JP4150114B2 - アレスタの動作開始電圧測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アレスタの動作開始電圧測定方法に係り、特に、アレスタを用いた防食層保護装置の劣化を検出するのに最適なアレスタの動作開始電圧測定方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力ケーブル線路では、その使用中に雷撃による雷サージや遮断器操作等による開閉サージ等のサージ性異常電圧が発生することがある。この電力ケーブル線路に侵入したサージからケーブル防食層及び接続部の絶縁筒を保護するために、防食層保護装置が使用されている。この防食層保護装置としては、近年、アレスタが使用されている。
【0003】
このアレスタを用いた防食層保護装置を、例えば図5に示すような片端接地方式の電力ケーブル50に用いるには、防食層保護装置52の一端を電力ケーブル50のシース回路51に接続させ、他端を接地させる。これにより、サージによる一定以上の異常電圧が電力ケーブル50に発生すると、アレスタの放電が始まり、この放電電流が大地に流れるので、異常電圧を抑制することができる。
【0004】
このようなアレスタには、電圧がある値以上になると急速に抵抗値が減少する非直線性の抵抗体である酸化亜鉛素子が用いられている。この酸化亜鉛素子は、サージ電流の影響等により劣化すると、その動作開始電圧が低下することが知られている。この点に着目して、酸化亜鉛型のアレスタの劣化検出方法の一つとして動作開始電圧を測定し、その初期値との差に基づいてアレスタの劣化を検出する方法が実用化されている。具体的には、動作開始電圧が初期値から10%程度低下した時期を、アレスタの交換時期の目安としている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アレスタの動作開始電圧の測定には数Kvの直流電圧をアレスタ自体に印加しなければならないので、シース回路と、ケーブルヘッドや普通接続部の接地線とによって直流的には両端とも接地状態になっているアレスタを、布設状態のまま、即ち、電力ケーブルのシース回路に接続したままの状態ではアレスタの動作開始電圧を測定することができないという難点があった。
【0006】
本発明はこのような従来の難点を解決するためになされたもので、アレスタを電力ケーブルのシース回路に接続したままの状態で、当該アレスタの動作開始電圧を測定することができるアレスタの動作開始電圧測定方法を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するため、本発明のうち請求項1記載の発明は、一端が電力ケーブルのシース回路に接続され他端が接地され、且つ何れか一方の端部には線路開閉手段が直列接続されているアレスタの動作開始電圧測定方法であって、線路開閉手段にアレスタの動作開始電圧を測定する測定手段を並列接続し、当該線路開閉手段を開成した後、測定手段から線路開閉手段の両端に高電圧を印加してアレスタの動作開始電圧を測定するものである。
【0008】
このようなアレスタの動作開始電圧測定方法によれば、電力ケーブルのシース回路および大地間に接続されるアレスタに線路開閉手段が直列接続されていることから、当該線路開閉手段を開成すればアレスタの一端のみが接地する状態にできるので、測定手段から線路開閉手段の両端に高電圧を印加することができる。したがって、アレスタをシース回路に接続したままの状態で動作開始電圧を測定することができる。
【0009】
なお、線路開閉手段をアレスタに接続するのは、当該アレスタの接地側または非接地側の何れの側でもよいが、請求項2記載の発明のようにアレスタの接地側に接続すれば、線路開閉手段の開閉時に線路にサージが侵入したり、あるいは地絡電流が流れたとしても線路開閉手段部の電圧を低く保つことができるので、作業者への悪影響を少なくすることができる。
【0010】
また、請求項3記載の発明は、絶縁筒を介して接続された電力ケーブルの一方のシース回路に一端が接続され、電力ケーブルの他方のシース回路に他端が接続され、且つ何れか一方の端部には線路開閉手段が直列接続されているアレスタの動作開始電圧測定方法であって、線路開閉手段にアレスタの動作開始電圧を測定する測定手段を並列接続し、線路開閉手段を開成した後、測定手段から線路開閉手段の両端に高電圧を印加してアレスタの動作開始電圧を測定するものである。
【0011】
このようなアレスタの動作開始電圧測定方法によれば、絶縁筒を介して接続された電力ケーブルの一方のシース回路および他方のシース回路間に接続されるアレスタに線路開閉手段が直列接続されていることから、当該線路開閉手段を開成すればアレスタの一端のみが接地する状態にできるので、測定手段から線路開閉手段の両端に高電圧を印加することができる。したがって、アレスタをシース回路に接続したままの状態で動作開始電圧を測定することができる。
【0012】
また、線路開閉手段は、コネクタ、リレー等、電気的な接離を行なうことができる手段のすべてをいうが、コストや浸水を考慮すると、請求項4記載の発明のように防水型コネクタが好適である。
さらに、請求項5記載の発明のように線路開閉手段や防水型コネクタに保護ギャップを並列接続することにより、アレスタの動作開始電圧測定時にサージが侵入した場合でも、回路上直列ギャップ付のアレスタとなっているので、ケーブル防食層や絶縁筒を保護することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアレスタの動作開始電圧測定方法の実施の形態の例を添付図面に基づいて説明する。なお、 図1乃至図4は、本発明の方法を用いた異なる実施の形態を説明するための模式的な回路図である。
図1は片端接地方式の例を示す図で、電力ケーブル1のシース回路2には、酸化亜鉛型のアレスタを用いた防食層保護装置3の一端が接続され、この防食層保護装置3の他端には線路開閉手段である防水型コネクタ4の一方が直列接続され、この防水型コネクタ4の他方は接地されている。
【0014】
このような構成において、防食層保護装置3を構成するアレスタの動作開始電圧を測定するために、まず、測定手段である既知の動作開始電圧測定装置5を防水型コネクタ4に並列接続する。そして、防水型コネクタ4を開成、即ち、電気的に切り離し、動作開始電圧測定装置5から防水型コネクタ4の両端に直流高電圧を印加して、アレスタの動作開始電圧を測定する。この動作開始電圧の測定値と、その初期値との差に基づいてアレスタの劣化を検出する。
【0015】
アレスタの動作開始電圧の測定後は、防水型コネクタ4を再接続して動作開始電圧測定装置5を取り外す。なお、動作開始電圧測定装置5には、アレスタの動作開始電圧測定時にサージが侵入した場合でも、回路上直列ギャップ付のアレスタとなるように、保護ギャップ6が接続されている。これにより、電力ケーブル1の防食層や絶縁筒を保護することができる。
【0016】
また、他の実施の一形態である図2は、GIS接続終端部の例を示す図で、電力ケーブル1の終端部においては、そのシース回路2は絶縁筒10で長さ方向に電気的に分離されており、その分離されたシース回路2,2間には、上述の防食層保護装置3及び防水型コネクタ4が直列に接続されている。
また、他の実施の一形態である図3は、防食層保護装置3が絶縁接続部に片側接地で取付けられた例を示す図で、電力ケーブル1のシース回路2は、絶縁接続部を構成する絶縁筒11で長さ方向に電気的に分離されており、その分離された一方のシース回路2には、上述の防食層保護装置3及び防水型コネクタ4が直列に接続され、この防水型コネクタ4の一方は接地されている。
【0017】
さらに、他の実施の一形態である図4は、防食層保護装置3が絶縁接続部の絶縁筒11に橋絡方式で取付けられた例を示す図で、電力ケーブル1のシース回路2は、絶縁接続部を構成する絶縁筒11で長さ方向に電気的に分離されており、その分離されたシース回路2,2間には、上述の防食層保護装置3及び防水型コネクタ4が直列に接続されている。
【0018】
このような図2乃至図4に示す各回路に適用された防食層保護装置3を構成するアレスタの動作開始電圧を測定する場合には、上述した図1に示した実施の一形態と同様に動作開始電圧測定装置5を防水型コネクタ4に並列に接続する。そして、防水型コネクタ4を電気的に切り離し、動作開始電圧測定装置5から防水型コネクタ4の両端に直流高電圧を印加して、アレスタの動作開始電圧を測定する。この動作開始電圧の測定値と、その初期値との差に基づいてアレスタの劣化を検出する。
【0019】
以上説明したように、図1乃至図4に示す実施の形態によれば、防食層保護装置3の一端のみが接地している状態となるため、当該防食層保護装置3を電力ケーブル1のシース回路2に接続したままの状態で、アレスタの動作開始電圧を測定することができる。したがって、アレスタの劣化を電力ケーブル1のシース回路2に接続したままの状態で検出することができる。しかも、これらは線路を停止することなく行なうことができる。
【0020】
また、線路開閉手段として防水型コネクタ4を用いているため、コスト面で有利であり、しかも浸水にも対応できる。
さらに、図1及び図3に示す実施の形態によれば、防水型コネクタ4の接離作業中に線路にサージが侵入したり、あるいは地絡電流が流れたとしても、防水型コネクタ4が防食層保護装置3の接地側に接続されていることから、防水型コネクタ4部の電圧を低く保つことができるため、作業者への悪影響を少なくすることができる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1乃至5に記載の発明によれば、電力ケーブルのシース回路に接続したままの状態で、アレスタの動作開始電圧を測定することができるため、アレスタの劣化を電力ケーブルのシース回路に接続したままの状態で検出することができる。しかも、これらは線路を停止することなく行なうことができる。
【0022】
また、請求項2に記載の発明によれば、線路開閉手段の開閉時に線路にサージが侵入したり、あるいは地絡電流が流れたとしても線路開閉手段部の電圧を低く保つことができるため、作業者への悪影響を少なくすることができる。
また、請求項4に記載の発明によれば、コスト面で有利であり、しかも浸水にも対応できる。
【0023】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、アレスタの動作開始電圧測定時にサージが侵入した場合でも回路上直列ギャップ付のアレスタとなっているため、ケーブル防食層や絶縁筒を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のアレスタの動作開始電圧測定方法の実施の一形態を示す回路図。
【図2】本発明のアレスタの動作開始電圧測定方法の他の実施の一形態を示す回路図。
【図3】本発明のアレスタの動作開始電圧測定方法の他の実施の一形態を示す回路図。
【図4】本発明のアレスタの動作開始電圧測定方法の他の実施の一形態を示す回路図。
【図5】従来のアレスタの取付状態を示す回路図。
【符号の説明】
1・・・・・電力ケーブル
2・・・・・シース回路
3・・・・・アレスタ(防食層保護装置)
4・・・・・線路開閉手段(防水型コネクタ)
5・・・・・動作開始電圧測定装置(測定手段)
6・・・・・保護ギャップ
10,11・・・・・絶縁筒
Claims (5)
- 一端が電力ケーブルのシース回路に接続され他端が接地され、且つ何れか一方の前記端部には線路開閉手段が直列接続されているアレスタの動作開始電圧測定方法であって、
前記線路開閉手段に前記アレスタの動作開始電圧を測定する測定手段を並列接続し、前記当該線路開閉手段を開成した後、前記測定手段から前記線路開閉手段の両端に高電圧を印加して前記アレスタの動作開始電圧を測定することを特徴とするアレスタの動作開始電圧測定方法。 - 前記線路開閉手段は、アレスタの接地側に接続されていることを特徴とする請求項1記載のアレスタの動作開始電圧測定方法。
- 絶縁筒を介して接続された電力ケーブルの一方のシース回路に一端が接続され、前記電力ケーブルの他方のシース回路に他端が接続され、且つ何れか一方の前記端部には線路開閉手段が直列接続されているアレスタの動作開始電圧測定方法であって、
前記線路開閉手段に前記アレスタの動作開始電圧を測定する測定手段を並列接続し、前記線路開閉手段を開成した後、前記測定手段から前記線路開閉手段の両端に高電圧を印加して前記アレスタの動作開始電圧を測定することを特徴とするアレスタの動作開始電圧測定方法。 - 前記線路開閉手段が防水型コネクタであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載のアレスタの動作開始電圧測定方法。
- 前記線路開閉手段に保護ギャップを並列接続したことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載のアレスタの動作開始電圧測定方法。
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