JP4162083B2 - 電解質膜および該電解質膜を用いた燃料電池 - Google Patents
電解質膜および該電解質膜を用いた燃料電池 Download PDFInfo
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Description
【発明の技術分野】
本発明は、プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子とマトリックスとからなる電解質膜および該電解質膜を具備してなる燃料電池に関する。
さらに詳しくは、プロトン供与性官能基を担持してなる多孔質粒子を含有しているためにプロトン伝導性に優れるとともに低水分でも運転可能で、電圧維持特性に優れ、水素、メタノール等の燃料のクロスオーバー(透過)の抑制された燃料電池の製造に好適な電解質膜およびその用途に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
近年、クリーンな水素をエネルギー源とする高効率、無公害でCO2等温暖化ガスを発生しない発電システムとして燃料電池が注目されている。このような燃料電池は、家庭や事業所など固定設備、自動車などの移動設備などでの使用を目的に本格的な開発研究が行われている。
【0003】
燃料電池は使用する電解質によって分類され、アルカリ電解質型、固体高分子電解質型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型に分けられる。このとき固体高分子電解質型およびリン酸型は電荷移動体がプロトンであり、プロトン型燃料電池ともいわれ、本発明はこのプロトン型燃料電池に属する。
この燃料電池に用いる燃料としては、天然ガス、LPガス、都市ガス、アルコール、ガソリン、灯油、軽油などの炭化水素系燃料が挙げられる。
【0004】
このような炭化水素系燃料を、まず改質器を通すことで、水蒸気改質、部分酸化などの反応により水素ガス、COガスに変換し、COガスを除去して水素ガスを得る。この水素は、アノードに供給され、アノードの金属触媒によってプロトン(水素イオン)と電子に解離し、電子は回路を通じて仕事をしながらカソードに流れ、プロトン(水素イオン)は電解質膜を拡散してカソードに流れ、カソードにてこの電子、水素イオンとカソードに供給される酸素とから水となって電解質膜に拡散する。すなわち、酸素と燃料ガスに由来する水素とを供給して水を生成する過程で電流を取り出すメカニズムになっている。
【0005】
また、最近では、改質を行わずにメタノールやガソリンから水素を取り出すことなく、直接発電すると言うことも試みられている。すなわち、メタノール分子から水素を分離し、水素イオンと電子にして発電するものであり、メタノールから水素が全部離れると最後は炭素と酸素が残り、一酸化炭素の状態となり、これと水を反応させ、水素イオンおよび電子と、二酸化炭素に変換させる。
【0006】
このような燃料電池に用いられる電解質膜としてはスルホン酸基を有するポリスチレン系の陽イオン交換膜、フルオロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフルオライドとの混合膜、フルオロカーボンマトリックスにトリフルオロエチレンをグラフト化した膜、パーフルオロカーボンスルホン酸膜等が用いられている。このような有機樹脂膜からなる電解質膜では、膜中のプロトンの移動、すなわち膜のイオン伝導度は、膜の含水率に依存し、長期運転した場合や、概ね80℃以上の高温下で運転すると、含水率が低下しイオン電導度が低下するという問題があった。換言すれば、長期運転や80℃以上の高温運転になると電圧の低下をきたすなどの問題があった。
【0007】
このため、特開平6−103983号公報(特許文献1)には、高分子膜に良好な保水性能を発揮させるために、高分子膜にリン酸基を持つ化合物を含有させ、80℃あるいはそれ以上の高温で好適に使用可能な固体高分子電解質型燃料電池が開示されている。
また、特開2001−143723号公報(特許文献2)には、80℃以上で使用可能な5酸化リンを含む非晶質シリカ成形体からなる燃料電池用電解質が開示されている。
【0008】
しかしながら、100℃以上の高温で長期に使用すると、高温のため膜の含水率が低下したり、樹脂成分を用いた電解質膜では樹脂成分の劣化によりプロトン伝導性が低下し、このため電圧が降下し、電池の性能が低下する問題があった。さらに、比較的高温での使用に耐える固体高分子電解質膜としてプロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物マトリックスとケイタングステン酸26水和物等のプロトン供与体とからなる無機または無機有機複合の固体高分子電解質膜が知られている。
【0009】
しかしながら、この固体高分子電解質膜は膜の形成性、膜の強度、膜の電導度等が不充分であったり、燃料の不透過性(クロスオーバー耐性と言うことがある)が不充分であったり、さらに電圧が低下し電流密度が大きく低下する等の問題があった。
本発明者等は、このような従来技術にともなう問題点を解消すべく鋭意検討した結果、電解質膜にプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子を配合することにより、電解質膜自体のプロトン伝導性が高くなるので、低水分でも、さらに別途用いるプロトン供与体が少なくても運転可能であることを見出して本発明を完成するに至った。
【0010】
【特許文献1】
特開平6−103983号公報
【特許文献2】
特開2001−143723号公報
【0011】
【発明の目的】
本発明は、プロトン伝導性に優れるとともに低水分でも運転可能で、高温運転性能、耐久性等にも優れ、さらに水素、メタノール等の燃料のクロスオーバー(透過性)の抑制された電解質膜および該電解質膜を具備してなる燃料電池を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明に係る電解質膜は、プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子とマトリックスとからなることを特徴としている。
前記プロトン供与性官能基が−SO3OH、−SO3H、−PO3OH、−OPO(OH)2、−COOH、OHから選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0013】
前記プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子中のプロトン供与性官能基の含有量が、多孔質粒子の単位表面積(1m2)当たり0.0001〜0.1mmolの範囲にあることが好ましい。
前記多孔質粒子が、ZrO2、SiO2、TiO2、Al2O3、SiO2・Al2O3、Sb2O5からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物多孔質粒子、ゼオライト粉末、活性炭、繊維状酸化チタン、繊維状カーボン、繊維状シリカ、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブから選ばれる1種以上が好ましい。
【0014】
前記多孔質粒子が繊維状酸化チタン、繊維状カーボン、繊維状シリカ、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブから選ばれる1種以上が好ましい。
また、前記多孔質粒子としては平板状ゼオライトが好ましい。
電解質膜中に、前記プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子が5〜95重量%の範囲で含まれていることが好ましい。
【0015】
マトリックスが、プロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物マトリックスであることが好ましい。
本発明に係る燃料電池は、前記記載の電解質膜を具備してなることを特徴としている。
【0016】
【発明の具体的説明】
以下、まず、本発明に係る電解質膜について説明する。
電解質膜
本発明に係る電解質膜は、プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子とマトリックスとからなることを特徴としている。
i)プロトン供与性官能基
本発明で用いるプロトン供与性官能基としては、−SO3OH、−SO3H、−PO3OH、−OPO(OH)2、−COOH、OHから選ばれる1種または2種以上であることが好ましい。
【0017】
中でも−SO3OH、−PO3OH、−COOHはプロトンの解離がし易く、このためプロトン供与性が高く、プロトン伝導性に優れた電解質膜が得られる。
このようなプロトン供与性官能基が多孔質粒子の表面に存在すると、水素やメタノール等の燃料のクロスオーバーが抑制された、かつ保水性およびプロトン伝導性に優れた電解質膜が得られる。
【0018】
このようなプロトン供与性官能基は、多孔質粒子に結合状態で導入されていてもよく、単にプロトン供与性官能基を有する化合物が多孔質粒子の表面および細孔に付着・担持されているだけでもよい。さらのその両方であってもよい。
プロトン供与性官能基を導入する方法としては、第1の方法として前記プロトン供与性官能基を有する有機ケイ素化合物で、多孔質粒子を表面処理すればよい。プロトン供与性官能基を有する有機ケイ素化合物としては、後述するマトリックス成分で使用されるものが挙げられる。
【0019】
また、第2の方法としては、プロトン供与性官能基を有する化合物を多孔質粒子表面に担持または付着させればよい。プロトン供与性官能基を有する化合物としては、硫酸、硫酸アンモニウム、硫酸水素ナトリウム等のスルホン基を含む無機化合物、リン酸、リン酸アンモニウム、リン酸水素ナトリウム等のリン酸基を含む無機化合物、硫酸メチル、硫酸エチル等の有機スルホン酸化合物、リン酸メチル、リン酸エチル、アルキルベンゼンスルフォン酸等の有機リン酸化合物、ポリビニルスルフォン酸、ナフタレンスルフォン酸等のスルホン酸誘導体、酢酸等のカルボン酸等が挙げられる。これらの化合物は、多孔質粒子の表面および細孔内に、担持または付着されている。本発明でこの二つの方法を併用することも可能である。
【0020】
多孔質粒子としては、表面に細孔を有する多孔質粒子、管状粒子、さらには繊維状粒子も使用可能である。
このような多孔質粒子の比表面積としては、100m2/g以上、さらには150m2/g以上のものが好ましく、また、比表面積の上限としては、1000m2/g以下であることが好ましい。
【0021】
プロトン供与性官能基を有する化合物または有機ケイ素化合物は、多孔質粒子表面、細孔、チューブ内壁内に担持・付着あるいは結合している。
多孔質粒子表面に存在するプロトン供与性官能基は、プロトンを供与し、プロトンは、細孔内、粒子表面、内壁内を介して伝導する。さらにこのようなプロトン供与および伝導には水分子の介在を必要としないので、高温下であっても、高いプロトン伝導性を維持できる。
【0022】
本発明では、多孔質粒子として、ZrO2、SiO2、TiO2、Al2O3、SiO2・Al2O3、Sb2O5からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物多孔質粒子、ゼオライト粉末、活性炭、繊維状酸化チタン、繊維状カーボン、繊維状シリカ、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブが好適である。電解質膜が、このような多孔質粒子を含んでいると、電解質膜の形成性が向上し、かつ水素やメタノール等燃料のクロスオーバーを抑制することができる。さらにこのような多孔質粒子は、プロトン供与性官能基を多く含ませることができるのでプロトン伝導性を著しく向上させることも可能である。さらにまた、プロトン伝導性を高められれば、保水性を有するプロトン供与体の電解質膜への配合および運転時の水の供給を行う必要がなくなり、100℃以上の高温運転および長期運転が可能となり、電圧降下の抑制された電解質膜を得ることができる。
【0023】
これらの多孔質粒子のなかでも繊維状酸化チタン、繊維状カーボン、繊維状シリカ、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブから選ばれる1種以上の多孔質粒子であることが好ましい。これらの繊維状粒子、ナノチューブは、電解質膜中で一定方向に配向するので、表面を最短でプロトンが伝導する効果、すなわちプロトン伝導性の向上効果が高く、また燃料のクロスオーバーも極めて抑制される。特にナノチューブでは、外壁表面だけではなく内壁内にもプロトン供与性官能基を多く含ませることができ、さらに特に内壁内のプロトン供与性官能基は脱離されにくくいので、プロトン伝導性を非常に高めることが可能である。
【0024】
これらの繊維状粒子、ナノチューブでは概ね長さが10〜1000nm、さらには20〜500nmの範囲にあり、外径が2〜50nm、さらには4〜20nmの範囲にあることが好ましい。なお、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブについては内径が1〜40nm、さらには2〜10nmの範囲にあり、管厚が1〜20nm、さらには2〜15nmの範囲にあることが好ましい。
【0025】
このような大きさの繊維状粒子、ナノチューブであれば、上記したように電解質膜中で、一定方向、具体的には、電極に対して垂直に配向しやすくなり、その結果、表面(内管壁も含む)を最短でプロトンが伝導する効果が高く、燃料のクロスオーバーも極めて抑制することができる。
繊維状粒子、ナノチューブの長さが10nm未満の場合は、電解質膜中での多孔質粒子の配向がランダムとなり、繊維状の多孔質粒子表面を最短でプロトンが伝導する効果、すなわちプロトン伝導性の向上効果が不充分となる。繊維状粒子、ナノチューブの長さが1000nmを越える場合は、電解質膜の形成性が低下し、また水素やメタノール等燃料のクロスオーバーが増加することがある。
【0026】
また、繊維状粒子、ナノチューブの外径が2nm未満の場合は、多孔質粒子の長さにもよるが、繊維状多孔質粒子が互いに絡み合い配向がランダムとなり、緻密な電解質膜が得られず、水素やメタノール等燃料のクロスオーバーが増加することがある。また、繊維状粒子、ナノチューブの外径が50nmを越えると、電解質膜中での、プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子の有効表面が低下し、プロトン伝導性を向上させる効果が不充分となる。
【0027】
また、ナノチューブの内径が1nm未満の場合は、プロトン供与性官能基を有する化合物を内壁に付着させることが困難となり、管状であることの効果が得られず、単に繊維状の粒子との違いがなくなる。また、ナノチューブの内径が40nmを越えると、電解質膜中での多孔質粒子のプロトン供与性官能基を有する有効表面が少なくなり、プロトン伝導性を向上させる効果が不充分となる。
【0028】
前記多孔質粒子で、繊維状酸化チタン、繊維状カーボン、繊維状シリカ、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブ以外のものは通常、球状、立方体、直方体等であるが、この場合の平均粒子径は5〜500nm、さらには10〜300nmの範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば、プロトンの生成効率を高めることが可能であるとともに、燃料ガスの拡散もしやすく、さらに、強度も高い電解質膜を形成することが可能である。平均粒子径が小さい場合は、電解質膜が緻密になりすぎて燃料ガスの拡散が不充分となり、プロトンの生成効率が低下する。平均粒子径を大きくしても、多孔質粒子の含有量あるいはプロトン伝導膜の製造方法によっては、電解質膜に大きな細孔が形成され、クロスオーバーが増加し、また得られる電解質膜の強度が不充分となることがある。
【0029】
また、本発明では、多孔質粒子としてゼオライト粉末を好適に使用することができる。ゼオライトは合成ゼオライトであっても、天然ゼオライトであってもよい。
ゼオライトの形状としては、公知のものであれば特に制限されるものではないが、粒状のものであっても、平板状のものであっても、さらには球状のものであってもよい。
【0030】
ゼオライトはSi、Alを頂点としO原子を共有した三次元ネットワーク構造を有し、構造を壊さずに脱着が可能なゼオライト水を含み、交換可能な陽イオンが存在するアルミノケイ酸で狭義に定義される。このゼオライトはミクロ細孔を有しており、そのミクロ細孔にプロトン供与性の化合物が吸着されてプロトン伝導性を示す。このようなゼオライトの中でもSiやAl以外にP、GaなどのIVa、IVb、Vb族元素を含むものであってもよい。
【0031】
通常、合成ゼオライトは、シリカ・アルミナゲルを出発物質として、高いpH領域で水熱条件下に結晶を析出させることで製造される。このシリカ・アルミナゾルはケイ酸ナトリウム溶液とアルミン酸ナトリウムを反応させることで調製されるが、この際に、クラウンエーテルやトリエチロールアミンなどの嵩高い化合物をテンプレート剤(鋳型ともいう)として添加しておけば、テンプレート剤の形状に応じて、種々の形状のゼオライトを合成することが可能となる(特公昭56-37166号公報、Zeolite's Vol.10, 1990、豊田中央研究所R&Dレビュー参照)。
【0032】
このうち、本発明で使用される前記ゼオライトは平板状であることが好ましい。電解質膜が平板状ゼオライトを含んでいると、対向する正極と負極を結ぶ直線に対して平板状のゼオライトの平面が垂直に配向させることが可能となり、これにより水素やメタノール等燃料が一定方向に流れやすく、またクロスオーバーが抑制され、発電性能、燃料効率等に優れるとともに電解質膜を薄くでき、小型軽量化も可能で、経済性に優れた燃料電池を得ることができる。
【0033】
このような平板状ゼオライトは、通常6角板状のものがよく知られ(たとえばZeolite's Vol.10, 1990参照)、一辺が概ね1〜5μnm、厚みが0.4〜1μmの範囲にあるが、本発明に用いる平板状ゼオライトの大きさは、一辺が0.1〜1μm、さらには0.2〜0.8μm、厚みが0.02〜0.2μm範囲にあることが好ましい。このような六角板状のゼオライトは、18クラウン6エーテルを使用すれば容易に製造することが可能である。
前記多孔質粒子で、繊維状酸化チタン、繊維状カーボン、繊維状シリカ、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブ、およびゼオライト以外のものは通常、球状、立方体、直方体等であるが、この場合の平均粒子径は5〜500nm、さらには10〜200nmの範囲にあるものが望ましい。この範囲にあれば、プロトンの生成効率を高めることが可能であるとともに、燃料ガスの拡散もしやすく、さらに、強度も高い電解質膜を形成することが可能である。平均粒子径が小さい場合は、電解質膜が緻密になりすぎて燃料ガスの拡散が不充分となり、プロトンの生成効率が低下する。平均粒子径を大きくしても、多孔質粒子の含有量あるいはプロトン伝導膜の製造方法によっては、電解質膜に大きな細孔が形成され、燃料分子のクロスオーバーが増加し、また得られる電解質膜の強度が不充分となることがある。
【0034】
なお、本発明では、繊維状粒子、ナノチューブおよびそれ以外の多孔質粒子を混合して使用しても良い。
つぎに、前記プロトン供与性官能基を有してなる多孔質粒子中のプロトン供与性官能基の含有量が、多孔質粒子の単位表面積(m2)当たり0.0001〜0.1mmol、さらには0.001〜0.05mmolの範囲にあることが好ましい。
【0035】
プロトン供与性官能基の含有量が0.0001mmol未満の場合は、プロトン伝導性を向上させる効果が不充分となり電池の性能向上効果が不充分となる。プロトン供与性官能基の含有量が0.1mmolを越える多孔質粒子は得ることが困難である。
【0036】
つぎに、前記プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子の電解質膜中の含有量が5〜95重量%、さらには20〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
このような含有量であれば、高いプロトン伝導性を有する電解質膜を形成することができる。電解質膜中の多孔質粒子の含有量が少ないと、プロトン伝導性を向上させる効果が充分得られないことがあり、多孔質粒子の含有量が多くしすぎると、マトリックスが少なすぎて電解質膜の強度が不充分となったり、マトリックスによって粒子間隙を緻密にできないためにクロスオーバーが増加することがある。
【0037】
多孔質粒子へのプロトン供与性官能基の導入は、特に前記範囲の量のプロトン供与性官能基を有するものが得られれば特に制限はなく、たとえば、多孔質粒子の水分散液にプロトン供与性官能基を有する化合物を加えるか、プロトン供与性官能基を有する化合物の水溶液に多孔質粒子を分散させればよく、また必要に応じて加温したり、分散液のpHを調整し、さらには必要に応じてイオン交換樹脂にて陽イオンを除去したり、限外濾過膜等で洗浄あるいは濃縮したりすることによって得ることができる。プロトン供与性官能基を有する有機ケイ素化合物を用いて表面処理する場合は、公知の方法を特に制限なく採用することが可能であり、有機ケイ素化合物を必要に応じて溶媒に溶解して希釈し、多孔質粒子と混合したのち、必要に応じて加熱処理すればよい。
【0038】
マトリックス
本発明に用いるマトリックスとしては、無機酸化物マトリックス、有機樹脂マトリックス、プロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物からなるマトリックスなどがあげられる。
無機酸化物マトリックスとしてはZrO2、SiO2、TiO2、Al2O3から選ばれる1種以上の無機酸化物からなることが好ましい。これらの無機マトリックスを用いると多孔質で膜の強度、保水性等に優れるとともに熱安定性、耐久性に優れた無機電解質膜が得られる。
【0039】
有機樹脂マトリックスとしては、電解質膜として用いることができれば特に制限はなく、たとえば、スルホン酸基を有するポリスチレン系の陽イオン交換膜、フルオロカーボンスルホン酸とポリビニリデンフルオライドとの混合膜、フルオロカーボンマトリックスにトリフルオロエチレンをグラフト化した膜、パーフルオロカーボンスルホン酸膜、フッ化ビニリデン樹脂膜、2−ジクロロエチレン樹脂膜、ポリエチレン樹脂膜、塩化ビニル樹脂膜、ABS樹脂膜、AS樹脂膜、ポリカーボネート樹脂膜、ポリアミド樹脂膜、ポリイミド樹脂膜、メタクリル樹脂膜等は好適に用いることができる。
【0040】
本発明で用いるマトリックスとしては、プロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物からなるマトリックスが好ましく、有機珪素化合物の加水分解物からなるマトリックスは、有機珪素化合物の加水分解物がシロキサン結合により3次元網目構造をしており、一部結合の末端にOH基が存在し、このOH基によりプロトン伝導性を発現することができる。このとき用いる有機ケイ素化合物としては下記式(1)で表される有機ケイ素化合物から選択される1種以上であることが好ましい。
【0041】
RnSiX4-n (1)
〔ただし、R:炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であっても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3〕
式(1)で表される有機珪素化合物としては、具体的に、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。
【0042】
中でも、前記置換炭化水素基が酸素を含む開環性官能基である有機珪素化合物が含まれていることが好ましい。このような有機珪素化合物として、たとえばγ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0043】
このような酸素を含む開環性官能基を有する有機珪素化合物は酸素を含む置換炭化水素基が開環してOH基を生成するので高いプロトン伝導性を有する電解質膜が得られる。
このようなマトリックスの電解質膜中の含有量は5〜95重量%、さらには20〜80重量%の範囲にあることが好ましい。
【0044】
マトリックスの含有量が5重量%未満の場合は、マトリックス形成成分が少なく得られる電解質膜の強度が不充分となることがある。
マトリックスの含有量が95重量%を越えると、得られる電解質膜のプロトン伝導性が不充分となり、プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子を用いた効果が充分得られないことがある。
【0045】
本発明に係る電解質膜は、プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子を含んでいるので、それ自体がプロトン供与性を有している。このため、必ずしもプロトン供与体を含んでいる必要はないが、本発明の電解質膜には、必要に応じてプロトン供与体を含んでいてもよい。このようなプロトン供与体としては特に制限はなく従来公知のプロトン供与体を用いることができる。たとえば、H3PW12O40・29H2O、H3PMo12O40・29H2O、HUO2PO4・4H2O、HUO2AsO4・4H2O、H4SiW12O40・26H2O、Zr(HPO4) 2・H2O、As(HPO4)2・H2O等が挙げられる。電解質膜中のプロトン供与体の含有量は0より多く80重量%以下、さらには0.0001〜70重量%の範囲にあることが好ましい。このような範囲でプロトン供与体が含まれていれば、プロトン伝導性を高める効果を充分に発現することが可能となる。
【0046】
なお、プロトン供与体を含む場合も、マトリックス成分およびプロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子の含有量は前記した範囲にあることが好ましい。さらに、本発明に係る電解質膜は、水分含有量が少なくとも、さらには水分を含んでいなくとも高いプロトン伝導性を有している。しかしながら、必要に応じて保水性能を有する成分が配合されていてもよい。
【0047】
また、本発明に係る電解質膜は、膜厚が0.01〜10mm、さらには0.05〜5mmの範囲にあることが好ましい。この範囲にあれば、プロトン伝導性が高く、充分な強度の膜が得られ、加工時にクラックが入ることもピンホールが生じることもない。電解質膜の膜厚が薄くすると、充分な膜の強度が得られず、加工の際にクラックが入ったり、ピンホールが生じることがある。電解質膜の膜厚を厚くしすぎると、かえってプロトン伝導性が低下するとともに、塗布液法で膜を形成する場合には充分な膜の強度が得られないことがある。
【0048】
つぎに、上記電解質膜の製造方法について説明する。
これらの無機酸化物マトリックスを使用して電解質膜を形成する場合、たとえば、無機化合物塩の加水分解物の水および/または有機溶媒分散液と、プロトン供与性官能器が導入された多孔質粒子と、必要に応じてプロトン供与体との混合物からなる電解質膜形成用塗料を調製する。無機化合物塩としては、塩化ジルコニウム、塩化ジルコニル、四塩化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、四塩化チタン、硫酸チタン、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が用いられる。これらの無機化合物塩水溶液に、酸またはアルカリを加えて加水分解して得られる加水分解物を、洗浄、熟成などを行い、必要に応じて有機溶媒置換して使用される。有機溶媒としては、後述する有機溶媒を使用することができる。
【0049】
有機樹脂マトリックスを使用して電解質膜を形成する場合、これらの有機樹脂マトリックスを溶剤に溶解し、プロトン供与性官能基を担持・付着または結合してなる多孔質粒子を分散させて懸濁液を、型枠を設けられたフィルム表面に塗布し乾燥して溶媒を除去すれば電解質膜を形成できる。得られた電解質膜を電極表面に転写してもよい。
【0050】
また、懸濁液を直接電極表面に塗布し乾燥して電解質膜を形成することも可能である。また、有機樹脂マトリックスが熱可塑性樹脂の場合、有機マトリックス粉末と前記多孔質粒子とを混合し、混合粉末を所定の金型内に装填し、加熱して溶融して膜状に成型してもよく、また加熱時に加圧してもよい。
さらに前記有機珪素化合物の加水分解物をマトリックスとして使用する場合では、まず、プロトン伝導性を有する有機珪素化合物、および/または有機珪素化合物加水分解物の水および/または有機溶媒溶液と、プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子と、必要に応じてプロトン供与体との混合物からなる電解質膜形成用塗料を調製する。有機珪素化合物加水分解物は、前記した有機珪素化合物の有機溶媒溶液に水を加えて、必要に応じて酸またはアルカリを加えて、加水分解して得られる加水分解物(部分加水分解物、加水分解・重縮合したものを含む)が、必要に応じて洗浄、熟成等したものが用いられる。有機珪素化合物を加水分解する際に、前記した有機珪素化合物の有機溶媒溶液に前記プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子の水および/または有機溶媒分散液(好ましくは有機溶媒分散液)を混合し、これに水を加えて、有機珪素化合物を加水分解すると、膜の強度や燃料分子の不透過性、プロトン伝導性等に優れた電解質膜を得ることができる。
【0051】
有機溶媒としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
【0052】
また、電解質膜形成用塗料には、必要に応じて前記プロトン供与体が含まれていてもよい。電解質膜形成用塗料中の有機珪素化合物および/または有機珪素化合物加水分解物、プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子分散液および必要に応じて用いるプロトン供与体の配合割合は、得られる電解質膜中の各成分の含有量が前記した範囲となるように配合して用いる。
【0053】
電解質膜形成用塗料の合計固形分濃度は2〜50重量%、さらには5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。固形分濃度がこのような範囲にあれば、1液で、所望の膜厚の電解質膜を形成することが可能である。
電解質膜形成用塗料の濃度が少ないと、1回の塗布で所望の膜厚の電解質膜が得られないことがあり、電解質膜形成用塗料の濃度が多くても塗料の粘度が高くなり塗料化が困難であり、得られたとしても塗布法が制限されたり、得られる電解質膜の強度が不充分となることがある。
【0054】
また本発明で使用される塗料は、脱イオン処理を行ったり、必要に応じて濃縮あるいは希釈して用いることもできる。
上記した電解質膜形成用塗料を用いて電解質膜を形成する際に、形成方法としては、充分な発電性能および膜の強度等を有していれば特に制限はないが、たとえば剥離製の良い型枠、テフロン(R)製の型枠に塗料を充填した後、乾燥、加熱処理等を施すことによって得ることができる。
【0055】
また、後述するガス拡散層および触媒層としての機能を有する一対の多孔質電極、つまり燃料極または酸化剤極基板上に電解質膜形成用塗料をスプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、ドクターブレード法等の方法で、基板上に塗布した後、乾燥、加熱処理等を施すことによっても得ることができる。
【0056】
このようにして得られる電解質膜は、膜厚が0.01〜10mm、さらには0.05〜5mmの範囲にあることが好ましい。
つぎに、本発明に係る燃料電池について説明する。
燃料電池
本発明に係る燃料電池は、上記した電解質膜を使用することを特徴としている。
【0057】
具体的には、上記した電解質膜と、この両側に配置される一対のガス拡散電極(燃料極および酸化極)とから構成され、燃料極と酸化剤極とで電解質膜を狭持するとともに、両極の外側に燃料室および酸化剤室を構成する溝付きの集電体を配したものを単セルとし、このような単セルを、冷却板等を介して複数層積層することによって構成される。
【0058】
ガス拡散電極は、通常、触媒粒子を担持させた導電性材料をPTFEなどの疎水性樹脂結着剤で保持させた多孔質体シートからなる。また、導電性材料とPTFEなどの疎水性樹脂結着剤とからなる多孔質体シートの電解質膜接触面に触媒粒子層を設けたものであってもよい。
このようなガス拡散電極の一対で、電解質膜を狭持し、ホットプレスなどの公知の圧着手段により、圧着される。
【0059】
触媒としては、水素の酸化反応および酸素の還元反応の触媒作用を有するものであれば良く、白金、ルテニウム、イリジウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、タングステン、鉛、鉄、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン、バナジウム、モリブデン、ガリウム、アルミニウム等の金属またはそれらの合金から選択することができる。触媒の担持量は、触媒層シートを形成した状態で0.01〜5mg/cm2であり、より好ましくは0.1〜1mg/cm2であればよい。
【0060】
導電性材料としては電子伝導性物質であればよく、たとえば炭素材料として公知のファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等のカーボンブラックの他、活性炭、黒鉛、また各種金属も使用可能である。電子伝導性物質は多孔質材料が好ましく、100〜2000m2/gの比表面積を有していると、充分な透過性を得る上で好ましい。
【0061】
疎水性樹脂結着剤としては、たとえばフッ素を含む各種樹脂が挙げられ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、パーフルオロスルホン酸等が挙げられる。
また、電解質膜と接する反対の面に、前記疎水性樹脂結着剤からなるガス拡散層が設けられていてもよい。
【0062】
また、ガス拡散電極の平均細孔直径は、0.01〜1μmであることが好ましい。
本発明に係る燃料電池では、燃料室にたとえば水素等のプロトンを生成可能な物質を供給し、酸化剤室にプロトンと反応する空気(酸素)等を供給し、下記電極反応により電気を発生させる。
【0063】
燃料極(アノード):H2 → 2H+ + 2e-
酸素極(カソード):2H+ + 1/2O2 + 2e- → 2H2O
また、燃料としてメタノールを供給して、直接発電する場合は、以下の反応により電気を発生させる。
燃料極(アノード): CH3OH + H2O → CO2 + 6H+ + 6e-
酸素極(カソード): 6H+ + 3/2O2 + 6e- → 3H2O
【0064】
【発明の効果】
本発明によると、電解質膜がプロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子を含有しているためにプロトン伝導性に優れるとともに低水分でも運転可能で、高温運転性能、耐久性等にも優れ、さらに水素、メタノール等の燃料のクロスオーバー(透過性)の抑制された電解質膜および該電解質膜を具備してなり、発電性能、燃料効率等に優れた燃料電池を提供することができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0066】
【実施例1】
プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子 (A) 分散液の調製
シリカ・アルミナコロイド溶液(触媒化成工業(株)製:USBB-120、平均粒子径15nm、比表面積500m2/g、SiO2・Al2O3濃度1重量%)300gに濃度1重量%の硫酸アンモニウム水溶液100gを加え、50℃に1時間保持した。ついで、30℃に冷却した後、陽イオン交換樹脂を分散液のpHが3.0になるまで加えた。
【0067】
ついで、限外濾過膜法により蒸留水で洗浄しついで分散媒(エチルアルコール:水/50:50)で置換するとともに濃縮して固形分濃度が20重量%の多孔質粒子(A)分散液を調製した。プロトン供与性官能基の担持量は6.1×10-3mmol/m2であった。
電解質膜形成用塗料 (A) の調製
プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(A)分散液1.47gにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)1.19gを加え、室温で30分攪拌した。ついで水2.66gを加えて加水分解し、3時間攪拌して、電解質膜形成用塗料(A)を調製した。
【0068】
電解質膜 (A) の調製
電解質膜形成用塗料(A)を10cm×10cmのテフロン(R)製枠型に充填し、60℃で3日間乾燥した後、2×2cm(厚さ0.7mm)で切り出し、温度150℃、プレス圧力5MPa、30秒間の条件でホットプレスし、厚さが約0.33mmの電解質膜(A)を得た。下記の条件でイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0069】
イオン伝導性の評価
電解質膜(A)を温度80℃、相対湿度(RH)80%の環境下に置き、インピーダンスアナライザーを用いて周波数を5〜106Hzの範囲で変化させて測定し、結果を表に示した。
単位セル (A) の作成
ついで、白金含有量がPtとして40重量%の白金担時カーボン粒子にエチルアルコールおよび水(50:50)を加えペースト状にし、これをテトラフルオロエチレンで撥水処理したカーボン紙(東レ(株)製)2枚に、各々白金担持カーボン粒子が0.50mg/cm2になるように塗布し、100℃で12時間乾燥してガス拡散電極2枚を作製した。この2枚の拡散電極を、正極および負極とし、両極の間に電解質膜(A)を挟み、プレス圧力50MPa、150℃で30秒間ホットプレスし、ガス拡散電極と電解質膜(A)とを張り合わせて単位セル(A)を作製した。
【0070】
V - I特性試験
単位セル(A)とセパレーターを燃料電池単セル評価装置に組み込み、さらに恒温・恒湿装置の中に入れ、燃料極に200ml/minの水素ガス、酸化剤極に200ml/minの空気を流入し、常圧、湿度80%、アノード加湿温度80℃、カソード加湿温度80℃の雰囲気中で単セルのV-I特性試験(電圧-電流密度の相関関係評価)を行った。このとき、電流密度は、10mA/cm2、40mA/cm2、80mA/cm2で行った。また、湿度30%、電流密度80mA/cm2でも行い結果を表に示した。
【0071】
さらに、耐熱性試験として、湿度80%、アノード加湿温度およびカソード加湿温度を120℃に上げ、電流密度80mA/cm2の時の電圧を求め、結果を表1に示した。
メタノール透過量の測定
単位セル(A)を単セル測定装置((株)司測研製:EFCO5)にセットし、ダイレクトメタノール供給装置((株)司測研製:GT1000-DM)を用いてメタノール(濃度5重量%)を流しながら、発生する電流を測定した。一方、燃料極の供給側と出口側での燃料の赤外線スペクトルを測定し、赤外線吸収スペクトルの吸収強度からメタノール濃度を求める。
【0072】
燃料極の供給側のメタノール濃度から出口側の濃度を引き、膜に取り込まれたメタノール量を求め、これから発生した電流から換算した電気に変換されたメタノール量を引き、メタノール透過量(mmol/min)を求めた。結果を表に示した。
【0073】
【実施例2】
プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子 (B) 分散液の調製
ゼオライト(触媒化成工業(株)製:CZSゼライト、平均粒径0.5μm、比表面積700m2/g)の水分散液(ゼオライト濃度1重量%)を用いた以外は実施例1と同様にして固形分濃度20重量%のプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(B)分散液を調製した。プロトン供与性官能基の担持量は6.8×10-3mmol/m2であった。
【0074】
電解質膜形成用塗料 (B) および電解質膜 (B) の調製
実施例1において、プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(B)分散液を用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(B)を調製し、ついで電解質膜(B)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
単位セル (B) の作成
実施例1において、電解質膜(B)を用いた以外は同様にして単位セル(B)を作成した。結果を表1に示す。
【0075】
【実施例3】
プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子 (C) 分散液の調製
まず、以下のようにして平板状ゼオライト粒子を調製した。
水78.2gとSiO2濃度24.0重量%の珪酸ナトリウム水溶液79.7gの混合液に、クラウンエーテル(アクロスオーガニックス社製:18-CROWN-6エーテル)25gを添加し、これを強く撹拌しながら、Al2O3としての濃度が22.0重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液51.8gを添加した。
【0076】
これを30℃で3時間熟成し、ついで、オートクレーブにて、115℃で7日間加熱処理した。得られた粒子を濾過洗浄して固形分濃度が1重量%の多孔質粒子(C)分散液を調製した。多孔質粒子(C)はX線回折でフージャサイト型のゼオライトで、形状は概ね一辺の長さ0.8μm、厚さ0.08μmの平板状であった。また、比表面積は650m2/gであった。
【0077】
ついで、固形分濃度が1重量%の多孔質粒子(C)分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が20重量%のプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(C)分散液を調製した。プロトン供与性官能基の担持量は6.8×10-3mmol/m2であった。
電解質膜形成用塗料 (C) および電解質膜 (C) の調製
実施例1において、プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(C)分散液を用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(C)を調製し、ついで電解質膜(C)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0078】
単位セル (C) の作成
実施例1において、電解質膜(C)を用いた以外は同様にして単位セル(C)を作成した。結果を表1に示す。
【0079】
【実施例4】
プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子 (D) 分散液の調製
まず、以下のようにして管状酸化チタン粒子を調製した。
塩化チタン水溶液を純水で希釈してTiO2として濃度5重量%の塩化チタン水溶液を調製した。この水溶液を、温度を5℃に調節した濃度15重量%のアンモニア水に添加して中和・加水分解した。塩化チタン水溶液添加後のpHは10.5であった。ついで、生成したゲルを濾過洗浄し、TiO2として濃度9重量%のオルソチタン酸のゲルを得た。
【0080】
このオルソチタン酸のゲル100gを純水2900gに分散させた後、濃度35重量%の過酸化水素水800gを加え、攪拌しながら、85℃で3時間加熱し、ペルオキソチタン酸水溶液を調製した。得られたペルオキソチタン酸水溶液のTiO2として濃度は0.5重量%であった。
ついで95℃で10時間加熱して酸化チタン粒子分散液とし、この酸化チタン粒子分散液に分散液中のTiO2に対するモル比が0.016となるようにテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH MW=149.2)を添加した。このときの分散液のpHは11であった。ついで、230℃で5時間水熱処理して酸化チタン粒子分散液を調製した。酸化チタン粒子の平均粒子径は30nmであった。
【0081】
ついで、酸化チタン粒子分散液に、濃度40重量%のKOH水溶液70gを、TiO2のモル数(TM)とアルカリ金属水酸化物のモル数(AM)とのモル比(AM)/(TM)が10となるように添加し、150℃で2時間水熱処理した。得られた粒子は純水にて充分洗浄した。このときのK2O残存量は0.9重量%であった。純水で洗浄した後、粒子の水分散液(TiO2としての濃度5重量%)とし、これに粒子と同量の陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを添加し、60℃で24時間処理してアルカリの除去等高純度化を行った。ついで、凍結乾燥してチタンナノチューブ粒子(平均粒子外径10nm、平均粒子内径7.5nm、平均粒子長さ180nm)を調製した。
【0082】
ついで、管状酸化チタン粒子水分散液(TiO2濃度1重量%)を調製した。この管状酸化チタン粒子水分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が20重量%のプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(D)分散液を調製した。プロトン供与性官能基の担持量は2.9×10-3mmol/m2であった。
電解質膜形成用塗料 (D) および電解質膜 (D) の調製
実施例1において、プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(D)分散液を用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(D)を調製し、ついで電解質膜(D)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0083】
単位セル (D) の作成
実施例1において、電解質膜(D)を用いた以外は同様にして単位セル(D)を作成した。結果を表1に示す。
【0084】
【実施例5】
電解質膜形成用塗料 (E) および電解質膜 (E) の調製
実施例4において、多孔質粒子(D)分散液を300g、濃度1重量%の硫酸アンモニウム水溶液20g用いた以外は同様にして固形分濃度20重量%のプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(E)分散液、電解質膜形成用塗料(E)を調製し、ついで電解質膜(E)を調製した。このとき、プロトン供与性官能基の担持量は3.8×10-3mmol/m2であった。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0085】
単位セル (E) の作成
実施例1において、電解質膜(E)を用いた以外は同様にして単位セル(E)を作成した。結果を表1に示す。
【0086】
【実施例6】
電解質膜形成用塗料 (F) および電解質膜 (F) の調製
実施例4と同様にして得たプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(E)分散液1.47gにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)1.19gを加え、室温で30分攪拌した。これにプロトン供与体としてケイタングステン酸26水和物(STA)0.15gを添加し、ついで水2.66gを加えて加水分解し、3時間攪拌して、電解質膜形成用塗料(F)を調製し、ついで電解質膜(F)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0087】
単位セル (F) の作成
実施例1において、電解質膜(F)を用いた以外は同様にして単位セル(F)を作成した。結果を表1に示す。
【0088】
【実施例7】
電解質膜形成用塗料 (G) および電解質膜 (G) の調製
実施例4において、多孔質粒子(D)分散液を300g、濃度1重量%の硫酸アンモニウム水溶液100gを用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(G)を調製し、ついで電解質膜(G)を調製した。このとき、プロトン供与性官能基の担持量は2.0×10-2mmol/m2であった。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0089】
単位セル (G) の作成
実施例1において、電解質膜(G)を用いた以外は同様にして単位セル(G)を作成した。結果を表1に示す。
【0090】
【実施例8】
電解質膜形成用塗料 (H) および電解質膜 (H) の調製
実施例4において、プロトン供与性官能基を有する化合物としてリン酸アンモニウムを用いた以外は同様にしてプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(H)分散液、電解質膜形成用塗料(H)を調製し、ついで電解質膜(H)を調製した。このとき、プロトン供与性官能基の担持量は6.5×10-3mmol/m2であった。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0091】
単位セル (H) の作成
実施例1において、電解質膜(H)を用いた以外は同様にして単位セル(H)を作成した。結果を表1に示す。
【0092】
【実施例9】
電解質膜形成用塗料 (I) および電解質膜 (I) の調製
実施例4において、プロトン供与性官能基を有する化合物として酢酸アンモニウムを用いた以外は同様にしてプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(I)分散液、電解質膜形成用塗料(I)を調製し、ついで電解質膜(I)を調製した。このとき、プロトン供与性官能基の担持量は5.7×10-3mmol/m2であった。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0093】
単位セル (I) の作成
実施例1において、電解質膜(I)を用いた以外は同様にして単位セル(I)を作成した。結果を表1に示す。
【0094】
【実施例10】
プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子 (J) 分散液の調製
実施例4と同様に、凍結乾燥してチタンナノチューブ粒子(平均粒子外径10nm、平均粒子内径7.5nm、平均粒子長さ180nm)を調製した。ついで、450℃で2時間加熱処理した。得られた酸化チタンは長さ170nm、外径7nmの繊維状であった。
【0095】
ついで、繊維状酸化チタン粒子(J)水分散液(TiO2濃度1重量%)を調製した。この繊維状酸化チタン粒子(J)水分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が20重量%のプロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(J)分散液を調製した。プロトン供与性官能基の担持量は6.8×10-2mmol/m2であった。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0096】
単位セル (J) の作成
実施例1において、電解質膜(J)を用いた以外は同様にして単位セル(J)を作成した。結果を表1に示す。
【0097】
【比較例1】
電解質膜形成用塗料 (R1) の調製
溶媒1.47gにγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTMS)1.19gを加え、室温で30分攪拌した。これにプロトン供与体としてケイタングステン酸26水和物(STA)0.15gを添加し、ついで水2.66gを加えて加水分解し、3時間攪拌して、電解質膜形成用塗料(R1)を調製した。
【0098】
電解質膜 (R1) の調製
実施例1において、電解質膜形成用塗料(R1)を用いた以外は同様にして電解質膜(R1)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
単位セル (R1) の作成
実施例1において、電解質膜(R1)を用いた以外は同様にして単位セル(R1)を作成した。結果を表1に示す。
【0099】
【比較例2】
多孔質粒子 (A2) 分散液の調製
実施例1で用いたシリカ・アルミナコロイド溶液を用い、分散媒(エチルアルコール:水/50:50)で置換するとともに濃縮して固形分濃度が20重量%の多孔質粒子(A2)分散液を調製した。
【0100】
電解質膜形成用塗料 (R2) および電解質膜 (R2) の調製
実施例6において、プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(D)分散液1.47gの代わりに多孔質粒子(A2)分散液1.47gを用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(R2)を調製し、ついで電解質膜(R2)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0101】
単位セル (R2) の作成
実施例1において、電解質膜(R2)を用いた以外は同様にして単位セル(R2)を作成した。結果を表1に示す。
【0102】
【比較例3】
多孔質粒子 (B2) 分散液の調製
実施例2で用いたゼオライト(触媒化成工業(株)製:CZSゼライト、平均粒径0.5μm、比表面積700m2/g)を用い、ゼオライト濃度20重量%の多孔質粒子(B2)分散液を調製した。
【0103】
電解質膜形成用塗料 (R3) および電解質膜 (R3) の調製
実施例6において、プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(D)分散液1.47gの代わりに多孔質粒子(B2)分散液1.47gを用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(R3)を調製し、ついで電解質膜(R3)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0104】
単位セル (R3) の作成
実施例1において、電解質膜(R3)を用いた以外は同様にして単位セル(R3)を作成した。結果を表1に示す。
【0105】
【比較例4】
多孔質粒子 (C2) 分散液の調製
実施例3と同様にして、固形分濃度20重量%の多孔質粒子(C2)分散液を調製した。
電解質膜形成用塗料 (R4) および電解質膜 (R4) の調製
実施例6において、プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(D)分散液1.47gの代わりに多孔質粒子(C2)分散液1.47gを用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(R4)を調製し、ついで電解質膜(R4)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0106】
単位セル (R4) の作成
実施例1において、電解質膜(R4)を用いた以外は同様にして単位セル(R4)を作成した。結果を表1に示す。
【0107】
【比較例5】
多孔質粒子 (D2) 分散液の調製
実施例4と同様にして、固形分濃度が20重量%の多孔質粒子(D2)分散液を調製した。
電解質膜形成用塗料 (R5) および電解質膜 (R5) の調製
実施例6において、プロトン供与性官能基を有する多孔質粒子(D)分散液1.47gの代わりに多孔質粒子(D2)分散液1.47gを用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(R5)を調製し、ついで電解質膜(R5)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0108】
単位セル (R5) の作成
実施例1において、電解質膜(R5)を用いた以外は同様にして単位セル(R5)を作成した。結果を表1に示す。
【0109】
【比較例6】
多孔質粒子 (D3) 分散液の調製
実施例4と同様にして、固形分濃度が20重量%の多孔質粒子(D3)分散液を調製した。
電解質膜形成用塗料 (R6) および電解質膜 (R6) の調製
実施例1において、多孔質粒子(D3)分散液を用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(R6)を調製し、ついで電解質膜(R6)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
【0110】
単位セル (R6) の作成
実施例1において、電解質膜(R6)を用いた以外は同様にして単位セル(R6)を作成した。結果を表1に示す。
【0111】
【比較例7】
多孔質粒子 (J2) 分散液の調製
実施例10と同様にして得た繊維状酸化チタン粒子水分散液を用いた以外は実施例1と同様にして、固形分濃度が20重量%の多孔質粒子(J2)分散液を調製した。
【0112】
電解質膜形成用塗料 (R7) および電解質膜 (R7) の調製
実施例1において、多孔質粒子(J2)分散液を用いた以外は同様にして電解質膜形成用塗料(R7)を調製し、ついで電解質膜(R7)を調製した。電解質膜のイオン伝導性を評価した。結果を表1に示す。
単位セル (R7) の作成
実施例1において、電解質膜(R7)を用いた以外は同様にして単位セル(R7)を作成した。結果を表1に示す。
【0113】
【表1】
Claims (8)
- プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子と、プロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物マトリックスであるマトリックスとからなることを特徴とする電解質膜。
- 前記プロトン供与性官能基が−SO3OH、−SO3H、−PO3OH、−OPO(OH)2、−COOH、OHから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の電解質膜。
- 前記プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子中のプロトン供与性官能基の含有量が、多孔質粒子の単位表面積(1m2)当たり0.0001〜0.1mmolの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の電解質膜。
- 前記多孔質粒子が、ZrO2、SiO2、TiO2、Al2O3、SiO2・Al2O3、Sb2O5からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物多孔質粒子、ゼオライト粉末、活性炭、繊維状酸化チタン、繊維状カーボン、繊維状シリカ、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブ、から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電解質膜。
- 前記多孔質粒子が繊維状酸化チタン、繊維状カーボン、繊維状シリカ、管状酸化チタン、カーボンナノチューブ、シリカナノチューブから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電解質膜。
- 前記多孔質粒子が平板状ゼオライトであることを特徴とする請求項4に記載の電解質膜。
- 前記プロトン供与性官能基が導入された多孔質粒子の電解質膜中の含有量が5〜95重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電解質膜。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の電解質膜を具備してなることを特徴とする燃料電池。
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