JPH107932A - 低抵抗の無機粉末 - Google Patents

低抵抗の無機粉末

Info

Publication number
JPH107932A
JPH107932A JP8169046A JP16904696A JPH107932A JP H107932 A JPH107932 A JP H107932A JP 8169046 A JP8169046 A JP 8169046A JP 16904696 A JP16904696 A JP 16904696A JP H107932 A JPH107932 A JP H107932A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
inorganic powder
powder
sulfonic acid
resistance
resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8169046A
Other languages
English (en)
Inventor
Akira Nishihara
明 西原
Yukiya Yamashita
行也 山下
Hideaki Sakurai
英章 桜井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Materials Corp filed Critical Mitsubishi Materials Corp
Priority to JP8169046A priority Critical patent/JPH107932A/ja
Publication of JPH107932A publication Critical patent/JPH107932A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compounds Of Alkaline-Earth Elements, Aluminum Or Rare-Earth Metals (AREA)
  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Silicon Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 帯電防止性を付与できる充填材として樹脂に
配合できる、低抵抗で樹脂への均一分散性に優れた無機
粉末。 【解決手段】 乾式法で合成された酸化ケイ素、酸化チ
タン、酸化アルミニウム等の無機微粉末の表面に、スル
ホン酸エステル基を含有するシランカップリング剤で粉
末を表面処理した後、加熱してスルホン酸エステル基を
熱分解させる等の手法でスルホン酸基を導入すると、40
kg/cm2 で圧縮した時の体積抵抗率が108Ω・cm台以
下、特に好ましくは104 Ω・cm台の低抵抗の無機粉末が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固体帯電防止剤と
して有用な電気抵抗の低い無機粉末に関する。本発明の
無機粉末は、例えば、樹脂に充填材として含有させる
と、樹脂を強化すると同時に帯電防止性を付与すること
ができる。
【0002】
【従来の技術】無機粉末は各種用途に使用されている。
中でもアエロジルとして知られる、四塩化ケイ素の燃焼
加水分解を利用して乾式法により製造された酸化ケイ素
(気相シリカ、ヒュームドシリカ、無水シリカ等とも呼
ばれる) は、高純度の微粉末であって、粒子の分散性に
優れ、吸着水分が少ないという特徴を持ち、合成ゴムや
シリコーンゴムの補強充填材や、不飽和ポリエステル樹
脂の充填材、接着剤やシーラントの充填材等として、樹
脂の強度向上のために樹脂中に配合して使用されること
が多い。
【0003】塩化物の熱分解または燃焼加水分解により
乾式法で製造される他の無機粉末に、酸化チタンと酸化
アルミニウムの粉末がある。これらも上記の酸化ケイ素
粉末と同様の性質を持ち、やはり樹脂への充填材として
利用されている。
【0004】これらの金属酸化物の粉末は、電気抵抗が
高く、絶縁体として作用するため、樹脂中に含有させた
場合に樹脂に帯電防止性を付与することはできない。そ
のため、樹脂の帯電防止が要求される場合には、帯電防
止剤を充填材と一緒に添加するのが一般的であった。帯
電防止剤としては、各種の界面活性剤が一般に使用され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】界面活性剤の帯電防止
作用は、界面活性剤が空気中の水分を吸着して表面の電
気抵抗が低下する現象を利用したものである。しかし、
普通の界面活性剤は水に溶解性をもつため、徐々に樹脂
表面から溶出してその帯電防止機能が減少する、あるい
は溶け出した界面活性剤の跡が樹脂表面に残り、その外
観を損ねる等の問題点があった。
【0006】また、樹脂と均一に相溶し、帯電防止効果
が高く、かつ樹脂の特性を阻害しない界面活性剤を探す
のに手間がかかり、場合によっては樹脂の色合いや透明
性が損なわれると言う問題点もあった。
【0007】そのため、電気抵抗の低い無機粉末を帯電
防止剤として使用することも試みられている。かかる無
機粉末として、例えば、上記のような絶縁性の酸化物粉
末の表面を無電解めっきにより金属で被覆したものがあ
る。しかし、このような金属被覆粉末は、非常に高価で
あり、また無電解めっき中にくり返し湿式処理を受ける
ため、乾式法で製造された無機粉末の持つ優れた分散性
が失われ、樹脂中に均一に分散させることが困難とな
る。さらに、金属被覆により樹脂に配合した場合の樹脂
の透明性も阻害される。また、導電性が非常に高いた
め、粉末の配合量により樹脂の導電性が大きく変動し、
従って配合が不均一であると、局部的な導電性のバラツ
キも大きくなる。
【0008】電気抵抗が低い無機材料の粉末 (例、酸化
スズをドープした酸化インジウム、酸化アンチモンをド
ープした酸化スズ) を、充填材と帯電防止剤を兼ねて樹
脂に含有させる提案もあるが、乾式法で製造されたアエ
ロジル等の酸化物粉末に比べれば、純度、分散性、吸着
水分などの点で大きく劣るため、やはり樹脂、特にシリ
コーンゴムに均一に混合することは困難であり、また得
られた樹脂の強度特性も、アエロジル等を混合した場合
に比べて著しく劣る。
【0009】従って、帯電防止性を付与できる充填材と
して樹脂に配合することができる、低抵抗で、樹脂への
均一分散性に優れた無機粉末が求められている。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、無機粉末
の表面に好ましくは乾式法による処理でスルホン酸基ま
たはその塩からなる官能基を導入する手段を確立した。
そして、こうした官能基を導入した無機粉末の電気抵抗
が、未処理の無機粉末に比べて著しく低下し、樹脂に帯
電防止性を付与するのに有用であることを見出し、本発
明に至った。
【0011】ここに、本発明は、絶縁性無機粉末の表面
に結合したスルホン酸基およびその塩から選ばれた官能
基を有する、40 kg/cm2 で圧縮時の体積抵抗値が108 Ω
・cm台以下であることを特徴とする、低抵抗の無機粉末
である。
【0012】本発明において、「体積抵抗値」とは、い
ずれも粉末を40 kg/cm2 で圧縮した時の値である。ま
た、「絶縁性無機粉末」とは、体積抵抗値が109 Ω・cm
を超える無機粉末を意味する。
【0013】好ましくは、絶縁性無機粉末が乾式法で製
造された酸化ケイ素、酸化チタンおよび酸化アルミニウ
ムから選ばれた金属酸化物の平均粒径1μm以下の微粉
末であり、スルホン酸またはその塩からなる官能基は無
機粉末の表面に結合させた有機ケイ素部分中に存在し、
この有機ケイ素部分は好ましくは絶縁性無機粉末を乾式
法で処理することにより粉末表面に結合させる。スルホ
ン酸またはその塩からなる官能基は無機粉末100 g当た
り5〜150 mmolの割合で存在させることが好ましい。
【0014】本発明によれば、上記の低抵抗無機粉末か
らなる固体帯電防止剤、および上記の低抵抗無機粉末を
樹脂中に含有させた、帯電防止性を備えた無機粉末充填
樹脂組成物もまた提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明では、絶縁性無機粉末の表
面にスルホン酸基またはその塩を官能基として導入する
ことにより、粉末を低抵抗化する。低抵抗化する無機粉
末の種類は特に制限されず、絶縁性、即ち、体積抵抗値
が109 Ω・cm台以上であればよい。従って、低抵抗化し
た無機粉末の用途に応じて、その用途に適した無機粉末
を使用すればよい。
【0016】好ましい絶縁性無機粉末は、対応するハロ
ゲン化物の熱分解または燃焼加水分解により乾式法で製
造された酸化ケイ素、酸化チタン、または酸化アルミニ
ウムの微粉末である。同様の方法で製造される他の金属
酸化物の微粉末も好ましい。乾式法で製造された無機粉
末、特に酸化ケイ素、酸化チタンまたは酸化アルミニウ
ムは、湿式法で合成された粉末に比較して、著しく高純
度で、粒子の凝集が少なく、分散性に優れているので、
充填材として樹脂中に均一分散させるのに適しており、
それにより樹脂強度を高めることができる。
【0017】もちろん、湿式法で製造された無機粉末を
利用することも可能であるが、この場合には凝集した粉
末を解砕するために一般に粉砕工程が必要である。本発
明により低抵抗化できる湿式法で製造された無機粉末の
例としては、上記のような酸化物の粉末に加えて、水酸
化アルミニウム等の水酸化物、硫化亜鉛、硫酸バリウ
ム、炭酸カルシウム等の塩がある。
【0018】無機粉末は平均粒径1μm以下の微粉末で
あることが好ましい。平均粒径が1μmを超える無機粉
末は、粒径が大きいため、樹脂に配合した場合に樹脂の
透明性を損なうことがあり、また強度向上効果も著しく
低減する。無機粉末の平均粒径は、より好ましくは0.5
μm以下、特に好ましくは0.2 μm以下である。
【0019】本発明によれば、上記のような絶縁性の無
機粉末の表面にスルホン酸基またはその塩からなる官能
基を導入することにより無機粉末を低抵抗化する。この
官能基は、適当な有機連結基を介して無機粉末表面に結
合させることができる。
【0020】官能基を有するシランカップリング剤(即
ち、アルコキシシラン等の加水分解性有機ケイ素化合
物)で無機粉末を表面処理して、その表面に各種の官能
基を固定化し、無機粉末の表面を改質することは周知で
ある。従って、スルホン酸基を無機粉末の表面に固定化
するには、スルホン酸基を有するシランカップリング剤
を使用すればよいと考えられる。しかし、スルホン酸基
は酸性度が高く、シランカップリング剤の加水分解を生
じてしまうため、スルホン酸基を持ったシランカップリ
ング剤は安定に合成することができない。
【0021】本発明者らは、無機粉末の表面をスルホン
化する方法について探究した結果、化学反応によりスル
ホン酸基を生ずる別の官能基を有するシランカップリン
グ剤であれば安定に合成でき、このシランカップリング
剤を用いて無機粉末を表面処理した後、その官能基を化
学反応によりスルホン酸基に変換させることにより、無
機粉末の表面のスルホン酸基を導入できることを見出し
た。また、シリコーンのような加水分解性を持たない有
機ケイ素化合物を用いても同様の手法で粉末表面をスル
ホン化できることも判明した。
【0022】具体的には、スルホン酸エステル基を持
った加水分解性の有機ケイ素化合物(シランカップリン
グ剤) を合成し、この有機ケイ素化合物で表面処理した
粉末を加熱してスルホン酸エステル基を熱分解によりス
ルホン酸基に変換させる方法、ならびにチオール基も
しくはスルフィド基を有する有機ケイ素化合物を合成
し、この有機ケイ素化合物で表面処理した粉末を酸化条
件下にさらして、チオール基もしくはスルフィド基をス
ルホン酸基に変換させる方法が可能である。得られた無
機粉末において、官能基は無機粉末の表面処理により粉
末表面に結合させた有機ケイ素部分中に存在する。
【0023】こうして無機粉末の表面にスルホン酸基ま
たはその塩からなる官能基を導入すると無機粉末が低抵
抗化する理由は完全には解明されていないが、表面に吸
着した水によりこれらの官能基から水素イオン (酸の場
合) または塩を形成するカチオンが遊離し、これが電気
伝導率を高めるのではないかと推測される。塩を形成す
るカチオンは特に限定されないが、アルカリ金属イオン
(ナトリウム、カリウム、リチウム等) 、およびアンモ
ニウム等の1価カチオンが好ましい。
【0024】官能基がカルボン酸基などの他の酸基また
はその塩では、低抵抗化効果が不十分である。スルホン
酸基またはその塩を粉末表面に結合させると、体積抵抗
値が108 Ω・cm台以下、好ましくは107 Ω・cm台以下、
より好ましくは106 Ω・cm台以下、特に好ましくは104
Ω・cm台の十分に低抵抗化された無機粉末を確実に得る
ことができることが判明した。
【0025】無機粉末を表面処理して、粉末表面にスル
ホン酸基またはその塩を導入する方法についてさらに詳
しく説明する。表面処理に使用する有機ケイ素化合物
は、前述したようにスルホン酸エステル基を持った加
水分解性の有機ケイ素化合物 (シランカップリング剤)
、またはチオール基もしくはスルフィド基を有する
有機ケイ素化合物である。
【0026】のスルホン酸エステル基を有するシラン
カップリング剤の具体例としては、下記構造式で示され
るアルコキシシラン化合物が例示できるが、これらに限
定されるものではない。
【0027】3(CH3O)Si(CH2)3SO3CH(CH3)2 3 (C2H5O)Si(CH2)3SO3C2H5 3 (CH3O)Si(CH2)2(C6H4)SO3C4H9 2 (CH3O)(CH3)Si(CH2)3SO3CH(CH3)2 2 (CH3O)(CH3)Si(CH2)2(C6H4)SO3CH(CH3)2 3 (CH3O)Si(CH2)2(C6H4)SO3C10H21 最初の化合物のように、スルホン酸イソプロピル基を有
するアルコキシシラン化合物が、スルホン酸エステル基
の熱分解性が高いので好ましい。
【0028】表面処理は、無機粉末を有機ケイ素化合物
またはその溶液中に浸漬するといった手法で湿式法によ
り実施することもできるが、有機ケイ素化合物またはそ
の溶液を、攪拌状態(好ましくは浮遊状態)の無機粉末
に滴下または噴霧することにより乾式法で行うことが好
ましい。湿式法による処理は、特に無機粉末が乾式法で
製造されたものである場合、その分散性を損ない、凝集
を生じ易い。しかも、滴下または噴霧による乾式処理
は、有機ケイ素化合物の使用量が少量でよく、被覆量の
制御が容易であるという利点もある。
【0029】この表面処理により、加水分解性の有機ケ
イ素化合物は雰囲気中の水分等により加水分解し、加水
分解物 (スルホン酸エステル基を有する有機ケイ素部
分) が無機粉末の表面に存在する水酸基と縮合反応して
無機粉末表面に結合される。加水分解を完了させるた
め、滴下または噴霧の終了後に無機粉末を加熱すること
が好ましい。この加熱温度は通常は150 ℃以下で十分で
あり、加熱雰囲気は不活性ガス雰囲気とすることが好ま
しい。
【0030】こうして表面処理した無機粉末をさらに加
熱して、スルホン酸エステル基を熱分解させ、スルホン
酸基を生成させる。熱分解に必要な加熱温度は通常80〜
250℃の範囲内である。それにより、粉末表面に結合し
た有機ケイ素部分にスルホン酸基を有する無機粉末が得
られる。このスルホン酸基をアルカリと反応させて中和
し、スルホン酸塩の形態にしてもよいが、この処理は通
常は湿式処理になるので、無機粉末が乾式法で製造され
たものである場合には、中和を行わない方が好ましい。
【0031】のチオール基もしくはスルフィド基を有
する有機ケイ素化合物の具体例としては、下記構造式で
示されるアルコキシシラン化合物またはシリコーン (ポ
リシロキサン) が例示できるが、これらに限定されるも
のではない。
【0032】3(CH3O)Si(CH2)3SH [3(C2H5O)Si(CH2)3]2-S [3(C2H5O)Si(CH2)3S-]2
【0033】
【化1】
【0034】このような有機ケイ素化合物による無機粉
末の表面処理は、の化合物に関して説明したのと同様
に実施できる。有機ケイ素化合物がシリコーンである場
合にも、分子間力により無機粉末表面に結合される。こ
うして、粉末の表面にチオール基またはスルフィド基を
導入した後、酸化反応によりこの官能基をスルホン酸基
に変換させる。この酸化は、例えば過酸化水素水を用い
て湿式法で行うのが普通であるが、オゾンを作用させる
ことにより乾式法で実施することもできる。
【0035】過酸化水素水による湿式酸化は、アルカリ
性の過酸化水素中で行うことが好ましい。それによりス
ルホン酸アルカリ金属塩が官能基として導入される。官
能基を遊離のスルホン酸基にしたい場合には、酸を加え
てアルカリ金属をその塩として離脱させればよい。
【0036】オゾンによる酸化は、粉末をオゾン含有ガ
スに曝すか、或いは酸素含有ガス中で粉末に紫外線を照
射することにより、発生したオゾンを粉末に作用させる
ことにより実施できる。いずれも処理温度は室温で十分
であるが、より低温または恒温でも実施できる。
【0037】上記のように処理した無機粉末が表面にス
ルホン酸基を有することは、例えば、この粉末の水分散
液が強い酸性を示すことで確認できる。また、粉末表面
のスルホン酸基の量は、例えばNaOH水溶液を用いた酸塩
基滴定により決定できる。スルホン酸基は強酸性である
ので、NaOHといった強塩基による滴定で明確な中和点を
示す。スルホン酸塩基の場合には、試料に過剰の酸を反
応させて逆滴定するか、或いはこうして遊離させたスル
ホン酸基を上記のように滴定すればよい。
【0038】このようにして求めた無機粉末表面に存在
するスルホン酸基またはその塩の量は、粉末100 g当た
り5〜150 mmolの範囲が好ましく、より好ましくは20〜
120mmolの範囲である。5mmol未満では、無機粉末表面
に存在する上記官能基の数が少ないため、目的とする低
抵抗化を達成することができないとがある。150 mmolを
超える多量の官能基を無機粉末に結合させても、効果が
飽和し、それ以上の低抵抗化は困難である。
【0039】表面にスルホン酸基またはその塩を導入し
て低抵抗化した本発明の無機粉末は、その本来の用途に
加えて、固体帯電防止剤としても有用である。従って、
例えば、使用した絶縁性無機粉末が、樹脂の充填材とし
て有用な乾式法で製造された酸化ケイ素、酸化チタンま
たは酸化アルミニウムの微粉末である場合には、これを
樹脂に充填材として含有させると、充填による強化効果
と同時に帯電防止効果も樹脂に付与することができ、従
来のように別に界面活性剤を帯電防止剤として含有させ
る必要がなくなる。
【0040】本発明の低抵抗化した無機粉末を配合しう
る樹脂の種類は特に制限されないが、従来よりこの種の
無機粉末が配合されてきた、例えば合成ゴム、シリコー
ンゴム、不飽和ポリエステル樹脂等に配合するのに特に
適している。この無機粉末の配合量は、所望の効果
(例、帯電防止能と充填効果) が得られるように調整す
る。一般には、樹脂固形分に対して1〜40重量%、好ま
しくは3〜20重量%の範囲内でよい。
【0041】本発明の低抵抗の無機粉末は、金属被覆し
た無機粉末に比べれば導電性が低く、充填材として配合
する場合のように多量に配合しても、樹脂に実質的な導
電性を付与することはない。従って、充填材として樹脂
中に多量に配合することも可能であり、それにより充填
効果に加えて帯電防止効果も樹脂に付与することができ
る。
【0042】
【実施例】
(実施例1)本実施例では表面にスルホン酸基を有する
無機粉末を乾式法で調製した。乾式法で製造された酸化
ケイ素粉末 (アエロジル#200 :平均粒径12 nm) 20g
を攪拌して浮遊状態に保持し、これにスルホン酸エステ
ル基含有シランカップリング剤 [3(CH3O)Si(CH2)3SO3CH
(CH3)2] 5.0 g (無機粉末の25重量%) をテトラヒドロ
フラン 5.0gに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、
粉末を1リットルのセパラブルフラスコに移し、窒素気
流下60℃で2時間加熱して、このスルホン酸エステル基
を含有するシランカップリング剤の加水分解物を酸化ケ
イ素粉末に結合させた。次いで、加熱温度を120 ℃に上
げ、この温度に2時間加熱する間にスルホン酸エステル
基を熱分解して、表面にスルホン酸基を有する酸化ケイ
素粉末を得た。
【0043】得られた酸化ケイ素粉末は、表面に−Si(C
H2)3SO3Hで示される有機ケイ素部分を持つと考えられ
る。粉末表面に存在するスルホン酸基の量を、粉末試料
0.2gを水50μL に懸濁させた液を0.1N NaOH で滴定す
ることにより求めたところ、91mmol/100 g であった。
この粉末を脱イオン水に懸濁させた5重量%懸濁液は、
pH2以下の強酸性を示した。
【0044】こうして乾式法により表面にスルホン酸基
を導入した酸化ケイ素粉末を、電極が付いた錠剤成型機
中に充填し、40 kg/cm2 に圧縮してその粉末抵抗を測定
し、電極と接触している面積、厚さ、抵抗値より粉末の
体積抵抗値を算出した。こうして求めた体積抵抗値を表
1に示す。なお、使用した抵抗計は109 Ω・cm台まで測
定できるものであった。
【0045】(実施例2)本実施例では表面にスルホン酸
塩型の官能基を有する無機粉末を湿式法で調製した。
【0046】乾式法で製造した酸化チタン粉末 (日本ア
エロジル社製P-25:平均粒径21 nm)20gを攪拌して浮遊
状態に保持し、これにチオール基を含有するシランカッ
プリング剤 [3(CH3O)Si(CH2)3SH] 2.0gをヘキサン 4.0
gに溶解した溶液を滴下した。滴下終了後、粉末を1リ
ットルのセパラブルフラスコに移し、窒素気流下100℃
で2時間加熱して、このチオール基を含有するシランカ
ップリング剤の加水分解物を酸化チタン粉末に結合させ
た。
【0047】次いで、この酸化チタン粉末を30%過酸化
水素水溶液1リットル中に懸濁させ、水酸化カリウムを
用いてpHをアルカリ性に調整しながら、50℃で6時間
攪拌した。攪拌終了後、濾過、水洗を行い、得られた粉
末を減圧加熱乾燥することにより、表面にスルホン酸カ
リウム塩型の官能基を有する酸化チタン粉末を得た。こ
の粉末は−Si(CH2)3SO3Kで示される有機ケイ素部分を表
面に持つと考えられる。この粉末のスルホン酸塩型官能
基の量と体積抵抗値を表1に示す。
【0048】(実施例3)湿式法で製造された酸化ケイ素
粉末を用いた以外は、実施例1と同様の操作を行った。
得られた、表面にスルホン酸基を有する酸化ケイ素粉末
のスルホン酸基の量と体積抵抗値を表1に示す。
【0049】(実施例4)無機粉末として乾式法で製造し
た酸化アルミニウム粉末 (日本アエロジル社製:平均粒
径13 nm)を用い、スルホン酸エステル基含有シランカッ
プリング剤として [3(CH3O)Si(CH2)3SO3C2H5]1.0gを用
いた以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた、
表面にスルホン酸基を有する酸化アルミニウム粉末のス
ルホン酸基の量と体積抵抗値を表1に示す。
【0050】(実施例5)実施例1で得られた、表面にス
ルホン酸基を有する酸化ケイ素粉末 5.0gを水1リット
ル中に懸濁させて攪拌し、濾過、洗浄、乾燥した後、そ
のスルホン酸基の量と体積抵抗値を測定した。結果を表
1に示す。
【0051】(比較例1〜3)実施例で絶縁性無機粉末と
して使用した、いずれも乾式法で製造された酸化ケイ
素、酸化チタン、および酸化アルミニウムの各粉末の体
積抵抗値を求めた。
【0052】(比較例4)実施例1で使用したのと同じ乾
式法で製造された酸化ケイ素粉末 5.0gをp−トルエン
スルホン酸ナトリウム 1.0gと一緒に水1リットル中に
懸濁させ、実施例5と同様に濾過、洗浄、乾燥した後、
そのスルホン酸基の量と体積抵抗値を測定した。結果を
表1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】表1からわかるように、未処理の無機粉末
は109 Ω・cmを超える体積抵抗値を持ち、絶縁性である
が、本発明に従って粉末表面に表面処理によりスルホン
酸基またはその塩からなる官能基を導入すると、無機粉
末の体積抵抗値は107 Ω・cm台以下に低下させることが
できる。特に無機粉末が乾式法で製造されたものであ
り、官能基も乾式法による処理で粉末表面に導入した場
合に、体積抵抗値の低下が大きく、104 Ω・cm台まで低
抵抗化することができる。
【0055】このスルホン酸官能基は、粉末表面に結合
しており、実施例5に示すように水中に懸濁させてもほ
とんど失われないことが、実施例5と実施例1との対比
からわかる。これに対し、比較例4に示すように、無機
粉末を単に有機スルホン酸塩と一緒に水中で処理しただ
けでは、スルホン酸基を粉末表面に結合させることはで
きず、体積抵抗値を108 Ω・cm台以下に低下させること
はできない。
【0056】(実施例6)実施例1で得られた、表面に
スルホン酸基を有する酸化ケイ素粉末 1.0gを市販シリ
コーンゴム (信越化学社製:KE10) 20g中に練り込み、
硬化剤 (Cat-RA)0.5 gを加えて50℃に加熱し、シリカ
充填架橋シリコーンゴムを得た。このシリコーンゴムの
表面抵抗値を表面抵抗計で測定したところ、 3.8×1010
Ω/cm2 であった。一方、上記粉末を充填せずに同様に
架橋した同じシリコーンゴムの表面抵抗値は2×1013Ω
/cm2 であった。
【0057】本発明の低抵抗の無機粉末を充填材として
使用することにより、充填材による樹脂の強化に加え
て、帯電防止に十分な1010Ω/cm2 台まで樹脂の表面抵
抗を低下させることができた。従って、別に帯電防止剤
を使用せずに、充填材の配合だけで帯電防止性も樹脂に
付与することができる。
【0058】
【発明の効果】本発明の無機粉末は、表面にスルホン酸
基またはその塩からなる官能基を有しており、そのため
体積抵抗値が108 Ω・cm台以下に低下している。また、
無機粉末が乾式法で製造されたものである場合、官能基
を乾式処理法により粉末表面に導入すれば、この無機粉
末が持つ優れた分散性、高純度といった特性が保持さ
れ、本発明の無機粉末を樹脂中に均一分散することが容
易となる。
【0059】本発明により、従来より合成ゴム、シリコ
ーンゴム等に充填材として利用されてきた無機粉末に、
帯電防止能を付与することができるため、別に界面活性
剤のような帯電防止剤を配合することなく、充填材だけ
で帯電防止効果も同時に付与できる。そのため、界面活
性剤の配合による前述した問題点を避けることができ
る。本発明の無機粉末は、官能基が粉末表面に化学的に
結合しているため、樹脂からしみ出ることはない。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性無機粉末の表面に結合したスルホ
    ン酸基およびその塩から選ばれた官能基を有する、40 k
    g/cm2 で圧縮時の体積抵抗値が108 Ω・cm台以下である
    ことを特徴とする、低抵抗の無機粉末。
  2. 【請求項2】 絶縁性無機粉末が乾式法で製造された酸
    化ケイ素、酸化チタンおよび酸化アルミニウムから選ば
    れた金属酸化物の平均粒径1μm以下の微粉末であり、
    官能基がこの無機粉末の表面に結合させた有機ケイ素部
    分中に存在する、請求項1記載の無機粉末。
  3. 【請求項3】 有機ケイ素部分が無機粉末を乾式法で処
    理することにより粉末表面に導入したものである、請求
    項2記載の無機粉末。
  4. 【請求項4】 前記官能基が無機粉末100 g当たり5〜
    150 mmolの割合で存在する、請求の範囲第1項ないし第
    3項のいずれか1項に記載の無機粉末。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の低
    抵抗無機粉末からなる固体帯電防止剤。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の低
    抵抗無機粉末を樹脂中に含有させた、帯電防止性を備え
    た無機粉末充填樹脂組成物。
JP8169046A 1996-06-28 1996-06-28 低抵抗の無機粉末 Withdrawn JPH107932A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8169046A JPH107932A (ja) 1996-06-28 1996-06-28 低抵抗の無機粉末

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8169046A JPH107932A (ja) 1996-06-28 1996-06-28 低抵抗の無機粉末

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH107932A true JPH107932A (ja) 1998-01-13

Family

ID=15879326

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8169046A Withdrawn JPH107932A (ja) 1996-06-28 1996-06-28 低抵抗の無機粉末

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH107932A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007106936A (ja) * 2005-10-14 2007-04-26 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 帯電防止膜形成用組成物
WO2012011223A1 (ja) 2010-07-20 2012-01-26 キヤノン株式会社 導電性部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2012194334A (ja) * 2011-03-16 2012-10-11 Canon Inc 電子写真用の導電性部材
CN108864460A (zh) * 2018-06-28 2018-11-23 浙江清华柔性电子技术研究院 抗静电硅橡胶的制备方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007106936A (ja) * 2005-10-14 2007-04-26 Catalysts & Chem Ind Co Ltd 帯電防止膜形成用組成物
WO2012011223A1 (ja) 2010-07-20 2012-01-26 キヤノン株式会社 導電性部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
JP2012042935A (ja) * 2010-07-20 2012-03-01 Canon Inc 導電性部材、プロセスカートリッジおよび電子写真装置
CN103003756A (zh) * 2010-07-20 2013-03-27 佳能株式会社 导电性构件、处理盒和电子照相设备
US8449975B2 (en) 2010-07-20 2013-05-28 Canon Kabushiki Kaisha Electroconductive member, process cartridge and electrophotographic apparatus
JP2012194334A (ja) * 2011-03-16 2012-10-11 Canon Inc 電子写真用の導電性部材
CN108864460A (zh) * 2018-06-28 2018-11-23 浙江清华柔性电子技术研究院 抗静电硅橡胶的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5158078B2 (ja) 疎水化酸化ケイ素被覆金属酸化物粒子の製造方法
US6403228B1 (en) Functional organylorganyloxysilanes on a carrier in cable compounds
JP4947612B2 (ja) 水酸化マグネシウム系難燃剤とその製造方法、及び難燃性樹脂組成物
US20070191537A1 (en) Silanised silicas
US7981211B2 (en) Surface-modified silicas
JP5128882B2 (ja) 水酸化マグネシウム微粒子及びその製造方法
KR20080081973A (ko) 수산화마그네슘 나노입자, 그 제조방법 및 그 조합 조성물
CZ283108B6 (cs) Způsob výroby síranu barnatého s chemoreaktivním povrchem
JP2886037B2 (ja) 疎水性微細シリカおよびその製造方法
JP4326739B2 (ja) 有機ドメイン/無機ドメイン複合材料
JPH107932A (ja) 低抵抗の無機粉末
TWI276669B (en) Process for production of titanium dioxide pigment and resin compositions containing the pigment
JP4624521B2 (ja) 水酸化アルミニウムの表面処理方法
JP6679477B2 (ja) 耐熱水酸化アルミニウムの製造方法
US6866711B2 (en) Composite pigment composition containing silica
JP5456951B2 (ja) 酸化物膜被覆微粒子の製造方法
JP3552843B2 (ja) シリコーン被覆粉体の製造方法
JP2886105B2 (ja) 疎水性シリカの製造方法
WO2021172416A1 (ja) 有機変性硫酸バリウムの製造方法
JP5405379B2 (ja) 水酸化マグネシウム系難燃剤とその製造方法、及び樹脂組成物と成形体
JP4968569B2 (ja) 高分散性疎水性シリカ微粉末とその製造方法
JPH0375633B2 (ja)
JP3773247B2 (ja) リンフリーの水酸化マグネシウム系難燃剤の製造方法
JP2007217732A (ja) 防錆材
JPH09272816A (ja) 表面改質したカーボンブラック

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20030902