JP4169833B2 - ディスク装置 - Google Patents
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- G11B33/1493—Electro-Magnetic Interference [EMI] or Radio Frequency Interference [RFI] shielding; grounding of static charges
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般的に磁気ディスク装置に関し、特に、磁気ディスク装置のカバー構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
コンピュータ用磁気ディスク装置では、ヘッドと磁気ディスクとの関係はコンタクト・スタート・ストップ（ＢＳＳ）方式が一般的に採用されている。この方式では、ディスク回転中においては、高速回転により発生する空気流体による浮上力とヘッドをディスクに押し付けるサスペンションの力のバランスで、ヘッドは磁気ディスク上を微小な間隙を保って浮上する。
【０００３】
ディスクの回転が停止すると、ヘッドはディスク上の接触可能領域へ移動し、そこでヘッドとディスクが接触する。ディスクが回転停止中は、ヘッドとディスクは接触したままである。
【０００４】
このようにディスク回転中は、ヘッドがディスク上を微小な間隙を保って浮上するため、僅かな塵埃等が原因でヘッドクラッシュ等が発生する。このため、磁気ディスク及びこれらの磁気ディスクにデータの書き込み／読み出しをする磁気ヘッドは密閉されたハウジング（ディスクエンクロージャ）中に配置される。
【０００５】
ハウジングはベースと、このベースにパッキンを介して複数のネジで固定されるカバーとから構成される。従来の磁気ディスク装置のカバーは、主にアルミニウムのダイキャストから製造された鋳物カバーであり、騒音を低減するために、カバーに金属板が装着されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
従来のアルミニウム製カバーでは複雑な形状を精度良く製造するのは難しい。そこで、成型性の良さから樹脂をカバー材料に用いることで、複雑な形状を実現することが考えられる。しかしながら、樹脂材料のみでは電磁波のシールド効果が薄く、外部電磁波による装置の誤動作等の問題が発生する恐れがある。
【０００７】
樹脂製カバーでは、金属性のカバーに比べ、カバーの自重低減により装置騒音が大きくなってしまい、装置の騒音対策が不十分である。樹脂のみから形成されたカバーではカバー自体が帯電し、静電気によるＩＣ破壊やヘッド破壊等が生じる可能性が高く、静電気対策を行なう必要がある。
【０００８】
更に従来の磁気ディスク装置では、装置の制御回路等を搭載したプリント配線板が外部に露出しているため、このプリント配線板から発生する電磁波が外部への悪影響、例えば、心臓障害のあるペースメーカ使用者への悪影響、妊婦の胎児への悪影響を及ぼす恐れがある。
【０００９】
よって、本発明の目的は、電磁波対策及び装置騒音低減を図った樹脂性カバーを採用したディスク装置を提供することである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１記載の発明によると、ベースと、前記ベースの一方の面側に回転可能に取り付けられた複数のトラックを有するディスクと、前記ディスクにデータのライト／リードを行なうヘッドと、前記ヘッドを前記ディスクのトラックを横切って移動させるアクチュエータと、モールド樹脂中に第１金属板が一体的に埋め込まれてなり、前記ベースの一方の面に固定されて前記第１金属板で前記アクチュエータ及びディスクを覆う第１カバーとを具備し、前記第１カバーは前記第１金属板が露出する第１締結部を有し、該第１カバーを前記ベースに固定するとともに、該第１金属板と該ベースとの電気的導通をとる第１螺子が前記第１締結部に挿入されてなることを特徴とするディスク装置が提供される。
【００１１】
金属板は銅板又は鋼板から構成される。網目状の金属板を採用すると、モールド樹脂との結合性が向上する。好ましくは、ポリウレタンシート等の吸音材がカバーに貼付される。
【００１２】
請求項２記載の発明によると、請求項１記載の発明において、前記ベースの他方の面に取り付けられた装置回路を搭載したプリント配線版と、モールド樹脂中に第２金属板が一体的に埋め込まれてなり、前記ベースの他方の面に固定されて該第２金属板で前記プリント配線板を覆う第２カバーとを更に具備し、前記ベースの他方の面に固定された前記第２カバーは、前記第２金属板が露出する第２締結部を有し、該他方の面に固定された前記第２カバーを前記ベースに固定すると共に、該第２金属板と該ベースとの電気的導通をとる第２螺子が前記第２締結部に挿入されてなることを特徴とするディスク装置が提供される。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の数多くの実施形態について説明する。各実施形態の説明において、同一構成部分には同一符号を付して説明する。
【００１４】
図１（Ａ）を参照すると、第１実施形態の磁気ディスク装置の断面図が示されている。図１（Ｂ）は装置平面図である。ハウジング２Ａはベース４と、このベース４に複数のネジ１４により固定されたカバー６Ａを含んでいる。ベース４とカバー６Ａの間にはパッキン１２が介装されており、ハウジング２Ａ内を密封している。
【００１５】
ベース４は例えばアルミニウムから形成される。カバー６Ａはポリカーボネイト等のモールド樹脂８と、このモールド樹脂８中に一体的に埋め込まれた金属板１０とから構成される。好ましくは、金属板１０としては銅板が採用される。銅板に代わって、鋼板も採用可能である。金属板１０はカバー形状に深絞り加工される。
【００１６】
カバーは予めプレス成形や鋳物成形等により所定の形状に成形された金属板を型取りの金型の内に配置し、樹脂を金型の中に流し込むことにより、金属板と樹脂とが一体となって成形される。
【００１７】
本実施形態のカバー６Ａは、モールド樹脂８に一体成型された銅板１０により、カバー６Ａに電磁波のシールド効果を持たせたことを特徴とする。また、銅板１０を樹脂中に挟み込んでいるため、制振効果があり、装置騒音の低減にも寄与する。
【００１８】
金属板１０として鋼板を採用した場合には、銅板を用いたときよりもカバー自体の自重が増加し、制振効果が増大するが、銅板に比べて電磁波のシールド効果が若干劣ることになる。また、電磁波のシールド効果のみを期待するならばアルミニウム板を用いてもよい。
【００１９】
次に、図１（Ａ）及び図２を参照して、本実施形態の磁気ディスク装置の構成を概略的に説明する。ベース４にはシャフト２２が固定されており、このシャフト２２周りにＤＣモータにより回転駆動されるスピンドルハブ１６が設けられている。
【００２０】
スピンドルハブ１６には磁気ディスク１８とスペーサ２０が交互に挿入され、ディスククランプ２３を複数のネジ２４によりスピンドルハブ１６に締結することにより、複数枚の磁気ディスク１８が所定間隔離間してスピンドルハブ１６に取り付けられる。ネジ２６がカバー６Ａの上方からシャフト２２に固定される。
【００２１】
図２において、符号２８はアクチュエータアームアセンブリ３０と磁気回路３２とから構成されるロータリーアクチュエータを示している。アクチュエータアームアセンブリ３０は、ベース４に固定されたシャフト３４周りに回転可能に取り付けられている。
【００２２】
アクチュエータアームアセンブリ３０は、一対の軸受３６，３８を介してシャフト３４周りに回転可能に取り付けられたアクチュエータブロック４０と、アクチュエータブロック４０から一方向に伸長した複数のアクチュエータアーム４２と、それぞれ先端部に磁気ヘッド４４を搭載した複数のサスペンション４６とを含んでいる。
【００２３】
図１（Ａ）に示されるように、シャフト３４に対してアクチュエータアーム４２と反対方向にはコイル４８が支持されている。磁気回路３２はアッパーヨーク５０と、アッパーヨーク５０に固定されたアッパーマグネット５２と、ロアヨーク５４と、ロア５４に固定されたロアマグネット５６を含んでいる。
【００２４】
図１（Ａ）に示すように、コイル４８が磁気回路３２のギャップ中に挿入されて、ボイスコイルモータ（ＶＣＭ）６０が構成される。カバー６Ａの上方からネジ６４がシャフト３４に螺合される。
【００２５】
符号６２は磁気ヘッド４４に書き込み信号を供給したり、磁気ヘッド４４からの読み取り信号を取り出すフレキシブルプリント配線板（ＦＰＣ）を示しており、その一端がアクチュエータブロック４０の側面に固定されている。
【００２６】
図１（Ａ）に示すように、制御回路等の装置回路を搭載したプリント配線板６６がハウジング２Ａの外部のベース４の下方に設けられている。
カバー２Ａのモールド樹脂８中にカーボン等を混入して、ある程度導電性を持たせるのが好ましい。また、カバー２Ａをネジ１４でベース４に固定するネジ締結部においては、金属板１０が露出しているのが望ましい。
【００２７】
このように構成すると、カバー６Ａをベース４に締結するネジ１４により、モールド樹脂８が有する静電気をベース４側へ流すことができ、カバー６Ａの静電気による帯電を防止することができる。
【００２８】
図３は本発明第２実施形態の磁気ディスク装置の断面図を示している。ハウジング２Ｂはベース４と、ベース４に固定されたカバー６Ｂから構成される。本実施形態のカバー６Ｂは、モールド樹脂８中に網目状の銅板１０′を一体的に埋め込んで構成される。網目状の銅板１０′はカバー形状に深絞り加工される。
【００２９】
このように網目状の銅板１０′をモールド樹脂８中に埋め込むことにより、一体成型したときの樹脂８と網目状の銅板１０′との接合性を向上できる。本実施形態の他の構成は、図１（Ａ）に示した第１実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【００３０】
図４（Ａ）は本発明第３実施形態の磁気ディスク装置の断面図を示しており、図４（Ｂ）はその平面図を示している。ハウジング２Ｃはベース４と、ベース４に固定されたカバー６Ｃから構成される。
【００３１】
カバー６Ｃは、第１実施形態と同様にモールド樹脂８と、モールド樹脂８中に一体的に埋め込まれた金属板１０とから構成される。金属板１０としては、銅板又は鋼板が採用可能である。
【００３２】
更に、カバー６Ｃの外部表面上にはポリウレタンシート等の吸音材６８が貼付されている。この吸音材６８により更にディスク装置の騒音を低減することができる。本実施形態の他の構成は、上述した第１実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【００３３】
図５を参照すると、本発明第４実施形態の磁気ディスク装置の断面図が示されている。本実施形態は第１実施形態と同様なハウジング２Ａに加えて、プリント配線板６６を覆うカバー７０Ａを具備している。
【００３４】
カバー７０Ａは複数のネジ７８によりパッキン７６を間に挟んでベース４に固定されている。カバー７０Ａは、カバー６Ａと同様に、モールド樹脂７２と、このモールド樹脂７２中に一体的に埋め込まれた金属板７４とから構成される。金属板７４としては、銅板又は鋼板が採用可能である。金属板７４は網目状であってもよい。
【００３５】
本実施形態では、カバー７０Ａで装置回路を搭載したプリント配線板６６を覆うように構成したので、装置回路から発生する電磁波をカバー７０Ａでシールドすることができ、外部への電磁波の漏れを低減することができる。
【００３６】
最近、電磁波による人体への影響が注目されはじめている。例えば、心臓に障害を持つ人々のペースメーカへの電磁波による悪影響や、妊婦に対する電磁波の悪影響をできるだけ少なくすることが望ましい。
【００３７】
そこで本実施形態は、これらの人々がノートパソコン等のモバイルコンピュータを使用する際に、コンピュータに内蔵される磁気ディスク装置からの電磁波による悪影響を低減することを狙ったものである。
【００３８】
更に、カバー７０Ａは外部からの電磁波もシールドするため、この電磁波による装置の誤動作を防止することができ、ディスク装置の信頼性を向上することができる。本実施形態の他の構成は、上述した第１実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【００３９】
図６を参照すると、本発明第５実施形態の磁気ディスク装置の断面図が示されている。本実施形態のカバー７０Ｂは、図５に示した第４実施形態のカバー７０Ａにポリウレタンシート等の吸音材８０を貼付して構成される。
【００４０】
ハウジング２Ｃのカバー６Ｃは、上述した第３実施形態のカバー６Ｃと同様である。金属板１０，７４として、鋼板を採用すると、銅板を用いたときよりもカバー６Ｃ，７０Ｂの重量が増加し、制振効果が増大する。
【００４１】
両カバー６Ｃ，７０Ｂの外部表面上にはポリウレタンシート６８，８０が貼付されているので、これらのポリウレタンシートが吸音材の役割を果たし、鋼板１０，７４による制振効果と相俟って、更に装置騒音を低減することができる。本実施形態の他の構成は、上述した第１実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【００４２】
【発明の効果】
本発明によると、耐電磁波特性の向上及び装置騒音の低減を図った、樹脂性カバーを具備したディスク装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１（Ａ）は本発明第１実施形態の磁気ディスク装置の断面図、図１（Ｂ）はその平面図である。
【図２】カバーを外した状態の磁気ディスク装置の斜視図である。
【図３】本発明第２実施形態の磁気ディスク装置の断面図である。
【図４】図４（Ａ）は本発明第３実施形態の磁気ディスク装置の断面図、図４（Ｂ）はその平面図である。
【図５】本発明第４実施形態の磁気ディスク装置の断面図である。
【図６】本発明第５実施形態の磁気ディスク装置の断面図である。
【符号の説明】
２Ａ〜２Ｃ ハウジング
４ ベース
６Ａ〜６Ｃ カバー
８ モールド樹脂
１０ 金属板
１８ 磁気ディスク
２８ アクチュエータ
４２ アクチュエータアーム
４４ 磁気ヘッド
４６ サスペンション
６８ 吸音材
７０Ａ，７０Ｂ カバー
【発明の属する技術分野】
本発明は一般的に磁気ディスク装置に関し、特に、磁気ディスク装置のカバー構造に関する。
【０００２】
【従来の技術】
コンピュータ用磁気ディスク装置では、ヘッドと磁気ディスクとの関係はコンタクト・スタート・ストップ（ＢＳＳ）方式が一般的に採用されている。この方式では、ディスク回転中においては、高速回転により発生する空気流体による浮上力とヘッドをディスクに押し付けるサスペンションの力のバランスで、ヘッドは磁気ディスク上を微小な間隙を保って浮上する。
【０００３】
ディスクの回転が停止すると、ヘッドはディスク上の接触可能領域へ移動し、そこでヘッドとディスクが接触する。ディスクが回転停止中は、ヘッドとディスクは接触したままである。
【０００４】
このようにディスク回転中は、ヘッドがディスク上を微小な間隙を保って浮上するため、僅かな塵埃等が原因でヘッドクラッシュ等が発生する。このため、磁気ディスク及びこれらの磁気ディスクにデータの書き込み／読み出しをする磁気ヘッドは密閉されたハウジング（ディスクエンクロージャ）中に配置される。
【０００５】
ハウジングはベースと、このベースにパッキンを介して複数のネジで固定されるカバーとから構成される。従来の磁気ディスク装置のカバーは、主にアルミニウムのダイキャストから製造された鋳物カバーであり、騒音を低減するために、カバーに金属板が装着されている。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
従来のアルミニウム製カバーでは複雑な形状を精度良く製造するのは難しい。そこで、成型性の良さから樹脂をカバー材料に用いることで、複雑な形状を実現することが考えられる。しかしながら、樹脂材料のみでは電磁波のシールド効果が薄く、外部電磁波による装置の誤動作等の問題が発生する恐れがある。
【０００７】
樹脂製カバーでは、金属性のカバーに比べ、カバーの自重低減により装置騒音が大きくなってしまい、装置の騒音対策が不十分である。樹脂のみから形成されたカバーではカバー自体が帯電し、静電気によるＩＣ破壊やヘッド破壊等が生じる可能性が高く、静電気対策を行なう必要がある。
【０００８】
更に従来の磁気ディスク装置では、装置の制御回路等を搭載したプリント配線板が外部に露出しているため、このプリント配線板から発生する電磁波が外部への悪影響、例えば、心臓障害のあるペースメーカ使用者への悪影響、妊婦の胎児への悪影響を及ぼす恐れがある。
【０００９】
よって、本発明の目的は、電磁波対策及び装置騒音低減を図った樹脂性カバーを採用したディスク装置を提供することである。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
請求項１記載の発明によると、ベースと、前記ベースの一方の面側に回転可能に取り付けられた複数のトラックを有するディスクと、前記ディスクにデータのライト／リードを行なうヘッドと、前記ヘッドを前記ディスクのトラックを横切って移動させるアクチュエータと、モールド樹脂中に第１金属板が一体的に埋め込まれてなり、前記ベースの一方の面に固定されて前記第１金属板で前記アクチュエータ及びディスクを覆う第１カバーとを具備し、前記第１カバーは前記第１金属板が露出する第１締結部を有し、該第１カバーを前記ベースに固定するとともに、該第１金属板と該ベースとの電気的導通をとる第１螺子が前記第１締結部に挿入されてなることを特徴とするディスク装置が提供される。
【００１１】
金属板は銅板又は鋼板から構成される。網目状の金属板を採用すると、モールド樹脂との結合性が向上する。好ましくは、ポリウレタンシート等の吸音材がカバーに貼付される。
【００１２】
請求項２記載の発明によると、請求項１記載の発明において、前記ベースの他方の面に取り付けられた装置回路を搭載したプリント配線版と、モールド樹脂中に第２金属板が一体的に埋め込まれてなり、前記ベースの他方の面に固定されて該第２金属板で前記プリント配線板を覆う第２カバーとを更に具備し、前記ベースの他方の面に固定された前記第２カバーは、前記第２金属板が露出する第２締結部を有し、該他方の面に固定された前記第２カバーを前記ベースに固定すると共に、該第２金属板と該ベースとの電気的導通をとる第２螺子が前記第２締結部に挿入されてなることを特徴とするディスク装置が提供される。
【００１３】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の数多くの実施形態について説明する。各実施形態の説明において、同一構成部分には同一符号を付して説明する。
【００１４】
図１（Ａ）を参照すると、第１実施形態の磁気ディスク装置の断面図が示されている。図１（Ｂ）は装置平面図である。ハウジング２Ａはベース４と、このベース４に複数のネジ１４により固定されたカバー６Ａを含んでいる。ベース４とカバー６Ａの間にはパッキン１２が介装されており、ハウジング２Ａ内を密封している。
【００１５】
ベース４は例えばアルミニウムから形成される。カバー６Ａはポリカーボネイト等のモールド樹脂８と、このモールド樹脂８中に一体的に埋め込まれた金属板１０とから構成される。好ましくは、金属板１０としては銅板が採用される。銅板に代わって、鋼板も採用可能である。金属板１０はカバー形状に深絞り加工される。
【００１６】
カバーは予めプレス成形や鋳物成形等により所定の形状に成形された金属板を型取りの金型の内に配置し、樹脂を金型の中に流し込むことにより、金属板と樹脂とが一体となって成形される。
【００１７】
本実施形態のカバー６Ａは、モールド樹脂８に一体成型された銅板１０により、カバー６Ａに電磁波のシールド効果を持たせたことを特徴とする。また、銅板１０を樹脂中に挟み込んでいるため、制振効果があり、装置騒音の低減にも寄与する。
【００１８】
金属板１０として鋼板を採用した場合には、銅板を用いたときよりもカバー自体の自重が増加し、制振効果が増大するが、銅板に比べて電磁波のシールド効果が若干劣ることになる。また、電磁波のシールド効果のみを期待するならばアルミニウム板を用いてもよい。
【００１９】
次に、図１（Ａ）及び図２を参照して、本実施形態の磁気ディスク装置の構成を概略的に説明する。ベース４にはシャフト２２が固定されており、このシャフト２２周りにＤＣモータにより回転駆動されるスピンドルハブ１６が設けられている。
【００２０】
スピンドルハブ１６には磁気ディスク１８とスペーサ２０が交互に挿入され、ディスククランプ２３を複数のネジ２４によりスピンドルハブ１６に締結することにより、複数枚の磁気ディスク１８が所定間隔離間してスピンドルハブ１６に取り付けられる。ネジ２６がカバー６Ａの上方からシャフト２２に固定される。
【００２１】
図２において、符号２８はアクチュエータアームアセンブリ３０と磁気回路３２とから構成されるロータリーアクチュエータを示している。アクチュエータアームアセンブリ３０は、ベース４に固定されたシャフト３４周りに回転可能に取り付けられている。
【００２２】
アクチュエータアームアセンブリ３０は、一対の軸受３６，３８を介してシャフト３４周りに回転可能に取り付けられたアクチュエータブロック４０と、アクチュエータブロック４０から一方向に伸長した複数のアクチュエータアーム４２と、それぞれ先端部に磁気ヘッド４４を搭載した複数のサスペンション４６とを含んでいる。
【００２３】
図１（Ａ）に示されるように、シャフト３４に対してアクチュエータアーム４２と反対方向にはコイル４８が支持されている。磁気回路３２はアッパーヨーク５０と、アッパーヨーク５０に固定されたアッパーマグネット５２と、ロアヨーク５４と、ロア５４に固定されたロアマグネット５６を含んでいる。
【００２４】
図１（Ａ）に示すように、コイル４８が磁気回路３２のギャップ中に挿入されて、ボイスコイルモータ（ＶＣＭ）６０が構成される。カバー６Ａの上方からネジ６４がシャフト３４に螺合される。
【００２５】
符号６２は磁気ヘッド４４に書き込み信号を供給したり、磁気ヘッド４４からの読み取り信号を取り出すフレキシブルプリント配線板（ＦＰＣ）を示しており、その一端がアクチュエータブロック４０の側面に固定されている。
【００２６】
図１（Ａ）に示すように、制御回路等の装置回路を搭載したプリント配線板６６がハウジング２Ａの外部のベース４の下方に設けられている。
カバー２Ａのモールド樹脂８中にカーボン等を混入して、ある程度導電性を持たせるのが好ましい。また、カバー２Ａをネジ１４でベース４に固定するネジ締結部においては、金属板１０が露出しているのが望ましい。
【００２７】
このように構成すると、カバー６Ａをベース４に締結するネジ１４により、モールド樹脂８が有する静電気をベース４側へ流すことができ、カバー６Ａの静電気による帯電を防止することができる。
【００２８】
図３は本発明第２実施形態の磁気ディスク装置の断面図を示している。ハウジング２Ｂはベース４と、ベース４に固定されたカバー６Ｂから構成される。本実施形態のカバー６Ｂは、モールド樹脂８中に網目状の銅板１０′を一体的に埋め込んで構成される。網目状の銅板１０′はカバー形状に深絞り加工される。
【００２９】
このように網目状の銅板１０′をモールド樹脂８中に埋め込むことにより、一体成型したときの樹脂８と網目状の銅板１０′との接合性を向上できる。本実施形態の他の構成は、図１（Ａ）に示した第１実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【００３０】
図４（Ａ）は本発明第３実施形態の磁気ディスク装置の断面図を示しており、図４（Ｂ）はその平面図を示している。ハウジング２Ｃはベース４と、ベース４に固定されたカバー６Ｃから構成される。
【００３１】
カバー６Ｃは、第１実施形態と同様にモールド樹脂８と、モールド樹脂８中に一体的に埋め込まれた金属板１０とから構成される。金属板１０としては、銅板又は鋼板が採用可能である。
【００３２】
更に、カバー６Ｃの外部表面上にはポリウレタンシート等の吸音材６８が貼付されている。この吸音材６８により更にディスク装置の騒音を低減することができる。本実施形態の他の構成は、上述した第１実施形態と同様であるのでその説明を省略する。
【００３３】
図５を参照すると、本発明第４実施形態の磁気ディスク装置の断面図が示されている。本実施形態は第１実施形態と同様なハウジング２Ａに加えて、プリント配線板６６を覆うカバー７０Ａを具備している。
【００３４】
カバー７０Ａは複数のネジ７８によりパッキン７６を間に挟んでベース４に固定されている。カバー７０Ａは、カバー６Ａと同様に、モールド樹脂７２と、このモールド樹脂７２中に一体的に埋め込まれた金属板７４とから構成される。金属板７４としては、銅板又は鋼板が採用可能である。金属板７４は網目状であってもよい。
【００３５】
本実施形態では、カバー７０Ａで装置回路を搭載したプリント配線板６６を覆うように構成したので、装置回路から発生する電磁波をカバー７０Ａでシールドすることができ、外部への電磁波の漏れを低減することができる。
【００３６】
最近、電磁波による人体への影響が注目されはじめている。例えば、心臓に障害を持つ人々のペースメーカへの電磁波による悪影響や、妊婦に対する電磁波の悪影響をできるだけ少なくすることが望ましい。
【００３７】
そこで本実施形態は、これらの人々がノートパソコン等のモバイルコンピュータを使用する際に、コンピュータに内蔵される磁気ディスク装置からの電磁波による悪影響を低減することを狙ったものである。
【００３８】
更に、カバー７０Ａは外部からの電磁波もシールドするため、この電磁波による装置の誤動作を防止することができ、ディスク装置の信頼性を向上することができる。本実施形態の他の構成は、上述した第１実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【００３９】
図６を参照すると、本発明第５実施形態の磁気ディスク装置の断面図が示されている。本実施形態のカバー７０Ｂは、図５に示した第４実施形態のカバー７０Ａにポリウレタンシート等の吸音材８０を貼付して構成される。
【００４０】
ハウジング２Ｃのカバー６Ｃは、上述した第３実施形態のカバー６Ｃと同様である。金属板１０，７４として、鋼板を採用すると、銅板を用いたときよりもカバー６Ｃ，７０Ｂの重量が増加し、制振効果が増大する。
【００４１】
両カバー６Ｃ，７０Ｂの外部表面上にはポリウレタンシート６８，８０が貼付されているので、これらのポリウレタンシートが吸音材の役割を果たし、鋼板１０，７４による制振効果と相俟って、更に装置騒音を低減することができる。本実施形態の他の構成は、上述した第１実施形態と同様であるので、その説明を省略する。
【００４２】
【発明の効果】
本発明によると、耐電磁波特性の向上及び装置騒音の低減を図った、樹脂性カバーを具備したディスク装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１（Ａ）は本発明第１実施形態の磁気ディスク装置の断面図、図１（Ｂ）はその平面図である。
【図２】カバーを外した状態の磁気ディスク装置の斜視図である。
【図３】本発明第２実施形態の磁気ディスク装置の断面図である。
【図４】図４（Ａ）は本発明第３実施形態の磁気ディスク装置の断面図、図４（Ｂ）はその平面図である。
【図５】本発明第４実施形態の磁気ディスク装置の断面図である。
【図６】本発明第５実施形態の磁気ディスク装置の断面図である。
【符号の説明】
２Ａ〜２Ｃ ハウジング
４ ベース
６Ａ〜６Ｃ カバー
８ モールド樹脂
１０ 金属板
１８ 磁気ディスク
２８ アクチュエータ
４２ アクチュエータアーム
４４ 磁気ヘッド
４６ サスペンション
６８ 吸音材
７０Ａ，７０Ｂ カバー
Claims (6)
- ベースと、
前記ベースの一方の面側に回転可能に取り付けられた複数のトラックを有するディスクと、
前記ディスクにデータのライト／リードを行なうヘッドと、
前記ヘッドを前記ディスクのトラックを横切って移動させるアクチュエータと、
モールド樹脂中に第１金属板が一体的に埋め込まれてなり、前記ベースの一方の面に固定されて前記第１金属板で前記アクチュエータ及びディスクを覆う第１カバーとを具備し、
前記第１カバーは前記第１金属板が露出する第１締結部を有し、該第１カバーを前記ベースに固定するとともに、該第１金属板と該ベースとの電気的導通をとる第１螺子が前記第１締結部に挿入されてなることを特徴とするディスク装置。 - 前記ベースの他方の面に取り付けられた装置回路を搭載したプリント配線版と、
モールド樹脂中に第２金属板が一体的に埋め込まれてなり、前記ベースの他方の面に固定されて該第２金属板で前記プリント配線板を覆う第２カバーとを更に具備し、
前記ベースの他方の面に固定された前記第２カバーは、前記第２金属板が露出する第２締結部を有し、該他方の面に固定された前記第２カバーを前記ベースに固定すると共に、該第２金属板と該ベースとの電気的導通をとる第２螺子が前記第２締結部に挿入されてなることを特徴とする請求項１記載のディスク装置。 - 前記第１及び第２金属板は銅板から構成される請求項１又は２記載のディスク装置。
- 前記第１及び第２金属板は鋼板から構成される請求項１又は２記載のディスク装置。
- 前記第１及び第２金属板は網目状である請求項１又は２記載のディスク装置。
- 前記ベースの一方の面に固定された前記第１カバー及び該ベースの他方の面に固定された前記第２カバーの少なくとも一方に取り付けられた吸音材を更に具備した請求項３〜５の何れかに記載のディスク装置。
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