JP4168536B2 - 回転速度検出方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転軸の周方向に沿って該回転軸と一体回転可能に一定ピッチで形成された被検出部をセンサで検出し、該被検出部を検出する毎にセンサから出力されるパルス信号の入力に基づく割込み処理により、演算手段で回転速度の演算を行って回転軸の回転速度を検出する回転速度検出方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、コンピュータの中央処理装置(以下、CPUという)においては、割込みシステムが採用されていて、割込み要求があるとプログラムを中断し,後からそのプログラムを続行することのできるように構成されている。この割込みは,プログラムカウンターや他のレジスターの内容を待避させたり、それらを保存域に記憶し,新しい命令シーケンスを始めることにより達成され、そして新しいシーケンスの実行後、プログラムカウンターやレジスターを元のプログラムへロードし、復活させ再び割込み可能な状態にする。従って、CPUは、割込み要求があると、それを受け取って保持しておき、適当なプログラムを呼び出すことによってその要求に応答する割込み処理を実行しなければならない。
【0003】
例えば、車速を検出し、検出された車速に基づいてコンピュータによる制御下に所定の走行制御を行うような場合、車速は車軸と連動して回転する回転軸の回転速度から演算される。回転軸の回転速度を検出する場合は、回転軸に設けられた歯車状部材に近接して磁気ピックアップからなるセンサを配設し、歯車状部材の歯がセンサの前を通過する毎に該センサが入力インターフェースを介してCPUにパルス信号を送り、CPUがパルス信号間の時間間隔から回転速度を算出するようになっている。また、一定時間内に発生したパルス数から回転速度を計算することもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前者の場合、特に低速での検出精度を上げるためには、歯車状部材の歯数を増す必要がある。例えば、フォークリフトの走行制御で極低速から車速を検出したい場合、車速検出用歯車ではタイヤ1回転でパルスが850回も発生するようになっている。そして、最高速では1秒間に数千回のパルス信号がCPUに入力されるため、割込み要求が頻繁に入ることになり、それだけCPUの負荷が増し、本来のプログラムの迅速な実行に支障をきたすだけでなく、高速回転では精度が低下することになる。また、一定時間内に発生したパルス数から回転速度を計算する後者の場合には、低回転速度で精度が低下する。
【0005】
精度低下の理由は、CPUで使用するクロックに比べてパルス間の時間が短くなることによる。例えば、低回転速度で1パルスを10000クロックでカウントすれば、精度は0.01%であり、高回転速度で1パルスを100クロックでカウントすれば、精度は1%に低下してしまう。
【0006】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであってその目的は、高速回転の際にもCPUの負荷を実質的に増すことなく、精度よく回転速度の検出が可能な回転速度検出方法及び装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、回転軸の周方向に沿って該回転軸と一体回転可能に一定ピッチで形成された被検出部をセンサで検出し、前記被検出部を検出する毎に前記センサから出力されるパルス信号の入力に基づく割込み処理により、演算手段で回転速度の演算を行って前記回転軸の回転速度を検出する回転速度検出方法において、所定周期毎にパルス信号による割込みを許可すると共に、割込み許可の状態において1回目のパルス信号が入力されると次の割込み許可の時期になるまで前記パルス信号による割込みを不許可とし、前記1回目のパルス信号が入力された時から次の割込み許可後の最初のパルス信号が入力されるまでの経過時間を計測し、前記経過時間とその間に入力されたパルス数に基づいて前記回転軸の回転速度を演算し、前記演算手段には、該演算手段とは別に設けられるカウンタを介してパルス信号が入力されるよう構成され、前記カウンタは前記経過時間の間に入力されるパルス数をカウントするよう構成されており、前記パルス信号による割込み不許可の状態では、前記演算手段にてパルス信号を入力しても前記割込み処理は行われず、前記カウンタにて前記パルス数がカウントされ、前記パルス信号による割込み許可の状態では、前記割込み処理により、前記演算手段で前記経過時間と前記カウンタにてカウントされた前記パルス数に基づいて前記回転軸の回転速度が演算される。
【0008】
また、請求項2に記載の発明では、回転軸の周方向に該回転軸と一体回転可能に一定ピッチで形成された被検出部を検出する毎にパルス信号を出力するセンサと、前記パルス信号の入力に基づく割込み処理により回転速度の演算を行う演算手段と、前記パルス信号の割込みを所定周期で許可すると共に、割込み許可の状態において1回目のパルス信号が入力されると次の割込み許可の時期になるまで前記パルス信号による割込みを不許可とする制御手段と、前記1回目のパルス信号が入力された時から次の割込み許可後の最初のパルス信号が入力されるまでの経過時間を計測する計測手段と、前記経過時間内に前記センサから出力されたパルス数をカウントするカウンタと備え、前記演算手段には、該演算手段とは別に設けられる前記カウンタを介してパルス信号が入力されるよう構成されており、前記パルス信号による割込み不許可の状態では、前記演算手段にてパルス信号を入力しても前記割込み処理は行われず、前記カウンタにて前記パルス数がカウントされ、前記パルス信号による割込み許可の状態では、前記割込み処理により、前記演算手段で前記経過時間と前記カウンタにてカウントされた前記パルス数に基づいて前記回転軸の回転速度が演算される。
【0009】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記所定周期は前記演算手段のメインプログラムの実行周期より短く設定されている。
従って、請求項1に記載の発明では、センサが回転軸に一定ピッチで形成された被検出部を検出する毎にパルス信号が出力される。演算手段へのパルス信号による割込みは所定周期毎に許可される。割込み許可の状態において1回目のパルス信号が入力されると次の割込み許可の時期になるまで前記パルス信号による割込みが不許可となる。1回目のパルス信号が入力された時から次の割込み許可後の最初のパルス信号が入力されるまでの経過時間が計測され、前記経過時間とその間に入力されたパルス数に基づいて回転軸の回転速度が演算される。
【0010】
請求項2に記載の発明では、演算手段において前記センサから出力されるパルス信号の入力に基づく割込み処理により回転速度の演算が行われる。制御手段により前記パルス信号の割込みが所定周期で許可されると共に、割込み許可の状態において1回目のパルス信号が入力されると次の割込み許可の時期になるまで前記パルス信号による割込みが不許可となる。1回目のパルス信号が入力された時から次の割込み許可後の最初のパルス信号が入力されるまでの経過時間が計測手段によって計測される。前記経過時間内に前記センサから出力されたパルス数がカウンタによってカウントされる。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、所定周期が演算手段のメインプログラムの実行周期より短く設定されているため、各実行周期に新しいデータの使用が可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、添付図面を参照して、産業車両としてのフォークリフトに適用した一実施の形態について説明するが、図中、同一符号は同一又は対応部分を示すものとする。
【0013】
図1に示すように、エンジン1の出力軸1aは、トルクコンバータ2を備えた変速装置3の入力軸3aに連結され、変速装置3の出力軸3bは差動装置4を介して駆動輪5aを有する車軸5に連結されている。車軸5には常用ブレーキ6が設けられている。エンジン1にはスロットルアクチュエータ7が設けられ、このスロットルアクチュエータ7の作動によってスロットル開度が調整されて、エンジン1の回転数、即ちエンジン1の出力軸1aの回転数が調節される。
【0014】
変速装置3は、前述したように入力軸3a及び出力軸3bを備え、入力軸3aには、トルクコンバータ2に加え前進クラッチ8及び後進クラッチ9が設けられている。前進クラッチ8及び後進クラッチ9と出力軸3bとの間には図示しない歯車列がそれぞれ設けられ、各クラッチ8,9及び各歯車列を介して入力軸3aの回転が出力軸3bに伝達される。両クラッチ8,9には油圧式のクラッチ、この実施形態では湿式多板クラッチが使用され、受圧室8a,9a内の油圧力によって各クラッチディスクの接続力が調整可能に、例えば受圧室8a,9a内の油圧力を高めると接続力が大きくなるように構成されている。
【0015】
前進クラッチ8及び後進クラッチ9においては、前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ11を介して供給される油圧により受圧室8a,9a内の油圧力がそれぞれ制御されるようになっている。前進クラッチバルブ10及び後進クラッチバルブ11は、ソレノイドへの通電量に比例した開度となる圧力制御比例電磁弁で構成されている。
【0016】
変速装置3内には、駐車ブレーキ12が出力軸3bに接続されて組み込まれている。駐車ブレーキ12は出力軸3bと一体回転するディスク12aと、出力軸3bに対して回転不能かつスラスト方向に移動可能に設けられたブレーキパッド12bとを備えている。ブレーキパッド12bは図示しないばねのばね力によりディスク12aに圧接される方向に付勢されて制動のための係合圧を発生させ、ブレーキ用バルブ13を介して受圧室12cに供給される油圧により制動状態が解除されるように構成されている。
【0017】
図1ではトルクコンバータ2、変速装置3及び各バルブ10,11,13が独立して図示されているが、これら各装置は一つのハウジング内に組み込まれて、自動変速機を構成している。そして、自動変速機には図示しない油圧ポンプが組み込まれ、その油圧ポンプの吐出油が図示しない流路及び各バルブ10,11,13を介して各受圧室8a,9a,12cに供給可能に構成されている。前記油圧ポンプはエンジン1の回転時に変速装置3に伝達される回転力により駆動されるようになっている。
【0018】
エンジン1の出力軸1aには被検出部として歯車14が一体回転可能に設けられ、磁気ピックアップからなるエンジン回転数センサ15により出力軸1aの回転数が検出される。エンジン回転数センサ15は出力軸1aの回転数に比例したパルス信号を出力する。また、変速装置3の出力軸3bには被検出部として歯車16が一体回転可能に設けられ、磁気ピックアップからなる車速センサ17により出力軸3bの回転数が検出される。車速センサ17は出力軸3bの回転数に比例したパルス信号を出力する。各歯車14,16は、その周囲に被検出部を構成する多数の歯14a,16aを有し、出力軸1a,3bの回転に伴い歯14a,16aがセンサ15,17の前を通過する毎に、センサ15,17が上述のパルス信号を出力する。
【0019】
エンジン1により駆動される荷役用の油圧ポンプ18の吐出側に、フォーク19を昇降させるリフトシリンダ20及びマスト21を傾動させる図示しないティルトシリンダが、図示しない管路等を介して接続されている。
【0020】
運転室の床にはアクセルペダル23と、インチングペダル24と、ブレーキペダル25とが設けられている。インチングペダル24は荷役作業を行いながらフォークリフトの微速走行をマニュアル操作で行う際に、クラッチを半接続状態(半クラッチ状態)にするために使用するものである。そして、ブレーキペダル25を操作する(踏み込む)ときは、ブレーキペダル25はインチングペダル24と独立して作動するが、インチングペダル24を操作する(踏み込む)ときは、途中からインチングペダル24とブレーキペダル25とが連動可能に構成されている。即ち、インチングペダル24は、インチング位置に達するまで及びインチング位置においてはブレーキペダル25と独立して移動(操作)されるが、インチング位置を過ぎるとブレーキペダル25がインチングペダル24と一体に移動するようになっている。
【0021】
アクセルペダル23が操作されたか否かを検出するアクセルセンサ26は、アクセルペダル23の操作量に比例した検出信号を出力する。インチングペダル24がインチング位置にあるか否かはインチングスイッチ27により検出され、ブレーキペダル25が操作されたか否かはブレーキスイッチ28により検出される。
【0022】
図示しない運転室の前部には、シフトレバー29が設けられている。シフトレバー29の位置を検知するシフトスイッチ30は、シフトレバー29が前進位置、後進位置及び中立位置のいずれにあるかを検知し、各位置に対応する信号を出力する。また、運転室には、図示しないが、前述したリフトシリンダ20を操作するための荷役レバーが配置されており、この荷役レバーの操作量は荷役操作量センサにより検知される。
【0023】
次に、前述したスロットルアクチュエータ7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブレーキ用バルブ13等を駆動制御したり、エンジン回転数センサ15や車速センサ17に基づき回転速度を検出するための電気的構成について説明する。
【0024】
この駆動制御や回転速度検出のための制御装置31は、演算手段、制御手段及び計測手段としての中央処理装置(CPU)32、読出し専用メモリ(ROM)33及び読出し及び書替え可能なメモリ(RAM)34に加え、入力インターフェース35及び出力インターフェース36を備えている。また、制御装置31はカウンタとしての計数回路37,38を備えている。計数回路37はエンジン回転数センサ15から出力されたパルス信号をカウントし、計数回路38は車速センサ17から出力されたパルス信号をカウントする。
【0025】
ROM33には、通常走行時に進行方向側のクラッチを完全係合状態としてアクセルペダル23の操作量に対応した目標エンジン回転数に制御するプログラム、荷役走行時に荷役レバーの操作量に基づいて設定した目標エンジン回転数に制御し、かつ進行側のクラッチ圧力を調整してアクセルレバー23の操作量に対応した目標車速となるようにクラッチの係合圧力を制御するプログラム、駐車ブレーキ12の作動時期設定プログラム、本発明に従って車速もしくは回転速度を演算するのためのプログラム等の所定の制御プログラムに加え、同制御プログラムを実行する際に必要な各種データ等が記憶されている。RAM34にはCPU32の演算結果等が一時記憶される。CPU32はROM33に記憶された諸制御プログラムに基づいて作動する。
【0026】
CPU32は、エンジン回転数センサ15に接続された計数回路37、車速センサ17に接続された計数回路38、インチングスイッチ27、ブレーキスイッチ28及びシフトスイッチ30の出力信号を入力インターフェース35を介して入力するように接続されている。アクセルセンサ26は図示しないA/D変換器及びを介してCPU32に接続されている。
【0027】
また、CPU32は、出力インターフェース36及び図示しない駆動回路を介してスロットルアクチュエータ7、前進クラッチバルブ10、後進クラッチバルブ11及びブレーキ用バルブ13にそれぞれ接続されていて、ROM33に記憶されている各種制御プログラムに従って動作し、スロットルアクチュエータ7及び各バルブ10,11,13への制御指令信号を出力する。
【0028】
ROM33には、通常走行時のアクセルペダル23の操作量に対するスロットル開度の関係を示すマップと、荷役レバーの操作量に対するスロットル開度の関係を示すマップと、荷役走行時におけるアクセルペダル23の操作量に対する目標車速の関係を示すマップとが記憶されている。また、ROM33には荷役走行時及びインチング走行時に、進行側のクラッチ、即ち前進走行時には前進クラッチ8、後進走行時には後進クラッチ9を半クラッチ接続状態とするための前進クラッチバルブ10及び後進クラッチ11の基準開度が記憶されている。
【0029】
CPU32は、通常走行時には進行側のクラッチを完全係合状態とするようにクラッチバルブを制御し、アクセルペダル23の操作量に対する目標エンジン回転数になるようにスロットルアクチュエータ7を制御する。
【0030】
CPU32は、荷役走行時には荷役作業に必要な油圧を確保できるエンジン回転数に対応するスロットル開度となるようにスロットルアクチュエータ7を制御する。また、CPU32はシフトレバー29が操作された進行方向に対するクラッチを半クラッチ接続状態とすると共に、アクセルペダル23の操作量に対応した目標車速となるように両クラッチバルブの一方を制御する。
【0031】
CPU32は車速が停止車速以下か否かを判断し、車速が停止車速以下で、ブレーキスイッチ28からブレーキペダル25の操作検出信号を入力した状態が所定時間(例えば0.5秒)継続したとき、駐車ブレーキ12が制動状態となるようにブレーキ用バルブ13を制御する。停止車速とは車速センサ17で零と判断される程度の低速を意味し、例えば秒速数cm程度である。駐車ブレーキ12はアクセルペダル23を踏み込み操作することにより制動状態が解除される。
【0032】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。
エンジン1はスロットル開度に対応したエンジン回転数で回転される。エンジン1の回転により油圧ポンプ18が駆動され、リフトシリンダ20に作動油が供給可能な状態になる。また、同じ駆動源のエンジン1の回転は出力軸1a及びトルクコンバータ2を介して変速装置3に伝達される。
【0033】
シフトレバー29が中立位置に操作された状態では、両クラッチバルブ10,11は受圧室8a,9aに油圧が供給されない状態に保持されるため、両クラッチ8,9は非接続状態に保持され、エンジン1の回転は変速装置3の出力軸3bに伝達されない。シフトレバー29が前進位置に操作された状態では、前進クラッチバルブ10は受圧室8aに油圧を供給可能な状態に操作され、前進クラッチ8が接続状態となり、エンジン1の回転が前進クラッチ8を介して出力軸3bに伝達される状態となる。シフトレバー29が後進位置に操作された状態では、後進クラッチバルブ11は受圧室9aに油圧を供給可能な状態に操作され、後進クラッチ9が接続状態となり、エンジン1の回転が後進クラッチ9を介して出力軸3bに伝達される状態となる。
【0034】
フォークリフトを停止させるため、運転者がブレーキペダル25を操作するか、インチングペダル24をインチング位置より余分に操作すると、ブレーキペダル25が制動位置に操作され、ブレーキスイッチ28からブレーキ操作信号が出力される。CPU32は、後述する仕方で車速センサ17からのパルス信号に基づいて車速を演算し、車速が停止車速以下の状態で、かつブレーキ操作信号を入力した状態が所定時間(例えば0.5秒程度)以上継続したと判断すると、ブレーキ用バルブ13に制動指令信号を出力する。ブレーキ用バルブ13に制動指令信号が出力されると、受圧室12cに油圧が供給されない状態になり、ブレーキパッド12bがばね力によってディスク12aに圧接される制動位置に配置され、駐車ブレーキ12が制動状態となる。従って、運転者がフォークリフトを停止させるため、ブレーキペダル25又はインチングペダル24を操作すると、フォークリフトが停止した状態で自動的に駐車ブレーキ12が制動解除状態から制動状態に切り換えられる。
【0035】
荷役走行時には、CPU32は、ROM33に記憶された制御プログラムを読み出し、荷役レバーの操作量に基づいて設定した目標エンジン回転数となるようにスロットルアクチュエータ7を制御すると共に、進行側のクラッチ圧力を調整してアクセルレバー23の操作量に対応した目標車速となるようにクラッチの係合圧力を制御する。
【0036】
エンジン回転数センサ15及び車速センサ17からのパルス信号は、車速センサ17について代表的に示すと、図2のような形態で計数回路37,38を介してCPU32に次々と入力される。フォークリフトの走行制御の際に、極低速における検出精度を高めるため、車速検出用の歯車16では、車輪1回転で1秒間に例えば850回のパルスが発生するほど多数の歯16aが形成されている。従って、比較的に走行速度が遅いフォークリフトでも、最高車速では例えば1秒間に4000回以上ものパルスがCPU32に入力することになる。
【0037】
そのため、パルス間時間に基づいた従来のような計測では、その時間頻度でCPU32に割込み要求が入る。制御周期を仮に5ミリ秒(ms)とすると、該周期の間に最高速の車速では20パルス以上がCPU32に入ることになる。車速検出のためには1回の計測分のパルスデータがあればよいから、回転速度検出に不要な残りのデータがCPU32に入ることは、その都度CPU32に不必要な割込みをかけることになり、コンピュータの処理能力上問題である。
【0038】
例えば、図2において、時点t1から時点t2までの所定周期T1の間にセンサから出力されるパルスの数と、そのパルスが出力されるに要した時間Tとから駆動輪5aの回転速度Nvを求める場合、時間Tの間に出力されたパルス数は6であるため、回転速度Nv[rps]は、Nv=6/(T×850)となる。但し、850は駆動輪5aが1回転する間に車速センサ17と対向する位置を通過する歯車16の歯16aの数である。この回転速度Nvに2πrをかければ車速V[m/s]が得られる。但し、rは駆動輪5aの半径である。
【0039】
従って、所定周期T1の開始時点t1以降において、最初のパルスの立ち上がり、即ち1回目の割込みが入った時点で以降の割込みを不許可とし、割込み再許可の開始時点t2後の最初のパルスの立ち上がりまでの時間Tを計測し、時間Tとその間のパルス数とから回転速度を演算すれば、CPU32の負荷を実質的に増すことなく回転速度の検出が可能であることが分かる。時間Tにセンサから出力されるパルス数は計数回路37,38でカウントされるため、CPU32の負荷とならない。
【0040】
次に、車速センサ17による車速の検出方法について、発生パルスの数毎に場合分けした図3の(a)〜(d)を参照して更に詳しく説明する。なお、エンジン回転数センサ15によるエンジン1の回転数も同様に求められるので、車速センサ17による車速の検出方法について代表的に説明することとする。
【0041】
制御装置31で使用される水晶発振器の固有振動周波数を例えば20MHzとし、メイン制御プグラムの制御周期を10msとし、割込み許可の所定周期T1を5msとする。制御装置31には10ms用及び5ms用のタイマがそれぞれ設けられている。また、制御装置31にはフリーランニングカウンタ機能が通常のように備えられていて、このカウンタが時間を1LSB単位で常時カウントしている。クロック周波数が20MHzの場合、1LSBは0.00005 msとなり、クロック周波数が200kHzの場合、1LSBは0.005msとなる。
【0042】
なお、以下の説明で、to-pulseは、0〜5ms間の1回目のパルス信号の立ち上がりから割込み不許可の解除以降の1回目パルスの立ち上がりまでの経過時間であり、to-cnt-pulseは、0〜5ms間の1回目のパルスから割込み不許可の解除以降の1回目パルスまでのパルス数から1を引いた値である。従って、パルス間時間pulsは、puls=to-pulse/to-cnt-pulseで表される。
【0043】
図3の(a)は、所定周期T1(5ms)の間に1パルス以下しか車速センサ17からパルス信号が入らず、しかもパルス間時間pulsが10ms以下の場合で、図の横軸の数字「0」及び「5」は、それぞれ10msタイマ及び5msタイマの動作基準時点を便宜的に表わしている。10msタイマ及び5msタイマが最初の時点「0」でリセットされて1制御周期及び所定周期T1が始まる。この時、制御装置31のCPU32は割込み可である。ある時点で車速センサ17からの最初のパルス信号▲1▼が入力インターフェース35を介してCPU32に入ると、CPU32はそれ以降割込み不可となり、この割込み不可状態は5msタイマが最初の時点「5」でタイムアップするまでの時間T2の間継続する。
【0044】
そして、次にパルス信号▲2▼が入るとCPU32は割込み要求に応えて割込みルーチンに入り、車速の演算を開始する。前述したフリーランニングカウンタによりそれぞれ計時されているパルス信号▲1▼及び▲2▼が入った各時点のカウンタ値の差から経過時間to-pulseを求める。to-cnt-pulseは2−1=1であるから、パルス間時間puls=to-pulse/to-cnt-pulseは容易に求められる。そして、CPU32はROM33に記憶された演算式に従って車速Vを演算する。
【0045】
V=Nv×2πr={( to-cnt-pulse/ to-pulse)/G}×2πr
但し、Gは駆動輪5aが1回転する間に車速センサ17と対向する位置を通過する歯車16の歯16aの数である。
【0046】
図3の(b)は、所定周期T1(5ms)間に1パルス以下しか車速センサ17からパルス信号が入らず、しかもパルス間時間pulsが10ms以上かつ60ms以下の場合であり、このときも同様にパルス間時間pulsが求められる。なお、パルス間時間が60ms以上の時、車速は0とみなす。
【0047】
図3の(c)及び(d)は、所定周期T1(5ms)間に2パルス以上、即ち割込み不可の間に1パルス以上のパルス信号が入る場合である。図3の(c)において、2回目のパルス信号▲2▼は割込み不可状態の間に入力しており、このパルス信号▲2▼の入力によってはCPU32は割込みルーチンに入らない。しかし、車速センサ17から出力されるパルス信号の数は計数回路38によりカウントされているため、パルス間時間pulsの計算の際にはパルス信号▲2▼も考慮され、車速が適切に検出される。
【0048】
図3の(d)においては、パルス信号▲1▼によりCPU32が割込み不可状態となり、割込み不可状態の間に5つのパルス信号▲2▼〜▲6▼がセンサから出力されるが、これらは計数回路38によりカウントされるだけで、CPU32に割込みをかけることはない。従って、1制御周期毎に5回もの不要な割込みが回避されることが分かる。
【0049】
以上説明したこの実施の形態では以下の効果を有する。
(1) 所定周期T1毎にパルス信号による割込みを許可すると共に、割込み許可の状態において1回目のパルス信号が入力されると次の割込み許可の時期になるまでパルス信号による割込みを不許可とし、1回目のパルス信号が入力された時から次の割込み許可後の最初のパルス信号が入力されるまでの経過時間to-pulseを計測し、経過時間to-pulseとその間に入力されたパルス数に基づいて回転軸の回転速度を演算する。従って、低速回転時の検出精度を高めるために歯車14,16の歯14a,16aの数を増しても、CPU32の負荷が実質的に増すことがなく、低速だけでなく高速での検出精度の向上になる。即ち、歯車14,16のピッチの公差、入力軸3a及び出力軸3bの捩れ等による若干の回転変動が避けられないが、少なくとも所定周期間T1(5ms)の各パルス間時間を平均化することにより、パルス間時間が小さな場合でも精度が向上する。
【0050】
(2) CPU32の負荷が小さくなるため、CPU32として安価なものを使用できる。
(3) 従来は割込みを避けて敬遠されていた場所、例えば高速回転部と対向する箇所にセンサを設けることが可能となるので、センサの適用可能範囲が非常に広がり、自由度が増す。
【0051】
(4) CPU32のメインプログラムの実行周期もしくは制御周期より割込み許可の所定周期T1が短く設定されているため、各制御周期で常に新しい回転速度検出データを使用できる。
【0052】
(5) 前記の回転速度検出方法により極低速での車速を正確に検出できると共に、高速走行時の車速検出もCPU32の負荷を増さずに精度良く検出できる。従って、駐車ブレーキ12の作動時期の判断や、フォークリフト等の産業車両で荷役走行時に極低速での走行制御を円滑に行うことができる。
【0053】
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように具体化してもよい。
○ エンジン回転数センサ15及び車速センサ17として磁気ピックアップが用いられているが、ホール素子のような磁気センサを用いてもよい。
【0054】
○ 制御装置31の水晶発振器の固有振動周波数を20MHzとしたが、様々な値に設計することができる。また、割込み許可の所定周期T1も制御周期の半分に限らず1/2n(nは整数)としてもよい。
【0055】
○ 割込み許可の所定周期T1を制御周期より長くしてもよい。
○ 被検出部である歯車14,16は出力軸1a,3bに直結されているが、出力軸1a,3bと一体に回転しうる部材なら所望の部位に設置しうる。
【0056】
○ 被検出部としては、センサがパルス信号を発生しうるものなら歯車14,16以外の任意の周知手段を使用しうる。例えば、回転板の周方向に沿ってN極及びS極を交互に着磁したものや、回転板の周方向に沿って反射部と非反射部を交互に設けたものや、回転板に多数のスリットを所定角度をおいて形成したものが使用される。反射部やスリットを設けた回転板の場合は、センサとして光センサが使用される。
【0057】
○ 回転軸に直接に被検出部を設けずに、センサが回転軸と連動される減速又は増速歯車列の歯車の回転を検出するように構成する。この場合、高速度に対する検出性能が重視される場合には、減速歯車列を用い、逆に低速度に対する検出性能が重視される場合には、増速歯車列を用いるのが好適である。
【0058】
○ 前記実施形態では、本発明による回転速度検出方法及び装置を産業車両としてのフォークリフトに適用した場合について説明したが、本発明は、産業車両に限定されるものではないことは勿論のこと、一般的な車両に限定されるものでもなく、回転軸を有するものの回転速度を検出する際に広く用いることができる。
【0059】
前記実施形態から把握できる請求項記載以外の発明(技術思想)について、以下にその効果と共に記載する。
(1) 請求項2又は請求項3に記載の発明の回転速度検出装置を車速検出装置として備えている産業車両。この場合、低速走行時及び高速走行時における車速を精度良く検出でき、しかも演算手段に対する割込み負荷を小さくできる。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項3の発明によれば、低速度を精度よく測定するために被検出部の数を多くしても、発生されるパルス信号毎に割込みをかけるものではないので、高速回転の際にも演算手段に対する負荷を実質的に増すことなく、精度よく回転速度の検出が可能となる。しかも、従来は割込みを避けて敬遠されていた場所にセンサを設けることが可能となるので、センサの適用可能範囲が非常に広がり、自由度が増す。
【0061】
また、請求項3に記載の発明によれば、割込みを許可する所定周期は演算手段のメインプログラムの実行周期より短く設定されているので、各実行周期に必要な回転速度データとして新しいデータを使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施の形態の回転速度検出装置を備えた産業車両の要部構成図。
【図2】本発明による回転速度検出の原理を説明するためのパルス波形図。
【図3】 (a)〜(d)は種々の場合に分けて車速の求め方を説明するためのパルス信号及び時間の関係図。
【符号の説明】
1a…回転軸としての出力軸、3b…回転軸としての出力軸、14,16…被検出部としての歯車、14a,16a…同じく歯、15…エンジン回転数センサ、17…車速センサ、32…演算手段、制御手段及び計測手段としての中央処理装置(CPU)、33…制御手段を構成する読出し専用メモリ(ROM)、37,38…カウンタとしての計数回路。
Claims (3)
- 回転軸の周方向に沿って該回転軸と一体回転可能に一定ピッチで形成された被検出部をセンサで検出し、前記被検出部を検出する毎に前記センサから出力されるパルス信号の入力に基づく割込み処理により、演算手段で回転速度の演算を行って前記回転軸の回転速度を検出する回転速度検出方法であって、
所定周期毎にパルス信号による割込みを許可すると共に、割込み許可の状態において1回目のパルス信号が入力されると次の割込み許可の時期になるまで前記パルス信号による割込みを不許可とし、前記1回目のパルス信号が入力された時から次の割込み許可後の最初のパルス信号が入力されるまでの経過時間を計測し、前記経過時間とその間に入力されたパルス数に基づいて前記回転軸の回転速度を演算し、
前記演算手段には、該演算手段とは別に設けられるカウンタを介してパルス信号が入力されるよう構成され、前記カウンタは前記経過時間の間に入力されるパルス数をカウントするよう構成されており、
前記パルス信号による割込み不許可の状態では、前記演算手段にてパルス信号を入力しても前記割込み処理は行われず、前記カウンタにて前記パルス数がカウントされ、
前記パルス信号による割込み許可の状態では、前記割込み処理により、前記演算手段で前記経過時間と前記カウンタにてカウントされた前記パルス数に基づいて前記回転軸の回転速度が演算される回転速度検出方法。 - 回転軸の周方向に該回転軸と一体回転可能に一定ピッチで形成された被検出部を検出する毎にパルス信号を出力するセンサと、
前記パルス信号の入力に基づく割込み処理により回転速度の演算を行う演算手段と、
前記パルス信号の割込みを所定周期で許可すると共に、割込み許可の状態において1回目のパルス信号が入力されると次の割込み許可の時期になるまで前記パルス信号による割込みを不許可とする制御手段と、
前記1回目のパルス信号が入力された時から次の割込み許可後の最初のパルス信号が入力されるまでの経過時間を計測する計測手段と、
前記経過時間内に前記センサから出力されたパルス数をカウントするカウンタと
を備え、
前記演算手段には、該演算手段とは別に設けられる前記カウンタを介してパルス信号が入力されるよう構成されており、
前記パルス信号による割込み不許可の状態では、前記演算手段にてパルス信号を入力しても前記割込み処理は行われず、前記カウンタにて前記パルス数がカウントされ、
前記パルス信号による割込み許可の状態では、前記割込み処理により、前記演算手段で前記経過時間と前記カウンタにてカウントされた前記パルス数に基づいて前記回転軸の回転速度が演算される回転速度検出装置。 - 前記所定周期は前記演算手段のメインプログラムの実行周期より短く設定されている請求項2に記載の回転速度検出装置。
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