JP4162385B2 - p型III族窒化物半導体の製造方法 - Google Patents

p型III族窒化物半導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DVDやCD等の光ピックアップ用光源,電子写真用の書き込み光源,光通信用光源,紫外線センサー,高温動作トランジスター等に利用可能なp型III族窒化物半導体およびその製造方法および半導体装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、青色のLEDは赤色や緑色に比べて輝度が小さく実用化に難点があったが、近年、一般式InAlGaNで表されるIII族窒化物半導体において、低温AlNバッファー層、あるいは低温GaNバッファー層を用いることによる結晶成長技術の向上と、Mgをドーパントとした低抵抗のp型半導体層が得られたことにより、高輝度青色LEDが実用化され、さらには、低出力ではあるが、室温連続発振する半導体レーザが実用化された。
【0003】
III族窒化物半導体の重要な技術として、p型III族窒化物の作製技術がある。この作製技術として、水素をキャリアガスとして使用するMOCVD等の方法があるが、p型III族窒化物は、p型不純物と水素とが結合し、不純物を不活性化してしまうため、水素を含む雰囲気での結晶成長や、水素や水素を生成するガス中での熱処理を行った場合には高抵抗化する。従って、水素をキャリアガスとして使用するMOCVD等の方法では、p型III族窒化物を何も処理しない状態で(as grownで)作製することは困難であった。
【0004】
このため、p型III族窒化物を作製する方法としては、高抵抗化したIII族窒化物に特別な処理を行なってp型化する第1の方法と、冷却工程時に水素がp型不純物と結合すること(図15参照)を防止するように結晶成長の工程を工夫することによってp型III族窒化物を製造する第2の方法とに大別される。
【0005】
第1の方法としては、特開平5−183189号(以下、従来技術1と称す)、あるいは、特開平3−218625号(以下、従来技術2と称す)に示されているものが知られている。すなわち、従来技術1では、図16に示すように、水素や水素を生成するガスを実質含まない雰囲気ガス中で、熱処理を行い、GaN結晶中の水素Hの一部をGaN結晶外へ拡散排出して低抵抗のp型にするようにしている。また、従来技術2では、低エネルギーの電子線を照射し、水素とp型不純物との結合を切って低抵抗のp型にするようにしている。
【0006】
また、第2の方法としては、特開平8−125222号(以下、従来技術3と称す)に示されているように、GaN結晶成長終了後の冷却を、水素を含まない雰囲気や不活性ガス中で行い、低抵抗のp型にするようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来技術1では、p型不純物を不活性化している水素を、熱処理によって結晶外部へ排出するために、水素を含まない雰囲気、一般的には窒素ガス雰囲気で例えば700℃の温度で熱処理を行なう。しかしながら、窒素ガス雰囲気においては、窒素分子からなる窒素ガスはIII族窒化物の生成原料にはならないために、700℃を超える高温ではIII族窒化物結晶表面の分解が起り、表面抵抗が高くなるなど、特性の劣化が生じる場合がある。
【0008】
また、本願の発明者による実験では、熱処理によって水素濃度は減少するが、水素濃度の分布は、熱処理前の濃度分布と相似形をしており、表面近傍が最も濃度が高く、このため、電極の接触抵抗率は必ずしも低くならなかった。
【0009】
また、従来技術3では、1000℃程度の結晶成長温度から室温までの降温を窒素ガス雰囲気や不活性ガスのみの雰囲気で行った場合には、結晶表面の分解が起り、表面抵抗が高くなるなど、特性の劣化が生じる場合があった。
【0010】
また、従来技術2では、低エネルギーの電子線を照射するが、低エネルギー電子線照射は、電子線の侵入深さが浅く、結晶表面近傍しかp型化できないことと、電子線を一度に照射できる面積が狭いために、ウエハー全面をp型化するには時間がかかり、工業的にはコストがかかりすぎるという問題がある。
【0011】
一方、水素を含まない原料のみで成長を行うMBE法では、低抵抗のp型GaNが得られることが知られている。
【0012】
しかしながら、MBE法では、高真空中で結晶成長を行うために窒素の解離による欠陥が形成される等、高品質な結晶成長を行いにくいという問題がある。また、窒素の供給に課題があり、成長速度が遅く、MOCVD法に比べて量産には適していない。
【0013】
一方、MBE法と同様に水素を極力含まない雰囲気で、MOCVD法により結晶成長を行った場合、本願の発明者によるGaNの実験では、表面の凹凸が激しく、結晶性の良いものを成長させることはできなかった。すなわち、水素を含まない雰囲気では、高品質のp型GaNを成長させることはできない。
【0014】
本発明は、表面の劣化が少なく、かつ、低抵抗のp型III族窒化物半導体を製造することの可能なp型III族窒化物半導体の製造方法およびIII族窒化物半導体および半導体装置を提供することを目的としている。
【0015】
また、本発明は、低コストで、信頼性が高く、動作電圧の低い半導体装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、反応管内において、p型不純物と水素の両方を少なくとも含むp型III族窒化物結晶を成長させる工程と、前記p型 III 族窒化物結晶を成長後、前記反応管内にアンモニアガス、窒素ガス及び水素ガスの混合ガスを流しながら前記p型 III 族窒化物結晶を冷却する工程と、前記p型III族窒化物結晶の水素を含む表面層の全部または一部を除去する工程とを含むこと特徴としている。
【0017】
また、請求項2載の発明は、請求項1に記載のp型III族窒化物半導体の製造方法において、前記p型不純物はMgであることを特徴としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
第1の実施形態
図1は本発明に係るIII族窒化物半導体の製造方法の第1の実施形態を示す図である。図1を参照すると、このIII族窒化物半導体の製造方法では、p型不純物と水素との両方を少なくとも含むp型III族窒化物結晶1を成長させた後(図1(a))、III族窒化物結晶1の表面層2の全部または一部を除去して(図1(b))、p型III族窒化物半導体3を製造するようにしている(図1(c))。なお、図1(b),(c)の例では、III族窒化物結晶1の表面層2の全部を除去した場合が示されている。
【0025】
本願の発明者による実験では、水素ガスを含む雰囲気で、結晶成長、および、結晶成長後の冷却を行ったp型不純物を含むp型III族窒化物結晶中の水素(H)濃度は、図1(a)に示すように、結晶表面が最も高く、結晶内部にいくに従って減少し、結晶内部では一定濃度であった。
【0026】
図17(a),(b)には、p型不純物であるマグネシウム(Mg)をドーピングしたp型GaN中のMgと水素(H)の膜厚方向の濃度分布のSIMS分析の結果が示されている。なお、図17(a)は結晶成長後に熱処理を行っていないGaNでの結果であり、図17(b)は結晶成長後に窒素雰囲気中で熱処理を行ったGaNでの結果である。図17(a)では、H濃度は結晶表面でMgと同程度で最も高く、結晶内部にいくに従って減少し、結晶内部では約1×1019cm-3と一定濃度になっている。
【0027】
この水素(H)の濃度分布から、結晶成長中に一定濃度の水素(H)がIII族窒化物結晶中に取り込まれ、さらに、結晶成長終了後の冷却過程で雰囲気ガス中の水素(H)が拡散侵入し、結晶表面付近の水素(H)濃度が増加することが考えられる。また、水素(H)濃度が一定である領域(図1(a)の符号3で示す領域)での水素(H)濃度は、約1×1019cm-3で窒素雰囲気で熱処理を行い低抵抗のp型を示したものと同程度であった。図17(b)で、熱処理したGaNのH濃度は、2×1019cm-3(結晶表面)〜9×1018cm-3(結晶内部)である。このことから、水素パシベーションによる高抵抗化は、III族窒化物結晶成長後の冷却過程で起こると考えられる。すなわち、図2に示すように、III族窒化物結晶成長後の冷却過程で水素がIII族窒化物結晶の表面付近に取り込まれるためと考えられる。
【0028】
従って、水素パシベーションによって高抵抗化しているのは表面部分(図1(a)の符号2の部分)のみで、内部(図1(a)の符号3の部分)は低抵抗のp型であると考えられ、高抵抗化した結晶表面層2の全部あるいは一部を除去することによって(例えば図1(b)のように除去することによって)、図1(c)のように低抵抗のp型III族窒化物半導体を作製することが可能となる。
【0029】
図3は第1の実施形態のp型III族窒化物半導体の製造工程の具体例を示す図である。図3の例では、サファイア基板10上に、520℃で低温GaNバッファー層11を堆積し、しかる後、低温GaNバッファー層11の上に、III族原料としてTMG(トリメチルガリウム)を10ccm、また、p型ドーパントとして(EtCp)2Mgを100ccm、また、窒素原料としてNH3を5LM、また、窒素ガス15LMと水素ガス6LMの混合ガスを同時に反応管に流し、1050℃でGaN層12を結晶成長させる(図3(a))。
【0030】
GaN層12の結晶成長後に、III族原料とp型ドーパント原料との供給を止め、NH3ガス5LMと窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガス雰囲気中で室温まで冷却した。このとき、GaN結晶12の表面に電極を形成して、テスターで抵抗を測定したところ高抵抗で測定不能であった。
【0031】
次に、図3(a)のサンプルの厚さ方向の水素濃度をSIMSで測定したところ、水素濃度は、GaN層12側の表面が最も高く、表面から約0.5μmの深さdまで徐々に減少し、それ以上の深さでは一定濃度であった(図17(a))。
【0032】
このGaN結晶12の表面から約0.5μmの深さdの部分13をエッチングで除去して、図3(b)のサンプルを作製した。図3(b)のサンプルに電極を形成し、ホール測定を行ったところ、GaN層12のキャリア濃度は2×1017cm-3で低抵抗のp型を示した。
【0033】
このように、p型不純物と水素の両方を少なくとも含むIII族窒化物結晶を成長させた後、前記III族窒化物結晶の表面層の全部または一部を除去してp型III族窒化物半導体を製造することで、表面の劣化の少ない、低抵抗のp型III族窒化物半導体を得ることができる。
【0034】
第2の実施形態
図4は本発明に係るIII族窒化物半導体の製造方法の第2の実施形態を示す図である。図4を参照すると、このIII族窒化物半導体の製造方法では、p型不純物と水素の両方を少なくとも含むIII族窒化物結晶5の上に、所定の積層構造6を形成することによって、III族窒化物結晶5をp型III族窒化物半導体として製造するようにしている。
【0035】
ここで、所定の積層構造6は、次の2つの仕方によって形成することができる。
【0036】
すなわち、第2の実施形態において、所定の積層構造6を製造するための第1の仕方は、p型不純物と水素の両方を少なくとも含むIII族窒化物結晶5を結晶成長した直後に、III族窒化物結晶5の上に、所定の積層構造6を形成するものである。具体的には、III族窒化物結晶5を成長させ、これに続けて(連続して)、III族窒化物結晶5を成長させたのと同一の結晶成長装置内で、所定の積層構造6をIII族窒化物結晶5上に形成するものである。
【0037】
この第1の仕方によれば、次のようにしてp型III族窒化物の低抵抗化を図ることができる。すなわち、前述したように、p型III族窒化物の高抵抗化は、III族窒化物結晶成長終了後の冷却過程でIII族窒化物結晶表面からIII族窒化物結晶中に水素が拡散侵入することによって起こると考えられることから、第1の仕方では、p型不純物と水素の両方を少なくとも含むIII族窒化物結晶5を結晶成長させた直後に、III族窒化物結晶5の上に、所定の積層構造6を形成することによって、図4に示すように、所定の積層構造6の形成終了後の冷却過程で所定の積層構造6の表面から水素(H)が拡散しても、水素(H)の拡散は、所定の積層構造6内にとどまり、III族窒化物結晶5には達しない。すなわち、III族窒化物結晶5が高抵抗化する程にまでIII族窒化物結晶5内の水素濃度は増加しない。
【0038】
上記所定の積層構造6としては、水素の拡散を積層構造6内にとどめる機能を満足するものであれば、単結晶,多結晶,アモルファス等の任意のもので形成でき、また、その構造は問わない。また、所定の積層構造6の材質も特に限定されるものではない。例えば、所定の積層構造6をIII族窒化物積層構造にすることもできる。また、所定の積層構造6の電気伝導型も特に限定されるものではない。
【0039】
なお、この第1の仕方では、水素パシベーションによって高抵抗化しているIII族窒化物5から水素を排出して低抵抗化するのではなく、雰囲気ガスからの水素の拡散侵入を防止する所定の積層構造6を積層することによって、低抵抗のp型III族窒化物5の高抵抗化を抑制し、p型III族窒化物半導体を作製するものであるので、従来技術1や従来技術3とは原理的に異なるものである。従って、結晶成長中および冷却過程の雰囲気ガス中に水素が含まれていても、含まれていなくても特に問題はない。
【0040】
図5は第2の実施形態の第1の仕方によるp型III族窒化物半導体の工程の具体例を示す図である。図5を参照すると、サファイア基板10上に520℃で、低温GaNバッファー層21を堆積したものの上に、III族原料としてTMG(トリメチルガリウム)を10ccm、また、p型ドーパントとして(EtCp)2Mgを100ccm、また、窒素原料としてNH3を5LM、また、窒素ガス15LMと水素ガス6LMの混合ガスを同時に反応管に流し、1050℃でGaN22を結晶成長させた(図5(a))。
【0041】
次いで、p型ドーパントの供給を止め、III族窒化物積層構造6として、不純物をドーピングしないGaN23を成長させた(図5(b))。GaN23を成長させた後に、III族原料の供給を止め、NH3ガス5LMと窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガス雰囲気中で室温まで冷却した。
【0042】
次いで、不純物をドーピングしていないGaN23をエッチング除去し(図5(c))、マグネシウムをドーピングしたGaN22を露出させ、その表面に電極を形成してホール測定を行った。この結果、GaN22のキャリア濃度は2×1017cm-3で低抵抗のp型を示した。
【0043】
この第1の仕方のように、III族窒化物結晶5を成長させた後に、続けて所定の積層構造6を積層する場合には、積層構造6を積層後の冷却過程で雰囲気ガス中に含まれる水素は、積層構造6があるため、積層温度から室温までの冷却時間では、III族窒化物結晶5が高抵抗化する程にはIII族窒化物結晶5中に拡散せず、III族窒化物結晶の水素濃度は増加しない。この結果、III族窒化物結晶5は低抵抗のp型伝導特性を有することができる。
【0044】
また、第2の実施形態において、所定の積層構造6を製造するための第2の仕方は、p型不純物と水素の両方を少なくとも含むIII族窒化物結晶5を結晶成長して冷却した後に、所定の積層構造6を積層するものである。具体的には、例えば、p型不純物と水素の両方を少なくとも含むIII族窒化物結晶5を結晶成長させた後に、III族窒化物結晶5を結晶成長装置から取り出し、何らかの工程を経た後に、所定の積層構造6を積層するものである。
【0045】
この第2の仕方によれば、次のようにしてp型III族窒化物の低抵抗化を図ることができる。すなわち、III族窒化物結晶5の冷却後に積層構造6を積層する場合には、図6に示すように、積層構造6の積層工程中に、III族窒化物結晶5中に取り込まれている水素(H)がIII族窒化物結晶5外へ放出されるとともに(積層構造6に向けて放出されるとともに)、積層構造6の積層終了後の冷却過程でのIII族窒化物結晶5への水素(H)の侵入が積層構造6によって防止され、III族窒化物結晶5がp型III族窒化物半導体として作製できる。
【0046】
なお、III族窒化物結晶5からの水素の放出には、400℃以上の温度で積層構造6を積層することが望ましい。
【0047】
上記所定の積層構造6としては、水素の拡散を積層構造6内にとどめる機能を満足するものであれば、単結晶,多結晶,アモルファス等の任意のもので形成でき、また、その構造は問わない。また、所定の積層構造6の材質も特に限定されるものではない。例えば、所定の積層構造6をIII族窒化物積層構造にすることもできる。また、所定の積層構造6の電気伝導型も特に限定されるものではない。
【0048】
図7は第2の実施形態の第2の仕方によるp型III族窒化物半導体の製造工程の具体例を示す図である。図7の例では、サファイア基板10上に520℃で低温GaNバッファー層31を堆積し、しかる後、低温GaNバッファー層31の上に、III族原料としてTMG(トリメチルガリウム)を10ccm、また、p型ドーパントとして(EtCp)2Mgを100ccm、また、窒素原料としてNH3を5LM、また、窒素ガス15LMと水素ガス6LMの混合ガスを同時に反応管に流し、1050℃でGaN層32を結晶成長させた(図7(a))。
【0049】
GaN層32の結晶成長後に、III族原料とp型ドーパント原料との供給を止め、NH3ガス5LMと窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガス雰囲気中で室温まで冷却した。このとき、GaN結晶32の表面に電極を形成して、テスターで抵抗を測定したところ高抵抗で測定不能であった。
【0050】
次いで、別の反応装置にサンプルを入れ、SiH4とNH3系のガスを流し、750℃に加熱して、所定の積層構造としてSiN33を堆積した(図7(b))。この際にGaN結晶32は低抵抗のp型になる。
【0051】
SiN33を堆積後、SiN33をエッチング除去し(図7(c))、再びGaN表面32に電極を形成し、抵抗測定を行った。この結果、GaN32のキャリア濃度は2×1017cm-3で、低抵抗のp型を示した。
【0052】
この第2の仕方のように、III族窒化物結晶5中の水素濃度が増加し高抵抗化したIII族窒化物結晶5の上に所定の積層構造6を積層する場合には、所定の積層構造6の積層中に、III族窒化物結晶5に含まれている水素は、外へ放出され、III族窒化物結晶5が低抵抗化するとともに、所定の積層構造6の積層終了後の冷却過程での雰囲気からの水素のIII族窒化物結晶5への拡散侵入が所定の積層構造6で防止され、III族窒化物結晶5は高抵抗化しない。この結果、III族窒化物結晶5は低抵抗のp型伝導特性を有することができる。換言すれば、この第2の仕方においても、実質水素を含まない雰囲気で熱処理することに変えて、水素の拡散侵入を防止する所定の積層構造6を積層することによって、p型III族窒化物半導体を製造することができる。すなわち、第2の仕方においては、雰囲気に水素を含んでいても特に構わない。
【0053】
さらに、この第2の仕方を用いれば、III族窒化物結晶5を加工した後に、別の特性を有するIII族窒化物半導体積層構造を積層して、III族窒化物半導体積層構造の特性とIII族窒化物結晶5のp型半導体としての特性を用いるデバイスを、特別なp型化処理工程を設けずに作製することも可能となる。
【0054】
このように、第2の実施形態では、所定の積層構造6を第1の仕方,第2の仕方のいずれによっても形成できる。
【0055】
また、この第2の実施形態では、第1の仕方,第2の仕方のいずれにおいても、所定の積層構造(例えばIII族窒化物積層構造)6を少なくともAlを含むIII族窒化物とすることができる。
【0056】
Alを含むIII族窒化物は、アルカリ溶液で容易にエッチングされる。また、結晶性の違いによってエッチング速度が異なり、結晶性の良い単結晶が最もエッチング速度が遅い。従って、所定の積層構造6として、結晶性の悪い単結晶や多結晶,アモルファス状のAlを含むIII族窒化物を積層することによって、エッチングにより、p型III族窒化物5の表面を容易に露出させることができる。
【0057】
また、この第2の実施形態において、所定の積層構造(例えばIII族窒化物積層構造)6の厚さは、0.5μm以上であるのが良い。
【0058】
本願の発明者による実験では、前述したように、水素(H)の拡散深さは、約0.5μmであるので、所定の積層構造6の厚さを0.5μm以上にすることによって、高抵抗化の影響の少ない低抵抗のp型III族窒化物半導体が製造できる。
【0059】
第3の実施形態本発明の第3の実施形態は、p型III族窒化物半導体を製造する場合、図8(a)に示すように水素ガスを含む雰囲気で、少なくともp型不純物を含むp型III族窒化物半導体7を結晶成長させ、p型III族窒化物半導体7の結晶成長後、図8(b)に示すように窒素原料を含むガス雰囲気で成長温度から降温する(冷却する)ことによって、p型III族窒化物半導体7を作製するものである。
【0060】
ここで、窒素原料を含むガス雰囲気(すなわち、冷却雰囲気)としては、モノメチルヒドラジンやジメチルヒドラジンやその他の有機窒素化合物、あるいはNH3を含む雰囲気であるのが良い。より具体的に、窒素原料を含むガス雰囲気(すなわち、冷却雰囲気)として、Ar等の不活性ガスと窒素原料との混合ガス、あるいは、窒素と窒素原料との混合ガスあるいは100%の窒素原料ガスを用いることができる。また、これらのガスに、ある程度の量の水素ガスを混ぜてもよい。
【0061】
窒素原料の分解によって生成される原子状の窒素によってIII族窒化物結晶表面の分解が抑制されているために、水素の拡散パスになる表面欠陥が減少して、水素の拡散侵入が抑制されるとともに、p型III族窒化物結晶表面の分解による表面抵抗の増加が抑制されるので、III族窒化物結晶が高抵抗化しないことが予想される。実際、本願の発明者による実験の結果、冷却雰囲気をNH3ガスにすることによってIII族窒化物(例えばGaN)は、as grownで低抵抗のp型特性を示した。
【0062】
なお、窒素原料を含むガス雰囲気(すなわち、冷却雰囲気)として、例えば、NH3ガスと窒素ガスとの混合ガスを用いることができるが、NH3ガスの分解によって生成される原子状の窒素によってIII族窒化物結晶表面の分解を抑制する観点から、混合ガス中のNH3ガスの割合は多い方が良い。その割合は0%でなければ効果は期待できるが、望ましくは25%以上、さらに望ましくは50〜100%が良い。
【0063】
また、その他の有機窒素原料等の場合にも同様に窒素原料の割合は多い方が良い。
【0064】
以上のことから、III族窒化物結晶成長後の冷却雰囲気を、少なくとも窒素原料を含むガスとすることによって、as grownでp型III族窒化物をすることができる。
【0065】
より具体的に、本願の発明者による実験では、NH3ガス100%中、あるいは、NH3ガスと窒素ガスとの混合ガス(NH3を25%にした場合とNH3を60%にした場合)中、あるいは、NH3ガスと窒素ガスと水素ガスとの混合ガス(水素6%)中で冷却して、それぞれの場合でas grownで2×1017cm-3のキャリア濃度を有する低抵抗のp型III族窒化物を作製することができた。
【0066】
なお、冷却中の雰囲気ガス中に水素を含む場合には、結晶表面に吸着している未反応の有機原料や有機物の水素によるクリーニング効果が期待できるので、表面の汚染による表面抵抗の増加を防止できる。これは、従来技術では得られなかった効果である。
【0067】
また、窒素原料としては特に限定はしないが、NH3等のように、その分解によって水素を発生する化合物を使用することによって、原子状窒素による結晶表面の分解抑制効果(それによる水素の拡散抑制効果)と水素によるクリーニング効果とが同時に得られる。
【0068】
前述の従来技術1では、水素を発生する化合物(NH3等)や水素ガスを含む雰囲気中では、高抵抗化したIII族窒化物から水素を排出させてp型化することは困難であるため、実質水素を含まない雰囲気中で熱処理を行っていた。これに対し、本発明では、結晶成長直後の低抵抗のp型III族窒化物中への水素の拡散侵入を抑制して、結晶成長後の冷却過程における高抵抗化を防止し、低抵抗のp型III族窒化物半導体を作製するものである。従って、従来技術とは原理的に異なるものである。また、雰囲気中には水素を発生する化合物(NH3等)やある程度の量の水素ガスを含んでいても良い。そして水素を含む場合には、水素の効果を積極的に利用している点も従来技術とは異なる。
【0069】
次に、この第3の実施形態の製造工程の具体例について説明する。この具体例では、MOCVD法により、p型III族窒化物半導体としてp型GaNを成長させた。
【0070】
まず、サファイア基板をMOCVD装置にセットし、水素ガス中において、1120℃で加熱し、基板表面をクリーニングした。
【0071】
次いで、温度を520℃に下げ、雰囲気をNH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、水素をキャリアガスとして、TMG(トリメチルガリウム)を20ccm流し、低温GaNバッファー層を堆積した。
【0072】
次いで、温度を1050℃に上げ、TMG(トリメチルガリウム)を10ccm、また、p型ドーパントとして(EtCp)2Mgを100ccm、また、窒素原料としてNH3を5LM、さらに、窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガスを同時に反応管に流し、1050℃でGaNを結晶成長させた。
【0073】
GaNの結晶成長後に、III族原料とp型ドーパント原料と水素ガスの供給を止め、アンモニア(NH3)ガス5LMと窒素ガス15LMとの混合ガス雰囲気中で室温まで冷却した。なお、窒素ガス15LMは、アンモニア(NH3)を基板表面に積極的に吹き付けるための閉じ込めガスとして流しており、基板表面の雰囲気は大部分がアンモニア(NH3)ガスとなっている。
【0074】
次いで、このGaN結晶の表面に電極を形成してホール測定を行った。この結果、GaN層のキャリア濃度は2×1017cm-3で、低抵抗のp型を示した。
【0075】
また、同様の成長方法でGaNの結晶成長を行った後に、アンモニア(NH3)ガス100%の雰囲気中で成長温度から室温まで冷却を行ったGaN結晶も作製した。このGaN結晶の表面に電極を形成してホール測定を行った結果、同様にキャリア濃度は2×1017cm-3で、低抵抗のp型を示した。
【0076】
次に、この第3の実施形態の製造工程の別の具体例について説明する。この具体例(製造工程例)では、MOCVD法により、n型GaN上に、p型III族窒化物半導体としてp型GaNを成長させ、図18に示すようなp−n接合ダイオードを作製した。
【0077】
この製造工程例では、まず、サファイア基板110をMOCVD装置にセットし、水素ガス中において、l120℃で加熱し、基板110の表面をクリーニングした。次いで、温度を520℃に下げ、雰囲気をNH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、水素をキャリアガスとして、TMG(トリメチルガリウム)を20ccm流し、低温GaNバッファー層111を堆積した。
【0078】
次いで、温度を1050℃に上げ、TMG(トリメチルガリウム)を10ccm、また、n型ドーパントとしてSiH4を5.5ccm、また、窒素原料としてNH3を5LM、さらに、窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガスを同時に反応管に流し、1050℃でn型GaN層112を1.5μm結晶成長させた。
【0079】
続けて、TMG(トリメチルガリウム)を10ccm、また、p型ドーパントとして(EtCp)2Mgをl00ccm、また、窒素原料としてNH3を5LM、さらに、窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガスを同時に反応管に流し、1050℃でp型GaN層113を0.5μm結晶成長させた。
【0080】
p型GaN層113の結晶成長後に、III族原料とp型ドーパント原料と水素ガスと窒素ガスの供給を止め、アンモニア(NH3)ガス5LMの雰囲気中で室温まで冷却した。次いでドライエッチングを行い、p型GaN層113の一部をエッチング除去し、n型GaN層112を露出させた。
【0081】
次いで、p型GaN層113とn型GaN層112との表面にそれぞれインジウムを付着し、200℃に加熱して、p側,n側の電極114,115を形成した。なお、電極にインジウムを使用したのは、従来技術1に記載されたp型GaNの製造方法の効果と区別するために電極形成の際の高温(400℃以上)でのアニールを避けるためである。
【0082】
次いで、p側,n側の電極114,115に、順方向あるいは逆方向に電圧を印加し、電流−電圧特性を調べた。図19はp側,n側の電極114,115に電圧を印加したときの電流−電圧特性を示す図である。図19から、作製したp−n接合では、逆方向への電圧印加では電流がほとんど流れず、順方向への電圧印加において電流が流れた。すなわち整流特性を示しており、ダイオードが形成されていることがわかる。
【0083】
このことから、as grownにおいてp型GaNが作製され、p−n接合が形成されていることが分かる。
【0084】
第4の実施形態
本発明の第4の実施形態は、前述した第2の実施形態のp型III族窒化物半導体の製造方法において、所定の積層構造6の最表面層を、水素ガスを含まない雰囲気で成長可能な層で形成するものである。具体的には、所定の積層構造6の最表面層を少なくともInを含むIII族窒化物とし、この少なくともInを含むIII族窒化物を、水素ガスを含まない雰囲気か、あるいは、水素ガスに対し窒素原料ガスと窒素ガスが過剰の雰囲気で結晶成長させ、少なくともInを含むIII族窒化物の結晶成長終了後、少なくとも窒素原料を含むガス雰囲気で冷却するものである。
【0085】
上述した第1,第2,第3の実施形態のp型III族窒化物半導体の製造方法で得られるp型III族窒化物半導体よりもさらに低抵抗のp型III族窒化物結晶を作製するためには、アクセプターを不活性化し高抵抗にする水素をIII族窒化物結晶中に取り込まないことが必要である。
【0086】
本願の発明者は、この目的のため、水素を含まない雰囲気でのIII族窒化物結晶の成長を試みた。しかしながら、水素を含まない雰囲気でGaNやAlGaN等のIII族窒化物を結晶成長したところ、表面の凹凸が激しくなり、高品質の結晶は得られなかった。
【0087】
一方、Inを含むIII族窒化物結晶を、水素を極力減らして、窒素原料と窒素ガス過剰の雰囲気で成長させ、III族窒化物結晶の成長終了後は、結晶表面の分解を防止するため、少なくとも高温では窒素原料(一般的にはアンモニアNH3)と窒素ガスを停止せずに、窒素分圧の高い雰囲気で室温まで降温したところ、表面が平坦で高品質のIII族窒化物結晶を成長させることができた。
【0088】
そこで、Inを含まないIII族窒化物については、水素を含む雰囲気で高品質に結晶成長させ、積層構造6の最表面に、水素を極力含まない雰囲気で高品質のInを含むIII族窒化物を成長させることで、高品質で低抵抗のp型III族窒化物半導体を作製することができた。
【0089】
この第4の実施形態の方法によれば、III族窒化物結晶5の成長中にIII族窒化物結晶5中に取り込まれた水素は、水素をほとんど含まない雰囲気中でのInを含むIII族窒化物結晶の成長中に、効率良くIII族窒化物結晶5外へ放出されるので、III族窒化物結晶5内の水素濃度が下がり、さらに低抵抗となる。また、冷却中の水素の拡散侵入が防止されるので、III族窒化物結晶5は高抵抗化せず、as grownで低抵抗のp型III族窒化物半導体を製造することができる。
【0090】
第5の実施形態
本発明の第5の実施形態は、p型III族窒化物半導体を製造する場合、図9に示すように、水素を含む雰囲気で結晶成長されたp型不純物と水素の両方を少なくとも含むIII族窒化物結晶5の上に、水素ガスを含まない雰囲気か、水素ガスに対して窒素原料ガスと窒素ガスを過剰にした雰囲気で、少なくともp型不純物とInを含むIII族窒化物(III族窒化物積層構造)8を結晶成長し、III族窒化物(III族窒化物積層構造)8の結晶成長終了後、少なくとも窒素原料を含むガス雰囲気で冷却することにより、p型III族窒化物半導体5とp型III族窒化物(p型III族窒化物積層構造)8とを製造するものである。
【0091】
すなわちInを含まないIII族窒化物は、水素を含まない雰囲気で成長を行うと、表面の凹凸が激しく、結晶性の良いものを作製することは困難である。これに対し、Inを含むIII族窒化物は、水素を含まない雰囲気で結晶成長を行っても結晶性の良いものが作製できる。従って、水素をほとんど含まない雰囲気で、Inを含むIII族窒化物8を成長させることにより、結晶性が良く、結晶成長中の水素の取り込まれが少ない結晶(Inを含むIII族窒化物)8を作製できる。
【0092】
また、この第5の実施形態のInを含むIII族窒化物8の製造方法では、Inを含むIII族窒化物8は、水素を極力含まない雰囲気で結晶成長するので、III族窒化物結晶5の結晶成長中に取り込まれた水素は、Inを含むIII族窒化物結晶8の成長中にIII族窒化物結晶5外へ放出される。すなわち、III族窒化物8はIII族窒化物5上に成長するので、III族窒化物8を成長させている間に、III族窒化物結晶5中に取り込まれている水素は、III族窒化物結晶5外に多量に放出され、その結果、III族窒化物結晶5の抵抗は下がる。
【0093】
また、Inを含むIII族窒化物8は、III族窒化物8の結晶成長中の雰囲気が極力水素を含まない雰囲気であるので、水素によるアクセプターの不活性化が少なく、また、この雰囲気において高品質結晶が成長できるので、ドナー性欠陥によるアクセプターの補償が少ない。さらに、InGaN等のInを含むIII族窒化物8は、GaN等よりもバンドギャップが狭く、p型化しやすい。
【0094】
また、冷却過程では、雰囲気が少なくとも窒素原料を含むガス雰囲気であるので、第3の実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、冷却過程では、雰囲気ガスが少なくとも窒素原料を含むガス雰囲気であるので、III族窒化物8の結晶表面の分解による劣化が防止されて、欠陥による高抵抗化が防止されるとともに、雰囲気中からの水素の拡散侵入による高抵抗が抑制されて、as grownで低抵抗のp型を示すInを含むIII族窒化物結晶(例えばInGaN結晶)8が得られる。すなわち、Inを含むIII族窒化物結晶8として、p型化のための後処理をせずに、as grownで低抵抗のp型を示すInGaN結晶が得られる。その結果、III族窒化物半導体5は、より一層低抵抗のp型III族窒化物半導体となり、また、III族窒化物8も結晶性の良い低抵抗のp型III族窒化物半導体とすることができる。すなわち、III族窒化物5とIII族窒化物(III族窒化物積層構造)8との両方が低抵抗のp型半導体として結晶成長できる。
【0095】
なお、上述した第1,第2,第3,第4,第5の実施形態のp型III族窒化物半導体の製造方法において、p型不純物をMgにすることにより、室温においても低抵抗のp型III族窒化物半導体を作製できる。
【0096】
すなわち、Mgの不純物レベルは、Zn等の他の不純物レベルよりも低いので、他の不純物に比べて活性化率が高く、より低抵抗のp型III族窒化物を得やすい。例えば、GaN中のMgの不純物レベルは、GaNの価電子帯の上、約200meVと他のIII族元素のp型不純物の中では最も低く、室温においても活性化する。従って、室温においても低抵抗のp型III族窒化物半導体を製造できる。
【0097】
また、本発明では、上述の第1,第2,第3,第4または第5の実施形態で製造されたIII族窒化物半導体を提供することができる。すなわち、表面の劣化が少なく、かつ、低抵抗のp型III族窒化物半導体を提供することができる。
【0098】
また、本発明では、p型半導体層を少なくとも有する半導体装置において、p型半導体層には、上述の第1,第2,第3,第4または第5の実施形態で製造されたIII族窒化物半導体を用いることができる。具体的に、上述の第1または第3の実施形態のp型III族窒化物半導体の製造方法で製造されたp型III族窒化物半導体3または7を有している半導体装置、あるいは、上述の第2,第4または第5の実施形態のp型III族窒化物半導体の製造方法で作製されたp型III族窒化物半導体5を含む積層構造を有している半導体装置、あるいは、上述の第2,第4または第5の実施形態のp型III族窒化物半導体の作製方法で作製されたp型III族窒化物半導体5と積層構造6または8の全部または一部を有している半導体装置を提供できる。
【0099】
この半導体装置は、発光素子,受光素子,電子デバイスなどとして構成できる。
【0100】
図10は本発明に係る半導体装置の一例を示す図であり、図10の例では、半導体装置はフォトダイオードとして構成されている。なお、図10のフォトダイオードは、その作製工程において、第2の実施形態による方法でp型III族窒化物(後述のp型GaN層44,p型GaNコンタクト層45)を作製している。
【0101】
図10を参照すると、このフォトダイオードは、サファイア基板40上に、低温GaNバッファー層41,高温GaNバッファー層42,n型GaN層43,p型GaN層44,p型GaNコンタクト層45を順次積層した積層構造を、n型GaN層43が露出するまでエッチングして形成された直径150μmのメサ構造となっている。
【0102】
メサ構造の上部にはリング状のp側オーミック電極47が形成され、また、露出したn型GaN層43にはn側オーミック電極48が形成されている。
【0103】
そして、オーミック電極47,48が形成されている部分以外の領域にはSiN絶縁保護膜46が形成されている。また、メサ構造の側面とn型GaN43上のSiN絶縁保護膜46上には、p側オーミック電極47から引き出されて配線電極49が形成されている。
【0104】
このフォトダイオードでは、メサ構造上部のリング状のp側オーミック電極47で囲まれた部分が受光面となる。このフォトダイオードに逆バイアスを印加し、受光面に光(hν)を照射すると光の強度に対応した光電流が流れる。
【0105】
次に、図10のフォトダイオードの作製方法を説明する。まず、サファイア基板40を反応管にセットし、水素ガス中において、1120℃で加熱し、基板40の表面をクリーニングした。
【0106】
次いで、温度を520℃に下げ、雰囲気をNH3ガス5LMと窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガス雰囲気にし、TMGを流し、低温GaNバッファー層41を堆積した。
【0107】
次いで、温度を1050℃に上げ、水素をキャリアガスとしてTMGを供給し、高温GaNバッファー層42を2μm積層し、続いて、SiH4を加えて、n型GaN層43を3μm積層した。
【0108】
次いで、SiH4の供給を止め、(EtCp)2Mgを供給し、p型GaN層44を1μm積層し、次いでp型GaNコンタクト層45を0.2μm積層した。しかる後、TMG,(EtCp)2Mgの供給を停止し、NH3ガス5LMと窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガス雰囲気中で室温まで冷却し、反応管からウエハーを取り出した。ウエハー表面にテスターをあてて電気的導通を調べると高抵抗で導通性が無かった。
【0109】
次に、直径150μmの円パターンをレジストで形成した。このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチングを行い、高さ約2μmのメサ形状を形成するとともに、n型GaN層43を露出させた。
【0110】
レジストマスクを除去した後、ウエハーを別の反応管にセットし、SiH4とNH3系のガスを流し、750℃に加熱して、表面にSiN46を約0.5μm堆積した。この際に、p型不純物を含むIII族窒化物(p型GaN層44,p型GaNコンタクト層45)は低抵抗のp型III族窒化物半導体となる。
【0111】
次いで、p側オーミック電極47を形成した。P側オーミック電極47の形成の工程は次の通りである。
【0112】
すなわち、まず、メサ構造の上部にレジストでリング状のヌキパターンを形成した後、SiN46をリング状にエッチングで抜き、p型GaNコンタクト層45を露出させる。
【0113】
次いでp側オーミック電極材料であるNi/Auを蒸着した。その後、ウエハーを有機溶剤に浸し、レジストを溶かしてレジスト上に蒸着された電極材をリフトオフして、メサ構造上部にp側オーミック電極パターンを形成した。その後、窒素雰囲気中において、600℃で熱処理し、p型GaNコンタクト層45上にp側オーミック電極47を形成した。
【0114】
次いで、n側オーミック電極48と配線電極49を形成した。n側オーミック電極48と配線電極49の形成工程は次の通りである。
【0115】
まず、n型GaN層43上部のSiN膜46上に、レジストでメサ構造を囲む形状のヌキパターンを形成した後、SiN膜46をエッチングしてn型GaN層43を露出させる。
【0116】
次に、レジストを除去し、再度レジストで、配線電極とn側オーミック電極のリフトオフパターンを形成する。
【0117】
次いで、n側オーミック電極と配線電極材料であるTi/Alを蒸着した。その後、ウエハを有機溶剤中に浸し、レジストを溶かしてレジスト上に蒸着された電極材料をリフトオフし、n側オーミック電極48と配線電極49パターンを形成した。その後、窒素雰囲気で450℃で熱処理し、n側オーミック電極48を形成した。
【0118】
図10のフォトダイオードを調べた結果、図10のフォトダイオードは従来技術1あるいは従来技術3のようにp型化のための熱処理による結晶表面の分解がほとんどないので、結晶欠陥が発生せず、暗電流の少ないフォトダイオードとなった。
【0119】
また、本発明では、第5の実施形態のp型III族窒化物半導体の製造方法で製造されたp型III族窒化物半導体5とp型III族窒化物半導体(p型III族窒化物積層構造)8の全部または一部とを有し、p型III族窒化物半導体8表面にp側オーミック電極が形成された半導体装置(第5の実施形態の方法で作製されたp型III族窒化物半導体5と少なくともInを含むp型III族窒化物8の全部あるい一部を含み、少なくともInを含むp型III族窒化物8にp側オーミック電極が形成されている半導体装置)を提供できる。
【0120】
この半導体装置は、発光素子,受光素子,電子デバイスなどとして構成できる。
【0121】
図11,図12は第4および第5の実施形態の方法で作製されたp型III族窒化物半導体をp型半導体層(後述のp型Al0.07Ga0.93Nクラッド層55,p型GaNキャップ層56,p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層57)に用いた半導体装置の一例を示す図であり、図11,図12の例の半導体装置は、端面発光型発光ダイオードと端面受光型フォトダイオードがモノリシックに集積化された受発光素子として構成されている。なお、図11は、受発光素子の発光ダイオードの光出射端面に垂直な面での断面図であり、図12は、発光ダイオードの光出射端面に平行な面での断面図である。
【0122】
図11,図12の集積型受発光素子において、発光ダイオードとフォトダイオードとは、概ね直方体の形状をしており、発光ダイオードの一方の光出射端面とフォトダイオードの受光端面とが向き合うように空間的に分離されて形成されている。そして、発光ダイオードとフォトダイオードは同一の積層構造からなっている。この積層構造は、サファイア基板50上に、AlN低温バッファー層51,n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層52,n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層53,In0.17Ga0.83N活性層54,p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層55,p型GaNキャップ層56,p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層57が順次積層されて形成されている。
【0123】
そして、発光ダイオードとフォトダイオードは、上記積層構造がp型In0.1Ga0.9Nコンタクト層57の表面からn型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層52までエッチングされ、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層52表面が露出したものとなっている。また、発光ダイオードとフォトダイオードのp型In0.1Ga0.9Nコンタクト層57上には、Ni/Auからなるp側オーミック電極59が形成されている。
【0124】
また、露出したn型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層52上には、Ti/Alからなるn側オーミック電極60が形成されている。
【0125】
さらに、オーミック電極59,60以外の部分には、SiO2からなる絶縁保護膜58が堆積されている。そして、絶縁保護膜58上に、Ti/Alからなる配線電極61が形成されている。配線電極61は、発光ダイオードとフォトダイオードのそれぞれのp側オーミック電極59と電気的に接続されている。
【0126】
発光ダイオードとフォトダイオードの側面は、基板に対して概ね垂直に形成されている。そして、発光ダイオードとフォトダイオードの溝62を介して向き合う側面が、それぞれ光出射端面と受光面になる。また、発光ダイオードのフォトダイオードと向き合う端面とは反対側の端面が外部へ光を出射する光出射端面となる。
【0127】
この集積型受発光素子は、発光ダイオードに順方向電流を注入し、フォトダイオードに逆バイアスを印加することによって動作する。すなわち、それぞれの素子のp側オーミック電極59,n側オーミック電極60に順方向あるいは逆方向にバイアスをかけると、発光ダイオードは2つの光出射端面から光を出射する。そして、フォトダイオードに向いた光出射端面から出射した光が、フォトダイオードの受光面に入射し、その強度に対応した光起電力がフォトダイオードで発生し、外部に光電流として取り出される。フォトダイオードの光電流をモニターすることによって、発光ダイオードに注入する電流を調整し、光出力を制御することができる。
【0128】
次に、図11,図12の集積型受発光素子の製造方法を説明する。なお、集積型受発光素子の積層構造はMOCVD法で結晶成長させて製造した。
【0129】
まず、サファイア基板50を反応管にセットし、水素ガス中において1120℃で加熱し、基板表面をクリーニングした。
【0130】
次いで、温度を520℃に下げ、雰囲気をNH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、TMAを流し、低温AlNバッファー層51を堆積した。
【0131】
次いで、温度を1050℃に上げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMA,SiH4を組成に合わせて供給し、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層52を3μm積層し、n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層53を0.5μm積層した。
【0132】
次いで、水素ガスの供給を止め、雰囲気をNH3と窒素との混合ガス雰囲気にし、温度を810℃に下げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMIを供給し、In0.17Ga0.83N活性層54を50nm成長させた。
【0133】
次いで、雰囲気をNH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、温度を1050℃に上げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMA、(EtCp)2Mgを組成に合わせて供給し、p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層55を0.5μm積層し、p型GaNキャップ層56を0.2μm積層した。
【0134】
次いで、水素ガスの供給を止め、雰囲気をNH3と窒素との混合ガス雰囲気にし、温度を810℃に下げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMI,(EtCp)2Mgを供給し、p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層57を0.1μm積層した。成長終了後、TMG,TMI,(EtCp)2Mgの供給を止め、NH3と窒素(NH3と窒素の供給比は3:2)との混合ガス雰囲気で室温まで冷却した。成長表面にテスターを当てると導通があり、最上層のIn0.1Ga0.9Nコンタクト層57は低抵抗のp型半導体になっていることが確認された。
【0135】
次に、幅30μm,長さ50μmの矩形パターンを長さ方向に5μm離して2つ並べたパターンをレジストで形成した。このレジストパターンをマスクとして、ドライエッチングを行い、発光ダイオードとフォトダイオードになる高さ約1.5μmの直方体形状を形成するとともに、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層52を露出させた。
【0136】
次いで、絶縁保護膜58となるSiO2を積層構造の表面に約0.5μm堆積した。次いで、p側オーミック電極59を形成した。
【0137】
P側オーミック電極59の形成工程は次の通りである。すなわち、まず、発光ダイオードとフォトダイオードの上部に、レジストでヌキストライプパターンを形成した後、SiO2膜58をエッチングして、リッジ上のp型In0.1Ga0.9Nコンタクト層57を露出させる。
【0138】
次いでp側オーミック電極材料であるNi/Auを蒸着した。その後、ウエハーを有機溶剤に浸し、レジストを溶かしてレジスト上に蒸着された電極材をリフトオフして、発光ダイオードとフォトダイオードの上部にp側オーミック電極パターンを形成した。その後、窒素雰囲気中、600℃で熱処理し、p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層57上にp側オーミック電極59を形成した。
【0139】
次いで、n側オーミック電極60と配線電極61を形成した。n側オーミック電極60と配線電極61の形成工程は次の通りである。まず、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層52上部のSiO2膜58上に、レジストで約100μm幅のヌキストライプパターンを形成した後、SiO2膜58をエッチングしてn型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層52を露出させる。
【0140】
次に、レジストを除去し、再度レジストで、配線電極61とn側オーミック電極60のリフトオフパターンを形成する。次いで、n側オーミック電極と配線電極材料であるTi/Alを蒸着した。その後、ウエハを有機溶剤中に浸し、レジストを溶かしてレジスト上に蒸着された電極材料をリフトオフし、n側オーミック電極と配線電極パターンを形成した。その後、窒素雰囲気で450℃で熱処理し、n側オーミック電極60を形成した。次いで、ダイシングを行い、集積型受発光素子をチップに分離した。
【0141】
このように製造された集積型受発光素子において、発光ダイオードに電流を注入して発光させると、発光のピーク波長は約412nmであった。
【0142】
また、図13は第4および第5の実施形態の方法で作製されたp型III族窒化物半導体をp型半導体層(後述のp型Al0.2Ga0.8N層76,p型GaNガイド層77,p型Al0.12Ga0.88Nクラッド層78,p型GaNキャップ層79,p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80)に用いた半導体装置の他の例を示す図であり、図13の例の半導体装置は、半導体レーザーとして構成されている。なお、図13は半導体レーザーの光出射方向に垂直な面での断面図である。
【0143】
図13を参照すると、この半導体レーザーは、サファイア基板70上に、AlGaN低温バッファー層71,n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層72,n型Al0.12Ga0.88Nクラッド層73,n型GaNガイド層74,In0.15Ga0.85N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸活性層75,p型Al0.2Ga0.8N層76,p型GaNガイド層77,p型Al0.12Ga0.88Nクラッド層78,p型GaNキャップ層79,p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80が順次積層されて形成されている。
【0144】
そして、p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80の表面からn型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層72までエッチングされ、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層72の表面が露出している。露出したn型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層72上には、Ti/Alからなるn側オーミック電極83が形成されている。
【0145】
また、p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80の表面からp型Al0.12Ga0.88Nクラッド層78の途中までエッチングされ、電流狭窄リッジ構造800が形成されている。そして、リッジ構造800の最表面のp型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80上に、Ni/Auからなるp側オーミック電極82が形成されている。
【0146】
また、電極形成部以外は、絶縁保護膜81としてSiO2が堆積されている。そして、積層構造と電流狭窄リッジ構造800とに概ね垂直に、光共振器端面が形成されている。
【0147】
次に、図13の半導体レーザーの作製方法を説明する。なお、半導体レーザーの積層構造の結晶成長はMOCVD法で行った。
【0148】
まず、サファイア基板70を反応管にセットし、水素ガス中において、1120℃で加熱し、基板70の表面をクリーニングした。
【0149】
次いで、温度を520℃に下げ、雰囲気をNH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、TMGとTMAを流し、低温AlGaNバッファー層71を堆積した。
【0150】
次いで、温度を1050℃に上げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMI,SiH4を組成に合わせて供給し、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層72を2μm、n型Al0.12Ga0.88Nクラッド層73を0.7μm、n型GaNガイド層74を0.1μm積層した。
【0151】
次いで、水素ガスの供給を止め、雰囲気をNH3と窒素との混合ガス雰囲気にし、温度を810℃に下げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMIを供給し、In0.15Ga0.85N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸活性層75(2ペア)を成長させた。
【0152】
次いで、雰囲気をNH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、温度を1050℃に上げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMA,(EtCp)2Mgを組成に合わせて供給し、p型Al0.2Ga0.8N層76を20nm、p型GaNガイド層77を0.1μm、p型Al0.12Ga0.88Nクラッド層78を0.7μm、p型GaNキャップ層79を0.2μm積層した。
【0153】
次いで、水素ガスの供給を止め、雰囲気をNH3と窒素との混合ガス雰囲気にし、温度を810℃に下げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMI,(EtCp)2Mgを供給し、p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80を0.1μm積層した。
【0154】
p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80の成長終了後、TMG,TMI,(EtCp)2Mgの供給を止め、NH3ガス100%の雰囲気で室温まで冷却した。
【0155】
このとき、p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80の表面にテスターを当てると導通があり、最上層のIn0.1Ga0.9Nコンタクト層80は低抵抗のp型半導体になっていることが確認された。
【0156】
次いで、レジストで幅4μmのストライプパターンを繰り返しピッチ1mmで形成し、このレジストパターンをマスクとして、約0.7μmの深さにドライエッチングして、リッジ構造800を形成した。
【0157】
次いで、レジストマスクを除去し、しかる後に、さらにレジストでリッジ構造800を覆う幅500μmのストライプパターンを繰り返しピッチ1mmで形成した。このレジストパターンをマスクとして、約1.5μmドライエッチングして、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層72を露出させた。
【0158】
次いで、絶縁保護膜81となるSiO2を積層構造の表面に約0.5μm堆積した。
【0159】
次いで、p側オーミック電極82を形成した。P側オーミック電極82の形成工程は次の通りである。まず、リッジ構造800上部に、レジストでヌキストライプパターンを形成した後、SiO2膜81をエッチングしてリッジ構造800上のp型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80を露出させた。
【0160】
次いで、レジストを除去し、再度レジストで約450μm幅のヌキストライプパターンを形成し、リッジ構造800上にp側オーミック電極材料であるNi/Auを蒸着した。その後、ウエハーを有機溶剤に浸し、レジストを溶かしてレジスト上に蒸着された電極材をリフトオフして、半導体レーザー積層構造上にのみp側オーミック電極パターンを形成した。その後、窒素雰囲気中、600℃で熱処理し、p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層80上にp側オーミック電極82を形成した。
【0161】
次いで、n側オーミック電極83を形成した。n側オーミック電極83の形成工程は次の通りである。まず、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層72上部のSiO2膜81上に、レジストで約100μm幅のヌキストライプパターンを形成した後、SiO2膜81をエッチングしてn型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層72を露出させた。
【0162】
この状態で、n側オーミック電極材料であるTi/Alを蒸着した。その後、ウエハを有機溶剤中に浸し、レジストを溶かしてレジスト上に蒸着された電極材料をリフトオフし、n側オーミック電極パターンを形成した。その後、窒素雰囲気で450℃で熱処理し、n側オーミック電極83を形成した。
【0163】
次いで、サファイア基板70を薄く研磨し、リッジ構造800に概ね垂直になるように割り、光共振器端面を形成した。
【0164】
電極82,83に順方向に電流を注入すると発光し、さらに電流を増加させるとレーザー発振した。発振波長は約409nmであった。
【0165】
また、図14は第2の実施形態の第2の仕方によって作製されたp型III族窒化物半導体をp型半導体層(後述のp型Al0.2Ga0.8N層96,p型GaNガイド層97,p型Al0.12Ga0.88Nクラッド層98,p型GaNコンタクト層99)に用いた半導体装置の例を示す図であり、図14の例では、半導体装置は半導体レーザーとして構成されている。なお、図14は半導体レーザーの光出射方向に垂直な面での断面図である。
【0166】
図14を参照すると、この半導体レーザーは、サファイア基板90上に、AlGaN低温バッファー層91,n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層92,n型Al0.12Ga0.88Nクラッド層93,n型GaNガイド層94,In0.15Ga0.85N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸活性層95,p型Al0.2Ga0.8N層96,p型GaNガイド層97,p型Al0.12Ga0.88Nクラッド層98,p型GaNコンタクト層99が順次積層されて積層構造が形成されている。
【0167】
積層構造の一部は、p型GaNコンタクト層99の表面からn型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層92までエッチングされ、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層92の表面が露出している。そして、露出したn型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層92上には、Ti/Alからなるn側オーミック電極103が形成されている。
【0168】
また、p型GaNコンタクト層99の表面からp型Al0.12Ga0.88Nクラッド層98の途中までがエッチングされ、電流狭窄リッジ構造900が形成されている。そして、このリッジ構造900は、Al0.6Ga0.4N多結晶100で埋め込まれている。
【0169】
リッジ構造900の最表面は、p型GaNコンタクト層99が露出しており、そこに、Ni/Auからなるp側オーミック電極102が形成されている。また、電極形成部以外は、絶縁保護膜101としてのSiO2が堆積されている。さらに、積層構造と電流狭窄リッジ構造900とに概ね垂直に、光共振器端面が形成されている。
【0170】
次に、図14の半導体レーザーの製造方法を説明する。なお、半導体レーザーの積層構造の結晶成長は、MOCVD法で行った。
【0171】
まず、サファイア基板90を反応管にセットし、水素ガス中において、1120℃で加熱し、基板90の表面をクリーニングした。
【0172】
次いで、温度を520℃に下げ、雰囲気をNH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、TMGとTMAを流し、低温AlGaNバッファー層91を堆積した。
【0173】
次いで、温度を1050℃に上げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMI,SiH4を組成に合わせて供給し、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層92を2μm、n型Al0.12Ga0.88Nクラッド層93を0.7μm、n型GaNガイド層94を0.1μm積層した。
【0174】
次いで、水素ガスの供給を止め、雰囲気をNH3と窒素との混合ガス雰囲気にし、温度を810℃に下げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMIを供給し、In0.15Ga0.85N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸活性層95(2ペア)を成長させた。
【0175】
次いで、雰囲気をNH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、温度を1050℃に上げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMA,(EtCp)2Mgを組成に合わせて供給し、p型Al0.2Ga0.8N層96を20nm、p型GaNガイド層97を0.1μm、p型Al0.12Ga0.88Nクラッド層98を0.7μm、p型GaNコンタクト層99を0.2μm積層した。
【0176】
p型GaNコンタクト層99の成長終了後、TMG,(EtCp)2Mgの供給を止め、NH3と窒素との混合ガス(NH3と窒素の供給比は3:2)雰囲気で室温まで冷却した。
【0177】
次いで、レジストで幅4μmのストライプパターンを繰り返しピッチ1mmで形成し、このレジストパターンをマスクとして、約0.6μmの深さにドライエッチングして、リッジ構造900を形成した。
【0178】
次いで、レジストを除去し、しかる後、ウエハーを再度MOCVD装置にセットし、NH3と窒素と水素との混合ガス雰囲気にし、温度を730℃に上げ、水素をキャリアガスとして、TMG,TMAを供給し、Al0.6Ga0.4N多結晶100を約0.6μm堆積し、リッジ構造900を埋め込んだ。この際に、第2の実施形態の第2の仕方によって、p型不純物を含む層がp型化する。
【0179】
そして、NH3ガス5LMと窒素ガス15LMと水素ガス6LMとの混合ガス雰囲気中で冷却後、ウエハーをMOCVD装置から取り出し、レジストで、リッジ構造900上部が抜けたパターンを形成した。このパターンをマスクとして、KOH溶液で、リッジ構造900上部のAl0.6Ga0.4N多結晶100をエッチングし、p型GaNコンタクト層99を露出させ、表面を平坦化した。
【0180】
次いで、レジストマスクを除去した後に、さらにレジストでリッジ構造900を覆う幅500μmのストライプパターンを繰り返しピッチ1mmで形成した。このレジストパターンをマスクとして、約1.5μmドライエッチングして、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層92を露出させた。
【0181】
次いで、絶縁保護膜101となるSiO2を積層構造の表面に約0.5μm堆積した。
【0182】
次いで、p側オーミック電極102を形成した。p側オーミック電極102の形成工程は次の通りである。すなわち、まず、リッジ構造900の上部に、レジストでヌキストライプパターンを形成した後、SiO2膜101をエッチングしてリッジ構造900上のp型GaNコンタクト層99を露出させた。
【0183】
次いで、レジストを除去し、再度レジストで約450μm幅のヌキストライプパターンを形成し、リッジ構造900上にp側オーミック電極材料であるNi/Auを蒸着した。その後、ウエハーを有機溶剤に浸し、レジストを溶かしてレジスト上に蒸着された電極材をリフトオフして、半導体レーザー積層構造上にのみp側オーミック電極パターン102を形成した。その後、窒素雰囲気中において、600℃で熱処理し、p型GaNコンタクト層99上にp側オーミック電極102を形成した。
【0184】
次いで、n側オーミック電極103を形成した。n側オーミック電極103の形成工程は次の通りである。まず、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層92上部のSiO2膜101上に、レジストで約100μm幅のヌキストライプパターンを形成した後、SiO2膜101をエッチングして、n型Al0.03Ga0.97Nコンタクト層92を露出させた。
【0185】
この状態で、n側オーミック電極材料であるTi/Alを蒸着した。その後、ウエハを有機溶剤中に浸し、レジストを溶かしてレジスト上に蒸着された電極材料をリフトオフし、n側オーミック電極パターンを形成した。その後、窒素雰囲気で450℃で熱処理し、n側オーミック電極103を形成した。
【0186】
次いで、サファイア基板90を薄く研磨し、リッジ構造900に概ね垂直になるように割り、光共振器端面を形成した。
【0187】
電極102,103に順方向に電流を注入すると発光し、さらに電流を増加させるとレーザー発振した。発振波長は約409nmであった。
【0188】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1記載の発明によれば、p型不純物と水素との両方を少なくとも含むIII族窒化物結晶を成長させた後、前記III族窒化物結晶の表面層の全部または一部を除去してp型III族窒化物半導体を作製するので、従来のように後工程での熱処理を行うことなく、低抵抗のp型III族窒化物半導体を作製することができる。
【0189】
また、請求項記載の発明によれば、請求項1に記載のIII族窒化物半導体の作製方法において、前記p型不純物がMgであることにより、室温においても低抵抗のp型III族窒化物半導体を作製できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るIII族窒化物半導体の作製方法の第1の実施形態を示す図である。
【図2】III族窒化物結晶成長後の冷却過程で水素がIII族窒化物結晶の表面付近に取り込まれる様子を示す図である。
【図3】第1の実施形態のp型III族窒化物半導体の作製工程の具体例を示す図である。
【図4】本発明に係るIII族窒化物半導体の作製方法の第2の実施形態を示す図である。
【図5】第2の実施形態の第1の仕方によるp型III族窒化物半導体の作製工程の具体例を示す図である。
【図6】第2の実施形態の第2の仕方により作製されるp型III族窒化物半導体の様子を示す図である。
【図7】第2の実施形態の第2の仕方によるp型III族窒化物半導体の作製工程の具体例を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施形態を説明するための図である。
【図9】本発明の第5の実施形態を説明するための図である。
【図10】本発明に係る半導体装置の一例を示す図である。
【図11】本発明に係る半導体装置の一例を示す図である。
【図12】本発明に係る半導体装置の一例を示す図である。
【図13】本発明に係る半導体装置の一例を示す図である。
【図14】本発明に係る半導体装置の一例を示す図である。
【図15】p型III族窒化物を作製する従来の方法を説明するための図である。
【図16】p型III族窒化物を作製する従来の方法を説明するための図である。
【図17】SIMS分析によるp型GaN中のMgと水素(H)の膜厚方向の濃度分布を示す図である。
【図18】本発明の第3の実施形態の具体例としてのp−n接合ダイオードを示す図である。
【図19】図18のp−n接合ダイオードの電流−電圧特性を示す図である。
【符号の説明】
1III族窒化物結晶
2III族窒化物結晶の表面層
3 p型III族窒化物半導体
5III族窒化物結晶
6 所定の積層構造
7 p型III族窒化物半導体
8 p型III族窒化物(p型III族窒化物積層構造)
10,40,50,70,90,110 サファイア基板
11,21,31,41,111低温GaNバッファー層
12,13,22,32 p型不純物を含むGaN層
33 SiN
23 不純物をドーピングしないGaN
42 高温GaNバッファー層
43,112 n型GaN層
44,113 p型GaN層
45,99 p型GaNコンタクト層
47,59,82,102 p側オーミック電極
48,60,83,103 n側オーミック電極
46 SiN絶縁保護膜
49,61 配線電極
51 AlN低温バッファー層
52,72,92 n型 Al0.03Ga0.97Nコンタクト層
53 n型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
54 In0.17Ga0.83N活性層
55 p型Al0.07Ga0.93Nクラッド層
56,79 p型GaNキャップ層
57 p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層
58,81,101 SiO2絶縁保護膜
71,91 AlGaN低温バッファー層
73,93 n型Al0.12Ga0.88Nクラッド層
74,94 n型GaNガイド層
75,95 In0.15Ga0.85N/In0.02Ga0.98N多重量子井戸活性層
76,96 p型Al0.2Ga0.8N層
77,97 p型GaNガイド層
78,98 p型Al0.12Ga0.88Nクラッド層
80 p型In0.1Ga0.9Nコンタクト層
100 Al0.6Ga0.4N多結晶
114 p側インジウム電極
115 n側インジウム電極
800,900 リッジ構造

Claims (2)

  1. 反応管内において、p型不純物と水素の両方を少なくとも含むp型III族窒化物結晶を成長させる工程と、前記p型III族窒化物結晶を成長後、前記反応管内にアンモニアガス、窒素ガス及び水素ガスの混合ガスを流しながら前記p型III族窒化物結晶を冷却する工程と、前記p型III族窒化物結晶の水素を含む表面層の全部または一部を除去する工程とを含むこと特徴とするp型III族窒化物半導体の製造方法。
  2. 請求項1に記載のp型III族窒化物半導体の製造方法において、前記p型不純物はMgであることを特徴とするp型III族窒化物半導体の製造方法。
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