JP4172139B2 - Co除去用触媒及びこれを使用したco除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素を主成分としかつCOが含有された混合ガスから、COを選択的に酸化除去する触媒と、その触媒を使用したCO除去方法に関し、詳しくは水素製造用燃料を改質してえた水素を主成分とした生成ガス中のCOを選択的に酸化除去する触媒と、その触媒を使用したCO除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型燃料電池は高効率で環境調和性が高く、自動車用電源,分散電源用として近年注目を集めている。固体高分子型燃料電池は水素を燃料として発電し、作動温度が約100℃の低温作動型が特徴で、電極にはPt系触媒が使用されている。このような低温運転ではPt系電極触媒はCOの吸着により被毒されやすく、燃料水素中に含有されるCOが一定量以上になると、電池性能の低下をまねく。通常その許容濃度は100ppm 以下である。このような問題があるため、固体高分子型燃料電池の燃料水素は純水素を使用するのが好ましいが、インフラや貯蔵の観点から、メタン,LNG,LPGなどのガス燃料,メタノール,ガソリン,ナフサ,灯油等の液体燃料を水蒸気改質,部分酸化などの反応で改質して得られる水素含有ガスを使用するのが一般的となっている。このような水素製造工程では、改質反応及びCOシフト反応の平衡から、生成水素ガス中に1%程度のCOが含有され、CO濃度を1%以下に低減するのは困難である。
【0003】
そこで、CO濃度を電池電極触媒が許容できる濃度まで低減する方法として、改質後の水素含有ガスに酸素または酸素含有ガスを導入して触媒層を通しCOを酸化反応でCO2 に変換する方法が提案されている。
【0004】
CO+1/2O2 → CO2 (1)
(1)の反応の際、酸素源として空気を注入する場合、残存窒素で水素含有ガスが希釈される問題がある。また、これらの触媒及び方法においては、COを酸素で酸化してCO2 に変換するとき、同時に多量に含まれる水素も一部酸素で酸化されて消費される。
【0005】
H2+1/2O2 → H2O (2)
(2)の反応により燃料である水素が消費され燃料の利用率が低下するとともに、反応の発熱により触媒層の温度制御が難しくなるという問題がある。従って、(1)及び(2)の反応のうち、(1)に示すCO酸化反応の選択性の高い触媒、即ち低O2/CO 比条件でCO除去率の高い触媒が望まれる。これらの課題に対し、例えば特開平5−201702号では、ロジウムまたはルテニウムを担体に担持した触媒を用いて、一酸化炭素を優先的に酸化する装置を提案している。この実施例によれば、水素,CO,酸素,窒素からなる反応ガスについては温度100℃以下で高いCO除去率を示す。しかし、燃料を改質してえられた実際の水素含有ガスには、高濃度の水蒸気やCO2 が含まれており、特開平5−
201702号の触媒では水蒸気の存在により十分な性能が発揮できない問題がある。また、CO酸化反応の選択性については、例えば特開平11−347414号ではPt合金をゼオライト系担体に担持した触媒にて、ゼオライトの形状選択性によりCOの酸化反応の選択性を向上した。しかし、特開平11−347414号の触媒も、実施例でしめされるCO,酸素,水素からなるガス成分では高性能,高選択性を示すが、水蒸気を多く含む燃料を改質してえられた実際の水素含有ガスでの性能,耐久性が懸念される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来の技術では、燃料を改質してえられる実際の水素含有ガス組成条件において性能が十分とはいえなかった。本発明は、上記の問題を解決するという観点にたち、各種燃料を改質してえられた水素を含有するガス中のCO除去触媒で、CO酸化反応の選択性が高く、水蒸気存在下においても、低O2 /CO比条件でCO除去率の高い触媒を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水素含有ガス中のCOを選択的に酸化除去するCO除去用触媒であって、Ruとアルカリ土類元素のうち少なくとも一種以上の酸化物を無機酸化物担体に担持し、前記アルカリ土類元素のうち少なくとも一種以上の酸化物の担持量が10〜30wt%であることを特徴としている。
【0008】
上記CO除去用触媒において、Ruとともに無機酸化物担体に担持される成分はアルカリ土類元素のうち少なくとも一種以上の酸化物である。アルカリ土類元素とは、具体的にはMg,Ca,Ba,Srで、アルカリ土類元素の酸化物とはMgO,CaO,BaO,SrO等であらわされる。しかし、アルカリ土類元素の酸化物の形態はこれに限定されるものではなく、たとえば無機酸化物担体を構成する元素または酸化物とアルカリ土類元素の複合酸化物が含有されていてもかまわない。
【0009】
上記CO除去用触媒において、アルカリ土類元素のうち少なくとも一種以上の酸化物の構成割合である担持量は、酸化物重量にしてその合計が触媒全体の10〜30wt%であることが好ましい。この量が触媒全体の10wt%未満では、Ru触媒の性能を向上する効果は現れず、30wt%を超えると、含有量に対する効果が小さくなる。
【0010】
上記CO除去用触媒において、触媒活性成分であるRuの担持量は0.05 〜5wt%の範囲が好ましい。この量が触媒全体の0.05wt% よりも少ないと触媒活性が低く、5wt%以上ではRuの凝集によって含有Ru量あたりの活性が低下し、添加分の効果があらわれず、かつ含有量が多いと触媒のコストが高くなる。
【0011】
上記CO除去用触媒において、無機酸化物担体としては、γ−アルミナ,θ−アルミナ,η−アルミナ,ベーマイト等多孔質アルミナ,アルミナ含有の多孔質アルミナ複合酸化物,チタニア,シリカ−アルミナ,ゼオライトなど、触媒活性成分を高分散担持させるのにふさわしい、高比表面積を持つ多孔質担体が適用できる。特に、アルミナまたはアルミナ含有の多孔質アルミナ複合酸化物が好適である。
【0012】
上記CO除去用触媒は、球状,円柱状などのペレットや粒状の形状のものが一般的であるが、形状はこれに限定されない。上記CO除去用触媒をセラミックスあるいは金属構造体にコートしたCO除去用触媒構造体として使用でき、これらの構造体としてはハニカム形状,板状基材または反応器形状の内壁等が可能である。
【0013】
以上述べてきた水素含有ガス中のCO除去用触媒は、炭化水素燃料を改質後の水素含有ガスに酸素または酸素含有ガスを導入して触媒層を通しCOを酸化反応でCO2 に変換する方法に用いる。具体的には、上記CO除去用触媒を充填した触媒層の入口に、酸素または酸素含有ガスを導入する手段をもち、水素含有ガス中のCOに対し所定のO2/CO(モル比)となるよう酸素または酸素含有ガス注入量を調整する。触媒層は1層でも2層以上直列に設置されていても良いが、高CO除去率を得るためには、各層入口に酸素または酸素含有ガスを導入する手段をもつ2層以上の触媒層を設置するとより効果がある。更に、触媒層が2層以上直列に設置されている場合、各層入口におけるO2/CO(モル比)の値を上流触媒層より下流触媒層を大きくするよう調整すると、高CO除去率を得るために効果が大きい。O2/CO(モル比)の値が大きいと同一入口ガス温度におけるCO除去率は高くなるが、同時にCOの酸化及び同時に進行する水素の酸化によって触媒層の温度が上昇し、システムとしての温度制御が難しくなる。そのため、2層以上の触媒層を設置する場合は、O2/CO(モル比)の値を上流触媒層より下流触媒層を大きくするよう調整することによって、各層における発熱量のバランスを取ることができる。特に上記CO除去用触媒の場合、従来のRuのみを担体に担持した触媒に比較してO2/CO(モル比)の値における除去活性が高いので、2層以上の触媒層を設置する場合は各層での発熱差を小さく押さえることができ、温度制御の面でも有利である。
【0014】
次に、本発明を更に詳細に説明する。
【0015】
本発明の触媒の製造方法を説明する。触媒を構成するRuと、アルカリ土類元素のうち少なくとも1種以上の酸化物を無機酸化物担体に担持する方法として、代表的な含浸法について以下説明する。Ruとアルカリ土類元素の塩を所定量溶解して調整した所定濃度の水溶液またはアルコール液を調製し触媒原料液とする。これを、粉末状,ペレット状,ハニカム状等各種形状の無機多孔質担体に接触,浸漬する。Ru塩としては、塩化ルテニウムおよび塩化ルテニウム水和物,硝酸ルテニウム,ジクロロアミノルテニウム錯体など水溶性,アルコール可溶性のルテニウム塩,ルテニウム錯体が使用できる。また、ルテニウム塩や錯体を酸に溶解した溶液を希釈して使用することも可能である。アルカリ土類元素の塩としては、硝酸塩,硫酸塩,炭酸塩,酢酸塩等が使用できる。触媒原料液はRu塩とアルカリ土類塩を混合した溶液を調製し、Ruとアルカリ土類酸化物を同時に担体へ担持してもよいし、Ru塩のみの触媒原料液とアルカリ土類塩のみの触媒原料液を別々に調製して、段階的に担体へ担持しても良い。Ruとアルカリ土類酸化物の担体への担持順序は、Ruが先でも良いし、後でも良い。このような含浸法以外としては、上記触媒原料液を用いて、競争吸着法,供沈法,混練法等で製造することが可能である。この場合は上記原料以外にアルカリ土類塩原料として、水酸化物,酸化物も用いることができる。以上のような手順で、多孔質担体に触媒原料液を担持した後、通常常温以上好ましくは100℃以上の温度で乾燥後、300℃以上好ましくは350〜550℃で1時間以上焼成する。
【0016】
以上の方法で製造したCO除去用触媒は、用いた無機酸化物担体の形状が粒状,ペレット状,ハニカム状等そのまま反応器に充填できる形状であれば、これを完成触媒として使用できる。それ以外に、上記の触媒単独で使用する他に、上記方法で調製した粉末をハニカム状,発泡体状,繊維状,板状などのセラミックや金属構造体上にスラリーコーティングなどの方法で担持して使用することも可能である。
【0017】
上記製造法で製造した触媒は、反応器に充填して使用される。新規に充填した触媒は、直接水素,CO及び酸素を含有する燃料改質ガスを導入して反応させても良いが、好ましくは反応前に水素還元処理を行う。水素気流下、350℃〜550℃で、1時間以上行う。
【0018】
次に上記CO除去用触媒を用いたCO除去方法について説明する。入口側に酸素または酸素を含有するガスを注入する手段を設けた反応器に、上記CO除去触媒を充填する。300℃以下、好ましくは100〜250℃の水素を含有する燃料改質ガスと、前記注入手段により酸素または酸素を含有するガスとを触媒層に導入する。この時の酸素または酸素を含有するガスの注入量は、前述の(1)式からCO酸化に必要なO2 理論量にもとづき、水素を含有する燃料改質ガス中のCO濃度に対しモル比O2/CO 比で0.5 以上好ましくは1.0 以上に調整する。しかし、触媒を充填した層が2層以上設置される場合はこの限りではなく、上流の触媒層のO2/CO 比は0.5 以下でもかまわない。また、触媒を充填した層が2層以上設置される場合は、上流の触媒層のO2/CO 比の値よりも下流の触媒層のO2/CO 比の値を大きく設定することによりトータルとして高いCO除去率を実現できる。上記反応は、通常空間速度(供給ガスの標準状態におけるガス流量を触媒体積で除した値)で5000〜50000h-1の範囲で運転するのが好適である。
【0019】
本発明のCO除去用触媒は、Ruと、アルカリ土類元素のうち少なくとも一種以上の酸化物を、無機酸化物担体に担持してなることを特徴とする。本触媒はRuとアルカリ土類酸化物との複合効果によって、従来のRuのみを担体に担持した触媒に比較して、低O2/CO 比の条件におけるCO除去性能が向上した。本発明のCO除去用触媒を用いたCO除去方法によって、水素含有ガス中のCOを酸化除去し、CO濃度を十分に低減することが可能である。本発明のCO除去用触媒及びこれを用いたCO除去方法によって得られた水素含有ガスは、水素を使用する燃料電池特に低温作動型の固体高分子型燃料電池の燃料として、電池の電極触媒を劣化させることなく、好適に使用することが可能である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施例で具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
(実施例1)
硝酸マグネシウム六水和物84.8gを蒸留水61ccに溶解した触媒原料溶液を、γ−アルミナ担体(住友アルミナ製NKHD−24)を粉砕し10〜20meshに分級した担体120gに含浸し、120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。更にこの担体に、市販の硝酸ルテニウム溶液(Ru含有量3.93wt%)16.88gを79ccの蒸留水に溶解した触媒原料溶液を含浸し、120℃で乾燥後、550℃で1時間焼成し、触媒Aを得た。触媒AのRu担持量は0.5wt%、マグネシウムの担持量はMgOに換算して担持量は10wt%である。
(実施例2)
触媒原料液として硝酸カルシウム四水和物56.15gを蒸留水79ccに溶解したものを用いる以外は、実施例1と同様の手順で調製し、触媒Bを得た。触媒BのRu担持量は0.5wt%、カルシウムの担持量はCaOに換算して10wt%である。
(実施例3)
触媒原料液として硝酸ストロンチウム27.23gを蒸留水96ccに溶解したものを用いる以外は、実施例1と同様の手順で調製し、触媒Cを得た。触媒CのRu担持量は0.5wt%、ストロンチウムの担持量はSrOに換算して10wt%である。
(実施例4)
触媒原料液として酢酸バリウム22.21gを蒸留水96ccに溶解したものを用いる以外は、実施例1と同様の手順で調製し、触媒Dを得た。触媒DのRu担持量は0.5wt%、バリウムの担持量はBaOに換算して10wt%である。
(比較例1)
γ−アルミナ担体(住友アルミナ製NKHD−24)を粉砕し10〜20meshに分級した担体120gに、市販の硝酸ルテニウム溶液(Ru含有量3.93wt%)15.34gを蒸留水81ccに溶解した触媒原料溶液を含浸し、120℃で乾燥後、550℃で1時間焼成し、触媒Eを得た。触媒EのRu担持量は0.5wt%である。
(比較例2)
触媒原料液として硝酸セリウム六水和物33.64gを蒸留水88ccに溶解したものを用いる以外は、実施例1と同様の手順で調製し、触媒Fを得た。触媒FのRu担持量は0.5wt%、セリウムの担持量はCeO2に換算して担持量は10wt%である。
(比較例3)
触媒原料液として硝酸ニッケル六水和物51.9gを蒸留水77ccに溶解したものを用いる以外は、実施例1と同様の手順で調製し、触媒Gを得た。触媒GのRu担持量は0.5wt%、NiOの担持量は10wt%である。
(参考例)
硝酸マグネシウム六水和物40.17gを蒸留水79ccに溶解した触媒原料溶液1を、γ−アルミナ担体(住友アルミナ製NKHD−24)を粉砕し10〜20meshに分級した担体120gに含浸し、120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。更にこの担体に、市販の硝酸ルテニウム溶液(Ru含有量3.93wt%)16.11gを79ccの蒸留水に溶解した触媒原料溶液を含浸し、120℃で乾燥後、550℃で1時間焼成し、触媒Hを得た。触媒HのRu担持量は0.5wt%、マグネシウムの担持量はMgOに換算して担持量は5wt%である。
(実施例6)
硝酸マグネシウム六水和物190.8gを蒸留水112ccに溶解し触媒原料溶液を調製した。この2分の1量を、γ−アルミナ担体(住友アルミナ製NKHD−24)を粉砕し10〜20meshに分級した担体120gに含浸し、120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。この操作を2回くりかえした。更にこの担体に、市販の硝酸ルテニウム溶液(Ru含有量3.93wt%)18.41gを77ccの蒸留水に溶解した触媒原料溶液を含浸し、120℃で乾燥後、550℃で1時間焼成し、触媒Iを得た。触媒IのRu担持量は0.5wt%、マグネシウムの担持量はMgOに換算して担持量は20wt%である。
(実施例7)
硝酸マグネシウム六水和物327.1gを蒸留水150ccに溶解し触媒原料溶液を調製した。この3分の1量を、γ−アルミナ担体(住友アルミナ製NKHD−24)を粉砕し10〜20meshに分級した担体120gに含浸し、120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。この操作を3回くりかえした。更にこの担体に、市販の硝酸ルテニウム溶液(Ru含有量3.93wt%)30.6gを66ccの蒸留水に溶解した触媒原料溶液を含浸し、120℃で乾燥後、550℃で1時間焼成し、触媒Jを得た。触媒JのRu担持量は0.5wt%、マグネシウムの担持量はMgOに換算して担持量は30wt%である。
(参考例)
酢酸バリウム10.52gを蒸留水96ccに溶解した触媒原料溶液を、γ−アルミナ担体(住友アルミナ製NKHD−24)を粉砕し10〜20meshに分級した担体120gに含浸し、120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。更にこの担体に、市販の硝酸ルテニウム溶液(Ru含有量3.93wt%)16.11gを79ccの蒸留水に溶解した触媒原料溶液を含浸し、120℃で乾燥後、550℃で1時間焼成し、触媒Kを得た。触媒KのRu担持量は0.5wt%、バリウムの担持量はBaOに換算して担持量は5wt%である。
(実施例9)
酢酸バリウム49.98gを蒸留水196ccに溶解し触媒原料溶液を調製した。この2分の1量を、γ−アルミナ担体(住友アルミナ製NKHD−24)を粉砕し10〜20meshに分級した担体120gに含浸し、120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。この操作を2回くりかえした。更にこの担体に、市販の硝酸ルテニウム溶液(Ru含有量3.93wt%)18.41gを77ccの蒸留水に溶解した触媒原料溶液を含浸し、120℃で乾燥後、550℃で1時間焼成し、触媒Lを得た。触媒LのRu担持量は0.5wt%、バリウムの担持量はBaOに換算して担持量は20wt%である。
(実施例10)
酢酸バリウム89.67gを蒸留水288ccに溶解し触媒原料溶液を調製した。この3分の1量を、γ−アルミナ担体(住友アルミナ製NKHD−24)を粉砕し10〜20meshに分級した担体120gに含浸し、120℃で乾燥後、500℃で1時間焼成した。この操作を3回くりかえした。更にこの担体に、市販の硝酸ルテニウム溶液(Ru含有量3.93wt%)30.6gを66ccの蒸留水に溶解した触媒原料溶液を含浸し、120℃で乾燥後、550℃で1時間焼成し、触媒Mを得た。触媒MのRu担持量は0.5wt%、バリウムの担持量はBaOに換算して担持量は30wt%である。
【0021】
実施例1から実施例10,参考例,比較例1から3で調製した触媒A,B,C,D,E,F,G,H,I,J,K,L,Mの13種について、常圧流通式触媒評価装置にて、触媒入口ガス温度を変化させて、以下の反応条件1にてCO除去性能を評価した。反応条件1の入口ガス組成におけるO2/CO(モル比)は1である。
<反応条件1>
触媒入口ガス温度:80〜250℃
触媒入口ガス組成:H237%,CO213%,CO0.1%,O20.1%,
H2O15%,N2バランス
空間速度(SV):20,000h-1
各触媒は反応器に充填後、CO除去性能評価に先立ち、水素10%、窒素バランスの還元処理用ガス流通下、500℃で、1時間還元処理を行った。CO除去性能を図1に示す。反応中の触媒層温度150℃及び200℃における反応器出口のCO減少率を代表例として、表1にまとめた。ここで、CO減少率は下記の式により求めた。
【0022】
CO減少率(%)=(入口ガスCO濃度−出口ガスCO濃度)÷入口ガスCO濃度
×100
各触媒のCO減少率を比較すると、従来のRuのみを担持した触媒の代表である触媒E(比較例1)に比べて、本発明のRuとアルカリ土類酸化物をともに担持してなる触媒である触媒A,B,C,D,I,J,L,MはいずれもCO減少率が高く、アルカリ土類酸化物の添加効果が認められる。またアルカリ土類金属ではない元素を添加した触媒F,G(比較例2,3)は、いずれもRuのみを担持した触媒の代表である触媒E(比較例1)よりもCO減少率は低く、添加効果は認められない。
【0023】
【表1】
【0024】
表1のうち、触媒A,B,E,H,I,J,K,L,Mの結果を用いて、触媒層温度が150℃のCO減少率を、触媒に担持したアルカリ土類酸化物の担持量との関係であらわした結果を、図1に示す。図1で、Mg系として示したのは触媒A,H,I,Jであり、Ba系として示したのは触媒D,K,L,Mである。各系のアルカリ土類酸化物の担持量の0wt%の点は、触媒Eの結果である。図1より、アルカリ土類酸化物の担持量は全体の10wt%以上30wt%以下の場合にCO除去性能の向上に効果がある。
【0025】
実施例6で調製した触媒Iと、比較例1で調製した触媒Eについて、触媒入口ガスの酸素濃度とCO除去性能の関係を評価した。以下に示す反応条件2にて、ガス組成のうちO2 濃度を変化させ、O2/CO(モル比)を1,2,3の条件に設定し、CO除去性能を評価した。
<反応条件2>
触媒入口ガス温度:80〜250℃
触媒入口ガス組成:H2 37%,CO2 13%,CO0.1%,O2 0.1,0.2,0.3%のいずれか、H2O15%,N2バランス
空間速度(SV):20,000h-1
各触媒は反応器に充填後、CO除去性能評価に先立ち、水素10%,窒素バランスの還元処理用ガス流通下、500℃で、1時間還元処理を行った。各触媒のO2/CO(モル比)と触媒層温度150℃におけるCO除去率の関係を図2に示す。本発明の触媒Iは従来の触媒Eに比べ、O2/CO(モル比)の小さい領域すなわち低酸素濃度におけるCO除去活性が高い。
【0026】
実施例3の触媒CをCO除去器に充填し、CO除去性能を評価した。用いたCO除去器の構成を図3に示す。CO除去器の反応容器2は、1−a,1−b,1−cの3層の触媒層から構成される。処理ガスは反応ガス導入用配管3からCO除去器へ導入され、触媒層で処理されたガスは出口配管4から排出される。1−a,1−b,1−cの3層の触媒層へのCO酸化に必要な空気は、それぞれ空気注入管5−a,5−b,5−cから注入される。触媒層1−a,1−b,1−cに触媒Cを充填し、反応条件3のガスを反応ガス導入用配管3から5L/min 導入した。触媒の空間速度条件は入口ガスに対して20000h-1となるよう触媒を充填した。空気注入管5−aからは0.175L/min、5−bからは0.525L/min 、5−cからは0.525L/min の空気を注入した。運転開始から30分後の出口配管4から排出されたガス中のCO濃度を測定したところ、5ppm であった。
<反応条件3>
触媒1−a入口ガス温度:150℃
触媒入口ガス組成:H2 37.4%,CO2 13.5%,CO 0.7%,H2O 13.3%,N2 35.1%
【0027】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の触媒は水素含有ガス中のCOを除去するにあたり、従来の触媒に比較して酸素濃度の低い条件、即ち低O2/CO モル比の反応条件においてCO除去性能が高く、CO濃度を低減することができる。従って、本触媒及び本触媒を用いたCO除去方法を用いることによって、固体高分子型燃料電池(PEFC)の水素極の電極触媒のCO被毒による性能低下を防止することに有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】触媒のアルカリ土類酸化物担持量とCO除去率の関係。
【図2】実施例6の触媒Iと比較例1の触媒Eの、各処理ガス中のO2/CO モル比におけるCO除去率。
【図3】CO除去器の構成。
【符号の説明】
1−a,1−b,1−c…触媒層、2…反応容器、3…反応ガス導入用配管、4…出口配管、5−a,5−b,5−c…空気注入管。
Claims (8)
- 水素含有ガス中のCOを選択的に酸化除去するCO除去用触媒であって、Ruとアルカリ土類元素のうち少なくとも一種以上の酸化物を無機酸化物担体に担持し、前記アルカリ土類元素のうち少なくとも一種以上の酸化物の担持量が10〜30wt%であることを特徴とする水素ガス中のCO除去用触媒。
- アルカリ土類金属がMg,Ca,Sr,Baから選ばれる少なくとも一種以上である請求項1記載の水素含有ガス中のCO除去用触媒。
- Ru担持量が0.05〜5wt%である請求項1記載の水素含有ガス中のCO除去用触媒。
- 無機酸化物担体がアルミナまたはアルミナを含有する複合酸化物である請求項1記載の水素含有ガス中のCO除去用触媒。
- 請求項1記載のCO除去用触媒を、セラミックスあるいは金属構造体にコートしたことを特徴とする水素含有ガス中のCO除去用触媒構造体。
- 請求項1記載の水素含有ガス中のCO除去用触媒が充填された触媒層をもち、触媒層入口で処理ガスと、酸素または酸素を含有するガスを注入することを特徴とする水素含有ガス中のCO除去方法。
- 請求項1記載の水素含有ガス中のCO除去用触媒が充填された2層以上の触媒層からなり、上流の触媒層入口より処理ガスを導入し、各触媒層入口で酸素または酸素を含有するガスを注入することを特徴とする水素含有ガス中のCO除去方法。
- 請求項7において、各触媒層に導入されたガス中のO2/CO(モル比)の値が上流触媒層より下流触媒層を大きくすることを特徴とする水素含有ガス中のCO除去方法。
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