JP4159036B2 - 熱可塑性樹脂組成物および自動車外板成形品 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物および自動車外板成形品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性樹脂および自動車外板成形品に関するものである。さらに詳しくは、線膨張係数が小さく、機械的強度、耐熱性および耐薬品性を有し、かつ誘電特性に優れた熱可塑性樹脂および該熱可塑性樹脂からなる自動車外板成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の外板部品は鋼板で作られてきたが、近年、低コスト化、軽量化、デザインの自由化、耐腐食性などの観点から、樹脂化が検討されている。
【0003】
外板特性を有する樹脂としては、ポリフェニレンエーテル/ポリアミド系アロイ、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン系アロイ、ポリフェニンレンエーテル/ポリプロピレン系アロイ、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート系アロイが提案されている。しかし、これらの樹脂を金属部品と組み合わせて用いる場合には樹脂の線膨張係数が大きすぎて不具合を生じる。
【0004】
一方、自動車の外板とアンテナを一体化する試みが行なわれている。樹脂成形品をアンテナ用材料として使用する場合、比誘電率が高く、かつ、誘電正接が低いことが要求される。しかしながら、ポリフェニレンエーテル/ポリアミド系アロイ、ポリカーボネート/ポリブチレンテレフタレート系アロイは誘電正接が大きいため、アンテナ用材料として使用した場合、受信性能が良くない。また、ポリフェニレンエーテル/ポリスチレン系アロイ、ポリプロピレン/ポリフェニレンエーテル系アロイは、誘電正接は十分に小さいが、比誘電率が高くなく、アンテナ用材料としては不十分であった。
【0005】
樹脂組成物の比誘電率を高める技術としては、樹脂に高比誘電率のフィラーを添加する技術が、特許文献1、2に開示されている。しかし、これらの組成物は高い比誘電率を有するものの、線膨張係数が大きすぎて自動車の外板部分に使用するには適さなかった。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−1229号公報
【特許文献2】
特開2000−239515号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
かかる状況の下、本発明が解決しようとする課題は、自動車のアンテナ一体型外板部品に使用した場合、線膨張係数が小さく、十分な強度、耐熱性および耐薬品性を有し、かつ、良好な誘電特性を示す熱可塑性樹脂および該熱可塑性樹脂から得られる自動車外板成形品を提供する点に存する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、下記の(A)〜(D)を含有し、(A)と(B)の含有量の重量比が95/5〜35/65であり、(A)および(B)の合計100重量部あたりの(C)の含有量が10〜250重量部であり、(A)および(B)の合計100重量部あたりの(D)の含有量が1〜100重量部であり、かつ(A)が連続相を成形する熱可塑性樹脂組成物に係るものである。
(A):ポリオレフィン樹脂
(B):ポリフェニレンエーテル系樹脂
(C):比誘電率が50以上である無機フィラー
(D):アスペクト比が5以上の板状および/もしくは針状の無機フィラー
また、本発明のうち第二の発明は上記の樹脂組成物を用いて得られる自動車外板成形品に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明における(A)は、ポリオレフィン樹脂である。ポリオレフィン樹脂とは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等のα−オレフィン;特開平2−115248号公報明細書に記載の環状オレフィン等のオレフィン類の単独重合体又は共重合体である。なお、オレフィン類と少量の他の不飽和単量体を共重合した共重合体、並びに該共重合体及び上記オレフィン類の単独又は共重合体の酸化、スルホン化等による変性物はポリオレフィン樹脂に含まれるものとする。
【0010】
オレフィン類と共重合可能な他の不飽和単量体の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、アリールマレイン酸イミド、アルキルマレイン酸イミド等の不飽和有機酸又はその誘導体;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル;スチレン、メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ビニルトリメチルメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン;ジシクロペンタジエン、4−エチリデン−2−ノルボルネン、4−メチル1、4−ヘキサジエン、5−メチル−1、4−ヘキサジエン等の非共役ジエン等があげられる。これらの中ではエチレン、プロピレン、ブテン−1、3−メチルブテン−1、4−メチルペンテン−1を過半重量含む共重合体又は単独重合体が好ましく、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック、ランダム共重合体及びこれらの混合物等の結晶性プロピレン系重合体が更に好ましい。
【0011】
本発明に使用することができる(A)の分子量は、目的によってその好適な範囲が異なるため一概に範囲を定められないが、一般に温度230℃及び荷重21.2Nの条件で測定したメルトフローレート(MFR)で表わして0.01〜400g/10分、好ましくは0.1〜60g/10分である。
【0012】
本発明の(A)は重合あるいは変性といった従来公知の方法によって製造することができる。また、市販品も広く入手可能であり、適宜これらから選んで使用することができる。
【0013】
本発明の(B)は、ポリフェニレンエーテル系樹脂であり、下記一般式(式中、R1、R2、R3、R4及びR5は、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基もしくは置換炭化水素基から選ばれたものであり、そのうち、必ず1個は水素原子である。)で示されるフェノール化合物の一種又は二種以上を酸化カップリング触媒を用い、酸素又は酸素含有ガスで酸化重合せしめて得られる(共)重合体である。
Figure 0004159036
【0014】
上記一般式におけるR1、R2、R3、R4及びR5の具体例としては、水素、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素、メチル、エチル、n−又はiso−プロピル、pri−、sec−又はt−ブチル、クロロエチル、ヒドロキシエチル、フェニルエチル、ベンジル、ヒドロキシメチル、カルボキシエチル、メトキシカルボニルエチル、シアノエチル、フェニル、クロロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、アリルなどがあげられる。上記一般式の具体例としては、フェノール、o−、m−又はp−クレゾール、2,6−、2,5−、2,4−又は3,5−ジメチルフェノール、2−メチル−6−フェニルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、2,6−ジエチルフェノール、2−メチル−6−エチルフェノール、2,3,5−、2,3,6−又は2,4,6−トリメチルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール、チモール、2−メチル−6−アリルフェノールなどがあげられる。更に、上記一般式以外のフェノール化合物、例えば、ビスフェノール−A、テトラブロモビスフェノール−A、レゾルシン、ハイドロキノン、ノボラック樹脂のような多価ヒドロキシ芳香族化合物と、上記一般式で示されるフェノール化合物とを共重合体の原料としてもよい。これらの化合物の中では、2,6−ジメチルフェノール、2,6−ジフェニルフェノール、3−メチル−6−t−ブチルフェノール及び2,3,6−トリメチルフェノールが好ましい。
【0015】
フェノール化合物を酸化重合せしめる際に用いる酸化カップリング触媒は、特に限定されるものではなく、重合能を有する如何なる触媒でも使用できる。
【0016】
かかるポリフェニレンエーテル系樹脂の製造法は、例えば米国特許第3306874号公報、同第3306875号公報及び同第3257357号公報並びに特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、特開平1−304119号公報等に記載されている。
【0017】
本発明の(B)の具体例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロペニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジラウリル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メトキシ−6−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−ステアリルオキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エトキシ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−クロロ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(3−メチル−6−t−ブチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,5−ジブロモ−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジベンジル−1,4−フェニレンエーテル)及びこれらの重合体を構成する繰り返し単位の複数種を含む各種共重合体をあげることができる。共重合体の中には2,3,6−トリメチルフェノール、2,3,5,6−テトラメチルフェノール等の多置換フェノールと2,6−ジメチルフェノールとの共重合体等も含む。これらポリフェニレンエーテル系樹脂のうちで好ましいものはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)及び2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体である。
【0018】
本発明に使用することができる(B)の分子量は、目的によってその好適な範囲が異なるため一概にその範囲は定められないが、一般に30℃のクロロホルム中で測定した極限粘度で表わして0.1〜0.7dl/g、好ましくは0.3〜0.6dl/gである。
【0019】
本発明の(B)は、上記重合体、共重合体に対し、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン及びクロルスチレン等のスチレン系化合物をグラフトさせて変性した共重合体でもよい。
【0020】
本発明で用いる(C)は比誘電率が50以上ある無機フィラーである。例えば、酸化チタンやチタン酸金属塩が挙げられる。チタン酸金属塩の具体例としては、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムストロンチウム、チタン酸バリウムカルシウム、チタン酸バリウムマグネシウム、チタン酸カルシウムマグネシウム等のアルカリ土類金属塩、チタン酸バリウムビスマス、チタン酸バリウムネオジム等のアルカリ土類金属原子の一部が他の金属に置換したチタン酸金属塩、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸ニオブ酸鉛マグネシウム等のチタン酸の一部が他の金属に置換したチタン酸金属塩等を挙げることができ、1種単独で又は2種以上を併用して使用できる。
【0021】
本発明において(C)の比誘電率が50未満の場合、熱可塑性樹脂組成物の比誘電率が不十分となる。また、(C)の誘電正接は0.01以下であることが好ましい。誘電正接が0.01を超える場合、樹脂組成物の誘電正接が増大し、アンテナ特性が悪化する場合がある。さらに、(C)は平均粒子径が1μm以下の粒子状であることが好ましい。ここで、本発明における粒子状とは無機フィラーの短径と長径の比(アスペクト比)が3未満のものを示す。(C)が粒子状でない場合は、成形条件によりフィラーの切断や破砕の程度が変化して、比誘電率や誘電正接が変化する場合がある。
【0022】
上記の(C)には、該充填材の樹脂への分散性を一層高める目的で、表面処理剤による処理を施してもよい。表面処理剤としては公知のものが使用でき、例えば、例えば、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物のカップリング剤を挙げることができる。また、表面処理剤の使用量は特に制限されないが、通常、本発明組成物の誘電特性及び物理的特性が損なわれない範囲とすればよい。
【0023】
本発明の(D)は、アスペクト比5以上の板状および/もしくは針状の無機フィラーからなる群より選ばれる少なくとも1種の無機フィラーである。
【0024】
板状の無機フィラーとしてはタルク、白雲母(マスコバイト)及び金雲母(フロゴパイト)等の雲母類、絹雲母(セリサイト)、カオリナイト、クロライト、モンモリロナイト、ハロサイト等の層状粘土鉱物、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウム、ガラスフレーク、板状酸化鉄、金属板状物等が例示される。
【0025】
針状の無機フィラーとしては、チタン酸カリウム、塩基性硫酸マグネシウム、硼酸アルミニウム、ワラストナイト、ゾノトライト、ドーソナイト、針状アルミナ、針状セラミック、アスベスト、石コウ繊維、金属繊維、針状炭酸カルシウム、炭化珪素あるいは窒化珪素よりなるウィスカー、ガラス繊維、金属繊維等が例示される。
【0026】
本発明において、板状の無機フィラーおよび針状の無機フィラーのアスペクト比とはそれぞれフィラーの面長と厚みの比、および、フィラーの繊維長と繊維径の比であり、アスペクト比はそれぞれ5以上である必要がある。アスペクト比が5〜200であることが好ましく、さらに、アスペクト比が10〜100であればより好ましい。アスペクト比が5よりも小さい場合は、線膨張係数の低減効果が乏しい。また、アスペクト比が200以上では成形品の外観が悪化する場合がある。さらに、(D)の比誘電率は50未満が好ましい。(D)の比誘電率が50以上であると、成形条件によるフィラーの切断や破砕状態の変化によって比誘電率が変化する場合がある。
【0027】
上記の(D)には、該充填材の樹脂への分散性を一層高める目的で、表面処理剤による処理を施してもよい。表面処理剤としては公知のものが使用でき、例えば、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤を挙げることができる。また、表面処理剤の使用量は特に制限されないが、通常、本発明組成物の誘電特性及び物理的特性が損なわれない範囲とすればよい。
【0028】
本発明の(E)は、アルケニル芳香族化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体である。アルケニル芳香族化合物―共役ジエン化合物ブロック共重合体におけるアルケニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−tert―ブチルスチレン、ジフェニルスチレン等のうちから1種または2種以上が選択でき、とくにスチレンが好ましい。また、共役ジエン化合物としては、たとえば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等のうちから一種または2種以上が選ばれ特にブタジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ましい。
【0029】
本発明の(E)のアルケニル芳香族ブロックAとジエンブロックBとの組み合わせに関しては特に制限はないが、とりわけ、A−B−Aのトリブロック構造を有するものが、耐衝撃性改良の観点から好ましい。
【0030】
ブロック共重合体のジエンブロックは、溶融混練時に起こるブロック共重合体の熱劣化の防止や耐衝撃強度の観点から、ジエンの50%以上、好ましくは90%以上が水素添加されていることが好ましい。
【0031】
ブロック共重合体において、アルケニル芳香族ブロックの分率は、ブロック共重合体とポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂との相容性や射出成形等の成形時に層剥離現象が発生することを防止する観点から、10重量%以上80重量%以下、好ましくは、35重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは、48重量%以上70重量%以下である。
【0032】
本発明の(F)は、非芳香族性の炭素−炭素多重結合、オキシラン基及び誘導カルボキシル基からなる群から選ばれる結合又は官能基の少なくとも一を有する官能性化合物である。
【0033】
本発明における非芳香族の炭素−炭素二重結合又は三重結合のみを有する官能性化合物は下記に示すオレフィン類、液状ジエンポリマー及びキノン類である。
【0034】
すなわち、かかる官能性化合物の具体例としては、ドデセン−1、オクタデセン−1等で例示されるオレフィン類;液状ポリブタジエンで例示される液状ジエンポリマー;並びに1,2−及び1,4−ベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジフェニルベンゾキノン、テトラメチルベンゾキノン、2−クロロ−1,4−ベンゾキノン、2,2′−及び4,4′−ジフェノキノン、1,2―ナフトキノン、1,4―ナフトキノン及び2,6−ナフトキノン、9,10−アントラキノン等で例示されるキノン類をあげることができる。
【0035】
また、本発明におけるオキシラン基のみを有する官能性化合物の具体例としては、多価フェノール、多価アルコール及びアミン類からなる群から選ばれる化合物とエピクロロヒドリンとを縮合させることによって製造されるエポキシ樹脂、上記液状ジエンポリマーのエポキシ化物、酸化ポリオレフィンワックス、オクタデシルグリシジルエーテル、1−ヘキサデセンオキシド等で例示されるエポキシ化合物があげられる。
【0036】
本発明における誘導カルボキシル基のみを有する官能性化合物の例としては下記に示す化合物があげられるが、ここに、誘導カルボキシル基とは一般式
−COOR
−COY、
−CONR、R又は
−CO−Z−CO−
[式中、Rは水素原子又は不活性な置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至20個のアルキル基もしくはアリール基を表わし、Yはハロゲン原子を表わし、RとRはそれぞれ水素原子又は不活性な置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至10個のアルキル基もしくはアリール基を表わし、Yは酸素原子又はNHを表わす。]で表わされるカルボキシル基から派生する基のことである。
【0037】
かかる官能性化合物の具体例は無水コハク酸、スチレン−無水マレイン酸共重合体等の無水マレイン酸重合体、p−ニトロ安息香酸メチル、p−シアノフェニルアセトアミド等で例示されるカルボン酸誘導体である。
【0038】
本発明の(F)としては、(i)非芳香族の炭素−炭素二重結合、オキシラン基及び誘導カルボキシル基からなる群から選ばれる結合又は官能基の少なくとも一と(ii)誘導カルボキシル基、誘導水酸基、誘導アミノ基、誘導シリル基、誘導メルカプト基、誘導スルホン酸基及びオイシラン基からなる群から選ばれる官能基であって上記(i)の官能基とは異なる官能基の少なくとも一とを同時に有する官能性化合物が好ましい。
【0039】
ここに、誘導水酸基とは、一般式
―OR―、
―OCOR10―、又は、
―OSi(R11
[式中、R及びR10は水素原子又は不活性な置換基を有していてもよい炭酸原子数が1乃至10個のアルキル基もしくはアリール基を表わし、3個のR11は互いに同じか又は異なる不活性な置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至10個のアルキル基、アリール基もしくはアルコキシ基を表わす。]で表わされる水酸基から派生する基のことである。
【0040】
誘導アミノ酸基とは、一般式
―NHR12―、又は
―NHCOR13
[式中、R12は水素原子、シアノ基又は不活性な置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至10個のアルキル基もしくはアリール基を表わし、R13は水素原子又は不活性な置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至20個のアルキル基もしくはアリール基を表わす。]で表わされるアミノ基から派生する基のことである。
【0041】
誘導シリル基とは、一般式
−Si(R14
[式中、3個のR14は互いに同じか又は異なる水素原子、アミノ基又はメルカプト基を有していてもよい炭素原子数が1乃至10個のアルキル基、アリール基もしくはアルコキシ基を表わす。]で表わされるシリル基から派生する基のことである。
【0042】
誘導メルカプト基とは、一般式
―SR15、又は
―SCOR16
[式中、R15及びR16は水素原子又は不活性な置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至10個のアルキル基もしくはアリール基を表わす。]で表わされるメルカプト基から派生する基のことである。
【0043】
誘導スルホン酸基とは、一般式
−SO17
−SOY又は
−SONR1819
[式中、R17は水素原子又は不活性な置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至20個のアルキル基もしくはアリール基を表わし、Yはハロゲン原子をわし、R18とR19はそれぞれ水素原子又は不活性な置換基を有していてもよい炭素原子数が1乃至10個のアルキル基もしくはアリール基を表わす。]で表わされるスルホン酸基から派生する基のことである。
【0044】
かかる好ましい官能性化合物の例としては、マレイン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、ハイミック酸、シトラコン酸、イタコン酸等で例示される不飽和ジカルボン酸;アクリル酸、ブタン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、メタクリル酸、ペンテン酸、ドデセン酸、リノール酸、アンゲリカ酸、けい皮酸等で例示される不飽和モノカルボン酸;無水マレイン酸、無水ハイミック酸、アクリル酸無水物等で例示される前記α、β−不飽和ジカルボン酸又は不飽和モノカルボン酸の酸無水物;マレイン酸アミド、マレインヒドラジド、アクリルアミド、N−(ヒドロキシメチル)アクリルアミド等で例示される前記α、β−不飽和ジカルボン酸又は不飽和モノカルボン酸の酸アミド;エチルマレイン酸等で例示される前記α、β−不飽和ジカルボン酸又は不飽和モノカルボン酸のエステル;マレイミド等で例示されるα、β−不飽和ジカルボン酸又は不飽和モノカルボン酸のイミド;アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等で例示される不飽和エポキシ化合物;アリルアミン、p−アミノスチレン、N−ビニルアニリン等で例示される不飽和アミン;アリルアルコール、3−ブテン−2−オール、プロパギルアルコール等で例示される不飽和アルコール;p−ビニルフェノール、2−プロペニルフェノール等で例示されるアルケニルフェノール;2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、1,3−ジビニルテトラエトキシシラン、ビニルトリス−(2−メトキシエトキシ)シラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のオルガノシラン化合物;3−メルカプトプロピオン酸、2−メルカプトベンズイミダゾール等のメルカプト化合物;2−ヒドロキシイソ酪酸、DL−酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、アガリシン酸、クエン酸二アンモニウム、クエン酸三アンモニウム、クエン酸カルシウム、リング酸カルシウム、クエン酸カリウム、リンゴ酸カリウム、アセチルシトレート、ステアリルシトレート、ジステアリルシトレート、アセチルマリエート、ステアリルマリエート、N、N′−ジエチルクエン酸アミド、N、N′−ジプロピルクエン酸アミド、N−フェニルクエン酸アミド、N−ドデシルクエン酸アミド、N、N′−ジドデシルクエン酸アミド、N−ドデシルリンゴ酸アミド等のオキシカルボン酸誘導体;トリメリト酸無水物酸ハロゲン化物、クロロホルミルコハク酸、クロロホルミルコハク酸無水物、クロロホルミルグルタル酸、クロロホルミルグルタル酸無水物、クロロアセチルコハク酸無水物等の酸塩化物等があげられる。
【0045】
より好ましい官能性化合物は、(i)非芳香族性の炭素−炭素多重結合と(ii)上記誘導カルボキシル基、誘導水酸基、誘導アミノ基、誘導シリル基、誘導メルカプト基及びオキシシラン基からなる群から選ばれる官能基の少なくとも一とを同時に有する化合物、及び上記オキシカルボン酸誘導体である。これらの中で更に好ましい官能性化合物はマレイン酸、フマル酸、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、ハイミック酸無水物、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリルアミド、マレイミド、アリルマミン、アリルアルコール及びプロパルギルアルコール、クエン酸及びリンゴ酸であり、最も好ましい官能性化合物は無水マレイン酸及びフマル酸である。
【0046】
なお、本発明の(F)は、スチレン、α−メチルスチレン等のアルケニル芳香族炭化水素と一緒に用いた方が更に好ましい場合がある。
【0047】
本発明の(G)は、一般式
INH−X−NHRII
で表わされる有機化合物である。式中のRI及びRIIは同じでも異なってもよく、それぞれ水素原子又は不活性な置換基を有していてもよいアルキル基を表わし、Xは不活性な置換基を有していてもよい炭素数4乃至30のアルキレン基を表わす。ここに、RI、RII及びXにおける不活性な置換基とはアリール基、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、カルボニル基、スルホニル基、エーテル基、スルフィド基、エステル基、アミド基等の熱的に安定な基のことである。
【0048】
かかるジアミノ化合物の具体例としては、1,6―ジアミノヘキサン、1,6−ジアミノ−2−エチルヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,12−ビス(N、N′−ジメチルアミノ)ドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,24−ジアミノテトラコサン、1,16−ジアミノ−2、2−ジメチル−4−メチルヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、2,2′−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス−ヘキサメチレントリアミン等があげられる。
【0049】
これらの化合物のうちで好ましいジアミノ化合物は上記一般式におけるRI及びRIIが共に水素原子であり、Xが炭素数8乃至20の直鎖アルキレン基であるジアミノ化合物であり、最も好ましいのは1,12−ジアミノドデカンである。
【0050】
また、より均一な樹脂組成物を得るうえで混練をラジカル発生剤の存在下に行なうことが好ましい場合がある。かかるラジカル発生剤の例としては、N−ブロモコハク酸イミド酸のハロゲン化イミド類;過酸化ベンゾイル、ジクミールパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)ヘキシン−3,1,3−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ラウロイル、t−ブチルパーアセテート等の有機過酸化物類;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩類;アゾビソイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等のジアゾ化合物類等があげられる。ラジカル発生剤が使用される場合のその使用量は(A)と(B)の合計量100重量部に対して一般に10重量部以下、好ましくは0.001乃至5重量部である。
【0051】
本発明の樹脂組成物における(A)と(B)の重量比は、95/5〜35/65の範囲である。(A)が過少の場合((B)が過多の場合))、流動性、耐薬品性が悪化する。一方、(A)が過多の場合((B)が過少の場合))、成形収縮率が大きくなり、耐熱性が低下する。
【0052】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)が連続相を形成する必要がある。(A)が連続相を形成しない場合、耐薬品性が不十分となる。
【0053】
本発明の樹脂組成物において(C)の添加量は、(A)および(B)の合計量100重量部に対して、10〜250重量部である。(C)が過少の場合、比誘電率が不十分となる。一方、(C)が過多の場合、耐衝撃強度、加工性が低下する。
【0054】
本発明の樹脂組成物において(D)の添加量は、(A)および(B)の合計量100重量部に対して、1〜100重量部の範囲である。(D)が過少の場合、線膨張係数の低減効果が不十分となる。一方、(D)が過多の場合、耐衝撃強度、加工性が低下する。
【0055】
本発明の樹脂組成物において(E)の添加量は、(A)及び(B)の合計量
100重量部に対して、1〜30重量部である。(E)が過少の場合、(A)と(B)との相容性が悪化し、衝撃強度が低下する場合がある。一方、(E)が過多の場合、耐熱性、剛性が著しく低下する場合がある。
【0056】
本発明の樹脂組成物における上記官能性化合物(F)の添加量は、(A)及び(B)の合計量100重量部に対して、0.1〜30重量部であり、好ましくは0.2〜20重量部である。(F)が過少の場合、耐衝撃強度が低下する場合がある。一方(F)が過多の場合、剛性が低下する場合がある。
【0057】
本発明の樹脂組成物における(G)の添加量は、(A)及び(B)の合計量100重量部に対して、0.001〜20重量部であり、好ましくは0.02〜10重量部である。(G)が過少の場合、衝撃強度が低下する場合がある。一方(G)が過多の場合、耐熱性が低下する場合がある。
【0058】
本発明の樹脂組成物は上記の(A)〜(D)、(A)〜(E)または(A)〜(D)、(F)、(G)の成分を溶融混練して得られる。溶融混練方法の一例としては押出機等を用いて溶融混練する方法があげられるが、一般に行われている混練方法であれば特に制限を受けない。押出機への添加方法は、材料を一括で投入する方法、材料の一部をサイドフィードする方法、予備混練物をフィードする方法が考えられる。
【0059】
例えば、(A)〜(E)を溶融混練する場合は複数のフィード口を有する2軸押出機を用い、(B)、(E)を溶融混練した後にそれよりも下流のフィード口から(A)をフィードして溶融混練する方法が好ましい。(C)および(D)についてはいずれのフィード口から投入してもかまわない。
【0060】
また例えば、(A)〜(D)、(F)及び(G)を溶融混練する場合は、複数のフィード口を有する2軸押出機を用い、(A)、(B)および(F)を溶融混練した後に下流側のフィード口から(G)を添加し溶融混練する方法、あるいは、(B)及び(F)一部を溶融混合し、下流側のフィード口から(A)及び(F)の残りを添加して溶融混練し、さらに下流側のフィード口から(G)をフィードすることが好ましい。(C)および(D)についてはいずれのフィード口から投入してもかまわない。
【0061】
混練温度はPPEのガラス転移点(約210℃)以上であればよいが、好ましくは220〜400℃の範囲である。
【0062】
本発明では上記の成分のほかに、本発明の特徴および効果を損わない範囲で必要に応じて他の付加的成分を添加してもかまわない。例えば、酸化防止剤、耐候性改良剤、造核剤、難燃剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、各種着色剤、(C)および(D)以外のフィラー等が挙げられる。
【0063】
本発明の樹脂組成物は、射出成形、押出成形、圧縮成形、中空成形など、一般に行われている成形方法により、自動車の外板部品等に成形される。
【0064】
本発明の樹脂組成物より得られる成形品は、線膨張係数が小さく、十分な強度、耐熱性、耐薬品性を有し、優れた誘電特性を有するため、アンテナ一体型の自動車外板部品として好適に使用される。
【0065】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を詳しく説明するが、これは単なる例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用された成分は以下のとおりである。
1.ポリオレフィン樹脂<成分(A)>
PP:ポリプロピレン樹脂 商標:HD100G2(住友化学工業(株)製)
2.ポリフェニレンエーテル系樹脂<成分(B)>
PPE:2,6−ジメチルフェノールを単独重合することによって得られたクロロホルム溶液(濃度:0.50g/dl),30℃での固有粘度が0.40のポリフェニレンエーテル
3.比誘電率が50以上である無機フィラー<成分(C)>
BaTiO3:チタン酸バリウム 商標:BT−07(堺化学社製)平均粒径 0.7μm、比誘電率 2000
4.アスペクト比5以上の無機フィラー<成分(D)>
4−1.板状フィラー1:マイカ 商標:クラライトマイカ 300W(クラレ社製)面長 30μm、厚み 0.75μm、アスペクト比 40
4−2.板状フィラー2:タルク 商標:JR46 (林化成社製)面長 2.75μm、厚み 0.2μm、アスペクト比 13.8
4−3.針状フィラー3:チタン酸カリウム 商標:ティスモD(大塚化学社製)繊維長 15μm、繊維径 0.45μm、アスペクト比 33.3
【0066】
5.アルケニル芳香族―共役ジエン化合物ブロック共重合体<成分(E)>
SEPS:水添スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 商標:セプトン2104(クラレ社製)スチレン分率65重量%
6.官能性化合物<成分(F)>
MAH:無水マレイン酸
7.ジアミノ化合物<成分(G)>
DADD:1、12―ジアミノドデカン
8.その他
NA:商標:アデカスタブNA―11(旭電化社製)
CAST:カルシウムステアレート(共同薬品社製)
IRG:イルガノックス1010 (日本チバガイギー社製)
ULT:ウルトラノックス626(ボーグワーナ社製)
PO:過酸化物、商標パーカドックス14/40C(化薬アクゾ社製)
(1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、40wt%濃度)
St:スチレン
【0067】
参考例1
シリンダー温度280℃、スクリュー回転数300rpmに設定した2個の投入口を有する連続二軸押出機(東芝機械製TEM−50A型)を用いて、PPE20重量部、SEPS 10重量部の混合物を上流側の投入口より供給して溶融混練し、続けて、下流の投入口よりPP 70重量部、NA 0.2重量部、CAST 0.05重量部、IRG 0.1重量部、ULT 0.1重量部の混合物を供給して、溶融混練した。吐出物はストランドカットして、ペレット状の樹脂組成物A−1を得た。ここで重量部は、PP、PPE、SEPSの合計量100重量部に対する量を示す。
【0068】
参考例2
シリンダー温度280℃、スクリュー回転数300rpmに設定した2個の投入口を有する連続二軸押出機(東芝機械製TEM−50A型)を用いて、PP 50重量部、PPE 20重量部、SEPS 10重量部、MAH 0.7重量部、PO 0.25重量部、St 0.7重量部の混合物を上流側の投入口より供給して溶融混練し、続けて、下流の投入口よりPP 20重量部、DADD 0.7重量部、CAST 0.05重量部、IRG 0.1重量部、ULT 0.1重量部の混合物を供給して、溶融混練した。吐出物はストランドカットして、ペレット状の樹脂組成物A−2を得た。ここで重量部は、PP、PPE、SEPSの合計量100重量部に対する量を示す。
【0069】
[比誘電率、誘電正接]
射出成形によって得られた3.0mm厚の平板を用い、日本ヒューレットパッカード社製インピーダンスアナライザー4291Aにて測定した。
[メルトフローレイト(MFR)の測定]
ASTM D1238に準拠して測定した。但し、荷重は98N、設定温度は260℃で行った。
[曲げ弾性率、曲げ強度]
ASTM D790に準拠し、射出成形によって得られた3.2mm厚の試験片を使用して、23℃における曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。
[熱変形温度]
ASTM D648に準拠して、射出成形によって得られた6.4mm厚の試験片を使用して、荷重0.45MPaでの熱変形温度を測定した。
[線膨張係数]
射出成形によって得られた3.2mmの試験片の中央部から幅方向(TD)および長手方向(MD)にそれぞれ10mmの長さを切り出し、−40〜80℃の温度範囲における線膨張係数をTMA−40(島津製作所製)にて測定した。
【0070】
実施例1
表1に示す配合割合の各成分を混合し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpmに設定した二軸混練機(東洋精機製20mmφ混練機)のホッパーから投入した後、これらの成分を溶融混練したものをストランドカットしてペレット状の樹脂組成物を得た。得られたペレットを射出成形機(東芝機械製 IS100EN)を用いシリンダー温度260℃、金型温度50℃に設定し、各試験片を成形した。得られた試験片を用いて比誘電率、誘電正接、曲げ弾性率、曲げ強度、熱変形温度、線膨張係数を測定した。また、ペレットのMFRを測定した。この結果を表1に示す。
【0071】
実施例2〜6、比較例1〜3
表1および表2に示す配合割合を用いた以外は実施例1と同様に実施した。この結果を表1および表2に示す。
【0072】
比較例4
比較例3で得られたペレット 50重量部とA−1 50重量部を混合し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpmに設定した二軸混練機(東洋精機製20mmφ混練機)のホッパーから投入した後、これらの成分を溶融混練したものをストランドカットしてペレット状の樹脂組成物を得た。得られたペレットを用い、実施例1と同様に物性を測定した。この結果を表2に示す。
【0073】
比較例5〜7
表3に示した配合で混合し、シリンダー温度280℃、スクリュー回転数70rpmに設定した二軸混練機(東洋精機製20mmφ混練機)のホッパーから投入した後、これらの成分を溶融混練したものをストランドカットしてペレット状の樹脂組成物を得た。ここで重量部とはPP、PPE、SEPS、板状フィラー1、板状フィラー2および針状フィラーの合計量100重量部に対する量を示す。得られたペレットを用い、実施例1と同様に物性を測定した。この結果を表3に示す。
【0074】
【表1】
Figure 0004159036
【0075】
【表2】
Figure 0004159036
【0076】
【表3】
Figure 0004159036
【0077】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によれば、線膨張係数が小さく、十分な強度、耐熱性、かつ、誘電特性に優れた樹脂組成物および該熱可塑性樹脂からなる自動車外板成形品を提供することができた。

Claims (4)

  1. 下記の(A)〜()を含有し、
    (A)と(B)の含有量の重量比が95/5〜35/65であり、
    (A)および(B)の合計100重量部あたりの(C)の含有量が10〜250重量部であり、
    (A)および(B)の合計100重量部あたりの(D)の含有量が1〜100重量部であり、
    (A)および(B)の合計100重量部あたりの(E)の含有量が1〜30重量部であり、かつ
    (A)が連続相を形成する
    熱可塑性樹脂組成物。
    (A):ポリオレフィン樹脂
    (B):ポリフェニレンエーテル系樹脂
    (C):比誘電率が50以上のチタン酸金属塩である無機フィラー
    (D):アスペクト比が5以上の板状および/もしくは針状の無機フィラー
    (E):アルケニル芳香族−共役ジエン化合物ブロック共重合体
  2. 前記(C)の平均粒子径が1μm以下である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記(A)〜()並びに下記の(F)及び(G)を溶融混練して得られ、(A)及び(B)の合計量100重量部あたりの(F)の含有量が0.1〜30重量部であり、(A)及び(B)の合計量100重量部あたりの(G)の含有量が0.001〜20重量部である請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    (F):非芳香族性の炭素−炭素多重結合、オキシラン基及び誘導カルボキシル基からなる群から選ばれる結合又は官能基の少なくとも一を有する官能性化合物
    (G):下記の一般式で表わされるジアミノ化合物
    INH−X−NHRII
    [式中、RI及びRIIは同一でも異なってもよく、それぞれ水素原子又は不活性な置換基を有していてもよいアルキル基を表わし、Xは不活性な置換基を有していてもよい炭素数4乃至30のアルキレン基を表わす。]
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる自動車外板成形品。
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