以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。但し、以下では、第1,第2の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1および当該偏心揺動型歯車装置X1の剛性調整方法のうち、主要な部材および主要な工程のみを簡略化して説明する。したがって、本実施形態に係る偏心揺動型歯車装置および偏心揺動型歯車装置の剛性調整方法は、本明細書にて特に言及しない任意の構成部材および任意の工程を備え得る。
図1および図2には、第1の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1を示す。偏心揺動型歯車装置X1は、外筒2と、キャリア4と、揺動歯車6と、クランク軸7と、伝達歯車8と、を備えている。偏心揺動型歯車装置X1では、伝達歯車8を介して図略のモータからクランク軸7に駆動力(トルク)が入力され、クランク軸7の回転に伴って揺動歯車6が揺動回転することにより、外筒2とキャリア4との間に相対回転が生ずる。
外筒2は、軸C1を中心とする略円筒形状をなす外筒本体21と、外筒本体21から当該外筒本体21の径方向の外側の張り出した環状をなす張出部22と、を有している。
外筒本体21は、内歯ピン3が取り付けられる内歯ピン支持部21aと、軸C1方向において内歯ピン支持部21aを挟んで位置する第1軸受支持部21bおよび第2軸受支持部21cと、を有している。
内歯ピン支持部21aの内周面には、多数のピン溝21Aが形成されている。各ピン溝は、軸C1方向に延びるように配置され、当該軸C1方向に直交する断面において半円形の断面形状を有している。各ピン溝は、外筒2の周方向に等間隔で並んでいる。
第1,第2軸受支持部21b、21cは、後述する主軸受A1,A2を支持している。第1軸受支持部21bは、内歯ピン支持部21aから軸C1方向の一方側に張り出している。第2軸受支持部21cは、内歯ピン支持部21aから軸C1方向の他方側、すなわち第1軸受支持部21bの反対側に張り出している。
張出部22は、外筒本体21の外周面から当該外筒本体21の径方向の外側に張り出している。本実施形態では、張出部22は、外筒本体21のうち第1軸受支持部21bに繋がっており、軸C1方向における長さが外筒本体21よりも短く設定されている。
張出部22には、当該張出部22を軸C1方向に貫く取付孔22aが複数形成されている。各取付孔22aは外筒2の周方向に等間隔で並んでいる。各取付孔22aは、外筒2に対してロボットの関節部分を構成するベース(固定側部)等の図略の相手側部材を取り付ける際に利用される。外筒2に対してロボットの関節部分を構成するベースを取り付ける場合、外筒2は、偏心揺動型歯車装置X1における固定側の部材となる。
キャリア4は、外筒2の径方向の内側に位置している。キャリア4は、互いに別体に形成された第1部材41および第2部材42を有している。
第1部材41は、略円板状をなしている。第1部材41の一部は、外筒2における外筒本体21の第1軸受支持部21bの内側に位置している。第1部材41は、軸C1方向における端面である第1軸方向端面41Aおよび第2軸方向端面41Bを有している。第1軸方向端面41Aは、外筒2から露出している。第2軸方向端面41Bは、外筒2の内側に位置している。
第1部材41には、中央孔41aと、クランク軸孔41bと、が形成されている。
中央孔41aは、第1部材41の中央部分を第1軸方向端面41Aから第2軸方向端面41Bに亘って軸C1方向に貫くように形成されている。
クランク軸孔41bは、中央孔41aの外側においてキャリア4の周方向に並んで複数形成されている。各クランク軸孔41bは、第1部材41を第1軸方向端面41Aから第2軸方向端面41Bに亘って軸C1方向に貫くように形成されている。本実施形態では、第1部材41には3つのクランク軸孔41bが形成されている。
第2部材42は、基板部42aと、シャフト部42bと、を有している。
基板部42aは、略円板状をなしている。基板部42aの一部は、外筒2における外筒本体21の第2軸受支持部21cの内側に位置している。基板部42aは、軸C1方向における端面である第3軸方向端面42Aおよび第4軸方向端面42Bを有している。第3軸方向端面42Aは、外筒2の内側に位置しており、第1部材41の第2軸方向端面41Bに対向している。第4軸方向端面42Bは、外筒2から露出している。
基板部42aには、歯車収容孔42cと、中央孔42dと、クランク軸孔42eと、取付孔42fと、が形成されている。
歯車収容孔42cには、後述する伝達歯車8が収容される。歯車収容孔42cは、基板部42aの第4軸方向端面42Bの一部が第3軸方向端面42A側に凹むように形成される。
中央孔42dは、基板部42aの中央部分を第3軸方向端面42Aから第4軸方向端面42Bに亘って軸C1方向に貫くように形成されている。中央孔42dは、軸C1方向において歯車収容孔42cと繋がっている。
クランク軸孔42eは、第1部材41のクランク軸孔41bの位置に対応して基板部42aに複数形成されている。各クランク軸孔42eは、第2部材42を第3軸方向端面42Aから第4軸方向端面42Bに亘って軸C1方向に貫くように形成されている。クランク軸孔42eは、軸C1方向において歯車収容孔42cと繋がっている。
取付孔42fは、基板部42aの第4軸方向端面42Bの一部が第3軸方向端面42A側に凹むように形成されている。取付孔42fには、例えばロボットの関節部分を構成する旋回胴(可動側部)等の相手側部材が取り付けられる。取付孔42fに対してロボットの関節部分を構成する旋回胴を取り付ける場合、キャリア4は、偏心揺動型歯車装置X1における回転側の部材となる。なお、例えば取付孔42fに対してロボットの関節部分を構成するベースが取り付けられる場合であれば、外筒2にはロボットの関節部分を構成する旋回胴が取り付けられ、これによりキャリア4が偏心揺動型歯車装置X1の固定側の部材となるとともに外筒2が偏心揺動型歯車装置X1の回転側の部材となる。
取付孔42fの軸C1方向における深さは、例えば当該取付孔42fに相手側部材を十分に固定可能な程度の深さに設定されている。このため、図1に示すように、軸C1方向において、取付孔42fが形成された基板部42aの厚みT2は、当該取付孔42fが形成されていない第1部材41の厚みT1に比して大きい。
シャフト部42bは、キャリア4の周方向に並んで複数設けられている。本実施形態では、第2部材42は、3つのシャフト部42bを有している。シャフト部42bは、基板部42aに繋がるとともに、当該基板部42aから第1部材41側に延びている。具体的には、シャフト部42bは、基板部42aの第3軸方向端面42Aから第1部材41の第2軸方向端面41B側に延びている。これにより、第1部材41の第2軸方向端面41Bは、シャフト部42bの先端面に接触するとともに、第2部材42の第3軸方向端面42Aとは間隔をあけて位置している。
偏心揺動型歯車装置X1は、第1部材41と第2部材42とを互いに締結するキャリア締結部材5をさらに備えている。キャリア締結部材5は、頭部51と、頭部51に繋がるとともに当該頭部51よりも外径が小さい雄ネジ状の締結部52と、を有している。
第2部材42のシャフト部42bの先端面には、キャリア締結部材5の締結部52が螺合する雌ネジ状の締結孔42gが形成されている。
一方、第1部材41には、キャリア締結部材5が挿通される挿通孔41fが形成されている。挿通孔41fは、締結孔42gの位置に対応して設けられており、軸C1方向において第1部材41を貫通している。挿通孔41fは、キャリア締結部材5の頭部51が収容される頭部収容孔41cと、当該頭部収容孔41cと締結孔42gとを連通する連通孔41dと、を含んでいる。頭部収容孔41cは、第1部材41の第1軸方向端面41Aの一部が第2軸方向端面41B側に凹むようにして形成されている。連通孔41dは、頭部収容孔41cの底面から第2軸方向端面41Bに亘って形成されており、締結孔42gに重なっている。
キャリア締結部材5の締結部52は、軸C1方向に沿って第1軸方向端面41A側から頭部収容孔41c、連通孔41d、および締結孔42gに対してこの順に挿入され、これにより締結孔42gに螺合される。そして、軸C1方向において頭部51が頭部収容孔41cの底面に接触する位置にて前記挿入が停止される。これにより、キャリア締結部材5によって第1部材41と第2部材42とが互いに締結される。
締結部52によって第1部材41と第2部材42とが互いに締結されたキャリア4は、主軸受A1,A2を介して外筒2に回転可能に支持される。主軸受A1は、第1部材41の外周面と第1軸受支持部21bの内周面との間に設けられており、外筒2と第1部材41との間の相対回転を許容する。また、主軸受A2は、第2部材42の基板部42aの外周面と第2軸受支持部21c内周面との間に設けられており、外筒2と第2部材42との間の相対回転を許容する。
クランク軸7は、キャリア4に回転自在に支持されている。本実施形態では、クランク軸7は、キャリア4の周方向に並んで3つ設けられている。なお、クランク軸7の数は任意であって、偏心揺動型歯車装置X1の使用態様に応じて適宜変更することができる。
クランク軸7は、軸C1方向に延びる軸本体71と、当該軸本体71に対して偏心する偏心部72,73と、を有している。
軸本体71は、クランク軸孔41b内においてクランク軸受B1を介して第1部材41に支持されているとともに、クランク軸孔42e内においてクランク軸受B2を介して第2部材42の基板部42aに支持されている。
偏心部72,73は、軸C1方向において軸本体71に繋がっており、外筒2の内歯ピン支持部21aの径方向の内側に位置している。偏心部72,73には、ころを介して揺動歯車6が取り付けられている。
揺動歯車6は、外筒2の内歯ピン支持部21aの径方向の内側に位置しており、軸C1方向において第1部材41と第2部材42の基板部42aとに挟まれている。揺動歯車6は、ころを介して第1偏心部72に取り付けられた第1揺動歯車61と、ころを介して第2偏心部73に取り付けられた第2揺動歯車62と、を有している。揺動歯車61,62は、外筒2の内歯ピン支持部21aの内径よりも少し小さい外径を有しており、その外周面に複数の外歯61a,62aを有している。揺動歯車61,62のそれぞれの外周面に形成された外歯の歯数は、内歯ピン3の数よりも僅かに少ない。これにより、第1揺動歯車61と第2揺動歯車62とは、外筒2の内部において各外歯61a,62aが各内歯ピン3に噛み合うように、互いに異なる位相で揺動回転することができる。
第1揺動歯車61には、第1部材41の中央孔41aの位置に対応する中央孔61bと、第1偏心部72が挿入されたクランク軸孔61cと、シャフト部42bが挿入された挿入孔61dと、が形成されている。
第2揺動歯車62には、第2部材42の中央孔42dの位置に対応する中央孔62bと、第2偏心部73が挿入されたクランク軸孔62cと、シャフト部42bが挿入された挿入孔62dと、が形成されている。
なお、本実施形態では、揺動歯車6は、第1揺動歯車61と第2揺動歯車62との2つの揺動歯車を有しているが、これに限らず、1つの揺動歯車のみを有していてもよいし、3つ以上の揺動歯車を有していてもよい。
伝達歯車8は、第2部材42の基板部42aに形成された歯車収容孔42cに収容されている。伝達歯車8は、当該伝達歯車8の回転に伴ってクランク軸7が回転するように、クランク軸7の軸本体71の一端に取り付けられている。本実施形態では、伝達歯車8は、3つのクランク軸7の位置に対応して3つ設けられている。
伝達歯車8は、外部のモータ等から駆動力を受けて回転し、これによりクランク軸7が回転する。そして、クランク軸7の回転に伴って第1揺動歯車61と第2揺動歯車62とが互いに異なる位相で偏心回転するのに伴って、外筒2とキャリア4との間で相対回転が生ずることになる。
偏心揺動型歯車装置X1は、キャリア4の外面に取り付けられて当該キャリア4の剛性を向上させる補強部材9と、当該補強部材9をキャリア4の外面に取り付けるための複数の補強締結部材10と、をさらに備えている。
補強部材9は、複数の板状部材を含んでいる。本実施形態では、補強部材9は、第1板状部材91および第2板状部材92の2つの板状部材を含んでいる。
第1板状部材91と第2板状部材92とは、略同一の内径および外径を有する円環状をなしている。本実施形態では、第1板状部材91および第2板状部材92は、周方向の全体に亘って一定の幅および厚みにて形成されている。第1板状部材91および第2板状部材92は、当該軸C1方向において互いに重なった状態で、図3に示すように補強締結部材10によって第1部材41の第1軸方向端面41Aに取り付けられている。具体的には、以下に示すとおりである。
第1板状部材91には、当該第1板状部材91を厚み方向に貫く複数の挿入孔91aが複数形成されている。当該複数の挿入孔91aは、第1板状部材91の周方向に並んで設けられている。一方、第1部材41には、当該第1部材41の第1軸方向端面41Aが第2軸方向端面41B側に凹むようにして形成された雌ネジ状の締結孔41eが複数形成されている。当該締結孔41eは、キャリア4の周方向に並んで設けられている。
第1板状部材91は、当該第1板状部材91の中心がキャリア4の軸心となる軸C1に重なるとともに当該第1板状部材91に形成された挿入孔91aが第1部材41に形成された締結孔41eに重なるように、第1部材41の第1軸方向端面41A上に配置されている。この状態で、第1板状部材91の一部は、キャリア締結部材5に重なるように位置しており、第1板状部材91の残部は、キャリア4の周方向において互いに隣り合うキャリア締結部材5の間の領域に重なるように位置している。また、第1部材41に形成された中央孔41aは、第1板状部材91のよって取り囲まれた領域において当該第1板状部材91から露出している。
第2板状部材92には、当該第2板状部材92の周方向に並ぶ複数の挿通孔92cが形成されている。挿通孔92cは、第2板状部材92を厚み方向に貫通している。挿通孔92cは、頭部収容孔92aと、頭部収容孔92aの位置に対応して設けられる連通孔92bと、を含んでいる。頭部収容孔92aは、第2板状部材92の厚み方向における一方の端面の一部が他方の端面側に凹むようにして形成されている。連通孔92bは、頭部収容孔92aの底面から第2板状部材92の前記他方の端面に亘って形成されており、頭部収容孔92aよりも小さい径を有している。
第2板状部材92は、当該第2板状部材92の中心がキャリア4の軸心となる軸C1に重なるとともに当該第2板状部材92に形成された連通孔92bが第1板状部材91に形成された挿入孔91aに重なるように、第1板状部材91上に配置されている。このため、第1板状部材91と同様に、第2板状部材92の一部がキャリア締結部材5に重なるように位置するとともに第2板状部材92の残部がキャリア4の周方向において互いに隣り合うキャリア締結部材5の間の領域に重なるように位置している。
補強締結部材10は、頭部11と、頭部11に繋がるとともに当該頭部11よりも外径が小さい雄ネジ状の締結部12と、を有している。補強締結部材10の頭部11は、頭部収容孔92aに収容されている。本実施形態では、頭部11の全体が頭部収容孔92aに収容されている。補強部材9の締結部12は、連通孔92b、挿入孔91a、および締結孔41e内に位置するとともに、当該締結孔41eに螺合している。この状態で、補強締結部材10は、第1板状部材91、第2板状部材92、および第1部材41を互いに締結している。
補強締結部材10の締結部12は、軸C1方向に沿って第1軸方向端面41A側から頭部収容孔92a、連通孔92b、挿入孔91a、および締結孔41eに対してこの順に挿入されることにより、締結孔41eに螺合される。そして、軸C1方向において頭部11が頭部収容孔92aの底面に接触する位置にて前記挿入が停止される。これにより、補強部材9が第1部材41に取り付けられる。
なお、本実施形態では、補強部材9は、2枚の第1,第2板状部材91,92を含んでいるが、これに限らない。例えば、1つの板状部材のみによって構成されてもよいし、3つ以上の板状部材を含んでいてもよい。
また、本実施形態では、第1,第2板状部材91,92は、円環状をなしているが、これに限らない。例えば、円板状をなしていてもよいし、矩形状をなしていてもよい。
また、本実施形態では、第1,第2板状部材91,92は、雄ネジ形状をなす締結部12を有する補強締結部材10によって第1部材41の第1軸方向端面41Aに取り付けられているが、これに限らない。例えば、接着剤によって第1部材41の第1軸方向端面41Aに取り付けられてもよい。
このような偏心揺動型歯車装置X1は、例えば以下のような工程を経て剛性が調整されることになる。
1)組付体形成工程
この工程では、外筒2、キャリア4、および揺動歯車6等の偏心揺動型歯車装置X1の主要部材を互いに組み付けることにより、これらの組付体を形成する。
まず、互いに独立した第1部材41と第2部材42とを準備し、当該第2部材42のシャフト部42bに対して第1,第2揺動歯車61,62の挿入孔61d,62dを嵌め合わせる。この状態で、シャフト部42bの締結孔42gと第1部材41の連通孔41dとが互いに重なるように当該シャフト部42bの先端面上に第1部材41を配置する。そして、軸C1方向における第1軸方向端面41A側から頭部収容孔41c、連通孔41d、および締結孔42gにキャリア締結部材5を挿入し、当該キャリア締結部材5の締結部52と締結孔42gとを互いに螺合させることにより、第1部材41と第2部材42と締結する。なお、上記のようにキャリア4と揺動歯車6とを組み付けるに際して、クランク軸孔41b,42e,61c,62cにクランク軸7を挿入するとともに、当該クランク軸7の端部に伝達歯車8を取り付ける。
一方で、外筒2と複数の内歯ピン3とを準備し、当該外筒2の内周面に形成されたピン溝21Aに対して各内歯ピン3を取り付ける。
そして、第1部材41と第2部材42の基板部42aとの間に位置する第1,第2揺動歯車61,62が各内歯ピン3に噛み合うように、キャリア4を外筒2の径方向の内側に挿入する。これにより、第1,第2揺動歯車61,62の揺動回転に伴って外筒2とキャリア4との間で相対回転を生ずるように、主軸受A1,A2を介して外筒2にキャリア4を支持させる。
以上のようにして、外筒2、キャリア4、および揺動歯車6を含む組付体を形成する。
一般的には、前記組付体自体が偏心揺動型歯車装置として製造されることになる。しかしながら、前記組付体自体である偏心揺動型歯車装置の要求仕様等が製造後に変更された場合に、当該組付体の剛性を向上させる必要性が生じる可能性がある。そこで、本実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1の剛性調整方法では、以下のような工程を経て前記組付体に含まれるキャリア4の剛性を向上させる。
2)選定工程
この工程では、偏心揺動型歯車装置X1の要求仕様等に応じて当該偏心揺動型歯車装置X1の剛性の向上の必要性が生じた際に、キャリア4の第1部材41に取り付けるべき補強用の板状部材の数を選定する。
まず、補強用の板状部材として、少なくとも1枚の第1板状部材91と、1枚の第2板状部材92と、を準備する。本実施形態では、第1板状部材91および第2板状部材92の厚みは、それぞれT3に設定されている。
そして、前記組付体形成工程において形成された外筒2、キャリア4、および揺動歯車6の組付体における第1部材41の厚みT1や、当該組付体からなる偏心揺動型歯車装置X1が実際に用いられる際に想定される外筒2またはキャリア4の回転速度等を勘案して、第1部材41に取り付けるべき補強部材9の厚みを決定する。当該決定された補強部材9の厚みがn×T3である場合、1枚の第2板状部材92と、(n―1)枚の第1板状部材91とを、第1部材41に取り付けるべき補強部材9として選定する。本実施形態では、1枚の第1板状部材91と1枚の第2板状部材92とを第1部材41に取り付けるべき補強部材9として選定するものとする。
3)取付工程
この工程では、前記組付体形成工程において形成された組付体におけるキャリア4の第1部材41の外面に対して、前記選定工程において選定された2枚の板状部材91,92からなる補強部材9を取り付ける。
まず、前記組付体におけるキャリア4の第1部材41のうち、外筒2から露出した外面である第1軸方向端面41A上に、第1板状部材91を配置する。このとき、第1板状部材91の中心がキャリア4の軸心となる軸C1と重なるとともに、第1板状部材91の挿入孔91aが第1部材41の締結孔41eに重なるように、第1板状部材91の位置を調整する。
さらに、第1軸方向端面41A上に配置された第1板状部材91に第2板状部材92を重ね合わせる。このとき、第2板状部材92の連通孔92bが第1板状部材91の挿入孔91aに重なるように、当該第2板状部材92の位置を調整する。
そして、軸C1方向における第1軸方向端面41A側から補強締結部材10の締結部12を頭部収容孔92a、連通孔92b、挿入孔91a、および締結孔41eにこの順に挿入することにより、締結部12を締結孔41eに螺合させる。そして、頭部11が頭部収容孔92aの底面に接触する位置にて当該挿入を停止する。これにより、第1,第2板状部材91,92を第1部材41の第1軸方向端面41Aに取り付ける。
このようにして、偏心揺動型歯車装置X1の剛性の調整が完了する。
以上のとおり、偏心揺動型歯車装置X1では、キャリア4に補強部材9が取り付けられることにより、当該偏心揺動型歯車装置X1の剛性が向上する。しかも、キャリア4に対して補強部材9が取り付けられる位置が、当該キャリア4における露出した外面である第1軸方向端面41Aであるため、外筒2およびキャリア4を含む組付体が形成された後に当該キャリア4に対して補強部材9を取り付けることが可能であり、外筒2およびキャリア4自体を設計し直す必要がない。
さらに、偏心揺動型歯車装置X1では、第1部材41に対して補強部材9が取り付けられることによって、当該第1部材41と補強部材9とが軸C1方向に重なっている。このため、取付孔42fが形成された第2部材42に比して厚みが小さい第1部材41のモーメント剛性を向上することができる。
さらに、偏心揺動型歯車装置X1では、キャリア4の周方向において互いに隣り合うキャリア締結部材5の間の領域に補強部材9の一部が配置されているため、第1部材41をより効果的に補強することができる。第1部材41のうちキャリア締結部材5に重なる一部分は、キャリア締結部材5によって第2部材42のシャフト部42bに固定されているため、剛性が高くなるものの、第1部材41のうち前記一部分以外の残部分は、剛性が低くなる傾向にある。そこで、偏心揺動型歯車装置X1では、補強部材9の少なくとも一部を互いに隣り合うキャリア締結部材5の間の領域に配置することにより、外筒2に対してキャリア4が回転する際に第1部材41に加わる荷重に対する補強を効果的に行うことができる。
さらに、偏心揺動型歯車装置X1では、補強部材9が環状をなしているため、当該補強部材9をキャリア4と同心状に配置することにより第1部材41における所定の箇所に補強部材9を容易に取り付けることができる。また、キャリア4の周方向の全体に亘って均等に剛性を向上させることができる。
さらに、偏心揺動型歯車装置X1では、複数の板状部材91,92が互いに重なるように第1軸方向端面41Aに取り付けられており、外筒2に対するキャリア4の回転によって第1部材41に加わる荷重に応じて当該複数の板状部材91,92の枚数を変更することにより、第1部材41のモーメント剛性を調整することができる。
また、偏心揺動型歯車装置X1の組立方法では、外筒2、キャリア4、および揺動歯車6を含む組立体を形成した後に、取付工程において前記組付体の外部から当該組付体を構成するキャリア4の外面である第1軸方向端面41Aに補強部材9を取り付ける。このため、外筒2およびキャリア4を設計し直すことなく、外筒2に組み付けられた後のキャリア4の剛性を向上させることができる。
さらに、偏心揺動型歯車装置X1の組立方法では、選定工程において、キャリア4の第1部材41に取り付けるべき補強用の板状部材の枚数を第1部材41の厚みT1等に応じて選定するため、当該キャリア4の第1部材41を適切に補強することができる。
次に、図4〜図6を参照しながら、第1の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1の変形例1について説明する。
変形例1では、補強部材9は、円環状をなす2枚の板状部材93を含んでいる。そして、2枚の板状部材93のうち、一方(第1)の板状部材93が第1部材41に固定されるとともに、他方(第2)の板状部材93が前記第1の板状部材93に固定される。
板状部材93には、図4に示すように、当該板状部材93の周方向に並んで形成されるとともに当該板状部材93を厚み方向に貫く複数の挿通孔93dと、当該周方向に互いに隣り合う挿通孔93dの間にそれぞれ形成されるとともに当該板状部材93を厚み方向に貫く雌ネジ状をなす複数の締結孔93cと、が形成されている。各挿通孔93dと各締結孔93cとは、板状部材93の周方向において等間隔に交互に並んでいる。
挿通孔93dは、頭部収容孔93aと、頭部収容孔93aの位置に対応して設けられた複数の連通孔93bと、を含んでいる。頭部収容孔93aは、板状部材93の一方の端面の一部が他方の端面側に凹むようにして形成されている。また、連通孔93bは、頭部収容孔93aの底面から板状部材93に他方の端面に亘って形成されている。
第1の板状部材93は、図5に示すように、連通孔93bが第1部材41の締結孔41eに重なるように、当該第1部材41の第1軸方向端面41A上に配置されている。そして、補強締結部材10は、頭部11が第1の板状部材93の頭部収容孔93aに収容されるとともに、締結部12が連通孔93bおよび締結孔41eに挿入された状態で当該締結孔41eに螺合している。これにより、第1の板状部材93は、第1部材41の第1軸方向端面41Aに取り付けられている。
また、第2の板状部材93は、図6に示すように、連通孔93bが第1の板状部材93の締結孔93cに重なるように、当該第1の板状部材93上に配置されている。そして、補強締結部材10は、頭部11が第2の板状部材93の頭部収容孔93aに収容されるとともに、締結部12が連通孔93bおよび第1の板状部材93の締結孔93cに挿入された状態で当該締結孔41eに螺合している。これにより、第2の板状部材93は、第1の板状部材93に取り付けられている。
このように、変形例1に係る偏心揺動型歯車装置X1では、補強部材9に含まれる複数枚の板状部材が同一の板状部材93からなるため、上記の第1の実施形態のように互いに異なる形状の孔を有する2種類の板状部材を形成する必要がなく、作業性が向上する。
次に、図7および図8を参照しながら、第1の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1の変形例2について説明する。
変形例2では、偏心揺動型歯車装置X1は、補強締結部材10を備えておらず、図7および図8に示すように、第1部材41と第2部材42とを締結するキャリア締結部材5によって補強部材9が第1部材41に取り付けられている。
変形例2に係る偏心揺動型歯車装置X1の補強部材9は、円環状をなす1枚の板状部材94のみによって構成されている。板状部材94には、当該板状部材94の周方向に並んで設けられるとともに当該板状部材94を厚み方向に貫く複数の挿通孔94cが形成されている。挿通孔94cは、板状部材94の一方の端面が他方の端面側に凹むように形成された頭部収容孔94aと、当該頭部収容孔94aの底面から板状部材94の他方の端面に亘って形成された連通孔94bと、を含んでいる。
板状部材94は、当該板状部材94の中心が軸C1に重なるとともに連通孔94bが第1部材41の頭部収容孔41cおよび連通孔41dに重なるように、第1軸方向端面41A上に配置されている。そして、キャリア締結部材5は、頭部51が板状部材94の頭部収容孔94aに収容されるとともに、締結部52が連通孔94b、頭部収容孔41c、連通孔41d、および締結孔42gに挿入された状態で当該締結孔42gに螺合している。これにより、第1部材41と第2部材42とが締結されるとともに、板状部材94と第1部材41とが締結されている。
このように、変形例2に係る偏心揺動型歯車装置X1では、第1部材41と第2部材42とを締結するキャリア締結部材5によって、補強部材9と第1部材41とが締結される、部品点数の増大を伴うことなく第1部材41に補強部材9を取り付けることができる。
さらに、変形例2に係る偏心揺動型歯車装置X1では、第2部材42の締結孔42gの位置に対応して頭部収容孔41cおよび連通孔41dが形成された一般的な第1部材41に対して、特別な孔を形成せずとも補強部材9を取り付けることが可能である。このため、煩雑な作業を伴うことなく補強部材9を第1部材41に取り付けることができる。
次に、図9および図10を参照しながら、第1の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1の変形例3について説明する。
変形例3では、補強部材9は、円環状をなす1枚の板状部材95のみによって構成されている。板状部材95は、周方向において部分的に厚みが異なっている。具体的には、板状部材95は、図9および図10に示すように、当該板状部材95の周方向に間隔をあけて配置された複数の第1部位95Aと、当該周方向において互いに隣り合う第1部位95A同士をそれぞれ繋ぐとともに当該第1部位95Aよりも厚みの小さい複数の第2部位95Bと、を含んでいる。
板状部材95は、当該板状部材95の中心が軸C1に重なるとともに各第1部位95Aがキャリア4の周方向において互いに隣り合うキャリア締結部材5の間の領域に重なるように、第1部材41の第1軸方向端面41A上に配置されている。これにより、第2部位95Bは、当該第2部位95Bに隣り合う第1部位95Aよりもキャリア締結部材5に近い側に配置される。変形例3では、各第2部位95Aは、各キャリア締結部材5の一部と重なっている。そして、板状部材95は、図略の接着剤等によって第1部材41の第1軸方向端面41Aに取り付けられている。
このように、変形例3に係る偏心揺動型歯車装置X1では、補強部材9である板状部材95のうち、厚みの大きい第1部位95Aをキャリア4の周方向において互いに隣り合うキャリア締結部材5の間に配置するとともに、厚みの小さい第2部位95Bを第1部位95Aよりもキャリア締結部材5に近い側に配置することにより、第1部材41のうち剛性が低くなりやすい部位を集中的に補強することができる。
次に、図11を参照しながら、第1の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1の変形例4について説明する。
変形例4では、補強部材9は、円弧状をなす3枚の板状部材96を含んでいる。各板状部材96は、第1部材41に形成された3つのクランク軸孔41bの一部をそれぞれ覆うように、当該第1部材41の第1軸方向端面41A上に同心状に配置されている。この状態で、各板状部材96は、キャリア4の周方向において互いに隣り合うキャリア締結部材5の間の領域に位置している。そして、各板状部材96は、図略の接着剤等によって第1部材41の第1軸方向端面41Aに取り付けられている。
このように、変形例4に係る偏心揺動型歯車装置X1では、第1部材41における剛性が低くなりやすい部位にのみ板状部材96が取り付けられるため、当該部位を集中的に補強しつつ偏心揺動型歯車装置X1の重量が極端に増大することを抑止できる。
次に、図12を参照しながら、第1の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1の変形例5について説明する。
変形例5では、偏心揺動型歯車装置X1は、モータ100を備えている。モータ100は、駆動力を発生するモータ本体110と、当該モータ本体110が取り付けられる取付け板120と、モータ本体110の駆動力を伝達歯車8へ伝達する出力軸130と、を有している。
モータ本体110は、外筒2とキャリア4との間に相対回転を生じさせるための駆動力を発生する。また、出力軸130は、一端部分がモータ本体110に接続されるとともに、中間部分が第1部材41、第1,第2揺動歯車61,62、および第2部材42にそれぞれ設けられた中央孔41a,61b,62b,42d内に配置されており、他端部分が歯車収容孔42c内に位置している。そして、出力軸130の他端部分に形成された外歯が、伝達歯車8の外歯に噛み合っている。これにより、モータ本体110において発生した駆動力によって出力軸130が回転し、当該回転が伝達歯車8およびクランク軸7を介して揺動歯車6に伝達されることにより、外筒2とキャリア4との間に相対回転が生じることになる。
取付け板120のうち当該取付け板120の厚み方向における一方側の面には、モータ本体110が取り付けられている。また、取付け板120には、当該取付け板120を厚み方向に貫通する挿入孔120aが複数形成されている。複数の挿入孔120aは、モータ本体110の径方向において当該モータ本体110よりも外側に位置しており、当該モータ本体110の周方向に並んで設けられている。
また、変形例5では、補強部材9は、環状をなす1枚の板状部材97によって構成されている。板状部材97には、当該板状部材97を厚み方向に貫通する雌ネジ状をなす締結孔97aが複数形成されている。複数の締結孔97aは、板状部材97の周方向に並んで設けられている。そして、モータ100は、取付け板120の各挿入孔120aが板状部材97の各締結孔97aに重なるように、当該板状部材97上に配置されている。
変形例5では、偏心揺動型歯車装置X1は、取付け板120と板状部材97とを締結する複数のモータ締結部材200を備えている。モータ締結部材200は、頭部210と、当該頭部210に繋がっており雄ネジ状をなす締結部220とを有している。モータ締結部材200の頭部210は、取付け板120のうち軸C1方向において板状部材97とは反対側に位置する面に接触している。また、モータ締結部材200の締結部220は、取付け板120の挿入孔120aおよび板状部材97の締結孔97a内に挿入された状態で当該締結孔97aに螺合している。これにより、取付け板120と板状部材97とが締結され、モータ100が補強部材9に取り付けられる。
このように、変形例5に係る偏心揺動型歯車装置X1では、第1部材41の第1軸方向端面41Aに取り付けられた補強部材9を利用して、当該補強部材9にモータ100を取り付けることにより、当該モータ100をキャリア4に間接的に固定することができる。このため、キャリア4にモータ100を取り付けるための特別な孔等を設ける必要がない。
次に、図13を参照しながら、第2の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1について説明する。
第2の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1は、第1の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1とは異なり、補強部材9がキャリア4の外面ではなく外筒2の外面に取り付けられている。
本実施形態では、補強部材9は、円環状をなしている。補強部材9の内径は、外筒2の第2軸受支持部21cおよび内歯ピン支持部21aの外径と同程度に設定されている。また、補強部材9には、当該補強部材9を軸C1方向に貫く複数の取付孔98aが形成されている。複数の取付孔98aは、補強部材9の周方向に並んで設けられている。
補強部材9の内周面は、外筒2の外周面に接触している。また、補強部材9の軸C1方向における一方側の端面は、当該軸C1方向において張出部22に接触している。また、補強部材9の取付孔98aは、張出部22の取付孔22aと重なっている。この状態で、補強部材9は、外筒2の外周面に取り付けられている。
補強部材9は、軸C1方向における第4軸方向端面42B側から外筒2の外周面に嵌め合わされる。そして、補強部材9は、軸C1方向における一方側の端面が当該軸C1方向において張出部22に接触するとともに、取付孔98aと張出部22の取付孔22aとが重なる位置にて位置決めされる。この状態で、図略のボルト等の締結部材を介して補強部材9と外筒2とが締結され、これにより補強部材9が外筒2の外周面に取り付けられる。
このように、第2の実施形態では、外筒2に補強部材9が取り付けられることにより、当該外筒2の剛性が向上する。しかも、補強部材9の内周面が外筒2の外周面に接するように、当該補強部材9を外筒2に嵌め合わせることにより、当該補強部材9を外筒2に取り付けることができるため、外筒2、キャリア4、および揺動歯車6を含む組付体を形成した後に、当該組付体に含まれる外筒2に対して補強部材9を容易に取り付けることができる。
さらに、第2の実施形態では、軸C1方向において張出部22と補強部材9とが重なっているため、外筒2の外周面に補強部材9を取り付けることによって偏心揺動型歯車装置X1が径方向に大型化することを抑止できる。
さらに、本実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1では、補強部材9には、張出部22の取付孔22aに重なる取付孔98aが形成されているため、当該取付孔22a,98aを介して外筒2および補強部材9の双方にロボットの関節部分を構成するベース等の図略の相手側部材を安定的に固定させることができる。
なお、本実施形態では、図略のボルト等の締結部材によって補強部材9が外筒2の外周面に取り付けられているが、これに限らず、例えば圧入あるいは焼嵌め等の手段によって補強部材9が外筒2の外周面に取り付けられてもよい。
また、本実施形態では、補強部材9は、1つの補強部材9のみによって構成されているが、これに限らない。例えば、補強部材9が互いに内径が異なる複数の円環状部材を含んでおり、当該複数の円環状部材が径方向に重なるように配置された状態で外筒2の外周面に取り付けられてもよい。また、補強部材9が互いに内径が同じである複数の円環状部材を含んでおり、当該複数の円環状部材が軸C1方向に重なるように配置された状態で外筒2の外周面に取り付けられてもよい。
次に、図14を参照しながら、第2の実施形態に係る偏心揺動型歯車装置X1の変形例6について説明する。
変形例6では、外筒2は、張出部22を有しておらず、外筒本体21に当該外筒本体21を軸C1方向に貫くとともに一方の相手側部材が取り付けられる取付孔21dが形成されている。
また、変形例6では、補強部材9は、円環状をなしている。補強部材9の内径は、外筒2の外筒本体21の外径と同程度に設定されている。変形例6における補強部材9には、第2の実施形態における補強部材9とは異なり、当該補強部材9を軸C1方向に貫く孔は設けられていない。
補強部材9の内周面は、外筒2の外周面に接触している。変形例6では、軸C1方向において、補強部材9の長さは、外筒2の長さよりも短く設定されており、補強部材9の内周面が外筒2における内歯ピン支持部21aの外周面に接触している。この状態で、補強部材9は、外筒2の外周面に取り付けられている。
補強部材9は、軸C1方向における第1軸方向端面41A側、または第4軸方向端面42B側から、外筒2の外周面に嵌め合わされる。この状態で、補強部材9と外筒2とが焼嵌めされ、これにより補強部材9が外筒2の外周面に取り付けられる。
このように、変形例6では、外筒本体21に対して当該外筒本体21を軸C1方向に貫く取付孔21dが形成されているため、補強部材9に対して取付孔21dに対応する孔を形成する必要がなく、煩雑な作業を伴うことなく補強部材9を形成することができる。
なお、変形例6では、焼嵌めによって補強部材9が外筒2の外周面に取り付けられているが、これに限らず、例えば圧入等の手段によって補強部材9が外筒2の外周面に取り付けられてもよい。
また、変形例6では、補強部材9の長さが外筒2の長さよりも短く設定されており、補強部材9の内周面が内歯ピン支持部21aの外周面に接触するように当該補強部材9が配置されているが、これに限らない。補強部材9の長さおよび当該補強部材9の配置は、任意であって、外筒2の厚み等を勘案して適宜決定される。
また、変形例6では、補強部材9は、1つの補強部材9のみによって構成されているが、これに限らない。例えば、補強部材9が互いに内径が異なる複数の円環状部材を含んでおり、当該複数の円環状部材が径方向に重なるように配置された状態で外筒2の外周面に取り付けられてもよい。また、補強部材9が互いに内径が同じである複数の円環状部材を含んでおり、当該複数の円環状部材が軸C1方向に重なるように配置された状態で外筒2の外周面に取り付けられてもよい。
以上説明した実施形態および当該実施形態の変形例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記の実施形態および当該実施形態の変形例における説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、本実施形態および変形例では、軸C1を周方向に取り囲むようにクランク軸7が配置された偏心揺動型歯車装置X1に本発明を適用した一例について説明したが、これに限らず、センタークランク式の偏心揺動型歯車装置に本発明を適用することも可能である。