JP5084122B2 - 被膜付基材および該被膜形成用塗布液 - Google Patents
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Description
例えば、陰極線管表示装置(CRT)や液晶ディスプレー(LCD)等の画像表示装置の表示面に基材の屈折率より屈折率の低い透明被膜を設け、反射を抑制して視認性などの表示性能を向上させることが知られている。(特開平7−133105号公報(特許文献1)、特開2002−79616号公報(特許文献2))
また、耐擦傷性を向上させるためにシリカ微粒子と有機ケイ素化合物の加水分解物あるいは塗料用樹脂とからなる塗布液を塗布して透明なハードコート膜を設けることも知られている。(特開平5−8350号公報(特許文献3))
また、このような反射防止膜とハードコート膜を併用することも知られている。さらに、帯電防止膜、電磁波遮蔽膜等と併用することも知られている。
[1]基材上に、球状粒子と被膜(1)形成用マトリックスとからなる凹凸を有する被膜(
1)が形成された被膜付基材であって、該被膜(1)の凸部の高さ(T1)と該被膜(1
)の凹部の高さ(T2)との差が30〜1500nmの範囲にある被膜付基材。
[2]前記球状粒子の平均粒子径(DP)が0.1〜3μmの範囲にある[1]の被膜付基材。
[3]前記被膜(1)中の球状粒子の含有量が5〜70重量%の範囲にある[1]または[2]の
被膜付基材。
[4]前記被膜(1)の平均膜厚が1〜10μmの範囲にある[1]〜[3]の被膜付基材。
[5]前記被膜(1)上に該被膜(1)より屈折率の低い被膜(2)が設けられ、該被膜(
2)の凸部の高さ(T3)と該被膜の凹部の高さ(T4)との差が30〜1000nmの範囲にある[1]〜[4]の被膜付基材。
[6]前記被膜(2)の平均膜厚が50〜200nmの範囲にある[1]〜[5]の被膜付基材。
[7]前記基材と被膜(1)との間に被膜(3)が設けられている[1]〜[6]の被膜付基材。
[8]球状粒子と被膜形成用マトリックス前駆体とからなる被膜形成用塗布液であって、球
状粒子の平均粒子径(DP)が0.1〜3μmの範囲にあることを特徴とする被膜形成用
塗布液。
[9]塗布液中の球状粒子の濃度が固形分として0.5〜45重量%の範囲にあり、被膜形
成用マトリックス前駆体の濃度が固形分として5〜45重量%の範囲にあり、合計の濃度が固形分として5.5〜50重量%の範囲にある[8]の塗布液。
[10]分散媒が、水、アルコール類、エステル類、エーテル類、ケトン類から選ばれる少なくとも1種である[8]または[9]の被膜形成用塗布液。
被膜付基材
本発明に係る被膜付基材は、基材上に、球状粒子と被膜形成用マトリックスとからなる凹凸を有する被膜が形成された被膜付基材である。
[基材]
本発明に用いる基材としては、ガラス、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、シクロポリオレフィン樹脂、PET、TAC等のプラスチックシート、プラスチックフィルム、プラスチックレンズ、プラスチックパネル等の基材、偏光フィルム、陰極線管、蛍光表示管、液晶ディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、ELディスプレイ等の基材が挙げられる。
[球状粒子]
本発明に用いる球状粒子としては後述する範囲の平均粒子径を有していれば特に制限はないが無機酸化物粒子および/または樹脂粒子が用いられる。
にあることが好ましい。また、このような球状粒子が連結した連鎖粒子であってもよい。
球状粒子の平均粒子径が0.1μm未満の場合は後述する範囲の凹凸差が形成できないため防弦性が不充分となることがある。なお、球状粒子の平均粒子径が0.1μm未満の場合であっても、球状粒子が凝集して前記範囲の平均粒子径を有する二次粒子である場合はより防弦性に優れた透明被膜を得ることができる。
[被膜形成用マトリックス]
つぎに、本発明に用いる被膜形成用マトリックスとは、基材の表面に被膜を形成し得る成分をいい、基材との密着性や硬度、塗工性等の条件に適合する樹脂等から選択して用いることができる。
〔但し、R:炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲンまたは水素、n:0〜3の整数〕
該有機珪素化合物としては、具体的に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。
解物が使用される。
[凹凸を有する被膜(1)]
本発明では、基材上に形成された被膜(1)が特定の凹凸を有している。
被膜(1)の凸部の高さ(T1)とし、被膜(1)の凹部の高さ(T2)としたときに、T1とT2の差が30〜1500nm、さらには50〜1000nmの範囲にあることが好ましい。なお、「凸部の高さ」および「凹部の高さ」はともに平均値を示す。
被膜(1)中の球状粒子の含有量は5〜70重量%、さらには10〜50重量%の範囲にあることが好ましい。球状粒子の含有量が前記範囲にあれば、十分な凹凸を形成できる。なお、粒子数が少ないと、凹凸の密度が低下し充分な防弦性が得られない場合があり、多すぎると、かえってマトリックス成分がすくなくなり、基材との密着性や耐擦傷性が不充分となることがある。
被膜(1)の平均膜厚が小さいと、目的の凹凸が得られず防弦性が発現しなかったり、膜強度(鉛筆硬度)が低くなる場合がある。被膜(1)の平均膜厚が大きいと、膜の収縮が大きくなりクラックが発生したり、基材がフィルムの場合はカーリングを起こす場合がある。また、光の透過率が低く透明性が不充分となったり、表示装置等では解像度が低下する場合がある。
[反射防止膜(2)]
本発明に係る被膜付基材では、前記被膜(1)上に該被膜(1)より屈折率の低い被膜(2)(以下、反射防止膜ということがある。)が設けられていてもよい。
T3とT4との差が小さすぎると、凹凸が小さくなるので、防弦性が発現しない場合がある。また、T3とT4との差が大きすぎると、光の表面散乱が大きく、被膜が白っぽく見え
る場合がある。
被膜(2)形成用マトリックスとしては、前記した被膜(1)で使用されるものと同様の塗料用樹脂、または、アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物およびこれらの部分加水分解物などが用いられる。
このとき、被膜(2)の屈折率は1.20〜1.52、さらには1.20〜1.45であることが好ましい。
被膜(2)の屈折率が1.52を超えると、基材によっては充分な屈折率差が得られず充分な反射防止性能が得られない場合がある。
被膜(2)の平均膜厚が前記範囲にあれば、充分な反射防止性能を得ることができる。
本発明の被膜(2)の形成に用いる被膜形成用塗布液は、前記した内部に空洞を有するシリカ系微粒子あるいはシリカ系微粒子に酸化アンチモン被覆層を形成した酸化アンチモ
ン被覆シリカ系微粒子など低屈折率成分の分散液と被膜形成用マトリックスとの混合液であり、必要により有機溶媒が混合されることもある。
[高屈折率膜(3)]
本発明に係る被膜付基材では、被膜(1)と被膜(2)との間に被膜(2)より屈折率の高い被膜(3)(以下、高屈折率膜ということがある。)が設けられていてもよい。
高屈折設立膜率膜の屈折率は、被膜(1)の屈折率より0.05以上、さらには0.10以上高いことが好ましく、また、被膜(2)の屈折率より0.10以上、さらには、0.15以上高いことが好ましい。
被膜(3)形成用マトリックスとしては、前記したと同様の塗料用樹脂、または、前記アルコキシシラン等の加水分解性有機珪素化合物およびこれらの部分加水分解物等が用いられる。
(ATO)、シリカ・アルミナ、シリカ・チタニア、シリカ・ジルコニア等の無機酸化物微
粒子が好適に用いられる。無機酸化物微粒子の平均粒子径は2〜200nm、さらには5〜100nmの範囲にあることが好ましい。また、無機酸化物微粒子は2個以上鎖状に連結した微粒子であってもよい。
また、マトリックスとして熱硬化性樹脂を用いた場合、無機酸化物粒子として五酸化アンチモン粒子とを配合すると基材との密着性、耐擦傷性および硬度の向上が顕著である。
5〜0.2μmの範囲にあることが好ましい。被膜(3)の厚さがこの範囲にあれば、防弦性、反射防止性能に加えて、基材との密着性、耐擦傷性などに優れた被膜付基材を得ることができる。
つぎに、本発明に係る被膜形成用塗布液について説明する。
本発明にかかる被膜形成用塗布液は、前記した被膜(1)を形成するために好適に使用される。
本発明に用いる球状粒子としては前記したと同様である。球状粒子として無機酸化物粒子を用いる場合はシランカップリング剤で表面処理して用いることが望ましく、表面処理方法としては特に制限はなく従来公知の方法を採用することができる。
〔但し、R:炭素数1〜10の非置換または置換炭化水素基、X:炭素数1〜4のアルコキシ基、シラノール基、ハロゲンまたは水素、n:0〜3の整数〕
該有機珪素化合物としては、具体的に、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。
有機珪素化合物の加水分解物は、水溶液の形態で使用することが望ましい。ここで水溶液とは加水分解物がゲルとして白濁した状態になく透明性を有している状態を意味する。
塗布液中の球状の濃度は固形分として0.5〜45重量%、さらには1〜30重量%の範囲にあり、被膜形成用マトリックス前駆体の濃度が固形分として5〜45、さらには5〜30重量%の範囲にあり、合計の濃度が固形分として5.5〜50、さらには10〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
本発明に用いる分散媒としては、水、アルコール類、ケトン類、エーテル類等が挙げられる。
このような塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコーター法、グラビア印刷等の周知の方法で基材表面、あるいは前記被膜(3)上に塗布し、乾燥し、熱硬化性樹脂の場合は硬化させた後、熱可塑性樹脂の場合は、さらに必要に応じて基材の軟化点未満の温度で加熱処理することによって被膜(1)を形成することができ
る。なお、被膜(1)上に被膜(2)(反射防止膜)または被膜(3)(高屈折率膜)を設ける場合は、塗布液を塗布し、乾燥した後、被膜(2)形成用塗布液または被膜(3)形成用塗布液を塗布し、乾燥し、硬化してもよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例により、さらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
[参考例1]
球状粒子(P-1)の調製
シリカ微粒子(触媒化成工業株(製):シリカマイクロビードP-400、平均粒子径1.5μm)40gを分散媒(水/メタタノール=1:1)に分散させた分散液160gにメタクリル系シランカップリング剤(信越化学(株)製:KBM-503)0.73gを加え、50℃で15時間加熱撹拌し、ついで濾過分離し、100℃で加熱乾燥して球状粒子(P-1)を得た。
被膜(1)形成用塗布液(AGL-1)の調製
ジペンタエリストリルヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)9gに球状粒子(P-1)1gと光重合開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製:イルガキュア184)0.36gおよび分散媒(2-プロパノール/プロピレングリコールモノエチルエーテル=9:1)を加え50gとし、15分間超音波を照射して被膜(1)形成用塗布液(AGL-1)を得た。
被膜付基材(AGF-1)の製造
被膜(1)形成用塗布液(AGL-1)を、TACフィルム(厚さ80μm)にバーコーター法(#8)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて被膜付基材(AGF-1)を製造した。この被膜(1)の一部を垂直に切断し、被膜の断面についてレーザー顕微鏡(キーエンス株式会社製:VE-3000)を用いて平均膜厚、凸部の高さ(T1)、凹部の高さ(T2)を測定した。
表面抵抗は、表面抵抗計(三菱化学(株)製:ハイレスタ)にて測定した。
反射率および積分反射率は、分光光度計(日本分光(株)製:U-vest)にて測定し、反射率は波長400〜700nmでのボトム反射率として、積分反射率は検出器に積分球を用い、波長400〜700nmでの拡散反射を含む全反射を積分射率として表示した。屈折率は、大塚電子(株)製:FE−3000を用いて1層または積層した場合の屈折率を測定した。
鉛筆硬度の測定
JIS−k−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
#0000スチールウールを用い、荷重500g/cm2で10回摺動し、膜の表面を
目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表に示した。
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる:○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
密着性の測定
被膜の表面にナイフで縦横それぞれ1mmの間隔で11本の傷を付け100個の升目を作り、これに粘着テープを接着し、ついでテープを剥離したときに、被膜が剥離せずに残存している升目の数で評価した。
塗布した裏面をつや消し黒スプレーで黒くし、1mはなれたところの、蛍光灯の光の反
射光を目視で観察し、以下の基準で評価した。
蛍光灯が見えない :◎
蛍光灯のふちがわずかに見える。 :○
蛍光灯のふちがはっきり見える。 :△
蛍光灯のふちがはっきり見えまぶしい。 :×
[参考例2]
球状粒子 (P-2)の調製 (酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子)
シリカ系微粒子(A-1)の調製
シリカゾル(SiO2濃度20重量%、平均粒径5nm)100gと純水1900gの混合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2として濃度1.17重量%の珪酸ナトリウム水溶液9000gとAl2O3として濃度0.83重量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20重量%のSiO2・Al2O3一次粒子分散液を調製した。
複合酸化物微粒子(1)の分散液を得た。
分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(濃度35.5重量%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと
純水5Lを加えながら限外濾過膜を用いて溶解したアルミニウム塩を除去して固形分濃度20重量%のシリカ系微粒子(A-1)分散液とした。
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85重量%)57gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(住友金属鉱山(株)製:KN 純度98.5重量%)111gを懸
濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35重量%)32.8gを純水110.7gで希釈した水溶液を9時間で添加(0.1mole/hr)し、三酸化アンチモンを溶解し、その後11時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱イオン処理を行ってアンチモン酸を調製した。アンチモン酸の固形分濃度は0.8重量%、pHは2.1、電導度は2.4mS/cmであっ
た。
分散液400gに固形分濃度1重量%に調整したアンチモン酸40gを加え、70℃で10時間撹拌し、限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20重量%の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A-1)分散液を調製した。
タノール400gを加え、これに正珪酸エチル(SiO2濃度28重量%)3.57gを混
合し、50℃で15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A-1)分散液を調製した。この分散液を、限外濾過膜を用い、メタノールにて溶
媒置換するとともに固形分濃度20重量%になるまで濃縮した。ついで、ロータリーエバポレーターにてイソプロピルアルコールに溶媒置換して濃度20重量%のシリカ被覆層を形成した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A-1)イソプロピルアルコール分散液とした
。
ルアルコール分散液100gにメタクリル系シランカップリング剤(信越化学(株)製:KBM-503)0.73gを加え、50℃で15時間加熱撹拌して球状粒子 (P-2)(表面処理したシリカおよび酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A-2))分散液を調製し、イソプロピ
ルアルコールを加えて固形分濃度20重量%に調製した。
ここで、平均粒子径は動的光散乱法により測定した。屈折率は標準屈折液としてCARGILL 製のSeriesA、AAを用い、以下の方法で測定した。
粒子の屈折率の測定方法
(1)複合酸化物分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(2)これを120℃で乾燥し、粉末とする。
(3)屈折率が既知の標準屈折液を2、3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉
末を混合する。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったとき
の標準屈折液の屈折率を微粒子の屈折率とする。
被膜(2)形成用塗布液(ARL-1)の調製
マトリックス形成成分液(M-1)の調製
正珪酸エチル(SiO2濃度28重量%)32.14gとヘプタデカフルオロデシルトリ
メトキシシラン(信越化学(株)製:KBM-7803)1.22gをイソプロピルアルコール5
4.95g、純水10g、濃度61重量%の硝酸1.69gとの混合液に混合し、50℃で1時間撹拌し、固形分濃度10重量%のマトリックス形成成分液(M-1)を調製した。
被膜付基材(AGF-2)の製造
まず、参考例1と同様にして被膜付基材(AGF-1)を製造した。ついで、被膜(2)形成用塗布液(ARL-1)をバーコーター法(#3)で塗布し、120℃で120秒間焼成した後、600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて被膜付基材(AGF-2)を製造した。
[参考例3]
球状粒子 (P-3)の調製 (鎖状シリカ系微粒子)
シリカゾル(触媒化成株製:カタロイドSS-120、固形分濃度40重量%、平均粒子径120nm)100gに純水100gおよび両性イオン交換樹脂(三菱化学株製:SMNUPB)10gを加えpHが3.5になるまで攪拌した。ついで、酸性珪酸液(SiO2濃度5重量%)2g加え、200℃で1時間水熱処理した。このとき、シリカ粒子は鎖状に連結していた。
15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成して鎖状の球状粒子(P-3)分散液を調製した。
この分散液を、限外濾過膜を用い、メタノールにて溶媒置換するとともに固形分濃度20重量%になるまで濃縮した。ついで、ロータリーエバポレーターにてイソプロピルアルコールに溶媒置換して濃度20重量%の鎖状の球状粒子(P-3)のイソプロピルアルコール
分散液とした。
被膜(1)形成用塗布液(AGL-2)の調製
ジペンタエリストリルヘキサアクリレート(共栄社化学株式会社製:ライトアクリレートDPE-6A)9gに球状粒子(P-3)分散液5gと光重合開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製:イルガキュア184)0.36gおよび分散媒(2-プロパノール/ジアセトンアルコール/γ-ブチルラクトン=8:1.9:0.1)を加え50gとし、15分間超音波を照射して被膜(1)形成用塗布液(AGL-2)を調製した。
被膜付基材(ARF-3)の製造
参考例1において、被膜(1)形成用塗布液(AGL-2)を用いた以外は同様にして被膜付基材(ARF-3)を製造した。この膜を一部隔離し、被膜(1)の平均膜厚、凸部の高さ(T1)、凹部の高さ(T2)を測定し結果を表-1に示した。さらに表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、反射率、積分反射率、鉛筆硬度、耐擦傷性、密着性、防眩性を評価し結果を表1に示した。
[参考例4]
被膜(2)形成用塗布液(ARL-2)の調製
マトリックス形成成分液(M-2)の調製
塗料用樹脂(東亞合成(株)製:M-402)85gと塗料用樹脂(共栄社化学(株)製:フルオライトF16)14gと重合開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ製:イルガキュア184:濃度30重量%、溶媒:トルエン)1gとを混合して樹脂濃度が99重量%のマトリックス形成成分液(M-2)を調製した。
球状粒子(P-4)の調製
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:カタロイド特殊品 、平均粒子径60nm、屈折率:1.18、固形分濃度20重量%、分散媒:イソプロピルアルコール)100gにメタクリル系シランカップリング剤(信越化学(株)製:KBM-503)0.73gを加え、50℃で15時間加熱撹拌し、ついでイソプロピルアルコールを加えて固形分濃度20重量%の表面処理した球状粒子(P-4)分散液を調製した。また、球状粒子(P-4)は粒子内部に空洞を有し、屈折率は1.20であり平均粒子径は65nmであった。
被膜付基材(ARF-4)の製造
参考例3と同様にして被膜付基材(ARF-3)を製造した。ついで、被膜(2)形成用塗布液(ARL-2)をバーコーター法(#3)で塗布し、80℃で120秒間焼成した後、600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて被膜付基材(ARF-4)を製造した。得られた被膜付基材(ARF-4)について被膜(3)の平均膜厚、凸部の高さ(T1)、凹部の高さ(T2)を測定し結果を表-1に示した。さらに、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、屈折率、反射率、積分反射率、鉛筆硬度、耐擦傷性、密着性、防眩性を評価した。
[実施例5]
被膜(3)膜形成用塗布液(AHL-1)の調製
参考例4と同様にして調製したマトリックス形成成分液(M-2)0.61gにITO粒子(触媒化成工業(株)製: IME-25、 固形分濃度20重量%、平均粒子径20nm)12gを加え、ついでイソプロピルアルコールで希釈して固形分濃度3.0重量%の被膜(3)形成用塗布液(AHL-1)を調製した。
被膜付基材(ARF-5)の製造
参考例3と同様にして調製した被膜(1)形成用塗布液(AGL-2)を、PETフィルム(東洋紡製 A4100 厚さ188μm)にバーコーター法(#8)で塗布し、80℃で120秒間乾燥した後、600mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させて被膜(1)を形成した。
0秒間焼成した後、1200mJ/cm2の紫外線を照射して被膜(3)を形成した。こ
のときの被膜(3)の膜厚は100nmであった。
[比較例1]
被膜(1)形成用塗布液(HL-1)の調製
アクリル系樹脂(大日本インキ(株)製:17-824-9、樹脂濃度:79.8重量%、溶媒:イソプロピルアルコール)をイソプロピルアルコールで希釈して樹脂濃度30重量%の被膜(2)形成用塗布液(HL-1)を調製した。
被膜付基材(RARF-1)の製造
参考例1において、被膜(1)形成用塗布液(HL-1)を用いた以外は同様にして被膜付基材(RARF-1)を製造した。得られた被膜付基材(RARF-1)について被膜(1)の平均膜厚、凸部の高さ(T1)、凹部の高さ(T2)を測定し結果を表-1に示した。さらに、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、屈折率、反射率、積分反射率、鉛筆硬度、耐擦傷性、密着性、防眩性を評価した。
[比較例2]
被膜(1)形成用塗布液(HL-2)の調製
球状粒子(P-4)の調製
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:カタロイド特殊品 、平均粒子径80nm、屈折
率:1.45、固形分濃度20重量%、分散媒:イソプロピルアルコール)100gにメタクリル系シランカップリング剤(信越化学(株)製:KBM-503)0.73gを加え、50℃で15時間加熱撹拌し、イソプロピルアルコールを加えて固形分濃度20重量%の表面処理した球状粒子(P-4)分散液を調製した。
被膜付基材(RARF-2)の製造
参考例1において、被膜(1)形成用塗布液(HL-2)を用いた以外は同様にして被膜付基材(RARF-2)を製造した。
[比較例3]
被膜(1)形成用塗布液(RAGL-1)の調製
参考例1において、分散媒としてプロピレングリコールモノエチルエーテルを用いず、2-プロパノールのみを用いた以外は同様にして被膜(1)形成用塗布液(RAGL-1)を得た。
被膜付基材(RARF-3)の製造
参考例1において、被膜(1)形成用塗布液(RAGL-1)を用いた以外は同様にして被膜付基材(RARF-3)を製造した。得られた被膜付基材(RARF-3)について被膜(1)の平均膜厚、凸部の高さ(T1)、凹部の高さ(T2)を測定し結果を表-1に示した。さらに、表面抵抗、全光線透過率、ヘーズ、屈折率、反射率、積分反射率、鉛筆硬度、耐擦傷性、密着性、防眩性を評価した。
Claims (6)
- 基材上に、球状粒子と被膜(1)形成用マトリックスとからなる凹凸を有する被膜(1)が形成された被膜付基材であって、該被膜(1)の凸部の高さ(T1)と該被膜(1)の凹部の高さ(T2)との差が30〜1500nmの範囲にあり、
前記被膜(1)上に該被膜(1)より屈折率の低い被膜(2)が設けられ、該被膜(2)が、内部に空洞を有するシリカ系微粒子、および/または内部に空洞を有するシリカ系微粒子の表面に酸化アンチモン被覆層を形成した粒子を含み、
さらに、被膜(1)と(2)との間に、被膜(1)より0.05以上、被膜(2)より0.10以上屈折率の高い被膜(3)が設けられていることを特徴とする被膜付基材。 - 前記球状粒子の平均粒子径(DP)が0.1〜3μmの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の被膜付基材。
- 前記被膜(1)中の球状粒子の含有量が5〜70重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の被膜付基材。
- 前記被膜(1)の平均膜厚が1〜10μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の被膜付基材。
- 前記被膜(1)上に該被膜(1)より屈折率の低い被膜(2)が設けられ、該被膜(2)の凸部の高さ(T3)と該被膜の凹部の高さ(T4)との差が30〜1000nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の被膜付基材。
- 前記被膜(2)の平均膜厚が50〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の被膜付基材。
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