JP4166552B2 - 圧力調整器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、流入する流体の圧力を所定の圧力に調整するために用いられる圧力調整器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
この種の圧力調整器としては、例えば図3(a)、(b)に示すようなものが知られている。この圧力調整器101は、流体流路20を有する本体フレーム2を備え、流体流路20の流入口21から弁3を通じて圧力室4に流入した流体を、圧力室4において圧力調整して排出口22より排出するものである。
この圧力調整器101においては、圧力室4の壁面の一部がダイヤフラム5によって形成されている。ダイヤフラム5は、その周縁部5aが圧力室4の他の壁面を形成する本体フレーム2に対して固定され、中央部5bが上下方向に変位可能であるように、構成されている。
【0003】
ダイヤフラム5の下面(図3(a)の下方)には、シート(弁体)10の軸部11の先端11aが当接している。このシート10は、概略ロッド状に形成されており、本体フレーム2内に形成された摺動穴13内に摺動可能に配置された基部12と、この基部12の前記圧力室4側の端部12aから突出された前記軸部11とを有する構成となっている。
【0004】
このシート10の基部12の前記圧力室4と反対側(図3(a)の下方側)の端部12bには、前記摺動穴13内で本体フレーム2によって反力を取ったスプリング14(付勢手段)が当接している。スプリング14によりシート10が上方に付勢されることにより、シート10の軸部11がダイヤフラム5の中央部5bの下面に当接するようになっている。また、これにより、シート10は、ダイヤフラム5の上下変位に伴い、ダイヤフラム5とともに上下に変位するようになっている。
【0005】
圧力室4への流体の入り口となる弁3は、シート10の基部12の圧力室4側の端部12aと、この端部12aの上方に位置して本体フレーム2に対して固定されたノズル6(弁座)との間に形成される。弁3の開度ηは、シート10が上方に変位するほど狭まり、シート10が下方に変位するほど広くなるようになっている。なお、流体流路20は、流入口21から弁3までの間に形成される一次側流路20Aと、弁3から排出口22までの間に形成される二次側流路20Bとに分けられる。二次側流路20Bには、流体の圧力を検知する圧力センサ23が設けられている。この圧力センサ23は、圧力センサ押さえ23aにより、本体フレーム2に対して固定されている。
【0006】
ダイヤフラム5の中央部5bは、押圧機構130によって上方から押圧されている。この押圧機構130は、台座131に固定された圧電アクチュエータ132と、この圧電アクチュエータ132によってボール133を介して駆動されているステム134とを備え、このステム134がダイヤフラム5の中央部5bに上面から当接するようになっている。
圧電アクチュエータ132は、逆圧電効果すなわち外部から印加された電圧に応じて歪みを発生させる現象を利用したものであり、印加電圧の大きさにより、圧電体(顕著な圧電効果を示す物質)の伸縮を制御できるようにしたものである。
【0007】
この押圧機構130は、圧力センサ23によって検知された流体の二次側の圧力に基づいて、図示しない制御手段により、圧電アクチュエータ132への印加電圧を制御して変化させるようになっている。
【0008】
この押圧機構130の動作を、具体的に説明する。
圧力センサ23の検出圧力が所定範囲を下回ったときに、圧電アクチュエータ132は制御手段によって伸張させられ、ステム134が下方に駆動されてダイヤフラム5を介してシート10を下方に押圧する。その結果、弁3の開度ηが大きくなり、流体の流量が増加させられる。
一方、圧力センサ23の検出圧力が所定範囲を上回ったときには、圧電アクチュエータ132が縮小し、ステム134が上方に駆動されてダイヤフラム5への押圧力が弱まり、スプリング14によってシート10が上方に付勢される。その結果、弁3の開度ηが狭くなって、流体の流量が低減し、もしくは遮断される。(例えば特許文献1参照)。
【0009】
【特許文献1】
実開昭62−151618号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、一般に、圧電アクチュエータ132の伸縮量は、およそ数十μmと極めて微小である。このため、上述の圧力調整器101においては、弁3の開度ηを変化させることができる変化量が小さく、この結果、弁3を開いたときの流体流量をあまり大きくすることができない不都合があった。
【0011】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであって、弁の開度を大きくし、弁を開いたときの流体流量を大きくすることができる圧力調整器を提供することを課題とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、流体流路の途中に設けられた圧力室と、この圧力室に連通する流体流路を開閉する弁と、前記圧力室の壁面の一部を構成するダイヤフラムと、このダイヤフラムに対して付勢手段によって付勢して設けられ、前記弁の開度を調整するシートと、圧電アクチュエータによって駆動されることで前記シートを前記ダイヤフラムを介して対向する側から押圧する押圧機構とを有し、前記押圧機構は、前記圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータの変位量を拡大する梃子方式の変位量拡大機構とを有し、前記変位量拡大機構は、前記圧電アクチュエータに対する定位置に固定された固定部と、この固定部に対して弾性ヒンジを介して揺動自在に連結された可動アームとを有して構成され、前記可動アームには、前記圧電アクチュエータによって押圧される受圧部よりも前記弾性ヒンジから離れた位置に、前記シートに対して押圧力を作用させる押圧部が設けられ、前記押圧部に、前記ダイヤフラム側への突出寸法が調整可能な調整部材が設けられていることを特徴とする。
このような圧力調整器によれば、梃子方式の変位量拡大機構により、圧電アクチュエータの変位量を拡大することができる。従って、弁の開度の変化量を大きくし、弁を開いたときの流体流量を大きくすることができる。
また、変位量拡大機構となる梃子を少ない数の部品で実現でき、小型で信頼性の高い変位量拡大機構を備えた圧力調整器を提供できる。
また、調整部材のダイヤフラム側への突出寸法を調整することにより、ダイヤフラムが圧力室側に突出する、下方への変位量を調整することができる。その結果、ガスの流量を調整することができる。
【0015】
また、押圧機構は、シートをダイヤフラムを介して対向する側から押圧するステムを有し、このステムの受圧面積がダイヤフラム面積の25%以下になっていることが好ましい。これにより、圧力室内の流体からダイヤフラムを介してステムに作用する押圧力を低減することができ、圧電アクチュエータへの負荷を軽減することができる。また、ステムの小型化により、ステムの慣性力が低下するので、オーバーシュートを抑制して応答速度を向上することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態に基づいて、本発明を詳しく説明する。
図1(a)は、本発明の圧力調整器の一例を示す断面図である。図1(b)は、この圧力調整器1の要部を示す部分拡大図である。図2は、この圧力調整器1の側面図である。
なお、図1(a)、(b)中、図3(a)、(b)で用いた符号と同一の符号は、図3(a)、(b)の構成と同一または同様のものであることを示す。
【0017】
この圧力調整器1は、流体流路20を有する本体フレーム2を備え、流体流路20の流入口21から弁3を通じて圧力室4に流入した流体を、圧力室4において圧力調整して排出口22より排出するものである。
この圧力調整器1においては、圧力室4の壁面の一部がダイヤフラム5によって形成されている。ダイヤフラム5は、ネジなどの機構により、圧力室4の他の壁面を形成する本体フレーム2に対して固定されるダイヤフラム押さえ7によって、該ダイヤフラム5の周縁部5aが押さえ付けられ、固定されるようになっている。
【0018】
ダイヤフラム押さえ7の中央部には、後述するステム34を収容する透孔7aが形成されている。この透孔7aのダイヤフラム押さえ7下面側の開口端周縁には、凹部7bが形成されている。ダイヤフラム5の中央部5bは、圧力室4および凹部7bに臨んで、上下方向に変位可能となっている。
このダイヤフラム5の下面(図3(a)の下方)には、弁3を形成するシート10の軸部11の先端11aが当接している。シート10および弁3の構成は、図3に示す圧力調整器101と同様のものとすることができるので説明を省略する。
【0019】
ダイヤフラム5の中央部5bは、押圧機構30によって上方から押圧されている。この押圧機構30は、台座31に固定された圧電アクチュエータ32と、この圧電アクチュエータ32によってボール33を介して駆動されている梃子方式の変位量拡大機構40と、ダイヤフラム5の中央部5bに上面から当接するように、ダイヤフラム押さえ7の透孔7a内に摺動可能に収容されたステム34とを備えている。
【0020】
図1(b)に示すように、ステム34の受圧面積S1は、ダイヤフラム5の面積S2の25%以下になっている。より好ましくは、受圧面積S1は、ダイヤフラム5の面積S2の10%以下とすることが好ましい。
ここで、ステム34の受圧面積S1は、ダイヤフラム5中、凹部7bに臨む面積であり、ダイヤフラム5は、この受圧面積S1の範囲で上方への変位が可能になっており、ステム34は、圧力室4内のガスから、受圧面積S1の範囲で圧力を受けるようになっている。
また、ダイヤフラム5の面積S2とは、ここでは、図示したようにダイヤフラム5が圧力室4に臨んで下方に変位可能となっている範囲の面積であって、本体フレーム2とダイヤフラム押さえ7との間に押さえ付けられている周縁部5aの面積が除外されたものである。
なお、従来の圧力調整器101では、図3(b)に示すように、ステム34の受圧面積S1は、ダイヤフラム5の面積S2と等しくされていた。
【0021】
ステム34の受圧面積S1が小さいほど、ステム34がダイヤフラム5を介して受ける圧力室4内のガスの押圧力が小さくなる。また、ダイヤフラム5の面積S2が大きいほど、ステム34がダイヤフラム5を撓ませてシート10に上下変位を伝達するのに必要な力を小さくすることができる。ステム34の受圧面積S1がダイヤフラム5の面積S2の25%以下であることにより、圧力室4内の流体からダイヤフラム5を介してステム34に作用する押圧力を低減することができ、圧電アクチュエータ32への負荷を軽減することができる。
また、ダイヤフラム5の寸法は従来どおりとし、ステム34のみを小型化することにより、該ステム34を上下変位させる慣性力を低下させることができるため、オーバーシュートを抑制して、弁3の開閉の応答速度を向上することができる。
【0022】
変位量拡大機構40は、台座31に固定ボルト42aによって固定された固定部42と、この固定部42に対して弾性ヒンジ43を介して揺動自在に連結された可動アーム44とを有して構成されている。
ここでは、固定部42と弾性ヒンジ43と可動アーム44は、鋼材などにより一体に形成されて、梃子41となっている。
【0023】
この梃子41の可動アーム44には、圧電アクチュエータ32によりボール33を介して押圧される受圧部44aが設けられている。この受圧部44aよりも弾性ヒンジ43から離れた位置には、弁3のシート10に対して押圧力を作用させる押圧部44bが設けられている。
ここでは、受圧部44aは、ボール33を受けるボール受け座である。また、押圧部44bは、可動アーム44に取り付けられたナット46と、このナット46に螺合する調整部材45とからなり、ここでは調整部材45は、ボルトであり、先端45aがステム34の上端に当接するようになっている。
【0024】
可動アーム44は、圧電アクチュエータ32が伸縮しない限り、ステム34の上下の変位を殆ど許容しない程度に剛直となっている。つまり、受圧部44aを中心として押圧部44bが可動アーム44の長手方向と垂直な方向に変位するような可動アーム44の撓みは、実質的に無視できるほどになっている。
これにより、押圧部44bは、調整部材45の先端45aでステム34を押圧することにより、ダイヤフラム5を介してシート10に押圧力を作用させるようになっている。
【0025】
調整部材45の先端45aの可動アーム44からの突出寸法Tは、ナット46に対するボルト45の螺合位置を調整することにより、調整できるようになっている。調整部材45によりステム34を介して下方に押圧されるダイヤフラム5の変位量を調整することにより、ダイヤフラム5とノズル6の上端6aとの間隔が調整され、その結果、ガスの流量を調整することができる。
【0026】
このような圧力調整器1によれば、変位量拡大機構40が、梃子41の支点となる弾性ヒンジ43と、圧電アクチュエータ32によって駆動される力点となる受圧部44aと、作用点となる押圧部44b(詳しくいえば、調整部材45の先端45a)とを有しており、この変位量拡大機構40によって、圧電アクチュエータ32の変位量(伸縮量)を拡大してステム34に伝達することができる。シート10は、ステム34の上下変位量に応じて上下に変位するので、この結果、弁3の開度ηを大きくすることができ、流量の大きい圧力調整器1を得ることができる。
【0027】
以上、本発明を好適な実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明はこの実施の形態のみに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
例えば、梃子方式の変位量拡大機構において、梃子は、弾性ヒンジを支点とするものに特に限定されるものではなく、例えば、桿状部材の一箇所に貫通孔を設け、この貫通孔に、本体フレームなどに対して固定された軸を挿通することで支点とした構成の梃子を採用することもできる。
また、支点が、力点(受圧部)と作用点(押圧部)の中間にある梃子を用いることもできる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の圧力調整器によれば、弁の開度の変化量を大きくし、弁を開いたときの流体流量を大きくすることができる。
また、変位量拡大機構となる梃子を少ない数の部品で実現でき、小型で信頼性の高い変位量拡大機構を備えた圧力調整器を提供できる。
また、調整部材のダイヤフラム側への突出寸法を調整することにより、下方への変位量を調整することができる。その結果、ガスの流量を調整することができる。
【0031】
押圧機構は、シートをダイヤフラムを介して対向する側から押圧するステムを有し、このステムの受圧面積がダイヤフラム面積の25%以下になっていることが好ましい。これにより、圧力室内の流体からダイヤフラムを介してステムに作用する押圧力を低減することができ、圧電アクチュエータへの負荷を軽減することができる。また、ステムの小型化により、ステムの慣性力が低下するので、オーバーシュートを抑制して応答速度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)本発明の圧力調整器の一例を示す断面図である。(b)この圧力調整器の要部を示す部分拡大図である。
【図2】 図1に示す圧力調整器の側面図である。
【図3】 (a)従来の圧力調整器の一例を示す断面図である。(b)この圧力調整器の要部を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
1…圧力調整器、4…圧力室、3…弁、5…ダイヤフラム、10…シート(弁体)、14…付勢手段(スプリング)、20…流体流路、30…押圧機構、32…圧電アクチュエータ、34…ステム、40…変位量拡大機構、41…梃子、42…固定部、43…弾性ヒンジ、44…可動アーム、44a…受圧部、44b…押圧部、45…調整部材、S1…ステムの受圧面積、S2…ダイヤフラムの面積、T…押圧部のダイヤフラム側への突出寸法、η…弁の開度。
Claims (2)
- 流体流路の途中に設けられた圧力室と、
この圧力室に連通する流体流路を開閉する弁と、
前記圧力室の壁面の一部を構成するダイヤフラムと、
このダイヤフラムに対して付勢手段によって付勢して設けられ、前記弁の開度を調整するシートと、
圧電アクチュエータによって駆動されることで前記シートを前記ダイヤフラムを介して対向する側から押圧する押圧機構とを有し、
前記押圧機構は、前記圧電アクチュエータと、この圧電アクチュエータの変位量を拡大する梃子方式の変位量拡大機構とを有し、
前記変位量拡大機構は、前記圧電アクチュエータに対する定位置に固定された固定部と、この固定部に対して弾性ヒンジを介して揺動自在に連結された可動アームとを有して構成され、前記可動アームには、前記圧電アクチュエータによって押圧される受圧部よりも前記弾性ヒンジから離れた位置に、前記シートに対して押圧力を作用させる押圧部が設けられ、
前記押圧部に、前記ダイヤフラム側への突出寸法が調整可能な調整部材が設けられていることを特徴とする圧力調整器。 - 前記押圧機構には、前記シートを前記ダイヤフラムを介して対向する側から押圧するステムが設けられており、前記ステムの受圧面積が、ダイヤフラム面積の25%以下になっていることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整器。
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