JP4166816B2 - 水圧転写方法、水圧転写品及び水圧転写フィルム用塗布剤 - Google Patents

水圧転写方法、水圧転写品及び水圧転写フィルム用塗布剤 Download PDF

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Description

本発明は、水圧転写方法、水圧転写品及び水圧転写フィルム用塗布剤に関し、更に詳細に述べると、加飾されるべき物品の表面に水圧転写すべき水圧転写フィルム上の乾燥している印刷パターンの付着性を再現(回復)して水圧転写する方法、この方法によって得られる水圧転写品及びこの水圧転写方法に用いられるのに好適な水圧転写フィルム用塗布剤に関するものである。
複雑な三次元的な表面を有する物品の表面を加飾するために水圧転写方法が用いられている。この水圧転写方法は、代表的には、水溶性フィルムの上に非水溶性の印刷パターンを有する水圧転写フィルムを転写槽内の水面上に浮かばせ、この水圧転写フィルムの水溶性フィルムを水で湿潤させた上で、物品(被転写体)をこの水圧転写フィルムの印刷パターンに接触させながら転写層内の水中に押入れ、水圧を利用して水圧転写フィルムの印刷パターンを被転写体の表面に転写して装飾層を形成する方法である。
一般的には、水圧転写フィルムは、水溶性フィルム上に印刷パターンが印刷され乾燥されてロール状に巻いて保管されているため、印刷パターンのインクは付着性を失った乾燥状態にあるので、水圧転写前に、水圧転写フィルム上の印刷パターンに活性剤やシンナー等の溶剤を塗布して印刷パターンを印刷直後と同様の湿潤状態にする(付着性を有する状態に戻す)必要があり、この処理は、通常活性化処理と称されている。また、このように水圧転写によって物品の表面に形成された装飾層に、耐摩耗性、耐溶剤性、耐薬品性、耐候性等の機械的、化学的な表面保護機の機能を付与するために、通常では、装飾層の上部に透明な表面保護層(トップコート層)が形成されている。
このような表面保護層は、装飾層の水圧転写後にスプレー手段や水圧転写方法等によって装飾層とは別途に行う場合と、装飾層の水圧転写と同時に行う場合(特許文献1及び2参照)とがあるが、これらのいずれも、装飾層自体に表面保護機能を有しないので、装飾層とは別個の表面保護層が必要となる。しかし、表面保護層と装飾層とを別途に形成する方法は、加飾作業と表面保護作業との2つの作業を必要とするので、作業性が低く、また装飾層と表面保護層とを同時に形成する場合には、複雑な構成の水圧転写フィルムを必要とし、いずれも表面が保護された装飾層を安価に得ることができない欠点があった。
一方、本発明者らは、装飾層自体に耐摩耗性、耐溶剤性等を付与しつつ装飾層を水圧転写する方法の発明を提案しており、この発明は、特許出願され、これらは、既に特許されている(特許文献3乃至5参照)。これらの方法によると、水圧転写フィルムの乾燥している印刷パターンに付着性を再現する光重合性モノマーの如き非溶剤型の活性化成分を含有する紫外線硬化樹脂組成物を塗布してこの紫外線硬化樹脂組成物の活性化成分によって印刷パターンの付着性が再現され、またこの紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンの全体に浸透した状態で印刷パターンが被転写物上に水圧転写されるので、この印刷パターン中の紫外線硬化樹脂組成物が紫外線照射によって硬化すると、印刷パターンによって形成される装飾層に恰も紫外線硬化性が付与された状態となり、この装飾層自体に耐溶剤性、耐摩耗性等の化学的、機械的表面保護機能が付与される。
このように水圧転写フィルムに紫外線硬化樹脂組成物を塗布して、乾燥している印刷パターンの付着性を再現させ、且つこの印刷パターンに紫外線硬化性を付与するために印刷パターンに紫外線硬化樹脂組成物を浸透させ混在させて印刷パターンと紫外線硬化樹脂組成物とを渾然一体化させるためには、紫外線硬化樹脂組成物は、理想的には、一旦乾燥固化している印刷パターンの全体へ均等に浸透が可能な程度の比較的低い粘性とインクを溶解して付着性を復元することができるインク溶解度とを必要とし、またこの紫外線硬化樹脂組成物は、水圧転写時には、所要の塗布量で印刷パターンに塗布されることが望まれる。紫外線硬化樹脂組成物の粘度が高すぎると、この紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンの全体へ適当量で浸透しないし、紫外線硬化樹脂組成物のインク溶解度が低いと、乾燥固化された状態にある印刷パターンの付着性を再現することができないし、紫外線硬化樹脂組成物の塗布量が少なすぎると、紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンの表面(転写後の外表面)に到達しない。
また、紫外線硬化樹脂組成物の粘度が低すぎたり、塗布量が多すぎたりすると、印刷パターンを崩すことになり、柄がぼけたような現象を生ずることになる。
このため、乾燥している印刷パターンに付着性を再現したり、印刷パターンに紫外線硬化樹脂組成物が浸透して渾然一体化したりするためには、紫外線硬化樹脂組成物に所定の粘度とインク溶解度と塗布量とが必要となる。紫外線硬化樹脂の渾然一体化とは、印刷パターンと部分的に混じり合っている状態ではなく、印刷パターンと全体的に、好ましくは、ほぼ均等に混ざり合っている状態をいう。紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンの樹脂組成物塗布側でのみ混じり合っているが、転写後の外表面には紫外線硬化樹脂層が到達していないと、装飾層の最外面である装飾層表面には耐溶剤性等の表面保護機能が付与されないことになる。
本発明者等が提案している上記方法の発明においては、このように印刷パターンの付着性を再現し、印刷パターンの全体に浸透して印刷パターンに混在させるのに適当な紫外線硬化樹脂組成物として帝国インキ製造株式会社からUVスクリーンインキの商品名「UV MAT−000メジュウム」又は「UV PAL−000メジュウム」で市販されているものを使用することを開示している。これらは、汎用品として市販されているものであり、一応、乾燥している印刷パターンの付着性を再現し、印刷パターンの全体に浸透して印刷パターンに紫外線硬化性を付与することができるが、これらの汎用の紫外線硬化樹脂組成物は、例えば、木目らしき模様が付いていればよいという程度の低〜中級の水圧転写に対して適用できる程度のものであった。これらの汎用の紫外線硬化樹脂組成物は、自動車内装品の加飾において本木感のような精緻な意匠性を要求される高〜超高級の水圧転写に対しては、充分に対処し得るものではなく、また、印刷パターンに使用されるインクの種類や濃淡の如き印刷パターンの要素に関して過去に膨大な蓄積のある豊富な種々の転写フィルムに対して充分に対応することのできないし、従来の水圧転写の加工ラインにおける諸設備との互換・適合性に問題が残されていた。
これらの市販一般の紫外線硬化樹脂組成物は、少なくとも光重合性プレポリマーと光重合性モノマーと光開始剤とを含むが、それらを調合し、場合によって他の成分を添加して、インク、塗料、接着剤等の各種用途向けの製品として製造されていたものであり、本発明が対象とするように、一旦乾燥固化したインク全体に浸透し、紫外線照射を受けた後は、インクと渾然一体化して恰もインクに紫外線硬化性が与えられたかのように、インクと共に硬化するような用途を意図して製造された製品ではなかった。上記の特許文献に記載された実施例では、従来からある既成の他の用途の製品の中からインクの付着性の再現と印刷パターンに紫外線硬化性を付与することができるものを探して、それを妥協的に使用していたにすぎなかった。
今回、本発明者は、一旦乾燥固化している印刷パターンの全体に均等に浸透することができる程度に比較的低い粘度とインクを溶解して付着性を復元することのできるインク溶解度とを有する水圧転写フィルム用塗布剤として最適な紫外線硬化樹脂組成物を新規に求めるに当たり、光重合性プレポリマーや光重合性モノマー等の種類や組み合わせを変えて種々の調合を行い、それらを用いて行われた水圧転写の繰り返しの試行の結果、水圧転写フィルム用塗布剤に最適な紫外線硬化樹脂組成物としては、所定の粘度と所定のインク溶解度が必要なことと、それには光重合性モノマーの選択等が非常に重要であることなどを見出した。
これを具体的に述べると、光重合性モノマーは、(1)これが添加されて紫外線硬化樹脂組成物として適切な粘度となるために、光重合性モノマー自身が低粘度であること、(2)高粘度の傾向がある仕上げ塗膜の物性上で不可欠な光重合性プレポリマーに対する溶解力が必要であること、(3)印刷パターンのインクに対する溶解力が必要であること、(4)光重合性モノマー自身も紫外線照射時には硬化性がよいこと、(5)水圧転写品の基材に多用されているABSやPC材等への付着性がよいこと、(6)硬化時には収縮性が少なく、平滑性があり、透明性が確保されていることが要求され、従って、水圧転写用フィルムの塗布剤としては、これらを満たした光重合性モノマーから成る紫外線硬化樹脂組成物が必要であることが解かった。
特開平4−197699号公報 特開2003−200698号公報 特願2003−409874号明細書 特開2005−14604号公報 WO2004/108434号公報
本発明が解決すべき第1の課題は、水圧転写フィルムの印刷パターンの付着性を再現させ、且つ印刷パターンに紫外線硬化性を付与する作業を確実に効率よく行うのに好適な水圧転写フィルム用塗布剤を用いて物品に水圧転写する方法を提供することにある。
本発明が解決すべき第2の課題は、水圧転写フィルムの印刷パターンの付着性を再現させ、且つ印刷パターンに紫外線硬化性を付与する作業を確実に効率よく行うのに好適な水圧転写フィルム用塗布剤を用いて製造された水圧転写品を提供することにある。
本発明が解決すべき第3の課題は、水圧転写フィルムの印刷パターンの付着性を再現させ、且つ印刷パターンに紫外線硬化性を付与する作業を確実に効率よく行うのに好適な水圧転写フィルム用塗布剤を提供することにある。
本発明の第1の課題解決手段は、水溶性フィルム上に乾燥された印刷パターンを有する水圧転写フィルムの前記印刷パターンを物品の表面に水圧転写する際に、前記水圧転写フィルムの前記印刷パターン上に無溶剤タイプの紫外線硬化樹脂組成物から成る塗布剤を塗布して前記紫外線硬化樹脂組成物中の非溶剤活性化成分により前記印刷パターンの付着性を再現すると共に前記印刷パターンの全体に前記紫外線硬化樹脂組成物を浸透し混在させて、前記紫外線硬化樹脂組成物が混在する前記印刷パターンに前記物品の表面を押し当てるようにして前記物品を前記水圧転写フィルムと共に水中へ押し入れることによって前記印刷パターンを前記物品に水圧転写し、その後前記物品に紫外線を照射して前記紫外線硬化樹脂組成物と前記紫外線硬化樹脂組成物が混在する前記印刷パターンとが渾然一体化した状態で硬化する水圧転写方法において、前記水圧転写フィルムの印刷パターンに塗布すべき塗布剤は、有機溶剤を含むことがなく、少なくとも光重合性プレポリマーと光重合性モノマーと光重合開始剤とを含み、前記光重合性プレポリマーが9〜40質量%、光重合性モノマーが50〜90質量%、光重合開始剤が0.5〜5質量%、残部が0.5〜5質量%であって、10〜100CPS(25℃)の粘度とSP値で10以上のインク溶解度とを有するものであり、前記水圧転写フィルムの印刷パターンに前記塗布剤をを塗布した後、前記印刷パターンを転写すべき物品を前記水圧転写フィルムに接触させながら水中に押し入れて水圧転写することを特徴とする水圧転写方法を提供することにある。
本発明の第1の課題解決手段において、塗布剤を3〜30μmの厚みで印刷パターンに塗布するのが好ましい。
本発明の第2の課題解決手段は、第1の課題解決手段による水圧転写方法によって製造された印刷パターンを有することを特徴とする水圧転写品を提供することにある。
本発明の第3の課題解決手段は、第1に課題解決手段による水圧転写方法に用いられる水圧転写フィルム用塗布剤であって、紫外線硬化樹脂組成物は、有機溶剤を含むことがなく、少なくとも光重合性プレポリマーと光重合性モノマーと光重合開始剤とを含み、光重合性プレポリマーは、9〜40質量%、光重合性モノマーは、50〜90質量%、光重合開始剤は、0.5〜5質量%、残部は0.5〜5質量%であって、10〜100CPS(25℃)の粘度とSP値で10以上のインク溶解度とを有することを特徴とする水圧転写フィルム用塗布剤を提供することにある。
本発明の第3の課題解決手段において、光重合性モノマーは、3〜30CPS(25℃)の粘度とSP値で9以上のインク溶解度とを有するのが好ましく、この場合、光重合性モノマーは、1.6ヘキサンジオールジアクリレート又はジプロピレングリコールジアクリレートであるのが望ましい。
本発明は、紫外線硬化樹脂組成物を水圧転写用フィルムの塗布剤とするが、特にこの紫外線硬化樹脂組成物中の光重合性モノマーは、光重合性プレポリマーに対する溶解力と共に、印刷パターンのインクに対する溶解力があり、硬化性がよく、水圧転写されるべき基材であるABSやPC材等への付着性がよく、硬化時には収縮性が少なく、平滑性があり、透明性が確保されている。このため、紫外線硬化樹脂組成物の適正な粘度とインク溶解度とによって水圧転写フィルムの乾燥固化した印刷パターンの付着性を確実に再現することができる上に、紫外線硬化樹脂組成物を印刷パターンの塗布側の表面から反対側の表面までの全厚みに浸透し入り込んで、紫外線硬化後に印刷パターンの全体(全面積、全厚み)に亘って確実に渾然一体化することができるので、印刷パターンが転写して得られる装飾層は、その外表面を含む全体に渡って紫外線硬化され、従って印刷パターンを物品の表面に強固に付着することができる上に、装飾層自体に紫外線硬化による表面保護機能が確実に付与される。このため、本木感の如き精緻な意匠性を要求される高〜超高級の水圧転写にも充分に対処することができ、また過去の膨大な蓄積のある転写フィルムの印刷パターンの種類の豊富さにも充分に対応することができる上に、現状の水圧転写の加工ラインにおける諸設備との互換・適合性がある。
本発明は、10〜100CPS(25℃)の特定の粘度とSP値で10以上の特定のインク溶解度とを有する紫外線硬化樹脂組成物を用いることによって、紫外線硬化樹脂組成物の溶解度を、印刷パターンのインク組成物の溶解度に近づけることができる。また、紫外線硬化樹脂組成物の粘度を上記のように特定することにより、印刷パターンのインク組成物への平滑なコーティングとインク組成物への紫外線硬化樹脂組成物の浸透性を確保することができる。
更に、本発明は、3〜30CPS(25℃)の特定の粘度とSP値で9以上の特定のインク溶解度とを有する光重合性モノマーを用いることによって、高粘度傾向である光重合性プレポリマーをよく溶解して粘度を下げると共に紫外線硬化樹脂組成物を印刷パターンのインク組成物の溶解度に近づけることができ、印刷パターンのインク組成物に平滑に塗布することができる性質(平滑塗布性)とインク組成物に紫外線硬化樹脂組成物を良好に浸透することができる性質(浸透性)とを確保することができる紫外線硬化樹脂組成物を得ることができ、更に、この紫外線硬化樹脂組成物は、基材であるABSやPCh材等への付着性も良好で、硬化時の平滑性や透明性が充分に確保されており、これらを兼ね備えて使用することができる水圧転写フィルム用塗布剤を得ることができる。
なお、本発明において、「有機溶剤を含むことがなく」とは、「溶剤成分」が絶対零という意味ではなく、紫外線硬化樹脂組成物における非溶剤活性化成分、典型的には光重合性モノマーによる印刷パターンの再付着化機能を必要且つ充分に得ることができれば、本発明を回避する目的で溶剤成分を添加したり、モノマーやプレポリマーを製造する際に用いた溶剤成分が残留していたりするのを排除するものではない。また、同様に、「有機溶剤を含むことがなく」は、光重合性モノマー等の成分の「揮発性」が絶対零と言うのではなく、溶剤ほど高くはないという程度のものであり、実用上無視できる程度の揮発性を有していてもよい。
本発明の塗布剤が用いられて実施される水圧転写の概略図である。 本発明の塗布剤を用いて物品に水圧転写を行う方法の各工程を模式的に示す図面である。 図2の方法によって得られた装飾層を有する物品の拡大断面図である。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1は、本発明が適用される水圧転写方法を概略的に示し、この水圧転写方法は、印刷パターン40が施された水溶性フィルム30から成る転写フィルム20を印刷パターン40が上面となるようにして転写槽内の水50上に供給して浮かばせ、水圧転写すべき物品10をこの転写フィルム20を介して水50の中に押し込んで水圧転写する方法である。
水溶性フィルム30は、水を吸収して湿潤し軟化する例えばポリビニールアルコールを主成分とする水溶性材料から成っている。この水溶性フィルム30は、水圧転写時に、転写槽内の水50に触れて軟化し加飾されるべき物品に付き回って、水圧転写を行うことができるようにする。印刷パターン40は、一般的な水圧転写の場合には、水溶性フィルム30の上にグラビア印刷等によって予め施されており、転写フィルムをロール巻き等の状態で保管するために、水圧転写前には、完全に付着性が失われた乾燥固化の状態にある。なお、この印刷パターン40は厳密な意味での模様の他に無地(無模様)の印刷層も含む。
本発明が適用される水圧転写方法は、図2に示すように、物品10に水圧転写する前に(図2A参照)、転写フィルム20の印刷パターン40に塗布剤60として紫外線硬化樹脂組成物62を塗布し(図2B参照)、この紫外線硬化樹脂組成物62中の非溶剤活性化成分により印刷パターン40の付着性を再現すると共に印刷パターン40全体(全面積、全厚み)に紫外線硬化樹脂組成物62を浸透し吸収されて紫外線硬化樹脂組成物62を印刷パターン40に混在させて行う方法である(図2C参照)。このようにすると、印刷パターン40のインク組成物とこの印刷パターン40に塗布されて印刷パターン40に浸透された紫外線硬化樹脂組成物62とが混合して紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46が形成される(図2D参照)。
このように紫外線硬化樹脂組成物62によって付着性が再現され、紫外線硬化樹脂組成物62が印刷パターン40の全体に混在して形成された紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46を有する転写フィルム20を物品10に水圧転写した後(図2E参照)、この物品10に紫外線70を照射すると(図2F)、紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46中の紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンと渾然一体化して硬化するので、これは、丁度、印刷パターン40自体に紫外線硬化性が付与されるのと同等となる。従って、紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46の転写によって形成された装飾層44は、紫外線硬化樹脂組成物が分散されて紫外線硬化していることによってそれ自体に表面保護機能が有することになる(図3参照)。
図2(F)の紫外線70の照射は、紫外線硬化性樹脂組成物混在印刷パターン46が転写された物品10に水圧転写フィルム20の水溶性フィルム30が巻き付いている間に行われるのが好ましく、従って、紫外線照射工程は、図示しないが、物品がまだ水中にあるか、物品が水中から取り出された後であって水溶性フィルムの除去のための水洗作業が行われる前に行われるのが好ましい。なお、紫外線70は、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等の光源と照射器(ランプハウス)を含む公知の紫外線硬化装置を用いて照射することができる。
その後、図2Gに示すように、シャワー72等によって、物品10を水洗して、物品10に形成された装飾層44の上面を覆っている水溶性フィルム(膨潤溶解フィルム層)を除去し、更に熱風74によって表面を乾燥して、物品10の表面に装飾層44が水圧転写された加飾物品12を完成する(図3参照)。
本発明の塗布剤60として用いられる紫外線硬化樹脂組成物62は、紫外線の化学的作用によって比較的短時間に硬化させることのできる樹脂であり、既に特許文献2乃至5に記載されているように、用途に応じて、紫外線硬化型塗料、紫外線硬化型インク、紫外線硬化型接着剤などの形態を採り、基本的には、(1)光重合性プレポリマー、(2)光重合性モノマー、(3)光重合開始剤を必須成分とし、紫外線照射により硬化する前の液体状態のものであることでは、従来のそれらと同様であるが、本発明に用いられる塗布剤60は、有機溶剤を含むことなく、後に詳細に述べる所定の粘度とインク溶解度を有することに特徴がある。
本発明の紫外線硬化樹脂組成物は、例えば次の組成を有する成分から成っている。
(1)オリゴマー(光重合性プレポリマー) 9〜40質量%
(2)単官能又は二多官能性モノマー
(光重合性モノマー) 50〜90質量%
(3)光重合開始剤 0.5〜5質量%
(4)非反応添加物(樹脂ビーズを除く) 0.5〜5質量%
本発明に用いられる紫外線硬化製樹脂組成物62は、10〜100CPS(25℃)の粘度とSP値で10以上のインク溶解度と有することが要求される(CPSとSP値については後に述べる)。粘度(25℃)が10CPS未満であると、光重合性モノマーの割合が多過ぎて、充分な塗膜物性が得られないので、渾然一体化して紫外線硬化した装飾層であっても、その後のキシレン等の溶剤に対するワイピングテストで、良好な結果が得られない。逆に、100CPSを超えると、光重合性モノマーの割合が少な過ぎて、印刷パターン40の乾燥インク全体に充分に浸透せず、インクの付着性が良好に再現しない。また、インク溶解度がSP値で10未満であると、印刷パターン40の乾燥インクに浸透してインクの付着性を復元することができても、水圧転写後、印刷パターン40、すなわち装飾層44が物品10の表面に付着し難い。
また、光重合性モノマーが、3〜30CPS(25℃)の粘度とSP値で9以上のインク溶解度とを有していると、10〜100CPS(25℃)の粘度とSP値で10以上インク溶解度とを有する紫外線硬化製樹脂組成物を調合し易くなる。
なお、紫外線硬化樹脂組成物自体の溶解度がSP値で10以上を有することは、印刷パターン40のインク組成物の溶解度に近づけることになるので、有機溶剤を含むことなく、充分なインク溶解力を呈することができるのである。
本発明に用いられる紫外線硬化樹脂組成物の粘度における「CPS」とは、センチポアーズの略称であり、本明細書の数値は、株式会社東京計器社製のB型粘度計(形式BM)を用いて計測した結果である。
また、本発明に用いられる紫外線硬化樹脂組成物のインク溶解度における「SP値」は、溶解性パラメータ(Solubility parameter)の略称であり、これは、凝集エネルギー密度(cohesive energy density)の平方根と定義され、混合によるエントロピー変化がほとんど零で,エンタルピー変化が起こる正則溶液をもとにハイルドブランド(Hildebrand)とスコット(Scott)とにより提唱されたパラメータである。「凝集エネルギー密度」とは、ある分子を気化する際に要するエネルギーとその分子の分子容との比を意味し、化学構造が類似している溶媒と溶質ではSP値が接近し、溶解熱が小さくなるため溶け易く、これは、「似たもの同士は互いによく溶ける」という経験則と一致し、溶解に関する最も身近なパラメータとして使用されている。そして、一般に「溶剤」のSP値は、蒸発熱より求められ、また「高分子」のSP値は、粘度あるいは膨潤度測定や逆ガスクロマトグラフ法により求められており、SP値が未知の場合には、推定方法としてはHildebrand則や経験的に導かれた表面張力との関係を利用する方法、構造式をもとに原子団の凝集エネルギー定数を利用するフェドルス(Fedors)の方法などがある。
すなわち、SP値(δ)の基本式は、δ=(△E/V)1/2
(上式で、△E:分子凝集エネルギー(cal/mol)、V:分子容(ml/mol))
であるが、本発明で用いられるSP値は、スー(K.W.SUE)とクラーク(D.H.CLARKE)が発表している濁度滴定法によるもので、この濁度滴定法は、「Journal of Polymer Science PARTA−1,Vol.5,1671-1681(1967)に記載されている。
本発明の紫外線硬化樹脂組成物に用いられる光重合性プレポリマーは、光化学作用によって更に硬化し得るポリマーであって、光重合性不飽和ポリマーと呼ばれたり、ベースレジンや光重合性オリゴマーと呼ばれたりしている。これは、硬化後の仕上げ塗膜としての基本的な諸物性や作業性に影響を与える成分であり、所望特性に応じて、アクリル系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー等の何れかを単独又は任意に組み合わせて使用することができる。なお、光重合性プレポリマーは、最終的なポリマーほど重合度は高くないが、モノマーでもなく、ある程度重合したもので、相応の粘度を有しているため、水圧転写用フィルム塗布剤として相応しい粘度に希釈される必要がある。
光重合性モノマーは、光重合性プレポリマーを希釈する役割を果たしつつ、乾燥固化している印刷パターン(インク)を溶解して印刷パターンに付着性を付与し、また紫外線が照射された際には、それ自身が重合に関与するものである。
光重合性モノマーには、官能基が一つある単官能性モノマーと、官能基が二つ以上ある多官能性モノマーとがあり、単官能性モノマーは、物品との密着性を向上させたり、硬化後の塗膜に柔軟性を付与したりする機能を有し、また多官能性モノマーは、プレポリマー分子間を橋渡しする架橋剤の役割をも有する。しかし、3官能基以上の多官能性モノマーは、粘度が高いので、本発明の水圧転写フィルム用塗布剤としての紫外線硬化樹脂組成物成分には好ましくない。
このため、本発明の紫外線硬化樹脂組成物に用いることができる光重合モノマーとしては、例えば、シクロヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルメタクリレートの如き単官能モノマーや、1.6−ヘキサンジオール・ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1.9−ノナンジオール・ジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ネオベペンチルグリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートの如き2官能モノマーを挙げることができる。
しかし、本発明の紫外線硬化樹脂組成物の光重合モノマーとしては、光重合性プレポリマーに対する溶解力や硬化性や硬化時の低収縮性の他に、印刷パターンのインクに対する溶解力が必要であり、加飾すべき物品の基材であるABSやPC材等への付着性がよく、平滑性があり、透明性が確保されていることなども要求され、これらを兼ね備えて使用することができる幾つかの具体例とその諸物性を表1に示す。
Figure 0004166816
上記の表から解るように、少なくとも加飾すべき物品の基材がABS樹脂、PC樹脂である場合には、物品への付着性を考慮すると、光重合モノマーは、1.6ヘキサンジオールジアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートが好ましく、またインク溶解度のパラメータ(SP値)を考慮すると、1.6ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートが好ましく、インクへの浸透性と溶解力とを考慮すると、1.6ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、イソボニルアクリレートが好ましい。従って、これらのすべての物性を総合的に考慮すると、1.6ヘキサンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレートが好ましく、特に、1.6ヘキサンジオールジアクリレートが最も好ましいことが解る。また、この1.6ヘキサンジオールジアクリレートの添加量は、紫外線硬化樹脂組成物全体に対して重量換算で30〜90%であるのが望ましい。
光開始剤は、紫外線を吸収して重合反応を開始させるもので、光重合開始剤とも呼ばれ、紫外線硬化樹脂組成物が乾燥固化しているインクを溶解して浸透するため、表面硬化型光開始剤と内部硬化型光開始剤との両方を含んでいるのが好ましい。内部硬化型光開始剤は、印刷パターンが黒インクを含んでいる場合に用いるのに好適である。両方の光開始剤を含む場合には、内部硬化型光開始剤は、重量換算で光開始剤全体の10〜90%であるのが望ましい。表面硬化型光開始剤としては、例えばヒドロキシケトン系を用いることができ、また内部硬化型光開始剤としては、例えばアシルホスフィンオキサイド系を用いることができる。
この紫外線硬化樹脂組成物には、必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、安定剤(劣化防止剤)等が添加されていてもよい。更には、装飾層の全体に霞が掛かったような意匠表現が行えるように、この紫外線硬化樹脂組成物に樹脂ビーズを添加してもよい。ガラスビーズであると、その大きな比重によって沈降してしまうので、PET樹脂やアクリル樹脂やウレタン樹脂のビーズが好ましい。また、その粒径は、10μm程度、その添加量は、30重量%程度が望ましい。
紫外線硬化樹脂組成物62を塗布する工程は、グラビアロール、ミヤバー又はスプレー等のいずれの方法で行うことができるが、スプレー法は多量の塗料を浪費する傾向があるので、グラビアロール法又はミヤバー法が好ましい。
なお、この紫外線硬化樹脂組成物の塗布量は、特に限定されないが、印刷パターン40の付着性を充分に再現することができるとともに、転写後の所期の紫外線量の照射によって、印刷パターン40の反対側の表面まで充分に浸透して混在することができる量で塗布されることが望ましく、具体的には、印刷パターンの厚みに応じて3〜30μmの厚みとする。この紫外線硬化樹脂組成物は、特許文献3で述べたように、印刷パターン40上に塗布すると、そのインク組成物に浸透し混在するために、その単独での膜厚を規定することは困難であるが、例えば、厚さ3μmの印刷パターン40に混入し一体化するためには、紫外線硬化樹脂組成物の厚みは、10μm程度が適当であり、この場合活性化された印刷パターン層(紫外線硬化樹脂組成物が混在した印刷パターン層46)の湿潤状態で、10〜15μmである。
以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
(実施例1)
この実施例による塗布剤は、下記の組成を有する紫外線硬化樹脂からなっていた。なお、配合割合は、重量%である。
(1)ウレタンアクリレート(オリゴマー) 30.8%
(2)1.6ヘキサンジオールアクリレート 61.6%
(2官能アクリレートモノマー)
(3)ヒドロキシケトン系(表面硬化型)光開始剤 2.4%
(4)アシホルスフィンオキサイド系(内部硬化型)開始剤 2.4%
(5)ポリエーテル変性ポリシロキサン(レべリング剤) 0.5%
(6)アクリル樹脂組成物(消泡剤) 0.5%
(7)ヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系UV吸収剤 0.9%
(8)ヒンダードアミン系(HALS)光安定剤 0.9%
合 計 100.0%
この実施例1による紫外線硬化樹脂組成物から成る塗布剤を用いて図2に示す水圧転写方法によってABS樹脂組成物を基材とする物品に所定パターンの装飾層を形成した。この場合、転写フィルムの印刷パターンは、3μmの厚みを有し、本発明の塗布剤は、これに10μmの厚みにミヤバー法で塗布した。このようにして形成された装飾層を有する物品の装飾層の密着性を碁盤目テープ法(1mm碁盤目クロス100升)でテストしたところ、従来の有機溶剤型活性剤を用いて活性化した印刷パターンを転写してトップコートを施さなかった従来の水圧転写品やその上に従来のウレタン樹脂のトップコートを施した従来のトップコート層付き水圧転写品と同等の密着性を有することが確認された。
一方、このようにして形成された装飾層の耐溶剤性をテストするため、10枚重ねのガーゼにキシレンを含ませたものを製品の表面に擦りつけつつ8往復ワイピングしてみたところ、従来のトップコート層付き水圧転写品ほどではないが、装飾層の損傷がほとんどなく、従来のトップコート層付き水圧転写品に匹敵する程度の良好な耐溶剤性を示すことが確認された。これは、紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンの表面(塗布側とは反対側)に達するまで浸透し入り込んで印刷パターンに混在し、両者が渾然一体化して装飾層を形成していることを示している。
特に、墨系いわゆる黒色のインクが多用された転写パターンが施された転写フィルムに対して塗布し水圧転写した場合には、本出願人が先に開示した紫外線硬化樹脂組成物である帝国インキ製造株式会社製の「UV MAT−000メジュウム」や「UV PAL−000メジュウム」を用いて塗布したものより、一層強い密着性を有しており、更に、過去の膨大な蓄積のある転写フィルムの中からインク種類や濃淡の使い方が両極端な転写パターンが施された転写フィルムや、精緻な意匠として描かれた転写フィルムに対して塗布し水圧転写した場合でも、いわゆるピンホールやインクツブ等の欠陥が生じたり、柄が伸びなかったり、逆にボケてしまうようなこともなく、良好な水圧転写を行うことができた。また、従来の水圧転写の加工ラインにおける諸設備における条件設定等を格別変えることなく、ほぼ従来のままで使用することができた。
(実施例2)
この実施例による塗布剤は、下記の組成を有する紫外線硬化樹脂からなっていた。なお、配合割合は、同様にして重量%である。
(1)ウレタンアクリレート(オリゴマー) 30.7%
(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート 61.4%
(2官能アクリレートモノマー)
(3)ヒドロキシケトン系(表面硬化型)光開始剤 7.4%
(4)ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン
(レベリング剤) 0.5%
合 計 100.0%
この実施例2による紫外線硬化樹脂組成物から成る塗布剤を用いて図2に示す水圧転写方法によってABS樹脂組成物を基材とする物品に所定パターンの装飾層を形成した。実施例1と同様に、転写フィルムの印刷パターンは、3μmの厚みを有し、本発明の塗布剤は、これに10μmの厚みにミヤバー法で塗布した。このようにして形成された装飾層を有する物品の装飾層の密着性を碁盤目テープ法(1mm碁盤目クロス100升)でテストしたところ、従来の有機溶剤型活性剤を用いて活性化した印刷パターンを転写してトップコートを施さなかった従来の水圧転写品やその上に従来のウレタン樹脂のトップコートを施した従来のトップコート層付き水圧転写品と同等の密着性を有することが確認された。
同様にして、この実施例2によって得られた装飾層の耐溶剤性をテストするため、10枚重ねのガーゼにキシレンを含ませたものを製品の表面に擦りつけつつ8往復ワイピングしてみたところ、従来のトップコート層付き水圧転写品ほどではないが、装飾層の損傷がほとんどなく、従来のトップコート層付き水圧転写品に匹敵する程度の良好な耐溶剤性を示すことが確認された。これは、紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンの表面(塗布側とは反対側)に達するまで浸透し入り込んで印刷パターンに混在し、両者が渾然一体化した装飾層を形成していることを示している。
しかし、この塗布剤を塗布する転写フィルムのインク色が墨系で、濃度が高いものであり、紫外線を透過し難いものであっても、本出願人が先に開示した紫外線硬化樹脂組成物である帝国インキ製造株式会社製の「UV MAT−000メジュウム」や「UV PAL−000メジュウム」を用いて塗布したものより、一層強い密着性を有した。しかし、実施例1に比べると、例えば、インク濃淡の激しい転写パターンの施された転写フィルムに塗布し水圧転写した場合には、その塗布量によってはいわゆるピンホールやインクツブ等の欠陥を生じることもあり、若干の性能低下があることが解った。これは、用いられた光重合性モノマー成分のインク溶解度が若干低く、塗布剤としての紫外線硬化樹脂組成物としてのインク溶解度も若干低かったことによると考えられる。
本発明によれば、物品に転写されるべき転写フィルム上の乾燥された印刷パターンに紫外線硬化樹脂組成物を塗布して印刷パターンのインクの付着性を高い作業効率で確実に再現することができると共に、紫外線硬化樹脂組成物が印刷パターンに効率よく浸透して印刷パターンに混在させることができ、従って水圧転写すべき印刷パターンの付着性と装飾層の表面保護機能とを同時に達成するのに好適な塗布剤を提供することができ、産業上の利用性が著しく向上する。

Claims (6)

  1. 水溶性フィルム上に乾燥された印刷パターンを有する水圧転写フィルムの前記印刷パターンを物品の表面に水圧転写する際に、前記水圧転写フィルムの前記印刷パターン上に無溶剤タイプの紫外線硬化樹脂組成物から成る塗布剤を塗布して前記紫外線硬化樹脂組成物中の非溶剤活性化成分により前記印刷パターンの付着性を再現すると共に前記印刷パターンの全体に前記紫外線硬化樹脂組成物を浸透し混在させて、前記紫外線硬化樹脂組成物が混在する前記印刷パターンに前記物品の表面を押し当てるようにして前記物品を前記水圧転写フィルムと共に水中へ押し入れることによって前記印刷パターンを前記物品に水圧転写し、その後前記物品に紫外線を照射して前記紫外線硬化樹脂組成物と前記紫外線硬化樹脂組成物が混在する前記印刷パターンとが渾然一体化した状態で硬化する水圧転写方法において、前記水圧転写フィルムの印刷パターンに塗布すべき塗布剤は、有機溶剤を含むことがなく、少なくとも光重合性プレポリマーと光重合性モノマーと光重合開始剤とを含み、前記光重合性プレポリマーが9〜40質量%、光重合性モノマーが50〜90質量%、光重合開始剤が0.5〜5質量%、残部が0.5〜5質量%であって、10〜100CPS(25℃)の粘度とSP値で10以上のインク溶解度とを有するものであり、前記水圧転写フィルムの印刷パターンに前記塗布剤を塗布した後、前記印刷パターンを転写すべき物品を前記水圧転写フィルムに接触させながら水中に押し入れて水圧転写することを特徴とする水圧転写方法。
  2. 請求項1に記載の水圧転写方法であって、前記塗布剤を3〜30μmの厚みで前記印刷パターンに塗布することを特徴とする水圧転写方法。
  3. 請求項1又は2に記載の水圧転写方法によって製造された印刷パターンを有することを特徴とする水圧転写品。
  4. 請求項1に記載の水圧転写方法に用いられる水圧転写フィルム用塗布剤であって、前記紫外線硬化樹脂組成物は、有機溶剤を含むことがなく、少なくとも光重合性プレポリマーと光重合性モノマーと光重合開始剤とを含み、前記光重合性プレポリマーは、9〜40質量%、光重合性モノマーは、50〜90質量%、光重合開始剤は、0.5〜5質量%、残部は0.5〜5質量%であって、10〜100CPS(25℃)の粘度とSP値で10以上のインク溶解度とを有することを特徴とする水圧転写フィルム用塗布剤。
  5. 請求項4に記載の水圧転写フィルム用塗布剤であって、前記光重合性モノマーは、3〜30CPS(25℃)の粘度とSP値で9以上のインク溶解度とを有することを特徴とする水圧転写フィルム用塗布剤。
  6. 請求項5に記載の水圧転写フィルム用塗布剤であって、前記光重合性モノマーは、1.6ヘキサンジオールジアクリレート又はジプロピレングリコールジアクリレートであることを特徴とする水圧転写フィルム用塗布剤。
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