JP4148638B2 - 光走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタやデジタル複写機等の画像形成装置や、さらには計測器、検査装置に画像印字手段として組み込まれるレーザビーム走査光学装置のような光走査装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
近年、レーザプリンタやデジタル複写機等に画像印字手段として組み込まれるレーザビーム走査光学装置は、画質向上のために高密度での印字が可能なものが必要とされている。このため、被走査面(感光体)上でのレーザビームのスポット径は小さくなり、焦点の許容深度が浅くなってきている。このような装置では、環境の変化、特に、使用中に光学装置が発熱して光学素子やそのホルダが熱膨張を生じると、集光位置が被走査面の前後方向にずれ、高画質を維持するうえで許容できなくなるほどビームスポット径が大きくなるという問題が生じていた。
【0003】
このような問題に対処するための技術としては、特開平2−58016号公報に開示されているように、感光体と光学的に等価位置でレーザビームの集光状態を検出し、フォーカシングレンズを移動させてビーム集光位置を補正するというものがある。
【0004】
ところが最近では、プリントスピードが高速に設定されるに伴って、ビームスポットの走査速度が非常に速くなってきており、従来のビーム集光状態検出手段では検出回路の応答速度を速くしなければならず、MHz、GHzオーダーの間隔で受光素子の出力をサンプルできる高速応答性の高い素子を使用する必要があり、コストアップを招いていた。
【0005】
そこで、特開平10−20225号公報に開示されている技術においては、レーザ光源を定点でパルス発光させ、このパルスビームの集光状態を検出するようにして、高速走査であっても簡単な構成の検出手段でレーザビームの集光状態を検出でき、集光状態検出結果に基づいて光学素子を駆動してレーザビームの集光位置を調整することにより、常時高品質の画像を得ることができるようにしている。
【0006】
ところが、光ビームの結像状態の検知においてパルス発光を前提にしているが、実際にはパルス発光のタイミングがずれて検知精度が下がり、また、ナイフエッジ法を用いているため主走査方向の光ビームの結像状態は検知できるが、副走査方向の光ビームの結像状態は検知できないという問題があった。なお本願発明者等の知るところでは、従来技術において、主走査方向、副走査方向をそれぞれ独立に検知する技術例はない。また、主走査方向の書込タイミングを制御するために同期検知素子が必要になるという問題もあった。
【0007】
そこで、簡単な機構で主、副両走査方向で独立に結像状態を検知することができ、光ビーム検知装置から出力される検知信号を同期信号として使用することで同期検知素子を別に設けることなく同期信号を得ることができる装置を本願出願人は提案している。
【0008】
この技術は、従来は主走査方向に対して垂直にスリットを配置していたため主走査方向の光ビームの結像状態は検知できるが副走査方向の光ビームの結像状態は検知できていなかったことにかんがみ、図1に示すように、受光素子であるフォトダイオード(以下PD)上に構成されているスリット状の開口を、図示のように三角形状の開口20とし、その一辺20aは従来と同様に主走査方向に対して垂直とし、他の一辺20bを主走査方向、副走査方向のいずれに対しても斜めになるように傾け、主、副両方向の光ビームの結像状態をともに検知できるようにしている。
【0009】
すなわち開口20上を光ビームPが走査すると、図2のような出力波形が観測される。光ビームPの移動方向に垂直な辺20aが主走査方向の、斜辺20bが副走査方向の出力となり、この検知信号が立ち上がる時間的な速さを検知することによって光ビームPのスポットの大きさを検知する。そして、その立ち上がり速さを判定するために出力信号を微分してピーク値を検知することにより、最終的にビームスポットの大きさを求めている。図2においては、図1中の実線で示す光ビームPの出力は実線で、同破線で示す光ビームP’の出力は破線で示してある。
【0010】
すなわち、これらの従来技術においては、像面におけるビームスポットの大きさを、感光体の像面と等価な位置に設置された1つの受光センサにより検知して求めている。ところが、このような方式では、検知ユニットによって像面上におけるビームの大きさを知ることはできるが、その大きさが適切でない場合には、補正のためにレンズ系の光路中における位置を可変させる動作を行う必要がある。
【0011】
すなわち、図3に示すようなレンズの位置とビーム径の大きさの関係を求めるために、図4のフローチャートの動作、特に同フローチャート中のステップ1から3のループ動作を頻繁に行わなくてはならない。
【0012】
図4のフローチャートを説明すると、ビーム径を計測して(ステップ1)、メモリに記憶してはレンズを微小駆動し(ステップ2)、図3に示すような深度カーブを描いたかどうかを判断し(ステップ3)、描いていなければステップ1へ戻るループ動作を行い、描いていればメモリに記憶させたデータによってレンズの移動量を計算し(ステップ4)、計算結果に基づいてレンズを移動させ(ステップ5)、ビーム径を計測し(ステップ6)、ビーム径が適正か否かの判断を行い(ステップ7)、適正でなければステップ1へ戻り、適性であれば処理を終了する。すなわち、レンズ移動動作(ステップ2)とビーム検知動作(ステップ1)を繰り返しかつ頻繁に行わなくてはならず、ビームの補正動作に非常に時間が掛かると同時に回路を駆動するためにエネルギーの消費量が増加すること2つの問題が生じている。
【0013】
そこで本発明は、繰り返しレンズを駆動して検知を行う動作が不要で、適正なビーム径にビームを補正するための時間を大幅に短縮でき、したがって従来より頻繁にビームを補正を行うことが可能で、画像の品質を向上させ、検知とレンズ駆動に費やす電力量を低減させ、省エネルギー効果を得られる光走査装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る光走査装置は、上記目的を達成するために、光源から射出された光を偏向手段及び結像素子を介して被走査面へ走査する走査光学系と、この走査光学系により走査される光の結像状態を検知する互いに離れた位置にある複数の検知手段と、この検知手段からの出力に基づき焦点位置を調整するレンズを光軸方向に移動させる調整手段とを有する光走査装置であって、上記焦点位置を調整するレンズの位置と上記被走査面上におけるビームスポット径の関係を示す深度カーブであって像面位置においてビームスポット径が最も小さくなる深度カーブを記憶するメモリと、上記メモリに予め記憶されている上記深度カーブと上記検知手段から得られるビームスポット径とを照合してビームウェスト位置を演算するビームウェスト位置演算手段と、を備え、上記調整手段は、上記ビームウェスト位置演算手段により求められるビームウェスト位置によってレンズ移動量を決定し、決定したレンズ移動量分上記調整手段により上記レンズを移動させ、上記調整手段によって移動させられ焦点位置を調整する上記レンズは、主走査方向の補正レンズおよび副走査方向の補正レンズで構成され、上記主走査方向の補正レンズおよび副走査方向の補正レンズは、上記調整手段により独立して移動させられることを特徴とする。
【0015】
同請求項2に係るものは、上記目的を達成するために、上記2つ以上の全ての検知手段を同一のベース上に設けてなることを特徴とする。
【0016】
同請求項3に係るものは、上記目的を達成するために、上記光源から射出された光を分割する素子を備え、複数の検知手段に上記分割された光がそれぞれ入射することを特徴とする。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図5は本発明に係る光走査装置の一実施形態を示す全体構成図(A)と検知部の構成図(B)である。図中1はレーザ光源、2はカップリングレンズ、3、4は補正レンズ、5は偏向器、6は結像素子、7は被走査面である感光体で、補正レンズ3で主走査方向の焦点位置を調整し、補正レンズ4で副走査方向の焦点位置を調整する。図中10は光ビームの結像状態を検知する検知装置である。また11、12はそれぞれ補正レンズ3、4を光軸方向に移動する機構、13は制御部である。
【0018】
この検知手段10においては、共通のベース20に2つの光学センサSa、Sbを設けて部品点数を減らしてコスト低減を図っている。これら光学センサSa、Sbは、像高方向(図中矢印X方向)にΔXだけ離して設置してある。デフォーカス方向(図中矢印Z方向)において、Z0は像面位置、Za、Zbは像面位置Z0からそれぞれla、lb離れた位置であり、光学センサSaは位置Zaに、光学センサSbは位置Zbに設置してある。光学センサSa、Sbは、ビーム径の検出に適する公知の手段を採用すればよい。たとえば光ビームの結像状態を単独で検出できるものでも、あるいは受光方向前側にスリット状や三角形状の開口を設けてビーム径を検出できるようにしたもの等がある。
【0019】
図6は理想的な深度カーブCが温度変動などによりAに移動したときにレンズどれだけ移動すれば良いかを求めた例を示す図であり、この時の動作の流れを図7のフローチャートに示す。まず、深度カーブの形状には温度が変化した場合もほとんど変化が起こらないため、このカーブはあらかじめ制御部13のメモリにテーブル化して記憶しておく。そして、位置Zaの光学センサSaにてビーム径da’を計測してメモリに記憶させ(ステップ1)、次いで位置Zbの光学センサSbにてビーム径db’を計測してメモリに記憶させ(ステップ2)、測定したビームスポット径da’、db’をあらかじめ記憶させていた深度カーブのテーブルと照らし合わせてウェスト位置(ビームスポット径がもっとも小さくなるZ方向の位置)Zpを演算し、像面位置Z0との差ΔZからレンズの駆動量を算出し(ステップ3)、その値に基づいてレンズを移動させる(ステップ4)。そして、確認のために光学センサSa、Sbによってビームスポット径を再度計測し(ステップ5、6)、ビーム径が適正か否かの判断を行い(ステップ7)、適正な値であれば動作を終了し、微妙に異なっていれば、それを補正するためにステップ1へ戻って同じ動作を繰り返す。
【0020】
図8は理想の深度カーブCがBに移動したときの例を示すが、補正の動作については上記の方法を同じである。
【0021】
すなわちいずれの場合でも図4のステップ1から3のループ動作が不要になり、ビーム検出動作が迅速に行われ、ユーザの使用を妨げずにビームの補正が行え、補正に掛かる時間が短いため頻繁にビームの補正を行え、ビームの補正精度が向上する。そのため、光学センサの駆動やレンズ駆動に費やされる電力が節約され、省エネルギー効果も高まる。
【0022】
図9は、光学センサSa、Sb、Sc、Sd、S0を5個設置し、図10に示すようにデフォーカス方向Zで位置の異なる5点のビームスポット径を測定するようにした本発明の第2の実施形態の検知手段を示す。図示のようにデフォーカス方向Zで位置の異なる5点のビームスポット径を測定すると、ビームウェストの位置Zpを予測するため2個の光学センサを用いる場合に比べて精度が良くなる。もちろん光学センサの数を多くすればそれだけ精度が向上する。
【0023】
ただし、光学センサを複数設置した場合、各光学センサのX方向における位置が離れているため、各光学センサにおいてウェスト位置が微妙に異なる場合があり、それによる影響が微妙にビームスポット径の補正精度に影響を与えることがある。本来、各光学センサが設置されている位置は画像形成を行わない位置であるため、このようなウェスト位置の微妙な違いが存在する。走査レンズの設計によりこのような違いが無いような走査レンズを設計することも可能であるが、レンズが大型化したり、製造コストが増加するためあまり好ましくはない。
【0024】
図11は、このウェスト位置の微妙な違いの影響を受けない構造とした本発明の第3の実施形態の検知手段を示す。すなわち本実施形態は、光学センサSaに入射する光を光学センサSaの前に置いた分割素子21(ビームスプリッタやハーフミラー等、キューブ型か平板型かは問わない。)により2つの光束に分割し、光学センサSa、Sb双方に入射させている。この時、光学センサSaは位置Zaに、光学センサSbは位置Zbと等価な位置に設置する。当然、分割素子21の屈折率等の光学特性を考慮し、Z方向に関しては適正な位置で検出を行う。
【0025】
上記構成により光学センサSa、Sbにおいて検出するビームの特性は、全く同じ像高方向(X方向)位置のものとなり、ウェスト位置のずれの影響を受けなくなり、ビーム検出の精度が向上し、結果としてビーム補正の精度が向上する。また、走査レンズにより走査される光の画角を狭くすることが可能となり、走査レンズを小型化でき、開発コストを低減できる。
【0026】
【発明の効果】
本発明の請求項1の光走査装置は、以上説明してきたように、走査光学系により走査される光の結像状態を検知する検知手段が少なくとも2つ以上の検知部を備えるので、繰り返しレンズを駆動して検知を行う動作が必要なくなり、適正なビーム径にビームを補正する動作を行うための時間が大幅に短縮され、したがって従来よりも頻繁にビームの補正を行うことが可能になり、画像の品質を向上させることができ、検知とレンズ駆動に費やす電力量を低減でき、省エネルギー効果が得られるという効果がある。
【0027】
本発明の請求項2の光走査装置は、以上説明してきたように、2つ以上の検知手段を同一のベース上に設けてなるので、上記請求項1の装置と共通の効果に加え、ベースの共通化による部品点数の削減と、それに伴う装置の低コスト化が図れるという効果がある。
【0028】
本発明の請求項3の光走査装置は、以上説明してきたように、光源から射出された光を分割する素子を備え、像高が同じ光を2つのセンサーに分割して導き得るので、上記請求項1または請求項2の装置と共通の効果に加え、ビームウェスト位置のずれを検知するために像高の違いによるウェスト位置の違いを考慮する必要が無くなり、ビームウェスト位置の検知精度が向上し、高品位な画質を得ることが可能となるという効果がある。また、走査レンズにより走査される光の画角を狭くすることが可能となり、走査レンズが小型でき、開発コストを低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光走査装置の例を示す概念図である。
【図2】図1の装置で得られる検知出力を示す図である。
【図3】レンズの位置とビーム径の大きさの関係を示す図である。
【図4】図3のレンズの位置とビーム径の大きさの関係を求めるのに必要な動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る光走査装置の一実施形態を示す全体構成図(A)と検知部の構成図(B)である。
【図6】理想的深度カーブが移動したときにレンズに必要な移動を求めた例を示す図である。
【図7】図6のレンズ移動を行うための動作のフローチャートである。
【図8】理想的深度カーブが図6と異なる位置に移動したときにレンズに必要な移動を求めた例を示す図である。
【図9】本発明の第2の実施形態の検知手段を示す図である。
【図10】図9の実施形態の検知手段での検知位置を示す図である。
【図11】本発明の第3の実施形態の検知手段を示す図である。
【符号の説明】
1 レーザ光源
2 カップリングレンズ
3、4 補正レンズ
5 偏向器
6 結像素子
7 被走査面である感光体
10 光ビームの結像状態を検知する手段
11、12 補正レンズを光軸方向に移動する機構
13 制御部
20 ベース
21 分割素子
Sa、Sb、Sc、Sd、S0 光学センサ
X 像高方向
Z デフォーカス方向
Z0 像面位置
Za、Zb 位置
Zp ビームのウェスト位置
Claims (3)
- 光源から射出された光を偏向手段及び結像素子を介して被走査面へ走査する走査光学系と、この走査光学系により走査される光の結像状態を検知する互いに離れた位置にある複数の検知手段と、この検知手段からの出力に基づき焦点位置を調整するレンズを光軸方向に移動させる調整手段とを有する光走査装置であって、
上記焦点位置を調整するレンズの位置と上記被走査面上におけるビームスポット径の関係を示す深度カーブであって像面位置においてビームスポット径が最も小さくなる深度カーブを記憶するメモリと、
上記メモリに予め記憶されている上記深度カーブと上記検知手段から得られるビームスポット径とを照合してビームウェスト位置を演算するビームウェスト位置演算手段と、を備え、
上記調整手段は、上記ビームウェスト位置演算手段により求められるビームウェスト位置によってレンズ移動量を決定し、決定したレンズ移動量分上記調整手段により上記レンズを移動させ、
上記調整手段によって移動させられ焦点位置を調整する上記レンズは、主走査方向の補正レンズおよび副走査方向の補正レンズで構成され、
上記主走査方向の補正レンズおよび副走査方向の補正レンズは、上記調整手段により独立して移動させられることを特徴とする光走査装置。 - 上記2つ以上の全ての検知手段を同一のベース上に設けてなることを特徴とする請求項1記載の光走査装置
- 上記光源から射出された光を分割する素子を備え、複数の検知手段に上記分割された光がそれぞれ入射することを特徴とする請求項1または2記載の光走査装置。
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