JP2009224085A - メタノール容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、メタノールバリア性、耐メタノール性、熱時剛性、低反り性、表面外観に優れたメタノール容器を提供することを目的とする。
【解決手段】(a)ポリプロピレン樹脂50〜80質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜40質量部、及び(c)混和剤5〜20質量部からなる樹脂組成物100質量部に対して、10〜50質量部の(d)鱗片状ガラスフィラーを配合してなる樹脂組成物にてメタノール容器を構成する。
【選択図】なし

Description

本発明は、メタノールを充填しておくメタノール容器に関し、特にダイレクトメタノール型燃料電池(以下、DMFC)へ供給するメタノールを充填しておくためのメタノール容器(燃料カートリッジ)に関する。
より具体的には、メタノールバリア性、耐メタノール性、常温剛性、熱時剛性、低反り性に優れた燃料電池用メタノール容器(燃料カートリッジ)に関する。
メタノールを燃料とするDMFCは、Ni/Cd電池、Ni/H電池、Liイオン電池等の二次電池と違い充電の必要がなく、メタノールの補給により長時間使用が可能といった利点から、携帯電話、モバイル型パソコン、デジタルカメラ等の電源として近年注目されている。
DMFCは、液体、または固体状態のメタノールを封入した取り替え式の燃料容器(燃料カートリッジ)からメタノールの供給を受けるが、このメタノール燃料容器を構成する材料としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂を用いることが特許文献1に開示されており、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物を用いることが特許文献2に開示されている。
特開2003−017102号公報 特開2005−222845号公報
しかし、特許文献1、2に開示されている樹脂材料をDMFCへ供給するメタノールを充填しておくためのメタノール燃料容器に使用した場合には、最も重要なメタノールバリア性が充分でなく、封入したメタノール燃料が樹脂製容器を透過して減少してしまうという問題を有している。更に近年の容器(燃料カートリッジ)の薄肉化要求に対応できる常温剛性、熱時剛性や低反り性という点でも不十分であった。また特許文献2に開示されている樹脂材料においては、ポリフェニレンエーテルとポリプロピレンを相溶化させるための混和剤が配合されていないため、成形品が剥離しやすいという欠点を有しており、より高性能なDMFC用メタノール容器(燃料カートリッジ)が求められている。
本発明は、メタノールバリア性、耐メタノール性、熱時剛性、低反り性、及び表面外観に優れたメタノール容器(燃料カートリッジ)を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決する為に鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、混和剤と鱗片状ガラスフィラー、または鱗片状ガラスフィラーとガラス繊維を特定の割合で混合した樹脂組成物にてメタノール容器(燃料カートリッジ)を形成した場合に前記課題を解決出来る事を見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、
1.(a)ポリプロピレン樹脂50〜80質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜40質量部、及び(c)混和剤5〜20質量部からなる樹脂組成物100質量部に対して、10〜50質量部の(d)鱗片状ガラスフィラーを配合してなる樹脂組成物にて構成されたことを特徴とするメタノール容器。
2.(a)ポリプロピレン樹脂50〜80質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜40質量部、及び(c)混和剤5〜20質量部からなる樹脂組成物100質量部に対して、(d)鱗片状ガラスフィラーと(e)ガラス繊維を合計量10〜50質量部配合してなる樹脂組成物にて構成されたことを特徴とするメタノール容器。
3.(c)成分が水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体である上記1又は2に記載のメタノール容器。
4.メタノール容器が燃料電池用メタノール容器であることを特徴とする上記1〜3のいずれか1項に記載のメタノール容器。である。
本発明のメタノール容器(燃料カートリッジ)は、メタノールバリア性、耐メタノール性、熱時剛性、低反り性に優れることから、燃料であるメタノールの容器からの減少を押えることにより、DMFC用メタノール容器(燃料カートリッジ)として用いた場合には、電池のより長時間の使用を可能とし、更に容器の薄肉軽量化も可能とするものである。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明のメタノール容器(燃料カートリッジ)を構成する樹脂組成物の成分である(a)ポリプロピレン樹脂は、結晶性プロピレンホモポリマーおよび、重合の第一工程で得られる結晶性プロピレンホモポリマー部分と重合の第二工程以降でプロピレン、エチレン、要すれば更に少なくとも1つの他のα−オレフィン(例えば、ブテン−1、ヘキセン−1等)を共重合して得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体部分を有する結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体であり、さらにこれら結晶性プロピレンホモポリマーと結晶性プロピレン−エチレンブロック共重合体の混合物であっても構わない。好ましくは、結晶性プロピレンホモポリマーである。
本発明で用いるポリプロピレン樹脂は、メルトフローレート(ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kgの荷重下で測定)が0.1〜100g/10分の範囲のものから選択できる。
さらに、上述のポリプロピレン樹脂の他に、特開昭44−15422号公報、特開昭52−30545号公報、特開平6−313078号公報、特開2006−83294号公報に示されるような公知の変性ポリプロピレン樹脂であってもよい。さらに上述のポリプロピレン樹脂と該変性ポリプロピレン樹脂との任意の割合の混合物であってもよい。
(b)ポリフェニレンエーテル樹脂は、次に示す一般式(1)、
Figure 2009224085

(式中、R,R,R,R,R,Rは炭素1〜4のアルキル基、アリール基、ハロゲン、水素等の一価の残基であり、R,Rは同時に水素ではない)を繰り返し単位とし、構成単位が一般式(1)の[a]及び/又は[b]からなる単独重合体、あるいは共重合体が使用できる。
(b)ポリフェニレンエーテル樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等のホモポリマーが挙げられる。
(b)ポリフェニレンエーテル樹脂の共重合体としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体あるいはo−クレゾールとの共重合体あるいは2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等、ポリフェニレンエーテル構造を主体としてなるポリフェニレンエーテル共重合体を包含する。好ましくは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルである。
また、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂は、マレイン酸,無水マレイン酸,フマル酸,イタコン酸,アクリル酸,アクリル酸エステル,メタクリル酸,メタクリル酸エステル等のα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体にて変性された変性ポリフェニレンエーテル樹脂でも構わない。
(c)混和剤は、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂を(a)ポリプロピレン樹脂のマトリックス中に分散させる能力をもつものであれば、いかなる混和剤でも構わず、その化学構造に限定されない。この(c)成分の混和剤として具体例を挙げると、例えば、ポリフェニレンエーテル分子鎖にポリプロピレン分子鎖が化学結合して得られるブロック(グラフト)共重合体、ポリスチレン分子鎖にポリプロピレン分子鎖が化学結合して得られるブロック(グラフト)共重合体や、ポリフェニレンエーテル分子鎖にエチレンとα−オレフィン共重合体エラストマー分子鎖が化学結合して得られるブロック(グラフト)共重合体、ポリスチレン分子鎖にエチレンとα−オレフィン共重合体エラストマー分子鎖が化学結合して得られるブロック(グラフト)共重合体やその水添ブロック共重合体などが挙げられる。
これら混和剤の中で好ましい混和剤は、ポリスチレン分子鎖にエチレンとα−オレフィン共重合体エラストマー分子鎖が化学結合して得られるブロック共重合体に水素添加を行なった水添ブロック共重合体である。水添ブロック共重合体は、前記したポリプロピレン樹脂のマトリックス中にポリフェニレンエーテル樹脂を分散粒子化させるための分散剤として作用し、更には樹脂組成物の耐衝撃性を付与するものであり、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体、水添スチレン−イソプレンブロック共重合体を例示することができ、水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体が特に好ましい。また、この水添ブロック共重合体は、ビニル結合量(すなわち、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量)が40〜90%、好ましくは45〜85%である共役ジエン化合物から主としてなる少なくとも1個の重合体ブロックBと、ビニル芳香族化合物から主としてなる少なくとも1個の重合体ブロックAとからなるブロック共重合体を50%以上水素添加してなるものである。なお、混和剤は二種類以上を併用使用しても構わない。
前記(a)、(b)成分の配合割合は、(a)ポリプロピレン樹脂50〜80質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜40質量部である。ポリプロピレン樹脂を50質量部以上、かつポリフェニレンエーテル樹脂を40質量部以下とすることによりメタノールバリア性が向上し、ポリプロピレン樹脂を80質量部以下、かつ(b)ポリフェニレンエーテル樹脂を10質量部以上とすることにより、耐熱性、熱時剛性、クリープ特性や低反り性が良好となる。好ましくは、(a)ポリプロピレン樹脂60〜75質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂15〜30質量部である。
(c)混和剤の配合量は、剥離性、耐衝撃性、クリープ特性を考慮して5〜20質量部の範囲であり、5〜15質量部とすることが好ましい。
(d)鱗片状ガラスフィラーは、一般的にガラスフレークと呼ばれているもので、樹脂配合後及び成形品中における長径が1000μm以下、好ましくは1〜500μmの範囲であり、30〜200μmであることが特に好ましい。且つアスペクト比(長径と厚みとの比)が5以上、好ましくは10以上、更に好ましくは30以上のものが好適である。アスペクト比は300以下が好ましい。
ガラスフレークの長径が1000μmを超えるものは、配合時に分級が生じて樹脂成分との均一混合が困難となり、成形品の物性バラツキの原因となる場合があり好ましくない。一方、アスペクト比が5未満のものは、成形品の耐熱性,剛性,耐衝撃性が不充分となるため好ましくない。該ガラスフレークは、市販されているものをそのまま用いる事が出来るが、樹脂に配合する際に適宜粉砕して用いても良い。上記ガラスフレークは、樹脂との親和性を改良する目的で、例えばシラン系やチタネート系等の種々のカップリング剤で処理したガラスフレークを使用できる。また収束剤で処理されていてもよく、収束剤としては、ウレタン系収束剤、ポリオレフィン系収束剤、エポキシ系収束剤を例示できるが、ウレタン系収束剤にて処理されたガラスフレークを用いることが好適である。
(a)ポリプロピレン樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂、(c)混和剤に(d)鱗片状ガラスフィラーを配合した樹脂組成物にてメタノール容器(燃料カートリッジ)を構成することによって、メタノールバリア性、強度、常温剛性、熱時剛性、低反り性を兼ね備えたメタノール容器(燃料カートリッジ)を得ることができ、鱗片状ガラスフィラー以外のフィラーの配合では、前記性能の全てを満足させることは困難である。
(d)鱗片状ガラスフィラーの配合量は、(a)ポリプロピレン樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル、及び(c)混和剤からなる樹脂組成物100質量部に対して10〜50質量部である。鱗片状ガラスフィラーの配合量は、メタノールバリア性、剛性、低反り性の点から、10質量部以上であり、成形品の表面状態(表面平滑性)、ウェルド強度、成形流動性の点から、50質量部以下である。配合量を10〜45質量部とすることが好ましく、15〜35質量部とすることが特に好ましい。
本発明のメタノール容器用樹脂組成物には、剛性を更に向上させるために(e)ガラス繊維を(d)鱗片状ガラスフィラーと共に併用配合することも可能である。使用するガラス繊維としては、通常の熱可塑性樹脂に配合されるガラス繊維で、Eガラス繊維であり、繊維径が8〜25μm、樹脂配合後及び成形品中における平均繊維長が20〜1000μmであることが好ましく、従来公知のカップリング剤、収束剤で処理されていることが特に好ましい。また収束剤で処理されていてもよく、収束剤としては、ウレタン系収束剤、ポリオレフィン系収束剤、エポキシ系収束剤を例示できるが、ウレタン系収束剤にて処理されたガラス繊維を用いることが好適である。
(e)ガラス繊維の配合量は、(d)鱗片状ガラスフィラーとの合計量として、(a)ポリプロピレン樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル、及び(c)混和剤からなる樹脂組成物100質量部に対して10〜50質量部であるが、(e)ガラス繊維自体の配合量としては、(a)ポリプロピレン樹脂、(b)ポリフェニレンエーテル、及び(c)混和剤からなる樹脂組成物100質量部に対して5〜25質量部(即ち、(d)鱗片状ガラスフィラーの10〜50質量%)とすることが好ましい。
本発明のメタノール容器(燃料カートリッジ)を構成する樹脂組成物には、前記成分の他にポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)等のポリスチレン系樹脂やポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、ブタジエン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、等の熱可塑性エラストマーを配合させることも可能である。
更に必要に応じて通常の熱可塑性樹脂に添加される添加剤、例えば熱安定剤、紫外線吸収剤、難燃剤、離型剤、滑剤、染料、顔料などを配合する事も特に制限されるものではない。
本発明の樹脂組成物の調整は、ブラベンダー、ニーダー、バンバリーミキサー、押出機などの従来公知の技術によって達成されるが、特に好適なのは押出機である。
本発明のメタノール容器は、上記樹脂組成物を用い一般的な射出成形、インジェクションプレス成形、またはガスインジェクション成形等公知の成形方法にて成形を行なうことによって得られる。
成形によって得られたメタノール容器の本体と蓋の溶着は、超音波溶着、熱板溶着、振動溶着、レーザー溶着等公知のプラスチック溶着方法にて実施できるが、超音波溶着が最も好適である。本発明の樹脂組成物を用いたメタノール容器は、剛性が高い為、超音波溶着性が良好である。
以下、実施例に基づき本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらの例によって限定されるものではない。実施例及び比較例において使用した成分は以下のものである。
(a−1)ポリプロピレン樹脂
ホモ−ポリプロピレン
融点=168℃、
メルトフローレート(MFR)=6.0g/10分(MFRは、ASTM D1238に準拠し、230℃、2.16kgの荷重で測定した。)
(a−2)無水マレイン酸変性ポリプロピレン
融点=163℃、MFR=100
(b)ポリフェニレンエーテル樹脂
極限粘度[η]が0.52(30℃、クロロホルム中)であるポリ2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル
(c)混和剤
ポリスチレン−水素添加されたポリブタジエン−ポリスチレンの構造を有し、結合スチレン量43%、数平均分子量98,000、分子量分布1.10、水素添加前のポリブタジエンの1,2−ビニル結合量が75%、ポリブタジエン部の水素添加率が99.9%の水添ブロック共重合体
(d)鱗片状ガラスフィラー(ガラスフレーク)
マイクログラスフレカREFG−313(日本板硝子社製)
(e)ガラス繊維
ECS03T−249(日本電気硝子社製)
[実施例1〜4、及び比較例1〜6]
表1に示す組成の各成分を温度250〜320℃、スクリュー回転数300rpmに設定した二軸押出機(ZSK−25:WERNER&PFLEIDERE社製)にて溶融混練し、燃料電池用メタノール容器用の樹脂組成物ペレットを得た。
このペレットを用いてシリンダー温度250℃、金型温度60℃にて射出成形を行い材料物性評価用のテストピースを作成した。
更にこのペレットを用いて、シリンダー温度240℃、金型温度40℃にてメタノール容器を模した箱形状(100×50×20mm、肉厚2mm)と蓋形状(100×50×20mm、肉厚2mm)の成形品を作成した。
得られた材料物性評価用のテストピース、及び燃料電池用メタノール容器を模した箱形状と蓋形状の成形品は、以下の方法により各種試験を行なった。評価結果を表1に示す。
(1)樹脂組成物の物性
1)メタノールバリア性
図1に示す状態にてカップ法試験を実施。(一般的に燃料透過性を試験する際に用いられているカップ法試験と同様の方法にて試験を実施した。カップの材質はアルミニウム。)
20日間放置後のメタノールの減少量測定を実施。
(サンプル肉厚2mm、メタノール量10g、試験雰囲気温度50℃)
2)曲げ弾性率
ASTM D−790に準拠して測定。(試験温度:23℃、70℃)
3)荷重たわみ温度
ASTM D−648に準拠して測定。(荷重:1.82MPa)
(2)メタノール容器を模した箱形状と蓋形状の成形品の評価
1)反り
成形品の反り状態について目視評価を実施し、以下の基準で評価した。
○:若干反りが発生している程度で箱と蓋の嵌合は容易に可能。
△:反りは発生しているが、箱と蓋の嵌合は可能。
×:大きな反りが発生しており、箱と蓋の嵌合可能が困難。
2)表面状態(表面平滑性)
成形品の表面状態について目視評価を実施し、以下の基準で評価した。
○:フィラー浮き等の表面荒れは殆ど確認できず、表面状態良好。
△:若干の表面荒れが確認できる。
×:明らかにフィラー浮きによる表面荒れ確認でき、表面状態不良。
Figure 2009224085
表1に示すように、本発明の成形品は、メタノールの減少量が非常に少なく、メタノールバリア性に非常に優れることが分かる。また常温剛性、熱時剛性にも優れ、更に成形品の反り、表面平滑性も良好であることも分かる。
また、実施例のメタノールバリア性試験で用いた平板にはクラック等の問題は発生しておらず、耐メタノール性にも優れていた。
一方、鱗片状ガラスフィラーを配合していない比較例1、2、及び鱗片状ガラスフィラーの配合量が少ない比較例5においては、実施例と比較してメタノールの減少量が多く、メタノールバリア性が悪くなっている。また成形品の反りも悪くなっている。
鱗片状ガラスフィラーの配合量が多い比較例6では、成形品の外観が悪くなっている。
ポリプロピレン樹脂の配合量が多く、ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量が少ない比較例3においては、メタノールバリア性は非常に良好であるが、熱時剛性、荷重たわみ温度が低くなってしまっており、逆にポリプロピレン樹脂の配合量が少なく、ポリフェニレンエーテル樹脂の配合量が多い比較例4においては、メタノールの減少量が多く、メタノールバリア性が悪くなっている。
本発明のメタノール容器(燃料カートリッジ)は、非常に優れたメタノールバリア性、耐メタノール性、熱時剛性、低反り性、及び表面外観を兼ね備えており、メタノールの容器(燃料カートリッジ)からのメタノールの減少が殆どなく、特に薄肉軽量な燃料電池用メタノール容器(燃料カートリッジ)の提供を可能とするものである。
実施例、比較例のメタノールバリア性評価(カップ法試験)に用いた治具、及び試験状態を示す図である。

Claims (4)

  1. (a)ポリプロピレン樹脂50〜80質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜40質量部、及び(c)混和剤5〜20質量部からなる樹脂組成物100質量部に対して、10〜50質量部の(d)鱗片状ガラスフィラーを配合してなる樹脂組成物にて構成されたことを特徴とするメタノール容器。
  2. (a)ポリプロピレン樹脂50〜80質量部、(b)ポリフェニレンエーテル樹脂10〜40質量部、及び(c)混和剤5〜20質量部からなる樹脂組成物100質量部に対して、(d)鱗片状ガラスフィラーと(e)ガラス繊維を合計量10〜50質量部配合してなる樹脂組成物にて構成されたことを特徴とするメタノール容器。
  3. (c)成分が水添スチレン−ブタジエンブロック共重合体である請求項1又は2に記載のメタノール容器。
  4. メタノール容器が燃料電池用メタノール容器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のメタノール容器。
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