JP5041695B2 - 帯電防止膜形成用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な帯電防止膜形成用組成物、該帯電防止膜形成用組成物を用いて形成された帯電防止膜付基材および帯電防止樹脂成型品に関する。
従来より、基材に帯電防止性能を付与するために導電性の酸化物微粒子等を含む導電性被膜を形成することが行われている。プラスチック基材、例えばPET基材上に導電性酸化物微粒子を塗料用樹脂に配合した塗料を塗布し、硬化させて透明性、硬度、耐擦傷性を有する帯電防止膜を形成することが行われている。
また、陰極線管、蛍光表示管、液晶表示板などの表示パネルのような透明基材の表面の帯電防止を目的として、これらの表面に導電性を有する酸化物微粒子あるいは金属微粒子を含む透明被膜を形成することが行われていた。
しかしながら、導電性の酸化物微粒子を有機樹脂膜中あるいは無機膜中に配合して用いる場合、導電性の酸化物微粒子が凝集しやすいために、有機樹脂膜中あるいは無機膜中に均一に高分散することができず、透明性、硬度、耐擦傷性等が不充分であったり、導電性も不十分となることがあった。
このため、膜を形成するための導電性の酸化物微粒子が分散した膜形成用塗布液に界面活性剤を用いることも行われているが、界面活性剤の使用量が多くなると導電性が低下することがあり、使用量が少なくなると分散性が不充分となり、このためにヘーズが高くなる傾向があった。
また、導電性の酸化物微粒子をシランカップリング剤で表面処理して用いると分散性が向上してヘーズは低下するものの導電性が低下する傾向があり、充分な帯電防止性能が得られないことがあった。
また、上記のように基材上に帯電防止機能を有する透明被膜を形成する以外に、PETなどの樹脂フィルム中に導電性の酸化物微粒子を分散させた帯電防止性能を有する樹脂フィルムも知られている。しかしながら、この場合もフィルム中への分散性の問題、ヘーズが低下する問題、帯電防止性能が不充分となる問題等があった。
また、特開2003-201444号公報(特許文献1)には、特定の官能基(たとえばメルカプ
ト基など)を有するシランカップリング剤を含む活性エネルギー線硬化型の帯電防止コーティング剤組成物が開示されている。また、特開2004-107597号公報(特許文献2)には
、メルカプト基を有するシラン化合物をシラン化合物と共重縮合を行った後、メルカプト基をスルホン酸基に酸化させた重合物からなる複合材料が開示され、かかる複合材料はイオン伝導膜として使用される旨が開示されている。
特開2003-201444号公報 特開2004-107597号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載されたように、単に、メルカプト基やスルホン酸基を含むシラン重合体成分を使用しても、メルカプト基やスルホン酸基の密度に制限があり、充分なプロトン伝導性が得られないという問題点があった。また、膜の強度や耐擦傷性などが満足するものではなかった。
このため、帯電防止性能、ヘーズ、透明性、強度、耐擦傷性、硬度等に優れた透明被膜あるいは樹脂成型品を形成することが可能な帯電防止膜形成用組成物、該帯電防止膜形成用組成物を用いて形成された帯電防止膜付基材および表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子を含んでなる帯電防止樹脂成型品を提供することが望まれていた。
本発明者らは、このような問題点に鑑み鋭意検討した結果、表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子を用いると帯電防止性能を低下させることなく、強度、透明性、耐擦傷性、基材との密着性、硬度、ヘーズ等に優れた透明被膜が得られることを見いだして本発明を完成するに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1](i)表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子と、
(ii)マトリックス形成成分とを含んでなる帯電防止膜形成用組成物。
[2]前記マトリックス形成成分がプロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物または塗料用樹脂である[1]の帯電防止膜形成用組成物。
[3]さらに、(iii)プロトン供与体を含む[1]または[2]の帯電防止膜形成用組成
物。
[4]前記無機酸化物微粒子表面のスルホン酸基の含有量が表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子中に15〜45重量%の範囲にある[1]〜[3]のの帯電防止膜形成用組成物。
[5]前記無機酸化物微粒子がSiO2、Al23、ZrO2、TiO2、ZnO、Sb25、W
3、SnO2、InO3およびこれらの複合酸化物あるいはこれらを主成分とする複合酸
化物から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止膜形成用組成物。
[6]前記無機酸化物微粒子の平均粒子径が5〜50nmの範囲にある[1]〜[5]の帯電防止膜形成用組成物。
[7]固形分(スルホン酸基を有する無機酸化物微粒子+マトリックス形成成分+プロトン供与体)濃度が15〜45重量%の範囲にある[1]〜[6]の帯電防止膜形成用組成物。
[8]前記固形分中の前記表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子の割合が固形分として1〜35重量%の範囲にあり、前記マトリックス形成成分の割合が固形分として10〜50重量%の範囲にある[1]〜[7]のいずれかに記載の帯電防止膜形成用組成物。
[9]基材と、該基材表面に設けられた帯電防止膜とからなり、該帯電防止膜が[1]〜[8]の帯電防止膜形成用組成物を用いて形成されてなる帯電防止膜付基材。
[10]前記帯電防止膜の表面抵抗値が1×104〜1×1010Ω/□の範囲にある[9
]の帯電防止膜付基材。
[11]表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子を含んでなる樹脂成型品。
[12]前記表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子の含有量が1〜35重量%の範囲にある[11]の樹脂成型品。
[13]前記樹脂成型品の表面抵抗値が1×107〜1×1012Ω/□の範囲にある[1
2]の樹脂成型品。
本発明によれば、帯電防止性能、ヘーズ、透明性、強度、耐擦傷性、硬度等に優れた透明被膜を形成できる。また、マトリックスを代えれば、これらの特性を満足した樹脂成型品を得ることもできる。
このような樹脂成型品は導電性フィルム、ハードコート材。包装材料、建築材料等として好適であり、さらには、紡糸して繊維とした場合は帯電防止性能を有する衣料等として有用である。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
帯電防止膜形成用組成物
本発明に係る帯電防止膜形成用組成物は、
(i)表面にスルホン酸基(−SO3H基)を有する無機酸化物微粒子と、
(ii)マトリックス形成成分とを含んでなることを特徴としている。
無機酸化物微粒子
本発明に用いる無機酸化物微粒子としては、SiO2、Al23、ZrO2、TiO2、SnO2、ZnO、Sb25、WO3、SnO2、InO3およびこれらの複合酸化物あるいはこれらを主成分とする複合酸化物から選ばれる1種以上であることが好ましい。
なかでも、酸化錫、Sb、FまたはPがドーピングされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン等は導電性に優れた透明被膜が得られるので好ましい。
このような無機酸化物微粒子は、平均粒子径が5〜50nm、さらには10〜30nmの範囲にあることが好ましい。
無機酸化物微粒子の平均粒子径が前記範囲の下限未満の場合は、基材との密着性や耐擦傷性が不充分であり、膜の強度あるいは硬度が不充分となることがある。平均粒子径が前記範囲の上限を越えても、無機酸化物微粒子の比表面積にもよるが表面のスルホン酸基の量が少なく、得られる帯電防止膜の帯電防止性能が不充分となることがある。
また、無機酸化物微粒子の比表面積は10〜500m2/g、さらには50〜300m2/gの範囲にあることが好ましい。無機酸化物微粒子の比表面積が前記範囲の下限未満の場合は、表面のスルホン酸基の含有量を多くすることができず、得られる帯電防止膜の帯電防止性能が不充分となることがある。また、比表面積が前記範囲の上限を超えるものは、導電性を有する粒子としては得ることが困難であり、得られたとしても無機酸化物微粒子の表面にさらに多くのスルホン基を担持することが困難であったり、プロトン伝導性がさらに向上することもない。
無機酸化物微粒子は表面にスルホン酸基が導入されている。表面のスルホン酸基の含有量は、無機酸化物微粒子重量(スルホン酸基も含める)の15〜45重量%、さらには20〜40重量%の範囲にあることが好ましい。表面スルホン酸基の含有量が前記範囲の下限未満の場合は、プロトン伝導性が不充分で帯電防止効果が充分得られないことがある。スルホン酸基含有量が前記範囲の上限を超えると、粒子の酸性が強くなりすぎるためか、帯電防止膜形成用組成物の安定が低下し、組成物中で粒子が凝集したり、得られる帯電防止膜の基材との密着性、強度、硬度等が不充分となることがある。
表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子は、組成物中に、得られる帯電防止膜中の微粒子含有量が1〜35重量%、さらには2〜30重量%の範囲となるように、含まれていることが好ましい。
なお、無機酸化物粒子の量には、表面のスルホン酸基および、スルホン酸基を導入した有機ケイ素化合物およびその加水分解物も含む。
無機酸化物微粒子の含有量が少ないと、帯電防止性能が不充分となることに加えて膜の形成性、膜の強度、耐擦傷性を向上させる効果が充分に得られないことがあり、また多す
ぎると、かえってマトリックス成分が少なすぎて膜の強度、耐擦傷性等が低下することがある。
このような表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子の製造方法は、前記範囲のスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子が得られれば特に制限はなく従来公知の方法で製造することができる。
例えば、メルカプト基を有する有機珪素化合物を無機酸化物微粒子分散液に加えて加水分解して加水分解物を無機酸化物微粒子表面に析出させ、ついで、無機酸化物微粒子を分離し、乾燥・固化した後、過酸化水素等の酸化剤と接触させることによって、表面のメルカプト基を酸化することで調製される。
このとき、無機酸化物微粒子を有機溶媒に分散させた無機酸化物微粒子のオルガノゾルに、メルカプト基を有する有機珪素化合物と水を加えて加水分解すると、後述するマトリックス形成成分への分散性が向上し、この結果、帯電防止膜中で均一に高分散した帯電防止性能に優れた帯電防止膜を得ることができる。
特許文献2では、加水分解物からシャーレ上に膜を形成し、乾燥後、過酸化水素で酸化している。しかしながら、膜形成後に酸化処理を行ってもスルホン化の反応が不充分で、帯電防止効果が充分得られない欠点がある。また、特許文献2では、もっぱらマトリックスとして重合体を使用することが開示されているにすぎず、無機酸化物粒子を使用し、該無機酸化物粒子表面に導入するという技術的思想は一切開示されていない。
プロトン供与体
本発明の帯電防止膜形成用組成物には、表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子以外にプロトン供与体を含んでいることが望ましい。
プロトン供与体としては特に制限はなく従来公知のプロトン供与体を用いることができる。例えば、H3PW1240・29H2O、H3PMo1240・29H2O、HUO2PO4・4H2O、HUO2AsO4・4H2O、H4SiW1240・26H2O、Zr(HPO4)2・H2O、As(HPO4)2・H2O等が挙げられる。
このようなプロトン供与体を含んでいると、プロトン伝導性が向上し、帯電防止性能に優れた帯電防止膜が得られる。
帯電防止膜形成用組成物中のプロトン供与体の含有量は、得られる帯電防止膜中のプロトン供与体の含有量が固形分として、40重量%以下、望ましくは5〜40重量%、さらには10〜35重量%の範囲にあることが好ましい。
プロトン供与体の含有量が前記範囲の下限未満の場合は、帯電防止膜中の他の成分、すなわち表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子またはマトリックス成分の含有量によっては帯電防止性能が不充分となることがある。また含有量が前記範囲の上限を越えると、マトリックス成分が少なすぎて膜の強度、耐擦傷性等が低下したり、表面にスルホン基を有する無機酸化物粒子の含有量が少ない場合は帯電防止性能が不充分となることがある。
マトリックス形成成分
マトリックス形成成分としては、下記式(1)で表されるプロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物、または塗料用樹脂であることが好ましい。
mSiX4-n (1)
〔ただし、R:炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基であって、互いに同一であ
っても異なっていてもよい。X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲン、水素、n:0〜3〕
マトリックス形成成分が有機珪素化合物の加水分解物である場合は、得られるマトリックスがシロキサン結合により3次元網目構造をしており、一部結合の末端にOH基が存在し、このOH基によりプロトン伝導性を発現することができる。また、前記表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子および必要に応じて用いる前記プロトン供与体と結合し、強度、擦傷性、硬度等に優れた帯電防止膜が得られる。
式(1)で表されるプロトン伝導性を有する有機珪素化合物としては、具体的に、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランγ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。
中でも、前記置換炭化水素基が酸素を含む開環性官能基である有機珪素化合物が含まれていることが好ましい。このような有機珪素化合物として、例えばγ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
このような酸素を含む開環性官能基を有する有機珪素化合物は酸素を含む置換炭化水素基が開環してOH基を生成するので高いプロトン伝導性を有し、帯電防止性能に優れた帯電防止膜が得られる。
また、本発明に用いる有機珪素化合物にはアミノ基を有する有機珪素化合物は実質的に含まれないことが好ましい。アミノ基を有する有機珪素化合物が含まれていると帯電防止膜形成用組成物がゲル化して粘度が高くなる場合があり、得られる帯電防止膜の擦傷性、硬度等、膜強度および帯電防止性能が低下することがある。
マトリックス形成成分として用いる塗料用樹脂としては公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等のいずれも採用することができる。
具体的には、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、熱硬化性樹脂の場合、紫外線硬化型のものであっても、電子線硬化型のものであってもよく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
帯電防止膜形成用組成物中のマトリックス形成成分は、全固形分中のマトリックス形成成分の含有量が固形分として10〜50重量%、さらには15〜45重量%の範囲となるように含まれていることが好ましい。
全固形分中のマトリックス形成成分の含有量が固形分として少ない場合は、得られる帯電防止膜の帯電防止性能は高いものの強度、硬度、耐擦傷性が不充分となることがあり、多すぎても帯電防止性能が不充分となることがある。
溶剤
本発明の帯電防止膜形成用塗料には、前記表面にスルホン基を有する無機酸化物微粒子、有機珪素化合物の加水分解物または塗料用樹脂のマトリックス形成成分、および必要に応じて用いるプロトン供与体を分散または溶解(粒子以外のもの)することができ、容易に揮発しうる溶剤が含まれていてもよい。
このような溶剤としてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。また、マトリックス形成成分が樹脂の場合、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、トルエン、シクロヘキサノン、イソホロン等も用いることができる。
なお、マトリックス形成成分として、プロトン伝導性を有する有機ケイ素化合物を使用する場合、表面にスルホン基を有する無機酸化物微粒子、マトリックス形成成分、必要に応じて用いるプロトン供与体の合計の固形分濃度が15〜45重量%、さらには20〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
また、マトリックス形成成分として、塗料用樹脂を使用する場合、組成物中に、表面にスルホン基を有する無機酸化物微粒子、マトリックス形成成分、必要に応じて用いるプロトン供与体の合計の固形分濃度が20〜60重量%、さらには25〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
いずれの場合も、組成物の固形分濃度が前記範囲の下限未満の場合は、濃度が低いために帯電防止膜の膜厚が不充分となったり、塗布ムラができることがある。また、前記範囲の上限を超えると、乾燥ムラができたり、膜にクラックが発生したり、不透明になることがある。
帯電防止膜付基材
つぎに、本発明に係る帯電防止膜付基材について説明する。
本発明に係る帯電防止膜付基材は、基材と、該基材表面に設けられた帯電防止膜とから
なり、該帯電防止膜が前記帯電防止膜形成用組成物を用いて形成されたことを特徴としている。
基材
本発明に用いる基材としては、公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ガラス、ポリカーボネート、アクリル樹脂、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等帯電防止性能が要求される基材があげられる。
帯電防止膜
本発明に係る帯電防止膜は、(i)表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子と、(ii)マトリックス成分と、必要に応じてプロトン供与体とからなり、前記帯電防止膜形成
用組成物を用いて形成されている。
表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子およびその膜中の含有量は、前記したとおりである。
マトリックス成分としては、前記したマトリックス形成成分を硬化したものが用いられ、具体的には前記プロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物または前記塗料用樹脂を硬化させたものが用いられる。
マトリックス成分がプロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物を硬化させたものである場合は、基材として通常ガラスが用いられ、塗料用樹脂を硬化させたものである場合は、前記樹脂系の基材が用いられる。
マトリックス成分の帯電防止膜中の含有量は、前記したとおりである。
また必要に応じて含んでいてもよいプロトン供与体およびその含有量も前記した通りである。
帯電防止膜の表面抵抗値が1×104〜1×1010Ω/□、さらには1×104〜1×108Ω/□の範囲にあることが好ましい。
なお、本発明の構成では、帯電防止膜の表面抵抗値が前記範囲の下限未満のものは得ることが困難であり、帯電防止膜の表面抵抗値が前記範囲の上限を超えると帯電防止効果が不充分で、例えば塵、埃の静電付着を防止することが困難である。
帯電防止膜の表面抵抗値は、表面にスルホン酸基を有する無機酸化物粒子の含有量、表面スルホン酸基の量およびマトリックス成分の量を調整することによって、調節することができる。たとえば、前記範囲内で表面抵抗値を低くしようとすれば、表面スルホン酸基の量を多く、またプロトン伝導性の高いマトリックス成分を使用すればよい。
帯電防止膜の膜厚は0.05〜20μm、さらには0.1〜10μmの範囲にあることが好ましい。
帯電防止膜の膜厚さが前記範囲の下限未満の場合は、帯電防止膜が薄いために帯電防止性能が不充分となることがあり、さらに、膜表面に加わる応力を充分吸収することができないために、耐擦傷性、鉛筆硬度等が不充分となることがある。
帯電防止膜の膜厚が前記範囲の上限を越えると、膜の厚さが均一になるように塗布したり、均一に乾燥することが困難となり、このためクラックやボイドの発生により得られる帯電防止膜の強度や透明性が不充分となることがある。
このような帯電防止膜の形成方法としては、特に制限されるものではなく、前記した帯
電防止膜形成用組成物をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法などの周知の方法で前記機材上に塗布し、乾燥すればよく、特にマトリックス形成成分が熱硬化性樹脂の場合は加熱処理、紫外線照射処理、電子線照射処理などにより、帯電防止膜の硬化を促進させてもよく、またマトリックス形成成分にプロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物が含まれている場合は加水分解物の加水分解・重縮合を促進させてもよい。
樹脂成型品
本発明に係る樹脂成型品は、表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子を含んでなることを特徴としている。樹脂としては、前記した塗料用樹脂から構成される。
表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子としては前記したと同じ微粒子が用いられる。無機酸化物微粒子の平均粒子径が小さすぎると凝集し易く、基材との密着性が不充分となったり、樹脂成型品に練り込んだ場合に樹脂成型品の表面が粗になり耐擦傷性が不充分となることがある。平均粒子径が大きすぎてもスルホン基の担持量が減少し、帯電防止効果が不充分となる。このため表面にスルホン基を有する無機化合物粒子の含有量を増加させると樹脂成型品の強度が不充分であったり、不透明および頭だしが不十分となることがある。
樹脂成型品中の表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子の含有量は30〜70重量%、さらには35〜65重量%の範囲にあることが好ましい。
この範囲にあれば、帯電防止性能および強度がともに優れた樹脂成型品を作成することができる。
上記含有量の範囲で無機酸化物微粒子を使用し、塗料用樹脂と組み合わせると、樹脂成型品の表面抵抗値が1×107〜1×1012Ω/□の範囲のものが得られる。
このような樹脂成型品の製造方法は、表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子を含み、前記範囲の表面抵抗値を有する樹脂成型品が得られれば特に制限はなく従来公知の方法によって得ることができる。
例えば、表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子を塗料用樹脂に混合あるいは練り込みした後、成形しても良く、あるいは、前記した塗料用樹脂を含む帯電防止膜形成用組成物を硬化、成型すればよい。
表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子を塗料用樹脂と混合する方法としては、樹脂フィルム製造工程のいずれかの段階において公知の方法で添加すればよい。例えば、ベント式成型機等の成型機を用いてポリマーへ練り込む方法、あるいはポリマー重合時に添加する方法等が挙げられる。
ついで、上記のようにして表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子は配合された樹脂を延伸したり、金型で成型したり、紡糸したりすれば、本発明に係る樹脂成型品を製造することができる。具体的には、熱可塑性樹脂の場合、表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子を添加した樹脂を溶融押し出ししてシート化した後、一軸または二軸延伸を行い樹脂成型品、樹脂フィルムを得ることができる。
このようにして得た樹脂成型品は導電性フィルム、包装材料、建築材料等として用いることができる。
また、樹脂成型品、樹脂フィルム以外に、紡糸して繊維とした場合は帯電防止性能を有する衣料等として有用である。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
帯電防止膜形成用組成物(1)の調製
γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名KBM-802)4.7gをイソプロピルアルコール18.9gに加えた。この液に濃度20重量%
のオルガノシリカゾル(触媒化成工業(株)製:商品名SN-50、平均粒子径:18nm、
分散媒:イソプロピルアルコール)を5.9g加え24時間室温で攪拌し、該シラン化合物を重縮合結合させて表面にメルカプト基を有するシリカ粒子分散液を調製した。ついで、マトリックス形成成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名KBM-403)4.8gを加え、室温で60分間攪拌した。
これに、プロトン供与体としてケイタングステン酸26水和物(和光純薬(株)製)3.5gをイソプロピルアルコール15.7gに溶解した液を加え、室温で60分間攪拌した。
ついで、濃度10重量%の酢酸水溶液1.2gを加え1時間攪拌した後、濃度35重量
%の過酸化水素水3.8gをゆっくり添加し、1時間攪拌し、70℃で3時間攪拌しなが
ら熟成し、表面にスルホン酸基を有するシリカ粒子を含む帯電防止膜形成用組成物(1)を
調製した。
帯電防止膜付基材(1)の調製
帯電防止膜形成用組成物(1)2gを、バーコーターを用いて10cmX10cmのポリ
カーボネート基板上に塗布し、12時間室温乾燥し、ついで80℃で1時間加熱処理して帯電防止膜付基材(1)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(1)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦
傷性を測定し、結果を表1に示した。(無色透明であり、表面抵抗は6.0X107Ωであっ
た。)
表面抵抗値の測定方法:得られた帯電防止膜の表面抵抗を表面抵抗計(三菱化学(株)製:ハイレスタ)にて測定した。
膜強度(鉛筆硬度):JIS-K-5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
ヘーズ(透明性):ヘーズメーター(スガ試験機(株)製)により測定した。
密着性:帯電防止膜付基材の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け、100個の升目を作り、これにセロハンテープ(登録商標)を接着し、ついで、セロハ
ンテープ(登録商標)剥離したときに被膜が剥離せずに残存している升目の数を以下の4段階に分類することによって蜜着性を評価した。
残存升目の数95個以上:◎
残存升目の数90〜94個:○
残存升目の数85〜89個:△
残存升目の数84個以下:×
耐擦傷性:#0000スチールウールを用い荷重500g/cm2で50回摺動し、膜の表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
筋状の傷が認められない:◎
筋状の傷がかすかに認められる:○
筋状の傷が多数認められる:△
面が全体的に削られている:×
(実施例2)
帯電防止膜形成用組成物(2)の調製
実施例1において、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランを9.4g、および過酸化水素水を7.6g用いた以外は同様にして帯電防止膜形成用組成物(2)を調製し
た。
帯電防止膜付基材(2)の調製
実施例1において、帯電防止膜形成用組成物(2)を用いた以外は同様にして帯電防止膜
付基材(2)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(2)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦
傷性を測定し、結果を表1に示した。
(実施例3)
帯電防止膜形成用組成物(3)の調製
実施例1において、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランを2.4g、および過酸化水素水を7.6g用いた以外は同様にして帯電防止膜形成用組成物(3)を調製した
帯電防止膜付基材(3)の調製
実施例1において、帯電防止膜形成用組成物(3)を用いた以外は同様にして帯電防止膜
付基材(3)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(3)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦
傷性を測定し、結果を表1に示した。
(実施例4)
帯電防止膜形成用組成物(4)の調製
実施例1において、濃度20重量%のオルガノシリカゾル(触媒化成工業(株)製:商品名:SN-30P平均粒子径:30nm、分散媒:イソプロピルアルコール)を用いた以外は同様にして帯電防止膜形成用組成物(4)を調製した。
帯電防止膜付基材(4)の調製
実施例1において、帯電防止膜形成用組成物(4)を用いた以外は同様にして帯電防止膜
付基材(4)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(4)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦
傷性を測定し、結果を表1に示した。
(実施例5)
帯電防止膜形成用組成物(5)の調製
実施例1において、濃度20重量%のオルガノアルミナゾル(触媒化成工業(株)製:商品名:SN-30平均粒子径:18nm、分散媒:イソプロピルアルコール)を5.9g用
いた以外は同様にして表面にスルホン酸基を有するアルミナ粒子を含む帯電防止膜形成用組成物(5)を調製した。
帯電防止膜付基材(5)の調製
実施例1において、帯電防止膜形成用組成物(5)を用いた以外は同様にして帯電防止膜
付基材(5)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(5)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦
傷性を測定し、結果を表1に示した。
(実施例6)
帯電防止膜形成用組成物(6)の調製
実施例1において、マトリックス形成成分としてγ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシランを用いた以外は実施例1と同様にして帯電防止膜形成用組成物(6)を調製し
た。
帯電防止膜付基材(6)の調製
実施例1において、帯電防止膜形成用組成物(6)を用いた以外は同様にして帯電防止膜
付基材(6)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(6)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦
傷性を測定し、結果を表1に示した。
(実施例7)
帯電防止膜形成用組成物(7)の調製
実施例1において、プロトン供与体としてNaHSO3を用いた以外は同様にして帯電
防止膜形成用組成物(7)を調製した。
帯電防止膜付基材(7)の調製
実施例1において、帯電防止膜形成用組成物(7)を用いた以外は同様にして帯電防止膜
付基材(7)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(7)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦
傷性を測定し、結果を表1に示した。
(実施例8)
帯電防止膜形成用組成物(8)の調製
実施例1と同様にして調製した帯電防止膜形成用組成物(1)にエチレングリコールを加え
、ロータリーエバポレーターにて100℃で溶媒置換し、固形分濃度20重量%のエチレングリコールを分散媒とする帯電防止膜形成用組成物(8)を得た。
樹脂成型品(8)の調製
帯電防止膜形成用組成物(8)140gを、得られる樹脂成型品中のスルホン酸基の含有
量が50量%になるようにポリカーボネート樹脂(帝人化成製:樹脂濃度100重量%)280gに添加し、加工温度290℃で高速ミキサーで練りこみ、熱プレス機によりシート状帯電防止性の樹脂成型品(8)を調製した。シートの厚さは2mmであった。
得られた樹脂成型品(8)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦傷性を
測定し、結果を表1に示した。
(比較例1)
帯電防止膜形成用組成物(R1)の調製
イソプロピルアルコール18.9gに濃度20重量%のオルガノシリカゾル(触媒化成工業(株)、商品名SN-50、平均粒子径:18nm、分散媒:イソプロピルアルコール)
を5.9g加え、24時間室温で攪拌後、マトリックス形成成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名KBE-403)4.8gを加え
、室温で60分間攪拌した。
これに、プロトン供与体としてケイタングステン酸26水和物(和光純薬(株)製)3.5gをイソプロピルアルコール15.7gに溶解した液を加え、室温で60分間攪拌した。
ついで、濃度10重量%の酢酸水溶液1.2gを加え1時間攪拌した後、70℃で3時
間攪拌しながら熟成して帯電防止膜形成用組成物(R1)を調製した。
帯電防止膜付基材(R1)の調製
実施例1において、帯電防止膜形成用組成物(R1)を用いた以外は同様にして帯電防止膜付基材(R1)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(R1)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦傷性を測定し、結果を表1に示した。
(比較例2)
帯電防止膜形成用組成物(R2)の調製
燐酸4.7gをイソプロピルアルコール18.9gに加えた。この液に濃度20重量%のオルガノシリカゾル(触媒化成工業(株)製:商品名SN-50、平均粒子径:18nm、
分散媒:イソプロピルアルコール)を5.9g加え24時間室温で攪拌し、該シラン化合物を重縮合結合させて表面に燐酸基を有するシリカ粒子分散液を調製した。ついで、マトリックス形成成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名KBM-403)4.8gを加え、室温で60分間攪拌した。
これに、プロトン供与体としてケイタングステン酸26水和物(和光純薬(株)製)3.5gをイソプロピルアルコール15.7gに溶解した液を加え、室温で60分間攪拌した。
ついで、濃度10重量%の酢酸水溶液1.2gを加え1時間攪拌した後、70℃で3時
間攪拌しながら熟成し、表面に燐酸基を有するシリカ粒子を含む帯電防止膜形成用組成物(R2)を調製した。
帯電防止膜付基材(R2)の調製
帯電防止膜形成用組成物(R2)2gを、バーコーターを用いて10cm×10cmのポリカーボネート基板上に塗布し、12時間室温乾燥し、ついで80℃で1時間加熱処理して、表面に燐酸基を有するシリカ粒子を含む帯電防止膜付基材(R2)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(R2)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦傷性を測定し、結果を表1に示した。
(比較例3)
帯電防止膜形成用組成物(R3)の調製
実施例1と同様にγ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名KBM-802)4.7gをイソプロピルアルコール18.9gに加た。この液に
濃度20重量%のオルガノシリカゾル(触媒化成工業(株)製:商品名SN-50、平均粒子
径:18nm、分散媒:イソプロピルアルコール)を5.9g加え24時間室温で攪拌し、該シラン化合物を重縮合結合させて表面にメルカプト基を有するシリカ粒子分散液を調製した。ついで、マトリックス形成成分としてγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製:商品名KBM-403)4.8gを加え、室温で60分間攪拌し
た。
これに、プロトン供与体としてケイタングステン酸26水和物(和光純薬(株)製)3.5gをイソプロピルアルコール15.7gに溶解した液を加え、室温で60分間攪拌した。
ついで、濃度10重量%の酢酸水溶液1.2gを加え1時間攪拌して電防止膜形成用組
成物(R3)を調製した。
帯電防止膜付基材(R3)の調製
帯電防止膜形成用組成物(R3)2gをバーコーターを用いて10cmX10cmのポリカーボネート基板上に塗布し、12時間室温乾燥し、ついで80℃で1時間加熱処理した。
その後、帯電防止膜付基材をシャーレに入れ、濃度35重量%の過酸化水素水3.8gをゆっくり添加し、70℃で3時間放置し、ついで80℃で1時間加熱処理して表面にスルホン酸基を有するシリカ粒子を含む帯電防止膜付基材(R3)を調製した。
得られた帯電防止膜付基材(R3)について、表面抵抗値、膜強度、ヘーズ、密着性、耐擦傷性を測定し、結果を表1に示した。
Figure 0005041695

Claims (10)

  1. (i)表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子と、
    (ii)マトリックス形成成分とを含んでなる帯電防止膜形成用組成物であって、
    該表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子が、メルカプト基を有する有機ケイ素化合物の加水分解物を無機酸化物微粒子表面に析出させ、次いで酸化剤と接触させて表面のメルカプト基を酸化することによって得られたものである
    ことを特徴とする、帯電防止膜形成用組成物。
  2. 前記マトリックス形成成分がプロトン伝導性を有する有機珪素化合物の加水分解物または塗料用樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の帯電防止膜形成用組成物。
  3. さらに、(iii)プロトン供与体を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の帯電防止膜形成用組成物。
  4. 前記無機酸化物微粒子表面のスルホン酸基の含有量が表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子中に15〜45重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電防止膜形成用組成物。
  5. 前記無機酸化物微粒子がSiO2、Al23、ZrO2、TiO2、ZnO、Sb25、WO3、SnO2、InO3およびこれらの複合酸化物あるいはこれらを主成分とする複合酸化物から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電防止膜形成用組成物。
  6. 前記無機酸化物微粒子の平均粒子径が5〜50nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の帯電防止膜形成用組成物。
  7. 固形分(スルホン酸基を有する無機酸化物微粒子+マトリックス形成成分+プロトン供与体)濃度が15〜45重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の帯電防止膜形成用組成物。
  8. 前記固形分中の前記表面にスルホン酸基を有する無機酸化物微粒子の割合が固形分として1〜35重量%の範囲にあり、前記マトリックス形成成分の割合が固形分として10〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の帯電防止膜形成用組成物。
  9. 基材と、該基材表面に設けられた帯電防止膜とからなり、該帯電防止膜が請求項1〜8のいずれかに記載の帯電防止膜形成用組成物を用いて形成されてなることを特徴とする帯電防止膜付基材。
  10. 前記帯電防止膜の表面抵抗値が1×104〜1×1010Ω/□の範囲にあることを特徴とする請求項9に記載の帯電防止膜付基材。
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