JP4149493B2 - フレネル光学素子、表示スクリーン及び投写型表示装置 - Google Patents
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Description
また、この発明は、光線を斜め照射しても、光線を観測者側に出射させることができる表示スクリーンに組み込まれるフレネル光学素子を得ることを目的とする。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による投写型表示装置を示す概略図であり、図2はこの発明の実施の形態1による投写型表示装置を示す斜視図である。
フレネル光学素子2はプロジェクタ1から照射される光線を屈折させる屈折面と、その屈折面で屈折された光線を反射させる反射面とを有するフレネルプリズムが複数形成されている。
基盤3にはフレネル光学素子2のフレネルプリズムが二次元的に配置されている。
フレネルプリズムの反射面12は屈折面11で屈折された光線を反射させる。
フレネル光学素子2の透過面14は各フレネルプリズムの間に形成され、基盤3の表面13で反射された光線を透過させる。
この実施の形態1の表示スクリーンは、光線反射型のスクリーンであるが、光線反射型のスクリーンを説明する前に、光線透過型のスクリーンについて説明する。
光線透過型のスクリーンは、プロジェクタ21から照射される光線を屈折させる屈折面22を有するとともに、屈折面22で屈折された光線を反射させる反射面23を有するフレネルプリズムと、その反射面23で反射された光線を拡散する光拡散要素24を有する基盤とから構成されている。
例えば、屈折率n0の媒質(例えば、大気)から、入射角度θ0で屈折面22(図7では、面ACの中の面AH:面HCの部分には、面FGによって光線が遮断されるため入射されない)に入射した光線は、フレネルプリズムの屈折率n1で屈折し、反射面23(図7では、面ABの中の面AI)に入射するように向きを変える。
ζ=(π/2)−τ
−sin−1[(n0/n1)sin(τ+αn+θn)] (1)
出射角度θreflは、下記の式(2)で表される。
θrefl(θ0;αn,τ)
=sin−1[(n1/n0)
・sin{τ−αn+sin−1((n0/n1)
・sin(τ+αn+θ0))}] (2)
α(θ0;θrefl,τ)
=tan−1[{sin(θ0+τ)+(n1/n0)
・sin(τ−sin−1((n0/n1)sinθrefl))}
/{−cos(θ0+τ)+(n1/n0)
・cos(τ−sin−1((n0/n1)sinθrefl))} (3)
三角形ABCを1プリズム単位として、ピッチをmとすると、三角形ABCの面AC、面ABのうち、幾何学から入射光線に寄与しない部分は面IBと面HCである。つまり、フレネルプリズムの根元部分(面HCK)は信号光光路に寄与しない。
図7との対応で説明すると、屈折面22が面AL、反射面23が面IA、面25が面LKである。
このとき、三角形ABCとAILは相似であり、フレネルプリズムの相似縮小比率をlとする。
極端な斜入射であり、例えば、表示スクリーンに対して、斜め70度で入射する場合、頂角τ=45°、屈折率n1=1.55であれば、相似縮小比率はl≒0.2となり、平面部の方が大きくなる。
同様の条件で、斜め50度で入射する場合、l≒0.8となり、反対に平面部が小さくなる。つまり、図9にあるように、入射角度の小さいθ1では平面部の比率が小さく、入射角度の大きいθ2では平面部の比率が大きくなる。
反射面12で反射された光線は、基盤3の表面13で反射され、基盤3の表面13で反射された光線は、透過面14を透過して観測者側に出射される。
図4の例では、反射面12で反射された入射角度θ1の光線が略水平より上向き、反射面12で反射された入射角度θ2の光線が略水平より下向きにして(いずれもスクリーンの中心向き)、入射角度θ1の光線を下部の透過面14から出射させ、入射角度θ2の光線を上部の透過面14から出射させているが、上下どちらを選ぶかは、設計者の自由でよい。
なお、この実施の形態1によれば、光線透過型のスクリーンを光線反射型のスクリーンに転用することも可能となり、部品の共用化によるコストの削減効果も得られる。
上記実施の形態1では、基盤3の表面13がフレネル光学素子2の反射面12で反射された光線を反射する光線反射機能を備えているものについて示したが、図10に示すように、基盤3の表面13がフレネル光学素子の反射面12で反射された光線を拡散する光線拡散機能を備えるようにしてもよい。
また、基盤3の表面13が光線反射機能と光線拡散機能の双方を備えるようにしてもよい。例えば、基盤3の表面13を完全拡散面、ビーズスクリーンなどにすればよい。
上記実施の形態2では、基盤3の表面13がフレネル光学素子2の反射面12で反射された光線を拡散する光線拡散機能を備えるものについて示したが、図11に示すように、フレネル光学素子2の透過面14が光線を拡散する光線拡散機能を備えるようにしてもよい。
上記実施の形態1〜3では、特に言及していないが、図12に示すように、プロジェクタ1から照射された光線の一部は、屈折面11で反射されることがある。
屈折面11で反射された光線は、隣のフレネルプリズムに入射されたのち、他のフレネルプリズムの屈折面11で反射され、さらに、基盤3の表面13で反射されて、不要光として観測者側に出射されることがある。
したがって、上記のフレネル光学素子2を搭載している投写型表示装置では、ゴースト像の表示を防止することができる効果を奏する。
これにより、非入射面15に外光が入射されても、その外光が拡散されるようになる。その結果、外光が強い場合でも、コントラストの高い画像を表示することができる効果を奏する。
図14はこの発明の実施の形態5による表示スクリーンを示す構成図である。図において、図3と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
レンズ部5は基盤3の表面13で反射又は拡散された光線の広がりを制御する機能を備えている。
レンズ部5としては、断面の形状が縦方向もしくは横方向に円、楕円、もしくは非球面である1次元のレンズ(かまぼこ状のレンズ)や、曲率が縦横で異なるレンズが2次元に並んでいるマイクロレンズアレーなどを使用する。
具体的には、レンチキュラーレンズなどを使用する。
したがって、観測者が画像を観測できる視野を拡大することができる効果を奏する。
図15はこの発明の実施の形態6による表示スクリーンを示す構成図である。図において、図14と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
基盤3の表面16は、光線の焦点位置16aでは光線反射機能や光線拡散機能を有するが、光線の焦点位置16a以外では外光を吸収する外光吸収機能(例えば、ブラックストライプ)を備えている。
光線の焦点位置16aにおいては、基盤3の表面16が光線反射機能や光線拡散機能を有しているので、上記実施の形態5と同様に、光線を反射又は拡散する。
しかし、基盤3の表面16は、光線の焦点位置16a以外では外光吸収機能を備えているので、その外光を吸収する。
上記実施の形態1〜6では、特に言及していないが、フレネル光学素子2を形成しているフレネルプリズムの傾きが、そのフレネルプリズムが配置されている位置に応じて異なるようにしてもよい。
図7の例では、信号光の光路に依存しない部分は、三角形HCKで囲まれている部分であり、この部分で自由に面PK、LK、HKなどを形成すれば、透過面17の傾きを変えることができる。
図17はこの発明の実施の形態8による投写型表示装置を示す斜視図である。
図において、図2と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
位置調整手段である上下調整機構8は表示スクリーンを上下に移動して、フレネル光学素子2に対する光線の照射位置を調整する。
プロジェクタ1により投射された画像を表示スクリーンに表示するに際しては、プロジェクタ1と表示スクリーンの相対的な位置関係を調整する必要がある。
しかしながら、基準点X,Yは、実際のプロジェクタ1では明確に記されていない場合が多い。
なお、フレネル光学素子2の外周に縁6を形成しているので、プロジェクタ1による画像が歪曲している場合でも、表示領域7の歪曲が縁6に隠れるようになり、見栄えが良くなる。
y=f×tanθ
ただし、f:投射距離
θ:入射角度
y:表示スクリーンの高さ
したがって、平面度の高い平坦な基盤3にフレネル光学素子2を配置する必要性が高い。
また、この実施の形態8では、フレネル光学素子2が同心円状に配置されているものについて示したが、入射角度θ0に応じてプリズムの相似縮小比率lが同心円の中心から近い側より遠い側の方が小さくなるようにフレネル光学素子2が変化しているようにしてもよい。
さらに、この実施の形態8では、フレネル光学素子2が同心円状に配置されているものについて示したが、必ずしも同心円状に配置されている必要はなく、フレネル光学素子2が直線状に配置されていてもよい。
上記実施の形態1〜7では、特に言及していないが、フレネル光学素子2のピッチを画面の画素より細かくすれば、解像度の高い画像を表示することができる。
図18はこの発明の実施の形態9による投写型表示装置を示す構成図である。図において、図4と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。
基盤3の表面18はフレネル光学素子2の反射面12で反射された光線を反射又は拡散する光線反射機能又は光線拡散機能を備えるとともに、その光線の一部を透過する光線透過機能を備えている。
基盤3の表面18は、フレネル光学素子2の反射面12で反射された光線を反射又は拡散する光線反射機能又は光線拡散機能を備えているので、フレネル光学素子2の反射面12で反射された光線は、基盤3の表面18により反射されて、上記実施の形態1と同様に、図中、右側の観測者に向けて出射される。
この拡散板の光透過量を適切に調整することにより、表示スクリーンの右側に出射する光線と、表示スクリーンの左側に出射する光線を同時に生成できるので、両側の観測者がプロジェクタによる画像を観測することが可能となる。
そこで、図19に示すように、偏光機能を有する拡散板(偏光板)を基盤3として配置することにより、左側の観測者に向けて出射される画像の左右を反転するようにする。
そこで、プロジェクタ1の偏光切替要素1aが偏光を高速に切り替え、この偏光の切り替えに同期して、プロジェクタ1の画像形成部(図示せず)が画像の左右を反転させることで、右側の観測者と、左側の観測者が見る画像を同じものにする。
図20では、例えばガラスのように、平面度が高く、光学的に透明な透明部材19が組み合わされている。
また、レンズ部5が基盤3と透明部材19の間に挿入されている。ただし、レンズ部5と透明部材19の間に基盤3が挿入されていてもよい。
図21では、光路を折り返す鏡20をスクリーンと略平行に設置しているが、図22に示すように、鏡20を傾けて設置するようにしてもよい。
また、図21では、プロジェクタ1が表示スクリーンより右側に位置しているが、図22に示すように、プロジェクタ1が表示スクリーンより左側に位置していてもよい。
上記実施の形態1〜9では、屈折面11と反射面12からなるフレネルプリズムが複数形成されているフレネル光学素子2を示したが、この場合、フレネルプリズムの先端が尖った形状になるので、金型の加工で不正が生じたり、先端がこすれて削れてしまうことがある。
この場合、先端がこすれて削れてしまうなどの不具合を防止することができる。
透過面14と新たな面31は、面の傾きが異なるので、観測者の見る光束の配光特性を広げることができる効果も奏する。
上記実施の形態1〜9では、屈折面11と反射面12からなるフレネルプリズムが複数形成されているフレネル光学素子2を示したが、図24に示すように、フレネルプリズムが形成されている面と反対側の面に、超微細無反射構造33を付加するようにしてもよい。
フレネル反射の法則により、例えば、屈折率が1と1.5の物質では、その屈折率差に比例して、垂直入射で4%の光線が透過せずに反射して、元の方向に戻ることになる。
したがって、フレネルプリズムが形成されている面と反対側の面に、例えば接着剤32で超微細無反射構造33を付加すると、フレネル光学素子2から空気への屈折率を連続的に変化させることができるので、反射光を減らすことができる。
このようなフレネル光学素子2を例えば上記実施の形態9の表示スクリーンに適用すれば、左側の観測者が見る画像の輝度を高めることができる。
また、ここでは、接着剤32を用いて、超微細無反射構造33を付加しているが、フレネル光学素子2と超微細無反射構造33を一体的に形成してもよい。
上記実施の形態9では、基盤の表面18が光線透過機能を備えることにより、表示スクリーンの両側で画像を見ることができるものについて示したが、基盤の表面18に画像を表示する液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイパネルなどの別の画像表示手段を設置するようにしてもよい。
よって、液晶ディスプレイから出力される光線は、図26もしくは図25の右側に示すように、2割の光線がプロジェクタ1側に出射されるが、8割の光線が正面に抜けるため、8割の明るさで液晶ディスプレイを見ることができる。
この実施の形態12によれば、プロジェクタを使わないときはスクリーン裏面の画像表示手段の画像を見ることができ、画像表示手段を使わないときはプロジェクタの画像を見ることができる。
Claims (25)
- 発光体から照射される光線を屈折させる屈折面と、上記屈折面で屈折された光線を反射させる反射面とを有するフレネルプリズムが複数形成されているフレネル光学素子において、上記フレネルプリズムが配置される基盤の表面により反射又は拡散された上記反射面の反射光を透過させる透過面が各フレネルプリズムの間に形成されていると共に、各フレネルプリズムへの上記光線の入射角度が大きいほど、上記フレネルプリズムの反射面を一辺とする断面図形の相似縮小比率が小さくなるよう形成したことを特徴とするフレネル光学素子。
- 透過面が基盤の表面と平行に形成されていることを特徴とする請求項1記載のフレネル光学素子。
- 透過面が光線を拡散する光線拡散機能を備えていることを特徴とする請求項1記載のフレネル光学素子。
- フレネルプリズムの屈折面のうち、他のフレネルプリズムに遮断されて発光体から光線が直接照射されない非入射面の反射面に対する角度が、上記屈折面と上記反射面のなすプリズム先端角と異なることを特徴とする請求項1記載のフレネル光学素子。
- 反射面に対する非入射面の角度がプリズム先端角より大きいことを特徴とする請求項4記載のフレネル光学素子。
- 非入射面が光線を拡散する光線拡散機能を備えていることを特徴とする請求項4記載のフレネル光学素子。
- フレネルプリズムの先端が欠けて、フレネルプリズムが台形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のフレネル光学素子。
- フレネルプリズムが形成されている面と反対側の面に超微細無反射構造が付加されていることを特徴とする請求項1記載のフレネル光学素子。
- 発光体から照射される光線を屈折させる屈折面を有するとともに、上記屈折面で屈折された光線を反射させる反射面を有するフレネルプリズムが複数形成されているフレネル光学素子と、上記フレネル光学素子が二次元的に配置されている基盤とを備えた表示スクリーンにおいて、上記基盤の表面が上記フレネル光学素子の反射面で反射された光線を反射する光線反射機能又は上記フレネル光学素子の反射面で反射された光線を拡散する光線拡散機能を備え、上記基盤の表面で反射又は拡散された光線を透過させる透過面が各フレネルプリズムの間に形成されていると共に、各フレネルプリズムへの上記光線の入射角度が大きいほど、上記フレネルプリズムの反射面を一辺とする断面図形の相似縮小比率が小さくなるよう形成したことを特徴とする表示スクリーン。
- 基盤の表面で反射又は拡散された光線の広がりを制御するレンズが上記基盤に配置されていることを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- 基盤の表面が外光を吸収する外光吸収機能を備えていることを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- フレネル光学素子を形成しているフレネルプリズムの傾きが、そのフレネルプリズムが配置されている位置に応じて異なることを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- 二次元的に配置されているフレネル光学素子の外周に縁が形成されていることを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- 二次元的に配置されているフレネル光学素子に対する光線の照射位置を調整する位置調整手段を備えていることを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- フレネル光学素子が同心円状に配置されていることを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- 屈折面の角度が同心円の中心から近い側よりも遠い側の方が大きくなるようにフレネル光学素子が変化していることを特徴とする請求項15記載の表示スクリーン。
- 相似縮小比率が同心円の中心から近い側よりも遠い側の方が小さくなるようにフレネル光学素子が変化していることを特徴とする請求項15記載の表示スクリーン。
- フレネル光学素子のピッチが画面の画素より細かいことを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- 基盤の表面がフレネル光学素子の反射面で反射された光線の一部を透過する光線透過機能を備えていることを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- 左右の反転した画像の光線が、それぞれ異なる偏光方向で照射される表示スクリーンであって、基盤の表面で反射される偏光方向の画像とは異なる偏光方向の画像を透過させることで、前記基盤の表面側の画像と裏面側の画像とを反転させる左右反転手段を備えていることを特徴とする請求項19記載の表示スクリーン。
- 基盤の表面に画像を表示する画像表示手段を備えていることを特徴とする請求項9記載の表示スクリーン。
- 光線を照射する発光体と、上記発光体から照射される光線を屈折させる屈折面を有するとともに、上記屈折面で屈折された光線を反射させる反射面を有するフレネルプリズムが複数形成されているフレネル光学素子と、上記フレネル光学素子が二次元的に配置されている基盤とを備えた投写型表示装置において、上記基盤の表面が上記フレネル光学素子の反射面で反射された光線を反射する光線反射機能又は上記フレネル光学素子の反射面で反射された光線を拡散する光線拡散機能を備え、上記基盤の表面で反射又は拡散された光線を透過させる透過面が各フレネルプリズムの間に形成されていると共に、各フレネルプリズムへの上記光線の入射角度が大きいほど、上記フレネルプリズムの反射面を一辺とする断面図形の相似縮小比率が小さくなるよう形成したことを特徴とする投写型表示装置。
- 基盤の表面がフレネル光学素子の反射面で反射された光線の一部を透過する光線透過機能を備えていることを特徴とする請求項22記載の投写型表示装置。
- 発光体は、左右の反転した画像の光線をそれぞれ異なる偏光方向で照射すると共に、基盤の表面で反射される偏光方向の画像とは異なる偏光方向の画像を透過させることで、前記基盤の表面側の画像と裏面側の画像とを反転させる左右反転手段を備えていることを特徴とする請求項23記載の投写型表示装置。
- 基盤の表面に画像を表示する画像表示手段を備えていることを特徴とする請求項22記載の投写型表示装置。
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