JPH0242037Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は雷サージを捕捉して放出させるととも
に続流を遮断して続流アークの発生を阻止するこ
とにより変圧器を雷害から保護する柱上変圧器の
耐雷装置に関するものである。

（従来技術） 柱上変圧器の一次側には過負荷電流や短絡事故
あるいは雷サージによるフラツシオーバ事故から
変圧器を保護するためにカツトアウトなどの保護
機器が設置されており、さらに、変圧器の一次ブ
ツシングやカツトアウトに協調ギヤツプを設けて
フラツシオーバ個所を限定させたり、続流をカツ
トアウトで遮断させることにより変圧器の被害を
最小限にとどめることが図られているが、線路の
引下げ柱への直撃雷や至近雷による雷サージに対
しては保護が充分ではなく、雷サージによるイン
パルス高電圧やインパルス大電流あるいは続流ア
ークにより変圧器巻線の焼損やブツシングの破損
など変圧器の損傷事故が発生している。また、線
路の本線には避雷器やアーキングホーン付の限流
要素ユニツトなども設置されているが、線路に雷
サージが侵入した場合、これらの機器は動作して
もその接地線のサージインピーダンスによつてア
ース電位が上昇し、変圧器ブツシングなどから逆
フラツシオーバして上述の変圧器事故が発生する
こともしばしばある。このような変圧器事故が生
ずると変圧器の取替などの復旧作業を要するので
停電時間が長くなるという問題があつた。このた
め、実開昭57−183688号公報に記載されているよ
うに、ブツシング端子部に限流要素ユニツトを直
接取り付けた柱上変圧器の保護装置が提案されて
いるが、これはリード線をブツシング端子部へ締
付け固定するためのつまみ碍子に代えて限流要素
ユニツトをもつて締付け固定する構造であるの
で、既設の柱上変圧器の改修の際にはつまみ碍子
を取り外す必要があり、リード線とブツシング端
子部の接続が切り放されてこの間停電時間が必要
になる欠点があり、また、限流要素ユニツトがブ
ツシング端子部へ直接接続されるため、安全対策
上限流要素ユニツトの放電電極やこれに接続され
るアーキングホーンなどを絶縁する必要もあり、
実用性に対する配慮が充分ではなかつた。

（考案の目的） 本考案はこのような実状に鑑み限流要素ユニツ
トを一次ブツシングの外端周辺部へ簡単に装着で
きるようにするとともに雷サージに対する保護能
力の優れた柱上変圧器の耐雷装置を目的として完
成されたものである。

（考案の構成） 本考案は課電側電極と放電電極との間に電圧電
流特性が非直線性の材料よりなる限流素子を介在
させて弾性絶縁材よりなる外套体をもつて一体に
被覆してなる限流要素ユニツトを一次ブツシング
の外端周辺部に取付けられた支持金具に前記課電
側電極を接続させて装着するとともに前記放電電
極に張出方向を調節自在とするアーキングホーン
を取付けて前記支持金具と一次ブツシングのブツ
シング端子部との間および前記アーキングホーン
と接地ケースとの間にそれぞれ放電間隙を形成し
たことを特徴とするものである。

（実施例） 次に、本考案を図示の実施例について詳細に説
明すれば、１は限流要素ユニツトで課電側電極１
ａと放電電極１ｂとの間にZnOを主体とした焼結
体などの電圧電流特性が非直線性の材料よりなる
限流素子１ｃを介在させて両端面の溶着金属など
よりなる電極面と接触させ、これをゴム等の弾性
絶縁体よりなる外套体１ｄをもつて前記課電側電
極１ａと放電電極１ｂの先方端部が露呈した状態
に被覆してなるもので、この限流要素ユニツト１
はその課電側電極１ａを一次ブツシング３の外端
周辺部に取付けられた後記する支持金具２に接続
させて装着するとともに前記一次ブツシング３の
一次端側方に設けた切欠溝３ｅより引込まれて導
体３ｃの貫通孔に挿通されたリード線６の芯線６
ａやこの芯線６ａを締付けているナツト７、皿ば
ね８、平座金９などの芯線の締付け部材によつて
構成されるブツシング端子部３ｂと支持金具２と
の間に放電間隙Ｌ１を形成してある。４は放電電
極１ｂに着脱自在に張設されて該放電電極１ｂの
一部として作用するアーキングホーンで、該アー
キングホーン４は第３図に示すごとく金属線の一
端を屈曲して輪４ａを形成し、これを放電電極１
ｂの端面へ蝶ボルト４ｃにより締付けて張出方向
を調節自在として該アーキングホーン４の先端の
放電端と接地ケース５との間に調節自在な放電間
隙Ｌ２を形成している。なお、支持金具２は第４
図に示すごとく金属板を屈曲させて一次ブツシン
グ３の外端周辺部に沿つて該一次ブツシング３を
抱持する環状の嵌着部２ａを形成するとともに該
嵌着部２ａの一端にはリード線６の芯線６ａを締
付け固定するつまみ碍子１０の対接面との間に折
り曲げて挿入する複数個のずれ止め用耳片２ｂを
形成してなるもので、前記のごとく限流要素ユニ
ツト１の課電側電極１ａと取付孔２ｃにて蝶ボル
ト４ｃで締付けされるとともに前記嵌着部２ａを
もつて一次ブツシング３の外端周辺部を抱持し、
ボルト１１および蝶ナツトをもつて締付け固定さ
れている。１３は嵌着部２ａの内接面と一次ブツ
シング３の外端周辺部との間に挿入した樹脂、ゴ
ムなどのクツシヨン材で、このクツシヨン材１３
は前記嵌着部２ａの内接面に合成樹脂などをコー
テイングすることによつて代用できる。なお、こ
の支持金具２と課電側電極１ａとは固定接続後絶
縁カバーなどを施しておけば、ブツシングの湿潤
汚損や雨水などによる万一の充電も防ぐことがで
きるので好ましい。また、放電間隙Ｌ１、Ｌ２は
同一の放電経路にあつて、前記したごとくアーキ
ングホーン４によつて放電間隙Ｌ２を調整するこ
とができ、一次ブツシング３やカツトアウト避雷
器などとの絶縁協調を考慮して必ずこの放電間隙
Ｌ１、Ｌ２で雷インパルス電圧を捕捉してフラツ
シオーバさせるよう自由に調節がなされる。

このように構成されたものは、在来の柱上変圧
器に設置して配電線引下げ柱への直撃雷または至
近雷による雷サージがリード線６へ侵入した場
合、雷インパルス高電圧によつて一次ブツシング
３のブツシング端子部３ｂと支持金具２の内接面
との放電間隙Ｌ１およびアーキングホーン４の放
電端４ｂと接地ケース５との放電間隙Ｌ２でフラ
ツシオーバするが、接地ケース５へ至る経路で
は、限流要素ユニツト１の課電側電極１ａと放電
電極１ｂとの間に介在させた限流素子１ｃが電圧
電流の非直線性によつて雷サージのインパルス高
電圧に対して瞬時にその抵抗値を減じてインパル
ス大電流を通過させることとなり、これよりはる
かに低レベルの線路電圧に対してはすみやかに抵
抗値を復元して絶縁を回復するので、続流は低レ
ベルに抑制され半サイクル以内に続流が遮断され
て続流による被害を未然に防止することができ、
また、放電間隙Ｌ１、Ｌ２が変圧器の一次ブツシ
ング３やカツトアウト、避雷器などとの絶縁協調
を考慮した雷インパルスフラツシオーバ電圧に適
した寸法に調節されているので雷サージは確実に
この経路で捕捉でき、変圧器における不測のフラ
ツシオーバ事故や続流アークによる被害は発生し
ないので、雷サージによる変圧器巻線の焼損や変
圧器ブツシングの破損による変圧器損傷事故を大
幅に減少させることができ、また、続流によるカ
ツトアウトのヒユーズ溶断が少なくなるので停電
も少なくなる。さらに、限流要素ユニツト１を接
地ケース５に固設された一次ブツシング３に支持
金具２を介して取付けることによつて接地ケース
５へ直接放電させるので、本考案によれば本線の
避雷器などに見られるような接地線のサージイン
ピーダンスの悪影響はない。さらに、本考案にお
いてはブツシング端子部に直接に限流要素ユニツ
トを取付けていないので、既設変圧器の改修に際
してもつまみ碍子を取り外す必要がないので、リ
ード線を接続したままで活線作業が可能となる。
また、ブツシング端子部３ｂと支持金具２との間
に放電間隙Ｌ１を設けているので、線路電圧に対
しては常時安全に絶縁されていて万一限流素子１
ｃが劣化しても安全であり、従来例のごとく放電
電極やアーキングホーンを絶縁する必要がなく軽
便な取扱いができる。

（考案の効果） 本考案は前記説明から明らかなように、限流要
素ユニツトを支持金具を介して一次ブツシングの
外端周辺部に取付けるとともに支持金具とブツシ
ング端子部との間および放電電極に接続されたア
ーキングホーンと接地ケースとの間にそれぞれ放
電間隙を形成してあり、しかも、張出方向を調節
自在として放電間隙を自由に調節できるようにし
たアーキングホーンによつて雷サージを捕捉でき
るようにしたので、線路故障のうち復旧に時間の
かかる変圧器損傷事故を大幅に減少させて電力供
給の安定維持をはかることができるもので、構造
が簡単で既存の変圧器にも簡単に取付けることが
できる利点と相俟ち、従来の柱上変圧器の問題を
解決したものとして実用的価値極めて大なもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す一部切欠正面
図、第２図は同じく要部の一部切欠正面図、第３
図は同じく要部の一部切欠底面図、第４図は支持
金具の底面図である。 １……限流要素ユニツト、１ａ……課電側電
極、１ｂ……放電電極、１ｃ……限流素子、１ｄ
……外套体、２……支持金具、３……一次ブツシ
ング、３ｂ……ブツシング端子部、４……アーキ
ングホーン、５……接地ケース。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 課電側電極１ａと放電電極１ｂとの間に電圧電
   流特性が非直線性の材料よりなる限流素子１ｃを
   介在させて弾性絶縁材よりなる外套体１ｄをもつ
   て一体に被覆してなる限流要素ユニツト１を一次
   ブツシング３の外端周辺部に取付けられた支持金
   具２に前記課電側電極１ａを接続させて装着する
   とともに前記放電電極１ｂに張出方向を調節自在
   とするアーキングホーン４を取付けて前記支持金
   具２と一次ブツシング３のブツシング端子部３ｂ
   との間および前記アーキングホーン４と接地ケー
   ス５との間にそれぞれ放電間隙を形成したことを
   特徴とする柱上変圧器の耐雷装置。