JP4167879B2 - 減速機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、減速機に係り、特に、ロボットの関節駆動用等の用途に使用され、衝突事故等によって減速機自体に極めて強い負荷が加わる可能性のある用途に好適な減速機に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、様々な種類の産業用ロボットが様々な製造現場で使用されている。図7に代表的な産業ロボットの構造を概念的に示す。
【0003】
固定ベース2上には、回転ヘッド4がS軸の回りに回転自在に組み付けられ、第1サーボモータ6及び第1減速機8を介してS軸を中心として回転する。回転ヘッド4の上部には、第1アーム10がL軸の回りに前後揺動自在に組み付けられ、第2サーボモータ12及び第2減速機14を介してL軸を中心として前後に揺動する。第1アーム10の上部には、第2アーム16がU軸の回りに上下揺動自在に組み付けられ、第3サーボモータ18及び第3減速機20を介してU軸を中心として上下に揺動する。以上の構成で、エンドエフェクタEを3次元的に駆動することができる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記第1〜第3減速機8、14、20は、第1〜第3サーボモータ6、12、18の出力を低速高トルクに変換する機能が要求され、一般に偏心揺動型の内接噛合遊星歯車機構、あるいは撓み噛合い式の内接噛合遊星歯車機構を利用した減速機が使用される。
【0005】
一般に、このような産業用ロボットの関節駆動用として用いられている減速機は、操作ミス等によって該ロボットが何かに衝突してしまったような場合であっても、その衝撃に耐え得るように、通常用途の減速機よりも伝達容量、或いは安全係数が高めに設定されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−300681号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際の工場等でロボットが作動している際には、ときに予想をはるかに超える強い衝撃(負荷)が加わることがある。即ち、一般に、減速機においては、入力軸に近い軸や部品は細く(小さく)、一方、出力軸に近い軸や部品は太く(大きく)形成されている。それは、出力軸近くになればなるほど、入力軸の回転がより減速され取り扱うトルクが大きくなってくるためである。
【0008】
しかしながら、これらの取り扱いトルクはあくまでそれぞれの軸や部品が予想される負荷の下で所定方向に「回転する」ことを前提としているものであるため、衝突時のように衝撃的な負荷が瞬間的に減速機の外部から加えられたようなときには、回転系の各部位は所定の回転を行うことができず、各部位に予想を大きく超えたトルクがダイレクトに加わってしまうことがある。その結果、強度的に厳しい状況にあるシャフトやピン(例えばキャリヤピン)等が破断、あるいは破壊に至る恐れが生じる。
【0009】
更に、この場合、当該破断によって出力軸等の大きな部品がその支持のベースを失い、ケーシングから脱落してしまうと、この脱落によって付近にあるものが破壊されたりするいわゆる2次被害が発生してしまうこともある。
【0010】
本発明は、このような問題に対処するための1つの回答として、単に大きな衝撃に耐え得るように減速機の容量あるいは大きさを大きくするというような対処ではなく、たとえ強い衝撃が加わって減速機内の一部が破壊されたとしても、減速機を構成する部品等が脱落したりするのを構造的に回避して2次被害を未然に防止し、減速機全体、ひいては該減速機が搭載されている装置(例えばロボット装置)全体の安全性をより高めることその課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ケーシングの端面から該ケーシングと相対回転する軸が露出している減速機において、前記ケーシング内に、シャフトまたはピン状の支持部材が配置され、前記軸または軸と一体化された部材の支持または保持がこの支持部材を介して前記ケーシングによってなされ、前記ケーシングの軸方向端部であって前記軸に対して被駆動部材が取付けられる軸方向位置よりも軸方向被駆動部材側の位置に、半径方向内側に向けて突出する突起部が、前記軸又は該軸と一体化された部材のいずれとも接触しない状態で設けられると共に、前記軸または軸と一体化された部材に、自身の外径が前記突起部の内径よりも大きく設定され、且つ該突起部に対してケーシング軸方向内側において対向する対向部が設けられたことにより、上記課題を解決したものである。
【0012】
ケーシングが固定され、該ケーシングの端部から露出している軸(例えば出力軸)が回転するタイプの減速機にあっては、この軸あるいは該軸と一体化された部材は、これらを支持或いは保持しているケーシング内部のシャフトまたはピン等が破たんすると、その支持或いは保持のベースを失い、減速機のケーシングから脱落してしまうことがあり得る。
【0013】
一方、ケーシングの端部から露出している軸の方が固定され、ケーシングがいわゆる枠部材として回転するタイプの減速機にあっては、この軸あるいは該軸と一体化されている部分のみが固定部材側に残ってケーシングを含む減速機全体が脱落してしまうことが有り得る。
【0014】
本発明では、この点に着目し、例えば衝突時の過大負荷などによってたとえ減速機内の一部のシャフト等が破断してしまったとしても、ケーシングの端面から露出している軸が該ケーシングと分離してしまうのを構造的に防止することにより、付近にいる人の安全を確保すると共に、付近に存在する機械や建物の損傷を防止する。
【0015】
即ち、本発明では、ケーシングの軸方向端部において半径方向内側に向けて突出する突起部を設け、ケーシングから露出している軸又は軸と一体化された部材の一部が、この突起部とケーシング軸方向内側において対向できるように、対向する部分の外径よりも突起部の内径を小さく設定している。軸又は軸と一体化された部材は、減速機の内部が破壊されたとしても、この突起部によりケーシングから脱落するのが防止される。
【0016】
この突起部は、軸又は該軸と一体化された部材のいずれとも接触しない状態で設けられるため、通常時においては、減速機の回転系に何らの悪影響も及ぼすことはない。
【0017】
なお、この突起部は、例えば、前記ケーシングの端面に取り付けたプレートによって形成するとよい。或いは、前記ケーシングの内周に嵌め込んだプレートによって形成することもできる。
【0018】
本発明は、適用する減速機の具体的な減速機構は特に限定されないが、例えば、減速機構が、僅少の歯数差を有する内歯歯車及び外歯歯車を有する遊星歯車減速機構を備え、該遊星歯車減速機構の軸方向両サイドに、第1、第2支持ブロックがこの遊星歯車減速機構を軸方向に貫通する前記支持部材としてのキャリヤピンを介して互いに連結された状態で支持されると共に、前記第1、第2支持ブロックの少なくとも一方が前記軸又は該軸と一体化された部材として機能する構成とされているような減速機に本発明を適用すると特に効果的である。
【0019】
本発明の変形例としては、僅少の歯数差を有する内歯歯車及び外歯歯車を有する遊星歯車減速機構を備え、内歯歯車と外歯歯車との相対回転を、外歯歯車を軸方向に貫通する内ピンを介して該外歯歯車の軸方向両サイドに配置した第1、第2支持ブロックに取り出すと共に、該第1、第2支持ブロックを前記外歯歯車を軸方向に貫通するキャリヤピンを介して互いに連結した減速機において、前記第1、第2支持ブロックのそれぞれに、半径方向内側に向けて突出する突起部を設けると共に、前記内ピンの外周であって前記それぞれの突起部の軸方向外側対応位置又はそれぞれの突起部の軸方向内側対応位置に、該突起部と軸方向において対向する対向突起部をそれぞれ形成した減速機が考えられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態の例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る減速機を示している。
【0022】
便宜上、この減速機30の概略構成から説明する。この減速機30は、遊星歯車減速機構RGを有し、いわゆる偏心揺動型の内接噛合遊星歯車構造と称される減速機に相当している。減速機30は、入力軸32と、該入力軸32の周りで偏心揺動回転する外歯歯車34と、該外歯歯車と僅少の歯数差を有しケーシング36に固定されると共に外歯歯車34が内接噛合する内歯歯車38と、前記外歯歯車34の軸方向両サイドに配置された第1、第2支持ブロック(軸又は軸と一体化された部材)40、41と、外歯歯車34を軸方向に貫通すると共に前記内歯歯車38及び外歯歯車34の相対回転を前記第1支持ブロック40及び第2支持ブロック41に伝える偏心体軸(内ピン)50とを備える。
【0023】
入力軸32は図示せぬモータの出力軸が挿入される中空部42を備え、先端にピニオン44が形成されている。このピニオン44には円周方向において3枚配置された従動歯車46が噛合している。それぞれの従動歯車46の中央部には偏心体軸50がスプライン52を介して係合されている。又、各偏心体軸50には2個の偏心体48が一体的に形成されている。
【0024】
前記2枚の外歯歯車34には貫通孔54が形成されており、この貫通孔54の部分において偏心体軸50の偏心体48が軸受56を介して係合している。なお、各偏心体軸50に設けられている偏心体48は、各外歯歯車34毎にその偏心位相が揃えられている。
【0025】
偏心体軸(内ピン)50は、軸受57、58を介して外歯歯車34の軸方向両サイドに配置された前記第1支持ブロック40及び第2支持ブロック41に支持され、内歯歯車38、外歯歯車34の相対回転(この場合、外歯歯車34の自転成分)を該第1、第2支持ブロック40、41に伝達する。
【0026】
第1支持ブロック40及び第2支持ブロック41は、それぞれ全体が軸受70、72を介してケーシング36に相対回転自在に支持されると共に、外歯歯車34を軸方向に貫通するキャリヤピン(シャフト又はピン状の支持部材)68を介して一体化されている。本実施形態の場合には両支持ブロック40、41のうち、第1支持ブロック40がいわゆる出力軸として機能している。
【0027】
この第1支持ブロック40の端面は、ケーシング36の端部36Aから露出しており、該第1支持ブロック40の端面をキャリヤピン68の端面68Aとは、略同一平面上に位置している。又、キャリヤピン68には、端面68Aから軸方向に向かって、ボルト孔76が形成されており、該ボルト孔76に被駆動部材(相手機械)のフランジを貫通させたボルト(共に図示略)をねじ込むことにより、キャリヤピン68の段部68Bを介して被駆動部材側に連結されるようになっている。
【0028】
また、第2支持ブロック41は、キャリヤピン68のもう一つの段部68Cと鍔付きボルト77とでキャリヤピン68と強固に連結されている。従って、通常の運転時において、第1、第2支持ブロック40、41がケーシング36から脱落することはない。しかしながら、この実施形態では、キャリヤピン68が万一破断してしまったときの対策を次のようにして講じている。
【0029】
即ち、ケーシング36の本体36Bは、この本体36Bの軸方向端部36A(図1の左側の端部)には、半径方向内側に向けて突出する突起部70Aを有するかぎ型リング状のプレート70がボルト72を介して設けられている。このプレート70の突起部70Aは、第1支持ブロック40又は該第1支持ブロック40と一体化された部材のいずれとも接触しない状態で設けられている。
【0030】
一方、第1支持ブロック40には、この突起部70Aに対してケーシング軸方向内側において対抗する対向部40Aが形成されている。この対向部40Aは、その外径d1が前記突起部70Aの内径D1より大きく設定されている。即ち、この突起部70Aと対向部40Aは、軸方向から見たときにその一部同士が重なっている。
【0031】
次にこの減速機30の作用を説明する。
【0032】
図示せぬモータの回転によって入力軸32が回転すると、ピニオン44、従動歯車46を介して偏心体軸50が回転する。その結果、該偏心体軸50に一体的に設けられている偏心体48が偏心体軸50の軸心Eoに対して偏心回転する。各外歯歯車34と軸受56を介して係合している3個の偏心体48は、各外歯歯車34毎にその偏心位相が揃えられているため、それぞれの外歯歯車34が内歯歯車38と噛合しながら揺動回転する。その結果、外歯歯車34の歯数と内歯歯車38の歯数の「差」に相当する分、各偏心体48が1回転するたびに外歯歯車34と内歯歯車38との位相が相対的にずれる。このため、3本の偏心体軸50は第1、第2支持ブロック40、41に支持されたまま(このずれに相当する分)ゆっくりと入力軸32の周りを公転(外歯歯車に着目した場合には自転)し、この偏心体軸50の公転(外歯歯車34の自転成分)が第1、第2支持ブロック40、41に伝達され、第1支持ブロック40側からから減速機30の出力として取り出される。
【0033】
ところで、発明者の実験あるいは実機での観察によれば、衝突等の何らかのアクシデントが発生した場合、このような構造の減速機にあっては、一見強固に見えるキャリヤピン68の方が、偏心体軸(内ピン)50よりむしろ破断し易いことが確認されている。それは、このキャリヤピン68は、もともと減速された大きなトルクを取り扱っている上に、第1、第2支持ブロック40、41と、滑りの許容されない状態で、即ち完全に固定された状態で連結されているため、第2支持ブロック41が実質的に回転できない状態で第1支持ブロック40の側(相手機械の側)から衝撃トルク(反力トルク)がダイレクトに加わる構造となっていることなどが関係していると考えられる。
【0034】
ここで、キャリヤピン68が破断してしまうと、第1支持ブロック40はその支持基盤を失ってしまうことから、(特に配慮の無かった従来の構造では)該第1支持ブロック40がケーシング36外に脱落してしまう恐れがある。
【0035】
しかしながら、この実施形態に係る減速機30では、ケーシング36の軸方向端部に、突起部70Aを有するリング状のプレート70が取り付けられており、更に第1支持ブロック40側に、この突起部70Aに対向する対向部40Aが形成されている。この対向部40Aは、その外径d1が突起部70Aの内径D1より大きく設定されており、この突起部70Aと対向部40Aは、軸方向から見たときにその一部同士が重なっている。
【0036】
そのため、第1支持ブロック40は、この対向部40A及び突起部70Aの存在により、ケーシング36外に飛び出ることはできない。従って、たとえ、例えばキャリヤピン68が破断したとしても、出力軸である第1支持ブロック40がケーシング36から脱落することはなく、該第1支持ブロック40の落下による2次被害が発生するのを防止できる。
【0037】
なお、第2支持ブロック41の側は、入力軸32に連結される図示せぬモータが配置されることになるため、脱落の可能性は殆どないと考えられる。
【0038】
突起部70Aは、第1支持ブロック40、或いは該第1支持ブロックと一体化された部材のいずれとも接触しない状態で設けられているため、通常運転時における減速機の回転に対しては何らの影響も及ぼさない。
【0039】
図3に本発明の他の実施形態(の例)を模式的に示す。
【0040】
なお、各部の符号は、図3を説明するために便宜上新たに付けたものである。
【0041】
図3に示すテーブルの列方向(縦軸方向)のバリエーションは、ケーシングC側の突起部PRを形成するための変形例を示している。ケーシングC側の突起部PRは、(1)止め輪PR1、(2)プレートPR2+ボルトBL、(3)座金PR3+ボルトBL、等の構成によって形成することができる。なお、止め輪や座金は、広義のプレートの概念に含まれる。
【0042】
(1)の止め輪PR1を用いる方法は、部品点数が少なく、また組付けも容易である。(2)のプレートPR2とボルトBLを用いる方法は、突起部部分の強度が高いため、それだけ脱落防止効果が高い。また、(3)の座金PR3とボルトBLを用いる方法は、ともに市販の汎用部品を用いることができるため低コストである。
【0043】
一方、図3に示すテーブルの行方向(横軸方向)のバリエーションは、軸(又は軸と一体の部材)SH側の対向部FAを形成するための変形例を示している。軸SH側の対向部FAの形成に関しては、(A)軸SHの軸方向端の外周に突部FA1を設ける方法、(B)軸SHとケーシングC側の突起部PRとの間に該軸SH(及び相手機械MM)と一体化されたプレートFA2を介在させる方法、あるいは(C)出力軸と一体化される相手機械MMの被駆動部材の一部を減速機の一部として利用し、該相手機械MMの側に対向部FA3を形成する方法、等が考えられる。
【0044】
(A)の方法は、部品点数を増やさずに済むため、組み付けが容易であり、部品は専用品となるが、その分、対向部FAの軸方向厚さなどを用途に合わせて最適に設定できる。(B)の方法は、軸(又は軸と一体の品)SHに関しては、従来の標準品(対応部未形成品)としてそのまま流用できる点で優れる。(C)の方法も、軸(又は軸と一体の品)SHに従来と同一種類(形状)の標準品を用いることができ、また、減速機の軸方向長も長くならないという利点が得られる。
【0045】
なお、上記図1、図2の実施形態に係る構造は、この図3における(2)−(A)構造の更なる変形例に相当しており、軸方向に厚いカギ型リング状のプレート70を用いることにより、前述したようにケーシング36の本体36Bとして、従来使用されていたケーシング(標準品)をそのまま流用できるようにしたもの、と捉えることができる。
【0046】
このように、本発明は、その趣旨より、要は、ケーシングと相対回転する軸、或いは該軸と一体とされた部材がケーシングと分離しないように、ケーシング側から突起部が半径方向内側に向けて形成され、軸又は軸と一体化された部材側にこの突起部に対してケーシング軸方向内側において対向する対向部が形成されていればよく、図3の例に限定されない。又、対向部FAは、要は突起部PRの内径よりその外径が大きければよく、軸SHの外周からは必ずしも突出している必要はない。
【0047】
なお、図3において[新]とあるのは、本発明実施のために新たに作製したもの、[従]とあるのは、従来の部品(部材)をそのまま流用できるものを示している。
【0048】
図4〜図6に、本発明の他の実施形態を示す。
【0049】
図4及び図5に示されるように、この実施形態も、先の実施形態と同様にケーシング136の端面136Aから該ケーシング136と相対回転する第1、第2支持ブロック140、141が露出している減速機130に係る。減速機130は、その減速機構として僅少の歯数差を有する内歯歯車138及び外歯歯車134を有する遊星歯車減速機構RG2を有し、該内歯歯車138及び外歯歯車134の相対回転を外歯歯車134を軸方向に貫通する偏心体軸(内ピン)150を介して該外歯歯車134の軸方向両サイドに配置した第1、第2支持ブロック140、141に取り出すと共に、該第1、第2支持ブロック140、141を前記外歯歯車134を軸方向に貫通するキャリヤピン168を介して互いに連結した構成とされている。
【0050】
この実施形態では、第1支持ブロック140のみならず、第2支持ブロック141の側にも脱落防止対策を施している。第2支持ブロック141の脱落を防止するには、ひとつには、第1支持ブロック140の脱落防止に関して前述したような構成と同様の構成を、第2支持ブロック141側にも形成する方法が考えられ、当然に有効である。
【0051】
ただし、この実施形態では、同様な脱落防止機構が両サイドに配置されることを利用して、若干異なる構成を採用している。即ち、第1、第2支持ブロック140、141のそれぞれ(軸方向端部)に、半径方向内側に向けて突出する止め輪(突起部)140A、141Aを配置すると共に、偏心体軸(内ピン)150の外周であって前記突起部140A、141Aの軸方向外側対応位置(又は突起部140A、141Aの軸方向内側対応位置でも可)に、対向するプレート(対向突起部)150Aをそれぞれ(係止ワッシャ150Bを介して)配置するようにしている。
【0052】
なお、この突起部としての止め輪140A、141Aは、第1、第2支持ブロック140、141の軸受の位置決め用として従来もともと備えられているものを利用することができる。
【0053】
図6に示されるように、何らかの過大な衝撃(負荷)が加わったことにより、例えばキャリヤピン168が図6の符号BKの部分で破断したとする。この破断により、第1支持ブロック140はその支持基盤を失ってケーシング136外に脱落しようとするが、第1支持ブロック140に形成した止め輪(突起部)140Aが偏心体軸(内ピン)150に形成したプレート(対向突起部)150Aに引っかかるため、実際に脱落してしまうのが防止される。
【0054】
その他の構成は、先の実施形態と基本的に同様であるため、図4〜図6中で同一又は実施してに同一の部分に下2桁が同一の符号付すに止め、重複説明を省略する。
【0055】
なお、上記実施形態では、減速機の構造として、いわゆる振り分けタイプの偏心揺動型の内接噛合遊星歯車構造が採用されていたが、本発明では、減速機の構造は特に限定されない。例えば、入力軸の外周に偏心体を有し、この偏心体に外歯歯車が組み込まれる中央入力タイプの偏心揺動型の内接噛合遊星歯車構造であってもよい。更には、単純遊星歯車構造でも、平行軸歯車構造でも、あるいは、ベベルギヤ、ハイポイドギヤ等の直交歯車構造であってもよい。
【0056】
更に、本発明に係る減速機は、その用途が産業用ロボットに限定されるものではなく、減速機自体が、例えば車両などそれ自体が動くものに搭載される用途等において、何らかの原因によって減速機に極めて大きな衝撃負荷がかかる可能性があるような用途に同様に適用可能である。
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、たとえ強い衝撃が加わって減速機内の一部が破壊されたとしても、減速機を構成する部品等が脱落したりするのを構造的に回避して2次被害を未然に防止し、減速機全体、ひいては該減速機が搭載されている装置(例えばロボット装置)全体の安全性をより高めることができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る減速機の縦断面図
【図2】上記減速機を図1の矢視II方向から見たときの側面図
【図3】突起部と対向部の形成例を模式的に示すチャート
【図4】本発明の他の実施形態に係る減速機の縦断面図
【図5】図4の減速機を矢視V方向から見たときの側面図
【図6】図4の減速機のキャリヤピンが破断したときの状態を示す縦断面図
【図7】産業用ロボットの概略構造示す概念図
【符号の説明】
30、130…減速機
32…入力軸
34、134…外歯歯車
36、136…ケーシング
38、138…内歯歯車
40、140…第1支持ブロック
41、141…第2支持ブロック
46…従動歯車
48…偏心体
50、150…偏心体軸
58…外歯
70…プレート
70A、140A,141A…突起部
36A…対向部
150A…対向突起部
Claims (6)
- ケーシングの端面から該ケーシングと相対回転する軸が露出している減速機において、
前記ケーシング内に、シャフトまたはピン状の支持部材が配置され、
前記軸または軸と一体化された部材の支持または保持がこの支持部材を介して前記ケーシングによってなされ、
前記ケーシングの軸方向端部であって前記軸に対して被駆動部材が取付けられる軸方向位置よりも軸方向被駆動部材側の位置に、半径方向内側に向けて突出する突起部が、前記軸又は該軸と一体化された部材のいずれとも接触しない状態で設けられると共に、
前記軸または軸と一体化された部材に、自身の外径が前記突起部の内径よりも大きく設定され、且つ該突起部に対してケーシング軸方向内側において対向する対向部が設けられた
ことを特徴とする減速機。 - 請求項1において、
前記突起部が、前記ケーシングの端面に取り付けたプレートによって形成されていることを特徴とする減速機。 - 請求項1において
前記突起部が、前記ケーシングの内周に嵌め込んだプレートによって形成されていることを特徴とする減速機。 - 請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記減速機の減速機構が、僅少の歯数差を有する内歯歯車及び外歯歯車を有する遊星歯車減速機構を備え、該遊星歯車減速機構の軸方向両サイドに、第1、第2支持ブロックがこの遊星歯車減速機構を軸方向に貫通する前記支持部材としてのキャリヤピンを介して互いに連結された状態で支持されると共に、前記第1、第2支持ブロックの少なくとも一方が前記軸又は該軸と一体化された部材として機能する構成とされている
ことを特徴とする減速機。 - 請求項4において、
前記第1、第2支持ブロックの少なくとも一方の端面が相手機械取付用の取付孔を有することを特徴とする減速機。 - 僅少の歯数差を有する内歯歯車及び外歯歯車を有する遊星歯車減速機構を備え、内歯歯車と外歯歯車との相対回転を、外歯歯車を軸方向に貫通する内ピンを介して該外歯歯車の軸方向両サイドに配置した第1、第2支持ブロックに取り出すと共に、該第1、第2支持ブロックを前記外歯歯車を軸方向に貫通するキャリヤピンを介して互いに連結した減速機において、
前記第1、第2支持ブロックのそれぞれに、半径方向内側に向けて突出する突起部を設けると共に、
前記内ピンの外周であって前記それぞれの突起部の軸方向外側対応位置又はそれぞれの突起部の軸方向内側対応位置に、該突起部と軸方向において対向する対向突起部をそれぞれ形成した
ことを特徴とする減速機。
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