることなく、一つのカメラで請求項5と同様な作用を行うことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施の形態につき具体的に説明する。図1は、本発明の一実施の形態における画像認識による歯科診療支援システムの構成を示すブロック図である。
【0026】
この実施の形態の画像認識による歯科診療支援システム100は、カメラ10と、診療ユニットまたはその近傍に患者から視認可能な位置に設けた表示装置11と、画像認識・制御コンピュータ20と、歯科診療ユニット動作制御装置30と、院内LAN40を介して接続された歯科診療管理サーバ50とから構成されている。
【0027】
診療ユニット動作制御装置30には、診療チェア昇降・背板傾動動作部31、テーブル移動動作部32、インスツルメント制御動作部33、アシスタントハンガー移動動作部34、無影灯移動動作部35が接続されることにより、これらの動作部が制御される。なお、画像認識・制御コンピュータ20及び診療ユニット動作制御装置30は診療ユニット1台ごとに備える構成を図示したが、複数の診療ユニットと接続して制御させる構成とすることも可能である。
【0028】
カメラ10は、外部接続ポート21に接続されることにより、撮影したデジタル画像を画像認識・制御コンピュータ20がリアルタイムで取得することを可能としている。この実施の形態では、下向きに設けられることにより診療エリアを水平視する第1のカメラ10aと、治療エリアを正面視する向きに設けた第2のカメラ10bと、診療ユニットの側面を水平に視認できる位置に設けられた第3のカメラ10cとを備える。
【0029】
画像認識・制御コンピュータ20は、外部接続ポート21と、認識制御プログラムがインストールされた認識制御部22と、認識制御に必要な装置各部のポジション画像や、術者・患者の顔画像、術者ごとの最適ポジションを含む情報を記憶した記憶部23とから構成されている。
【0030】
前記認識制御部22は、カメラから取得した画像情報から歯科診療ユニットの各部あるいは人物を識別する認識手段22aと、術者の個人識別を行う術者識別手段22bと、患者の個人識別を行う患者識別手段22cと、術者が使用しているインスツルメントを識別するインスツルメント判別手段22dと、診療段階を判断して最適ポジションに診療ユニットの各部を移動させるポジション制御手段22eと、患者個人識別に基づきその診療記録を表示装置(ディスプレイ)11に表示させる表示手段22fと、使用禁止器具の誤動作を制御するインスツルメントロック手段22gと、術者が使用中のインスツルメントホースを制御するインスツルメントホース制御手段22hと、記憶部23に術者や患者の顔画像情報を予め登録しておくための術者・患者画像記録手段22iと、術者個人の体格、好みに合わせた診療時の装置配置の画像、相対位置情報を記録する術者最適ポジション記録手段22jとを少なくとも備える。
【0031】
また、前記記憶部23は、歯科診療ユニットの可動可能な各部について可動範囲画像を記録したユニット可動範囲画像情報23aと、術者画像情報23bと、患者画像情報23cと、最適ポジション情報23dとを備える。
【0032】
ユニット可動範囲画像情報23aは、チェアーの背板の可動範囲(傾き)、テーブルの可動範囲、アシスタントハンガーの可動範囲、チェアーの上下(昇降)、背板の傾き範囲のモデル画像情報(可動状態の位置を一定間隔ごとの画像とした位置パターン画像)を記録したもので、前記認識手段22aが取得した画像と、モデル画像情報とを比較(パターンマッチング)することにより各部の位置を把握するために用いる情報である。
【0033】
術者画像情報23bは、所属する術者の顔画像を記録したもので、前記術者認識手段22bが診療ポジションに着座した術者(ドクターや歯科衛生士)の顔画像と、登録された顔画像情報とを比較して術者個人認識を行うために用いる情報である。なお、治療ポジションエリアL内の顔画像であれば、立位診療を行う術者の顔画像の個人認識も可能である。
【0034】
患者画像情報23cは、診療を受付けた患者の顔画像の記録であって、初診時にカメラで取得した患者の顔画像を歯科診療管理サーバ50に備え、院内LAN40を介して術者・患者画像記録手段22iにより登録しておく。また再診時には最新の顔画像に更新して記録することにより、診療ユニットに着座した患者の顔画像と、登録された患者顔画像とを比較し、患者識別手段22cが患者個人を識別するためのものである。
【0035】
最適ポジション情報23dは、術者個人ごとの診療ポジションと、そのポジションに対応する歯科診療ユニットの各部の最適配置の画像または位置情報(パターン)を登録した情報である。この場合、術者の診療ポジションは、治療内容によって治療ポジションエリアLの範囲内で複数のポジションを採る場合がある。また、チェアー背板を倒し患者を完全水平にしたときの口腔位置を中心に何時の方向に術者が向いて診療行為を行うかにより、術者個人ごとにそれぞれのパターンの最適配置を登録しておく。
【0036】
図2は、カメラの配置を示す正面図である。図に示すように、歯科診療ユニット1は、患者を着座させ背板17aを倒すことにより口腔の診療を行うチェアー17、このチェアー17の昇降や診療器具の動作制御を行うフットペダル18、チェアー17と共に昇降するように支持された診療器具を載置するテーブル13、テーブル13の下部に取り付けられたインスツルメントハンガー15、このハンガー15に保持されたインスツルメント16、インスツルメントホース16a、表示装置11、無影灯12などから構成されている。
【0037】
ここで、主な可動可能である部分は、無影灯12、テーブル13、インスツルメントハンガー15、アシスタントハンガー14、背板17a及び、チェアー17である。なお、この実施の形態の歯科診療ユニット1は、チェアー17の昇降に伴って各部も昇降する構造となっている。
【0038】
カメラ10は、診療エリアKの天井又は支柱に下向きに設けた第1のカメラ10aと、無影灯12などの支持ポールに治療ポジションエリアLを正面視する向きに設けた第2のカメラ10bと、壁面または歯科診療ユニットの側面を水平に視認できる位置に設けられた第3のカメラ10cとの3つのカメラを備えている。そして、第1のカメラ10aからの画像によって各部の平面での位置や人物の存在を認識可能とし、着座した患者の顔や術者の顔画像を第2のカメラ10bによって認識可能とし、チェアーの昇降状態や背板の傾き、各部の垂直位置を第3のカメラ10cによって認識する。
【0039】
第3のカメラは、テーブル13やアシスタントハンガー14などがチェアー17に連動して昇降しないタイプの歯科診療ユニットの場合、テーブルなどの上下方向の移動を制御するための画像認識を行う。
【0040】
図3は、カメラの別の配置を示す側面図である。なお、図2と同じ装置については、同一の符号によって対応させてある。この実施の形態では、首振り機能(自動パン・チルト機能)付のカメラ10を無影灯12の先端部に配置し、無影灯12の支持アーム12a、12b、12c、12d、12eをそれぞれの支持アームの駆動モータM3、M4、M5、M6、M7によって回動させてカメラ10を所定の位置に移動させる。これにより、上述した第1のカメラ、第2のカメラの機能を備えたものとすることができる。
【0041】
カメラ位置Aは、各部の平面での位置や人物の存在を認識可能とする第1のカメラ10aに代わる位置であり、カメラ位置Bは、着座した患者の顔や術者の顔画像を認識可能とする第2のカメラ10bに代わる位置であり、カメラ位置Cは、患者の口腔を中心とした治療エリアNを認識する画像を取得して、術者の使用中のインスツルメントなどを識別するのに適した位置である。
【0042】
次に、認識手段22aに関する技術について述べる。天井に設置された第1のカメラ10aからの画像の場合、カメラ設置位置と、診療ユニット設置位置は固定されており既知である。
【0043】
カメラ10aから取得した画像から実際の装置等の距離や大きさを判断するために、画像中の1画素当たりの距離を求めておくことができる。カメラ10aが、図2のチェアー17の座席Gの2メートル上方に設けられ、カメラの水平画角が30°、水平解像度が320画素である場合、座席Gの高さの平面においてカメラで撮影できる水平範囲は、三角関数により底辺距離が1.07メートルで、一画素当たりの距離は3.34mmに相当する。また、垂直画角30°、垂直解像度が240画素である場合には、同様に垂直方向の一画素当たりの距離は4.46mmに相当する。対象物が上下してカメラ10aからの距離が変わる場合、テーブルなど大きさが既知な対象物を識別することにより、その高さでの一画素当たりの距離を求めることができる。このように、画素を座標マトリックスとして認識することにより、画像中の各装置の位置や移動方向を座標系として捉えることができる。
【0044】
各装置の可動範囲の状態の認識方法を説明する。図3のチェアー17の背板17aは、矢印で示すように、患者が着座する位置(起きている状態)F′と、治療のために倒した状態Fの範囲で可動する。この背板17aの状態は、取得した画像と、予めユニット可動範囲画像情報23aに登録してあるモデルパターンとを比較(パターンマッチング)して、最もマッチング値の高いモデルパターンとの組み合わせを選択させることにより、実際の背板位置を把握することができる。
【0045】
図3に示すように、テーブル13は、患者導入時はD′の位置に移動させることにより、患者の着座移動の障害とならない位置とし、診療開始に伴いDの位置に移動させることが可能な可動範囲となる。この位置認識も同様に予めユニット可動範囲画像情報23aに登録してあるモデルパターンとを比較(パターンマッチング)して、最もマッチング値の高いモデルパターンとの組み合わせを選択することにより、実際のテーブル位置を把握することができる。
【0046】
図4は、図3の平面図である。図4に示すアシスタントハンガー14は、診療中に補助者が使用する機器を保持している装置であるが、EからE′の可動範囲を移動する。この位置認識も同様に予めユニット可動範囲画像情報23aに登録してあるモデルパターンとを比較(パターンマッチング)して、最もマッチング値の高いモデルパターンとの組み合わせを選択させることにより実際の位置を把握することができる。
【0047】
これらのパターンマッチングに際し、画像の色情報(RGB)を色相(H)、彩度(S)、明度(V)に変換したHSV表色情報を用いることによりユニット可動範囲画像情報23aとの比較(パターンマッチング)の精度を高めることができる。なお、背景が限定されていない場合には、まずHSV表色情報で認識対象のエリアを絞り込んでから、ユニット可動範囲画像情報23aとのパターンマッチングを行うことにより比較演算スピードをさらに早くすることが可能である。また、背景が限定されて認識対象との色の分離がよい診療エリアKの状況では、色情報だけで位置を認識することが可能となる。この方法では、色相の値(0〜359)が人物の顔画像の場合、限定された範囲をとることを利用し、画像の中から顔画像を特定する。さらに、色情報による判別においては、カメラを赤外線カメラとすることにより、人物と背景の分離判別を確実に短時間で行うことが可能となる。
【0048】
図4には、カメラ10が取得する診療エリアK、術者Jが診療に際して着座するドクターチェアー19が位置する範囲(診療ポジション)である治療ポジションエリアLを示している。この図では、術者Jが患者の頭の位置(12時位置)に位置した場合を示しているが、治療ポジションエリアL内で、患者の頭に対し9時の位置や、3時の位置で診療を行うことがある。そのいずれの位置に術者が位置しているかについても認識手段22aが術者診療ポジション判定を行う。
【0049】
図4において、符号13a、13b、13cはテーブル13を回動自在に支持するアームである。テーブル13をDからD′に移動させる際は、アーム13cの基部のモータM1とアーム13aとアーム13bの回動部のモータM2を駆動することにより行う。
【0050】
この実施の形態の歯科診療支援の主な動作について図5に示すゼネラルフローに基づいて説明する。
【0051】
まず、認識手段22aにより診療ユニット1の各部の位置認識を行う(装置認識ステップS1)。この詳細フローは図6(a)に示す。
【0052】
次に、認識手段22aにより人物(術者、患者)の認識を行う(人物認識ステップS2)。この詳細フローは図6(b)に示す。
【0053】
次に、治療ポジションエリアL内の診療ポジションに術者が存在するか、チェアー17上に患者が存在するかを判定し、いずれも存在しない場合、ステップS2の人物認識を続ける。患者が着座し、術者が治療ポジションエリアLの診療ポジションに着いたとき診療開始と判断し、次に進む(診療開始判定ステップS3)。
【0054】
次に、歯科診療ユニットの各部を術者の診療ポジションに合わせた最適ポジションに移動させる。すなわち、ポジション制御手段22eにより、最適ポジション情報23dから術者個人毎に登録されている各装置の最適ポジションを検索して読み出し、その配置に移動させる(ポジション制御ステップS4)。
【0055】
このとき、歯科診療ユニットの各部の制御は、外部接続ポート21に接続された診療ユニット動作制御装置30に対して動作指令信号を送出することによって行う。動作制御の方式については公知の技術を使用することができるが、移動対象、移動先座標、移動経路を指令する。
【0056】
診療ユニット動作制御装置30は図1に示すように、診療チェアー昇降・背板傾動動作部31、テーブル移動動作部32、インスツルメント制御動作部33、アシスタントハンガー移動動作部34、無影灯移動動作部35の各駆動部(たとえばステッピングモータ)に対して動作指令信号を送る。
【0057】
次に、ポジション制御ステップS4で動作を開始した歯科診療ユニットの各部の動作を認識する(動作認識ステップS5)。この詳細フローについては図7(a)に示す。
【0058】
移動した装置各部が、ポジション制御ステップS4で検索した術者の診療ポジションに合わせた最適ポジションに移動したか、すなわち最適停止位置かを判断し、最適停止位置まで移動していれば、動作の終了工程(S9)に進む。最適停止位置に達していなければ次に進む(動作終了判定ステップS6)。
【0059】
移動未了の場合、動作中の歯科診療ユニット各部と、他の部位または人物との接触の恐れがあるか位置関係を監視する(接触監視ステップS7)。この詳細フローについては図7(b)に示す。
【0060】
移動により何かと接触することが予測されると判断したときは動作の終了工程(S9)に移行する。接触の恐れがないと判断したときは、移動動作を継続させて動作認識ステップS5に戻る。このフローでは接触することが予測されると判断したとき動作を停止するケースを示したが、障害物を回避するように各装置の移動軌道を変更するためポジション制御ステップS4に戻っても良く、或いは障害となる人物に警告する警報音を鳴らすことの良く、これらを組み合わせても良い(接触判定ステップS8)。
【0061】
以上により、患者の導入と、術者の診療開始に合わせて診療ユニットのセットが自動的になされて、診療行為が開始され、ステップS10以下のステップに移行する。
【0062】
診療中は、インスツルメント判別手段22dにより、治療エリア内の術者の手元を認識し、使用中のインスツルメントを識別し、そのホース制御を行ったり、使用禁止器具のロック制御を行って術者の操作を支援する(インスツルメント認識ステップS10)。この詳細なフローは図8(a)に示す。
【0063】
続いて、認識手段22aにより人物(術者、患者)の認識を行う(人物認識ステップS11)。この詳細フローはステップ2と同様であり、図6(b)に示す。
【0064】
診療の終了を判断するため、診療ポジション或いは治療ポジションエリアLから術者が離れたかを判定する。術者が診療ポジションに存在する場合、診療継続中と判断しステップ10へ戻り監視を継続する。術者が離れた場合、ステップS13へ進む(診療終了判定ステップS12)。
【0065】
診療終了と判断されたとき、歯科診療ユニットの各部をリセット位置に移動させる。この動作では、チェアー17の背板を起こしながらチェアー17を降ろすと共に、患者が退出するときの障害とならないようにテーブルなどを前方に移動させる指令を行う。なお、リセット位置は、前記最適ポジション情報23dに予め座標情報、または画像情報として登録しておき、ポジション制御手段22eが参照して制御信号を診療ユニット動作制御装置30に送出して行われる(ポジション制御ステップS13)。
【0066】
次に、ポジション制御ステップ13で動作を開始した歯科診療ユニットの各部の動作を認識する(動作認識ステップS14)。この詳細フローについてはステップ5と同様であり、図7(a)に示す。
【0067】
続いて、移動した装置各部が、リセット位置に移動したかを判断し、リセット位置まで移動していれば、ステップ18動作の終了工程に飛ぶ。リセット位置に達していなければ次に進む(動作終了判定ステップS15)。
【0068】
移動未了の場合、動作中の診療ユニット各部と、他の部位または人物との接触の恐れがあるか位置関係を監視する(接触監視ステップS16)。この詳細フローについては図7(b)に示す。
【0069】
移動により何かと接触することが予測されると判断したときは、ステップS18の動作の終了工程に移行する。接触の恐れがないと判断したときは移動動作を継続させステップS14の動作認識ステップに戻る(接触判定ステップS17)そして、診療ユニットをリセット状態として動作を終了する(ステップS18)。
【0070】
以上が主な診療支援動作のフローである。続いて説明した各ステップについての詳細な動作を図6、図7、図8に基づき説明する。
【0071】
図6(a)は、画像認識による歯科診療支援動作における装置認識ステップ、(b)は人物認識ステップ、(c)は差分画像処理ステップのフローチャートである。
【0072】
図6(a)に示す装置認識ステップは、装置各部の位置の確認を行うものであり、まずチェアー背板角度を認識する(チェアー背板角度認識S1−1)。この認識は、取得した画像からチェアー背板部を判別し、予めユニット可動範囲画像情報23aに登録してあるモデルパターンとを比較(パターンマッチング)し、最もマッチング値の高いモデルパターンとの組み合わせを選択する手法により傾き角度を識別する。
【0073】
次に、取得した画像からテーブルを判別し、予めユニット可動範囲画像情報23aに登録してあるモデルパターンとを比較(パターンマッチング)して、最もマッチング値の高いモデルパターンとの組み合わせを選択してテーブルの位置を求める(テーブル位置認識ステップS1−2)。
【0074】
続いて、取得した画像からアシスタントハンガーを判別し、同様にパターンマッチングでアシスタントハンガーの位置を求める(アシスタントハンガー位置認識ステップS1−3)。
【0075】
図6(b)に示す人物認識ステップでは、まず、診療エリア(歯科診療ユニット及びチェアー装置周辺)の画像を一定時間間隔で取得し、前後画像を比較してユニット周辺の背景を監視し、動的な変化を抽出する(差分画像処理ステップS2−1)。なお、この差分画像処理ステップの詳細は図6(c)で詳しく説明する。
【0076】
続いて、診療エリアの画像内に大きな変化があるかを判定する。大きな変化がなければ、人物認識ステップを終了する。大きな変化があれば次に進む(変化判定ステップS2−2)。
【0077】
次に、診療エリアK(ユニット周辺)の中で差分の大きなエリアを特定する(変化エリア特定ステップS2−3)。
【0078】
続いて、変化エリアが患者が着座するチェアー周辺であるか否かを判別し、チェアー周辺であればステップS2−5に進む(患者判断ステップS2−4)。
【0079】
変化エリアが術者が着座する治療ポジションエリアLの周辺(診療ポジション)か否かを判別し、治療ポジションエリアL周辺であればステップS2−7に進む(術者判断ステップS2−6)。
【0080】
患者の存在を確認し、患者顔画像を取得して、患者画像情報23cとパターンマッチングすることにより患者個人の識別を行う(患者着座判定S2−5)。表示手段22fは、この患者個人識別により、患者のID番号から歯科診療サーバ50に格納されている患者情報を検索して、表示装置11に表示する。
【0081】
治療ポジションエリアLに術者の存在が認識されたとき、術者の診療ポジションの位置を判定し、また、術者の顔画像を取得して、術者画像情報23bとパターンマッチングすることにより術者個人を識別する(術者診療ポジション判定ステップS2−7)。
【0082】
この術者個人識別により、ポジション制御手段22eは術者ごとの最適な装置各部の配置を最適ポジション情報23dから検索し、術者個人の診療スタイルに合わせた装置の移動を指令することが可能となる。
【0083】
ステップS2−1における差分画像処理ステップの詳細を図6(c)により説明する。まず、カメラから画像Aを取得する(ステップS2−11)。続いて、所定の変化監視間隔をタイマーにセットする(ステップS2−12)。
【0084】
タイマーセット時間の経過を監視し、セット時間に達したとき次に進む(ステップS2−13)。
【0085】
次に、カメラから画像Bを取得し(ステップS2−14)、取得した画像Aと画像Bとを比較し差分画像を取得する(ステップS2−15)。
【0086】
図7(a)は、画像認識による歯科診療支援動作における動作認識ステップ、(b)は接触監視ステップのフローチャートである。
【0087】
図7(a)は、図6で説明したステップS5及びS14の動作認識ステップの詳細を示している。まず、上述した差分画像処理ステップ(図6(c))で得られた差分画像のエリアから、チェアー17が動作中か判断する。変化がない場合には、ステップS5−4に移る(ステップS5−1)。
【0088】
チェアー17に変化が認められたときは、動作前画像と動作後画像とにより画像中の位置と動作方向を推定する(ステップS5−2)。続いて、パターンマッチングによりチェアー背板の角度を認識する(ステップS5−3)。
【0089】
次に、差分画像のエリアから、テーブル13が動作中か判断する。変化がない場合、ステップS5−7に移る(ステップS5−4)。テーブル13に変化が認められたときは、動作前画像と動作後画像により画像中の位置と動作方向を推定する(ステップS5−5)。続いて、パターンマッチングによりテーブル位置を認識する(ステップS5−6)。
【0090】
次に、差分画像のエリアから、アシスタントハンガー14が動作中か判断し、変化がない場合は終了する(ステップS5−7)。アシスタントハンガー14に変化が認められたとき、動作前画像と動作後画像により画像中の位置と動作方向を推定する(ステップS5−8)。続いて、パターンマッチングによりアシスタントハンガー14位置を認識する(ステップS5−9)。
【0091】
図7(b)は、図6で説明した接触監視ステップS7の詳細を示すフローチャートである。まず、差分画像処理ステップ(図6(c))で得られた差分画像のエリアから、チェアー17が動作中か判断する。変化がない場合、ステップS7−3に移る(ステップS7−1)。
【0092】
チェアー17に変化が認められたとき、その位置と動作方向から、移動先の推定を行い、移動先に障害物に接触する恐れがあるか判定する(ステップS7−2)。なお、この接触判定ステップ(ステップS7−2)の詳細は図8(b)に示し、説明を後述する。
【0093】
続いて、テーブル13が動作中か判断し、変化がない場合は、ステップS7−5に移る(ステップS7−3)。テーブル13に変化が認められたとき、その位置と動作方向から、移動先の推定を行い、移動先に障害物に接触する恐れがあるか判定する(ステップS7−4)。
【0094】
続いて、アシスタントハンガー14が動作中か判断し、変化がない場合は、終了する(ステップS7−5)。アシスタントハンガー14に変化が認められたときは、その位置と動作方向から、移動先の推定を行い、移動先に障害物に接触する恐れがあるか判定する(ステップS7−6)。
【0095】
図8(a)は、画像認識による歯科診療支援動作におけるインスツルメント認識ステップ、(b)は接触判定ステップのフローチャートである。
【0096】
図8(a)は、図5におけるステップS10の詳細を示す。まず、上述した差分画像処理ステップで得られた治療エリアN周辺の差分画像を監視する(ステップS10−1)。このとき、治療エリアN周辺だけをデジタルズーム機能により取り込むか、光学ズーム機能を備えたカメラを用いてクローズアップ画像を用いることにより、認識精度を確保することができる。図3に示した無影灯12に取り付けたカメラ10の場合、カメラ位置をC位置とすれば、治療エリアNの真上で、かつ被写体までの距離が近いため認識精度を高めることが可能となる。
【0097】
治療エリアN周辺及び治療エリアN内の画像に大きな変化がなければ終了する。大きな変化が認められた場合には、ステップS10−3に移る(ステップS10−2)。
【0098】
治療エリアN周辺及び治療エリアN内の中で差分(変化)の大きなエリアを特定すると共に、術者の手、把持している器具の動作方向を認識する(ステップS10−3)。このとき、治療エリアを分割したエリアとして特定することにより、処理を効率よく行うことができる。
【0099】
続いて、治療エリアN内で使用されているインスツルメントをパターンマッチング・色識別によって特定する(ステップS10−4)。このインスツルメント識別によって、インスツルメントロック手段22gは、重複して使用することが禁止されているインスツルメントが同時に識別された際に、インスツルメント制御動作部33に制御信号を出してインターロックしたり、識別されたインスツルメント以外をインターロックすることができる。
【0100】
さらに、インスツルメントホース制御手段22hが、インスツルメントを把持している術者の手の位置と動きを追尾判断する。そして、使用インスツルメントが診療エリアN内に移動されたときにはインスツルメントホース16aを送り出し状態とし、治療エリアN内にあるときはテンションフリー状態とし、使用インスツルメントが治療エリアN外に移動されたときはインスツルメントホース16aを巻き取り状態とする。
【0101】
これらのインスツルメントならびに術者の手を識別する際に、インスツルメントのグリップやホースを色分けし、術者の手袋に決まった色を使用することが好ましい。このようにすることにより、インスツルメントの握り方や向きの変化があっても、さらに識別効果を高めることができる。
【0102】
また、歯科診療管理サーバ50からの診療情報が取得されている場合、次の診療工程で必要となるインスツルメントの準備動作を自動的に行うことも可能である。従って、例えば、診療開始直後に使用する器具を取り出しやすい状態にしておくことができる。さらに、患者に説明のため治療説明を行うために使用する口腔内カメラを、取り出しやすいようにインスツルメントハンガーからせり出させたりすることができる。
【0103】
図8(b)は、図7(b)における接触判定ステップS7−2の詳細フローチャートである。まず差分画像処理で得られた情報から、目的の装置の動作方向を把握して移動先の推定を行う(ステップS7−21)。次に、移動先の障害物の有無を判定する(ステップS7−22)。このとき、第1のカメラ10aからの平面位置情報と第3のカメラ10cからの水平視した位置情報の両方を用いて高さについても判断する。
【0107】
障害物との距離は、移動している装置の外周から100mm〜200mm離れた周囲、または、術者の体型の外周から100mm〜200mm離れた範囲を境界エリアとし、この境界エリア近傍の障害物の有無を判定することが望ましい。障害物が認識されなければ終了し、障害物があればステップS7−24に進む(ステップS7−23)。
【0108】
ステップS7−24では、人物・装置各部の画像情報とパターンマッチングして障害物を識別する。そして、識別された障害物が既知の障害物(テーブル、アシスタントハンガー、規定ポジションの術者)の場合、第3のカメラ10cの画像から高さ方向を考慮した接触(当たり)予測を行う(ステップS7−26)。
【0109】
接触(当たり)予測では、チェアー背板の傾動に際してドクターチェアー19に座っている術者の足が、背板にぶつかる危険があることを察知して警告したり、停止させたりすることが可能となる。これにより、背板によるドクターの脚挟みこみなどの事故を防止することができる。これに対し、障害物が既知のものでない場合(たとえば、患者が動き出したときなど)は、警告または動作停止させる(ステップS7−27)。
【0110】
本発明は以上の実施の形態に限定されることなく、種々変形が可能である。本発明では、術者がテーブルなど各装置を微調整のために手動で移動させても、その位置を認識することが可能であり、さらに診療中に、術者が診療ポジションを変えた場合でもリアルタイムにその位置を把握認識することができることから、それらの動きに合わせて最適ポジションに各装置を再配置するように制御することも可能となる。また、従来の動作制御においては、位置検出用センサーや、ステッピングモータによる制御が必要であったが、本発明によれば、画像認識で位置を検出するため複雑な制御配線やプログラムを必要としないものである。
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、歯科診療ユニットの各装置の位置、患者および術者の存在とその位置をリアルタイムに認識し、患者の導入、診療開始、診療終了に対応して歯科診療ユニットの所定装置をそれぞれの最適位置に移動させることができる。このため、診療行為の流れをスムーズに効率よく行うことができる。特に、複雑な制御装置を歯科診療ユニットに設けることなく自動移動が可能となる。また、術者が選択した診療器具(インスツルメント類、その他の器具)の固体判別により、重複使用のロックや、ホースの送り出し、巻き取りを自動的に行い術者の歯科診療行為を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態における画像認識による歯科診療支援システムの構成を示すブロック図である。
【図2】 カメラの配置を示す正面図である。
【図3】 カメラの別の配置を示す側面図である
【図4】 図3の平面図である。
【図5】 画像認識による歯科診療支援動作のゼネラルフローである。
【図6】 (a)は画像認識による歯科診療支援動作における装置認識ステップ、(b)は人物認識ステップ、(c)は差分画像処理ステップのフローチャートである。
【図7】 (a)は画像認識による歯科診療支援動作における動作認識ステップ、(b)は接触監視ステップのフローチャートである。
【図8】 (a)は画像認識による歯科診療支援動作におけるインスツルメント認識ステップ、(b)は接触判定ステップのフローチャートである。
【符号の説明】
1 歯科診療ユニット
10 カメラ
10a 第1のカメラ
10b 第2のカメラ
10c 第3のカメラ
11 表示装置
12 無影灯
12a,12b,12c,12d,12e 支持アーム
13 テーブル
13a,13b,13c 支持アーム
14 アシスタントハンガー
15 インスツルメントハンガー
16 インスツルメント
16a インスツルメントホース
17 チェアー
18 フットペダル
20 画像認識・制御コンピュータ
21 外部接続ポート
23 記憶部
30 診療ユニット動作制御装置
31 診療チェア昇降・背板傾動動作部
32 テーブル移動動作部
33 インスツルメント制御動作部
34 アシスタントハンガー移動動作部
35 無影灯移動動作部

Claims (6)

  1. 患者が着座する診療チェアを含む歯科診療ユニットならびに術者及び補助者の診察椅子近傍における診療エリアの画像情報を取得する一つまたは複数のカメラと、
    カメラからの画像情報に基づいて歯科診療ユニットにおける各装置の位置及び患者、術者の存在並びにその位置をリアルタイムに認識する認識手段と、
    認識手段が患者及び術者を認識したとき、歯科診療ユニットにおける所定の装置を診療動作の支援に最適な位置に移動させるポジション制御手段と、
    術者が選択したインスツルメントの固体判別を行うインスツルメント判別手段と、
    重複使用禁止のインスツルメントが選択されたとき、少なくとも使用禁止側のインスツルメントの作動をロックするインスツルメントロック手段とを備えていることを特徴とする画像認識による歯科診療支援システム。
  2. 患者が着座する診療チェアを含む歯科診療ユニットならびに術者及び補助者の診察椅子近傍における診療エリアの画像情報を取得する一つまたは複数のカメラと、
    カメラからの画像情報に基づいて歯科診療ユニットにおける各装置の位置及び患者、術者の存在並びにその位置をリアルタイムに認識する認識手段と、
    認識手段が患者及び術者を認識したとき、歯科診療ユニットにおける所定の装置を診療動作の支援に最適な位置に移動させるポジション制御手段と、
    術者が選択したインスツルメントの固体判別を行うインスツルメント判別手段と、
    判別されたインスツルメントに接続されているインスツルメントホースを当該インスツルメントの使用状況に応じて送り出し状態、巻き取り状態、テンションフリー状態に制御するインスツルメントホース制御手段とを備えていることを特徴とする画像認識による歯科診療支援システム。
  3. 前記インスツルメントホース制御手段は、前記認識手段により使用インスツルメントの位置をリアルタイムに認識し、使用インスツルメントが治療エリア内に移動されるときにインスツルメントホースを送り出し状態とし、治療エリア内ではテンションフリー状態とし、使用インスツルメントが治療エリア外に移動されたときにはインスツルメントホースを巻き取り状態とすることを特徴とする請求項2記載の画像認識による歯科診療支援システム。
  4. 前記認識手段は、歯科診療ユニットにおける各装置の移動経路及び移動先の障害物の認識が可能となっており、前記ポジション制御手段は認識手段からのデータに基づいて障害物を回避するように各装置の移動軌道の変更または/及び移動の停止または/及び警告を行うことを特徴とする請求項1,2のいずれかに記載の画像認識による歯科診療支援システム。
  5. 前記カメラは、患者が着座する診療チェアを含む歯科診療ユニットならびに術者及び補助者の診察椅子近傍の診療エリアを平面から撮影する第1のカメラと、患者ならびに術者の顔画像を撮影する第2のカメラと、前記診療エリアを側面から撮影する第3のカメラとが配置されることを特徴とする請求項1,2のいずれかに記載の画像認識による歯科診療支援システム。
  6. 前記第1のカメラが歯科診療ユニットの無影灯に回動自在に取り付けられており、無影灯の回動に伴って、診療エリアを平面視する第1の撮影位置と、顔画像を撮影する第2の撮影位置及び診療エリアを側面から撮影する第3の撮影位置との間を移動可能となっていることを特徴とする請求項5記載の画像認識による診療支援システム。
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