以下、図面を参照して本発明に係る遊技機の好適な実施形態を説明する。
本実施の形態では、風営適正化法(風俗営業等の規則及び業務の適正化等に関する法律)の内規上「第1種」に区分されるパチンコ遊技機を例に説明する。
本実施の形態に示す遊技機1は、図1に示すように遊技機1の設置場所たる遊技店の所謂「島」に固定された外枠3と、この外枠3に一側を保持され且つ外枠3に対して開閉自在に設けられた表枠4と、表枠4の前面上部に開閉自在に設けられた窓枠5とを備えている。また、遊技機1の主要構成部品は、表枠4に集約して取り付けられている。
表枠4に設けられる主要構成部品としては、盤面に遊技領域が形成された遊技盤6、遊技機1に供給すべき遊技球(遊技媒体)及び遊技機1より払い出される賞球を一時貯留する受皿2、遊技球を遊技盤6の上部に打ち出すための発射駆動装置7、この発射駆動装置7を操作するための操作ハンドル8、必要に応じて所定個数の賞球を受皿2内に払い出す遊技球払出装置53、遊技に係る主たる制御を処理する主制御装置50、主制御装置50から出力されたコマンドに基づき各種装置を制御する副制御装置60等を例示できる。
表枠4に設けられる窓枠5は、遊技者がその枠内に先の遊技盤6を覗き見ることのできる透視窓9を備えている。また、この透視窓9にはガラスが嵌め込まれ、さらに透視窓9の外周には、装飾LED10、装飾ランプ11、及びスピーカ(音声発生装置)12が設けられている。表枠4に設けられる受皿2は、窓枠5の下方に取り付けられている。
受皿2の内部には螺旋状のスロープが形成され、その最上流部には、CRユニット70に通じる遊技球借入口2aが設けられている。また、その下流には賞球払出し用の賞球払出口2bが設けられている。
また、最下流部には、受皿2内の遊技球を一列に整列して遊技機1内に導く貯留球整列路2cが形成されている。そして、発射駆動装置7に通じる遊技球供給口2dが貯留球整
列路2cの末端に設けられている。また、受皿2の前面には、受皿2内の遊技球を受皿2外に排出させるための球抜きボタン2e,2fが設けられている。
受皿2の左下には、灰皿20が設けられている。また、受皿2の右下に、操作ハンドル8が設けられている。操作ハンドル8は、表枠4の裏面に設けられた発射駆動装置7を作動させるためのメインスイッチや、操作の有無を検知するタッチアンテナを内蔵している。そして、この操作ハンドル8を対象とした開度操作によって、遊技球の打力調節が可能になっている。
より詳しく説明すると、メインスイッチやタッチアンテナの出力は、遊技機の背面に設けられる発射制御装置52に入力され、発射駆動装置7は、この発射制御装置52の制御下で遊技球を遊技盤6に打ち出している。また、発射駆動装置7には、遊技球を打ち出す打出杆、及び打出杆を連続的に揺動させる電動モータ(共に図示せず)などが組み込まれており、発射制御装置52は、メインスイッチの出力を打出杆の可動量などに反映させて、遊技球の打力を調節している。
また、遊技球の打ち出しに関して、本実施の形態では、受皿2の左方に発射停止ボタン21を設けている。この発射停止ボタン21は、遊技者の判断のもと、操作ハンドル固定のまま遊技球の発射操作を一時停止させるための外部操作装置であり、遊技者は、この発射停止ボタン21を操作(押下)することで、操作ハンドル8の開度を維持しつつも任意のタイミングで遊技球の発射を一時停止することができる。
遊技球払出装置53(図3参照)は表枠4の裏面側に設けられ、賞球たる遊技球を貯留するタンクと、賞球として払い出される遊技球を数える賞球計数装置と、遊技機1の背面に設けられた遊技球タンク内の遊技球を賞球計数装置に送る賞球整列レールとを備えている(共に図示せず)。そして、その時々に要求される必要個数の遊技球を賞球計数装置にて計数し、先の受皿2内に賞球として払い出す。
また、遊技球払出装置53は、払出制御装置51に接続されている。
払出制御装置51は、主制御装置50から出力される制御コマンドに基づき遊技球払出装置53による賞球の払出動作を制御している。また、払出制御装置51には、遊技球払出装置53の他、球貸信号制御装置71が接続されており、払出制御装置51は、球貸信号制御装置71を介してCRユニット70を操作し、必要個数の遊技球を受皿2内に供給する。
遊技盤6は、図2に示すように略正方形状をなす合板からなり、表枠4の裏面に形成された遊技盤収納枠(図示せず)に収納固定されている。また、遊技盤6の前面には、ガイドレール13a及び遊技球規制レール13bが設けられ、ガイドレール13a及び遊技球規制レール13bで囲まれた領域によって遊技領域が構成されている。
遊技領域には、遊技くぎや風車等などの障害物14と、遊技球の進入し得る入賞口が形成された各種入賞装置25,26,27,28と、入賞に至らなかった遊技球を遊技領域の外部に排出するアウト口15と、演出を踏まえた種々の図柄を表示する可変表示装置100が設けられている。
また、可変表示装置100の上部には、後に詳述するスタートチャッカ26の開放制御に係る当否判定の結果を「○」「×」等の記号で告知する普通図柄表示装置(LED表示装置)18と、当否判定の実行に係る権利の保留数を表示する通過保留数表示ランプ16と、始動入賞の保留数を表示する特定保留数表示ランプ19等が設けられている。また、
可変表示装置100の両側に、開放制御の当否判定で実行される乱数抽選の契機をなすスルーチャッカ49が設けられいてる。
遊技くぎや風車などの障害物14は、遊技盤6上に打ち出された遊技球の落下方向に変化を与えて遊技球の処理に面白みを持たせる機能と、各種入賞装置25,26,27,28並びにスルーチャッカ49の近傍に遊技球を誘導する機能とを兼ね備えている。
また、入賞装置としては、遊技球が入り込むことで所定個数の賞球(遊技球)の払出しに繋がる一般入賞装置25と、後に詳述する大当たり抽選制御の契機をなしたり、図柄の変動表示を開始させるためのトリガーとなるスタートチャッカ(始動入賞装置)26と、特別遊技状態への移行時に開かれる開閉扉27cを備えた大入賞装置27と、スタートチャッカ26を一定期間開放するためのトリガーとなる開放用入賞装置28などを例示できる。
なお、各入賞装置には、遊技球の通過を検知するためのセンサ(図示略)が内蔵されており、そのセンサの出力は、主制御装置50の入力ポートに入力されている。また、本明細書では、これら入賞装置25,26,27,28に設けられる入賞口に遊技球が入る動作を以て入賞と称する。また、特に、スタートチャッカ26に遊技球が入った場合には、この入賞を「始動入賞」と称することもある。
スタートチャッカ26は、遊技盤6の略中央であって且つ可変表示装置100の下方に設けられている。また、スタートチャッカ26に形成された始動入賞口26aの両側には、開放制御の実行下で始動入賞口26aの外方に動き、始動入賞口26aの開口面積をさらに拡大する機能を備えた可動片26bが設けられている。
可動片26bは、スタートチャッカ26に組み込まれたソレノイドにリンク機構を介して連結され、このソレノイドに対する通電の有無により始動入賞口26aの外方若しくは内方に動く。なお、ソレノイドは可動物制御装置67に接続されており、その通電に係る制御は、主制御装置50の管理のもと可動物制御装置67で処理されている。
普通図柄表示装置18は、スタートチャッカ26の開放制御の実行の有無に係る当否判定の結果を告知する普通図柄を表示するための表示装置であり、例えば、普通図柄として「○」「×」等の記号を表示する。より詳しくは、当否判定の当選を受けて「○」を表示し、また、落選を受けて「×」を表示する。
また、この当否判定の当選は、当業者並びに遊技者に於いて「小当り」と称され、この小当りの当選を条件にスタートチャッカ26の開放制御が開始される。また、開放制御の実行下では、スタートチャッカ26に設けられる可動片26bが所定周期で外方に動き、通常時に較べて入賞口26aの間口が広がるため、入賞口26aに対して遊技球が入賞し易くなる。よって、遊技者は、この間有利に遊技を楽しむことができる。
また、上記当否判定の実行の権利は、先のスルーチャッカ49に対する遊技球の通過を以て成立する。つまり、遊技球がスルーチャッカ49を通過すると、小当りの当否判定に係る乱数抽選の抽選権利が得られ、主制御装置50は、この抽選権利の成立を条件に小当りの当否判定を行っている。また、この抽選権利は、例えば、保留数4を上限にその権利の行使が保留されることもあり、その保留数は、通過保留数表示ランプ16の点灯数から確認できるようになっている。
大入賞装置27は、他の入賞口に較べて広い間口を有する大入賞口27aと、大入賞口27aの内部に開口したVゾーン(継続入賞領域)27bと、通常の遊技状態に於いて、
この大入賞口27aに対する遊技球の進入を阻止する開閉扉27cとを備えている。また、開閉扉27cは、特別遊技状態の継続下で実行される開閉制御のもとで開閉され、大入賞口27aの内部に至る通路を確保する。
また、開閉扉27cは、上述のスタートチャッカ26と同様に、遊技盤6の裏面に設けられたソレノイド(図示せず)にリンク機構を介して連結されており、主制御装置50の管理のもと、可動物制御装置67によって、その開閉が制御がされている。
また、開閉制御とは、通常閉じている開閉扉27cを、この開閉制御の実行下で開閉して、大入賞口27aに対する遊技球の進入(入賞)を可能にする制御である。また、特別遊技状態の継続下では、この開閉扉27cの単位作動期間を1ラウンドとして、通常、15〜16ラウンドを上限にラウンドが消化される。そして、このラウンドの消化に伴い順次開閉制御が発生する仕組みになっている。
続いて、開放用入賞装置28について説明する。開放用入賞装置28には、遊技球の進入可能な開放口28aが形成されており、本実施の形態で、大入賞装置27の両側に計2カ所設けられている。また、開放口28aに対する遊技球の入賞時には、スタートチャッカ26に設けられる可動片26bが一定期間開放状態になり、スタートチャッカ26に対する遊技球の進入が容易になる。
特定保留数表示ランプ19は、複数のランプを備え、そのランプの点灯個数によって始動入賞の保留数を表示している。なお、ランプの点灯制御は、副制御装置の一つであるランプ制御装置62で管理されており、保留に価する始動入賞があった場合には、その始動入賞を受けてランプの点灯数が一つ増える仕組みになっている。また、保留された始動入賞が各種制御の実行に伴い消化されたときには、ランプの点灯数が一つ減るように制御されている。
可変表示装置100は、遊技盤6の略中央に設けられ、図柄をモチーフとした画像データ(識別情報)を種々の演出を踏まえて表示する。なお、図柄の表示を例に説明すれば、あたかも回胴上に付された図柄の如く各画像データを図柄の表示領域に設けられる有効ライン上に連続的に可変表示する。また、図柄と共にキャラクタ画像や背景画像を表示し、これら図柄やキャラクタ画像並びに背景画像の演出によって遊技者に視覚上得られ意外性や面白みを提供している。
なお、本明細書では、これらキャラクタ画像や背景画像を含み、単に「図柄」と称することもある。
また、可変表示装置100の制御方法について、その概要を説明すれば、可変表示装置100の制御に要するプログラムの実行のもと、主制御装置50は、始動入賞の成立を契機に、遊技者にとって有利な遊技状態に移行させるか否かの判定にあたる大当たり乱数抽選制御処理(以下、単に大当たり抽選制御と称する)を実行する。
また、その判定結果を遊技者に告知すべく、主制御装置50は、図柄の変動パターンや仮停止図柄及び確定停止図柄を決定するための乱数抽選を更に実行する。この乱数抽選では、先の大当たり抽選制御の抽選結果に基づき「アタリ」に対応するデータ選択テーブル、又は「ハズレ」に対応するデータ選択テーブル等を対象に乱数抽選を実行する。そして、この乱数抽選で抽出した乱数を含む乱数範囲値に設定されている変動パターンデータや確定停止図柄の種別データ等に対応する制御コマンドが生成され、副制御装置60の一つである図柄制御装置61に送信される。
より詳しくは、「アタリ」「ハズレ」等の遊技状態に関するデータを先行コマンドとして、この先行コマンドと共に変動パターンデータ等の後続コマンドが図柄制御装置61に送信されている。そして、図柄制御装置61では、受信した制御コマンドを解析し、この制御コマンドに対応する仮停止図柄及び確定停止図柄の画像データを図柄制御装置61のROM61aから読み出して、種々の演出と共に可変表示装置100に表示する。
なお、上記で「仮停止図柄」とは、可変表示装置100の有効ライン上で、あたかも一旦停止するかの如く表示態様で表示される図柄である。また、「確定停止図柄」とは、可変表示装置100の有効ライン上に停止する図柄である。
主制御装置50は、遊技に係る主たる制御(基本プログラム)を実行する装置であり、基本処理装置であるCPU(Central Processing Unit)50aと、CPU50aでの処理に用いられるデータを一時記憶するRAM(Random Access Memory)50cと、CPU50aにて処理する各種プログラムを記憶したROM(Read Only Memory)50bを備えている。
ROM50bに記録されるプログラムの一例を説明すれば、大当たり抽選制御等に用いられる乱数抽選実行用のプログラム、大当たり抽選制御の判定結果を踏まえて各種副制御装置60に出力すべき制御コマンドを生成・出力する出力制御プログラムなどを例示できる。
また、主制御装置50には、図柄制御装置61、ランプ制御装置62、音声制御装置63等の副制御装置60が接続されており、主制御装置50は、各副制御装置60に対して、先行コマンド及び後続コマンド等からなる制御コマンドを送信している。
副制御装置の一つであるランプ制御装置62は、主制御装置50から出力される制御コマンドに基づき電飾品を用いた演出を制御する。
より詳しくは、特定保留数表示ランプ19や通過保留数表示ランプ16の制御プログラム、並びに各種入賞装置に組み込まれる電飾及び遊技機前面に設けられる装飾LED10等の発光を制御するためのプログラムを記録したROM62bと、ROM62bに記録されるプログラムを主制御装置50から出力される制御コマンドに基づき処理するCPU62aと、CPU62aでの処理に用いられるデータを一時記憶しておくRAM62cと、を備えている。
音声制御装置63は、遊技機1の前面に設けられたスピーカ12を制御するための装置であり、スピーカ12の制御に用いるプログラムを記録したROM63bと、ROM63bに記録されるプログラムを主制御装置50から出力される制御コマンドに基づき処理するCPU63aと、CPU63aでの処理に用いられるデータを一時記憶しておくRAM63cと、を備えている。
図柄制御装置61は、主制御装置50から出力される制御コマンドに基づき画像データを生成してビデオ・ディスプレイ・プロセッサ(VDP)65に送信し、このビデオ・ディスプレイ・プロセッサ65を介して各種図柄を可変表示装置100に表示する機能を備えている。
より詳しくは、主制御装置50から受信した制御コマンドを解析して、その時々に適した画像データを生成する画像生成プログラムを記録したROM61bと、ROM61bに記録される画像生成プログラムを主制御装置50から出力される制御コマンドに基づき処理するCPU61aと、CPU61aでの処理に用いられるデータを一時記憶しておくR
AM61c等を備えている。
続いて、上記主制御装置50および副制御装置60等を備えている遊技機1の制御系で処理する各種制御について説明する。
[基本プログラム]
まず、図4に示すように、主制御装置50は、電源の投入を受けて基本プログラムを立ち上げ、初期設定処理を実行する(S100)。本初期設定処理では、電源断チェック処理、及びRAM領域の初期化、並びに各副制御装置に対する通常起動コマンドの送信処理、また、エラー状態の復帰回復処理、システムタイマ割込処理を実行する。
このうち電源断チェック処理は、電源断発生後の電源投入か否か、すなわち電源断復帰からの起動か/通常状態(稼働状態)からの起動かを振り分ける。また、その振り分けにあたりチェックすべき項目として、本実施の形態では、(1)RAMクリアスイッチの遮断状態、(2)電源断発生時にセットされたフラグの値、(3)全RAM領域の内容を、チェック項目として設定している。
また、この電源断チェック処理の結果、電源断復帰からの起動と判定されたときには、上記RAMの初期化、並びに各副制御装置に対する通常起動コマンドの送信処理を実行し、これらの処理によって電源断時のエラーを解除している。
また、主制御装置50は、各種データの初期化の後にシステムタイマ割込処理を実行する。
本システムタイマ割込処理は、後述のステップ101からステップ113までをメインルーチンとして、このメインルーチンを遊技機稼働中のマシンサイクルとして定期に実行するための処理であり、例えば、主制御装置50に内蔵されたクロックのリセット信号に基づきタイマを更新し、このタイマの値をもとにマシンサイクルを確立させる。
続いて、初期設定処理の後、主制御装置50は、続くステップ101に移り、後に詳述する大当たり抽選制御に於いて実行される乱数抽選の乱数範囲値を設定する。また、この設定した乱数範囲値内にて定期に乱数を更新し続ける乱数更新処理を実行する。
また、乱数更新処理の後、主制御装置50は、入力管理処理(S102)の一処理として、始動入賞球検知センサ(特定入賞球検知センサ)47、大入賞球検知センサ(特別入賞球検知センサ)48、通過球検知センサ46等から得られるセンサ出力を、入力ポートを介して読み込み。
ここで始動入賞球検知センサ47は、上記スタートチャッカ26に入賞した遊技球を検知するセンサである。また、大入賞球検知センサ48は、大入賞装置27に入賞した遊技球を検知するセンサである。通過球検知センサ46は、スルーチャッカ49に入賞した遊技球を検知するセンサである。
また、入賞管理処理では、上記入力ポートのチェック、及び主制御装置50に設けられるスイッチのエッジ検出を実行する。また、これらポート及びスイッチのチェックに加え、全入賞装置の入賞情報を個別に集計し、また、これらのチェックによって得られた信号並びに全入賞装置の入賞情報を、以後の各種処理において活用し得るデータに変換するデータ変換処理を実行する。なお、ここで入賞情報とは、遊技球を検知したか否か、また、遊技球の入賞の成立のタイミング等に相当する。
次に、主制御装置50は、補給球切れエラーや受皿満タンエラー等の異常監視処理を実行し(S103)、その後に普通図柄制御処理を実行する(S104)。
普通図柄制御処理では、小当りの当否に係る当否判定が実行される。この当否判定では、通過球検知センサ46で取得した入賞情報(例えば、入賞の成立タイミング)を乱数抽出のパラメータに乱数抽選が実行される。また、この当否判定の結果に基づき普通図柄表示装置18にて表示すべき「○」「×」等の普通図柄が決定される。
次に、主制御装置50は、特別図柄制御処理を実行する(S105)。
特別図柄制御処理は、始動入賞の成立によって得られる情報(例えば、入賞の成立タイミング)に基づき大当たり抽選制御を実行し、この大当たり抽選制御の抽選結果に対応する先行コマンドを準備する。また、あわせて表示すべき確定停止図柄に対応する図柄の指定や、この図柄の表示に用いる変動パターンデータ等を乱数抽選にて選出し、この選出したデータに対応する後続コマンドを準備する。
次に、主制御装置50は、出力管理処理を行う(S106)。
出力管理処理では、各副制御装置(図柄制御装置61、音声制御装置63、ランプ制御装置62、払出制御装置51等)に送信すべき制御コマンドを編集し、適宜のタイミングで各副制御装置に対してその制御コマンドを送信する。また、あせて外部(ホールや試験機関等)の集中管理装置54にも所望のデータを送信する。
続いて、可変図柄表示制御処理を実行する(S107)。本処理は、特別図柄制御処理で生成された制御コマンドを可変表示装置100及び普通図柄表示装置18に送信して、上述の如く各種図柄を可変表示装置100及び普通図柄表示装置18に表示させる。
続いて、主制御装置50は、普通図柄電動役物制御処理を実行する(S108)。普通図柄電動役物制御処理は、先の普通図柄制御処理にて得られた小当りの当否判定の結果を参照して、この当否に基づき可動片26bの開閉操作を行う。より詳しくは、小当りの当選を条件に開放制御を実行し、この開放制御のもと、スタートチャッカ26に設けられたソレノイドに電圧を印可して可動片26bを開く。
次に、主制御装置50は、大入賞領域制御処理を実行する(S109)。
大入賞領域制御処理は、大当たり抽選制御の抽選結果を参照し、大当たり抽選制御の当選を受けて大入賞装置27の開閉制御を実行する。
より具体的には、特別遊技状態への移行に伴う第1ラウンドの開始を受け、主制御装置50は、可動物制御装置67を介して大入賞装置27のソレノイドに適宜のタイミングで電圧を印可し、開閉扉27cを作動させる。また、開閉扉27cの作動開始後、予め定められた時刻に達した、或いは大入賞口27aに入り込んだ遊技球の数(入賞数)が上限値に達したなどの条件の成立をもってソレノイドに対する通電を停止し、開閉扉27cの開閉制御を一旦終了する。また、当該開閉制御の終了を以て第1ラウンドの終了とみなす。
また、主制御装置50は、第1ラウンドの開催中に、大入賞口27a内部のVゾーン27bに遊技球が入り込んだことを受け、この第1ラウンドの終了後に、続く第2ラウンドを開始する。そして、第2ラウンドの開始を受けて、再び開閉扉27cの開閉制御を開始する。また、以後、同様に、Vゾーン27bでの入賞を条件に、最大15〜16ラウンドを上限に、続く第3ラウンド及び第4ラウンド等へとラウンドを発展させる。
また、ラウンドの開催中にVゾーン27bに入賞がなかった場合には、全ラウンドの消化を待たずして、当該ラウンドの終了後に特別遊技状態を終了し、主制御装置50は、各種装置の制御状態を通常の遊技状態に対応する制御状態に復帰させる。このように大入賞領域処理では、ラウンドの継続の有無を踏まえ、例えば15〜16ラウンドを上限に開閉扉27cの開閉制御を実行する。
続いて、主制御装置50は、払出制御処理を行う(S110)。
この払出制御処理では、ステップ102の入力管理処理で得られた各種センサの出力に基づき入賞の有無を把握し、入賞時には、その入賞に見合う賞球の払出しを遊技球払出装置53を介して実行する。
また、ランプ・LED制御処理(S111)、及び音声制御処理を実行する(S112)。
ランプ・LED制御処理では、大当たり抽選制御の抽選結果を踏まえて装飾ランプ11や装飾LED10の点滅による光の演出を遊技者に提供する。また、併せて上記特定保留数表示ランプ19の点灯数を変更する。
また、音声出力制御では、大当たり抽選制御の結果を音声制御装置63に読み込み、スピーカ等にて構成される音声発生装置12を介して、遊技の進行に応じた音の演出を遊技者に提供する。
そして、本メインルーチンの最終処理として、主制御装置50は、電源が断たれたか否かを把握し(S113)、電源遮断時には、本処理ルーチンを一旦抜ける。また、未だ遊技機が稼働中であると判断したときには、ステップ101に戻り、再度ステップ101からステップ113に至るメインルーチンを繰り返す。
このように遊技機1の制御系では種々の制御が実行され、これら各種制御の実行によって遊技機1の各種装置の制御が為されている。また、これらの制御によって遊技者に遊技を提供している。
続いて、可変表示装置100の詳細な構造について説明する。
可変表示装置100は、図5に示すように、遊技盤6の略中央に形成された開口部6aに組み付けられる枠状のフレーム101と、開口部6aを遊技盤6の背面側から塞ぐ表示ユニット102とを備え、この開口部6aに臨む表示ユニット102が、図柄の表示領域として遊技者に認識されることになる。
また、開口部6aに組み付けられるフレーム101は、可変表示装置100の下部に舞台(以下、ステージと称す)110を形成している。より詳しくは、開口部6aに臨む表示ユニット102の下部から開口部6aの手前側にフレーム101が延出されており、この開口部6aに臨む表示ユニット102の下方に遊技球が滞在するステージ110が構成される。
また、ステージ110には、ステージ110に進入した遊技球の速度や進路に変化を与える起伏と、ステージ110上で失速した遊技球をステージ110の前方に落下するための傾斜が設けられている。そして、例えば、可変表示装置100の側方に設けられた障害物14との衝突によってステージ110内に進入した遊技球は、その進路や速度を変えながらステージ110上を漂い、やがてステージ110からその下方へ転がり落ちる。
また、このステージ110の下方に始動入賞口26aが開口しており、ステージ110から転がり落ちた遊技球は、このステージ110の下方に開口した始動入賞口26a又はその周囲に落下することになる。つまり、ステージ110上の遊技球があたかも始動入賞するかの如くステージ110上から落下することで、遊技者には、視覚上得られる面白みが提供されることになる。
また、フレーム101の両側には、ステージ110に較べて高い位置に開口端103を有する管状の連絡通路(図示略)が形成されている。また、この連絡通路の出口を形成している開口部104はステージ110の側端部110bに開口しており、連絡通路に進入した遊技球は、この連絡通路を通じてステージ110の側端部110bからステージ110内へ進入することになる。
また、本実施の形態に示す遊技機1は、ステージ110内の遊技球を可変表示装置100の上部、即ち始動入賞口26aの略鉛直上方から離れた位置に移送する移送装置200と、この遊技球を可変表示装置100の上部を伝って始動入賞口26aの上方に導きステージ110上に落下させる誘導通路130と、この落下した遊技球をその落下点に定位させるための緩衝部140と、緩衝部140を傾斜させて緩衝部140上の遊技球をステージ110の前方に落下させる落下装置150とを備えている。
<移送装置の概要>
移送装置200は、可変表示装置100の両側部に設けられている。また、その内部には、図6に示すように可変表示装置100の上下方向に延びる動力軸201と、この動力軸201を回転する電動モータ202と、この動力軸201が回転自在に挿通されるパイプ203と、動力軸201に隣接して配置された主軸204と、動力軸201の回転を主軸204に伝達する動力伝達機構205と、パイプ203を中心に回動するストッパ206と、電動モータ202の駆動力をストッパ206に伝達して、このストッパ206に、遊技球を主軸204に付勢するためのトルクを発生させるトルク発生機構220と、これら各種構成部品を収容するハウジング210とを備えている。
動力軸201は、電動モータ202の出力軸に固定されており、電動モータ202に対する電力の供給時に回転する。また、動力軸201は、上述の如くパイプ203に挿通され、このパイプ203の端部より突出する動力軸201の上端及び下端には、動力軸201の回転を主軸204に伝達するピニオン205aが設けられている。
主軸204は、その上端及び下端に減速ギヤ205bを備え、動力軸201の回転が、この減速ギヤ205bと動力軸201のピニオン205aとの噛み合いによって減速ギヤ205bに伝達されることで、主軸204は、動力軸201と逆方向に低速で回転する。また、これらピニオン205a及び減速ギヤ205bによって動力伝達機構205が構成されている。
主軸204の外周面には、主軸204の下部から上部に向かって反時計回りに旋回しながら螺旋状に延びるガイド204aが形成されている。また、遊技球は、このガイド204aの回転によって、主軸204の上部へと移送されることになる。また、主軸204の上部には、主軸204と共に回転する吐出板204bが、その主軸204の表面から放線方向に延出して設けられている。
ストッパ206は、主軸204の全長に較べて幾分短い長辺と、主軸204と動力軸201との最短距離に較べて幾分長い短辺とからなる短冊形をなし、ストッパ206を支持するパイプ203は、ストッパ206を上下方向に貫いてストッパ206を支持している。また、他方の長辺側には、主軸204に面して突出する移送レール206aが形成され
ている。そして、このストッパ206を支持するパイプ203及びパイプ203内に挿通される動力軸201にトルク発生機構220が設けられている。
トルク発生機構220は、図6及び図11に示すように、パイプ203に固定された揺動アーム221と、この揺動アーム221に設けられた支軸222と、この支軸222にベアリング(図示略)を介して回転自在に支持される遊星ギヤ223と、動力軸201の上端に固定された駆動ギヤ224とを備えて構成されている。また、支軸222は、駆動ギヤ224と遊星ギヤ223とが常時噛み合う位置に遊星ギヤ223を支持している。
ハウジング210は、上記した主軸204や動力軸201の軸受けを形成していると共に、主軸204による遊技球の移送をストッパ206と共に案内する案内壁211を形成している。また、ハウジング210に支持される主軸204と動力軸201の相対的な位置の関係は、図7に示すように、主軸204に隣接して動力軸201が設けられ、ストッパ206は、その表面に形成される移送レール206aが主軸204に臨む向きでパイプ203に支持されている。
なお、図7は、可変表示装置100の右方に配置される移送装置200の要部の断面図であり、主軸204は動力軸201の左方に配置されている。一方、可変表示装置100の左方に配置される移送装置200は、その各部品の配置が図7に示す右方用の移送装置200と若干異なるものの、その構成部品並びに作動原理は、右方用の移送装置200に準ずるため、左方用の移送装置200については、この右方用の移送装置200の説明を以て省略する。
案内壁211は、図7に示すように、主軸204に対向し且つ主軸204との間に遊技球の進入し得る空隙を確保しながら主軸204の上下方向に延びる第1案内壁211aと、この第1案内壁211aから主軸204に向かって延出され且つ第1案内壁211aと主軸204との間に進入した遊技球をストッパ206との間で挟持し得る位置に設けられた第2案内壁211bの計2壁面で構成されている。
また、図6及び図9に示すように、第1案内壁211aの下端には、移送装置200内の遊技球を移送装置200の外部に排出するための排出口212と、この排出口212を通じて排出された遊技球を遊技盤6上に排出する排出通路213が設けられている。また、移送装置200の内部には、排出口212に通じる排出経路212aが設けられている。
また、第2案内壁211bの下端には、ステージ110の側端部110bに至った遊技球を移送装置200内に取り込む取込口214が形成されている。また、図8に示すように、第1案内壁211aの上部には、主軸204の上部に移送された遊技球を移送装置200の上部から移送装置200の外部へ吐出するための吐出口215が形成されている。そして、この吐出口215に誘導通路130が接続されている。
続いて、遊技球の移送過程を追って、これら各種部品の作動状態を説明する。
まず、図11から図13を参照して、トルク発生機構220の作動原理について説明する。
電動モータ202に対する電力の供給が無く、未だ駆動ギヤ224が停止している状況では、図11に示すように、この駆動ギヤ224に噛み合う遊星ギヤ223が、駆動ギヤ224に対して移動(公転)せず、遊星ギヤ223は駆動ギヤ224に噛み合った状態で静止している(図11中P点参照)。
また、図12に示すように、この状態から電動モータ202に電力が供給されて駆動ギヤ224が時計回りに回転すると、揺動アーム221は、駆動ギヤ224の回転に追従した遊星ギヤ223の時計回りの公転によって、主軸204側に移動する(図中矢印T方向)。よって、この遊星ギヤ223の公転に起因して、揺動アーム221には、ストッパ206を駆動ギヤ224の回転方向に付勢するトルクが発生し、このトルクがパイプ203を通じてストッパ206に与えられることになる。
また、このときストッパ206の移動を妨げる外力Fがストッパ206に作用すると、揺動アーム221はストッパ206と共動して、駆動ギヤ224の回転と相反する方向(反時計方向)に移動する。そして、この外力Fと揺動アーム221に生じるトルクTとが釣り合う位置でストッパ206は停止する。
また、この時、揺動アーム221には、駆動ギヤ224の回転によって生じるトルクTが付加されているものの、この揺動アーム221に設けられる遊星ギヤ223が駆動ギヤ224に対して空転(自転)することで、この駆動ギヤ224の空転に伴い揺動アーム221に対する必要以上のトルクTの発生が抑制される。なお、トルクTの値は、遊星ギヤ223と駆動ギヤ224の減速比の変更、並びに電動モータ202の回転速度の変更によって適切値に調節することが可能である。
また、図13に示すように、この状態で電動モータ202に対する電力の供給が断たれ電動モータ202が停止すると、揺動アーム221に付加されていたトルクTは失われる。このため駆動ギヤ224の回転方向に付勢されていたストッパ206は、外力Fによって駆動ギヤ224が回転していた方向と相反する方向に押し戻される。
つまり、トルク発生機構220は、電動モータ202に対する電力の供給時に、揺動アーム221を介してストッパ206にトルクTを生じさせる。また、電力の遮断時には、トルクTが失われるため、ストッパ206は、ストッパ206に作用する外力Fを動力として、主軸204から遠ざかる方向に移動する。
続いて、電動モータ202に対する電力の供給時と非供給時に分けて、遊技球の移送状態を説明する。
<電力の供給時>
まず、電動モータ202に電力を供給すると、動力軸201及び駆動ギヤ224は、図6中矢印A方向に回転する。また、主軸204は、駆動ギヤ224と相反する方向(図6中矢印B方向)に回転する。また、駆動ギヤ224の回転は、トルク発生機構220を介してストッパ206に伝達され、このストッパ206に、遊技球を付勢するためのトルクTを生じさせる。
また、第2案内壁211bの下端に開口した取込口214を通じて移送装置200内に進入した遊技球は、主軸204の外周面に形成されるガイド204aに乗り上げ、案内壁211とストッパ206との間に保持されながら、ガイド204aによって主軸204の上部へ移送される。
より詳しくは、図6及び図7に示すように、ガイド204a、第1案内壁211a、第2案内壁211b、ストッパ206(移送レール206a)の計4箇所で遊技球が支えられ、この状態で遊技球とガイド204aの接触面が、主軸204の回転に伴い主軸204の上方に相対的に移動することで、主軸204の上部に遊技球が持ち上げられる。
また、案内壁211の上部に達した遊技球は、図8に示すように、主軸204と共に回転する吐出板204bとの接触によって行き場を失い、この遊技球は、第1案内壁211aの上部に開口した吐出口215から吐出されて誘導通路130に至る。
<電力の非供給時>
電力の非供給時には、電動モータ202の停止によって動力軸201、駆動ギヤ224、並びに主軸204の回転が停止する。また、ストッパ206を駆動ギヤ224の回転方向に付勢していたトルクTも駆動ギヤ224の停止によって失われる。このためガイド204a上の遊技球は、図9に示すようにガイド204aの傾斜に起因してストッパ206側に転がり落ちる。
また、この遊技球に作用する重力がストッパ206を移動させる外力F(動力)となって、遊技球は、図9及び図10に示すように、ストッパ206を主軸204から遠ざける方向に押し戻しながらガイド204aから外れ落ちる。そして、その直下へとハウジング210の内方の排出経路212aを通じて落下する。また、落下した遊技球は、第1案内壁211aの下端に形成された排出口212及び排出通路213を通じて、遊技盤6に排出されることになる。
このように本実施の形態に示す遊技機1は、可変表示装置100の両側に移送装置200を備え、ステージ110の側端部110bから取込口214を通じて移送装置200内に進入することができた遊技球は、移送装置200の内部を通じて可変表示装置100の側方沿いに移送され、やがて移送装置200の上部に至る。つまり、本来、ステージ110上から落下する状況にあった遊技球が、可変表示装置100の側方に隣接した移送装置200の上部といった遊技盤6のより高い位置へと移送され、再度遊技に供されることになる。
また、主軸204に形成されるガイド204aと共動して遊技球の移送を案内するストッパ206は、電動モータ202に対する電力の供給時に遊技球の移送を案内し、電力の非供給時には、排出対象たる移送装置200内部の遊技球に作用する重力を動力として、遊技球の排出を許容し得る位置に移動する。このため移送装置200内の遊技球は、電動モータ202の停止を受けて遊技盤6上に排出されることになる。
つまり、本構成の移送装置200は、電源の遮断を以て移送装置200内の遊技球を自然に排出できる。
また、本構成の移送装置200によれば、ガイド204aとストッパ206との間に遊技球が保持され且つこの状態で主軸204が回転すると、この主軸204の回転に追従して遊技球が主軸204の上方へ押し上げられる。つまり、遊技球の移送にあたり、一系統の動力で遊技球を移送することができる。
また、遊技球の移送方式としては、例えば、行きと帰りのルートで構成されるベルトコンベア方式等の採用も可能であるが、本構成のように、遊技球に対するガイド204aの相対的な移動によって遊技球を移送するようにすれば、移送装置200の帰りのルートが不要になり、その分、移送装置200を小型に形成することが可能になる。また、上記した移送装置200の構成は、あくまでも一例であり、例えば、各種ギヤに代えてプーリを採用するなど、その詳細は、各種仕様に応じて変更することが可能である。
<誘導通路>
続いて、吐出口215に接続する誘導通路130について説明する。
誘導通路130は、図5に示すように表示ユニット102が臨む開口部6aの内方に架
設されている。より詳しくは、可変表示装置100の両側部に開口した移送装置200の吐出口215を始端に、この吐出口215から可変表示装置100の上部を伝って始動入賞口26aの鉛直上方に遊技球を導く通路を形成している。
誘導通路130は、図5に示すように表示ユニット102が臨む開口部6aの内方に架設され、可変表示装置100の両側部に設けられる移送装置200の吐出口215を始端に、この吐出口215から始動入賞口26aの略鉛直上方に遊技球を導く通路を形成している。
また、誘導通路130の中央には、誘導通路130の通路幅に較べて広い円形の踊り場131(以下、クルーン131と称する)が設けられている。また、クルーン131の底面には、遊技球の通過し得る落とし穴(開口部)131aが形成されている。そして、誘導通路130を通じてクルーン131に達した遊技球は、このクルーン131の内部で進路を変更しつつ、やがてその底面に設けられる落とし穴131aからステージ110へ落下する。
また、落とし穴131aは、ステージ110の下方に開口した始動入賞口26aのほぼ鉛直上方に位置し、落とし穴131aに入り落ちた遊技球は、表示ユニット102の前方を落下して、その落下点に設けられる緩衝部140に着地する。
このように本実施の形態に示す遊技機は、移送装置200によって移送された遊技球をステージ110の上方に導く誘導通路130を備えている。また、誘導通路130には、落とし穴131aを有するクルーン131が設けられ、このクルーン131に形成される落とし穴131aに入り落ちた遊技球は、表示ユニット102の前方を落下してステージ110に至る。
つまり、本実施の形態に示す遊技機1は、本来、遊技球が落下し得ない図柄の表示領域に遊技球を案内し、この表示領域を遊技球の落下する領域として活用することで、遊技盤6といった限られた領域に、より多くの遊技球の経路を確保している。
<緩衝部>
続いて、遊技球の落下点に設けられる緩衝部140について説明する。緩衝部140は、図5に示すように落とし穴131aの鉛直下方に位置している。また、ステージ110との衝突に起因した遊技球の反発を抑える緩衝材141と、この緩衝材141をステージ110上に保持する保持部142とを備えて構成されている。
また、緩衝材141は、例えば、衝撃を緩衝する能力に富む衝撃吸収ゲルや無反発ゴム等で構成され、その表面が、保持部142の表面と面一になるように保持部142の中央に埋設されている。また、緩衝材141及び保持部142で構成される緩衝部140の表面(上面)には、その中央から緩衝部140の側端部140aにかけて緩やかに下りやがてステージ110の表面に達する勾配が設けられている。つまり、緩衝材141や保持部142の表面は、円弧状に緩やかに隆起しており、ステージ110の側方から緩衝部140の表面に転がり込んだ遊技球は、この緩衝部140の勾配に起因して緩衝部140の表面上から速やかに移動する。
一方、ステージ110の上方から落下して緩衝部140に着地した遊技球は、この緩衝部140に設けられる緩衝材141との接触によって、その垂直方向の運動エネルギーが失われるため、遊技球は緩衝部140の表面で殆ど弾むことなく緩衝部140の表面に定位する。また、このとき、遊技球は、緩衝部140の表面にほぼ垂直に近い角度で進入するため、緩衝部140の側方には転がり難く、緩衝部140に着地した遊技球は、高い確
率でその表面上に定位する。
つまり、ステージ110の上方に開口した落とし穴131aから落下した遊技球の多くは、始動入賞口26aの上方に位置したステージ110の緩衝部140に定位することになり、この遊技球が、ステージ110の手前に転がり落ちることで、その多くは、高い確率で始動入賞口26aに入賞することになる。
このように本実施の形態に示す遊技機1は、クルーン131に設けられた落とし穴131aの鉛直下方にステージ110の一表面をなす緩衝部140を設け、落とし穴131aから落下してきた遊技球の運動エネルギーを、この緩衝部140で緩衝することで、ステージ110上に遊技球を定位させている。
また、緩衝部140には、その中央から側端部140aにかけて緩やかに下る傾斜が設けられているため、緩衝部140の側方から緩衝部140に転がり込んだ遊技球は緩衝部140の表面上から表面外へ速やかに移動する。このため緩衝部140上に落下してくる遊技球と、緩衝部140の側方から緩衝部140上に転がり込む遊技球との接触が積極的に回避されることになる。
なお、緩衝部140に定位する遊技球は、このステージ110の前方に下る傾斜を緩衝部140の表面に設けることでその落下を促すことが可能であるが、本実施の形態では、落下装置150をステージ110に組み込み、このステージ110に設けられる緩衝部140をステージ110の手前側に傾けて遊技球の落下を促している。
<落下装置>
以下、この落下装置150について図5及び図14を参照して説明する。落下装置150は、ステージ110を構成するフレーム101にその前端部151aが連結軸152を中心に回動自在に支持される可動板151と、連結軸152を中心に、この可動板151をステージ110の前方に傾斜させるためのカム機構155とを備えている。
また、可動板151は、上記した緩衝部140の保持部142を兼ねており、緩衝材141は、この可動板151上面に埋設されている。このため可動板151の傾斜に伴い、緩衝材141もステージ110の前方に傾斜し、この傾斜に起因して遊技球がステージ110の前方に落下する。
カム機構(伝達装置)155は、出力軸156aに板カム157が固定された電動モータ(駆動装置)156と、可動板151と板カム157との接触状態を常時維持するスプリング158とを備え、板カム157が可動板151の背面に当接した状態で電動モータ156に電力が供給されると、可動板151は、板カム157の回転に追従して連結軸152を中心に回動する仕組みになっている。また、電動モータ156に対する電力の供給の有無は、上記した主制御装置50及び可動物制御装置67等で管理されている。
なお、落下装置150に設けられる電動モータ156の制御方法について幾つか例示すると、遊技球の落下後、遊技球が緩衝部140に定位するまで電動モータ156に対する電力の供給を待機し、遊技球の定位後に電動モータ156に電力を供給するなどの制御例を挙げることができる。なお、この例では、クルーン131の落とし穴131aや移送装置200の吐出口215に遊技球の通過を検出するセンサを設け、このセンサが遊技球の通過を検知し、且つ所定時間経過したことを条件に遊技球が緩衝部140に定位したとみなし、電動モータ156に電力を供給するなどの構成が考えられる。
このように本実施の形態では、緩衝部140を兼ねる可動板151や、こ可動板151
をステージ110の前方に傾けるためのカム機構155等で構成される落下装置150を備え、緩衝部140に定位している遊技球を、この落下装置150によってステージ110の前方に落下させる。このためステージ110の前方に下る傾斜を緩衝部140に予め形成せずとも遊技球を落下させることが可能になる。つまり、遊技球の落下点を水平に形成することができるため、緩衝部140の表面に、より高い確率で遊技球を定位させることが可能になる。
つまり、本構成の採用は、遊技球の落下点を水平に形成することができるため、このステージ110といった限られた領域に、より長い時間、遊技球を留め置くことが可能である。よって、ステージ110上を遊技球が長い時間漂うことになり、例えば、ステージ110上の遊技球が始動入賞口26aに至るか否かといった視覚上得られる面白みを、より長い時間、遊技者に提供することが可能になる。
続いて、図5を参照して可変表示装置100の周囲に於ける遊技球の挙動について順を追って説明する。
まず、ステージ110に較べて高い位置に開口端103を有する連絡通路(図示略)に遊技球が入り込むと、この遊技球は、ステージ110の側端部110bに開口した連絡通路の開口部104(出口)を通じてステージ110内に案内される(図5中矢印A)。
また、連絡通路の入り口にあたる開口端103は、ステージ110に対して十分に高い位置に開口しているため、この連絡通路を通じてステージ110に進入する遊技球の進入速度は、障害物14との衝突によってステージ110に進入した遊技球に較べて高く、遊技球は、この進入速度の高さに起因して、ステージ110の一側方から他側方に向かって高い確率で到達することになる(図5中矢印B)。
なお、本実施の形態では、可変表示装置100の両側に連絡通路や移送装置200を備えているため、可変表示装置100の上部で可変表示装置100の左方に振り分けられた遊技球は、可変表示装置100の左方に設けられた連絡通路を通じてステージ110に至り、このステージ110をその左方から右方に向かって横断して、可変表示装置100右方の移送装置200に到達する。また、逆に可変表示装置100の上部で可変表示装置100の右方に振り分けられた遊技球は、可変表示装置100の右方に設けられた連絡通路を通じてステージ110に至り、このステージ110をその右方から左方に向かって横断して、可変表示装置100左方の移送装置200に到達する。つまり、本発明で一側方、他側方とは、その両者の相対的な関係によって定義される。
また、ステージ110の他側方には、移送装置200に通じた取込口214が形成されているため、この取込口214に入り込むことのできた遊技球は、移送装置200を通じて移送装置200の上部に移送される(図5中矢印C)。そして、この移送装置200の上部に開口した吐出口215を始端に延びる誘導通路130を通り、ステージ110の上方に案内される(図5中矢印D)。
また、電動モータ156に対する電力の供給が、遊技球の移送中に断たれたときには、その遊技球に作用する重力を動力として、ストッパ206が遊技球を排出し得る位置まで押し戻され、遊技球は移送装置200内に確保される排出経路212aを通じて、その下端に開口した排出口212及び排出通路213を通り遊技盤6上に排出されることになる(図5中矢印E)。
また、移送装置200の内部を通り移送装置200の上部からその外方に吐出された遊技球は、移送装置200から始動入賞口26aの略鉛直上方に延びている誘導通路130
を通り、始動入賞口26aの略鉛直上方に開口した落とし穴131aに入り落ちる(図5中矢印F)。そして、表示ユニット102の前方を落下して、ステージ110上の緩衝部140に着地する。そして、この緩衝部140に設けられる緩衝材141との接触によって遊技球の運動エネルギーが失われ、遊技球は、緩衝部140の表面に定位することになる。
また、この状況で落下装置150が稼働して、緩衝部140がステージ110の前方に向かって下り勾配を形成するように傾斜すると、緩衝部140に定位していた遊技球は、この傾斜に起因してステージ110の前方へ転がり落ちる(図5中矢印G)。また、緩衝部140の下方には、始動入賞口26aが開口しているため、ステージ110の前方に転がり落ちた遊技球は、高い確率で始動入賞口26aに始動入賞することになる。
このように本実施の形態に示す遊技機1は、ステージ110内の遊技球を表示ユニット102の上方に移送する移送装置200と、この遊技球をステージ110の上方に案内して始動入賞口26aの直上に位置した緩衝部140上に落下させる誘導通路130と、この緩衝部140に定位する遊技球を緩衝部140に傾斜を設けてステージ110の前方に落下させる為の落下装置150とを備えている。
よって本来ならば、始動入賞口26aに入賞することなくステージ110上から落下する状況にあった遊技球においても、移送装置200によってステージ110のより高い位置に移送されるため、この遊技球には、再度の落下のチャンスが与えられる。つまり、遊技盤6のより高い位置に遊技球を移送する移送装置200を備えているため、遊技盤6といった限られた領域において、遊技球の落下し得る領域を実質多く確保することが可能になる。
また、本構成では、図柄の表示領域として確保された可変表示装置100の下部にステージ110を備え、さらに、このステージ110の側方に設けられた移動装置200を通じて、移送装置200の上部に移送された遊技球をステージ110の上方を伝って始動入賞口26aの略鉛直上方に案内する誘導通路130を備えているため、本来、 図柄の表示領域として活用されるべき領域を遊技球の落下し得る領域として活用することが可能になる。
また、ステージ110には、このステージ110に落下してきた遊技球をその落下点に定位させるための緩衝部140が設けられているため、ステージ110の側方のみならずステージ110の上方といった遊技盤6のより高い位置からステージ110上に遊技球を落下させた場合においても、この遊技球をステージ110に定位させることが可能となる。
つまり、本来ならステージ110上で弾んでしまい落下してしまう高さからステージ110内に進入した遊技球においても、この緩衝部140との接触によってステージ110上に定位することができる。そのため、可変表示装置100の周囲に於いてより広範囲からステージ110に遊技球を導くことが可能になる。また、始動入賞口26aに至る遊技球の経路をステージ110を通じてより広い範囲に確保することができる。
また、ステージ110にも落下した遊技球は、緩衝部140の表面上に定位するため、この遊技球が移送装置200に対して再度進入するといた現象も回避できる。
また、誘導通路130は、移送装置200を通じてステージ110の上方に移送された遊技球を、始動入賞口26aの略鉛直上方に開口した落とし穴131aに案内するため、移送装置200を通じて誘導通路130に案内された遊技球には、始動入賞に至るチャン
スが再び与えられることになる。
また、本構成は、ステージ110の表面を兼ねる緩衝部140に傾斜を設ける落下装置150を備えているため、ステージ110の前方に下る傾斜を予め形成せずとも遊技球をステージ110から落下させることが可能になる。つまり、ステージ110の表面を水平又はそれに近い角度に形成することが可能になるため、遊技球は、このステージ110から容易に落下せず、このステージ110といった限られた領域に、より長い時間、確保される続けることになる。
すなわち、本実施形態の遊技機1によれば、可変表示装置17に伴い大型化されたステージ110のスペースを有効に利用することができる。これに伴い、本実施形態の遊技機1によれば、遊技者の視覚的な面白みを向上させる効果も期待できる。
また、本構成において、ステージ110は、遊技盤6上の遊技球を取り込み、この遊技球を遊技盤6のより高い位置に移送する移送装置200と、可変表示装置17の上方に設けられ、移送装置200にて移送された遊技球をステージ110上に落下させるための誘導通路130とを有し、落下装置150は誘導通路130により落下せしめられた遊技球が落下する位置に対応する位置に設けられている。
これによって、本実施形態の遊技機1によれば、ステージ110上から落下すべき状況にあった遊技球が、移送装置200を通じて遊技盤のより高い位置へ移送されるため、遊技球を遊技に再度使用することができる。
これは、高さ方向において制約のある遊技盤6に於いて、この遊技盤6上に、遊技球の落下する経路を実質長く確保することを可能とする。そのため、本実施形態の遊技機1は、遊技球の挙動によって得られる面白みをより長い時間遊技者に提供することが可能になる。
また、例えば、遊技盤6に設けられる各種入賞装置(一般入賞装置25)の上方に遊技球を移送すれば、この入賞装置に対する遊技球の入賞のチャンスをより多く遊技者に提供することが可能になる。
さらに、本構成は、移送装置200から排出された遊技球が落下する位置に対応する位置に落下装置150が設けられているため、移送装置によって多数の遊技球が移送され、連続して遊技球がステージ110上に排出されても、落下装置150により遊技球を次々と落下させることができる。つまり、本実施形態の遊技機1は、遊技球がステージ110上に滞在することを極力回避することができる。
また、本構成は、落下装置150が、ステージに前端が連結軸152を介して回動自在に支持される可動板151と、この可動板151を回動させる駆動力を発生する電動モータ156と、電動モータ156からの駆動力を可動板151に伝達するカム機構155とを備え、可動板151は連結軸152を介してステージ110の前方へと回動する構成である。
大抵の場合、舞台の下方にはスタートチャッカ26が設けられている。そのため、可動板151がステージ110の前方へと可動することにより、遊技球を高い確率でスタートチャッカ26に誘導することができる。これによって、本実施形態の遊技機1は、遊技者の入賞に対する期待感を向上させることが可能となる。
また、本実施形態の遊技機1は、可動板151上に落下した遊技球による衝撃を緩衝す
る緩衝部140を有する構成としてもよい。この緩衝部140は、遊技球の落下位置に対応する位置に設けられていると好ましい。
また、本構成では、緩衝部140を可動片151上に設けている。そのため、緩衝部140上に落下してきた遊技球の運動エネルギーや位置エネルギーを吸収することができる。
これによって、本構成の遊技機1は、落下装置150(又は可動板151)に衝突した遊技球が勢いよく跳ね返るなどして周辺に存在する役物或いは装置等に衝突することを抑制することができる。
それに伴い、本実施形態の遊技機1は、遊技領域に打ち出された遊技球を高い位置から落下させるように遊技釘を配置することもできるため、限られたスペースしか有さない遊技盤6の遊技領域を最大限有効に利用することができる。
このように本実施の形態に示す遊技機では、可変表示装置100の前方や、またその周囲において、遊技球をより長い時間、遊技者の視界に留め置くことが可能になるため、遊技球の挙動によって得られる視覚上の面白みをより長い時間遊技者に提供することが可能になる。
また、本実施の形態に示す種々の構成は、始動入賞口26aに至る経路を可変表示装置100の周囲に確保し難い状況においても、この可変表示装置100の前方を通じて確保できることから、例えば、可変表示装置100が大型化された遊技機においても、始動入賞口26aに至る経路を、遊技盤6に多く確保することが可能である。
また、上記した実施の形態は、あくまでも一例であり、各種仕様に求められる要求等に応じて、種々の変更が可能である。
例えば、図15に示すように、クルーン131の落とし穴131aや移送装置200の吐出口215に遊技球の通過を検知するセンサ180を取り付け、遊技機1の制御系において、可変表示装置100の正面を落下する遊技球の位置と、可変表示装置100に表示すべき画像の動機を取る等の構成が考えられる。
より詳しくは、センサ180の出力を図柄制御装置61に読み込み、センサ出力の検出時刻と、その検出時刻からの経過時間に基づき遊技球の位置(高さ等)を算出する。そして、図柄制御装置61は、この遊技球の位置をパラメータとして、可変表示装置100に表示すべき画像のデータと、このデータの表示タイミングを決定し、このデータで構成される画像を適宜のタイミングで可変表示装置100に表示する。つまり、この例では、センサ180で検出した遊技球の位置をパラメータに画像等の情報の表示タイミングを調節する機能を図柄制御装置61に設け、遊技球の挙動と相関関係のあるタイミングで可変表示装置100に画像等の情報を表示する。
また、可変表示装置100に表示すべき画像としては、例えば、図15に示すように、遊技球をモチーフとした画像181等を例示でき、図柄制御装置61は、この画像181が遊技球の背後に重なり合って表示されるタイミングで表示ユニット102に画像データを送信する。
また、この遊技球をモチーフとした画像181は、実際の遊技球(図15中181a)に比べて幾分大きな直径を有する画像であることが望ましく、この場合には、可変表示装置100の大型化に伴い、遊技球の視認性が低下した場合においてもこの画像181の表
示を以て遊技球の挙動を明確に遊技者に認識させることが可能になる。