JP3669746B2 - 多層構造を有する密閉型二次電池用電槽 - Google Patents

多層構造を有する密閉型二次電池用電槽 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉛蓄電池、アルカリ電池等の各種二次電池に適する部材に関する。更に詳しくは、耐温水透過性、耐ガス透過性、耐薬品性、剛性に優れる密閉形二次電池用電槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
移動機器用駆動源、コンピュータのデータバックアップのための電源、また太陽電池エネルギーの有効利用を目的とする、および環境保護の観点からの各種二次電池の用途が拡大されつつある。特に、自動車の内燃機関の所要電力を供給するために二次電池が多く使用されることは周知であるが、更には、内燃機関の代わりに二次電池そのものを駆動源とする、いわゆる電気自動車の開発も近年盛んに行われている。
【0003】
産業技術の発達に伴い、二次電池の需要は益々増加する傾向にあり、小型軽量、大電気容量の二次電池に対する要請が高まっている。
このような二次電池は、酸またはアルカリの電解質と電極とを収納する電槽が不可欠である。この電槽に要求される特性としては、強酸、アルカリに対する耐性(自動車用途の二次電池として使用される時は、更に耐ガソリン性、耐油性)や外部衝撃にも十分耐え得る耐衝撃性が要求される。
【0004】
更に、この電槽は、充電時の化学反応に伴う発熱や生成物、例えば水分や水素ガス等をも十分考慮したものでなければならない。
殊に、密閉型二次電池では、小形・軽量化の要請に適合させるために、電槽は、薄肉で、且つ耐熱性があり、充電時の内圧の上昇に耐え、長期間にわたって電解質の性状を適正に維持し得ることが必要となる。
【0005】
従来、電槽の材料はポリプロピレン樹脂、ゴム変性スチレン−アクリロニトリル共重合体の樹脂(以下ABS樹脂と略す)が多く採用されている。
しかし、ポリプロピレン樹脂は、成形時の流動性、耐温水透過性、耐ガス透過性に優れるものの、薄肉リブ構造の製品の射出成形において、成形収縮率が大きいために生じるヒケ等の表面欠陥や剛性、特に高温時の剛性(熱時剛性)を補う必要があるという問題点を有する。そのため、充電時に電槽内部の温度が上昇して内圧がかかった際の電槽の強度に対する考慮が必要となる。
【0006】
一方、ABS樹脂は、自動車用途においてガソリン、オイル(例えば、ブレーキオイル、防錆剤)に対する耐性の問題と温水透過性、ガス透過性が高いために長期間の使用には、電解質の性状を維持し、使用機器に必要な電流容量を確保する対応が求められる等の問題点を有する。
また、特開平6−203814号公報にポリフェニレンエーテル系樹脂とポリスチレン系樹脂との組成物からなる密閉形二次電池用電槽が開示されている。該樹脂組成物で成形された電槽は、ABS樹脂で成形された電槽と比べ、温水透過性、ガス透過性は低いが、さらに性能の改良が望まれることと、樹脂組成物の流動性が悪いため成形時に発生する成形歪や蓋を熱溶着する際に熱歪によるストレスクラックが発生する問題や、自動車用においてはABS樹脂同様、ガソリン、オイルに対する耐性に対して考慮しなければならないという問題が指摘されている。
【0007】
このように、従来の樹脂材料は、二次電池用電槽として各々問題を抱えており、成形性、剛性、耐温水透過性、耐ガス透過性、耐薬品性の全てを満足するものを得ることはできなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解消し、剛性に優れ、且つ長期間にわたって初期の電解質の性状の性能を発揮し得る耐温水透過性、耐ガス透過性、耐薬品性、高温時の耐圧に優れた二次電池用電槽を提供しようとする点にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、スキン層に結晶性ポリオレフィン樹脂、コア層にポリフェニレンエーテル樹脂、又は無機質充填剤を添加した結晶性ポリオレフィン樹脂、又は無機質充填剤を添加したポリフェニレンエーテル系樹脂、又は無機質充填剤を添加した結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂を主成分とする樹脂組成物で構成した多層構造を有する電槽からなる密閉型二次電池は優れた、外観、剛性、耐温水透過性、耐薬品性を有することを見い出し、本発明に至った。
【0010】
即ち、本発明は、スキン層とコア層との多層構造を有する密閉型二次電池用電槽において、上記スキン層が結晶性ポリオレフィン樹脂で構成され、上記コア層がポリフェニレンエーテル系樹脂、又は結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とからなるアロイ組成物、又は無機充填剤を配合した結晶性ポリオレフィン樹脂、又は無機充填剤を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂、又は無機充填剤を配合した結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とからなるアロイ組成物で構成されてなることを特徴とする多層構造を有する密閉型二次電池用電槽、である。
【0011】
また、コア層が無機質充填剤を配合した結晶性ポリオレフィン樹脂で構成されてなる多層構造を有する密閉型二次電池電槽、であり、また、コア層を無機質充填剤を配合した結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とからなるアロイ組成物で構成されてなる多層構造を有する密閉型二次電池電槽、であり、また、コア層がポリフェニレンエーテル系樹脂、又はポリフェニレンエーテル系樹脂と接着層とにより構成されてなる多層構造を有する密閉型二次電池電槽、であり、さらに、コア層が無機質充填剤を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂、又は無機質充填剤を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂と接着層とにより構成されてなる多層構造を有する密閉型二次電池電槽、である。
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で述べる結晶性ポリオレフィン樹脂は、通常の成形材料として用いられる樹脂であり、重量平均分子量が20000以上であるものが好ましく、さらに好ましくは30000以上のものである。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、およびプロピレンを主成分とする共重合体、エチレンを主成分とする共重合体をいい、結晶性ポリオレフィン樹脂とは、ポリプロピレンについてはアイソタック指数が90以上であることが好ましく、さらに好ましくは95以上の樹脂をいい、ポリエチレンについては、密度が0.92以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.94以上の樹脂をいう。プロピレンを主成分とする共重合体の成分は、エチレン、ブテン−1、ヘキセン、オクテン、4メチルペンテン−1から選ばれる。エチレンを主成分とする共重合体の成分は、エチレンを除く上記成分から選ばれる。
【0013】
これらの結晶性ポリオレフィン樹脂のうち、好ましいのはポリプロピレン、プロピレン・エチレンブロック共重合体であり、剛性付与、高温クリープの観点から、造核剤を添加して結晶化度を上げたものは更に好ましい。造核剤としては、有機系、無機系化合物が挙げられ、これらの中で更にリン系、アルミ系、ソルビトール系造核剤等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0014】
本発明で述べるポリフェニレンエーテル系樹脂(以下PPE系樹脂と略す)は、ポリフェニレンエーテル樹脂(以下PPE樹脂と略す)単独、またはPPE樹脂5〜95重量%とポリスチレン系樹脂(以下PS系樹脂と略す)95〜5重量%を含んだ樹脂組成物である。
本発明に用いられるPPE樹脂は、下記の化1に示される構成単位から成り、還元粘度(0.5g/dl、クロロホルム溶液、30℃測定)が0.15〜0.8の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜0.7の範囲にある単独重合体、あるいは共重合体が使用できる。
【0015】
【化1】
Figure 0003669746
【0016】
(R1、R2、R3およびR4は、それぞれ水素、ハロゲン、炭素1〜7までの第一級または第二級低級アルキル基、フェニル基、ハロアルキル基、アミノアルキル基、炭化水素オキシ基および少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子とを隔てているハロ炭化水素オキシ基からなる群から選択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよい。)
PPE樹脂の単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)が挙げられ、更に2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6,−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6,−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)がより好ましい。
【0017】
本発明で用いるPPE樹脂の製造方法は、公知の方法で得られるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、米国特許第3306874号明細書、同第3306875号明細書、同第3257357号明細書、同第3257358号明細書、特公昭52−17880号公報、特開昭50−51197号公報、同63−152628号公報等に記載された方法を挙げることができる。
【0018】
また、本発明で用いるPPE樹脂は、前記したPPE樹脂の他に、該PPE樹脂とα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体とをラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶解状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる変性PPE樹脂(0.01〜10重量%がグラフトまたは付加)であってもよく、更に前記したPPE樹脂と変性PPE樹脂の任意の割合での混合物であってもよい。
【0019】
本発明で用いられるPS系樹脂とは、一般にビニル芳香族重合体、ゴム変性芳香族重合体のことである。
ビニル芳香族重合体としては、スチレンのほか、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン等の核アルキル置換スチレン、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレンなどのα−アルキル置換スチレン等の重合体、及びこれら1種以上と他のビニル化合物の少なくとも1種以上との共重合体、これら2種以上の共重合体が挙げられる。ビニル芳香族化合物との共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類、無水マレイン酸等の酸無水物などが挙げられる。これらの重合体の中で特に好ましい重合体は、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)である。
【0020】
また、ゴム変性ビニル芳香共重合体に用いるゴムとしては、ポリブタジェン、スチレン−ブタジェン共重合体、ポリイソプレン、ブタジェン−イソプレン共重合体、天然ゴム、エチレン−プロピレン共重合体などを挙げることができる。
特に、ポリブタジェン、スチレン−ブタジェン共重合体が好ましく、ゴム変性芳香族重合体としては、ゴム変性ポリスチレン(HIPS)、ABS樹脂が好ましい。
【0021】
本発明に用いられるPPE系樹脂に耐衝撃性の向上を目的として熱可塑性エラストマーを含有させることができる。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、熱可塑性ウレタンエラストマー、フッ素エラストマーが挙げられる。
【0022】
本発明で多層構造とは、製品の表裏の表面全体を覆う外層のスキン層と、この外層の内側にあって表面を構成しない内層のコア層とからなる三層以上の構造のものをいい、表裏の外層、内層はいずれも単層であっても二層以上であってもかまわない。
本発明の多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、多層構造で構成してなるが、外層のスキン層が均一に製品の表面全体を覆い、且つ内層のコア層がが均一に製品最末端まで充填され、且つスキン層とコア層の両者に十分な密着強度がある態様が最も好ましい。
【0023】
コア層が製品の表面に露出したり、コア層の充填が不十分であったり、両者の密着強度が不十分であったりした場合、例えば、耐薬品性、機械的強度、耐温水透過性、耐ガス透過性に問題が発生して密閉形二次電池用電槽の機能を十分に満足できなくなるので好ましくない。
本発明の多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、スキン層とコア層の肉厚比が、構成される樹脂の組合せによって異なり、スキン層が結晶性ポリオレフィン樹脂、コア層がPPE系樹脂の組合せにおいては、耐温水透過性、耐ガス透過性の観点から、スキン層は厚めが好ましい。表裏スキン層の合計肉厚とコア層の肉厚の比(表裏スキン層の合計肉厚をコア層の肉厚で除した値)は、およそ0.1〜4であることが好ましく、さらに好ましくは0.2〜3である。この値は密閉型二次電池に要求される性能バランスにより決定される。
【0024】
又、スキン層が結晶性ポリオレフィン樹脂、コア層がPPE系樹脂からなる本発明の多層構造を有する密閉型二次電池用電槽おいては、結晶性ポリオレフィン樹脂とPPE系樹脂との密着強度が不十分のため、それぞれのスキン層とコア層との間に接着層を介在せしめた多層構造とするのが好ましい。接着層に用いる樹脂としては、例えば、後述する結晶性ポリオレフィン樹脂とPPE系樹脂とを主成分とする樹脂組成物に用いられる相溶化剤が好ましい。
【0025】
スキン層が結晶性ポリオレフィン樹脂、コア層が無機質充填剤を添加した結晶性ポリオレフィン樹脂、又は無機質充填剤を添加したPPE系樹脂、又は無機質を添加した結晶性ポリオレフィン樹脂とPPE系樹脂とからなるアロイ樹脂組成物の組合せにおけるスキン層とコア層の肉厚比は、同じく耐温水透過性、耐ガス透過性の観点から、厚めのコア層である構造が好ましい。表裏スキン層の合計肉厚とコア層の肉厚の比(表裏スキン層の合計肉厚をコア層の肉厚で除した値)は、1以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.5以下ある。
【0026】
本発明の多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、熱時剛性、高温クリープ特性、寸法安定性、耐温水透過性、耐ガス透過性の向上を目的としてコア層に無機質充填剤を添加する。耐温水透過性、耐ガス透過性向上の観点から、無機質充填剤は鱗片状(フレーク状)の形態が好ましい。例えばガラスフレーク、マイカ等が好ましい。又、無機質充填剤は樹脂との密着性がよいものが好ましく、シランカップリング剤等の表面処理を施したものが好ましい。無機質充填剤の選定にあたっては密閉型二次電池に用いられる電解液に対する耐性を考慮することが好ましい。
【0027】
本発明の多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、要求される性能によってコア層に添加する無機質充填剤の添加量が決定されるが、無機質充填剤はおよそ5〜30重量%であることが好ましく、さらに好ましくは10〜20重量%である。5重量%未満では、耐温水透過性、耐ガス透過性の改良が不十分であり、30重量%を超えると耐衝撃性、靭性が不十分となる。
【0028】
スキン層が結晶性ポリオレフィン樹脂、コア層が無機質充填剤を添加したPPE系樹脂の組合せにおいては、前述のスキン層が結晶性ポリオレフィン樹脂、コア層がPPE系樹脂の組合せと同様に、両者の密着強度を向上されるため、接着層を介在せしめることが好ましい。接着層には前述と同様の樹脂を用いることができる。
【0029】
コア層に用いる無機質充填剤を添加した結晶性ポリオレフィン樹脂とPPE系樹脂とを主成分とするアロイ樹脂組成物は、結晶性ポリオレフィンがマトリックス相(海)、PPE系樹脂が分散相(島)を形成し、且つ該分散相の粒径が小さく均一に分散している形態のものが好ましい。結晶性ポリオレフィン樹脂にPPE系樹脂を均一に分散させるには、両者の相溶性を良くするするために相溶化剤の添加が必須である。
【0030】
相溶化剤としては、例えば、▲1▼スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体等およびこれらの水素添加物が挙げられ、中でもスチレン−ブタジェン共重合体の水素添加物が好ましく、あるいは▲2▼ポリオレフィン樹脂とPPE樹脂又はPS系樹脂とを化学反応させて得られるグラフト又はブロックポリマーも好ましい。また、必要により、例えば、スチレン−ブタジェン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、およびこれらの水素添加物等に、α、β−不飽和カルボン酸またはその誘導体をラジカル発生剤の存在下、非存在下で溶融状態、溶解状態、スラリー状態で80〜350℃の温度下で反応させることによって得られる変性共重合体であってもよく、更には、上記未変性共重合体および変性共重合体との混合物であってもよい。ここで供することができる相溶化剤に用いるポリマーの分子量には特に制限はないが、スチレン部の分子量は少なくとも5000(重量平均分子量)であることが好ましく、ブタジェンを共重合する場合のブタジェンの1,2−ビニル結合は2〜80%であることが好ましい。この相溶化剤は、上記した共重合体を少なくとも一種を含み、更にその配合量はおよそ0.1〜30重量%の範囲であることが好ましく、配合量は、剛性向上の観点から相溶に必要な最小量が好ましい。
【0031】
これらの相溶化剤は、前述のスキン層が結晶ポリオレフィン樹脂で、コア層がPPE系樹脂の組合せにおける接着層の材料としても良好に使用できる。
結晶性ポリオレフィン樹脂とPPE系樹脂との比率は,海島構造の樹脂組成物のモルフォロジーにおいて、マトリックス相(海)が結晶性ポリオレフィン樹脂、分散相(島)がPPE系樹脂となる比率が好ましく、剛性の向上の観点からは結晶性ポリオレフィン樹脂がマトリックス相となり得る相転移点近傍の比率が好ましい。結晶性ポリオレフィン樹脂とPPE系樹脂との樹脂重量成分比率は、1対3〜3対1であることが好ましく、さらに好ましくは1対2〜3対1、特に好ましくは1対1〜2対1である。
【0032】
難燃性が要求される用途には、スキン層及び/又はコア層を形成する樹脂組成物に、所望に応じて難燃剤を配合することができる。例えば、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(クロロピル)ホスフェート、デカブロモフェニルオキシド、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモベンゼン、ヘキサブロモシクロドデカン、パークロロシクロドデカン等のハロゲン化合物、または、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、1,3−ビス(ジフェニルフォスフェノ)ベンゼン、ビスフェノールA・ポリクレジルホスフェート、ビスフェノールA・ポリ(2,6−キシレニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ポリフェニルホスフェート等を単一もしくは二種以上を併用して使用することができる。
【0033】
その他、本発明の課題を損なわない範囲でスキン層及び/又はコア層を形成する樹脂組成物に種々の添加剤、例えば流動性改良剤、可塑剤、離型剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、金属不活性化剤、着色剤等を添加することができる。
本発明の多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、複合射出成形機を用い、スキン層、コア層を所望の形態で均一に成形するできる射出成形法、或いは多層押出成形機を用いブロー成形する方法、或いは多層押出成形機を用い多層シートを成形した後、多層シートを真空成形や圧空成形で製品を賦形する方法等によって製造することが出来る。
【0034】
さらに、また、成形方法は製品デザイン等を加味して決定する。
射出成形法の場合、成形の際、金型に断熱層を被覆したり、金型を高周波誘電加熱等を施して、成形の際、樹脂が接触する金型表面を一時的に高温にしたり、冷却を遅延させると成形品表面の結晶性ポリオレフィンの結晶化度があがり、耐薬品性、耐温水透過性、耐ガス透過性が向上するので更に好ましい。
【0035】
本発明の、スキン層を結晶性ポリオレフィン樹脂、コア層をポリフェニレンエーテル系樹脂で構成してなる多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、スキン層が良外観、耐薬品性、耐温水透過性、耐ガス透過性の機能を付与し、コア層が熱時剛性の機能を付与することを特徴とする熱時剛性、耐温水透過性、耐ガス透過性に優れたものである。
【0036】
また、本発明の、スキン層を結晶性ポリオレフィン樹脂、コア層を無機質充填剤を添加した結晶性ポリオレフィン樹脂、又は無機質充填剤を添加したポリフェニレンエーテル系樹脂、又は無機質充填剤を添加した結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル樹脂を主成分とする樹脂組成物で構成してなる多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、スキン層が良外観、耐薬品性の機能を付与し、コア層で熱時剛性、耐温水透過性、耐ガス透過性の機能を付与することを特徴とする熱時剛性、耐温水透過性、耐ガス透過性に優れたものである。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
実施例に用いた材料を表1に、樹脂組成と試験結果とを表2、表3、表4に示す。
【0038】
物性の評価は、多層押出機を用い板厚0.3mmと2.0mmの多層シート及び単層シートを作成し、下記により評価した。
(1)外観:肉眼で評価した。
(2)耐薬品性:板厚2.0mmの多層シート、及び単層シートの表面を30%KOH水溶液にさらし、一ケ月後、シート表面を観察した。
【0039】
更に、物性劣化の評価としてアイゾット衝撃強さを測定した。
(3)曲げ弾性率:板厚2.0mmの多層シート、及び単層シートから幅25mm、長さ50mmの試験片を切り取り、雰囲気温度23℃、70℃、支持スパン25mm、試験速度1.0mm/minで測定した。(JIS−K7203に準拠)
(4)アイゾット衝撃強さ:板厚2.0mmの多層シート及び単層シートから幅12.7mm、長さ64mmの試験片を切り取り、ノッチを入れて測定した。(JIS−K7110に準拠)
(5)透湿度:板厚0.3mmの多層シート及び単層シートを用いて測定した。
【0040】
JIS−K7129B(赤センサー法)に準拠し、試験温度40±5℃、相対湿度差100%で、24時間に面積50cm2当たり試料を透過する水蒸気のg数で示す。
(6)H2ガス透過率:板厚0.3mmの多層シート、及び単層シートを用いて 測定した。JIS−K7126A(差圧法)に準拠し、試験温度40±5℃、試験圧力760mmHgで、24時間に面積38.46cm2当たり試料を透過するガス量をcm3で示す。
【0041】
【実施例1〜4および比較例1〜3】
表1に示す材料を用い、表2の樹脂組成物をつくり、表3の層構成で、サンプルを作成した。樹脂組成物は二軸押出機(ウェルナー社製、商品名、ZSK−40)を用いてペレットを作成した。物性の測定結果を表4に示す。
実施例1、2について射出成形性をみるために複合射出成形機(日精樹脂工業(株)製、商品名、FS−80S12ASED)を用い、板厚2.0mm、100mmφの多層成形品の成形試験を行った。多層押出シートと同様の均一な層形態を得ることができた。
【0042】
実施例1〜4の多層構造体は、比較例1の単層構造体と比べ、外観、耐薬品性に優れ、比較例2の単層構造体と比べ、外観、耐薬品性、耐透湿性、耐ガス透過性に優れ、比較例3の単層構造体と比べ、外観、耐透湿性、耐ガス透過性、熱時剛性に優れることが分かる。
【0043】
【表1】
Figure 0003669746
【0044】
【表2】
Figure 0003669746
【0045】
【表3】
Figure 0003669746
【0046】
【表4】
Figure 0003669746
【0047】
【発明の効果】
本発明の多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、従来のものに比べて、二次電池用電槽に要求される主要特性の、外観、耐薬品性、熱時剛性、耐温水透過性、耐ガス透過性の性能に優れている。
本発明の多層構造を有する密閉型二次電池用電槽は、二次電池に要求される厳しい性能を満たすものであり、二次電池の小型化、高機能化に応えるものである。

Claims (5)

  1. スキン層とコア層との多層構造を有する密閉型二次電池用電槽において、上記スキン層が結晶性ポリオレフィン樹脂で構成され、上記コア層がポリフェニレンエーテル系樹脂、又は結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とからなるアロイ組成物、又は無機充填剤を配合した結晶性ポリオレフィン樹脂、又は無機充填剤を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂、又は無機充填剤を配合した結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とからなるアロイ組成物で構成されてなることを特徴とする多層構造を有する密閉型二次電池用電槽。
  2. コア層が無機質充填剤を配合した結晶性ポリオレフィン樹脂で構成されてなることを特徴とする請求項1記載の多層構造を有する密閉型二次電池電槽。
  3. コア層が無機質充填剤を配合した結晶性ポリオレフィン樹脂とポリフェニレンエーテル系樹脂とからなるアロイ組成物で構成されてなることを特徴とする請求項1記載の多層構造を有する密閉型二次電池電槽。
  4. コア層がポリフェニレンエーテル系樹脂、又はポリフェニレンエーテル系樹脂と接着層とにより構成されてなることを特徴とする請求項1記載の多層構造を有する密閉型二次電池電槽。
  5. コア層が無機質充填剤を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂、又は無機質充填剤を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂と接着層とにより構成されてなることを特徴とする請求項1記載の多層構造を有する密閉型二次電池電槽。
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