JP4172560B2 - 液体物質回収方法、および液体物質回収装置 - Google Patents

液体物質回収方法、および液体物質回収装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として、沈没、座礁などの海難に遭遇した船舶等から燃料油などの液体物質を回収するのに適した液体物質回収方法、および液体物質回収装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
船舶は、オイルタンカーに限らず大量の燃料油等の液体物質を搭載した状態で航行している。したがって、船舶が座礁や沈没などの海難に遭遇した場合には、燃料油等の流出を防ぐためにタンク内から燃料油等を回収する必要がある。
【0003】
ところが、重油に代表される燃料油あるいは原油は、温度に影響され易く、例えば、厳冬期や深海の低温環境の下では固体に近い状態にまでなってしまう。したがって、海難事故が発生した場合に、船舶内に残っている燃料油等を回収する作業では、加熱して容易に流動する状態にしてから回収する。
【0004】
例えば、座礁した船舶から回収する場合には、ボイラーで加熱した蒸気や熱水をタンク内に供給して加熱したり、あるいはニクロム線加熱器をタンク内に挿入して加熱する。また、浅海で沈没した船舶から回収する場合には、作業船にボイラー、給水タンク、発電機を搭載し、この作業船から熱水ホースや回収パイプ等を沈没船まで降ろして加熱する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、船舶が座礁するような海域は、陸から簡単に近付くことができないし、また、沖からも簡単に近付けない。このため、座礁現場に大型のボイラーなどの大がかりな加熱設備を搬送して設置する準備作業には多大な労力と時間を必要とし、また、条件が悪くて現場に設置できない場合も少なくない。座礁した船舶上、あるいは船舶の近くに設置できる場合にはスチーム、熱水、電熱、熱風等により加熱することができるが、座礁船舶近傍に設置できない場合には遠く離れた陸上に設置したり、作業船を遠くに停泊させることになる。
【0006】
この様に、加熱用の熱源を遠く離れた場所に設置すると、長いホースを使用して熱水やスチームを遠い座礁現場まで送らなければならないので、途中での熱損失が大きくなってしまい、加熱効果が得られないこともある。また、加熱効果が得られたとしても、座礁船舶から抜き出した燃料油等を回収タンクまで移送する経路が長いと、燃料油等が途中で冷却されて高粘度化してしまい流れない、すなわち回収できない事態も生じる。
【0007】
また、燃料油等が入ったタンクやホース等の内部を外部から有効に加熱する手段がないので、作業者がタンク内にスチームコイル、熱水コイル、電熱コイル等を配置して加熱するか、あるいは直接スチームを吹き付けて加熱しなければならなかった。そして、船舶のタンクは内部に側ガーダ、船底ロンジ、横方向の構造材であるフロアー等が多数設けられているので、スチームコイル等を設置する作業が煩雑であり、タンク内の構造によっては配置に大きな制限を受ける場合もある。また、スチームを直接吹き付ける場合も一箇所で作業できないので煩雑である。さらに、タンク内での作業は、座礁した船舶が不安定な状態にあり、また、火災や爆発、ガス中毒の可能性もあるので危険である。
【0008】
沈没した船舶から燃料油等を回収する場合、作業船から熱水ホースや回収パイプ等を沈没船まで降ろさなければならないが、これらのホースやパイプは太いので煩雑な作業となる。また、ホースやパイプを海中に降ろすと、潮流の影響を受けるので、潮流が速い場合には作業できない。さらに、熱水ホースや回収パイプを海中に降ろすと、海水によって冷却されるので、熱損失が大きく、回収対象である燃料油等を有効に加熱できない事態や、移送途中で燃料油等の粘度が高くなって流れ難く、あるいは流れない事態が生じる。
【0009】
この様な事情から深海に沈没した場合、有効に回収することができず、放置されたままである。
【0010】
また、座礁した場合、あるいは沈没した場合であっても、加熱設備やホース等の設置作業および回収作業に長期間を要するので、この間に周期的な荒天の襲来を回避できない。このため、船体が大破して燃料油等がすべて船外に流出して環境汚染を引き起こすことも少なくない。そして、流出して海面に浮遊した燃料油等をオイルスキマーを使用して回収する場合、燃料油等中に含まれる揮発性成分が揮発してしまうので、冷却されることと相俟って粘度が高くなり易く、オイルスキマーで吸引回収することが困難になり、実際に吸引できない場合も少なくない。
【0011】
また、高粘度化学物質を貯蔵しているケミカルタンカー等が海難事故を発生した場合、貯蔵タンクから化学物質を回収する必要が生じるが、この場合も前記と同様に、容易に加熱することができない。さらに、一般の船舶に限らず、海上、海辺等にある施設、例えば油田掘削櫓や原油荷役設備で事故が発生した場合も、重油等の液体物質を速やかに回収する必要がある。
【0012】
本発明は上記した事情に鑑み提案されたもので、その目的は、沈没したり座礁した船舶等から燃料油等の液体物質を従来よりも容易に加熱して回収することができる液体物質回収方法、および液体物質回収装置を提供しようとするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたもので、請求項1に記載のものは、回収対象となる液体物質に接する部材であって導電性材で構成されている液体物質接触部材にワーキングコイルを当てがい、このワーキングコイルに高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって上記液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプに接続した回収管を介して回収することを特徴とする液体物質回収方法である。
【0014】
請求項2に記載のものは、前記回収管の少なくとも一部を導電性材製管部で構成し、この導電性材製管部の外周にワーキングコイルを装着し、ワーキングコイルに高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記導電性材製管部自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって導電性材製管部内の液体物質を昇温して回収することを特徴とする請求項1に記載の液体物質回収方法である。
【0015】
請求項3に記載のものは、回収対象となる液体物質に接する部材であって導電性材で構成されている液体物質接触部材に取付可能なワーキングコイルと、
ワーキングコイルに高周波電流を供給する高周波インバータユニットと、
ポンプに接続されて上記液体物質接触部材に接続可能な回収管と、
からなり、高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して上記液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって上記液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプの作動により回収管を介して回収することを特徴とする液体物質回収装置である。
【0016】
請求項4に記載のものは、前記ワーキングコイルが、非磁性材で構成された円筒状ケースを軸線方向に沿って分割されるとともに、分割部分にヒンジ機構を設けてケースを側面部分で開閉可能とし、開閉する分割部分には閉じた状態を維持する閉状態維持機構を設け、上記ケース内にワーキングコイル本体を収納し、ケースをその側面部分で開いた状態で上記液体物質接触部材の外周に取り付け、上記閉状態維持機構により閉状態を維持可能としたことを特徴とする請求項3に記載の液体物質回収装置である。
【0017】
請求項5に記載のものは、前記ワーキングコイルが、非磁性材で構成されて可撓性を有するマット状ケースと、このマット状ケースの内部に収納したワーキングコイル本体と、マット状ケースを液体物質接触部材に止着する止着機構と、からなり、
液体物質接触部材の表面に沿ってマット状ケースを当てがい、止着機構により止着することを特徴とする請求項3に記載の液体物質回収装置である。
【0018】
請求項6に記載のものは、前記回収管の少なくとも一部が導電性材製管部で構成され、この導電性材製管部の外周にワーキングコイル本体を装着し、ワーキングコイル本体に高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記導電性材製管部自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって導電性材製管部内の液体物質を昇温して回収することを特徴とする請求項3に記載の液体物質回収装置である。
【0019】
請求項7に記載のものは、前記回収管が途中に昇温ユニットを有し、
この昇温ユニットは、筒状ケースを軸線方向に沿って2つに分割するとともに、分割部分にヒンジ機構を設けてケースを側面部分で開閉可能とし、開閉する分割部分には閉じた状態を維持する閉状態維持機構を設け、上記ケース内にワーキングコイル本体を収納し、ワーキングコイル本体よりも中心軸側に導電性材製の発熱部材を有し、高周波インバータユニットからの高周波電流により発熱部材自体を誘導加熱して回収管内の液体物質を昇温することを特徴とする請求項3に記載の液体物質回収装置である。
【0020】
請求項8に記載のものは、回収対象となる液体物質が入った部分を区画する液体物質区画部材の外側から内側に挿入可能なワーキングコイルと、
ワーキングコイルに高周波電流を供給する高周波インバータユニットと、
ポンプに接続された回収管と、
からなり、
前記ワーキングコイルは、上記回収管の先端に接続され、液体物質区画部材に開設した穴から内部に挿入可能な導電性材製の筒体と、この筒体の周面に沿って巻装されたワーキングコイル本体とを有し、
上記筒体を穴から液体物質区画部材の内側に挿入して筒体を液体物質接触部材とし、この状態で高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して上記筒体自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって内部の液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプの作動により回収管を介して回収することを特徴とする液体物質回収装置である。
【0021】
請求項9に記載のものは、水面に浮遊して回収対象となる液体物質をテーブルの上面に流入可能な状態でテーブルを浮かすフロートと、上記テーブルの上面に設けられた導電性材製の液体物質接触部材と、テーブルに設けられたワーキングコイルと、ワーキングコイルに高周波電流を供給する高周波インバーターユニットと、
ポンプに接続され、先端に開口した導入口内にテーブル上からの液体物質を吸引する回収管と、
からなり、高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して上記液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によってテーブル上の液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプの作動により回収管の導入口内に吸引して回収することを特徴とする液体物質回収装置である。
【0022】
請求項10に記載のものは、耐圧ケーシング内に、ポンプと高周波インバータユニットを設けるとともに、上記ポンプの吸引口側に接続したパイプを回収路の一部として該ケーシング内から外部に進退可能に設け、
このパイプの先端に、導電性材製筒体状の液体物質接触部材内にワーキングコイル本体を備えたワーキングコイルを取り付け、
且つ、該ワーキングコイル及びパイプの中心線と同軸線上に配置され、ワーキングコイルが進入可能な大きさの穴を開設可能な切刃を有する穿孔機構を備え、穿孔機構により穿設した穴内にワーキングコイルを進入させた状態で上記高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱により液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプの作動により回収することを特長とする液体物質回収装置である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、図1に示すように、暗礁に乗り上げて座礁した船舶1から燃料油であるC重油を液体物質回収装置を使用して回収する場合の実施形態について説明する。本実施形態における液体物質回収装置は、マット状のワーキングコイル2と、このワーキングコイル2に高周波電流を供給する高周波インバータユニット3と、ポンプ4に接続された回収管5とから概略構成されている。
【0024】
図1に示す船舶1は二重底タンク6内に重油を貯留しており、転覆してはいない。この様な場合には、この船舶1に高周波インバータユニット3やポンプ4を設置することができ、また、タンク6を構成して重油に接した鋼板製の内底板7にマット状のワーキングコイル2を当てがうとともに、燃料油移送パイプやエアー抜きパイプなどタンク6内に連通した部分に回収管5の入口側を接続し、この回収管5の出口側を陸上に設置した回収タンク9、或は沖に停泊した作業船の回収タンク9に接続する。
【0025】
マット状のワーキングコイル2は、図2に示すように、断熱性を有するゴムやプラスチックなどの非磁性材で構成されて可撓性を有するマット状ケース10と、このマット状ケース10の内部に収納したワーキングコイル本体11と、マット状ケース10を液体物質接触部材に止着する止着機構とから構成されている。そして、マット状ケース10は、液体物質接触部材が一般的には鋼材等の金属なので、この液体物質接触部材の熱伝導率よりも低い熱伝導率であれば保温効果を期待できる。
なお、液体物質接触部材は、具体的には内底板、船底外板、タンクケーシングプレート、配管部分などであり、内部に入っている、あるいは内部を通る液体物質と接触する部分を構成している部材であり、誘導加熱するので、導電性材の磁性体である。また、液体物質区画部材は、液体物質が入っている部分とその外部とを区画している部材であり、誘導加熱する場合には、導電性材の磁性体である。
【0026】
ワーキングコイル本体11は、図2(a)に示すように、マット状ケース10の面に沿って導線を渦巻状に大きく1つ巻いた配置した単一巻であっても、あるいは図2(b)に示すように、導線を渦巻状に巻いたコイル11′を複数配置して並列に接続した複数並列巻でもよい。なお、後述する沈没船の場合には高い水圧が掛かるので、漏電防止の観点から絶縁および防水シールを確実に行なう。
【0027】
止着機構は、ワーキングコイル2を船体の液体物質接触部材に止着することができればどのような構成でもよいが、本実施形態ではゴム製マット状ケース10内に磁石12を埋設することにより構成してある。これは、ワーキングコイル2の止着先である液体物質接触部材が、一般的には鋼板で構成されているからであり、確実に止着するために、四隅に配置することは勿論のこと、中央部分やその他の部分に適宜に配置して止着状態での隙間をできる限り小さくすることが望ましい。なお、止着機構として、吸盤を使用してもよい。
【0028】
上記した構成からなるマット状ワーキングコイル2を取り付けるには、タンク6の外面である内底板7やタンクケーシングプレート、すなわち回収対象である重油に接触している鋼板であって、できるだけ回収管5の接続部分に近い位置を選択し、できる限り隙間を小さくして磁石12の磁力により止着する。そして、このマット状ワーキングコイル2は、可撓性を有するので、平面部分に限らず、彎曲した面であっても止着することができる。なお、作業時の気温や船体の構造により止着位置や数は適宜変更することができる。
【0029】
マット状のワーキングコイル2は、タンク6の外面など主として面を加熱するのに適するが、船体の構造によっては重油が通る配管部分を加熱することが有効な場合も少なくない。この様な場合には、筒状のワーキングコイル2′を追加して使用することが望ましい。例えば、図3に示すワーキングコイル2′は、円筒状ケース13を軸線方向に沿って2つに分割するとともに、分割部分にヒンジ機構14を設けてケース13を側面部分で開閉可能とし、開閉する分割部分には閉じた状態を維持する閉状態維持機構15を設け、上記ケース13内にワーキングコイル本体11′を収納してある。ケース13は、断熱性を有するプラスチックやゴムなどの非磁性材で構成する。そして、このケース13内に収納するワーキングコイル本体11′は鞍形のコイルを直列あるいは並列に接続して内蔵する。閉状態維持機構15は、図3(b)に示すように、ボルト・ナットで構成してもよいが、トグル式止着金具や磁石でもよい。
【0030】
この様な構成からなる筒状ワーキングコイル2′を液体物質接触部材である配管部分16に取り付けるには、ケース13を側面部分で開いた状態で配管部分16に被せてからケース13を閉じて閉状態維持機構15により閉状態を維持する。そして、この状態で高周波インバータユニット3から高周波電流を供給して配管部分16を誘導加熱する。
【0031】
ワーキングコイル2,2′に高周波電流を供給する高周波インバータユニット3は、例えば数百ヘルツ〜数百キロヘルツの交流電流を供給するものであり、力率を改善するために、ワーキングコイル2,2′と並列に接続される大容量のコンデンサを内部に備えている。そして、この高周波インバータユニット3は、効率を高めるためにワーキングコイル2の近くに設置することが望ましい。図1では説明の便宜上、離隔した状態で示したが、ワーキングコイル2に近い内底板7上に設置することが望ましいが、甲板上でもよい。なお、この高周波インバータユニット3への電源は、陸上の商用電源であっても、あるいは作業船に設置した発電機でもよい。
【0032】
この高周波インバータユニット3から前記マット状ワーキングコイル2に高周波電流を供給すると、誘導加熱により導電性材であって磁性体質である内底板7(液体物質接触部材)自体が発熱する。この様にして、タンク6を構成している鋼板自体が発熱すると、外部から加熱した場合に比較して効率良く内部の重油を加熱することができ、厳寒時であっても重油が昇温することで粘度を低下させて流れ易い状態に変化させることができる。そして、マット状ワーキングコイル2は、マット状のケース10が断熱性を有するので、発熱した内底板7の熱が外部に逃げることを有効に低減する保温効果を期待することができ、昇温効率を高めることができる。
なお、本発明では高周波を供給するので、表皮効果によってタンク6の表面だけを加熱することができ、内部の重油を効率良く加熱することができる。また、燃え易い重油を加熱するに当たって、高温の熱源を使用することなくタンク6自体の発熱により、接触した状態で直接加熱するので、重油が漏れ出していたとしても爆発、出火を防止でき、安全性が高い。なお、タンク6や配管部分16の温度は、高周波インバータユニット3から供給する高周波電流を制御することにより、容易に制御することができる。
【0033】
また、高周波インバータユニット3から筒状ワーキングコイル2′に供給すると、誘導加熱により導電性物質である配管部分16(鋼材製の液体物質接触部材)自体が発熱する。この様にして、船体既設の配管部分16が発熱すると、前記したタンク6の場合と同様に、内部の重油を効率良く加熱して粘度を低下させることができる。
【0034】
この様にして、タンク6内や配管部分16内の重油を加熱して粘度を低下させることができると、ポンプ4を作動することによりタンク6内の重油を抜き出すことができる。そして、抜き出した重油は回収管5を介して移送し、陸上あるいは作業船上の回収タンク9に重油を回収することができる。
【0035】
回収タンク9までの移送距離が短い場合には、回収管5内を通る間の温度降下が少ないが、移送距離が数十メートルに及ぶ場合には、移送途中での温度降下が大きくなって、特に厳冬下では温度降下が顕著である。そこで、回収管5の途中に昇温ユニット20を設け、これにより再度加熱して昇温することにより粘度を低下させてもよい。
【0036】
昇温ユニット20は、図4に示すように、例えば、複数本のラバーホース5′を接続した回収管5の途中に、回収管5の一部として機能する鋼板パイプなどの導電性材製管部21を介在させ、この管部21の外周にワーキングコイル本体11″を装着してその外周を、断熱性を有する合成樹脂など非導電性材22で覆ったものである。そして、この昇温ユニット20のワーキングコイル本体11″に高周波インバータユニット3から高周波電流を供給すると、上記導電性材製管部21自体が誘導加熱により発熱するので、この発熱によって導電性材製管部21内の重油(液体物質)を昇温することができる。したがって、移送距離が長くても、また、気温が低くても、重油を途中で昇温しながら円滑に移送して、回収タンク9に回収することができる。
【0037】
なお、本実施形態における昇温ユニット20は、導電性材製管部21の両端にフランジ部23を設けてあるので、ラバーホース5′を順次接続して構成する回収管5の途中、すなわちラバーホース5′の接続部分に適宜配置することができ、移送する距離や外気温度などの条件により数量を選択することができる。また、昇温ユニット20のワーキングコイル本体11″は、鋼板パイプを分割して開閉する必要がないので、パイプと同軸にコイルを巻くことができ、この巻方は単巻でも、並列巻のいずれでもよい。
【0038】
また、図4(d)に示すように、ラバーホース5′を接続した回収管5の途中に導電性パイプ24を適宜に配置し、このパイプ24の外周に前記ワーキングコイル2′を被せ、このワーキングユニット2′に高周波インバータユニット3から高周波電流を供給すると、上記導電性材パイプ24自体が誘導加熱により発熱するので、この発熱によって通過する重油を昇温することができる。
【0039】
そして、ラバーホース5′の接続部分以外の途中で昇温する時には、前記ワーキングコイル2′と同様に、側面部分で開閉可能とした昇温ユニットを使用する。この昇温ユニットは、図示していないがワーキングコイル2′と同様に、筒状ケースを軸線方向に沿って2つに分割するとともに、分割部分にヒンジ機構を設けてケースを側面部分で開閉可能とし、開閉する分割部分には閉じた状態を維持する閉状態維持機構を設け、上記ケース内にワーキングコイル本体を収納している。ケースは、断熱性を有するプラスチックやゴムなどの非磁性材で構成した場合には、内周面に鉄板等の導電性材製の発熱部材を分割開閉可能な状態で取り付けるが、ケース自体を導電性材製として発熱部材を兼ねてもよい。要するに、ワーキングコイル本体よりも中心軸線側(筒体の内側)に誘導加熱される導電性材があればよく、この点においてのみワーキングコイル2′と異なる。そして、このケース内に収納するワーキングコイル本体は鞍形のコイルを直列あるいは並列に接続して内蔵する。閉状態維持機構は、ボルト・ナットで構成してもよいが、トグル式止着金具や磁石でもよい。
【0040】
この様な構成からなる昇温ユニットをラバーホース5′の途中に取り付けるには、ケースを側面部分で開いた状態でラバーホース5′に被せてからケースを閉じて閉状態維持機構により閉状態を維持する。そして、この状態で高周波インバータユニット3からワーキングコイル本体に高周波電流を供給すると、発熱板が誘導加熱により発熱する。したがって、この熱によりラバーホース5′を外側から加熱して、内部を通る重油等の液体物質を昇温することができる。
【0041】
前記の実施形態では、内底板7や配管部分16などいずれも船体の一部であって、重油に接する液体物質接触部材にワーキングコイル2,2′を当てがい、誘導加熱により液体物質接触部材自体、すなわち船体の一部を発熱させたが、加熱対象は回収対象である液体物質であるので、この液体物質を加熱することができればよい。
そこで、液体物質回収装置の一部を既設の液体物質接触部材(液体物質区画部材)の外側から内側に挿入できるように構成してもよい。例えば、図5に示す液体物質回収装置は、回収対象である重油が入った部分(タンク6)を区画する液体物質区画部材(内底板7;タンクケーシングプレート)の外側から内側に挿入可能なワーキングコイル30と、液体物質接触部材を備えたワーキングコイル30に高周波電流を供給する高周波インバータユニット3と、ポンプ4に接続された回収管5とからなる。そして、ワーキングコイル30は、ポンプ4の吸入口側に接続した回収管5の先端に接続され、液体物質区画部材(内底板7)に開設した穴31から内部に挿入可能な導電性材製の筒体32と、この筒体32の周面に沿って巻装されたワーキングコイル本体33とを有する。筒体32は、液体物質接触部材として機能するものであり、例えば内層と外層とを隙間をあけて重合した二重の鉄パイプで構成し、一端開口部には回収管5との接続部となるフランジ部34を形成し、内層と外層との間の隙間内にワーキングコイル本体33を収納して密閉する。
【0042】
この様な構成からなる液体物質回収装置により座礁した船舶1のタンク6内から重油を抜き出すには、筒体32を回収管5の下端にフランジ部34で接続し、クレーン等で吊り下げた状態でマンホールハッチなどの穴31から液体物質区画部材の内側、すなわちタンク6内に挿入し、液体物質接触部材として機能する筒体32を重油中に差し込む。この状態で高周波インバータユニット3からワーキングコイル30のワーキングコイル本体33に高周波電流を供給すると、筒体32自体が誘導加熱により発熱する。したがって、この筒体32の内周面と外周面に接触している重油が加熱されて粘度が低下する。そして、ポンプ4を作動すると、筒体32の周囲で粘度が低下した重油を吸引して回収管5を介して回収タンク9に回収することができる。
【0043】
この液体物質回収装置は、重油の液面が低下しても、吊り下げ高さを調整することができるので、重油の液面近傍を効率良く加熱することができる。なお、ポンプ4に液中ポンプを用いると、ポンプ4まで重油中に浸漬した状態で加熱と吸引作動を行うことができる。この場合、タンクボトムプレート35上に降ろした状態で作動することもできるが、この時には、筒体32の下端開口を閉塞しないように脚や突起(図示せず)を下向きに設けることが望ましい。
【0044】
なお、このワーキングコイル30は、図6に示すように、タンク6を構成しているタンクケーシングプレート(内底板7)などに穴31を開設し、この穴31に固定した状態で使用することもできる。この場合、ポンプ4の吸入口に接続した回収管5の一部分にワーキングコイル33を設けてもよい。
【0045】
次に、船体が破損するなどして燃料油等が海上に流出してしまい、これを回収する液体物質回収装置について説明する。
この液体物質回収装置は、図7に示すように、水面に浮遊している重油などの液体物質をテーブル40の上面に流入可能な状態で浮遊させるフロート41と、上記テーブル40の上面に設けられた導電性材製の液体物質接触部材42と、この液体物質接触部材42に設けたワーキングコイル43と、回収船44上に設置されてワーキングコイル43に高周波電流を供給する高周波インバータユニット3と、ポンプ4に接続された回収管5とから構成される。テーブル40はプラスチックなどの非磁性体からなる略台形の板材であり、左右のハ字状側縁に発泡プラスチックなどを成型したフロート41を水面上に突出する状態で設けて、このフロート41を回収液体物質導入ガイドとして機能させる。そして、テーブル40の上面に鉄板等の導電性材を液体物質接触部材42として添設し、テーブル40の厚み内に、平面形状が略台形のフラットなワーキングコイル43を埋設する。
なお、図示していないが、テーブル40の上方に天板を所定間隔を空けて設けて筒状体を構成し、この筒状体を巻くようにしてワーキングコイルを設けてもよい。そして、このワーキングコイルは、図7の実施形態の場合も同様であるが、単一巻でも或は複数並列巻でもよい。
【0046】
また、回収管5の先端に開口した導入口をフロートの浮力により水面に浮かせて、テーブル40上からの液体物質を吸引し易くしてもよい。例えば、先端に向かって次第に幅を拡大した漏斗状の導入案内部材(図示せず)をフロートに接続した状態で上向きに設け、下端の幅狭な部分に回収管5の先端を接続し、フロートにより支持した部分に、ポンプ4および高周波インバータユニット等を収納してオイルスキマー45とし、フロートで支えた部分や導入案内部材に前記マット状ワーキングコイル2を設けたり、導入口からポンプ4を介して回収船44の回収タンク9に至る回収路5の途中に前記筒体状のワーキングコイル2′を設けてもよい。なお、導入案内部材は、上端に開口する導入口の部分の高さを調整できるように構成することが望ましい。
【0047】
図7(c)に示すように、オイルフェンス46の一端を回収船44に接続し、他端をオイルフェンス展張船47に接続し、このオイルフェンス展張船47を走行して、海上に漂流している重油、エマルジョン化した油などを回収船44のサイドへ集めながら、高周波インバータユニット3からワーキングコイル43に高周波を供給し、テーブル40上面の液体物質接触部材42自体を発熱させる。テーブル40の上面には漂流している重油やエマルジョン化した油等が導入されているので、液体物質接触部材42自体の発熱により液体物質接触物質42上の重油等を加熱して粘度が低下することができる。そして、オイルスキマー45の周囲に開口している導入案内部材の上端導入部分をテーブル40の幅狭な部分に近付けると、テーブル40上で粘度が低下した重油等を導入案内部材内に流し込んで案内して回収管5内に吸引することができ、これにより海面に浮遊している重油等を効率良く回収することができる。
【0048】
次に、沈没した船舶1から燃料油を回収する実施形態について説明する。
図8に示すように、海底に横倒しになった船舶1のタンク6から燃料油を回収するには、作業者が潜水してポンプ4に接続した回収管5の先端をタンク6内に連通する部分、例えばタンクのエアー抜きパイプ6′などに接続する。なお、船体が上下逆さまに沈没するなどして、回収管5の接続先がない場合には、船底外板に穴を開設し、この穴に接続する。
【0049】
そして、タンク6に対応した船底50や内底板7に前記マット状のワーキングコイル2を当てがい、これらのワーキングコイル2に、作業船(図示せず)に搭載した高周波インバータユニット3から高周波電流を供給する。ワーキングコイル2に高周波電流を供給すると、前記実施形態と同様に、導電性材である鋼板製の船底50や内底板7等自体が誘導加熱により発熱するので、タンク6内の燃料油が外部からの操作によって直接加熱される。
したがって、海底の水温が低く、タンク6内の燃料油の粘度が高くなっていても、上記加熱により粘度が低下される。このため、ポンプ4の作動により回収管5を介して、粘度が低下した燃料油を抜き出して作業船の回収タンク9に回収することができる。
【0050】
なお、高周波インバータユニット3はワーキングコイル2の近くに配置した方が効率を高めることができるので、海中に配置することが望ましい。
また、回収管5の途中に、前記筒状ワーキングコイル2′を設けると、回収途中で昇温することができるので、確実且つ容易に回収することができる。
【0051】
また、深海に沈没した場合には、作業者が潜水して作業を行うことができないので、この様な場合には、カメラとロボットアーム等を備えた無人潜水艇(ROV、図示せず)を使用し、作業船上からカメラのモニターを見ながら遠隔操作によりロボットアームを操作して、回収管5を接続したり、ワーキングコイル2を装着したりの作業を行う。
【0052】
この様にして、回収管5を接続し、ワーキングコイル2を装着したならば、浅海での沈没の場合と同様に、作業船上の高周波インバータユニット3からワーキングコイル2に高周波電流を供給すると、タンク6内の燃料油を加熱して粘度を低下させることができる。したがって、ポンプ4の作動により回収管5を介して、流動し易くなった燃料油を抜き出して作業船の回収タンク9に回収することができる。
【0053】
また、深海に沈没して回収管をエアー抜きパイプ等に容易に接続できない様な場合、船底外板に穴を開設する穿孔機能とワーキングコイルによる加熱機能と液体物質を回収するポンプ機能とを備えた液体物質回収装置を使用することが望ましい。例えば、図9に示す液体物質回収装置51は、耐圧密閉ケーシング52内に、ポンプ4と高周波インバータユニット3を設けるとともに、ポンプ4の吸引口側に接続したパイプ53を回収路の一部として該ケーシング52内から外部に進退可能に設け、このパイプ53の先端に、前記ワーキングコイル30と同様に、導電性材製筒体状の液体物質接触部材54内にワーキングコイル本体55を備えたワーキングコイル56を取り付け、且つ、該ワーキングコイル56及びパイプ53の中心線と同軸線上に配置されてワーキングコイル56が進入可能な穴を開設可能な切刃を有する穿孔機構を備える。
【0054】
具体的には、フレーム57のほぼ中央に設けた耐圧密封ケーシング52内に、ポンプ4、高周波インバータユニット3、ポンプ4の吸引側に接続したパイプ53を回転するとともにケーシング52の下面から進退させる回転・進退駆動機構59などを設け、また、ケーシング52の下方に取付ベース60を離脱可能な状態で設け、フレーム57の上方には推進装置61をケーシング52の左右に接続した状態で設けてある。ケーシング52の下面から進退(上下動)するパイプ53の先端(下端)には、パイプ53と連通した状態で筒状のワーキングコイル56を取り付け、このワーキングコイル56の導電性材製筒体(液体物質接触部材54)の先端に切刃62を備える。また、取付ベース60には、中央の開口窓の周囲にタッピングネジ機構63と切り離し機構64をそれぞれ複数箇所設ける。タッピングネジ機構63は、先端にドリル部を、その上方にタップ部を、その上方に雄ネジ部をそれぞれ形成したタッピングネジ状の固定軸65と、この固定軸65を回転する機構を備えている。なお、図9中の符号66は、この液体物質回収装置51を作業船から吊り下げるワイヤー、5はポンプ4の吐出側に接続した回収管、67は高周波インバータユニット3や照明ランプ等へ電源供給する電源コードやカメラ(図示せず)からの情報を作業船に送る配線等のコード束である。
【0055】
上記した構成からなる液体物質回収装置51を使用して沈没船のタンク6内から例えば燃料油を回収する場合には、パイプ53を収縮して先端の切刃62が取付ベース60から突出しない状態(後退した状態)で作業船から沈没船の上方に降ろし、所定の位置、すなわちタンク6に対応する船底外板などであってできるだけ高い位置に合わせる。そして、この位置に取付ベース60を載せたならば、推進装置61を作動して回収装置51に下向きに押し付けながらタッピングネジ機構63を作動させて固定軸65を回転して船底外板70に穿孔しながらネジ切りして雄ネジ部を締め込む。この作業が終了すると、固定軸65の雄ネジ部の船底外板70に対する締め込みによって取付ベース60が船底外板70に強固に固定される。したがって、たとえ傾斜していても回収装置51が安定する。なお、この作業中における反力は、回収装置51の自重に推進装置61の推進力を加えた力で受けることができる。
【0056】
次に、回転・進退駆動機構59を作動して下端の切刃62が船底外板70に当接するまでパイプ53を前進(下降)させ、船底外板70に当接したならばパイプ53、すなわち切刃62を回転して船底外板70を切削しながら更に少しずつ下降して船底外板70に穴71を開設する。穴71が開設されたならば更に下降して、ワーキングコイル56を燃料油中に差し入れる。なお、この作業中における反力は、取付ベース60が固定軸65によって船底外板70に強固に固定されているので、回収装置51が浮上したり移動することなく固定軸65によって十分に受けることができる。
【0057】
この様にして、船底外板70に穴71を開設してタンク6内にワーキングコイル56を差し入れると、前記実施形態と同様に、ワーキングコイル56に高周波電流を供給してワーキングコイル56の筒体(液体物質接触部材)54自体が誘導加熱により発熱する。したがって、この筒体54の内周面と外周面に接触している燃料油が加熱されて燃料油の粘度が低下する。そして、ポンプ4を作動すると、筒体54の周囲で粘度が低下した燃料油を吸引してパイプ53から回収管5を介して、作業船上の回収タンクに回収することができる。なお、タンク6内の燃料油を加熱するには、前記回収装置51に加えて、マット状ワーキングコイル2を船底外板70に取り付けて加熱することが望ましい。また、回収装置51から作業船の回収タンクとの間で燃料油が冷却されて粘度が高まることを防止するために、回収管5の途中に、前記筒状ワーキングコイル2′や昇温ユニット20を設けることが望ましい。
【0058】
燃料油の回収が終了したならば、パイプ53を後退(上昇)させてワーキングコイル56を穴71から引き抜き、その後、切り離し機構64を作動して取付ベース60を回収装置51から切り離す。したがって、取付ベース60は船底外板70に固定したまま残される。この取付ベース60の離脱作業が終了したならば、回収装置51を引き上げて作業船に撤収する。
【0059】
なお、この液体物質回収装置51では、回収管5の一部を構成するパイプ53の先端に筒状のワーキングコイル56を設け、このワーキングコイル56の筒体54の先端に切刃62を設けてワーキングコイル56自体を穿孔機構の一部としたが、この様に構成すると回転体であるワーキングコイル56への配線構造が複雑になるので、穿孔機構とワーキングコイル56とを別個に構成してもよい。例えば、ケーシング52内に設けた回転・進退駆動機構により駆動されるパイプ材の先端(下端)に切刃を設け、このパイプ材の内側に、回収管5の一部を構成するパイプを進退可能に設け、このパイプの先端(下端)に筒状ワーキングコイルを設けてもよい。この様に構成した場合には、外側のパイプ材を下降して回転することにより船底外板に穴を開設し、その後、内側のパイプを下降してワーキングコイルを上記穴からタンク内に進入させて燃料油の粘度を低下させることができる。そして、この様に構成すると、ワーキングコイルへの配線構造が簡素になり、製造が容易である。
【0060】
また、海難事故により転覆して船底を上にして漂流することがある(図示せず)。この様な場合には、海面上に出た船底外板に穴を開設し、この穴に回収管5を接続し、マット状ワーキングコイル2などを船底外板等に適宜に当てがう。そして、漂流船舶上に設置した、或は作業船に搭載した高周波インバータユニットからワーキングコイル2に高周波電流を供給して船底外板等自体を誘導加熱で発熱させ、これにより燃料タンク内の燃料油等の粘度を低下させ、作業船に搭載したポンプ4を作動して回収管5を介して船舶の燃料タンクから燃料油等を作業船の回収タンクに回収する。
【0061】
なお、前記実施形態においては、座礁したり、沈没したり、あるいは転覆して漂流中の船舶1の燃料タンク6から燃料油を回収する場合について説明したが、タンカーの貯蔵タンク内から原油や液体化学物質を回収する場合であっても同様に回収することができる。
また、本発明は船舶1に限らず、例えば海底油田掘削櫓や原油荷役設備等から液体物質を回収する場合にも適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、以下の効果を奏する。
請求項1と3の発明によれば、回収対象となる液体物質に接する部材であって導電性材で構成されている液体物質接触部材にワーキングコイルを当てがい、このワーキングコイルに高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって上記液体物質の粘度を低下させるので、発熱源を加熱対象に接触した状態で加熱することができる。したがって、スチーム加熱や熱風加熱などのように、途中の熱損失がなく、効率良く加熱することができるし、嵩張るスチームボイラーも不要であり、広い占有スペースを必要としない。
【0063】
また、取り扱いが煩雑はスチームホース等が不要なので、作業性が良好であり、省力化ばかりでなく作業時間の大幅短縮化を図ることができる。したがって、海難事故等が発生した場合に迅速に対処することができ、また、作業期間の短縮化により天候の影響を受け難くすることができる。
【0064】
さらに、沈没した船舶から回収する場合に、作業船から降ろすパイプが回収管だけであって、加熱エネルギーはパイプよりも遥かに細い電線で済むので、潮流の影響を受け難くすることができ、中断時間が少なくなる。そして、中断せざるを得なくなった場合であっても、取り扱いの容易な電線が主なものなので、撤収に要する時間が短くて済み、また、作業を再開する時も短時間で準備が完了する。したがって、全体的な作業の稼働性を著しく向上させることができる。
【0065】
請求項2の発明によれば、回収管の少なくとも一部を導電性材製管部で構成し、この導電性材製管部の外周にワーキングコイルを装着し、ワーキングコイルに高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記導電性材製管部自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって導電性材製管部内の液体物質を昇温して回収するので、抜き出した液体物質の粘度が途中で高まることを確実に防止することができ、厳冬期であっても円滑な回収作業を行うことができる。
【0066】
請求項4の発明によれば、ワーキングコイルは、円筒状ケースを軸線方向に沿って分割するとともに、分割部分にヒンジ機構を設けてケースを側面部分で開閉可能とし、開閉する分割部分には閉じた状態を維持する閉状態維持機構を設け、上記ケース内にワーキングコイル本体を収納した構成なので、ケースをその側面部分で開いた状態で管部などの外周に簡単に取り付けることができ、取り扱いが容易である。
【0067】
請求項5の発明によれば、ワーキングコイルは、非磁性材で構成されて可撓性を有するマット状ケースと、このマット状ケースの内部に収納したワーキングコイル本体と、マット状ケースを液体物質接触部材に止着する止着機構とから構成されるので、液体物質接触部材の表面が彎曲していても、彎曲した表面に沿ってワーキングコイルを取り付けることができる。したがって、ワーキングコイルと液体物質接触部材との間の隙間を小さくすることができ、ワーキングコイルによる誘導加熱の効率を高めることができる。
また、ワーキングコイルをマット状にすると、非磁性材で構成したマット状ケースを液体物質接触部材に覆い被せて使用するので、この液体物質接触部材の熱が外部に逃げることを低減する保温効果を期待できる。したがって、液体物質の加熱効率の向上に寄与する。
【0068】
請求項6の発明によれば、回収管は、その少なくとも一部を導電性材製管部で構成し、この導電性材製管部の外周にワーキングコイル本体を装着し、ワーキングコイル本体に高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記導電性材製管部自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって導電性材製管部内の液体物質を昇温して回収することができるので、途中で粘度が高まることに起因するトラブルを解消することができる。
【0069】
請求項7の発明によれば、前記回収管が途中に昇温ユニットを有し、この昇温ユニットは、筒状ケースを軸線方向に沿って2つに分割するとともに、分割部分にヒンジ機構を設けてケースを側面部分で開閉可能とし、開閉する分割部分には閉じた状態を維持する閉状態維持機構を設け、上記ケース内にワーキングコイル本体を収納し、ワーキングコイル本体よりも中心軸側に導電性材製の発熱部材を有するので、高周波インバータユニットからの高周波電流により発熱部材自体を誘導加熱して回収管内の液体物質を昇温することができ、回収管の途中で粘度が高まることに起因するトラブルを解消することができる。
【0070】
請求項8の発明によれば、回収対象となる液体物質が入った部分を区画する液体物質区画部材の外側から内側に挿入可能なワーキングコイルと、ワーキングコイルに高周波電流を供給する高周波インバータユニットと、ポンプに接続された回収管とからなり、前記ワーキングコイルは、上記回収管の先端に接続され、液体物質区画部材に開設した穴から内部に挿入可能な導電性材製の筒体と、この筒体の周面に沿って巻装されたワーキングコイル本体とを有し、上記筒体を穴から液体物質区画部材の内側に挿入した状態で高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して上記筒体自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって内部の液体物質の粘度を低下させ、この流動し易くなった液体物質をポンプの作動により回収管を介して回収することができるので、回収管で吸引する部分を効率良く加熱して回収することができる。
【0071】
請求項9の発明によれば、水面に浮遊して回収対象となる液体物質をテーブルの上面に流入可能な状態でテーブルを浮かすフロートと、上記テーブルの上面に設けられた導電性材製の液体物質接触部材と、テーブルに設けられたワーキングコイルと、ワーキングコイルに高周波電流を供給する高周波インバーターユニットと、ポンプに接続され、先端に開口した導入口内にテーブル上からの液体物質を吸引する回収管とからなり、高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して上記液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によってテーブル上の液体物質の粘度を低下させ、この流動し易くなった液体物質をポンプの作動により回収管の導入口内に吸引して回収することができるので、冷たい海上に浮遊して固まってしまい勝ちな液体物質を効率良く回収することができる。
【0072】
請求項10の発明によれば、耐圧ケーシング内に、ポンプと高周波インバータユニットを設けるとともに、上記ポンプの吸引口側に接続したパイプを回収路の一部として該ケーシング内から外部に進退可能に設け、このパイプの先端に、導電性材製筒体状の液体物質接触部材内にワーキングコイル本体を備えたワーキングコイルを取り付け、且つ、該ワーキングコイル及びパイプの中心線と同軸線上に配置され、ワーキングコイルが進入可能な大きさの穴を開設可能な切刃を有する穿孔機構を備えるので、深海に沈没した船舶等であっても、穿孔機構により穴を穿設し、この穴内にワーキングコイルを進入させることができる。したがって、深海に沈没した船舶等内の液体物質の粘度を低下させて、この液体物質をポンプの作動により回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】座礁した船舶の燃料タンクから燃料油を回収する状態を示す要部の概略斜視図である。
【図2】マット状ワーキングコイルの説明図であり、(a)は単一巻のコイルの一部欠截平面図、(b)は複数並列巻のコイルの一部欠截平面図、(c)は断面図である。
【図3】筒状ワーキングコイルの説明図であり、(a)は斜視図、(b)は(a)のA−A断面図、(c)は軸方向に沿って切断した断面図である。
【図4】(a)は昇温ユニットの側面図、(b)は(a)に示す昇温ユニットのb−b断面図、(c)は(a)に示す昇温ユニットのc−c断面図、(d)は筒状ワーキングコイルを回収管の途中に取り付けた状態を示す説明図である。
【図5】(a)は回収管の先端に筒状のワーキングコイルを取り付けて一体化した実施形態の断面図、(b)は(a)に示すワーキングコイルの断面図、(c)はワーキングコイルのc−c断面図である。
【図6】図5に示すワーキングコイルを内底板に取り付けた状態を示す断面図である。
【図7】水面に漂流した液体物質を回収する液体物質回収装置の他の実施形態を示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のb−b断面図、(c)は使用状態を示す平面図である。
【図8】沈没した船舶の燃料タンクから燃料油を回収する状態を示す要部の概略斜視図である。
【図9】沈没した船舶の燃料タンクから燃料油を回収する液体物質回収装置の他の実施形態の概略正面図である。
【符号の説明】
1 船舶
2 マット状のワーキングコイル
2′筒状のワーキングコイル
3 高周波インバータユニット
4 ポンプ
5 回収管
6 タンク
7 内底板
9 回収タンク
10 マット状ケース
11 ワーキングコイル本体
12 止着機構としての磁石
13 円筒状ケース
14 ヒンジ機構
15 閉状態維持機構
16 配管部分
20 昇温ユニット
21 導電性材製管部
22 非導電性材
23 フランジ部
30 ワーキングコイル
31 穴
32 筒体
33 ワーキングコイル本体
34 フランジ部
35 タンクボトムプレート
40 テーブル
41 フロート
42 液体物質接触部材
43 ワーキングコイル
44 回収船
45 オイルスキマー
46 オイルフェンス
47 オイルフェンス展張船
50 船底
51 液体物質回収装置
52 耐圧密閉ケーシング
53 ポンプの吸引口側に接続されて回収管の一部としても機能するパイプ
54 液体物質接触部材
55 ワーキングコイル本体
56 ワーキングコイル
57 フレーム
59 回転・進退駆動機構
60 取付ベース
61 推進装置
62 切刃
63 タッピングネジ機構
64 切り離し機構
65 固定軸
66 ワイヤー
67 コード束
70 船底外板
71 穴

Claims (10)

  1. 回収対象となる液体物質に接する部材であって導電性材で構成されている液体物質接触部材にワーキングコイルを当てがい、このワーキングコイルに高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって上記液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプに接続した回収管を介して回収することを特徴とする液体物質回収方法。
  2. 前記回収管の少なくとも一部を導電性材製管部で構成し、この導電性材製管部の外周にワーキングコイルを装着し、ワーキングコイルに高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記導電性材製管部自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって導電性材製管部内の液体物質を昇温して回収することを特徴とする請求項1に記載の液体物質回収方法。
  3. 回収対象となる液体物質に接する部材であって導電性材で構成されている液体物質接触部材に取付可能なワーキングコイルと、
    ワーキングコイルに高周波電流を供給する高周波インバータユニットと、
    ポンプに接続されて上記液体物質接触部材に接続可能な回収管と、
    からなり、高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して上記液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって上記液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプの作動により回収管を介して回収することを特徴とする液体物質回収装置。
  4. 前記ワーキングコイルは、非磁性体で構成された円筒状ケースを軸線方向に沿って分割するとともに、分割部分にヒンジ機構を設けてケースを側面部分で開閉可能とし、開閉する分割部分には閉じた状態を維持する閉状態維持機構を設け、上記ケース内にワーキングコイル本体を収納し、ケースをその側面部分で開いた状態で上記液体物質接触部材の外周に取り付け、上記閉状態維持機構により閉状態を維持可能としたことを特徴とする請求項3に記載の液体物質回収装置。
  5. 前記ワーキングコイルは、非磁性材で構成されて可撓性を有するマット状ケースと、このマット状ケースの内部に収納したワーキングコイル本体と、マット状ケースを液体物質接触部材に止着する止着機構と、からなり、
    液体物質接触部材の表面に沿ってマット状ケースを当てがい、止着機構により止着することを特徴とする請求項3に記載の液体物質回収装置。
  6. 前記回収管は、その少なくとも一部を導電性材製管部で構成し、この導電性材製管部の外周にワーキングコイル本体を装着し、ワーキングコイル本体に高周波インバータユニットから高周波電流を供給して上記導電性材製管部自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって導電性材製管部内の液体物質を昇温して回収することを特徴とする請求項3に記載の液体物質回収装置。
  7. 前記回収管は、途中に昇温ユニットを有し、
    この昇温ユニットは、筒状ケースを軸線方向に沿って2つに分割するとともに、分割部分にヒンジ機構を設けてケースを側面部分で開閉可能とし、開閉する分割部分には閉じた状態を維持する閉状態維持機構を設け、上記ケース内にワーキングコイル本体を収納し、ワーキングコイル本体よりも中心軸側に導電性材製の発熱部材を有し、高周波インバータユニットからの高周波電流により発熱部材自体を誘導加熱して回収管内の液体物質を昇温することを特徴とする請求項3に記載の液体物質回収装置。
  8. 回収対象となる液体物質が入った部分を区画している液体物質区画部材の外側から内側に挿入可能なワーキングコイルと、
    ワーキングコイルに高周波電流を供給する高周波インバータユニットと、
    ポンプに接続された回収管と、
    からなり、
    前記ワーキングコイルは、上記回収管の先端に接続され、液体物質接触部材に開設した穴から内部に挿入可能な導電性材製の筒体と、この筒体の周面に沿って巻装されたワーキングコイル本体とを有し、
    上記筒体を穴から液体物質区画部材の内側に挿入して筒体を液体物質接触部材とし、この状態で高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して上記筒体自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によって内部の液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプの作動により回収管を介して回収することを特徴とする液体物質回収装置。
  9. 水面に浮遊して回収対象となる液体物質をテーブルの上面に流入可能な状態でテーブルを浮かすフロートと、上記テーブルの上面に設けられた導電性材製の液体物質接触部材と、テーブルに設けられたワーキングコイルと、ワーキングコイルに高周波電流を供給する高周波インバーターユニットと、
    ポンプに接続され、先端に開口した導入口内にテーブル上からの液体物質を吸引する回収管と、
    からなり、高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して上記液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱によってテーブル上の液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプの作動により回収管の導入口内に吸引して回収することを特徴とする液体物質回収装置。
  10. 耐圧ケーシング内に、ポンプと高周波インバータユニットを設けるとともに、上記ポンプの吸引口側に接続したパイプを回収路の一部として該ケーシング内から外部に進退可能に設け、
    このパイプの先端に、導電性材製筒体状の液体物質接触部材内にワーキングコイル本体を備えたワーキングコイルを取り付け、
    且つ、該ワーキングコイル及びパイプの中心線と同軸線上に配置され、ワーキングコイルが進入可能な大きさの穴を開設可能な切刃を有する穿孔機構を備え、穿孔機構により穿設した穴内にワーキングコイルを進入させた状態で上記高周波インバータユニットからワーキングコイルに高周波電流を供給して液体物質接触部材自体を誘導加熱により発熱させ、この発熱により液体物質の粘度を低下させ、この液体物質をポンプの作動により回収することを特長とする液体物質回収装置。
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