JPS645774Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は絶縁電線を使用した送配電線路におい
て、雷せん絡に伴うACの続流を制限或いは遮断
して断線や碍子の損傷をなくし、線路を守るとと
もに地絡時に自力で絶縁を回復して停電させない
ようにした限流要素付碍子装置に関するものであ
る。

従来、絶縁電線を使用した送配電線路に雷サー
ジによる衝撃大電圧が加わり、電線の絶縁被覆が
貫通破壊されて碍子部でフラツシユオーバを生じ
ると、これに伴うACの続流アークにより電線が
溶断されたり、碍子が損傷されるなどの被害が発
生していた。また、断線に至らなくても碍子に自
力で絶縁を回復する能力がなく変電所で地絡リレ
ーや機器が作動して続流を遮断するので線路が停
電になるなどの問題があつた。そこで、特開昭55
−136412号公報記載の発明のように、クランプト
ツプ碍子のキヤツプ金具に取付けられた課電側ア
ーキングホーンに電圧電流特性が非直線性の材料
よりなる限流素子を内蔵した限流要素を介在させ
て雷せん絡に伴う続流を制限或いは遮断し、断線
や碍子の損傷を防ぐとともに碍子装置が自力で絶
縁を回復して線路を停電させないなどの効果を発
揮するようにしたものも知られているが、この発
明では電線をクランプし且つ課電側アーキングホ
ーンと接続するため、絶縁被覆を剥ぎ取ることが
必要になり、このため電線のクランプ部やキヤツ
プ金具などの課電部分には感電防止のために絶縁
カバーを装着することが必要になり、従つて、装
柱工事に時間がかかり、また、絶縁カバーを装着
すると鳥類が昆虫捕食のためくちばしでつついて
自身を媒体として地絡させるいわゆる鳥害を誘発
させたり、絶縁カバーの内部へ雨水が侵入して芯
線を応力腐蝕させる惧れなどがあつた。また、ラ
イン側アーキングホーンに介在させる限流要素
は、外縁部の絶縁被覆などで大形となり、碍子周
辺の空間をせばめることになつて冬期の積雪の凍
結付着量が過大になつたり、線路の点検や補修作
業で作業者が触れるなどして限流要素へ不可測な
外力を与え、破損したり劣化させたりするなどの
問題もあつた。

本考案は前記のような問題点を解決した限流要
素付碍子装置を目的として完成されたもので、以
下、本考案を図示の実施例について詳細に説明す
る。

１はタイトツプ型の碍子本体で、該碍子本体１
の接地側端部にはピン金具３付のベース金具２が
固着されて該碍子本体１はこのピン金具をもつて
接地金具４に取付けられる。また、碍子本体１の
頭部１ｂの周面には電線受け溝１ａが設けられて
被覆電線８は絶縁被覆８ｂを剥ぎ取ることなくそ
のままこの電線受け溝１ａに介入され、バインド
線９をもつて頭部１ｂに固定支持される。５は電
圧電流特性が非直線性の材料よりなる限流素子５
ａを内蔵した限流要素で、この限流要素５と絶縁
筒体６は前記ベース金具２の背面側において相互
間に接地金具４を介在させてピン金具３に嵌装し
て直列に配設固定されている。さらに、ピン金具
３を接地金具４より電気的に絶縁隔離するため
に、少なくともピン金具３と接地金具４との間に
合成樹脂あるいは磁器等の絶縁体層７を介在させ
てある。また、限流要素５は第２図に示すよう
に、炭化硅素や酸化亜鉛などの電圧電流特性が非
直線性の材料よりなる円筒状の主体の両端面部に
被膜電極５ｂ，５ｂを金属溶射法などにより形成
した限流素子５ａの両端に金属製の接続電極５
ｃ，５ｃを配設し、この接続電極の接触面を残し
て外周部を複数個のひだを備えたゴムまたは弾性
に富む合成樹脂等の絶縁套体５ｄをもつて包蔵、
密封し、さらに限流素子５ａの内腔部に接着剤層
５ｅを介して絶縁体層７を形成したもので、他
方、限流要素５と接地金具４を挾んで対設される
絶縁筒体６は外周に複数個のひだを備えた磁器ま
たは合成樹脂などよりなるものである。なお、限
流素子５ａの両端面に取付けられる金属製の接続
電極５ｃ，５ｃは限流要素５の端面に被着された
被膜電極５ｂ，５ｂとベース金具２および接地金
具４との電気的接触を確実なものとするものであ
つて、その取付方法は限流素子５ａの端面に導電
性の接着剤などで固着しておくか、碍子装置への
取付けの際に挿入するようにすればよく、また、
この接続電極５ｃ，５ｃはその表面を第２図図示
のように限流素子５ａを包蔵する絶縁套体５ｄの
開口端面よりも内部に埋め込まれたものとしてお
けば、絶縁套体５ｄの両端はベース金具２と接地
金具４の平担面の間で接続電極５ｃ，５ｃが完全
に接触するまで締付け圧縮されるのでその締め代
が丁度パツキンとして働き、接合部の気密性を高
めることができ、その結果、絶縁套体５ｄの内部
への浸水が防止できるので好ましい。なお、図中
１０は金属座金、１１はバネ座金、１２はナツ
ト、１３はベース金具２から絶縁電線８またはバ
インド線９に対向させて所要の気中間隙を隔てて
張設したアース側アーキングホーンであつて、こ
の気中間隙は線路の開閉などにともなう通常の過
電圧に耐える距離以上を確保し、線路機器との絶
縁協調や雷せん絡時の招弧性などを考慮して設定
すればよい。また、上記の実施例においては、限
流要素５を碍子本体１に固着されたベース金具２
の直下に設け、その下に接地金具４を挾んで絶縁
筒体６を配設するようにしたが限流要素５と絶縁
筒体６の配置を入れ換えてもよく、さらにまた、
絶縁筒体６および絶縁体層７の絶縁距離および厚
さは限流素子５ａの放電時の制限電圧以上に耐え
る設計にすればよい。

このように構成されたものは、雷サージにより
線路に衝撃大電圧が加わつて電線の絶縁被覆８ｂ
が貫通破壊されると放電は芯線８ａまたはバイン
ド線９より発し、気中間隙を経てアース側のアー
キングホーン１３へ捕捉されるが、本考案ではピ
ン金具３と接地金具４とが絶縁体層７で絶縁隔離
され且つ接地金具４は限流要素５と絶縁筒体６間
に介在されているため、ピン金具３付のベース金
具２、限流要素５、接地金具４の経路により大地
へ放出される。しかるにこの通電経路に介在する
限流要素５の限流素子５ａはその電圧電流特性の
非直線性の材料よりなるものであるから、雷サー
ジなどの衝撃大電圧が加わると限流素子５ａはそ
の抵抗値を減じて大電流を通し、大電圧の削滅後
は線路電圧を負担するが線路電圧ではその抵抗値
を回復するので続流の放電は直ちに制限、遮断さ
れ、従つて、碍子装置はすみやかに絶縁を回復す
る。従つて、続流のアークは発生せず、断線や碍
子損傷などの被害は確実に防止され、また、衝撃
大電圧の放電後は碍子装置が瞬時に絶縁を回復す
るので、変電所では地絡リレーや機器が作動せ
ず、線路の停電がさけられる。しかも、電圧電流
が非直線性の材料よりなる筒状の限流素子５ａを
内蔵した限流要素５を碍子本体の直下のベース金
具２の背面側に配設するとともにピン金具３と接
地金具４とを絶縁体層７でもつて電気的に絶縁隔
離したから、従来の課電側に限流要素を用いたも
のに比べ、電線の絶縁被覆８ｂを剥ぎ取つたり絶
縁カバーを装着する必要がなくて装柱作業が簡単
になり、また、絶縁カバーを装着しないので、昆
虫捕食の鳥類による鳥害を誘発せず、電線も絶縁
被覆付きのままでよく、芯線８ａが露出されない
ので雨水による芯線８ａの応力腐蝕などの惧れも
全くなくなる。さらにまた、限流要素５が碍子本
体１の側方へ突出するようなことがなく、碍子本
体１の占有平面内に装着されるので周辺空間を広
くでき、線路の補修作業を安全に行えるばかりで
なく碍子装置全体を小型化でき、冬期の積雪の凍
結付着量も少なくなつて雪塊重量や風圧荷重等に
より碍子本体１や限流素子５ａに外力が加わるこ
とが少なくなり、限流要素５自体も外力により損
傷をこうむる機会も減少する。

本考案は前記実施例による説明から明らかなよ
うに、送配電線路の安定した維持に効果が大きい
ばかりでなく簡便な装柱工事が実施できる限流要
素付碍子装置として実用的価値極めて大なもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠正面
図、第２図は同じく要部の一部切欠正面図であ
る。 １：碍子本体、２：ベース金具、３：ピン金
具、４：接地金具、５：限流要素、５ａ：限流素
子、６：絶縁筒体、７：絶縁体層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端にベース金具２を固着した碍子本体１をピ
   ン金具３をもつて接地金具４に取付けた碍子装置
   において、前記ベース金具２の背面側には電圧電
   流特性が非直線性の材料よりなる筒状の限流素子
   ５ａを内蔵した限流要素５と磁器等の絶縁筒体６
   とを相互間に接地金具４を介在させて直列に配設
   するとともに該接地金具４とピン金具３とを絶縁
   体層７をもつて絶縁したことを特徴とする限流要
   素付碍子装置。